2021年5月5日更新会社・事業を売る

インサイダー取引とは?事例や違反した際の罰則をわかりやすく解説

インサイダー取引は、健全かつ公平な株式市場を守るために規制されているものです。例えば、株価が変動することを事前に把握したうえで、株式の売買を行うとインサイダー取引に該当します。今回はインサイダー取引の罰則など、事例も合わせてわかりやすく解説していきます。

目次
  1. インサイダー取引とは?わかりやすく解説
  2. インサイダー取引の規制の対象者
  3. インサイダー取引の違反事項
  4. 従業員持株会のインサイダー取引に関する注意点
  5. インサイダー取引における課徴金の事例
  6. 家族や知人でも罰則や逮捕の恐れのあるインサイダー取引
  7. インサイダー取引の具体的な事例
  8. まとめ
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インサイダー取引とは?わかりやすく解説

インサイダー取引に悪いイメージを持っている人も少なくないかと思いますが、具体的にどのようなことをするとインサイダー取引違反なのでしょうか。

今回は、インサイダー取引の規制の対象者や罰則、注意点についてお伝えしていきます。まず、インサイダー取引について、わかりやすく紹介していきます。

インサイダー取引の意味

そもそもインサイダーとは、会社などの組織に所属している人という意味を持ちます。正社員や契約社員、派遣社員、パート、アルバイトも、会社に属している人はすべてインサイダーに含まれます。

そしてインサイダー取引とは、上場会社の従業員や役員、大株主といった会社関係者、情報受領者が会社の株価に関する重大な事実を知ったうえで、株式の売買を行うことをいいます。

つまり、株価の変動を事前に把握したうえで、株式の売買を行うことがインサイダー取引に該当する行為です。わかりやすく言えば、インサイダー取引はカンニングのような行為だと言えます。

一部の投資家がカンニングをして不公平な取引をすると、証券市場は信頼性をなくしてしまいます。投資者や金融市場の信頼を守るためにも、インサイダー取引違反をした者には罰則が設けられています。

M&Aとインサイダー取引

株価に関する重要な情報をたまたま知ったことで、社員がインサイダー取引をしてしまう事例もあります。その点を踏まえると、投資を行える人であれば誰もがインサイダー取引に加担できるものだといえます。

そのため、意識していなくてもインサイダー取引を行ってしまう可能性もあり注意が必要です。もちろんM&Aにおいてもインサイダー取引は注意すべき事柄で、M&Aを行うという情報がインサイダー取引を招いてしまうなど、トラブルが発生するリスクがあります。

M&Aをご検討の際は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所には、専門的な知識や経験が豊富なアドバイザーが在籍しており、培ったノウハウを活かしM&Aをサポートいたします。

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インサイダー取引の規制の対象者

金融商品取引法では、実際にインサイダー取引をする可能性の高い人に対して規制がかけられています。具体的には会社関係者、元会社関係者、情報受領者が規制対象者として定められており、それぞれ以下の内容となっています。

  1. 会社関係者
  2. 元会社関係者
  3. 情報受領者

①会社関係者

会社関係者は大きく分けて4種類あり、下記となります。

  • 当該上場会社の役員(親会社・子会社関係なく)
  • 当該上場会社の議決権の3%以上の議決権か株式を持つ株主
  • 当該上場会社の監査役や会計監査人、あるいは監査省庁の公務員
  • 当該上場会社との契約締結者

インサイダーという言葉を先に説明したように、この会社関係者とは当該会社の役員や正社員だけではなく、非正規社員、アルバイトも含まれています。また、金融商品取引法では、それぞれの重要事実の知覚方法についても記されています。

  • 役員:その者の職務過程で知ったとき
  • 議決権の3%以上の議決権か株式を持つ株主:当該権利の行使過程で知ったとき
  • 監査省庁の公務員、あるいは監査役や会計監査人:当該権限を行使して知ったとき
  • 契約締結者:当該契約の締結、交際、履行に際して知ったとき

②元会社関係者

先に説明した会社関係者とほぼ同じですが、元会社関係者は退職して1年間はインサイダー取引の規制対象者として扱われます。ただ、規制がかけられるのは会社に在籍していた際に、知った重要事実に限られています。

しかし、会社を退職してから知った重要事実に関しては、情報受領者への規制に該当しなければ、インサイダー取引の規制の対象にはなりません。

③情報受領者

会社の関係者から、重要事実を伝えられた人のことを情報受領者といいます。また情報受領者は大きく分けて2つに分類されており、重要事実を伝えられた人と、その人から資料を閲覧させてもらった者を第一次情報受領者といいます。

また、上記に該当しないうえで、第一情報受領者から重要事実を伝達されたという人は第二次情報受領者と呼ばれます。先に説明した第一情報受領者に対して、第二次情報受領者はインサイダー取引の規制対象ではないという違いがあります。

第一次情報受領者と第二次情報受領者は、重要事実の伝達がどのような経緯で発生したかによって、どちらに当てはまるか変わってきます。例えば、第三者に直接重要事実が伝えられた場合や、間にメッセンジャーを挟んで第三者に重要事実を伝えた場合、その第三者は第一次情報受領者になります。

しかし、第三者が偶然重要事実を聴いていた場合、第三者には伝える意図がなかったことになるため、第一次情報受領者には該当しません。つまり、重要事実の伝達を第三者に意図的に行っているかどうかがポイントになります。

インサイダー取引の違反事項

インサイダー取引において最も重要な違反事項は、公表されていない株価に影響を与える重要事実を知ったうえで、株式などの特定有価証券の売買を行う点にあります。ちなみに、インサイダー取引は利益を得たかどうかで判断されるものではありません

重要事実を知ったうえで情報を知った後に株を売買する行為が違反となるため、売却して利益を得なくてもインサイダー取引に該当します。しかし、紹介する重要事実が下記に該当するのであれば、インサイダー取引にはなりません。

  • 2つ以上の報道機関で公表されて12時間以上経過している
  • 有価証券届出書などで公衆の縦覧に供されている
  • Dnetなどで公衆の縦覧に供されている

この重要事実は親会社・子会社問わず、上場会社において以下のようなものが該当します。

①決定事実

決定事実は会社合併、事業譲渡、新製品・新技術開発、新株発行などが該当します。つまり、会社が公表されている事項に関して「行う」と決定した事項、あるいは「行わない」と決定した事項をさします。

②発生事実

発生事実は、会社が意図せず発生させてしまった事柄をさします。例えば自然災害や上場廃止、主要株主の異動など、意図せず発生させてしまったことをさしていると考えればわかりやすいでしょう。

③決算情報

決算情報は直近で公表された決算の予想値と比較して、ある程度の差が発生した際の決算の数値をさします。営業利益や売上高などが、予想値よりある程度の差がある場合は決算情報とみなされます。

④バスケット条項

バスケット条項は2017年に初めて適用された重要事実であり、決定事実・発生事実・決算情報には該当しません。一方で、会社の株価変動や運営、財産、業務に関する重要な事実であり、投資判断に多大な影響を与える情報のことをさします。

従業員持株会のインサイダー取引に関する注意点

昨今は、会社関係者に該当する会社の従業員が株式を売買できる、従業員持株会をインセンティブとして導入する会社が増えています。しかし、これもインサイダー取引の観点から注意する必要もあります。

一見、従業員持株会はインサイダー取引の観点から見ると、違反しているように感じるかもしれません。しかし、個別の投資判断に基づかず一定の計画に従い継続的に行う買付(各役員・従業員の1回あたりの拠出額が100万円未満)は、インサイダー取引規制の適用除外です。

もちろん、意図的に重要事実の公表前に、株式を売却すればインサイダー取引になります。しかし、未公表の重要事実を知っていても、このような自社の株式の買付であればインサイダー取引規制違反にはなりません。

そもそも、従業員だからといって、自分の知った情報が重要事実かどうか判別できない場合もあります。例えば、異なる部署の情報を知った場合、重要事実かどうかを判断できない可能性は十分に考えられます。

会社内部の人間であれば、上層部にいなければそれが重要事実かどうかを判断する材料も少ないものです。公表前の重要事実を知ったことを気付かないまま株式を売却してインサイダー取引になってしまう可能性もゼロではありません。

そのため、従業員持株会を通じて株式を売却する場合、公表前の情報を知ったなら公表後に株式を売却するようにしましょう。また、従業員持株会を管理している部署に知った情報を確認してもらうなど、しっかりと対策を立てておくほうが安全です。

インサイダー取引における課徴金の事例

もしインサイダー取引をしてしまった場合は、違反した本人に対して課徴金が課せられます。平成16年の証券取引法改正により導入されている課徴金とはいわば罰金で、インサイダー取引規制の実効性を確保するために行われています。

しかし、役員のような経営の中枢にいる人間がインサイダー取引をした場合は、会社に対して課徴金が課せられます。また、役員などから重要事実の情報を提供された、公開買付者に課徴金が課せられることもあります。

具体的な罰金を見ていきましょう。原則として、インサイダー取引における課徴金の額は以下のとおりです。

誰の計算で行われたか 違反類型 課徴金の額
自己、密接関係者、特殊関係者、上場会社(役員など)など 売付など (売付などの価格×売付などの数量)-(重要事実が公表されて2週間の最安値×売付などの数量)
  買付など (重要事実が公表されて2週間の最高値×買付などの数量)-(買付などの価格×買付などの数量)
他人の計算 資産運用業者 1ヶ月分の運用対価の総額×3
  その他 違反行為に関わる対価の総額
  仲介関連業務 1ヶ月分の仲介関連業務の対価の総額×3
  募集等業務 (1ヶ月分の仲介関連業務の対価の総額×3)+(募集等業務や引受業務の対価の総額÷2)
情報伝達・取引推奨を行った者 その他 情報伝達・取引推奨を受けた者が得た利益額÷2

また課徴金の調査が行われるよりも先に自社株取得を行った場合、自主的に証券取引等監視委員会へ報告すれば課徴金は半額になります。それに対して、増額するケースもあります。

情報伝達・取引推奨を行った者や、インサイダー取引を行った者が、違反行為日から過去5年以内に課徴金納付命令を出されていたときには課徴金が1.5倍になります。

家族や知人でも罰則や逮捕の恐れのあるインサイダー取引

インサイダー取引は、場合によって家族や知人でも罰則を受ける、あるいは逮捕されてしまうリスクが伴います。実際に、インサイダー取引の事例の中には会社の従業員だけでなく、その従業員の妻や母親、友人が逮捕されたケースが少なくありません。

公表されていない会社内部の重要事実は、必ずしも当事者だけが知るとも限りません。家族に仕事の話をしているとき重要事実を言ってしまったり、スマホやパソコンから重要事実を知ってしまったりすることは充分に考えられるでしょう。

従業員でも重要事実かどうかわからないことがあると先にお伝えしましたが、家族であればなおさら重要事実かどうかの判断は困難だと言えます。まして、インサイダー取引は多額の利益をもたらすこともあるため、軽い気持ちで違反することも考えられます。

しかし、インサイダー取引は課徴金の納付だけでなく、懲役5年以下の刑を受ける可能性があるものです。家族や知人といえども、重要事実をうっかり口にしないようにしておきましょう。

インサイダー取引の対象者が決定された基準は、その場の情報を知った経緯や場面に依拠しており、思わぬ形でインサイダー取引に該当してしまうこともあるため注意が必要です。

インサイダー取引の具体的な事例

これまでインサイダー取引について説明してきましたが、ここからは具体的な事例を紹介していきます。実際に起こったインサイダー取引の事例を見ることで理解が深まり、注意すべき点も見えてくるでしょう。

インサイダー取引の有名な事例

メディアでも大きく取り上げられた村上ファンド事件は、2006年に起きたインサイダー取引として有名な事例の1つです。村上ファンドの村上世彰氏は、当時ニッポン放送の株を大量に保有していました。

村上世彰氏は、ニッポン放送株の大量取得をライブドアの堀江貴文氏に働きかけたのです。先んじて株式の買付を行ない、さらに意図的に株式の大量取得を仕向けたことがインサイダー取引違反だとみなされました。

この事件によって村上世彰氏は起訴され、懲役2年、執行猶予3年の有罪判決が下されました。また罰金300万円、さらに約11億4900万6,326円という莫大な追徴金が科せられました。

情報の漏洩による事例

直接証券業務に関わる仕事をしている人は、特に情報漏洩には気を付けなければなりません。証券取引等監視委員会は2018年、日興コーディアル証券の元社員がTOB情報を漏洩して、インサイダー取引に関わったとして告発しました。

TOBとは証券取引所を通さない株式公開買付のことです。あらかじめTOBで提示される価格を知っていたとすると、事前に安値で株を大量購入して、TOBが発表されると同時に売れば確実に儲けられるのです。

さらにこの事例のポイントは、日興コーディアル証券の元社員は17年3月に退職していることです。会社から離職して1年間はインサイダー取引の規制対象者として扱われることをしっかり覚えておきましょう。

売却しなくても違反になった事例

証券取引等監視委員会は2017年2月、モルフォの社員7名に課徴金命令を出しました。今回のインサイダー取引における事例で注目すべき点は、この社員7名は売って利益にはしていない点です。

大手自動車部品会社とモルフォが業務提携することを知った社員7名は、情報公表前に持株会に加入して株の買い増しをしました。その行為がインサイダー取引とみなされ、社員7名は2~11万円の罰金が科せられました。

利益がでていないからインサイダー取引違反にならないとは限りません。最も重要事実を知る可能性がある、自社の株を売買する際には特に注意が必要です。

※関連記事
グリーンメーラーとは?事例や買収防衛策を解説

まとめ

インサイダー取引は、健全かつ公平な株式市場を守るために規制されているものです。利益が出そうだからといって安易に実行してしまうと社会的制裁を受けるだけでなく、会社や関係者からの信頼も失ってしまいます。

また、自分では気付かないうちにインサイダー取引に加担してしまう可能性もあるため、株式の売買を行う際は十分に注意しましょう。それでは最後に、今回の記事をまとめると以下のようになります。

・インサイダー取引とは
→株価が変動することを事前に把握したうえで、株式の売買をする行為

・インサイダー取引の規制の対象者
→会社関係者、元会社関係者、情報受領者

・従業員持株会のインサイダー取引
→インサイダー取引規制の適用除外だが、売却する場合は注意が必要

・家族や知人のインサイダー取引違反を防ぐために
→公表されていない重要事実を口にしないように注意

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