2024年2月16日更新業種別M&A

エステサロン業界のM&Aの最新動向は?費用の相場や事業承継案件も解説!

本記事では、エステサロン業界におけるM&Aの売却・買収事例、買う・売る方法、費用の相場を解説します。エステサロン業界のM&Aは、メリット・デメリットを把握したうえで実施を判断しなければなりません。エステサロン業界のM&Aを検討している方は必見です。

目次
  1. エステサロン業界とは
  2. エステサロン業界のM&Aの特徴
  3. エステサロン業界のM&Aの最新動向
  4. エステサロン業界のM&Aニュース
  5. エステサロン業界のM&Aのメリット
  6. エステサロン業界のM&Aを成功させる4つのポイント
  7. エステサロン業界のM&Aの相場と費用
  8. エステサロン業界のM&Aの成功・失敗事例
  9. エステサロン業界のM&A・事業承継案件
  10. エステサロン業界のM&A・事業承継案件の探し方
  11. エステサロン業界における居抜き物件の購入
  12. エステサロン業界のM&Aのまとめ
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エステ エステサロンのM&A・事業承継

エステサロン業界とは

近年、後継者不足問題の解決や新規事業拡大などを目的としたM&Aの実施が増えています。これはエステサロン業界も例外ではなく、M&A事例が年々増加中です。本記事では、エステサロン業界のM&Aを詳しく説明します。

エステサロン業界の定義

エステサロンの「エステ」とは、「エステティック」の略称です。エステティック業を行う施設をエステティックサロン(エステサロン)といいます。「日本標準産業分類」によると、エステティック業は、以下に該当する業種です。

  • 手技または化粧品・機器などを用いて、人の皮膚を美化し、体形を整えるなどの指導または施術を行う事務所

また、エステティックサロン・美顔術業・美容脱毛業としては、「ボディケア・ハンドケア・フットケア・アロマオイルトリートメント・ヘッドセラピー・タラソテラピー(皮膚を美化して体形を整えるもの)」が挙げられます。

エステサロン業界の特色

エステサロン業界における最大の特色は、他の美容系業種と比較すると明らかで、開業するにあたり何らかの資格を必要としない点にあります。

例えば、美容師であれば美容師免許、理容師であれば理容師免許の国家資格が必要です。また、エステサロン業と近似する施術として脱毛サロンがありますが、脱毛施術は人体に悪影響を及ぼしかねない行為であるために医師免許が必要です。

これらの近似する美容系業種のように、国家資格の取得が必要ないため、エステサロン業界は参入障壁が安易で中小企業や個人経営者が多い点に特徴が見られます。

なお、資格が不要であることに起因する制約として、エステサロンのPRを行う際に「効果・効能」「改善」「使用前・使用後」「治療」などの表現を用いてはならないといった規定があります。

エステサロン業界の現状

エステサロン業界は急速に発展しているものの、消費者とのトラブルが後を絶ちません。主な要因としては、エステティシャン(エステティックを行う技術者)には国家資格がない点や、公的な資格制度が整備されていない点が挙げられます。

また、エステティック業の中には医師が行うべき分野もあり、場合によっては医師資格が必要です。しかし、エステティシャンとして公的な資格がない状況では、資格が必要かどうかの境界が曖昧です。そのため、医師法違反などのトラブルが起こりやすいです。

こうした状況下にあるため、コンプライアンス体制の確立が求められています。特に医師法違反によるトラブルは医療行為として問題があるため、法令・社会規範の順守が必要不可欠であり、これはM&Aでも特に考慮しなければなりません。

例えば、M&Aによる特定のエステサロンにおける買収を考える場合、サロンのコンプライアンス体制が整備されているか、医師法違反などの問題を抱えていないかなど、さまざまな点を考慮しなければなりません。

一方、トラブルによって苦情や相談が増加する中で、エステサロンに対する信頼を回復するための動きが見られます。例えば、特定非営利活動法人日本エステティック機構による「エステティックサロン認証」の制度などが代表的な例です。

エステティックサロン認証とは、経済産業省の報告書にもとづく認定基準に沿って審査が行われ、基準に見合ったサロンに認証が与えられる制度のことです。認証されたサロンは、法律を守るサロンとして認められるため信頼度が高まります。

国家資格とは異なりますが、認証基準は経済産業省の報告書にもとづいて作成されるため、公的な側面が含まれている制度です。

美容院・美容室の事業譲渡株式譲渡・M&Aについては、下記の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】美容院・美容室の事業譲渡・株式譲渡・M&Aの動向は?相場や事例も紹介!

エステサロン業界のM&Aの特徴

エステサロンの規模はさまざまあり、大手から個人経営まで幅広く存在しています。そのため、エステサロンを考える際は、大手サロンと中小規模のサロン(個人経営も含む)に分けて検討することが望ましいです。

M&Aの活用は、中小企業・大手企業のいずれにもメリットがあります。中小企業の場合、後継者不足問題の解決や事業継続などがメリットです。大手企業は、新規事業の開始・新たなノウハウの獲得などがメリットです。

こうしたメリットを享受できるのは、エステサロン業界も例外ではありません。例えば、中小規模のサロンでは、後継者不足問題の解決策として、M&Aを取り入れる事例が増加しています。

その一方、大手エステサロンでは、雑誌やCMなどにより知名度が高く、幅広い事業展開が特徴です。ただし、人気が高いために予約を取りづらく、料金が高額などの問題が見られます。

また、大手エステサロンでも常に改善が必要であるため、新しいノウハウの獲得に積極的です。その際に、M&Aをひとつの手法として考えるエステサロンが多く見られます。

中小規模のエステサロンと個人経営のエステサロン

中小規模のエステサロンや個人経営のエステサロンは、知名度では大手サロンに劣るものの、良質なサービスによって高評価を得ているサロンも数多く存在します。

ただし、相談センターなどのサービスは大手サロンに劣る傾向があり、何らかのトラブルが発生した場合、解決に時間がかかる可能性があります。とはいえ、中小規模でもフォロー体制が十分に整備されているサロンも見られます。

このように、中小規模のサロンでも良質なサービスは多く見られるものの、財務基盤の不安定さや後継者不足問題などの課題も残されています。もしも良質なサービスを提供しているのであれば、財務基盤などの問題を解決し事業を継続するためにM&Aの活用をおすすめします。

そして、M&Aに関してお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A仲介会社であるM&A総合研究所は、専門的な知識や経験が豊富なM&Aアドバイザーが在籍しており、これまでに培ったノウハウを生かしてM&Aをフルサポートいたします。

また、料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談を行っておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所

エステサロン業界のM&Aの最新動向

本章では、エステサロン業界のM&A動向を、中小規模のエステサロンと大手エステサロンに分けて説明します。

エステサロン業界の市場規模

エステサロン業界のM&A動向を紐解くには、まずエステサロン業界の市場情報を確認しておくことが大切です。
矢野経済研究所の「エステティックサロン市場に関する調査を実施(2023年)」によると、エステティックサロン市場規模は2022年度は3,236億円と、3年連続縮小の見込みです。

2022年は、レディスの脱毛分野のナショナルチェーン2社の破綻と他社への事業譲渡による店舗数減少が大きな影響を受けています。2023年度は横ばいの3,148億円と推測されています。エステティックサロン市場の今後の課題は、新規顧客の獲得と定着が大切となってくるでしょう。

エステサロン業界が抱える課題と展望

エステサロン業界は参入障壁が低いため、毎年多くの新規参入があります。その一方、市場規模は横ばいで、店舗数は飽和状態にあるため過当競争は避けられません。

その結果、1年以内に閉店・撤退する新規参入のエステサロンが少なくありません。参入障壁の低さから、個人経営を含めた小規模エステサロンが多く、広告宣伝資金が足りないため、十分な集客を行えていないことが大きな原因です。

また、華やかな印象のあるエステティシャンですが、その労働環境を問題視する意見もあります。肉体労働である従業員の労働に、過酷な一面がある点は否定できません。

常連客を増やし経営状態を改善するためにも、エステサロンの労働環境改善は大きな課題だといえます。そして、2020年以降のコロナ禍を境に、抜本的な経営の見直しもエステサロン業界全体で必要不可欠です。

中小規模エステサロンのM&A動向

エステサロン業界では、中小規模のエステサロンが店舗数を拡大するためにM&Aを活用する事例が多く、小規模案件が少なくありません。

エステサロンのビジネスは店舗を基盤とするため、店舗数の拡大は事業拡大につながります。そのため、事業を拡大したい中小規模のエステサロンにとって、M&Aは効果的な手法のひとつです。

こうした事情から、エステサロン業界では、中小規模のエステサロン同士のM&Aが多い傾向にあります。

大手エステサロンのM&A動向

最近では、大手企業による大手エステサロンの買収事例も増加しています。RVH(東証二部上場)は、2016(平成28)年に脱毛サロン大手「ミュゼプラチナム」を買収、2017(平成29)年には老舗エステサロン「たかの友梨ビューティクリニック」の運営会社「不二ビューティ」を買収しています。

その他にも、三越伊勢丹ホールディングスによるSWPホールディングスの買収、ソフトフロントホールディングスによるグッドスタイルカンパニーの買収などの事例が目立っています。

大手企業によるエステサロンの買収は、エステサロンにおけるコンプライアンス体制の強化が期待されています。これは、大手企業が持つコンプライアンス体制確立のノウハウを獲得できるためです。

特にエステサロン業界は、コンプライアンス体制の確立が求められる業界です。そのため、コンプライアンス体制確立を期待できる手法として、大手企業による買収が増加しています。また、事業投資に重きを置いた買収である点も最近の大手エステサロンにおけるM&Aの特徴であり、投資家から注目が集まっています。

ただし、M&Aを成功させる際は、いかに理想的な相手と交渉できるかが成功のカギを握っています。もしもM&Aに関してお悩みがあれば、M&A総合研究所にご相談ください。

M&A総合研究所には、日本全国から多種多様な業界・業種のM&A案件が集まっており、理想的な売り手を見つけられる可能性があります。豊富なM&A案件の中から、AIによるマッチングを提供いたします。

また、M&A総合研究所では、M&Aの豊富な知識と経験を持つM&Aアドバイザーが案件をフルサポートいたします。料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ)。無料相談を行っておりますので、M&Aをご検討の際は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所

エステサロン業界のM&Aニュース

エステ エステサロンのM&A・事業承継
エステ エステサロンのM&A・事業承継

本章では、近年実施されたエステサロン業界に関するM&Aの中から、3件をピックアップし紹介します。広く公表されるM&Aは基本的に上場企業が当時会社となった案件であるため、親近感に乏しいと思われる経営者の方もいるかもしれません。

とはいえ、公表されていない多数の個人経営や中小規模のエステサロンにおけるM&A動向をイメージするためにも、大手エステサロンのM&A内容を把握しておくことが大切です。

①ANAPがアセアンビューティホールディングスと資本提携

2020年9月、カジュアル衣料の輸入・販売および卸売事業を行うANAPは、アセアンビューティホールディングスと資本提携を行うことを発表しました。両社は同年8月に業務提携する旨の発表も行っており、提携関係をより強固に行うための資本提携と考えられています。

アセアンビューティホールディングスは、フィリピンでエステサロン「ベルルミエール」13店舗を展開するなど、ASEAN(東南アジア諸国連合)地域のビジネスに成功しています。ANAPはこの点に着目し、今後協業を進める方針です。

なお、資本提携額や具体的な契約日などの詳細は公表されていません。また、資本提携は、合併や買収などのM&A手法とは異なりますが、資本移動を伴うことから広義のM&Aと解されています。

株式会社アセアンビューティホールディングス との資本提携に関するお知らせ

②RVHが連結子会社ミュゼプラチナムと不二ビューティを G.Pホールディングに株式譲渡

2020年4月、RVHは、100%子会社であったミュゼプラチナムと不二ビューティの全株式をG.Pホールディングに譲渡しました。それぞれの株式譲渡価額は、ミュゼプラチナムが21億2,331万4,645円、不二ビューティが57億3,091万7,920円と発表されています。

ミュゼプラチナムは、美容脱毛事業・コスメ事業としてミュゼプラチナムやマキアなどのエステサロンを運営しており、不二ビューティはエステサロンたかの友梨ビューティクリニックを運営しています。

株式譲受側のG.Pホールディングは、不二ビューティの代表取締役会長でもある髙野友梨氏が代表取締役で筆頭株主(52%所有)の会社です。

この株式譲渡の結果、RVHはエステサロン事業から完全撤退した一方、G.Pホールディング(髙野友梨氏)は元の会社(不二ビューティ)を買い戻し、なおかつミュゼプラチナムを新たに傘下にしています。

連結子会社の異動(子会社株式の譲渡)に関するお知らせ

③シーズ・ホールディングスがセドナエンタープライズの株式を取得

2017年11月、シーズ・ホールディングス(現:ドクターシーラボ)がセドナエンタープライズの株式すべてを取得し完全子会社化すると発表しました。本件M&Aの取引価格は、40億500万円と報告されています。

買収側は日本の化粧品会社で、「アクアコラーゲン」を主成分とした基礎化粧品を中心として健康食品・美容機器などを取り扱っています。対する売却側は、エステティックサロン事業展開している企業です。

本件M&Aの目的は、効率的な店舗開発・管理方法の共有、店舗スタッフやエステティシャンの採用・教育の連携を通じたエステサロン事業の基盤の強化、ドクターシーラボ事業の化粧品開発ノウハウの導入による若年層向け化粧品ブランドの開発・販売などにあります。

シーズHD、脱毛ラボ保有のセドナエンタープライズの普通株式の全株取得を完了

美容エステサロンの売却の相場については、下記の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】美容エステサロンの売却の相場は?高値で売る方法も解説【案件事例あり】

エステサロン業界のM&Aのメリット

本章では、エステサロン業界の企業がM&Aを選択する場合に期待されるメリットを、買収側・売却側それぞれ解説します。

エステサロン業界のM&Aで買収するメリット

エステサロンのM&Aにおける買う側のメリットは下記のとおりです。

①事業拡大ができる

買う側における一番のメリットは、事業拡大です。M&Aでは、買収対象となるエステサロンの事業基盤を受け継ぐため、自社の事業は拡大します。例えば、これまでエステサロン業界と関わりのなかった企業の場合、エステサロンの買収によって新規事業への参入も可能です。

近年の大手企業による大手エステサロンの買収事例を見ると、異なる業界の企業による買収が目立っています。この傾向は、大手エステサロンの事業基盤を大手企業が組み込むことで、大規模な事業拡大を進められるメリットも関係しています。

②エステティシャンの増員

大手エステサロンの場合、エステティシャンのレベルが高い傾向にあります。そのため、新規事業にもかかわらず良質なサービスをスムーズに提供できることも、大手エステサロンを買収するメリットのひとつです。

また、中小規模のエステサロン同士におけるM&Aでも、買う側のエステサロンには多くのメリットがあります。例えば、店舗数の拡大やエステティシャンの増員など、事業拡大に必要な要素を引き継げます。

エステサロン業界のM&Aで売却するメリット

エステサロンのM&Aでは、企業の規模にかかわらず、売る側にもメリットが多くあります。

大手エステサロンが売る側となる場合、経営基盤のさらなる安定化、創業者利益の獲得といったメリットがあります。とはいえ、中小規模エステサロンを売却する方がメリットは多いため、ここからは中小規模エステサロンの売却におけるメリットを詳しく説明します。

中小規模エステサロンの売却におけるメリット

中小規模のエステサロンが売る側となる場合、後継者不足問題の解決、経営基盤の安定化、創業者利益の獲得、個人補償や担保の解消、従業員の雇用維持、事業の維持・承継など、多くのメリットがあります。

これらは中小企業がM&Aを行うメリットですが、これは中小規模のエステサロンも例外ではありません。

そもそも中小企業では、後継者不足問題の解決や経営基盤の安定化を目的とするM&A事例が頻繁に注目されるなど、後継者不足が発生する確率が高い傾向にあります。特にエステサロンであれば、個人経営のサロンなど後継者不足に悩むケースが多いです。

しかし、中小規模のエステサロンでも、良質なサービスを提供するサロンは存在します。良質なサービスを提供できても、後継者がいないために事業が継続できないのはオーナーとして避けたい事態です。

また、良いサービスを提供できるにもかかわらず、経営基盤が安定しないために継続が難しい場合もあります。こうした事態を解決するため、売却を検討するケースが増えているのです。

美容エステサロンの事業譲渡については、下記の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】美容エステサロンの事業譲渡/売却と株式譲渡はどちらが節税できる?

エステサロン業界のM&Aを成功させる4つのポイント

本章では、エステサロン業界のM&Aを成功させるポイントについて紹介します。

①排水管の状態をチェックする

エステサロンでは、シャワーユニット・トイレ・手洗い場など水を使う設備が必要なので、排水管が要ります。そのため、売却を検討するケースでは、これまでに使用していた排水管の状態を買い手側が確認します。

排水管の状態が悪い場合、買い手側は開業計画を再検討します。水回り箇所から排水設備まで配管を引き込む作業が必要となるためです。以上のことから、売り手側では、排水管の状態をチェックしましょう。

②個室の広さ・部屋数を確保する

エステサロンは、顧客が快適に感じる広さの個室を必要とします。個室には、施術用のベッド・施術器具・収納棚・テーブル・椅子などを置きます。個人サロンを始める場合は、6畳ほどで足ります。

とはいえ、部屋数により施術できる顧客の数が変わるため、部屋数が多ければ買い手が魅力的に感じます。スタッフの数にもよりますが、売却前に部屋数を増やしておくと良いでしょう。

③高い集客率が見込める立地に店舗を構える

エステサロンは、高い集客率を必要とします。隠れ家的な店舗を希望する場合は、顧客が集まらなくて廃業することもあり得ます。

エステサロンのほとんどが、エステサロンを利用する客層の多い地域や駅構内に店舗を構えています。エステサロンのコンセプトにもよりますが、高い集客率が見込める立地に店舗を構えることが、エステサロン業界のM&Aを成功させるポイントのひとつです。

④顧客のニーズに沿った施術の有無を確認する

エステサロンには、フェイスケア・ボディケアなどさまざまな施術があります。エステサロンを開業する際は、来店する顧客層を考えながら主要サービスに据える施術を検討すると良いでしょう。

ここでは、エステサロン業界のM&Aを成功させるために、顧客のニーズに沿った施術の有無を確認します。顧客のニーズに応える経営であれば、買い手にとって魅力的に映ります。

美容雑貨製造業界のM&A・事業承継については、下記の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】美容雑貨製造業界のM&A・事業承継!動向・注意点・相場を解説【事例有】

エステサロン業界のM&Aの相場と費用

エステサロン業界のM&Aは、小規模案件から大規模案件まで存在します。もともと小規模案件が多く見られましたが、近年は案件の大型化が目立っています。

その一方で、中小規模のエステサロンにおける事業拡大などを考慮すると、小規模案件は今後も一定数報告されると考えられます。本章では、エステサロン業界のM&Aの相場と費用を紹介します。

エステサロン業界のM&Aの相場

エステサロン業界におけるM&Aの相場と費用を把握するには、案件規模のばらつきを考慮しなければなりません。また、会社の適正価値・市場の動向や時期などを踏まえて検討する必要があります。さまざまな観点から客観的に金額を理解し、M&Aを検討しましょう。

例えば、会社を買収する場面では、売る側は高く売りたいと考え、買う側は安く買いたいと考えます。そのため、取引相場金額を把握しなければ、「安く売ってしまった」もしくは「高く買ってしまった」といった事態に陥りかねません。

エステサロン業界のM&Aの費用

M&Aを実施する際は、買う側のリスクが高い傾向にあります。なぜなら、買収によって新規事業を開始しても業績を出せるかどうかなど不明瞭な点が多いためです。そのため、不明瞭な部分に多くの資金を用意することに抵抗を感じて、なるべく安く買いたいと考える傾向にあります。

しかし、買収金額が高いからといって買収に消極的になると、チャンスを逃すおそれもあります。買収金額が高くても、それを十分にカバーする利益をもたらす可能性があります。こうした判断は非常に難しいものの、M&Aにおいて必要不可欠です。

以上より、M&A実施の際は、買収対象の企業だけでなく業界の取引相場を考える必要があります。買収金額が高いと感じても、業界の取引相場として考えれば妥当な場合があるのです。

エステサロン業界のM&Aの成功・失敗事例

ここでは、エステサロン業界の代表的なM&A事例を紹介します。RVHによる脱毛サロン大手「ミュゼプラチナム」の買収や、老舗エステサロン「たかの友梨ビューティクリニック」の運営会社「不二ビューティ」の買収は、異なる業界の大企業による買収事例として大きく注目されました。

買収を経て、RVHグループは、国内のエステ市場で売上高・店舗数ともに1位となっています。この点では、エステサロン業界のM&Aにおける成功事例として挙げられます。

その一方、2018年11月、RVHの続落により、年初来安値が更新されました。下落の要因は、2019年3月期の業績予想を黒字から赤字に下方修正されたことだと考えられます。

エステサロン業界はエステティシャンによるサービスが基本であり、特に研修制度が多い業界です。大手になれば抱えるエステティシャンも多いため、研修費用は高い割合を占めます。このことから、研修費用が赤字の原因となり、費用をカバーする売上を得られなかったことも原因と考えられます。

現段階では、エステサロン業界のM&Aに目立った失敗事例は見られません。とはいえ、M&Aによる業界再編が加速する中で、全体として不明瞭な点が多いことも事実です。したがって、事例の分析は、ある程度長期的な視点に立って検討することが望ましいです。

美容エステサロンの事業承継については、下記の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】美容エステサロンの事業承継マニュアル!相談先や成功事例を解説!

エステサロン業界のM&A・事業承継案件

本章では、エステサロン業界のM&A・事業承継案件を紹介します。

①フェイシャルエステ・酸素カプセルのエステサロン

東京都にあるフェイシャルエステ・酸素カプセルのエステサロンです。売上は1,000万円以下で、譲渡希望価格も1,000万円以下です。譲渡理由は、財務的理由、後継者不足、資金調達、戦略の見直しなどです。

このエステサロンにおける強みは、酸素に注目し酸素カプセルを用いた施術を行う点です。酸素カプセルに入ると肌水分量が増え、独自のフェイシャルエステでスピーディーにリフトアップを行えます。また、独自技術を提供しています。

②エステ・整体サロン

エステ・整体サロンです。売上は1,000万円以下、譲渡希望価格も1,000万円以下です。譲渡理由は、経営の見直しで、事業部を縮小して本業に集中するためです。

このエステサロンの強みは、長い業界歴のあるスタッフが在籍し、スキンケア品販売の権利を所有している点にあります。

③関西地方のエステサロン2店舗・化粧品卸売業

関西地方のエステサロン2店舗・化粧品卸売業です。売上は1億円〜2.5億円、譲渡希望価格は1,000万円〜5,000万円です。譲渡理由は、後継者不足(事業承継)、戦略の見直しとしています。

目元から痩身までのトータルエステサロンを経営しており、関西地方中心地に2店舗を構え、経験豊富で技術のあるエステティシャンを10名超抱えている点が特徴的です。

④関東中心に10店舗以上展開する有名人御用達のエステサロン

最後の案件は、関東中心に10店舗以上展開する有名人御用達のエステサロンです。売上は2.5億円〜5億円で、譲渡希望価格は1億円〜2.5億円です。譲渡理由は、後継者不足(事業承継)、戦略の見直しとしています。

関東を中心に10店舗以上のエステサロンを運営するほか、一部フランチャイズ展開しており、今後も店舗数を拡大予定としています。

エステサロン業界のM&A・事業承継案件の探し方

エステサロン業界のM&A・事業承継案件の探し方には、M&A仲介会社に相談する方法やM&Aマッチングサービス(マッチングサイト)を利用する方法、知人に紹介してもらう方法などがあります。

M&Aマッチングサービス(マッチングサイト)はインターネット上で売り手・買い手を探す方法です。手軽に利用でき、小規模案件や居抜き物件も多いので一度みてみるのもよいでしょう。

もし相手先企業とのマッチング、M&Aの手続きや交渉を一貫サポートしてもらいたいという場合は、M&A仲介会社などの専門家に相談することをおすすめします。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所

エステサロン業界における居抜き物件の購入

「エステサロン業界に参入したい」あるいは「店舗を増やしたい」場合、居抜き物件の購入は非常に魅力的です。エステサロンの設備はコストが高いため、コストを抑えるうえで居抜き物件の購入にはメリットがあります

一般的に、居抜き物件の設備はそのまま使用できます。縮小傾向にあるエステサロン業界では、居抜き物件が少なくないため、居抜き物件を購入して事業を始める場合は不動産などに相談するとスムーズに進められる可能性が高いです。

ただし、居抜き物件の購入では、技術者やノウハウの獲得は不可能です。居抜き物件は、設備のみを獲得する手法であるためです。

一方で、M&Aによるエステサロンの買収であれば、技術者やノウハウを獲得できます。そのため、エステサロン業界への新規展開を検討する際は、エステサロンのM&Aを実施することが望ましいです。

エステサロン業界のM&Aのまとめ

本記事では、エステサロン業界におけるM&Aの動向や相場、成功・失敗事例を解説しました。

M&Aでは買い手と売り手の立場によってM&Aを選択する目的が異なるため、メリット・デメリットを判断する必要があります。大きな意思決定であるM&Aには注意点も多いため、専門家を十分に活用しましょう。

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農業業界の動向とM&Aのメリット!売却・買収事例や流れと注意点も解説!

農業業界の動向とM&Aのメリット!売却・買収事例や流れと注意点も解説!

農業業界では担い手の高齢化と後継者不足による廃業危機に加えて、新型コロナをきっかけとした出荷額の低迷で経営状態が不安定化し、M&Aを検討せざるを得ないところが増えています。この記事では、...

海運業界の動向とM&Aのメリット!売却・買収事例や流れと注意点も解説!

海運業界の動向とM&Aのメリット!売却・買収事例や流れと注意点も解説!

この記事では、海運業界の動向を説明したうえで、海運業界でM&Aを行うメリットを解説していきます。近年のM&A・売却・買収事例も紹介して、M&A動向についても紹介していきま...

老人ホームの事業承継の流れや成功のポイントは?メリットや相談先も解説!

老人ホームの事業承継の流れや成功のポイントは?メリットや相談先も解説!

近年は老人ホームをはじめとした介護福祉業界においても、後継者不在による廃業・倒産を防ぐため事例の事業承継が盛んに行われているのが現状です。本記事では老人ホームの事業承継の流れや成功のポイントを紹...

食品業界における事業承継の動向や事例を徹底解説!手続き方法や注意点は?

食品業界における事業承継の動向や事例を徹底解説!手続き方法や注意点は?

近年は後継者不足や原材料価格の高騰、老朽化などの問題を解消して事業を継続するために、積極的に事業承継を手掛ける動向の企業が増加しています。 本記事では食品業界における事業承継の動向や事例を...

サービス付き高齢者向け住宅のM&Aの動向は?事例から相場・注意点まで解説!

サービス付き高齢者向け住宅のM&Aの動向は?事例から相場・注意点まで解説!

近年急速的に進行している要介護者の増加の動向に伴い、サービス付き高齢者向け住宅のM&Aが盛んに行われ、企業の統合が増加しています。本記事ではサービス付き高齢者向け住宅のM&Aの動...

クリニックの売却価格はどれくらい?相場や計算方法・税金まで詳しく解説!

クリニックの売却価格はどれくらい?相場や計算方法・税金まで詳しく解説!

クリニックの売却を検討している医療機関が多いですが、医療業界の取引はやや特殊でいくつか注意する点があります。今回はクリニックの事業売却を検討している医療機関に向けて、取引の相場や取引価格の計算方...

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