2021年4月28日更新資金調達

中小企業向けの融資制度

中小企業に役立つ融資制度が増えています。背景には資金繰りが悪化し、廃業を余儀なくされる中小企業を救済、応援する目的があります。本記事では銀行融資、セーフティーネット貸付制度、マル経融資、新創業融資制度について解説していきます。

目次
  1. 中小企業向けの融資制度
  2. 銀行の融資
  3. セーフティーネット貸付制度
  4. マル経融資
  5. 新創業融資制度
  6. 中小企業向けの長期事業資金融資
  7. まとめ
  • 今すぐ買収ニーズを登録する
  • 公認会計士がM&Aをフルサポート まずは無料相談

【※メルマガ限定】プレミアムM&A案件情報、お役立ち情報をお届けします。

中小企業向けの融資制度

日本には、人口減少の波が押し寄せています。それに加えて、グローバル化や技術力の向上により、製品の差別化が困難になっています。中小企業が継続して経営を続け、生き残りるためには難しい環境といえます。

資金繰りが悪化し、廃業を余儀なくされる中小企業は後を絶ちません。中小企業にとって、資金繰りは会社の存続に関わる重要な要素です。資金繰りを良くするため、融資を利用する中小企業は多いです。

ほとんどの中小企業は、銀行の融資を利用していますが、銀行以外にも、中小企業が利用できる融資制度は多く存在します。そこで今回は、中小企業が利用可能な融資制度をいくつかご紹介します。

※関連記事
融資はどこに相談すれば良い?相談先、必要な準備、注意点を紹介
事業資金を借りる方法は?融資の種類や借りる際の注意点について解説

銀行の融資

まずは、中小企業にお馴染みの銀行融資から確認しましょう。

銀行融資の金利

銀行融資の金利は、消費者金融から借りるより低金利です。中小企業は安心して融資を利用できます。基本的に金利は、日本銀行が設定した金利を基に決定されます。バブル期と比べると、金利は非常に低くなりました。一昔前と比べると、昨今は中小企業にとっても融資を利用しやすい環境といえます。

銀行融資を成功させる方法

銀行からの融資は当然、断られる場合もあります。特に中小企業が融資を断られる例は少なくありません。一方で、通常よりも低金利で融資を受けられる中小企業も存在します。融資を受けられる可能性を高め、なおかつ低金利で借りることができる方法をご紹介します。

銀行からの融資を成功させるためのポイントは、主に以下の3つです。

  • 格付けを上げ融資を受けやすくする
  • 消費者金融の利用は控える
  • スプレッド融資の利用

それぞれのポイントについて、一つずつ見ていきましょう。

格付けを上げ融資を受けやすくする

銀行では、融資対象の中小企業を格付けしています。格付けが高いほど、融資を受けられる可能性が高く、低金利で融資を受けられます。格付けを高くするためには、業績をよくすることが絶対条件です。収益力を高め、負債比率を下げる対策が有効です。

消費者金融の利用は控える

消費者金融から資金を借りた経験があると、銀行からの借り入れは困難となります。なぜなら、高金利の機関から借りていると、それだけ余裕のない企業だと見なされるからです。

よほど資金繰りに苦労していない限り、消費者金融からの借入は行わないようにしましょう。中小企業の場合は特に、消費者金融の利用を慎重に判断する必要があります。

スプレッド融資の利用

スプレッド融資とは、一年以内の短期融資です。通常よりも低金利ですので、中小企業はぜひとも利用したい制度です。ただしスプレッド融資は、条件が非常に厳しくなっています。業績のいい中小企業のみが、スプレッド融資を活用することができます。

※関連記事
銀行融資の金利
銀行融資と金利の基礎知識!算出方法、低金利で融資を受ける方法をご紹介

セーフティーネット貸付制度

続いては、セーフティーネット貸付制度です。まずは、どういった制度なのかを確認していきましょう。

セーフティーネット貸付とは

セーフティーネット貸付は、中小企業に比較的馴染みのある融資制度です。セーフティーネット貸付制度とは、一時的に資金繰りが悪化しているものの、中長期的には回復する見込みのある中小企業に対する融資です。

国の機関である「日本政策金融公庫」が、この融資を運営しています。外部要因(経済や社会、取引先等からの影響)によって、資金繰りが悪化した中小企業を融資の対象としています。

セーフティーネット貸付の条件

セーフティーネット貸付制度では、下記3つの資金融資を実施しています。

  • 経営環境変化対応資金
  • 金融環境変化対応資金
  • 取引企業倒産対応資金

各融資ごとに対象者となる条件は異なりますので、一つずつ説明していきます。

経営環境変化対応資金

経済・社会環境の変化による影響で、一時的に売上高や利益が減少している中小企業が対象です。経済・社会環境の変化とは、たとえば原材料の高騰やデフレーションなどを指します。

金融環境変化対応資金

金融機関との取引状況の変化の影響で、一時的に資金繰りに支障をきたしている中小企業が対象です。追加担保の設定要請や借入残高の減少要請等があった場合には、融資対象となります。

取引企業倒産対応資金

自社と関係のある企業が倒産したことで、経営に支障が出ている中小企業が対象です。ただし、取引企業倒産対応資金については運転資金のみが融資対象となります。

セーフティーネット貸付の内容

セーフティーネット貸付制度について、具体的な貸付の内容を見ていきましょう。

対象資金

セーフティーネット貸付制度では、設備資金と運転資金を融資対象としています。ただし、前述の通り取引企業倒産対応資金の場合は、運転資金のみが対象となっています。

貸付限度額

貸付限度額は、ケースバイケースとなります。実際に活用する際は、運営する機関にご相談ください。

貸付期間

設備資金に対する融資であれば、最長15年間です。一方で運転資金に対する融資は、最長8年間です。ただし、どちらも3年間の据置期間が設定されています。この期間内は、元本の支払いが猶予されます。

※関連記事
資金調達の方法

マル経融資

続いての融資制度は、マル経融資です。制度の詳細をご説明します。

マル経融資とは

マル経融資は、正確には「小規模事業者経営改善資金融資制度」と呼ばれます。日本政策金融公庫が、商工会等が行う経営改善普及事業を補完する役割で運営している融資です。無担保・無保証人・低利子で融資を受けられる点が、マル経融資最大の特徴です。中小企業にとっては、非常にありがたい融資制度です。

マル経融資の条件

マル経融資を受けるためには、下記5つの条件を満たす必要があります。

  1. 常時使用する従業員が20人以下(商業・サービス業は5人以下)の中小企業・個人事業主である
  2. 商工会・商工会議所の経営指導を原則6ヶ月以上受けている
  3. 義務納税額を全て支払っている
  4. 原則同一地区内で1年以上事業を実施している
  5. 商工業者であり、日本政策金融公庫の非対象業種ではない

特に、商工会・商工会議所の経営指導が重要な条件です。

マル経融資の内容

マル経融資について、具体的な融資の内容を見ていきましょう。

対象資金

マル経融資では、設備資金と運転資金を対象としています。この点は、セーフティーネット貸付と同様です。

貸付限度額

貸付限度額は2,000万円です。ただし、1,500万円を超える融資を受けるためには、事前に事業計画を作成する必要があります。加えて融資後に残高が1,500万円以下になるまで、商工会・商工会議所の実地訪問を、半年ごとに受けなくてはいけません。

貸付期間

設備資金の融資ならば、最長10年間です。一方で運転資金への融資では、最長7年間となります。この融資制度でも、据置期間が設定されています。設備資金の場合には2年間、運転資金は1年間の据置期間が設けられます。

※関連記事
商工会議所の融資の審査、相談はどうする?開業やマル経融資についても解説

新創業融資制度

最後に、新創業融資制度についてご紹介します。

新創業融資制度とは

「新創業融資制度」は中小企業を設立したばかりの方や、これから中小企業を設立する方にとって役立つ融資です。

新創業融資制度とは、事業計画等の審査を基に無担保・無保証人で融資する制度です。こちらの融資も、日本政策金融公庫が実施しています。新創業融資制度は利用件数がこのところ急激に伸びており、2010年には約10,500件程度だったのが、2015年度には約26,000件まで増加しました。

新創業融資制度の条件

新創業融資は、主に下記要件を全てクリアする中小企業等を対象としています。

  1. 新規に事業を始める者、事業開始後税務申告を2期終えていない中小企業等
  2. 雇用創出を伴う事業を始める(1,000万円以下の融資では満たさなくてもいい)
  3. 現在働いている企業と同種の業種で事業を行う(1,000万円以下の融資では満たさなくてもいい)
  4. 産業競争力強化法に定める認定特定創業支援事業を受けて事業を始める(1,000万円以下の融資では満たさなくてもいい)
  5. 創業資金総額の10分の1以上が自己資金である(これから創業する方や、税務申告を一期終えていない中小企業等)

以上の通り、非常に融資条件が複雑です。上記以外にも、例外的な条件が設けられています。新創業融資を活用する際は、担当機関にご相談することをおすすめします。

新創業融資制度の内容

新創業融資制度における具体的な融資の内容を見ていきましょう。

対象資金

新創業融資は、設備資金と運転資金を対象とした融資制度です。つまり、マル経融資やセーフティーネット貸付と同様です。

貸付限度額

貸付限度額は3,000万円です。ただし、そのうちの1,500万円は運転資金となります。

貸付期間

新創業融資は、「新規開業資金」や「女性、若者/シニア起業家支援資金」の利用が前提となっています。ですので、利用する融資制度によって貸付期間は異なります。

※関連記事
ベンチャー企業の資金調達

中小企業向けの長期事業資金融資

その他にも、中小企業向けの長期事業資金の融資はさまざまなものがあります。新企業育成貸付、企業活力強化貸付、環境・エネルギー対策貸付、企業再生貸付などです。

これらはいずれも中小企業向けの長期事業資金を融資するもので、短期の運転資金は扱われていません。長期の事業資金であるため、融資額の平均は約1億円となっています。これらの融資制度は、財務省所管の特殊会社である日本政策金融公庫によって運営されています。

まとめ

今回は、中小企業が活用可能な融資制度をいくつかご紹介しました。

中小企業にとって、融資は欠かせないものです。多くの中小企業は、銀行から融資を受ける可能性が十分あります。しかし、審査が厳しいため、融資を受けることができない中小企業も多く見受けられます。

銀行よりも好条件で利用できる制度も存在するため、中小企業は銀行以外の融資制度も検討しなくてはいけません。

要点をまとめると下記になります。

◎銀行融資
・銀行融資の金利は?
→消費者金融よりも低金利。近年は特に金利が低い
・銀行からの融資を成功させるためには?
→融資する魅力のある会社にする、消費者金融は利用しない、スプレッド融資の利用

◎セーフティーネット貸付制度
・どんな融資制度?
→一時的に資金繰りが悪化しているものの、中長期的には回復する見込みの中小企業等に対する融資
・融資の条件は?
→経営環境の変化や金融機関との取引関係の変化、関連企業の倒産によって資金繰りが悪化している
・融資の内容は?
→8〜15年間に渡り、設備資金や運転資金を融資

◎マル経融資
・どんな融資制度?
→無担保・無保証人・低利子で融資を受けられる
・融資の条件は?
→従業員の雇用数や、6ヶ月間の経営指導等の条件がある
・融資の内容は?
→7〜10年間に渡り、最長2,000万円の設備・運転資金を融資

◎新創業融資制度
・どんな融資制度?
→創業したての中小企業や中小企業を設立する方に対して、無担保・無保証人で融資する制度
・融資の要件は?
→雇用創出や自己資金等の要件がある
・融資の内容は?
→最大3,000万円の融資を受けられる(期間は用いる融資制度によって異なる)

M&A・事業承継のご相談なら24時間対応のM&A総合研究所

M&A・事業承継のご相談は成約するまで無料の「譲渡企業様完全成功報酬制」のM&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴をご紹介します。

M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴

  1. 譲渡企業様完全成功報酬!
  2. 最短49日、平均6.6ヶ月のスピード成約(2022年9月期実績)
  3. 上場の信頼感と豊富な実績
  4. 譲受企業専門部署による強いマッチング力
>>M&A総合研究所の強みの詳細はこちら

M&A総合研究所は、M&Aに関する知識・経験が豊富なM&Aアドバイザーによって、相談から成約に至るまで丁寧なサポートを提供しています。
また、独自のAIマッチングシステムおよび企業データベースを保有しており、オンライン上でのマッチングを活用しながら、圧倒的スピード感のあるM&Aを実現しています。
相談も無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。

>>【※国内最安値水準】M&A仲介サービスはこちら

【※メルマガ限定】プレミアムM&A案件情報、お役立ち情報をお届けします。

あなたにおすすめの記事

M&Aとは?手法ごとの特徴、目的・メリット、手続きの方法・流れも解説【図解】

M&Aとは?手法ごとの特徴、目的・メリット、手続きの方法・流れも解説【図解】

近年はM&Aが経営戦略として注目されており、実施件数も年々増加しています。M&Aの特徴はそれぞれ異なるため、自社の目的にあった手法を選択することが重要です。この記事では、M&am...

買収とは?用語の意味やメリット・デメリット、M&A手法、買収防衛策も解説

買収とは?用語の意味やメリット・デメリット、M&A手法、買収防衛策も解説

買収には、友好的買収と敵対的買収とがあります。また、買収に用いられるM&Aスキーム(手法)は実にさまざまです。本記事では、買収の意味や行われる目的、メリット・デメリット、買収のプロセスや...

現在価値とは?計算方法や割引率、キャッシュフローとの関係をわかりやすく解説

現在価値とは?計算方法や割引率、キャッシュフローとの関係をわかりやすく解説

M&Aや投資の意思決定するうえでは、今後得られる利益の現時点での価値を表す指標「現在価値」についての理解が必要です。今の記事では、現在価値とはどのようなものか、計算方法や割引率、キャッシ...

株価算定方法とは?非上場企業の活用場面、必要費用、手続きの流れを解説

株価算定方法とは?非上場企業の活用場面、必要費用、手続きの流れを解説

株価算定方法は多くの種類があり、それぞれ活用する場面や特徴が異なります。この記事では、マーケットアプローチ、インカムアプローチ、コストアプローチといった株価算定方法の種類、株価算定のプロセス、株...

赤字になったら会社はつぶれる?赤字経営のメリット・デメリット、赤字決算について解説

赤字になったら会社はつぶれる?赤字経営のメリット・デメリット、赤字決算について解説

法人税を節税するために、赤字経営をわざと行う会社も存在します。しかし、会社は赤字だからといって、必ず倒産する訳ではありません。逆に黒字でも倒産するリスクがあります。赤字経営のメリット・デメリット...

関連する記事

事業再構築補助金はM&Aでも利用できる?要件や活用方法・補助額まで徹底解説!

事業再構築補助金はM&Aでも利用できる?要件や活用方法・補助額まで徹底解説!

事業再構築補助金は要件を満たせば、中小企業や中堅企業に補助金を支給する制度です。中にはM&Aを実施するときに制度を利用する企業も存在します。この記事ではM&Aを実施しても事業再構...

DDSとは?DESとの違いや手順・活用方法・メリット・デメリットまで解説!

DDSとは?DESとの違いや手順・活用方法・メリット・デメリットまで解説!

企業再建手法の1つとして注目されているDDS。そんなDDSとよく似た言葉にDESがありますが、それぞれの違いは何なのかを本記事で解説していきます。またDDSを実施する手順や活用方法、メリットやデ...

CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)とは?メリット・デメリットを解説!

CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)とは?メリット・デメリットを解説!

ベンチャー企業へ投資をするCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)。VC(ベンチャーキャピタル)と混同されがちなCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)とは何なのか、活用するメリット・デメリ...

エンジェル投資家について徹底解説!メリットやデメリット・探し方は?

エンジェル投資家について徹底解説!メリットやデメリット・探し方は?

企業がイグジット(上場、ハイバリエーションでの売却)をした際のキャピタルゲインを目的とした投資を行うエンジェル投資家。返済義務がない投資をメインとしているエンジェル投資家について知らない人も多い...

シード期とは?定義やスタートアップの資金調達方法・成功のポイントを解説!

シード期とは?定義やスタートアップの資金調達方法・成功のポイントを解説!

成長していく過程においてIPOやM&Aを活用することも重要ですが、具体的にどのようなポイントを抑えれば良いのでしょうか。 この記事では、シード期の定義やスタートアップの資金調達方法・成...

M&Aにおけるエスクローの意味とは?メリット・デメリットについて紹介!

M&Aにおけるエスクローの意味とは?メリット・デメリットについて紹介!

日本のM&Aでは、活用されているケースは少ないとされている仲介サービス「エスクロー」があります。海外では多く活用されていますが、この「エスクロー」とはどういう意味なのでしょうか。ここでは...

投資銀行のM&Aにおける役割とは?部門ごとの業務内容や違いを解説!

投資銀行のM&Aにおける役割とは?部門ごとの業務内容や違いを解説!

投資銀行は銀行の一種ではないと聞くと、驚かれる方が多いかもしれません。投資銀行は、銀行業ではなく証券業に分類されます。本記事では、投資銀行の概要、投資銀行がM&Aにおける役割、投資銀行の4大業務...

スケールメリットが経営に与える効果は?意味や仕組みを具体例に徹底解説!

スケールメリットが経営に与える効果は?意味や仕組みを具体例に徹底解説!

スケールメリットとは、同種の業種やサービスが多く集まることで単体よりも大きな成果を生み出せることです。会社経営を行う際、不必要な経費を活用しているケースが多いです。このような課題を解決できるスケ...

株式分割とは何?仕組みやメリット・デメリットなどをわかりやすく解説!

株式分割とは何?仕組みやメリット・デメリットなどをわかりやすく解説!

株式分割とは、1株をいくつかに分割して、発行済みの株式枚数を増やすことです。株式分割には企業側、投資家側にメリット・デメリットが存在します。理解していないとトラブルに発展する可能性があります。そ...

M&Aコラム
人気の記事
最新の記事

【※メルマガ限定】プレミアムM&A案件情報、お役立ち情報をお届けします。

ご相談はこちら
(秘密厳守)