2022年6月6日更新業種別M&A

ビルメンテナンス会社のM&A動向!事例も徹底紹介

昨今、M&Aが活況を呈しており、この傾向はビルメンテナンス業界でも同様です。今回は、ビルメンテナンス業界の現状やM&A動向を分析し、M&Aのメリット・デメリット、M&Aを成功させるポイント、M&A事例を紹介します。

目次
  1. ビルメンテナンス会社の概要
  2. ビルメンテナンス会社のM&A動向
  3. ビルメンテナンス会社をM&Aするメリット・デメリット
  4. ビルメンテナンス会社のM&Aを成功させるポイント
  5. ビルメンテナンス会社のM&Aの事例・ニュース12選
  6. ビルメンテナンス業界のM&Aまとめ
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ビルメンテのM&A・事業承継

ビルメンテナンス会社の概要

ビルメンテナンス会社の概要

ビルメンテナンス会社は、同業者同士のM&Aだけでなく、異業種が行うM&Aでも買い手からの人気も高い業種のひとつです。まず本章では、ビルメンテナンス会社・業界の実情を解説します。

ビルメンテナンス会社の定義

ビルメンテナンス会社の主な業務内容は、ビルの清掃および保守・機器の運転などです。つまり、ビルメンテナンス会社とは、ビルの管理に関する業務を全般的に引き受けるサービスを提供する会社をさします。

ひとことにビルといっても、オフィスビルだけでなく、商業施設・病院・学校・寮・大型タワーマンションなど、ビルの種類はさまざまです。ビルメンテナンス会社は、これらのビルのオーナー・所有者・管理会社などから依頼を受けて業務を行います。

ビルメンテナンス業界の特徴

ビルメンテナンス会社の業務内容を、詳細に解説します。ビルメンテナンス会社の業務を大別すると、7種類に分けられ、その主な内容は以下のとおりです。

  • 清掃管理:ビル内部・外部各所の清掃
  • 衛生管理:空調・給排水設備の清掃、害虫駆除、ゴミの処理
  • 設備管理:ビル内の各種設備の運転保守
  • 点検整備:ビルそのものと各設備の点検
  • 警備・防災:警ら、防火防災対策、駐車場管理
  • 管理サービス:受付・案内、ビルマネジメント業務など
  • エネルギー管理:ビルの省エネ管理、温室ガス削減診断・提案など

ビルメンテナンス会社の業務において最も特徴的な点は、上記いずれの分野の業務でも、一定のポジションにあるスタッフは、それぞれ専門資格を有していることです。すべて合わせると相当な種類の資格があるため、以下では分野ごとに代表的な一部資格を抜粋しました。

  • 清掃管理:ビルクリーニング技能士(5段階の等級あり)、病院清掃受託責任者など
  • 衛生管理:空気環境測定実施者、防除作業監督者など
  • 設備管理:電気主任技術者、消防設備点検資格者(第一種・第二種)など
  • 点検整備:特殊建築物調査資格者、建築設備点検資格者など
  • 警備・防災:警備員指導教育責任者、危険物取扱者(甲種・乙種・丙種)など
  • 管理サービス:ビル経営管理士、ファシリティマネジャーなど
  • エネルギー管理:エネルギー管理士(熱・電気)、ビル省エネ診断技術者など

ビルメンテナンス業界の市場規模

公益社団法人全国ビルメンテナンス協会の資料「第51回実態調査報告書(ビルメンテナンス情報年鑑2021)」によると、2018(平成30)年度と2019(令和元)年度の推計市場規模は以下のとおりです。

年度 ビルメンテナンス業界市場規模推計額(円)
2018 2兆6,569億
2019 2兆8,202億

参考:ビルメンテナンス情報年鑑2021(公益社団法人全国ビルメンテナンス協会)

現在の日本では人口減少の影響でシュリンクしつつある業種もある中で、ビルメンテナンス業界は微増もしくは横ばい状態にあり、堅調といえます。

ビルメンテナンス業界の今後の課題

2020(令和2)年以降も、ビルメンテナンス業界の市場規模は、これまで同様に堅調な推移が予測されていましたが、コロナ禍により、都市部の企業を中心に、一定の比率でリモートワークが定着しつつあります。

その結果、オフィスビル・テナントの空き室率が上昇しており、この状態が続けば、ビルメンテナンス業界の業績に大きな影響をもたらすことが大きな懸念材料として指摘されています。

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ビルメンテナンス会社のM&A動向

ビルメンテナンス会社のM&A動向

ビルメンテナンス業界の現状を受け、ビルメンテナンス会社のM&A動向について、以下の3つのテーマで推測します。

  1. ビルメンテナンス会社の買収に人気が集まる理由
  2. ビルメンテナンス会社で近年見られる事業展開
  3. ビルメンテナンス業界の今後の動向予測

①ビルメンテナンス会社の買収に人気が集まる理由

一見すると、ビルメンテナンス会社には、「大きな利益が見込める事業」のイメージはありませんが、最大の魅力は安定性にあります。

もともとビルメンテナンス会社は、景気の影響を受けにくく利益の浮き沈みが少ないため、安定的な収益を得やすい特徴があります。そのため、ビルメンテナンス会社をM&Aで買収し、安定的な収益源の確保を図ろうとする企業も少なくありません。

②ビルメンテナンス会社で近年見られる事業展開

業界の将来的な動向を見越して、最近では単純なビルメンテナンスだけでなく、総合ファシリティマネジメントサービスを展開するビルメンテナンス会社が増加しています。

総合ファシリティマネジメントサービスとは、顧客の組織活動のために施設や環境を総合的に企画・管理・活用するサービスのことです。単純なビルメンテナンスだけでなく、多角的なサービスを展開し、顧客満足度の向上を目指す動きが目立ってきました。

こうしたサービス多様化の動きが起こったことで、ビルメンテナンス会社同士の価格競争が激化しつつある状況です。したがって、今後のビルメンテナンス業界では、高品質かつリーズナブルなサービスの提供を追求していく必要があると考えられます。

③ビルメンテナンス業界の今後の動向予測

ビルメンテナンス業界は、コロナ禍の影響も踏まえると、競争が激しくなると予測されています。特に、7種類のビルメンテナンス会社業務のうち、清掃管理業務を中心として行っている場合は、他社との差別化が難しく以前から競争過多に陥っています。

この状況にコロナ禍の影響が加わるため、中小規模のビルメンテナンス会社は経営が厳しくなり、その結果として業界再編が加速する可能性が高まっている状況です。また、ビルメンテナンス業界では、以前より深刻な人手不足の問題に悩まされています。

そのため、有資格者などの人手を確保し他社と差別化を図ることは、経営戦略として有効です。したがって、資金に余裕がある一定規模以上のビルメンテナンス会社が、M&Aの買い手として積極的に同業者を買収するケースが増加すると考えられます。

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ビルメンテナンス会社をM&Aするメリット・デメリット

ビルメンテナンス会社をM&Aするメリット・デメリット

ここでは、譲受企業(買い手)と譲渡企業(売り手)、それぞれの視点からビルメンテナンス会社をM&Aするメリット・デメリットを紹介します。

譲受企業のメリット

ビルメンテナンス会社のM&Aにおける譲受企業の代表的なメリットは、以下のとおりです

  • ブレが少なく安定した売上が見込める(ビルメンテナンス事業の取得は収益源の確保となる)
  • 慢性的な人材不足を解消できる
  • 単なる人材補充だけでなく有資格者をまとめて獲得できる
  • 自社とは違うノウハウ獲得により、サービスの多様化が実現できる
  • 海外市場への進出も含め、事業規模を拡大できる

譲受企業のデメリット

一方、ビルメンテナンス会社のM&Aでは、譲受企業側に以下のようなデメリットが生じるおそれがあります。

  • PMI(M&A後の経営統合プロセス)が想定どおりに進まなかった場合、期待したシナジー効果が得られず業績向上につながらない可能性がある
  • PMI失敗の別の側面として、獲得した人材が経営統合になじめず流出してしまう危険性がある
  • 株式譲渡によるM&Aの場合、簿外債務などが隠れている可能性がゼロではなく、後日に発覚した場合は業績に悪影響が出る

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譲渡企業のメリット

ビルメンテナンス会社のM&Aでは、譲渡企業側の代表的なメリットとして、以下の項目が挙げられます。

  • 後継者難の企業の場合は、譲受企業を後継者とする事業承継が実現する
  • 廃業・倒産危機であった企業の場合は、会社・事業継続により従業員の雇用が守られる
  • 売却益を獲得し、新たな事業資金や老後の生活費などに生かせる
  • 株式譲渡した場合、会社の負債は譲受企業に引き継がれるため、その責任から解放される
  • 負債に付随して行っていた個人保証や担保差し入れなども、上記と同時に解消される
  • 会社は有力企業の傘下となるので、財務面の強化・ブランド力の獲得などが見込まれ経営強化につながる

譲渡企業のデメリット

ビルメンテナンス会社のM&Aでは、譲渡企業にも以下のようなデメリットがあります。

  • 事業譲渡によるM&Aの場合、競業避止義務により原則的に20年間、ビルメンテナンス事業を同一地区およびその隣接地区で行えない
  • こちらの思惑どおりの条件でM&Aが成立するとは限らない
  • 譲渡後も会社に残るとしても、これまでのような経営権は握れない
  • 契約条件として引継ぎとPMIへの協力が義務付けられるため、一定期間は会社に残らねばならず、即座にリタイアできない

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ビルメンテナンス会社のM&Aを成功させるポイント

ビルメンテのM&A・事業承継
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ビルメンテナンス会社のM&Aを成功させるポイント

ビルメンテナンス会社のM&Aを成功させるうえで、大切なポイントは、主に以下のとおりです。

  1. 適切なタイミングで実施する
  2. 最新の相場を確認しておく
  3. M&Aの専門家を活用する

それぞれのポイントを順番に紹介します。

①適切なタイミングで実施する

いかなる業界であっても、適切なタイミングでM&Aを実施する必要があります。買い手側からすると、自社にとって適切なM&A案件を逃してしまうと、競合他社に先を越されてしまう可能性が高いです。

また、買い手・売り手ともに、将来的に起こり得る業界再編の波に乗り遅れてしまえば、M&Aそのものが実施できなくなる可能性もあるため、実施のタイミングを逃さないことが大切です。

②最新の相場を確認しておく

M&Aを実施する際は、取引価額も重要な要素です。自社と類似するM&A案件の取引価額をチェックするなど、最新の相場を確認したうえで価額設定を行いましょう。

もともとM&Aでは、価額面で買い手と売り手の利害が対立します。買い手側は少しでも価額を低くしたいと考える一方、売り手側は少しでも高くしたいと考えます。最終的な取引価額は相場をベースにしつつ交渉結果によって決定されるため、買い手・売り手の双方で交渉力も、M&Aの成功に欠かせない要素です。

③M&Aの専門家を活用する

M&Aを成功させたい場合、M&Aの専門家を活用すると良いです。M&Aの専門家としては、M&A仲介会社・経営コンサルティング会社・会計士・税理士・弁護士事務所などが挙げられます。

特にM&Aのスタート地点である「取引相手探し」では、自社単独で行うことは現実的ではありません。M&Aの専門家に依頼すれば、自社に最適なM&Aの取引相手を効率的に見つけられます。

また、M&Aを進めていく過程では、各プロセスで専門的な知識・経験が必要です。この意味でも、M&Aの専門家を活用してM&Aを行うことが大切だといえます。

M&Aの専門家選びのポイント

昨今のM&Aの活発化に伴い、M&A仲介会社が激増しました。中小企業の場合、初めてM&Aを行うケースがほとんどであるため、M&Aの専門家選びに困惑してしまう可能性があります。

M&Aの専門家選びのポイントは、実績に着目することです。自社と同じ業種・規模・地域などのM&A案件を担当したことがあるかどうかを調べて、相談先を絞り込むと良いでしょう。

ビルメンテナンス会社のM&Aをご検討の際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所では、中堅規模のM&A案件を主に取り扱っており、さまざまな業種で成約実績を有しております。

案件ごとにM&Aの支援実績と知識を豊富に持つアドバイザーが専任に就いて、相談時からクロージングまでM&Aをフルサポートいたします。通常M&Aは半年~1年程度はかかるといわれていますが、最短3カ月での成約実績を有する機動力にも強みがあります。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ、譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談をお受けしておりますので、M&Aをご検討の際はどうぞお気軽にお問い合わせください。

ビルメンテナンス会社のM&A・事業承継ならM&A総合研究所

ビルメンテナンス会社のM&Aの事例・ニュース12選

ビルメンテナンス会社のM&Aの事例・ニュース12選

この章では、ビルメンテナンス会社が当事者となったM&A事例について、12件ピックアップし紹介します。

  1. ジャパンエレベーターサービスHDと関東エレベーターシステム
  2. ジャパンエレベーターサービスHDとUNIECO社
  3. 穴吹ハウジングサービスと建衛工業
  4. TOKAIホールディングスとイノウエテクニカ
  5. ファーストブラザーズと富士ファシリティサービス
  6. ジャパンエレベーターサービスホールディングスとセイコーエレベーター
  7. 東洋テックと新栄ビルサービス
  8. ホクタテとふきのとう
  9. 三幸と都市総合サービス
  10. イオンディライトと白青舎
  11. 日本管財とPICA
  12. 東急コミュニティーとユナイテッドコミュニティーズ

それぞれの事例を順番に紹介します。

①ジャパンエレベーターサービスHDと関東エレベーターシステム

2022(令和4)年、ジャパンエレベーターサービスHDは、関東エレベーターシステムの株式すべてを取得し完全子会社化すると発表しました。

買収側のジャパンエレベーターサービスHDは、エレベーター等の保守・管理の会社で、国内独立系でトップシェアを誇っています。

売却側の関東エレベーターシステムは、エレベーターなどのメンテナンス事業を手掛ける企業で、群馬県館林市を拠点に、合計1,200台以上のエレベーター等保守管理をしています。

ジャパンエレベーターサービスHDは、関東エレベーターシステムを傘下に加えることにより、北関東地区における事業基盤の強化し、シナジーを発揮によってさらなる企業価値向上を目指すとしています。

②ジャパンエレベーターサービスHDとUNIECO社

2021(令和3)年11月、ジャパンエレベーターサービスHDは、UNIECO社を子会社化すると発表しました。

売却側のUNIECO社は、エレベーターなどメンテナンス事業を手掛けているベトナムの企業です。本件M&Aの主な目的は、東南アジア圏における事業拡大に伴う、企業価値のさらなる向上にあります。

③穴吹ハウジングサービスと建衛工業

2020(令和2)年12月、穴吹ハウジングサービスは、建衛工業の発行済み株式91%を取得して子会社化しました。なお、取得価額は公表されていません。

穴吹ハウジングサービスは、分譲・賃貸マンション管理、不動産賃貸仲介、パーキング事業などを全国で行っている会社です。一方、建衛工業は、北海道札幌でマンション・ビル総合管理、マンション・ビル賃貸業務などを行っています。

穴吹ハウジングサービスとしては、北海道エリアの事業拡大を企図し、本M&Aを実施しました。

④TOKAIホールディングスとイノウエテクニカ

2020年11月、TOKAIホールディングスは、イノウエテクニカの全株式を取得し完全子会社化しました。なお、取得価額は公表されていません。

TOKAIホールディングスは、LPガス・宅配水・建築・設備工事・不動産事業などを行っています。一方、イノウエテクニカは、静岡県東部でビルメンテナンス事業を行っている会社です。

TOKAIホールディングスは、静岡県で消防設備点検・機械設備点検・清掃業務などのビルメンテナンス事業を展開しており、同地域におけるビルメンテナンス事業の拡大・シェア増大を狙いとしています。

⑤ファーストブラザーズと富士ファシリティサービス

2020年7月、ファーストブラザーズは、富士ファシリティサービスの全株式を取得し完全子会社化しました。なお、取得価額は21億7,300万円です。

ファーストブラザーズは、商業施設や事務所ビルなどの不動産投資を中心に事業を行っています。一方、富士ファシリティサービスは、設備点検・清掃などのビルメンテナンス事業を全国展開で行っている会社です。

ファーストブラザーズとしては、不動産関連事業を手掛けることで本業の成長につながると判断してM&Aを行っています。

⑥ジャパンエレベーターサービスホールディングスとセイコーエレベーター

2020年4月、ジャパンエレベーターサービスホールディングスは、セイコーエレベーターの株式を追加取得して子会社化しました。以前より12.2%の株を所有していましたが、それを68.09%に引き上げたものです。なお、取得価額は公表されていません。

エレベーター・エスカレーターのメンテナンスを行うジャパンエレベーターサービスホールディングスとしては、首都圏を中心に800台以上のエレベーターの保守管理を行うセイコーエレベーターを傘下にすることで、首都圏での事業基盤強化を図っています。

⑦東洋テックと新栄ビルサービス

2020年4月、東洋テックは、新栄ビルサービスの全株式を取得して完全子会社化しました。なお、取得価額は公表されていません。

東洋テックは、機械警備、ホームセキュリティ、輸送警備、施設警備、ATM管理業務、ビル総合管理業務、保険代理店業務、工事・機器販売、不動産業務などを行っています。新栄ビルサービスは、建物総合管理業、マンション・ビルの清掃業などを行っている会社です。

東洋テックとしては、警備事業・ビル管理事業において、新栄ビルサービスのノウハウやリソースはシナジー効果が得られると判断し、このM&Aを実施しました。

⑧ホクタテとふきのとう

2020年3月、ホクタテは、ふきのとうの全株式を取得して完全子会社化しました。なお、取得価額は公表されていません。

ホクタテは、北陸地区を中心に、ビルメンテナンス事業、通信システム事業、商社事業を行っています。一方、ふきのとうは、富山県でビルメンテナンス事業(主として管理と清掃)を行っている会社です。

ホクタテとしては、このM&Aによって、人手不足の軽減・事業拡大・営業基盤強化が図れるとしています。

⑨三幸と都市総合サービス

2019(令和元)年5月、三幸は、都市総合サービスを株式譲渡によって買収し完全子会社化しました。買収側の三幸は、施設総合管理会社として高品質かつ低コストで提供するビルメンテナンスサービスに強みを持っています。

一方で、売却側の都市総合サービスは、電気・空調・給排水など各種設備の運転や保守を手掛けており、特に定期点検や営繕修理に強みを持っているビルメンテナンス会社です。

もともと三幸は都市総合サービスの株式を8.87%所有しており、清掃・設備管理業務受託などの面で両社は取引関係にありました。本件M&Aによりパートナー関係が強化されたことで、事業拡大・企業価値向上などを図っています。

⑩イオンディライトと白青舎

2015(平成27)年12月、イオンディライトは、白青舎をTOB(株式公開買付け)によって買収しました。買付け予定数は7,619,207株、買付け価格は普通株式1株につき800円と発表されています。

買収側のイオンディライトは、業界最大手のビルメンテナンス会社です。全国各地で顧客を抱えていましたが、本件M&Aにより東京・中部・大阪方面で新規顧客の開拓を実現しました。また、本件を足がかりに中国に子会社を設置するなど、海外進出を積極的に実施しています。

⑪日本管財とPICA

2013(平成25)年3月、日本管財は、オーストラリアのPICAを株式譲渡と第三者割当増資によって買収しました。新株発行を引き受け、旧株主であるFEXCOから株式を譲受しています。

買収側の日本管財は、独立系の大手ビルメンテナンス会社です。一方、売却側のPICAは、オーストラリアでマンション管理を手掛ける会社であり、現地ではトップのシェアを占めていました。

本件M&Aによって、日本管財はオーストラリアの市場で大きな存在感を発揮できるようになりました。また、お互いのノウハウを共有することで、事業の強化も実現しています。

⑫東急コミュニティーとユナイテッドコミュニティーズ

2013年2月、東急コミュニティーは、ユナイテッドコミュニティーズを株式譲渡によって買収し子会社化しました。買収側の東急コミュニティーは、総合不動産管理会社としてビルメンテナンス業などを手掛けています。

一方で売却側のユナイテッドコミュニティーズも、同じく不動産管理会社です。東急コミュニティーでは、本件M&Aでユナイテッドコミュニティーズの顧客を引き継ぐことで、収益源の大幅な強化を実現しました。

さらには、水回り工事・リフォームなどの総合ファシリティマネジメントサービスの強化も達成しています。

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ビルメンテナンス業界のM&Aまとめ

ビルメンテナンス業界のM&Aまとめ

ビルメンテナンス会社は安定的な収益源となり得るため、M&Aによる買収に人気が集まっています。一方、ビルメンテナンス業界では、生き残りをかけてM&Aを実施し、サービスの充実・価格の差別化・海外市場進出などを図るケースが増えてきました。

以上のことを踏まえると、M&Aは会社のさらなる成長を実現するうえで非常に有効な手段です。ただし、M&Aを実施する際には、業界の動向・実施のタイミングなどを十分に検討する必要があります。

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