2024年2月9日更新業種別M&A

スーパーマーケットのM&A・売却・買収の最新動向は?事例や相場も解説【2024年最新】

本記事では、スーパーマーケット業界におけるM&Aの最新動向や相場を分析しつつ、メリット・デメリット、ポイント・注意点などを事例を交えて解説します。スーパーマーケット業界はM&Aが盛んに行われています。スーパーマーケットのM&Aを検討している方は必見です。
 

目次
  1. スーパーマーケットのM&Aとは
  2. スーパーマーケット業界のM&Aの最新動向
  3. スーパーマーケットのM&A事例とニュース16選
  4. スーパーマーケットのM&Aの相場と費用
  5. スーパーマーケットをM&Aするメリットとデメリット
  6. スーパーマーケットのM&Aを成功させるポイントと注意点
  7. スーパーマーケットのM&Aのまとめ
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スーパーマーケットのM&A・事業承継

スーパーマーケットのM&Aとは

本記事では、スーパーマーケットのM&Aについて紹介します。まずは、スーパーマーケットおよびスーパーマーケット業界の基本事項を確認しましょう。

スーパーマーケットの定義

総務省の「日本標準産業分類(平成25年10月改定)」によると、スーパーマーケットは大分類で小売業にカテゴライズされています。衣・食・住にわたる各種商品を販売し、従業員が常時50人以上働いているケースが、百貨店(デパートメントストア)、または総合スーパーの分類です。

販売商品が衣・食・住の全てにわたらない場合や常時働いている従業員が50人未満の場合は、「その他の各種商品小売業」という位置づけですが、具体的には、ミニスーパー、専門スーパー、よろず屋などになります。

なお、百貨店と総合スーパーを区別する規定としては、経済産業省の「業態分類表」によると、「売場面積の50%以上についてセルフサービス方式を採用している事業所か否か」が分水嶺です。この区分は、ミニスーパーや専門スーパーなどの場合も、同様です。

ただし、ミニスーパー、専門スーパーの多くが食品スーパーである現実から、日本のスーパーマーケットとは、日常品全てを総合的に販売する総合スーパー(GMS=General merchandise store)と小中規模の食品スーパーの2つに大別できるといえます。

スーパーマーケットの市場環境

スーパーマーケット総売上高  前年比の推移

出典:http://www.super.or.jp/wp-content/uploads/2022/10/NSAJ-Supermarket-hakusho2022fix1.pdf

一般社団法人全国スーパーマーケット協会の資料「2022年版スーパーマーケット白書」によると、2021年の全店売上高(市場規模)は、約25.2兆円で、わずかに前年実績を下回りました(前年比:99.6%)。

しかし、日常品を取り扱うスーパーマーケットとしては、現在、少子化により人口減少が続く日本で避けられない現実です。また、外食自粛や巣ごもり需要による家庭内食品の需要を背景として、年間をとおして好調に推移しているといえます。

スーパーマーケット業界の特徴

スーパーマーケットは日常品を販売するため、同じ日常品を取り扱う他業種も競合相手です。特に、コンビニエンスストアとドラッグストアは、生鮮食品を除けば強力なライバルであることは明白でしょう。

コンビニエンスストアは販売店舗数や販売網の点で、スーパーマーケットを上回り、店舗面積で引けを取らないドラッグストアも数多くあります。地域によっては、ホームセンターなどもスーパーマーケットのライバルとなるケースもあり、大変な過当競争状態です。

そのため、同業者間で競い合うばかりでなく、スーパーマーケット各社が協調して業界を維持するために、複数の業界団体が設立・運営されています。代表的な業界団体は、以下の4つです。

  • 一般社団法人全国スーパーマーケット協会
  • 一般社団法人日本スーパーマーケット協会
  • オール日本スーパーマーケット協会(任意団体)
  • 日本チェーンストア協会(任意団体)

これらの団体は、加盟企業が重複している場合があったり、同一人物が役員を兼ねていたりするなど、第三者からは、それぞれのポジションがわかりづらく、業界内におけるせめぎ合いの結果が、分立した状態の一因かもしれません。

スーパーマーケット業界の構造

「2022年版スーパーマーケット白書」では、スーパーマーケットを規模によって8分類しています。下表は、その分類別で区分けした2021年のスーパーマーケット店舗数です。

種別 店舗数
総合スーパー 1,267
スーパーセンター 503
食品スーパーマーケット 12,682
小型食品スーパーマーケット 2,995
小型食品ディスカウンター 664
業務用食品スーパー 2,138
ミニスーパーマーケット 1,498
合計 22,762

(出典:一般社団法人全国スーパーマーケット協会 - 2022年版スーパーマーケット白書)

スーパーマーケット業界の課題と展望

多くの業界と同様に、スーパーマーケット業界も慢性的な人手不足です。ただし、2017年度税制改正における配偶者控除の見直しで、人手不足に悩むスーパーマーケット業界に労働力の拡がりが見込まれます。

また、スーパーマーケット業界は、セルフレジを取り入れたことによるレジ人員の削減や、ICタグによる在庫発注管理が行われています。そのため、店舗の人員削減が実現し、早朝深夜帯の営業が可能です。

物流面では、IoT投資により、総合スーパーなどの大型店を基に物流センターやプロセスセンターを地域の店舗ごとに最適化して、さらなる労働力の逓減を図っています。

ネットスーパーは、店舗へ行けないネットユーザーへの販売も実現しました。「アマゾンゴー」やアリババの「フーマ(盒馬 鮮生)」などは、カメラやセンサー技術の活用で無人化・ キャッシュレス化を行っています。

これらは、利便性や効率性を求めており、前もって買いたい商品がある場合は、ストレスフリーで買い物ができるのです。こういった新形態のスーパーは、消費行動を促しますが独自性が強いので、従来のスーパーと競合関係にはなりにくいでしょう。

今後のM&Aマーケットについては下記の記事で紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】新型コロナにより今後のM&Aマーケットはどうなる?業界再編が加速?

スーパーマーケット業界のM&Aの最新動向

スーパーマーケット業界ではM&Aが活発に行われています。以下で同業種企業とのM&Aと異業種企業とのM&Aの動向についてそれぞれ解説します。

同業種企業とのM&Aの動向

先述のとおり、スーパーマーケット業界の課題として、人口減少による市場規模縮小にどのように対峙するかが挙げられます。

課題解決のため、スーパーマーケット業界では早い段階から、イオンなどの大手企業によるM&Aが実施され、業界再編が積極的に行われてきました。M&Aの売り手側となる中小規模のスーパーマーケットも、大手の傘下になることで生き残りを図ったのです。

買い手・売り手のニーズが合致する状況は現在も進行中であり、今後もスーパーマーケット業界内では、大手企業が中小企業を買収して傘下に加えていくM&Aが継続され、さらに業界再編は進むでしょう。

異業種企業とのM&Aの動向

スーパーマーケット業界では、異業種企業とのM&A動向も見られています。

主な目的としては、事業エリアの拡大やノウハウの共有、複合化・協業による他店との差別化があります。コンビニエンスストアやドラッグストアなどの他業態との競争が激化しているなかで、異業種企業とのM&Aは有効な手法と言えるでしょう。

 

スーパーマーケットのM&A事例とニュース16選

ここでは、スーパーマーケットのM&A事例について見ていきましょう。一般に、M&Aといえば株式譲渡事業譲渡などをイメージしますが、資本の移動を伴う資本業務提携も広義のM&Aとされ、そういった事例も取り上げました。

  1. フジによるイオン・マックスバリュ西日本との経営統合
  2. 関西スーパーマーケットによるH2Oリテイリング・イズミヤ・阪急オアシスとの経営統合
  3. ヤオコーによるせんどうとの資本業務提携
  4. 丸の内キャピタルが三浦屋を買収
  5. PPIHがGRCY Holdingsを買収
  6. ハークスレイがフレッシュベーカリー関連事業を株式会社万代に譲渡
  7. アークスとオータニの経営統合が基本合意
  8. クスリのアオキホールディングスがフクヤを子会社化
  9. エコスが与野フードセンターを子会社化
  10. フジがニチエーを子会社化
  11. クスリのアオキホールディングスがナルックスを子会社化
  12. コノミヤがスーパーおくやまを子会社化
  13. ジャパンミートがタジマを子会社化
  14. バローホールディングスが三幸を子会社化
  15. イオンとフジの資本業務提携
  16. イオンとフジの資本業務提携

フジによるイオン・マックスバリュ西日本との経営統合

2022年3月、フジは、イオンとマックスバリュ西日本との経営統合を発表しました。フジは、四国・中国地域でショッピングセンターとスーパーマーケットを展開している企業です。

イオンは、総合スーパー・食品スーパー・ディスカウントストア・ドラッグストア・各種専門店などを日本およびASEAN地域で展開する企業グループの持株会社です。マックスバリュ西日本はイオンの子会社にあたります。

本件M&Aの目的は、2018年来の資本業務提携の深化および、共同仕入・PB商品共同開発・システム統合・サプライチェーン再構築・ネットビジネス共同開発などの推進、中国・四国エリアにおけるドミナントのさらなる強化にあります。

店舗ネットワーク

関西スーパーマーケットによるH2Oリテイリング・イズミヤ・阪急オアシスとの経営統合

2021年12月(株式交換)および2022年2月(吸収分割)のM&Aによって、関西スーパーマーケットは、H2Oリテイリング・イズミヤ・阪急オアシスとの経営統合を実施しました。

関西スーパーマーケットは、兵庫・大阪・奈良地域でスーパーマーケット「関西スーパー」をチェーン展開している企業です。

エイチ・ツー・オー リテイリングは、阪急阪神東宝グループで百貨店・スーパーマーケット・商業施設・専門店・コンビニエンスストア分野を統括する持株会社です。イズミヤと阪急オアシスは、イズミヤおよび阪急オアシスの完全子会社にあたります。

本件M&Aの目的は、2016年来の資本業務提携の推進、両グループの経営資源の最適化、意思決定の迅速化、シナジーの最大化などになります。

グループ事業・企業紹介

ヤオコーによるせんどうとの資本業務提携

2021年10月、ヤオコーはせんどうとの資本業務提携を発表しました。ヤオコーは、埼玉県を中心に関東各地で食品スーパーを展開している企業です。せんどうは、千葉県市原市を中心に、食品スーパー24店舗およびドラッグストア1店舗を展開しています。

本件M&Aの目的は、両社の協業によりさらなる成長の促進にあります。

株式会社せんどうとの資本・業務提携に関するお知らせ

丸の内キャピタルが三浦屋を買収

2021年6月、丸の内キャピタル第二号投資事業有限責任組合(丸の内キャピタルが管理・運営)は、三浦屋(いなげやが保有)の全株式を得て株式譲渡契約を結びました。

老舗の会社である三浦屋は、高質系スーパーマーケット事業や外販事業を行っています。これにより、丸の内キャピタルがファンド運営で培った経営改善の手法、知見やノウハウを生かして、従業員を中心に三浦屋の潜在力発揮とさらなる成長を狙います。

子会社の異動(株式譲渡)に関するお知らせ

PPIHがGRCY Holdingsを買収

2021年2月、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)は、米国でプレミアムスーパーマーケットチェーン「Gelson's」を手掛ける企業グループの持株会社であるGRCY Holdings, Inc.の株式 100%を得ることを決めました。

これにより、PPIHの海外売上高は年間2,000億円規模に増え、PPIHグループの新たな収益の柱になることを見込みます。

米国 GRCY Holdings, Inc.の株式取得に関するお知らせ

ハークスレイがフレッシュベーカリー関連事業を株式会社万代に譲渡

ハークスレイは、フレッシュベーカリー関連事業の事業性に関する再評価を実施して選択肢を検討し、主に近畿圏でスーパーマーケットを手掛ける万代へ、子会社のアルヘイムにおける全事業を譲渡することにしました。

これにより、ハークスレイは、財務の基盤安定を狙い、コロナウイルス収束後に成長が期待できる事業領域へ主に経営資源を投入して事業の選択と集中をすすめ、グループ全体の競争力を強める見込みです。

連結子会社(孫会社)の異動を伴う株式譲渡に関するお知らせ

アークスとオータニの経営統合が基本合意

2020年11月、アークスが完全親会社、オータニが完全子会社となる経営統合を行うことに対して、両社は基本合意書を締結しました。デューデリジェンスと条件交渉が進められ、2021年3月に経営統合(アークスによるオータニの完全子会社化)が行われる予定です。

アークスは、北海道・東北地方でスーパーマーケット事業を行う9社(合計343店舗)を傘下とする持株会社であり、オータニは栃木県を中心に31店舗のスーパーマーケット事業を行っています。

オータニは、アークスグループに加わることで商品調達力、店舗運営力、情報システムなどの経営インフラや展開力を強固にでき、業績の向上とともに地域経済へのさらなる貢献が可能になると判断しました。

一方、アークスは、グループとして初の北関東エリアへの進出がかない、事業エリア拡大が実現します。

株式会社アークスと株式会社オータニとの経営統合に関する 株式譲渡契約書締結に関するお知らせ

クスリのアオキホールディングスがフクヤを子会社化

2020年10月、ドラッグストアおよび調剤薬局の運営を行っているクスリのアオキホールディングスは、京都府で食品スーパー8店舗を展開しているフクヤの株式94.8%を取得し、子会社化しました。なお、譲渡価額は公表されていません。

クスリのアオキホールディングス子会社であるクスリのアオキは東北、北陸、関東、信越、東海、近畿の20府県で636店舗のドラッグストア(調剤薬局併設329店舗)、専門調剤薬局6店舗を運営していますが、食品も取り扱い、一部大型店では生鮮食品も販売しています。

クスリのアオキホールディングスは、これまで築いてきたドラッグストアの運営ノウハウと、フクヤが持つ食品スーパーの展開ノウハウを組み合わせることで新たなシナジー創出と京都北部地区でのドミナント強化を図る目的です。

株式会社フクヤの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

エコスが与野フードセンターを子会社化

2020年9月、関東地方で食品スーパーマーケット事業を行っているエコスは、埼玉県で食品スーパーマーケット15店舗を展開する与野フードセンターの全株式を取得し、完全子会社化しました。なお、譲渡価額は公表されていません。

エコスグループは、群馬県を除く関東地方と福島県の7都県で食品スーパーマーケットを展開しており、このM&Aで、特に埼玉県におけるシェア拡大とスケールメリット・シナジー効果による業績向上を図ります。

株式会社与野フードセンター

フジがニチエーを子会社化

2020年7月、四国・中国地方でスーパーマーケット事業をグループで展開しているフジは、広島県でスーパーマーケット11店舗を持つニチエーの全株式を取得し、完全子会社化しました。なお、譲渡価額は公表されていません。

また、この株式譲渡にあたっては、本来、スーパーマーケット事業を行っていたニチエーが、新たに設立した同名の会社であるニチエーに全ての事業を承継させる会社分割のスキームが用いられ、フジは、その新設会社の方のニチエーを買収したものです。

フジグループは、四国4県と岡山県・広島県で合計87店舗を運営しており、そこにニチエーが加わることで、広島県でのシェア拡大と業績向上を図ります。

株式会社ニチエーの会社分割による新設会社の 全株式取得(子会社化)に関する株式譲渡契約締結のお知らせ

クスリのアオキホールディングスがナルックスを子会社化

2020年6月、クスリのアオキホールディングスは、石川県金沢市で5店舗の食品スーパーマーケットを展開するナルックスの株式89.84%を取得し、子会社化しました。なお、譲渡価額は公表されていません。

北陸地方でも食品販売を含めたドラッグストア事業を展開するクスリのアオキホールディングスは、刺身類の品ぞろえに定評のあるナルックスがグループに加わることで、北陸地方でのドミナント強化と他のドラッグストアにない品ぞろえの実現が可能になります。

株式会社ナルックスの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

コノミヤがスーパーおくやまを子会社化

2020年5月、近畿圏でスーパーマーケット事業を展開するコノミヤは、奈良県で5店舗のスーパーマーケット事業を行っているスーパーおくやまの全株式を取得し、完全子会社化しました。なお、譲渡価額は公表されていません。

コノミヤがスーパーマーケット事業を展開してきた地域は、大阪府、京都府、兵庫県、岐阜県、愛知県であり、スーパーおくやまの子会社化により、グループとして初の奈良県への進出が実現しました。

また、両社における経営資源の相互活用、ノウハウの掛け合わせなどによるシナジー効果も得られるとしています。

株式会社スーパーおくやまの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

ジャパンミートがタジマを子会社化

2019年5月、関東圏を中心にスーパーマーケット事業や外食事業などを展開するジャパンミートは、埼玉県東部エリアを中心に地域密着型の「スーパーマーケットタジマ」を展開するタジマと株式譲渡契約を締結し、タジマの発行済み全株式を取得して完全子会社化しました。

これにより、ジャパンミートは、スーパーマーケット事業における埼玉エリアの店舗網拡充や事業基盤の拡大に成功しています。自社のノウハウ共有によりシナジーを創出し、両社の企業価値向上も狙います。

ジャパンミート/埼玉の食品スーパー「タジマ」の買収完了

バローホールディングスが三幸を子会社化

北陸・岐阜県・愛知県でスーパーマーケットやドラッグストア、ホームセンターを展開しているバローホールディングスは、2019年2月に、富山県でスーパーマーケットのサンコーを展開する三幸の株式81.6%を取得し連結子会社化しました。

サンコーは地域に密着した経営を行っており、地元の新鮮な魚介類や野菜、果物の販売力が強みです。

バローホールディングスは三幸を買収することで、富山県内でのシェアを向上させ、スーパーマーケット事業自体の収益をさらに向上させる見込みです。

三幸株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

イオンとフジの資本業務提携

2019年1月、イオンは四国・中国地方で96店舗のスーパーマーケットを展開しているフジと資本業務提携を行い筆頭株主となりました。そして、中国・四国エリアでトップシェアの獲得を目指しています。

従来、イオンは地方のスーパーマーケットを積極的に買収・提携しつつ、地域密着型の経営を実践することでシェアを広げてきました。買収・提携したスーパーマーケットのノウハウを取り込みながら新商品の共同開発を行うことで、商品力の向上も実現しています。

株式会社フジとイオン株式会社の資本業務提携のお知らせ

ドン・キホーテホールディングスがユニーを子会社化

ディスカウントストアで全国的な著名度を持つドン・キホーテホールディングスは、2019年1月、アピタやピアゴといったスーパーマーケットを展開するユニーを完全子会社化しています。

ドン・キホーテホールディングスは、2017年からユニーと業務提携を行ってスーパーマーケット業界へ進出していましたが、その際にお互いのノウハウを組み合わせて「MEGAドン・キホーテUNY」といった新事業を実施し、成功させてきました。

その点で、ドン・キホーテホールディングスは異業種がスーパーマーケット業界に進出して成功した典型例といえます。ドン・キホーテホールディングスはこのM&Aにより、さらなる連携強化や商流の効率化などを実践させる見込みです。

ユニー株式会社の株式取得(子会社等の異動)及び ユニー・ファミリーマートホールディングス株式会社の完全子会社による 当社株式に対する公開買付けの開始予定に関する意見表明のお知らせ

スーパーマーケットのM&Aの相場と費用

スーパーマーケットのM&A・事業承継
スーパーマーケットのM&A・事業承継

スーパーマーケットは、スケールメリットを享受しやすい事業であることから、店舗数を拡大することが前提にあるものです。したがって、スーパーマーケットのM&Aでは、全ての店舗を買い取るため、費用が大きくなりやすい傾向があります。

スーパーマーケットのM&A相場を実例から調べたいところですが、日本のM&Aは取引価額を公表しないことが多く、具体的な数字を知ることは難しいのが実情です。

しかし、地方で数店舗しか展開していないスーパーマーケットでも、純資産価値が数億円以上に達することは珍しくなく、小規模のM&Aでも費用は総じて10億円近くかかることも多いでしょう。

大手のスーパーマーケットとなれば、取引価額が数百億円に達することも珍しくありません。海外のスーパーマーケットであれば、規模によっては取引価格が数兆円に上ることもあります。

スーパーマーケットをM&Aするメリットとデメリット

スーパーマーケットをM&Aする場合、現実には、どのようなメリット・デメリットがあるのか確認しましょう。譲受企業(買収側企業)、譲渡企業(売却側企業)に分けて、それぞれのメリット・デメリットを掲示します。

譲受(買収側)企業のメリット

スーパーマーケットを買収する場合のメリットは、以下が代表的です。

  • 未展開エリアの店舗を買収できれば、楽に新規進出が実現する
  • スケールメリットにより、仕入れ価格を下げられるなどのコスト削減効果が得られる
  • 同一エリアにおける店舗獲得の場合、該当地区のシェア拡大となる
  • 店舗数の増大=販売チャネルの増加となり、プライベートブランド商品の開発・販売など商機を拡大できる

譲受(買収側)企業のデメリット

一方で、スーパーマーケットを買収する場合は、以下のデメリットが発生する可能性があります。

  • 株式譲渡で買収を実施した場合、簿外債務や偶発債務が隠されている可能性があり、それが発覚すると業績に悪影響をおよぼす
  • 同業種であっても詳細な点で業務プロセスは各社ごとに違うため、統合プロセスがうまく進まない可能性があり、その間は業績が上がらない
  • スーパーマーケットは一定の規模で経営がなされているため、それを買収するには多額の資金が必要となる

譲渡(売却側)企業のメリット

それでは、スーパーマーケットをM&Aで売却する側は、どのようなメリットが享受できるのでしょうか。主なメリットは、以下です。

  • 大手の傘下になることで、仕入れ価格低下などコスト削減が得られ利幅が改善する
  • 大手の業務手法を取り入れることで売上増が見込める
  • 労務管理、人材教育など不十分だった点の改善が見込め、その結果、生産性アップにつながる
  • 後継者難、事業承継問題の解決
  • 廃業回避による従業員の雇用継続
  • 売却益を得られる
  • 融資を受けるための担保提供、個人保証から解放される

譲渡(売却側)企業のデメリット

スーパーマーケットを売却する場合にも、以下のデメリットがあるため気をつけましょう。

  • 事業譲渡による売却では競業避止義務が生じる(原則、20年間、スーパーマーケット事業を同一地区およびその隣接地区で行えない)
  • 希望どおりの条件で売却できない可能性
  • 売却相手が見つからないケースもある

スーパーマーケットのM&Aを成功させるポイントと注意点

スーパーマーケットのM&Aにおいて、特に売却側の観点で、M&Aを成功させるポイントと注意点を掲示します。

スーパーマーケットのM&Aを成功させるポイント

特に重視したいポイントを2点、掲示します。

M&Aを実施する時期

スーパーマーケットに限らず全ての業種における中小企業にいえますが、M&Aで自社を売却するのであれば、業績が黒字を維持しているタイミングで決行するべきです。

業績が悪くなってから慌ててM&Aで売却しようとしても、買い手の言い値で金額をたたかれてしまうか、場合によっては成約できないことも考えられます。

自社の状況を冷静になって客観的に分析し、近い将来、経営の行き詰まりや業績低下の可能性があれば、そうなる前の黒字経営における段階でM&A実施に踏み切りましょう。希望条件を満たした有利な内容でM&Aを成約できる可能性が高くなります。

店づくりの工夫

M&Aに限定した話ではありませんが、ほかのスーパーマーケットと比べたときに強みとなる特徴を持つ経営を常日頃から行いましょう。それが顧客から指示される内容であれば、M&Aの買い手候補から見ても魅力的であり、よりよい条件での売却につながります。

例を挙げると、品ぞろえの豊富さや総菜メニューの多さ、他のスーパーマーケットが行っていないこと、他のスーパーマーケットには決して劣らない何かを自店に持たせることです。

スーパーマーケットのM&Aを実施する際の注意点

スーパーマーケットを売却する立場で、注意しなければならない2点を見ていきましょう。

正しい決算書にする

中小企業では悪意はなくても、決算書を税理士任せにして曖昧な処理がなされている場合があります。M&Aの最終局面では、デューデリジェンス(企業の監査)が厳密に行われるので、曖昧な決算処理は粉飾決算の疑いなどを受けるかもしれません。

そうなると、M&Aが破談になる危険性があります。決算書はあくまでも公明正大に作成し、他者が見て不審に思う点は除外しましょう。

売却条件の決め方

M&Aでは、売り手側と同様に買い手側にも希望や事情があります。ある意味では利害が反する立場ですから、M&A交渉において、こちらの全条件をとおそうとするのは無理でしょう。この場合、心がけたいのは、売却条件に優先順位を設けることになります。

交渉のテクニックとして、こちらが譲歩する姿勢を見せることで相手の譲歩を引き出すことが可能です。そのためにも、頭の中できちんと優先順位をつけておけば、交渉もスムーズにできるでしょう。

小売業界のM&Aの現状については下記の記事で紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】小売業界のM&A事例35選を紹介!最新動向や成功のコツも徹底解説【2023年最新版】

M&Aの成功確率を高める方法

M&Aを成功させるうえで、もう1つ欠かせない要素がM&A専門家のサポートを受けることです。各プロセスで専門的な知識が要求されるM&Aを、自社だけで進めるのはとても難しいでしょう。そこで、M&A仲介会社など、M&Aの専門家を起用するのです。

M&A総合研究所は、中小・中堅規模のM&A案件を主に取り扱っており、知識・支援実績の豊富なアドバイザーが、ご相談からクロージングまで丁寧に案件をサポートいたします。

M&A総合研究所の料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります。)

無料相談を随時お受けしておりますので、M&Aをご検討の際はお電話・Webより、どうぞお気軽にお問い合わせください。

スーパーマーケットのM&A・事業承継ならM&A総合研究所

スーパーマーケットのM&Aのまとめ

異業種の進出などによって、スーパーマーケット業界の競争は激化しており、その中で生き残りを図るにはM&Aが必要不可欠といえます。スーパーマーケットはスケールメリットを享受しやすい事業であるため、M&Aと相性がよいのも、その理由の1つです。

今後も業界再編を含め、スーパーマーケット業界でのM&Aは積極的に行われるでしょう。スーパーマーケットのM&Aを実現させるためには、M&A専門家のサポートを受けることをおすすめします。

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鉱業業界ではM&Aが活発化しています。資源需要増大や規制緩和が背景にあり、大手鉱業企業は新興市場や環境配慮型鉱業への投資を進めているのが鉱業業界の現状です。鉱業のリスク管理はM&...

木材業界のM&A動向!売却・買収事例5選と成功のポイントを解説!【2023年最新】

木材業界のM&A動向!売却・買収事例5選と成功のポイントを解説!【2023年最新】

この記事では、木材業界のM&A動向について説明します。木材業界では、専門技術の獲得、コスト効率の向上のためにM&Aが活用されています。木材業界におけるM&A・売却・買収事...

漁業業界の動向とM&Aのメリット!売却・買収事例や流れと注意点も解説!

漁業業界の動向とM&Aのメリット!売却・買収事例や流れと注意点も解説!

魚介類などの海洋資源は私達の生活に欠かせないものですが、漁業業界は厳しい市場環境が続いています。そのような中で、事業継続のためのM&Aを模索する動きも出てきています。この記事では、漁業業...

農業業界の動向とM&Aのメリット!売却・買収事例や流れと注意点も解説!

農業業界の動向とM&Aのメリット!売却・買収事例や流れと注意点も解説!

農業業界では担い手の高齢化と後継者不足による廃業危機に加えて、新型コロナをきっかけとした出荷額の低迷で経営状態が不安定化し、M&Aを検討せざるを得ないところが増えています。この記事では、...

海運業界の動向とM&Aのメリット!売却・買収事例や流れと注意点も解説!

海運業界の動向とM&Aのメリット!売却・買収事例や流れと注意点も解説!

この記事では、海運業界の動向を説明したうえで、海運業界でM&Aを行うメリットを解説していきます。近年のM&A・売却・買収事例も紹介して、M&A動向についても紹介していきま...

老人ホームの事業承継の流れや成功のポイントは?メリットや相談先も解説!

老人ホームの事業承継の流れや成功のポイントは?メリットや相談先も解説!

近年は老人ホームをはじめとした介護福祉業界においても、後継者不在による廃業・倒産を防ぐため事例の事業承継が盛んに行われているのが現状です。本記事では老人ホームの事業承継の流れや成功のポイントを紹...

食品業界における事業承継の動向や事例を徹底解説!手続き方法や注意点は?

食品業界における事業承継の動向や事例を徹底解説!手続き方法や注意点は?

近年は後継者不足や原材料価格の高騰、老朽化などの問題を解消して事業を継続するために、積極的に事業承継を手掛ける動向の企業が増加しています。 本記事では食品業界における事業承継の動向や事例を...

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