M&Aとは?手法ごとの特徴、目的・メリット、手続きの方法・流れも解説【図解】
2022年6月6日更新業種別M&A
デイサービスのM&A・売却・買収事例とは?業界動向、流れ、費用の相場も解説
超高齢社会を迎え、ますます需要が高まる介護事業のひとつに、デイサービスが挙げられます。デイサービス事業でも他業種同様にM&Aが積極的に行われているため、この記事ではデイサービス法人のM&A動向、相場、メリット・デメリットなどを解説します。
目次
デイサービスのM&Aとは?
介護事業の1つであるデイサービスのM&Aを分析するにあたって、まずはデイサービスの概要を確認しておきましょう。
デイサービスとは
デイサービスは、別称で通所介護とも呼ばれています。文字どおり、介護施設に通ってサービスを受けることですが、より端的にいうならば、介護施設に入所せずに日帰りで通って受けるサービスをさします。
サービスの内容は各個人によって異なりますが、代表例としては、食事や入浴など日常生活の行動に関する介護、各種レクリエーション、機能訓練やリハビリテーションなどが挙げられます。
デイサービスの特徴と業界の主要企業
デイサービスを受けるためには、「要介護1~要介護5」の認定が必須です。また、一見、デイサービスと内容は変わらないものの、「要支援1および要支援2」に認定されている高齢者の場合は「介護予防通所介護」のサービスに区別されています。
日本の介護保険制度の場合、用語や認定基準などが細かく定められているため、わかりにくい点もあります。以下に、デイサービスを提供している主要16社を掲示します(順不同)。
- イー・ライフグループ
- インターネットインフィニティー
- ウェルネスフロンティア
- 介護 NEXT
- ヒューマンリンク
- ファーストステージ
- ベストケア
- ベストリハ
- ほっとステーション
- ポシブル医科学
- ポラリス
- ミストラルサービス
- ヤマチコーポレーション
- リハコンテンツ
- リハステージ
- 早稲田エルダリーヘルス事業団
デイサービス業界の市場環境
厚生労働省の資料「令和元年度介護保険事業状況報告」によると、2019年度における介護事業全体の市場規模は、10兆4,567億円でした。
デイサービスは、居宅介護サービスと地域密着型介護サービスの両方に含まれており、デイサービスのみに限定した市場規模は明らかにされていません。
とはいえ、今後、高齢者人口は増え続ける見込みであることから、介護事業の市場規模もそれに比例してますます肥大化すると予測されています。
ただし、介護費用の大部分は介護保険制度により賄われているため、国としては介護市場の肥大化をただ静観していることはできません。
このような背景から、過去の介護報酬改定(毎年ではなく不定期)では、報酬額がたびたび引き下げられました。
なお、介護報酬改定は社会情勢・景気動向なども加味し、引き上げられることもあります。
要介護高齢者の増加
日本の高齢化は急激な速度で進行しており、同時に介護保険の対象となる要介護(要支援)の高齢者数も増加の一途を辿っている状況です。
要介護者数は、介護保険制度が開始された2000年は218万人でしたが、2016年には約3倍の630万人にまで増加しました。
2025年には800万人超ともいわれる団塊世代が後期高齢者となるため、要介護(要支援)の人数がますます増加すると見込まれています。
介護給付費の急上昇
要介護高齢者数の増加に伴い介護給付費の膨張が続いており、2000年には3.6兆円だったものが2016年には9.6兆円まで増加しました。さらに、2025年には21兆円にまで膨れ上がると見込まれています。
こうした状況下で、年金・医療を含めた社会保障制度の持続可能性が問題視されており、国の厳しい財政事情も相まって、介護給付費の抑制が喫緊の課題とされている状況です。
デイサービス業界の今後の課題
介護事業市場の今後の拡大を見込んで、現在の事業規模を拡大したり、新規参入したりする法人が増え続けています。その結果として生じた課題が、事業所数増加による競争激化と人材不足です。また、介護事業者の倒産数が激増する事態にも発展しています。
下表は、帝国データバンクが2019(平成31)年2月に発表した「老人福祉事業者の倒産動向調査」からの抜粋データです。見てわかるとおり、2016(平成28)年以降、介護事業者の倒産件数が跳ね上がり、高水準の状況です。
年 | 倒産件数 |
---|---|
2014 | 45 |
2015 | 58 |
2016 | 91 |
2017 | 88 |
2018 | 83 |
上記の表より、今後も小規模の介護事業者の経営は厳しい状態が続き、場合によっては倒産危機を迎えるケースがさらに増大するおそれがあります。
こうした事態を受け、中規模や大手企業を中心にM&Aを活用して倒産危機を逃れ、生き残りを図る動きに拍車がかかる見込みです。
社会福祉法人のM&A手法
デイサービス事業の売買方法は、企業の業態によって異なります。デイサービスを行っている法人が通常の株式会社であれば、M&Aの手法は他の株式会社と基本的に変わりません。
ただし、デイサービスを行っている施設が社会福祉法人である場合は、注意が必要です。社会福祉法人は株式会社ではないため、M&Aの手法が通常とは異なります。
社会福祉法人の経営権の獲得方法
株式会社が行う一般的なM&Aの手法は、株式譲渡による株式の取得(および、これに伴う経営権の獲得)が代表的ですが、社会福祉法人は株式を持たないため、経営する理事長や理事会のメンバーを3分の2以上入れ替えることで経営権を獲得します。そのため、株式の取得プロセスがなく、また対価を必要としません。
社会福祉法人の事業譲渡
社会福祉法人のM&A手法には事業譲渡や合併もあり、これらの手法ではプロセスが異なります。事業譲渡は事業を売買する手法であるため、現金の対価が必要です。
また、事業譲渡に伴う資産や従業員との労働契約などの引継ぎを行う際にさまざまな手続きが必要となるため、煩雑なプロセスになりやすいです。
社会福祉法人の合併
合併は複数の社会福祉法人を1つに統合する手法ですが、所轄官庁が関与する中で行わなければならないなど、法的な拘束が非常に強いです。仮に定められた手続きを違反するようなことがあれば、合併自体が無効化されてしまうおそれがあるため、実行には細心の注意が必要です。
このように、M&Aには専門的な知識が欠かせませんが、デイサービスを有する社会福祉法人のM&Aの場合は通常のM&Aと異なる部分が多いため、社会福祉法人のM&Aの経験があるか、あるいは社会福祉法人のM&Aに特化した専門家の協力を得ることが重要です。
M&A総合研究所であれば、経験豊富なM&Aアドバイザーが在籍しており、M&Aを専任フルサポートいたします。
料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ、譲受企業様は中間金がかかります)。
随時、無料相談を受けつけておりますので、デイサービス事業のM&Aをお考えの際には、お気軽にお問い合わせください。
デイサービスのM&Aの現状と動向
ここでは、介護サービスの1つであるデイサービス事業に関して、実際、現実にはどのようなM&A動向が見られるのか確認します。
デイサービスのM&A増加の背景
デイサービスをはじめとした介護事業は、高齢化する現代社会において非常に高いニーズを得ています。特に要介護高齢者の増加が、デイサービスを含めた介護事業市場を拡大させている状況です。
デイサービスは要介護1~要介護5の要介護高齢者のみが利用できるサービスですが、要介護高齢者も増加の一途を辿っています。したがって、異業種が介護事業に参入するケースが目立ってきており、それに伴いデイサービスをはじめとした社会福祉法人のM&Aが増加しています。
ゼロからの立ち上げに伴う負担の低減
デイサービスなどの介護事業は一定の利用者数を確保すれば安定的に収益を上げられますが、介護士や設備の確保・所轄官庁からの許認可などが必要とされるため、ゼロから立ち上げることは容易ではありません。
しかし、M&Aで既存の事業所や社会福祉法人を買収すれば、これらのプロセスを省けるため、負担を大きく減らせます。このメリットは社会福祉法人でも得られるもので、事業の拡大を図る際に他の社会福祉法人を買収することで介護士や設備を確保することが可能です。
介護報酬の改定に伴う利益低下
介護事業でM&Aが増加している背景には、介護事業が抱えている問題も関係しています。まず、介護報酬がマイナス改定された場合、社会福祉法人が得られる利益は低下する点に問題があります。
そもそも介護事業は小規模の事業所が多く、こうした事業所では経営が不安定だったり、後継者が不在で存続が難しくなっていたりなど、さまざまな問題を抱えています。
しかし、デイサービスをはじめとした介護事業は公共性が高い事業であり、利用者や地域への影響を考えると廃業することが難しい事業です。とはいえ、介護報酬のマイナス改定があると経営者が事業を手離さざるを得ない状況に陥るケースもあり、M&A増加の要因になっています。
このように、デイサービスをはじめとする介護事業のM&Aの増加は、介護業界へのニーズに加え、買い手と売り手の立場、それぞれの意図がかみ合っているために発生しています。
デイサービスのM&Aの流れ
デイサービスを対象とするM&A(売却)を行う際の大まかな流れは、以下のとおりです。
- 専門家への相談
- 自社情報の整理
- 相手先企業への打診
- トップ面談・基本合意
- デューデリジェンス
- 最終合意契約書の締結
- 関係者への説明
まずは専門家へ相談することから始めるケースが一般的です。M&Aは専門家からサポートを受けることで、成功確率を高められます。
M&Aに関する専門家の種類はさまざま挙げられますが、デイサービスを対象とするM&Aの実績や会社の規模などから信頼できる専門家を選ぶとよいでしょう。
次に、自社の情報(資産・負債など)を整理して希望する条件を決め、相手先企業に提示する資料を作成します。
交渉したい候補先が決まったら専門家を介して打診をし、交渉フェーズへと移ります。初めに売却側と買収側の経営者がトップ面談を行って基本的な方向性を確認し、その後具体的な交渉を進めて大筋合意した段階で基本合意契約書を締結します。
その後、売却側の価値・リスクを調査・評価する「デューデリジェンス(買収監査)」が行われ、これをもとに当事会社間で売買条件の最終調整を行い、合意する流れです。
最後に、デイサービス事業の関係者(従業員・利用者とその家族・関係機関・取引先など)に対して、説明を行います。
上記のとおり、M&Aを済ませるには、専門的に高度かつ、さまざまなプロセスを経なければなりません。プロセスをスムーズに進めて成功を目指すためにも、M&A仲介会社などの専門家にサポートを依頼することが望ましいでしょう。
デイサービスのM&Aの相場と費用
株式会社がデイサービス事業を営んでいる場合、採用する手法および取引対象の内容、そして売り手となる株式会社の規模それ自体によって取引価額が変動します。
基本的に、デイサービスのM&Aでは、純資産価値にのれん代を追加した形で価額が算定されます。デイサービスは事業の性質上、規模が大きくなり、設備もある程度そろえる必要が出てくるため、M&Aを行う際の費用が一定額以上になる点は認識しておきましょう。
また、買収するデイサービスが社会福祉法人の場合は、理事長と理事会のメンバーの入れ替えのみで経営権を獲得できるため、対価は不要です。強いて挙げるならば、退職する理事長や理事会のメンバーへの退職金が対価として必要です。
しかし、社会福祉法人のデイサービス事業を事業譲渡で買収する場合は、株式会社の事業譲渡と同様の費用が発生します。また、社会福祉法人と合併を行う場合、経営権の獲得自体に費用は発生しません。
ただし、合併は買収よりも多くの手間がかかるため、プロセスを完了させる過程でコストが発生します。場合によっては、事業譲渡よりも多くの手間がかかるケースもあります。
デイサービスをM&Aするメリット・デメリット
デイサービス事業を対象とするM&Aの場合、実際にどのようなメリット・デメリットがあるのか、譲受企業(買収側企業)、譲渡企業(売却側企業)に分けて取り上げます。
譲受(買収側)企業のメリット
デイサービス事業を買収する場合のメリットには、以下のようなものが挙げられます。
- 新たな地域への事業進出が容易にできる
- 同業者の場合、スケールメリットを得られる
- 同業者の場合、シナジー効果による業績拡大も期待できる
- 自社とは違った設備の入手ができる
- 各種資格保持者などの人材をまとめて確保できる
- 異業種からの新規参入が容易にできる
譲受(買収側)企業のデメリット
デイサービス事業を買収する場合には、主に以下のようなデメリットに注意しましょう。
- 事業譲渡で買収する場合には多額の資金が必要になる
- 経営統合プロセスがうまくいかなかった場合に、反発した人材が流出しかねない
- 希望に合ったデイサービス事業を行っている法人が見つからないとM&Aができない
譲渡(売却側)企業のメリット
一方、デイサービス事業を売却する側には、主に以下のようなメリットがあると考えられます。
- 後継者難だった場合、事業承継問題が解決する
- 廃業回避によって従業員の雇用が継続でき、利用者にも迷惑をかけない
- 売却益を得られる
- 個人保証や担保供与から解放される
- 人手不足環境から脱皮できる
- 大手の傘下になれば財務的に余裕のある経営ができるようになる
譲渡(売却側)企業のデメリット
デイサービス事業を売却する側にも、主に以下のようなデメリットが存在します。
- 事業譲渡の場合、競業避止義務が生じ、20年間、売却した事業と同じ事業を同一区市町村およびその隣接区市町村で行えなくなる
- 希望どおりの条件で売却が成立するとは限らない
- 売却後も会社に残る場合、売却前のような経営の権限はなくなる
- 売却後すぐにリタイアしたくても、経営統合プロセスへの協力が義務づけられた場合、一定期間、会社に残らなければならない
- 希望が合致する買い手が見つからなければM&Aは成立しない
デイサービスのM&Aの事例・ニュース10選
デイサービス事業関連のM&A事例の中から10件ピックアップし掲示します。参考例としてご覧ください。
- ユニマット リタイアメント・コミュニティがアメニティーライフを子会社化
- 広域社会福祉会がケアサービスに事業譲渡
- ソラストが日本エルダリーケアサービスを子会社化
- パナソニック エイジフリーがユニマット リタイアメント・コミュニティに事業譲渡
- アサヒサンクリーンがツクイに事業譲渡
- ソラストが恵の会を子会社化
- クレアバーグがケアサービスに事業譲渡
- ケアサービスがひだまりを子会社化
- 幸和製作所がパムックとあっぷるを子会社化
- ツクイがヒューマンライフ・マネジメントの株式取得
①ユニマット リタイアメント・コミュニティがアメニティーライフを子会社化
2020(令和2)年10月、ユニマット リタイアメント・コミュニティが、三井住友建設の子会社アメニティーライフの株式を取得する契約を締結しました。全株式を取得し完全子会社化する契約で、株式譲渡の実行予定日は2021(令和3)年2月です。
ユニマット リタイアメント・コミュニティは飲食事業とともに介護事業も行っている会社です。一方、アメニティーライフは、介護付き有料老人ホーム「アメニティーライフ八王子」(東京都八王子市)の運営事業を行っています。
ユニマット リタイアメント・コミュニティとしては、同地域で行っている既存の介護事業とのシナジー効果をもくろみ、このM&Aを実施しました。
②広域社会福祉会がケアサービスに事業譲渡
2020年11月、広域社会福祉会は、これまで行ってきた訪問介護事業をケアサービスに事業譲渡しました。譲渡価額は、500万円です。
東京都大田区にある広域社会福祉会は、同地区で2事業所を持ち、デイサービスその他の介護事業を行ってきました。一方、ケアサービスは、居宅介護支援・デイサービスなどの訪問介護事業、福祉用具貸与・販売、シニア向け施設紹介、クリーンサービス、エンゼルケア(湯かん・メイク)を行っている会社です。
ケアサービスとしては、広域社会福祉会の訪問介護事業を譲受することで、同エリアのシェア拡大やシナジー効果が得られると判断しました。
③ソラストが日本エルダリーケアサービスを子会社化
2020年10月、ソラストが、日本エルダリーケアサービスの全株式を取得し、完全子会社化しました。株式の取得価額は23億円です。
ソラストは、医療事務受託事業、保育事業、介護事業などを行っています。一方、日本エルダリーケアサービスは、首都圏を中心に122事業所で訪問介護・居宅介護支援・デイサービスを運営している会社です。
ソラストとしては、日本エルダリーケアサービスが子会社に加わり、グループ全体で600事業所を超えました。まさにスケールメリットを得られ、事業の強化・拡大が図れるものとしてM&Aを実施しました。
④パナソニック エイジフリーがユニマット リタイアメント・コミュニティに事業譲渡
2020年5月と6月、パナソニック エイジフリーが、介護サービス施設のうちの7施設について、ユニマット リタイアメント・コミュニティに事業譲渡しました。いずれの施設でもデイサービスが行われています。事業譲渡された施設の所在地は、山口県・鳥取県・香川県・徳島県・愛媛県・千葉県・埼玉県です。
ユニマット リタイアメント・コミュニティとしては、「そよ風」のブランド名で全国展開している高齢者介護事業を強化する目的で事業譲受しています。各施設は、譲渡と同時に「そよ風」が付いた施設名に変更されました。
⑤アサヒサンクリーンがツクイに事業譲渡
2020年4月、アサヒサンクリーンは、訪問介護事業をツクイに事業譲渡しました。譲渡価額は公表されていません。アサヒサンクリーンは、静岡県で訪問介護・デイサービス・ショートステイ・グループホーム事業を行ってきました。
1983(昭和58)年から介護事業を行ってきたツクイは、全国で各種介護事業を展開しています。この事業譲渡により、アサヒサンクリーンが持つ静岡県内の10カ所の事業所を譲受し、同エリアにける事業拡大を果たすと発表しています。
⑥ソラストが恵の会を子会社化
2020年3月、ソラストが、2社の「恵の会」の全株式をそれぞれ取得し、両社とも完全子会社化しました。2社の恵みの会とは、「株式会社恵みの会」と「有限会社恵みの会」の2社であり、同じ代表者および同じ株主の会社です。取得価額は、2社分の合計で33億7,300万円でした。
恵みの会は2社とも大分県大分市に所在し、同エリアでデイサービスその他の介護事業を26カ所の事業所で行っています。介護事業を全国展開しているソラストにとって、大分県は未進出のエリアでした。このM&Aによって、大分県への進出が実現しています。
⑦クレアバーグがケアサービスに事業譲渡
2020年2月、クレアバーグが、訪問看護事業をケアサービスに事業譲渡しました。なお、譲渡価額は公表されていません。
クレアバーグは、東京都の江戸川区と墨田区にそれぞれ事業所を1カ所ずつ設け、デイサービスなどの訪問看護事業を行ってきました。一方、ケアサービスは、東京23区を中心としたデイサービスなどの介護事業を行う会社です。
ケアサービスとしては、介護事業と訪問看護事業の親和性が高いという判断のもと、東京23区内の事業基盤強化につながると判断し、事業を譲受しています。
⑧ケアサービスがひだまりを子会社化
2019(令和元)年7月、東京都内で在宅ケアサービスを展開するケアサービスは、東京都江東区で居宅介護支援事業と訪問介護事業を展開するひだまりの全株式を取得し、完全子会社化しました。なお、取得価額は公表されていません。
ケアサービスは、在宅介護事業にて東京23区を中心としたドミナント戦略を展開しています。本件M&Aにより、ひだまりと近隣の自社デイサービスとの相互活性化を図るとともに、江東区とその隣接地域における深耕拡大の足掛かりとして、在宅介護事業の強化をもくろんでいます。
⑨幸和製作所がパムックとあっぷるを子会社化
介護用品や福祉用具の製造や販売を行っている幸和製作所は、2019年3月にデイサービス事業や福祉用具のレンタル・販売を行っているパムックとあっぷるを買収し子会社化しました。取得価額は、パムックが5,900万円、あっぷるが0円です。
これにより、幸和製作所はデイサービス事業への進出を円滑に達成しただけでなく、パムックとあっぷるそれぞれのノウハウを取り入れることで、より良い介護用品や福祉用具の開発が可能となりました。
さらに、テリトリーが近い両社を買収することで、効率的な経営の実現にも成功しており、合理的な事業の拡大を図っています。
⑩ツクイがヒューマンライフ・マネジメントの株式取得
2018(平成30)年8月、ツクイは、デイサービスを含めた介護事業や人材派遣などを行っているヒューマンライフ・マネジメントの22.9%の株式取得を行い、提携を強化しました。
ツクイは、デイサービスや人材派遣のみならず、介護用品のインターネット通販、福祉車両や福祉機器のリースなどといった幅広いサービスを行っています。
そこで、在宅医療支援や訪問介護を行っているヒューマンライフ・マネジメントとの連携を強化することで、サービスのさらなる拡大と医療機関との連携を実現し、デイサービス事業のさらなる発展につなげたのです。
本件は、デイサービス事業を行っている会社が、事業の拡大・発展のために他の事業を取り込んだ好例です。デイサービス事業は他の介護事業や医療事業と連携できるものであり、ツクイの取り組みは介護事業のさらなる発展を目指すうえで参考となります。
デイサービス業界のM&Aまとめ
デイサービスをはじめとした介護事業は、市場拡大が確実であるものの、さまざまな要因により倒産件数が増加している業界です。そのような環境下で事業を継続するうえで、経営戦略の1つとしてM&Aが有効的な手段となります。
M&Aを成功させるためには、介護業界に関する知見を十分に備えたM&A仲介会社などの専門家からサポートを受けることをおすすめします。
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