M&Aとは?手法ごとの特徴、目的・メリット、手続きの方法・流れも解説【図解】
2023年3月17日更新業種別M&A
システム開発会社のM&Aの動向は?事例から費用の相場を解説【2023年最新版】
本記事では、システム開発会社のM&A動向や費用相場、メリット・デメリットを事例と併せて紹介しています。システム開発会社のM&A成功させるには、事前に業界のM&A動向を把握しておくことがポイントです。システム開発会社のM&Aを検討している方は必見です。
目次
システム開発会社の市場動向
はじめに、この章ではシステム開発会社の概要・商流・特色・主要企業などとともに、市場動向を解説します。
システム開発業とは
システム開発業とは、家電製品や通信機器をはじめとする電子機器を制御するためのシステム開発の構築や、各種企業の業務システムの構築などを事業として手掛けることです。
システム開発会社では、顧客の業務処理やデータ集計といった特定の目的を達成するために、システムの企画・設計・開発・運用・保守業務の全部あるいは一部を請け負う事業を担っています。
なお、システム開発会社のうち、企画から運用保守までを一貫して手掛けている事業者は、システムインテグレーター(SIer)と呼ばれています。
システム開発業の商流
システム開発業の商流は、「顧客→元請け→下請け(一次)→下請け(二次)…」という元請けを頂点とする多重下請け構造が存在する点に大きな特徴が見られます。
元請けにはSIerが位置し、ハードウェアの製造企業(日立製作所・NEC・富士通・IBMなど)、顧客企業の情報システム子会社(野村総研・新日鉄住金ソリューションズ・伊藤忠テクノソリューションズなど)、資本的に独立した企業(ITホールディングス・大塚商会・オービックなど)に分類されます。
システム開発業の一般的な開発フロー(元請け・SIer)を、下表にまとめました。
企画 | 企業の戦略を元にシステム開発の目的・方向性・業務の全体像・運用・管理までの計画を立案 |
要件定義 | 業務の全体像を個々の業務に振り分け、担当組織にひもづけてシステム化する範囲・対象業務を明確化 |
基本設計 | 要件定義で明確にした業務のイメージを具体化し、システムに必要な機能の概要を設計 |
部分設計 | 基本設計を元に内部仕様を検討、技術的観点で詳細な仕様を設計 |
開発 | 部分設計を元にプログラムを開発 |
テスト | 単体テスト・連携テスト・稼働テストを行い、仕様どおりに動作するか検証 |
保守 | 本稼働後の保守・メンテナンス・導入後のバグ対応 |
システム開発会社の特色
システム開発会社には、以下のような特色が見られます。
- 技術者のテクニック・能力が売上確保に直結する
- 中小企業が多数を占める多重下請け構造が存在する
- 繁忙期や不得意分野などで外注管理が重要視される
- 開発に携わると取引が長期化するケースが多い
IT技術は急速な進化を続けており、技術者には幅広い言語・アルゴリズム・プロジェクト管理手法・ミドルウェア・インフラ・ネットワークといったシステム開発に必須な知識・技能の習得が求められています。技術者が一貫して業務を手掛けるため、受注や継続的な取引の成否は技術者の能力にかかっているのです。
また、システム開発会社は新規参入が比較的容易であり、中小企業の多さが目立っています。中小企業は多重構造の最下層に位置するケースが多く、途中でマージンが抜かれるために下層になればなるほど、収益が低下する仕組みです。
さらに、システム開発会社では、繁忙期の業務量増加への対応や不得意分野の技術者が必要となった場合、外注利用が重要です。このときは、二重派遣による違法・秘義務契約による外注制限・技術/ノウハウ/人材の流出などに注意しながら、顧客のニーズに沿った適切な外注先を選定しなければなりません。
そして、一度開発に携わると保守業務まで一貫して請け負うケースが多い点も、システム開発会社の大きな特徴です。そのため、顧客に対する理解度やコミュニケーションの取りやすさなどを理由とする継続発注が多い傾向にあります。
システム開発の市場動向

〈ソフトウェア業の市場規模の推移〉(出典:経済産業省-https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/tokusabizi/result-1.html)
経済産業省の「特定サービス産業実態統計調査」によると、システム開発会社が手掛けるソフトウェア業の市場規模は、上記グラフのように推移しています。IT技術の進歩・発展により2009年には市場規模が15兆636億円まで拡大したものの、リーマンショックの影響を受けて大きく縮小しました。
その後は政府の経済対策・日銀の金融緩和の影響により、日本企業のソフトウェア投資が活発化したことで、市場規模は回復の兆候を見せています。2014年は消費税増税後の影響で市場は一時的に市場が縮小したものの(12兆6,189億円)、 2015年以降は再び回復傾向を見せて、2018年には14兆8,401億円を記録しました。
現在のIT業界ではクラウド・ビッグデータ・IoTなど成長分野を元に新市場の開拓が進められており、多くの企業がソフトウェア投資に対して積極的な姿勢を見せています。
システム開発会社の主要企業
経済産業省の「特定サービス産業実態統計調査」によると、ソフトウェア業を手掛ける企業・事業者数は21,953と報告されています(2018年時点)。
ここでは、その中でもシステム開発会社の主要企業に位置づけられる17社を、以下のとおり紹介します(順不同)。
- 富士通
- 日立製作所
- NTTデータ
- 日本電気
- 日本IBM
- 大塚商会
- 野村総合研究所
- 伊藤忠テクノソリューションズ
- ITホールディングス
- SCSK
- TIS
- パーソルプロセス&テクノロジー
- システムエグゼ
- 日本ユニシス
- DTS
- アマノ
- エヌ・デーソフトウェア
IT業界のM&A事例は下記の記事で紹介しています。あわせてご覧ください。
システム開発会社が抱える4つの問題
M&Aは後継者不足や事業承継など経営上の問題を解決するうえで、効果的な手法の1つです。また、経営基盤の安定化・優秀な人材の確保などさまざまなメリットもあるため、最近ではM&Aを経営戦略として採用する企業が増加しています。
もちろんシステム開発会社でもM&A実施件数は増加傾向にあり、さまざまな問題の解決を目指す動きが活発化しています。しかし、M&Aの実施は、システム開発会社の業界の特徴を踏まえたうえで検討しなければなりません。
ここからはシステム開発会社のM&Aに関する情報を詳しく紹介していきますが、はじめにシステム開発会社が抱える以下の問題を把握しておきましょう。
- 人手不足
- 後継者不足問題や事業承継問題
- 多重構造
- 単価の低下
それぞれの問題を順番に紹介します。
①人手不足
近年、多くのシステム開発会社で人手不足が深刻化しています。IT技術の進歩などでIT分野における仕事量自体は増加傾向にありますが、仕事量の増加に見合った人材確保が進んでいないために人手不足が深刻化している状況です。
特に中小規模のシステム開発会社では、エンジニア不足が大きな問題となっています。もちろん大手のシステム開発会社も人手不足の問題を抱えていますが、就職・転職希望者が多いためにある程度は人材確保が進んでいる状況です。
これに対して、中小規模のシステム開発会社は大手と比較すると知名度が低いため、どうしても人材の確保が困難です。将来的に就職・転職希望者が大手企業を希望する傾向が強まれば、さらに人手不足は深刻化するものと見られます。
なお、人手不足は会社の事業成長を妨げる要因です。特にIT業界ではエンジニアなどの技術者不足が技術面においても大きな障害となりやすいです。IT技術の進歩により最新の技術・知識に精通した技術者の重要性が増しているため、技術者がいなければ事業が成長しにくい状況にあります。
中小規模のシステム開発会社は、大手と比べて知名度が低い分、良質なサービスの提供など強みを生かした事業展開が求められます。しかし、事業を成長させるには技術者など優秀な人材が必要となるため、事業成長が妨げられやすいです。
こうした事情から、近年では優秀な人材を確保する目的でM&Aが実施されるケースが増えてきました。M&Aにより大手企業のグループ会社になれば、知名度を急速に高められます。知名度の向上は、就職・転職希望者の増加をもたらして優秀な人材の確保につなげることが可能です。
たとえ大手のシステム開発会社でも、仕事量の増加などで人手不足が問題になる場合があります。大手企業だからといって優秀な人材が常に保証されるわけではなく、人材確保を重点的に検討しなければなりません。
つまり、M&Aによりシステム開発会社を買収して優秀な人材を確保できれば、買収した側の大手システム開発会社にとっても大きなメリットがあります。IT業界は常に最新の技術・知識に精通した人材の確保が求められているため、大手・中小を問わずM&Aによるメリットは大きいです。
②後継者不足問題や事業承継問題
後継者不足問題や事業承継問題は、特に中小規模のシステム開発会社に見られる問題です。大手企業では後継者を希望する人が多いため、一般的には後継者が見つかりやすいとされています。これに対して、中小企業では、後継者が見つからない問題が発生しやすいです。
中小企業は大手企業ほどの知名度がなく、後継者を希望する人が大手と比較すると少ない傾向にあります。そのため、中小規模のシステム開発会社の経営者が年齢的に引退時期を迎えているにもかかわらず後継者が不在である場合、事業の継続が困難になるのです。
しかし、こうした問題に直面しても、M&Aにより買収されることで、他の会社に事業を存続してもらえます。特に大手企業による買収であれば、相手に安心して事業存続を任せることが可能です。
M&Aにより後継者不足問題・事業承継問題が解決して事業を継続できれば、これまでと同様に良質なサービスを提供できるうえに業界の活性化にもつながります。
良質なサービスを提供しているのは、大手企業だけではありません。良質な事業展開をする中小規模のシステム開発会社が後継者不足問題・事業承継問題を抱えている場合、業界全体を考えて解決を図る必要があります。
③多重構造
システム開発会社の業界では、「大手システム開発会社が元請けとなって、下請け・孫請けの企業に発注する」多重構造が見られます。当然ながら、多重構造では元請けから請け負った金額よりもさらに安い金額で下請けに発注するため、下請けになればなるほど利益が少なくなる仕組みです。
最近では、このような多重構造の状況を改善するためにM&Aを検討するケースも増加しています。例えば、M&Aにより大規模なシステム開発会社と経営統合できれば、元請けに近い立場に上がれるため利益改善につながるのです。
また、最近では元請けによる外注先の選別もしばしば話題に挙がりますが、元請けによる外注先の選別が加速すると下請けとなる中小規模のシステム開発会社は取引先の確保が困難です。元請けと継続的に取引できれば問題ありませんが、選別により取引できなくなる可能性も否定できません。
中小規模のシステム開発会社では、こうした外注先の選別に対処するためにM&Aを検討するケースも多く存在します。大手企業により買収されれば、大手企業の傘下に入って安定的に事業を継続できるためです。
④単価の低下
システム開発業界では、オフショア開発などにより単価が低下する傾向が見られます。オフショア開発とは、システム開発などを海外企業や海外現地法人に委託する行為のことです。オフショア開発を実施すれば、コスト面でメリットが得られる一方で、単価低下の原因を生じさせます。
単価が低下した状況では、各システム開発会社が安定した利益を確保できる案件を優先的に請け負うようになります。案件の傾向は変動しやすいことから、各会社の事業展開に大きな影響を及ぼすおそれがあるのです。
場合によっては事業戦略を大きく転換する必要があるため、事業展開・拡大のためにM&Aを検討するケースも多く見られます。事業戦略を転換して事業展開・拡大を行ううえで、他の会社との経営統合および買収は大きなメリットが期待できる施策です。
このように、さまざまな問題を解決するうえで、M&Aは非常に有効な方法の1つです。しかし、納得のいくM&Aを実施するには、理想的な相手を見つける必要があります。理想的な相手を経営者の独力で見つけることは非常に難しく、膨大な時間と手間がかかります。
M&Aをご検討の際は、ぜひM&A総合研究所にお任せください。M&A総合研究所では支援実績豊富なアドバイザーがご相談からクロージングまで丁寧にサポートいたします。
料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)無料相談をお受けしておりますので、M&Aをご検討の際はどうぞお気軽にお問い合わせください。
オフショア開発のM&A・売却の流れや方法については下記の記事で紹介しています。あわせてご覧ください。
システム開発会社のM&Aの現状と動向
システム開発業界はさまざまな問題を抱えていますが、M&Aにより解決できる問題が多いためにM&Aのニーズが非常に高まっている状況です。ここでは、システム開発会社のM&Aの現状と動向を以下の項目に分けて紹介します。
- 人材不足解消のためのM&A
- 後継者不足問題や事業承継問題を解消するためのM&A
- 多重構造への対処としてのM&A
- 内製化の進行と異業種M&A
- クラウド化の進行とシステム業界再編M&A
それぞれの項目を順番に解説します。
①人材不足解消のためのM&A
人材不足に対処するためのM&A動向を見ると、やはり中小規模のシステム開発会社の事例が多いです。大手のシステム開発会社は知名度が高く人材を集めやすい一方で、中小規模のシステム開発会社は人材確保に苦しむケースが多く見られます。
そのため、M&Aによる売却で大手企業の傘下に入るなど、知名度を上げるためのM&Aは今後も加速すると考えられます。とはいえ、大手のシステム開発会社でも、人材の確保は優先事項です。
IT技術は日々進歩しており、IT業界の人材不足は今後も加速すると見られるため、大手だからといって安心できない状況です。企業の知名度にかかわらず、事業成長のためには常に優秀な人材の確保を考えなければなりません。
以上の事情を踏まえると、今後は大手のシステム開発会社がM&Aにより他のシステム開発会社を買収して、優秀な人材を確保しながら事業成長を目指すといったケースも増加すると考えられます。
②後継者不足問題や事業承継問題を解消するためのM&A
後継者不足問題や事業承継問題を解決する手段として、中小規模のシステム開発会社を対象とするM&A事例が多く存在します。M&Aによる売却で後継者が見つかれば、事業を継続できます。
また、大手企業による買収が決まれば、安心して事業を任せることが可能です。資金面からも安心感が得られるため、資金調達・安定的な経営といった面で大きなメリットがあります。
③多重構造への対処としてのM&A
多重構造への対処としてのM&Aでも、中小規模のシステム開発会社を対象とする事例が多いです。利益改善のためにはなるべく元請けに近い立場に上がる必要がありますが、大規模なシステム開発会社と経営統合するなど利益改善のための手法としてM&Aは効果的だといえます。
④内製化の進行と異業種M&A
近年、IT関連業務の内製化を進めている企業の割合が急速に増加しています。とりわけ、企画・設計などの上流工程の内製化を進めている企業の割合が増加傾向にある状況です。
こうした傾向に対応する形で、M&Aニュースでは異業種企業によるシステム開発会社の買収事例が目立っています。
⑤クラウド化の進行とシステム業界再編M&A
近年のクラウド化の進展を受けて、クラウド型のパッケージソフトウェアを利用するユーザー企業が増加したことで、従来型のシステム開発事業が成り立ちにくい状況が生まれており、競争激化や単価下落などの影響が及んでいると指摘する意見があります。
そこで、従来型のシステム開発から徐々に離れて、大手ソフトウェアベンダーが提供する「クラウド型システムパッケージ」を活用してユーザー企業の課題発見・課題解決を図るソリューション事業に軸足を移すシステム開発会社も多く見られます。こうした状況下で、業界再編型のM&Aも盛んに実施されている状況です。
システム開発会社のM&Aをご検討の際は、ぜひ一度M&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所には専門的な知識や経験が豊富なアドバイザーが在籍しており、培ったノウハウを生かしてM&Aをサポートいたします。
料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。相談料は無料となっておりますので、システム開発会社を対象とするM&Aを検討している場合にはお気軽にご相談ください。
システム開発会社のM&Aの相場と費用
システム開発業界が厳しい状況にある中、問題の解決策としてのM&A事例が増加しています。システム開発業界ではさまざまな問題解決のためにM&Aが行われるため、M&Aを実施する目的が多種多様である点が特徴的です。
掲げられる目的により取引規模も変化するため、M&Aの相場・費用は事例ごとに検討する必要があります。現時点ではシステム開発会社のM&A相場や費用を一概に決めることは難しく、今後のM&A増加により目的ごとに相場が大きく変化する可能性も否定できません。
人材不足の解消などはIT業界全体に共通するため、IT業界全体のM&A相場は他の業界と比較すると非常に高いです。特に人材確保の面では多額の資金をかけてでも優秀な人材を確保して事業を成長させたいと考える企業が多く見られます。
こうした傾向を踏まえると、システム開発会社のM&A相場も高い傾向にあります。とはいえ、システム開発会社のM&Aは目的が幅広く事例ごとに細かく考える必要があるため、自社と類似するM&A事例を徹底的に調べたうえで相場・費用を把握することが大切です。
システム開発会社のM&Aのメリット
概要を把握したところで、次はシステム開発会社のM&Aにおけるメリットについて確認します。システム開発会社のM&Aには多くのメリットがありますが、それぞれ買い手と売り手で期待できる内容は異なります。
本章では、システム開発会社のM&Aで得られるメリットを買収側・売却側ごとに紹介します。
買収・譲受側の3つのメリット
はじめに、システム開発会社を買収する側のメリットを紹介します。大手のシステム開発会社が他のシステム開発会社を買収するM&A事例を考えると、主なメリットは以下のとおりです。
- 優秀な人材の確保
- 事業領域の拡大
- 新技術の獲得
IT技術が目まぐるしく変化している以上、大手企業も安心できない状況です。変化しやすい動向に対応していくには、優秀な人材の確保・事業領域の拡大・新技術の獲得は優先順位の高い経営戦略といえます。これらを成し遂げるうえで、M&Aによる買収は大きなメリットがあるのです。それぞれのメリットを順番に詳しく解説します。
①優秀な人材の確保
M&Aでシステム開発会社を買収すると、優秀な人材の確保につながります。システム開発会社の中には、従業員の定着率が低い問題を抱えている組織も少なくありません。とはいえ、人材の採用に注力するとなると、莫大な費用・時間がかかってしまうのです。
こうした問題を抱えるシステム開発会社がM&Aによる買収を活用すれば、売却側企業に所属している人材をまとめて確保できます。これにより、優秀な人材の確保だけでなく、技術者の増加に伴う形で大型案件の受注も実現可能となるのです。これらのメリットは、結果的に収益性の向上につながります。
②事業領域の拡大
M&Aでシステム開発会社を買収すると、事業領域の拡大にもつなげられます。なぜなら、売却側企業の人材やノウハウの吸収により、短期間で効率よく新事業を立ち上げられるためです。
システム開発事業を主軸としていない企業の場合、技術者やノウハウの不足が原因でスピーディーに事業を立ち上げられないケースが多く見られます。こうした企業は、M&Aによるシステム開発会社の買収を検討すると良いです。M&Aの際は、同業他社に絞らず、広い視野から相手企業を探すことをおすすめします。
③新技術の獲得
M&Aによるシステム開発会社の買収では、新技術の獲得も効率よく進められます。これは、自社にない技術を保有する企業を買収した場合に得られるメリットです。
確かに、すでに自社に所属している従業員に新技術を習得させる施策も1つの手ですが、多くの時間を費やす必要があります。そのため、即座に最新技術を獲得して他社との競争に挑む際には、最適な方法とはいえません。
こうした問題を抱える企業がM&Aによる買収を活用すれば、短期間で必要な新技術を獲得できるため、自社の案件受注に即座に生かせるメリットがあります。
売却・譲渡側の3つのメリット
システム開発会社の売却側は、中小企業が担うケースが多いです。売却によって得られる代表的なメリットには、以下のようなものが挙げられます。
- 人手不足の解消
- 後継者不足問題や事業承継問題の解決
- 多重構造への対処
上記以外にも、M&Aでは、経営基盤の強化・従業員の雇用維持・創業者利益の獲得・個人保証や担保の解消といったメリットも期待できます。いずれのメリットも中小企業にとっては大きな利益となり、M&Aによる売却で大きな経済効果を得ることも可能です。特に大手企業に売却できれば、経済効果も増大しやすくなります。
それでは、それぞれのメリットを順番に詳しく解説します。
①人手不足の解消
M&Aでシステム開発会社を売却すると、人手不足の解消につながります。これは、買収側企業から従業員を派遣してもらえるだけでなく、従業員待遇の良い会社に自社を引き継ぐことで離職率の低下が見込めるためです。
また、大手企業の傘下に入れば、自社の知名度が向上して採用活動をスムーズかつ容易に進められる可能性もあります。したがって、人手不足に悩まされているシステム開発会社の経営者の方は、M&Aによる売却を積極的に検討してみてください。
②後継者不足問題や事業承継問題の解決
M&Aでシステム開発会社を売却すれば、後継者不足問題および事業承継問題の解決にもつなげられます。従来は事業承継を行う際、親族や従業員を後継者に据える企業が主流でしたが、最近では後継者不足問題の深刻化を受けて、M&Aにより第三者に事業承継するシステム開発会社も数多く報告されています。
大手システム開発会社に自社の事業を引き継いでもらえれば、買収側の経営資源を活用しながら自社の発展が目指せるのです。これに対して、事業承継せずに廃業してしまうと、システム開発業に関する設備(パソコンなど)の廃棄費用がかかるだけでなく、従業員を露頭に迷わせてしまうことにもつながります。
もしも後継者不足により事業承継が妨げられているならば、廃業前にM&Aによる売却を検討しましょう。
③多重構造への対処
M&Aによるシステム開発会社の売却では、下請けからの脱却という側面から多重構造への対処が行えます。M&Aで自社よりも元請けに近い企業に売却すれば、当然ですが現在よりも元請けに近い立場から業務に取り組めるようになり、中間マージンを多く取られる状況から脱却可能です。
下の階層であればあるほど中間マージンを多く取られてしまうため、階層の向上は大きなメリットといえます。元請けに近いほど重要なシステム開発業務に関われる可能性も高まり、技術者のモチベーション向上も期待可能です。
階層を上げるには営業力の強化が一般的な施策とされていますが、短期間で成し遂げるのは非常に困難です。効率的に階層を向上させたい場合には、M&Aにより高い営業力を誇る会社への売却を検討しましょう。
システム開発会社のM&Aのデメリット
システム開発会社のM&Aにはさまざまなメリットがある一方で、デメリットも少なからず存在することから十分に注意しなければなりません。ここからは、システム開発会社のM&Aで考えられるデメリットを買収側・売却側に分けて紹介します。
買収・譲受側の2つのデメリット
はじめに、買収・譲受側企業で問題となるデメリットを以下の2項目に分けて紹介します。
- 経営統合に失敗し従業員が流出する恐れがある
- 期待していたシナジー効果を獲得できるとは限らない
それぞれのデメリットについて順番に把握しておきましょう。
①経営統合に失敗し従業員が流出する恐れがある
せっかく優秀な人材の確保を目的にM&Aによる買収を行ったにもかかわらず、相手企業の社風などと相性が悪いことで不満を抱えた従業員が離職してしまうケースは珍しくありません。
IT技術の発達によりシステム開発会社の技術者に対する需要は向上していることから、技術者からすると再就職先探しが容易になっており、このことが人材の流出を後押ししている要因になっています。
もしも優秀な人材が流出してしまえば、期待していたメリットが得られず、M&Aの失敗に直結しかねません。そのため、買収側企業では、M&Aの実施に伴い労働環境の改善・向上および従業員の要望を拾い上げるためのサポート体制の構築といった効果的なPMI(経営統合)の施策が求められます。
②期待していたシナジー効果を獲得できるとは限らない
シナジー効果の獲得を狙ってM&Aによる買収を行ったつもりが、結果的には期待していたシナジー効果が得られなかったことで悩むシステム開発会社も少なからず存在します。
期待どおりのシナジー効果が得られる可能性を少しでも高められるよう、M&Aの際は専門家のサポートを得つつ、万全の体制で取引に臨むと良いでしょう。
売却・譲渡側の2つのデメリット
上記に対して、売却・譲渡側で問題となるデメリットは、以下のとおりです。
- 取引先・従業員から反発を受ける恐れがある
- 最適な買収先企業が見つかるとは限らない
それぞれのデメリットを把握して、自社のM&A戦略に生かしましょう。
①取引先・従業員から反発を受ける恐れがある
ひとことにシステム開発会社といっても企業ごとに文化・社風は異なるため、M&A取引後のPMIが円滑に進まないケースは珍しくありません。最悪のケースでは、取引先・従業員などから反発を受けて、M&A後の会社運営に悪影響が及ぶおそれもあります。
M&A後も引き続き事業を継続してもらうためにも、自社の売却時には取引先・従業員など関係者を納得させられるよう、誠実な説明を心がけましょう。このときは、M&Aによる売却で得られるメリットに関する説明も効果的です。
②最適な買収先企業が見つかるとは限らない
M&Aによる売却で十分なメリットを得るには、自社にふさわしい買収先企業を見つける必要があります。しかし、必ずしもスムーズに相手企業が見つかるとは限りません。とはいえ、相手企業とのマッチングに妥協すれば、M&A取引自体の失敗に直結してしまいます。
自社にふさわしい買収先企業を見つけたい場合、これまで多くのM&A案件を取り扱ってきた実績を持っていて、膨大なネットワークを保有するM&A仲介会社にサポートを依頼すると良いでしょう。このときにシステム開発会社のM&A実績が豊富な仲介会社を選べば、M&Aの成功確率を大幅に向上させられます。
システム開発会社のM&A事例
ここでは、システム開発会社のM&Aの成功事例およびM&Aを成功させるポイントを順番に紹介します。
成功事例10選!
ここで紹介するシステム開発会社のM&A成功事例は、以下の10件です。
- Success HoldersによるP&Pの買収
- サンロフトによるS’PLANTの買収
- 方正によるインテック武漢の買収
- 複合研ディーエルによるティー・シー・エスへの事業承継
- TDCソフトによる八木ビジネスコンサルタントの買収
- シーアイエスによるフィニティの買収
- エスエイティーティーによるアイ・ティ・コンサルティングの買収
- ノースゲート・パブリック・サービシズによるi2Nの買収
- 船井総研ホールディングスによる新和コンピュータサービスの買収
- 関電システムソリューションズによるパシフィックビジネスコンサルティングの買収
それぞれの事例からポイントを把握して、自社のM&A戦略に生かしましょう。
①Success HoldersによるP&Pの買収
2021年4月、Success Holdersは、P&Pの株式すべてを取得し、完全子会社化すると発表しました。本件M&Aの取得価額は3億5,900万です。
買収側は、テクノロジー事業とメディア事業を展開している企業です。対する売却側は、福岡市を拠点にシステム開発を手掛けています。
本件M&Aにより、買収側では、成長戦略を推進させています。
②サンロフトによるS’PLANTの買収
2021年3月、サンロフトは、S’PLANTの株式すべてを取得し、完全子会社化しました。本件M&Aの取得価額は非公開です。
買収側は、静岡県焼津市を拠点に、ICTコンサルタントとして企業や官公庁、教育・保育施設の課題解決に取り組む事業を展開している企業です。対する売却側は、静岡市に本社を置き、水産関連企業向け業務システム開発を手掛けています。
本件M&Aにより、買収側では、両社の業務システム開発体制の統合による専門性と品質の向上を図っており、クラウド化やDXにより拡大した顧客ニーズへの対応が目指されています。
③方正によるインテック武漢の買収
2021年1月、方正(現:HOUSEI)は、インテック武漢の株式すべてを取得し、完全子会社化しました。本件M&Aの取得価額は非公開です。
買収側は、東京都新宿区に本社を置き、受託システム開発事業や各種クラウドサービスを行っているシステムインテグレーターです。対する売却側は、ICT技術研究・システム開発などを手がける「インテック」の子会社であり、中国の武漢を拠点として、日本向けの業務系・管理系ソフトウェアの開発などを手掛けています。
本件M&Aにより、買収側では、中国でのオフショア開発の規模・領域の拡大を図っています。
④複合研ディーエルによるティー・シー・エスへの事業承継
2020年5月、複合研ディーエルは、ティー・シー・エスを引き受け先とする第三者割当増資を行うことを通じて、事業承継を行いました。本件M&Aの増資額は非公開です。
売却側は、東京都千代田区を拠点に、入力支援(OCR)システムの開発・販売などを手掛けています。対する買収側は、東京都文京区に本社を置き、システム開発・コンサルティング、インフラ構築・運用・保守などを手がけている企業です。
本件M&Aは、売却側が後継者不在・会社事業の維持発展などを図って行った事業承継です。
⑤TDCソフトによる八木ビジネスコンサルタントの買収
2020年2月、TDCソフトは、八木ビジネスコンサルタントの株式すべてを取得し、完全子会社化しました。本件M&Aの取得価額は非公開です。
買収側は、東京都渋谷区に本社を置くシステムインテグレーターです。対する売却側は、1984年の設立以来、SAPシステムのコンサルティングおよびシステム開発に強みを持っています。
本件M&Aにより、買収側では、売却側の持つSAP S/4HANAを含めた豊富なSAP関連ノウハウと自社のシステム開発技術を融合することで、顧客ニーズに対してより付加価値の高い次世代サービスの提供を図っています。
⑥シーアイエスによるフィニティの買収
2020年2月、シーアイエスは、フィニティの株式すべてを取得し、完全子会社化すると発表しました。本件M&Aの取得価額は非公開です。
買収側は、名古屋市中区を拠点に、企業の基幹システム開発の受託・支援や、クラウドサービスおよびセキュリティサービスの提供、各種メーカー・ベンダー製品の販売などを行っている企業です。対する売却側は、生産管理・原価管理・販売管理などのシステムの基幹システムを提供するシステム開発企業です。
本件M&Aにより、買収側では、老朽化した基幹システムの再構築への対応力を飛躍的に高めるとともに、自社グループの有するAIソリューションやクラウド技術と組み合わせることで、顧客の幅広い要望とニーズにワンストップで対応できる体制の構築を図っています。
⑦エスエイティーティーによるアイ・ティ・コンサルティングの買収
2019年8月、エスエイティーティーは、アイ・ティ・コンサルティングの株式すべてを取得し、完全子会社化しました。本件M&Aの取得価額は非公開です。
買収側は、1986年に駿台予備学校を中心とした駿台グループの一員として設立された企業です。対する売却側は、2002年に設立された企業で、宮崎県を拠点に大型汎用機のプラットフォームからWeb系に至るまで、さまざまな開発環境でのシステム開発を手掛けています。
本件M&Aにより、買収側では、当事会社双方の製品・サービスや技術を生かし、顧客のニーズに幅広く応えていくことを図っています。
⑧ノースゲート・パブリック・サービシズによるi2Nの買収
2018年8月、NECの英国の子会社「ノースゲート・パブリック・サービシズ」は、英国のシステム開発会社「i2N」を買収しました。本件M&Aの取引価額は非公開です。
買収側のノースゲート・パブリック・サービシズは、英国の警察市場で50%以上のシェアを有する犯罪事案管理プラットフォーム「CONNECT」を有する企業です。
売却側のi2Nは、英国政府向けにITサービスを提供する中小企業のうちトップ25に入る企業です。英国司法省の主要サプライヤーとして、刑務所・執行猶予・保護観察・少年法執行などに関する業務ソフトウェアを開発・提供しています。
本件M&Aの目的は、警察・司法業務全般におけるソリューション提供の実現にありました。i2Nの買収により、M&A当事会社双方のクライアントに対しさらなる価値提供の実現が図れるとしてM&Aの実施に至っています。
⑨船井総研ホールディングスによる新和コンピュータサービスの買収
2018年5月、船井総研ホールディングスは、システム開発会社の新和コンピュータサービスの株式を取得し子会社化すると発表しました。株式取得価額は非公開です。買収側の船井総研ホールディングスは船井総研グループ(経営コンサルティング事業など)の持ち株会社で、グループの戦略立案・経営管理を担っています。
売却側の新和コンピュータサービスは、短納期・高品質のシステム提供をモットーに、システム構築・システム運用・ソフトウェア開発まで幅広く手掛けています。エンドユーザーとの直接取引によって培われた技術力・開発力に強みを持っている企業です。
本件M&Aの目的は、新和コンピュータサービスに船井総研グループのデジタルシフト戦略の中核としての役割を担わせることです。新和コンピュータサービスの子会社化により、顧客満足の向上につながると判断して株式取得に至っています。
⑩関電システムソリューションズによるパシフィックビジネスコンサルティングの買収
2018年4月、関西電力の子会社である関電システムソリューションズ(現:関電システムズ。以下、「KS-SOL」という)は、システム開発会社のパシフィックビジネスコンサルティング(以下、「PBC」という)の株式すべてを取得し完全子会社化しました。株式取得価額は非公開です。
買収側のKS-SOLは、関西電力グループの総合情報サービス企業です。関西電力グループ向け事業を中心に、グループ外の顧客に対してもデータセンター・Microsoft Azure(Azure)・ERP・CRM・EC・水道料金計算・管理会計といったキーソリューションを提供しています。
売却側のPBCは、ERPパッケージ製品であるMicrosoft Dynamics NAV(NAV)・Dynamics 365 For Financial and Operations(D365FO)を他社に先駆けてローカライズした企業です。国内外の市場に導入してきたMicrosoft Dynamics事業のリーディングカンパニーとして高い知名度を誇っています。
本件M&Aの目的は、NAVおよびD365FOを主軸とするERPソリューションを成長させることです。PBCの子会社化により、以下のようなシナジー効果の獲得が図られています。
- 双方の商圏の相互補完による新たな顧客の開拓
- KS-SOLの営業力を生かした関西医薬系企業へのPBCのソリューション拡販
- 関電ブランドの信頼力を活用したPBCのNAV・D365FOの大型案件受注の拡大
- 両社でAzureを活用した新サービスを開発し他社Microsoft Dynamicsビジネスとの差異化実現
以上、システム開発会社のM&A成功事例を10件紹介しました。このようにシステム開発会社のM&Aでは、相手企業もIT分野の企業である事例が多いです。また、この他にも関西電力・NECが関連している事例が報告されており、比較的大規模な買収事例が多い点も特徴といえます。
失敗事例
近年M&Aはシステム開発業界でも増加傾向にありますが、現段階で目立った失敗事例は報告されていません。とはいえ、システム開発会社のM&Aは目的の種類が多く、将来的に多様な活用事例が発生する可能性が高いです。今後も事例を検討し、目的に沿って成功しているかどうか分析する作業が重要といえます。
特に検討しているM&Aと類似する事例があれば、重点的に分析して成功・失敗を判断すると良いでしょう。
システム開発会社のM&Aを成功させるポイント
システム開発会社のM&Aで買い手側となる場合、M&Aを行う目的を明確にしておくことが大切です。目的が不明瞭のままM&Aを進めると、自社の経営戦略にふさわしい売り手側を見つけられず、取引の費用ばかりがかさんで、結果的にM&Aの失敗につながります。
一方、システム開発会社のM&Aで売り手側となる場合、自社の強みの明確化やタイミングを逃さない姿勢が重要なポイントといえます。M&Aにおける買い手側は売却側企業の持つ強みに魅力を感じて取引を決めるため、強みをわかりやすくアピールできていない企業は買い手が見つかりにくいです。
その他にも、システム開発会社のM&Aを成功させるポイントには、以下のようなものが挙げられます。
- 収益性の予測値を明確に提示できるよう備えておく
- 事業に必要な資料・データ・会計などをまとめておく
- 従業員(特に優秀な人材)の離職を防ぐ
- システム開発業界の最新動向を常にチェックする
- M&A仲介会社にサポートを依頼する
システム開発会社のM&Aニュース
ここでは、2020年に行われたシステム開発会社のM&Aニュースとして、以下2つの事例を紹介します。
- サイバーセキュリティクラウドによるソフテックの買収
- インテグラルによる豆蔵ホールディングスの買収
上記2つの事例から、システム開発会社のM&Aの最新動向をつかむ足がかりとしましょう。それでは、各事例を順番に紹介します。
①サイバーセキュリティクラウドによるソフテックの買収
2020年12月、サイバーセキュリティクラウドは、ソフテックの株式すべてを取得し完全子会社化すると発表しました。株式取得価額は4億3,200万円です。
買収側のサイバーセキュリティクラウドは、独自開発のAI技術・世界有数のサイバー脅威インテリジェンスを活用した「サイバーセキュリティサービス」を開発・提供している企業です。売却側のソフテックは、ソフトウェア開発・製作・販売・保守事業を営んでいます。
本件M&Aの目的は、ノウハウ共有によるM&A当事会社双方の技術力強化にありました。ソフテックの子会社化により、ビッグデータの活用・販売チャネルの拡大も図れると判断して株式取得に至っています。
②インテグラルによる豆蔵ホールディングスの買収
2020年1月、インテグラルは、傘下企業を通じて、豆蔵ホールディングスに対してM&A(TOB・株式公開買い付け)を行うと発表しました。全株式を取得しており、買付代金は344億円です。
買収側のインテグラルは投資関連事業などを手掛けている会社です。元ユニゾンキャピタル代表でGCA創業者でもある佐山展生氏と同じくGCA創業者の山本礼二郎氏を中心に、独立系プライベート・エクイティ・ファンドとして設立されました。
売却側の豆蔵ホールディングスは、情報サービス事業と半導体事業を手掛ける企業を傘下に抱える持ち株会社です。2020年時点で10社の子会社で構成されており、情報サービス事業を主軸とする企業グループの中核的存在に位置づけられています。
本件M&Aの目的は、MBOによる株式非公開化にありました。豆蔵ホールディングスでは、先進的な技術が求められるIT業界において株価低下のリスクを回避しつつ中長期視点でデジタルトランスフォーメーションに向けた変革を行うため、インテグラルをMBOスポンサーとしてTOBを実施しています。
システム開発会社のM&A案件情報
最後に、Web上で実際に掲載されているシステム開発会社のM&A案件を2つ紹介します。それぞれの案件からM&Aの相場観などをつかみましょう。
①受託メインシステム・アプリ開発・Webマーケティング・Web制作会社
システム開発会社のM&A案件1つ目は、受託メインシステム・アプリ開発・Webマーケティング・Web制作会社の売却情報です。
売上高 | 1,000万円〜3,000万円 |
譲渡希望金額 | 3,000万円〜5,000万円 |
所在地 | 東京都 |
設立年月 | 10年未満 |
アピールポイント | ・システム開発だけでなく開発サービスのマーケティング面などで協力し顧客とともに成長してきた企業 ・サブスクリプション型の事業/飲食店集客型の事業/起業コンサル事業などもまとめて譲渡 |
②ERP・会計ソフト開発・販売事業を手掛けるIT現地法人(タイ)
システム開発会社のM&A案件2つ目は、ERP・会計ソフト開発・販売事業を手掛けるIT現地法人(タイ)の売却情報です。
売上高 | 1,000万円〜3,000万円 |
譲渡希望金額 | 3,000万円〜5,000万円 |
所在地 | アジア(タイ) |
設立年月 | 10年未満 |
アピールポイント | ・対象ソフトウェアはタイ王国知的財産省に登録済み ・タイ王国政府のBOI(投資奨励法)の承認済み企業 |
システム開発会社のM&Aのまとめ
本記事では、システム開発会社のM&Aに関して動向・相場・成功事例などを中心に解説しました。買い手側であるか売り手側であるかによってM&Aを選択する目的は大きく異なるため、メリット・デメリットを十分に判断したうえでM&Aを選択する必要があります。
M&Aは経営を左右する重要な決定事項であるため、専門家を活用しながら念入りに検討して実施しましょう。
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