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繰越欠損金とは?税効果や期限、控除限度額をわかりやすく解説

繰越欠損金とは?税効果や期限、控除限度額をわかりやすく解説

目次

    繰越欠損金とは

    節税対策の一つに、繰越欠損金の活用があります。

    経営者であれば、一度は繰越欠損金について聞いた経験があるかもしれません。

    今回は繰越欠損金について分かりやすく解説します。

    繰越欠損金について理解を深めましょう。

    繰越欠損金とは?繰越欠損金の意味

    まず初めに、繰越欠損金の意味をお伝えします。

    欠損金とは、税務上の赤字を意味します。

    会計上の利益と税務上の所得は算出方法が異なる為、会計上赤字であっても税務上は赤字ではない可能性があります。

    例えば会計上は減価償却費の全額を費用計上できる一方、税務上は限度が設定されています。

    損金不算入や益金不算入の項目を調整した上で、会計上の利益から税務上の所得を算出します。

    法人税等は「税務上の所得」に対して課される為、税務上の所得が赤字であれば非課税となります。

    欠損金は来期以降に繰り越して、来期の黒字所得と相殺することが認められます。

    つまり繰越欠損金とは、前期以前から繰り越している税務上の赤字であり、黒字所得と相殺できます。

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    繰越欠損金の税効果と繰延税金資産

    この項では、繰越欠損金の税効果と繰延税金資産に関して解説します。

    ⑴税効果と繰延税金資産

    繰越欠損金は将来の課税所得を減らす効果がある為、税金を前払いしている事となります。

    繰越欠損金に関しては、回収可能性の判断に基づいて繰延税金資産を計上できます。

    ⑵繰越欠損金の回収可能性

    繰越欠損金に関しては、一定の基準に基づいて繰延税金資産を計上します。

    非常に専門的な分野であり、今回は要点を説明します。

    毎期計上している課税所得金額が、繰越欠損金が将来減少させる所得金額を大きく上回る場合には、繰越欠損金の全額を繰延税金資産に計上可能です。

    大きく上回らないものの業績自体が安定していれば、全額を繰延税金資産として計上できます。

    業績が不安定である場合には、今後5年間の課税所得見積額を限度として、繰延税金資産として計上します。

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    繰越欠損金における繰越期限と控除限度額

    次に、繰越欠損金の繰越期限と控除限度額について解説します。

    ⑴繰越欠損金における繰越期限

    以下の通り、繰越欠損金が発生した時期により繰越期限は異なります。

    • 平成13年度〜平成19年度に発生→7年
    • 平成20年度〜平成39年度に発生→9年
    • 平成30年度以降に発生→10年

    例えば平成18年に発生した繰越欠損金は7年しか繰越せませんが、平成29年に発生した繰越欠損金は9年繰越できます。

    ⑵繰越欠損金の控除限度額

    繰越欠損金には繰越期限のみならず、控除限度額も設定されています。

    繰越欠損金の控除限度額は、大法人と中小法人等によって異なるので、分けてご紹介します。

    ①大法人

    大法人の場合、繰越欠損金の発生時期により控除限度額が異なります。

    • 平成26年度→所得×0.60
    • 平成27年度→所得×0.65
    • 平成28年度→所得×0.60
    • 平成29年度→所得×0.55
    • 平成30年度→所得×0.50

    例えば平成28年度に発生した繰越欠損金であれば、6割までを所得から控除できます。

    ②中小法人等

    中小法人の場合、発生時期に関係なく繰越欠損金の全額を控除可能です。

    殆どの企業は中小法人に該当する為、基本的には全額控除できると考えて問題ありません。

    繰越欠損金の控除と別表

    この項では、繰越欠損金の控除と別表について解説します。

    確定申告の時に、繰越欠損金に関する事項を所定の別表に記載する必要があります。

    ⑴別表7(一)

    欠損金が生じた場合は、まずは別表7を準備しなくてはいけません。

    別表7(一)には、欠損金に関する事項を詳細に記載します。

    当期に発生した欠損金額や所得から控除した繰越欠損金、所得金額控除限度額等を記します。

    ⑵別表1(一)

    別表1(一)には、欠損金の当期控除額や次期への繰越欠損金額を記載します。

    別表に記載する欠損金額に基づいて、課税される税額が決定する為、正確に記載しなくてはいけません。

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    適格合併による繰越欠損金の引継ぎとその注意点

    この項では、適格合併による繰越欠損金の引継ぎとその注意点をお伝えします。

    ⑴合併と繰越欠損金

    M&A手法の一つである合併では、消滅会社のあらゆる資産や債務を引継ぎます。

    繰越欠損金の引継ぎにより合併後の税負担を軽減出来ますが、全ての合併で繰越欠損金を引継げる訳ではありません。

    繰越欠損金の引継ぎは適格合併のみ認められており、非適格合併では引継げません。

    繰越欠損金の引継ぎ可否を判断する際は、適格合併かどうかを確認しましょう。

    グループ企業内で合併する場合には、非課税での合併(適格合併)となるケースが殆どです。

    ⑵適格合併による繰越欠損金の引継ぎにおける注意点

    適格合併では消滅会社の繰越欠損金を引継げますが、その際注意点があります。

    繰越欠損金目当ての適格合併では、繰越欠損金の一部しか引継げません。

    適格合併に関しては、一定の要件により繰越欠損金目当てか否かを判断します。

    「適格合併であっても、繰越欠損金の全額を引継げない場合がある」という注意点を、頭の片隅に入れておきましょう。

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    決算における繰越欠損金の処理と仕訳

    決算に際しては、繰越欠損金を適切に仕訳処理する必要があります。

    この項では、繰越欠損金の仕訳処理について解説します。

    ⑴税効果適用時

    まず初めに税効果を適用する際の仕訳処理について解説します。

    税効果適用時は「欠損金×実効税率」の金額を繰延税金資産として認識します。

    仕訳では借方に繰延税金資産、貸方に法人税等調整額を記載する形で処理します。

    例えば欠損金が100,000円、実効税率が30%である場合には、下記の通り仕訳します。

    借方金額貸方金額
    繰延税金資産
    30,000法人税等調整額
    30,000


    つまり、100,000×0.3=30,000円だけ繰延税金資産を計上します。

    ⑵税効果解消時

    税効果の解消時は、「課税所得×控除限度割合×実効税率」の金額分だけ、繰越欠損金と所得を相殺します。

    仕訳では借方に法人税等調整額、貸方に繰延税金資産をそれぞれ計上します。

    例えば課税所得が200,000円、控除限度割合は50%、実効税率が30%である場合には下記の通り仕訳します。

    借方金額貸方金額
    法人税等調整額30,000繰延税金資産30,000


    つまり、200,000×0.5×0.3=30,000円だけ繰越欠損金と所得を相殺します。

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    繰越欠損金の使用制限

    最後に、繰越欠損金の使用期限について解説します。

    ある会社を買収した際、買収した会社の繰越欠損金使用に制限がかかる場合があります。

    こちらも要点を解説します。

    ⑴休眠会社で事業を始める

    事業を行なっていない会社(休眠会社)を買収する際には、使用制限に注意が必要です。

    休眠会社を買収後、その休眠会社を用いて事業を開始する場合には、繰越欠損金に使用制限がかかります。

    ⑵一定以上の借入または出資等を受け入れる

    買収後に一定金額以上の借入や出資を受け入れた場合も、繰越欠損金に使用制限がかかります。

    目安としては、買収前に行なっていた事業規模の5倍以上の借入や出資を受けた場合に、使用制限が生じます。

    ⑶従業員や役員を退職させた上で新規事業を始める

    買収した会社の従業員や役員を退職させた上で新規事業を始めると、欠損金に使用制限がかかります。

    上記のケース以外にも、繰越欠損金の使用制限がかかる場合があります。

    まとめ

    今回は繰越欠損金に関して解説しました。

    節税を図る上で、繰越欠損金の利用は非常に役立ちます。

    繰越欠損金は約9〜10年程度繰越せますが、大企業の場合には控除額に限度があります。

    節税対策で繰越欠損金を活用する際は、繰越期限や控除限度額に十分注意しましょう。

    繰越欠損金目当てで買収や合併等を実施すると、使用に制限がかかる可能性があります。

    繰越欠損金の活用には専門知識が必要なので、税理士や会計士の協力を仰ぎましょう。

    要点をまとめると下記になります。

    • 繰越欠損金とは

    →前期以前から繰り越している過去の税法上の赤字

    • 繰越欠損金の税効果と繰延税金資産

    →繰越欠損金は将来の課税所得を減らす効果がある為、回収可能性の判断に基づいて繰延税金資産を計上できる

    • 繰越欠損金における繰越期限

    →いつ発生したかにより、繰越期限は異なる(平成30年度以降の発生分は10年)

    • 繰越欠損金の控除限度額(平成30年)

    →大法人は所得の50%、中小法人は全額

    • 繰越欠損金の控除と別表

    →別表7(一)で繰越欠損金に関する内容を記載し、別表1(一)にて当期の控除額と次期への繰越額を記載する

    • 適格合併による繰越欠損金の引継ぎとその注意点

    →繰越欠損金目当ての適格合併では、全額を引継ぐことは出来ない

    • 決算における繰越欠損金の処理と仕訳
    1. 税効果適用時→「欠損金×実効税率」の金額を、借方に繰延税金資産、貸方に法人税等調整額をそれぞれ計上する
    2. 税効果解消時→「課税所得×控除限度割合×実効税率」の金額分を、借方に法人税等調整額、貸方に繰延税金資産をそれぞれ計上する
    • 繰越欠損金の使用制限

    →休眠会社で事業を始める、一定以上の借入または出資等を受け入れる、従業員や役員を退職させた上で新規事業を始める

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