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赤字でもかかる税金とは?赤字繰越・法人税還付による税金対策

赤字でもかかる税金とは?赤字繰越・法人税還付による税金対策

目次

    赤字でもかかる税金

    会社を経営する以上、税金から逃れることは出来ません。

    経営不振に陥って赤字になった場合でも、一部の税金は納税しなくてはいけません。

    この記事では、赤字でもかかる税金や赤字と税金の関係について分かりやすく解説します。

    赤字でも課税される税金

    まず初めに、赤字でも課税される税金についてご紹介します。

    ⑴消費税

    2年前の課税売上高が1,000万円を超える事業者は、赤字であっても消費税が課税される可能性があります。

    売上高に占める消費税は、事業者ではなく顧客が納税した消費税であり、事業者は代わりに納税する立場にあります。

    事業者は消費者から税金を預かっているので、原則赤字であっても納税しなくてはいけません。

    消費者から預かる税金よりも事業者が仕入れ等で支払った税金の方が多ければ、例外的に納税は不要となります。

    消費税の納付金額は、課税売上高にかかる消費税額から課税仕入高にかかる消費税額を差し引いた金額だからです。

    ⑵法人住民税(均等割)

    法人住民税とは、事業者の所在する地方自治体に納税する税金です。

    法人住民税は、法人税のうち一定割合発生する「法人税割」と、資本金などに応じて一定金額生じる「均等割」から構成されます。

    法人住民税の均等割は資本金や従業員数等に応じて発生する為、赤字でも納税義務のある税金です。

    ⑶法人事業税(資本金1億円超の法人)

    法人事業税とは都道府県に納税する税金であり、資本金一億円を超える法人とそうでない法人で課税の仕組みが異なります。

    資本金1億円超の法人の場合には、外形標準課税と呼ばれる課税方式が適用されます。

    外形標準課税は「付加価値割」と「資本割」の二種類の税金で構成されています。

    外形標準課税のうち「資本割」は資本金額をベースに算定される税金である為、赤字でも納税義務が課されます。

    ※関連記事

    赤字でも消費税がかかる?赤字企業における法人、個人事業主の納税義務

    赤字で課税されない税金

    次に、赤字の場合には不要となる税金を3つお伝えします。

    ⑴法人税

    事業による利益を得た法人に対しては法人税が課されます。

    法人税は利益に基づいて課税される税金である為、赤字であれば納税義務は発生しません。

    原則的には税金は発生しないものの、一点注意すべき点があります。

    会計ルールに則って算出した利益と、税務ルールに則って算出利益は異なる場合がある点です。

    例えば会計上は減価償却費を全額費用計上できますが、税務上は損金算入できる減価償却費に制限があります。

    法人税や法人事業税等の税金は、税務上の利益に基づいて課税されます。

    つまり会計上赤字であっても税務上黒字であれば、法人税や法人住民税は課税されます。

    法人税や法人住民税の計算時には、税務上の利益を参照しましょう。

    ⑵法人住民税(法人税割)

    法人住民税の法人税割も、税務上の利益が赤字であれば発生しない税金です。

    均等割は資本金に基づいて生じる税金である一方で、法人税割は法人税額に住民税率を掛ける事で算出する税金です。

    つまり法人税が発生しない(赤字)場合には、法人住民税の法人税割も納税不要となります。

    法人住民税の中でも法人税割と均等割は、算出方法が全く異なる税金なので注意しましょう。

    ⑶法人事業税(資本金1億円以下の中小法人)

    資本金1億円以上の法人は外形標準課税に基づく為、赤字であっても税金が発生します。

    一方で資本金1億円以下の中小法人は、所得金額を基準にする「所得割」に基づいて税金を計算します。

    所得金額を基準とするので、赤字であれば税金が発生しません。

    法人事業税については、資本金額で赤字の場合の税金発生有無が異なるので注意が必要です。

    ※関連記事

    法人税の税率と計算方法

    赤字経営における税金対策とメリット・デメリット

    基本的には赤字経営を回避しますが、敢えて税金対策の為に赤字決算する企業も存在します。

    赤字経営により税金対策上メリットがある一方で、デメリットも存在します。

    この項では、赤字経営による税金対策のメリットとデメリットをそれぞれ解説します。

    ⑴赤字経営による税金対策のメリット

    赤字経営による税金対策には、下記3つのメリットがあります。

    ①法人税がかからない

    税法上の所得を赤字にする事で、法人税や法人住民税(法人割)等の税金がかからなくなります。

    支払う税金が少なくなる分、より多くのキャッシュを手元に残せます。

    不要資産を購入して赤字にすることは本末転倒ですが、将来に向けた投資による赤字化は有効です。

    利益の赤字化は、活用方法次第では有益な税金対策になります。

    ②繰越欠損金を利用可能

    赤字となった場合には、その赤字を来期以降に繰り越すことができます。

    来期以降に繰り越す赤字を繰越欠損金と呼び、将来的な節税対策に繋がります。

    赤字の繰越に関しては、後ほど詳しく解説します。

    ③法人税還付を利用可能

    法人税還付とは、前期が黒字で今期が赤字の場合に、今期の赤字に相当する法人税を還付してもらえる制度です。

    法人税還付についても、後ほど詳しくお伝えします。

    ⑵赤字経営による税金対策のデメリット

    赤字経営による税金対策には、以下3つのデメリットもあります。

    ①金融機関からの融資が不利になる

    金融機関は損益計算書に記載された財務状況を基に、融資するかどうかを決定します。

    税金対策の為に赤字にすると、金融機関からの融資を受けにくくなる恐れがあります。

    これまで低金利で融資を受けていた会社は、金利を引き上げられる可能性もあります。

    金融機関は表面的な数字でのみ判断するので、税金対策が赤字経営の目的であっても考慮してもらえません。

    ②金融機関・株主に不満が生まれる

    従業員にとっては、一生懸命働いても赤字となればモチベーションが低下する恐れがあります。

    従業員のみならず金融機関や株主等にとっても、赤字経営は好ましい事態ではありません。

    多方面の関係者から不満を抱かれる結果、思わぬトラブルを招く恐れがあるので要注意です。

    ③所得税や社会保険料の負担増

    手っ取り早く赤字にする一番の方法は、役員報酬の引き上げです。

    役員報酬の引き上げにより利益を減少させ、赤字化することが可能です。

    赤字による税金対策を実施できる上に役員の報酬は増加するので、一見すると損はない様に見えます。

    役員報酬を増加させると、その分だけ所得税や社会保険料も増加します。

    赤字による税金対策の為だけに、役員報酬を増額する行為はあまりオススメ出来ません。

    ※関連記事

    赤字になったら会社はつぶれる?赤字経営のメリット・デメリット、赤字決算について解説

    赤字の際に活用できる法人税還付

    この項では、赤字の際に活用できる法人税還付の制度を詳しくお伝えします。

    法人税還付とは、前期に納付した法人税から、今期の赤字に相当する法人税の一部を還付してもらえる制度です。

    例えば急激に経営が悪化して赤字化してしまった際に、法人税還付を受ければ現金を手に入れる事が可能です。

    資金繰りの悪化を食い止める意味で、税金の還付は非常にメリットが大きいです。

    法人税還付を受ける為には、下記要件を満たす必要があります。

    • 資本金が1億円以下の法人である
    • 黒字事業年度から赤字事業年度の前事業年度までの各事業年度について、連続して青色申告により確定申告している
    • 赤字事業年度の青色申告による確定申告書を、提出期限までに提出している
    • 確定申告書と同時に欠損金の繰戻しによる還付請求書を提出する

    つまり資本金1億円以下であり、かつ前期までは黒字で今期から赤字となった法人が還付の対象となります。

    非常にメリットの大きい税金の還付制度ですが、税務調査が入りやすくなるデメリットもあるのでご注意ください。

    ※関連記事

    法人税対策

    赤字繰越による税金への影響

    最後に、赤字繰越による税金への影響をお伝えします。

    個人事業主では3年間、法人では9年間に渡って赤字を繰り越せます。

    赤字の繰越により、次期以降の税金対策に繋がります。

    例えば1年目は100万円の赤字、2年目と3年目はそれぞれ50万円の黒字であったとします。

    一年目は赤字ですので、一部の税金を除いて殆ど税金が発生しません。

    二年目は本来ならば50万円の黒字に対して税金が発生しますが、1年目の赤字を繰り越せば50万円の黒字が消滅する為、税金が発生しません。

    この時点でまだ1年目の赤字が50万円余っていますが、この赤字を3年目に繰り越せば3年目の黒字も相殺できます。

    以上の通り赤字の繰り越しにより、来期以降の黒字を相殺する事ができ、大きな節税効果に繋がります。

    新規事業を開始した当初は多額の赤字が計上されますが、数年後に急激に黒字化する可能性があります。

    そうした場合に赤字の繰越制度を利用すれば、トータルで大きな節税を実現できます。

    赤字の繰越は基本的な会計処理ですが、実施するとしないとでは大きな違いが現れます。

    ※関連記事

    節税スキームを有効活用!消費税・法人税・相続税に活用できる節税スキーム

    まとめ

    今回は、赤字と税金の関係に関してご説明しました。

    赤字と税金には密接な関係があり、税金対策の為には赤字に関する知識を知っておく事が不可欠です。

    赤字の繰越や法人税の還付は節税には欠かせない処理ですので、是非とも活用してください。

    要点をまとめると下記になります。

    • 赤字でも課税される税金

    →消費税、法人住民税(均等割)、法人事業税(資本金1億円超の法人)

    • 赤字の場合には不要となる税金

    →法人税、法人住民税(法人税割)、法人事業税(資本金1億円以下の中小法人)

    • 赤字経営による税金対策のメリット

    →法人税等がかからない、繰越欠損金を利用可能、法人税還付を利用可能

    • 赤字経営による税金対策のデメリット(リスク)

    →金融機関からの融資が不利になる、関係者に不満が生まれる、所得税や社会保険料の負担増

    • 赤字の際に活用できる法人税還付

    →前期に納付した法人税から、今期の赤字に相当する法人税の一部を還付してもらえる

    • 赤字繰越による税金への影響

    →次期以降の税金対策につながる

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