2022年6月6日更新会社・事業を売る

ベンチャーのM&A【M&A成功マニュアル】

適切な売却タイミングの見極めがベンチャー企業のM&A成功に不可欠です。イグジット戦略(出口戦略)としてM&Aを検討する起業家やベンチャーを買収(バイアウト)する大企業が増える今だからこそ、ベンチャー企業のM&Aを成功に導くためのノウハウや成功事例を紹介します。

目次
  1. ベンチャーのM&A
  2. ベンチャーM&Aの概要
  3. ベンチャーのM&Aが増加している背景
  4. M&Aにたどり着けるベンチャーの特徴
  5. ベンチャーM&Aを成功させるポイント
  6. ベンチャーM&Aの価格算定
  7. ベンチャーM&Aの事例
  8. まとめ
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ベンチャーのM&A

ベンチャーのM&A

M&Aは、大企業同士による合併が一般的でした。しかし、最近では事業承継やM&Aの目的で中小企業やベンチャー企業が自ら会社を売却するケースが増えています。それに加えて、大企業がベンチャーを買収する形(バイアウト)のM&Aも増えてきました。

なぜ、大企業はM&Aを活用して、ベンチャー企業を買収するのでしょうか?また、最近のベンチャー企業は、IPOではなくM&Aによるイグジット戦略(出口戦略)を選択するケースが増えてきたのは、なぜでしょうか?

今回は、ベンチャーのM&Aについて詳しく解説します。

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ベンチャーM&Aの概要

ベンチャーM&Aの概要

ベンチャー企業にとって、M&Aはどんな意味を持つのでしょうか?
まずはじめに、ベンチャーとM&Aのかかわりについて説明します。

⑴ベンチャーの選択肢

基本的にベンチャー企業は、将来的な方針について、主に次の3つのプランから選ぶケースが多くなっています。

  1. 長期経営
  2. IPO
  3. M&A

①長期経営

1つ目は、「長期的な経営」です。従来の中小企業のように、自社のビジネスによる収益をもとにして、長期的に経営していくスタイルです。しかし、国内市場の縮小によって、どの業界も競争が激化しています。

これまでのように、起業して長期的に事業を継続することは、トレンドの移り変わりが激しい今、難しくなってきています。

したがって、外部から資金調達し、次の②IPO、もしくは③M&Aのどちらかを目指すベンチャーが増えています。

②IPO

IPOとは、証券市場への上場によって、保有している株式を市場に流通させることです。

従来、IPOは一定の富と名声を手に入れることができるため、起業家にとって憧れのゴールとなっていました。しかし最近は、IPOより、M&Aを目指すベンチャーが徐々に増えています。

③M&A

M&Aとは、企業同士による合併や買収を指します。近年は、M&Aを目指すベンチャーが増えています。

M&Aを実施することで、短期間で一定のキャッシュを得ることができます。

何より変化の激しい現代だからこそ、M&Aによる事業シナジー、資金調達によって事業をさらに加速させることができるのです。

また、Googleのように、ベンチャー企業を率先して買収する大企業も多くあります。最先端の技術を取り入れているベンチャー企業がある中、新たな技術を開発するコストや時間を省略するためにベンチャー企業とのM&Aを実行するケースが増えています。

今では、IT企業を中心に、さまざまな業種の企業をM&Aで手に入れ、多角化経営をしている企業も増えています。ただ、日本では、M&A市場が売り手市場になることが多く、売却案件が少ないケースも少なくありません。

その際は、M&A総合研究所の仲介サイトの活用をおすすめします。M&A総合研究所のM&Aプラットフォームは豊富な案件を保有しており、自社の買収ニーズを登録するだけで理想的なマッチングをご提案できるようになっています。M&Aをご検討される際には気軽にご相談ください。

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⑵国内と海外ベンチャーの違い

日本でもM&A志向のベンチャーが増えていますが、依然として、IPOを目指すベンチャーは少なくありません。

一方で、アメリカのベンチャーは圧倒的なM&A志向で、IPOを目指すベンチャーは、アメリカにおいては珍しい存在です。M&Aによってイグジットを果たすベンチャーがはるかに多く、日本でも今後この傾向は強まってくるでしょう。

⑶M&A志向のベンチャーの増加

前述のとおり、日本でもM&A志向のベンチャーが増える傾向にあります。

ベンチャーの多くは、ベンチャーキャピタル(VC)、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)、個人投資家(エンジェル投資家)から資金調達します。

資金調達を受けた場合、イグジット(IPOかM&A)を目指す必要があります。2000年以前までは、IPOによるイグジットが多かったですが、2000年代に入って以降、M&Aによるイグジットの件数がIPOの数を超えるようになりました。

今後、VCからの出資を受けたベンチャーの大半が、M&Aによるイグジットを検討する可能性が高まってくるでしょう。

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ベンチャーのM&Aが増加している背景

ベンチャーのM&Aが増加している背景

ベンチャーのM&Aが増加している背景を、買い手と売り手それぞれの視点からご紹介します。

⑴買い手(大手企業)側から見た背景

ベンチャーのM&Aを行う企業の大半は大企業ですが、それはなぜでしょうか?

最も大きな理由は、スピーディーな事業推進です。大手企業は新規事業を検討、実施しても、組織の大きさゆえに、なかなかスピーディーにうまく事業を推進することはできません。そこで、M&Aが活用されています。

M&Aの1つの例としては、オープンイノベーションがあります。事業シナジーがある企業と提携し、大手企業の資本とリソースを提供して、エグゼキューション(実行)のところはベンチャーが担当します。

ブランド力のある大手は、中途半端なプロダクトをマーケットに出すことはできないため、スピードよりも、慎重さを重視する傾向があります。そのため、ベンチャー企業と連携し、スピーディーな事業推進を図ります。

加えて、経済の国際化も進行し、競争はますます激しくなっています。従来どおりの経営手法を続けていては、市場で十分利益を獲得することは難しくなってきます。このような状況では、スピーディーな経営が求められます。

そこで大企業は、M&Aによるベンチャー企業の買収を行うようになりました。

一般的にベンチャー企業は成長マーケットにポジショニングし、独自の技術、最新のノウハウを持っています。ベンチャー企業は、大企業にとって、最高のM&A相手となります。ベンチャー企業をM&Aによって買収することで、スピーディーに多角化経営、既存事業の強化を行えます。

また、既存のノウハウ、資産を活用するため、多角化に伴うリスクの軽減も期待でき、既存事業の強化にかかる時間も大幅に削減できるでしょう。

⑵売り手(ベンチャー企業)側から見た背景

近年は、IPOではなくM&Aを目指すベンチャーが増加しているのはなぜでしょうか?最も大きな理由は「IPOの難しさ」です。

年間の起業数が約20万社であるのに対して、年間でIPOを達成する企業は100社に満たないのです。国内の上場企業総数自体、約3,500社とわずかです。

つまり、ベンチャーがIPOを目指すことは極めて難しいということです。また、IPOの基準を満たすまでに、早くても数年以上かかります。加えて、仮にIPOを達成したとしても、上場基準を満たすために、莫大な費用、業務を要します。

一方で、M&Aは、IPOよりも短期間で達成することができるため、事業を成長させたい目的ならば、プライドを捨て、本気で事業シナジーのある企業と組むことは理にかなっているのかもしれません。

そうした現状を踏まえ、近年はIPOではなくM&Aを目指すベンチャーが増えています。幸いにも今はM&Aが経営手法として一般化したのもあって、さまざまなM&A仲介会社があり、M&Aのサポートが充実してきています。

M&A総合研究所は、豊富な知識と経験を持つM&Aアドバイザーが、ご相談からクロージングまで丁寧にサポートいたします。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)無料相談をお受けしておりますのでお気軽にお問い合わせください。

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M&Aにたどり着けるベンチャーの特徴

M&Aにたどり着けるベンチャーの特徴

前述のとおり、IPOと比べるとM&Aのほうが実現可能性は高いです。しかし、ほとんどの企業が、M&Aの成功までたどり着くことができません。では、M&Aの成功までたどり着けるベンチャーには、どのような特徴があるのでしょうか?

具体例をあげると、利益をあげていないのに、M&Aを成立させているベンチャーは少なくありません。

ここでは、M&Aにたどり着けるベンチャーの次の3つの特徴をご紹介します。

  1. 将来性がある
  2. 商品・サービスに利用者がいる
  3. 優秀な人材がいる

①将来性がある

マーケット含め、将来的に成長が見込める場合、M&A成功確率は上がります。今後の成長が見込める市場は、大企業を含めた買い手が新規進出するには願ったりかなったりです。

そのような市場で活躍するベンチャーならば、大企業を含めた買い手とM&Aを実現できるかもしれません。また、ベンチャー自体の成長性も、重要な評価要素となります。成長力の高いベンチャーならば、M&Aによって買収するメリットが高まるからです。

市場や自社の成長性について、具体的にしっかりとした根拠を持ち、将来性を示せれば、買収相手から企業価値を評価してもらえます。

その結果、M&Aの交渉にこぎつけることができます。現に十分な利益をあげていなくとも、M&Aを成功させたベンチャーもあります。ましてや、赤字経営でもM&Aを実現しているベンチャーも少なくありません。

現に利益をあげていなくとも、今後急成長する可能性のあるベンチャーであれば、十分にM&Aの対象となりえます。次世代の最先端技術を取り扱うベンチャーが最たる例です。また、買い手側からすると、先行投資の一面もあります。

②商品・サービスに利用者がいる

創立したばかりのベンチャーの場合、まだ十分な利益をあげていないケースが多いです。

しかし、サービス・商品の利用者がいる場合、M&Aを実現できる可能性はあります。買収相手の中には、販路や顧客の獲得を目的にM&Aを活用する会社も存在します。魅力的な顧客を多く抱えているようなベンチャーならば、そうした買収相手とM&Aを実現できる可能性があります。

特に、ベンチャーが抱える顧客は、大企業が獲得しにくいユーザー層である場合もあります。

つまり、大企業にとって、ベンチャーの抱えるユーザーは収益源となり得るのです。良質な顧客を抱えるほど、M&A成功の確率は高くなります。

③優秀な人材がいる

ベンチャー企業にいる優秀な人材も、M&Aにおいて評価対象となります。

どのような会社でも優秀な人材を求めています。しかし、就職面接では、優秀な人材かどうかを確実には見抜けません。外部から優秀な人材を獲得するにしても、自社での採用はそう簡単にはいきません。

そこで、M&Aを活用することで、事業と一緒に優秀な人材も獲得できます。特に、優れた技術・スキルを持っている人材は、高い評価を得られます。そのような人材がいるベンチャーなら、M&Aを実現できる可能性が高まります。

また、M&Aではベンチャーの経営者が評価されます。ただ自身のサービスに詳しいということや、スキルがあることだけでは不十分です。経営者として、将来を論理的に見通せる力が重要です。

自社のサービスをスケールアップしていく方法を、具体的に説明できることで、M&A成功の確率が高くなります。

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ベンチャーM&Aを成功させるポイント

ベンチャーM&Aを成功させるポイント

結論から述べると、「適切な売却タイミングの見極め」がベンチャーM&Aの成功には不可欠です。どんなに将来性のある事業であっても、優秀な人材がいたとしても、タイミング次第でM&Aは失敗します。

ここでは、ベンチャーがM&Aを行ううえで適切な次の2つのタイミングを解説します。

  • 外部環境が良いとき
  • 業績が上昇傾向のとき

⑴外部環境が良いとき

ベンチャー企業を取り巻く外部環境、マーケットが成長しているタイミングで、M&Aを実行することが好ましいです。

ここでいう外部環境とは、具体的に次の3つの要素を指します。

  1. 業界のトレンド(流行り)
  2. 取引先との関係
  3. 市場の競争環境

①業界のトレンド(流行り)

市場が成長している業界ならば、M&Aの買い手が見つかりやすくなります。近年の例として、AIや天然ガス業界があります。ある市場が急成長する場合、そこに属する企業の業績も上がる傾向があります。

こうした成長著しい業界に属しているベンチャーならば、M&Aの買い手が見つかりやすくなります。場合によっては、さらに高い値段で売却できる可能性もあります。

②取引先との関係

M&Aには取引先との関係も影響します。仮に、今後仕入先との取引費用が高騰する場合、得られる利益は減少します。それに伴い、M&A時の売却価格も減少します。今後の取引で不利になるおそれがあれば、早めに売却することも一つの方法です。

③市場の競争環境

M&Aのタイミングを見極めるうえで、市場の競争環境は重要な指標です。仮に強力な競争相手が入ってきた場合、自社の売上高(利益)が減少します。大規模な投資を相手がしてきた場合、ベンチャー企業の優位性は失われてしまいます。

利益額が減少すれば、M&Aの際の売却金額も減少します。競争環境が厳しくなる前に売却したほうが、結果的にいい場合もあります。

⑵業績が上昇傾向のとき

前述のとおり、業績が上昇傾向のときに売ることがベターです。

M&Aでは、純粋な売上高や利益も当然見られます。しかし、M&Aでは、将来的に獲得し得る利益やシナジーを考慮し、企業価値を算出します。そのため、最近の業績も重点的に見られるのです。つまり、年間で見れば十分に利益を得ていたとしても、希望どおりのM&Aになるとは限りません。

直近1〜2ヶ月の業績が急激に悪化している場合、不本意なM&Aとなるおそれもあります。最悪の場合は、M&Aの買い手が見つからないかもしれません。交渉を有利に進めるためにも、業績が上昇傾向のときのM&Aがベストです。

ベンチャーM&Aの価格算定

ベンチャーM&Aの価格算定

ベンチャー企業のM&Aに関する価格算定について、解説します。ベンチャー企業にとって、どの程度の値段で売却できるのかが気になるところです。

ベンチャーM&Aの買収価格はどう決まる?

ベンチャーのM&A価格は、最終的に交渉次第で変わります。前述のとおり、成長性を論理的に説明する必要があります。また、適切な相手に適切なタイミングで売却する点も大事です。

価格交渉をするためには、その基準となる企業価値を算定する必要があります。基準を把握すれば、M&Aの交渉を円滑に進行できます。

企業価値の算定手法にはさまざまな手法があり、それぞれ用いる場面や対象、特徴が異なります。今回は、ベンチャーのM&Aで用いられる次の2つの算定手法をご紹介します。

  • DCF法
  • 類似会社比準法(マルチプル法)

(1)DCF法

①どんな手法?

ベンチャーのM&Aでは、将来の計画をもとに買収価格が決定されます。そのようなベンチャーM&Aに有用な手法が、「DCF(ディスカウント・キャッシュフロー)法」です。

DCF法では、将来得られるフリーキャッシュフロー(FCF)をもとに企業価値を計算します。将来性を加味できるため、最も合理的な手法と言われています。一方で、算出された企業価値が主観的・恣意的になるおそれもあります。

DCF法を用いる際には、精度の高い事業計画の策定と、買い手側のデューデリジェンスが重要となります。

②計算方法

まずはじめに、一定の予測期間を決めます。次に、予測期間内のフリーキャッシュフローを計算します。

  • FCF=営業利益×(1−実効税率)+減価償却費−運転資本増加額−設備投資額
その後、予測期間後に得られるキャッシュフローの合計(ターミナルバリュー)を算出します。ターミナルバリュー(TV)の算出では、企業が永続的に続くと仮定します。
  • ターミナルバリュー=予測期間最終年度の次年度FCF÷(割引率−永久成長率)

TVを算出したら、FCFを現在価値に割り引くためにWACCと呼ばれる割引率を計算します。

  • WACC ={株主資本総額×資本コスト+負債総額×負債利子率×(1−実効税率)}÷株主資本総額+負債総額

そして、WACCを用いて予測期間中のFCFをそれぞれ現在価値に割り引きます。最後に、割り引いた合計とTVを合計すれば、企業価値が算定されます。

③具体的な計算例

DCF法を用いた場合の企業価値を、簡単な例で見てみましょう。

  • 予測期間:3年
  • 1〜3年目のFCF:(毎年)1億円
  • ターミナルバリュー:30億円
  • WACC:10%

企業価値は次のとおり計算されます。

  • 企業価値=1億円÷(1+0.1)+1億円÷(1+0.1)の2乗+1億円÷(1+0.1)の3乗+10億円=約32億5,000万円

つまり、このベンチャー企業の価値は、約32億5,000万円となります。この計算の企業価値をもとに、M&Aの買収価格が決定します。

(2)類似会社比準法(マルチプル法)

①どんな手法?

類似会社比準法(マルチプル法)とは、評価対象のベンチャーと類似する会社を基準に、企業価値を計算する手法です。主に次の基準によって、対象ベンチャーとの類似性を判断します。

  • 事業内容
  • 事業規模
  • 財務状態

類似する企業を参考にするため、客観性の高い価値を算出できます。一方で、市場の状況次第で、算出される企業価値が大幅に変動するというリスクもあります。また、類似する企業が見つかりにくいというデメリットもあります。

マルチプル法を用いる際には、いかに類似する会社を選定できるかがポイントです。マルチプル法では、類似会社のPERや、EBITDA等の指標を用います。特に、ベンチャーのM&Aでは、EV/EBITDA倍率によって企業価値を算出します。

②計算方法

今回は、特にベンチャーのM&Aで活用される、EV/EBITDA倍率を説明します。EV/EBITDA倍率とは、EV(企業価値)はEBITDA(営業利益+減価償却費)の何倍であるべきかを示す指標です

類似会社のEV/EBITDA倍率と、対象ベンチャーのEBITDAがあれば、企業価値を計算できます。具体的には、対象ベンチャーのEBITDAに類似会社のEV/EBITDA倍率を掛けます。

③具体的な計算例

マルチプル法(EV/EBITDA倍率)を用いた場合の企業価値を、簡単な例で見てみましょう。

  • EV/EBITDA倍率(類似会社):10倍
  • EBITDA(対象のベンチャー):3億円

企業価値は、次のとおり計算されます。

  • EV=3億円×10=30億円

つまり、このベンチャー企業の価値は、30億円となります。この計算の企業価値をもとにM&Aの買収価格が決定します。DCF法と比べて、かなり簡単に企業価値を算出できます。

※関連記事
会社売却の価格の決め方は?M&A前に押さえるべきこと
マルチプル法とは?メリット・デメリットや活用の注意点を解説

以下の動画で弊社M&Aアドバイザーが計算例を用いてマルチプル法について解説しておりますので、是非ご覧ください。

ベンチャーM&Aの事例

ベンチャーM&Aの事例

では最後に、ベンチャーM&Aの具体的な事例についてご紹介します。

⑴大型のM&A

まず目を見張るのが、大型案件のM&Aです。通常、M&Aは数千万円〜数十億円程度で取引されます。

しかし近年は、大規模なM&Aも活発になっています。例えば「DMMによるCASHの買収」は多くの人に衝撃を与えました。CASHは商品を撮影・出品して、即現金にできるシステムで話題になったサービスです。

M&A成立の時点では、サービスのリリースからわずか4ヶ月のベンチャー企業でしたが、70億円という取引価格でM&Aが成立しました。前述した例でいうと、優秀な人材の存在によってM&Aが成立したケースです。

ビジネス自体の価値は、数億円程度しか企業価値がついていません。

他にも、マネックスによるコインチェック買収も大型案件となりました。数百億円の損失を起こした企業を36億円で買収したことで話題になりました。このケースは、仮想通貨市場の成長性を見込んだうえでのM&Aでした。

このように、妥当な企業価値よりはるかに高い金額でM&Aが行われる事例もあります。これはベンチャーのM&Aに特有の点といえます。

⑵有力ベンチャーによるM&A

近年は、有力ベンチャーによるM&Aも活発です。買収価格サイトを運営するジラフが「peing質問箱」を買収した事例です。特筆すべきは、ジラフ自体が上場をめざすベンチャーであることです。

通常は、上場している企業がベンチャーとM&Aを実施しますが、ベンチャー同士がM&Aを実施するという例はなかなかありません。加えて、交渉開始からわずか2日でM&Aの契約が完了したのも、まれな例です。通常、M&Aの実行には、早くても数ヶ月かかります。

当事者のどちらもベンチャーだからこそ、スピーディーにM&Aを完結できたと考えられます。

⑶クラウド事業ベンチャーのM&A

近年は、クラウド事業を運営するベンチャーのM&Aが多い傾向にありました。

クラウド(技術)とは、仮想化技術や分散技術を用いた、画期的なインターネット技術です。簡単に言うと、インターネット上であらゆるサービスを簡便に使える技術です。近年クラウド技術は、さまざまな事業分野に活用されています。

その利便性もあり、今後さらにニーズも増えると予想されます。そうした背景から、クラウド関連のベンチャー企業のM&Aが数多く見受けられ、なかでも、マネーフォワードによるクラビスの買収が有名です。

クラビスは、領収書をすぐに会計情報に変換できるサービスを提供するベンチャーです。買収額は8億円で中規模のM&Aです。成長性の高い市場では、今後もベンチャーのM&Aが続くでしょう。

※関連記事
M&A成功事例とは?大手・中小企業、スタートアップやベンチャー企業のM&A成功事例を解説

まとめ

まとめ

M&Aと聞くと、大企業同士のM&Aや事業承継目的で行うイメージがあります。

しかし、近年は、創業したばかりのベンチャー企業がM&Aを行うケースも増加しています。IPOが難しい現状もあり、近年は多くのベンチャー企業が、M&Aによるイグジットを目指すようになりました。

通常のM&Aとは異なり、ベンチャーのM&Aはやや特殊です。M&Aを考えているベンチャー経営者は、ベンチャーのM&A事例や傾向について把握しておくことが重要です。

ベンチャーがM&Aを成功させるためにはただ利益をあげているだけでは不十分で、優秀な人材、顧客がいてはじめて、ベンチャーのM&Aの成功が期待できます。また最も重要なのは、市場、会社自体の成長性・将来性です。将来性が見込めれば、有利にM&Aを進める可能性が高まります。

要点をまとめると以下になります。

【ベンチャーにとってのM&Aとは?】

  • 近年はM&Aによるイグジットを目指すベンチャーの増加
【ベンチャーのM&Aが増加している背景】
  • IPOが難しいという現状から買い手企業によるM&Aのニーズが増加

【M&Aにたどり着けるベンチャーの特徴】

  • 将来性がある、商品・サービス利用者がいる、優秀な人材がいる

【ベンチャーM&Aを成功させるポイント】

  • 外部環境が良いときに売る、業績が上昇傾向のときに売る

【ベンチャーM&Aの価格算定】

  • DCF法や類似会社比準法(マルチプル法)を用いる

 

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