2022年6月6日更新会社・事業を売る

中小企業のM&A仲介会社、案件の探し方とは?成功・失敗事例や注意点を解説

中小企業のM&Aは、株式譲渡、事業譲渡、会社分割の方法が用いられること多く、事業承継問題の解決や経営戦略の遂行を目的に行われています。M&Aの流れ、中小企業がM&Aを活用するメリット、中小企業のM&Aにおける注意点、M&A仲介会社を選ぶポイント、中小企業M&Aの価格を解説していきます。

目次
  1. 中小企業M&Aの件数が増加している要因
  2. 中小企業M&Aの流れ
  3. 中小企業のM&Aで用いられる手法
  4. 中小企業がM&Aを活用するメリット
  5. 中小企業のM&Aを活用するデメリット
  6. 中小企業がM&A案件を探す方法
  7. 中小企業M&AのM&A成功事例と失敗事例
  8. 中小企業M&Aに特有の注意点
  9. 中小企業M&Aをサポートする仲介会社
  10. 中小企業M&Aの価格
  11. 中小企業のM&Aの件数
  12. まとめ
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中小企業のM&Aについてお調べですね。これまでM&Aは、大企業が効率的に経営戦略を遂行する手段として用いられていました。一方で多くの中小企業は、M&Aによる会社売却に対して良いイメージを持っていませんでした。

中小企業によるM&Aの件数は、年々増加しているのが現状です。実際に、この記事を読んでいる経営者の方の中には、M&Aを検討している人もいるかと思います。

ただし、中小企業がM&Aを行う際には気をつけるべきことも少なくありません。M&Aを活用すると言っても、中小企業の場合は大企業とはM&Aの実行プロセスや注意点が異なっているのです。

そこで今回は、中小企業がM&Aを実施するメリットや場面、注意点等を解説します。ポイントをしっかり押さえて、M&Aを成功させましょう。

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中小企業M&Aの件数が増加している要因

中小企業M&Aの件数が増加している要因

まずは、中小企業がM&Aを行う件数が増加している要因について見ていきましょう。

一昔前までは、M&Aに対して否定的な考えを持っている中小企業が大半でした。なぜ近年は中小企業がM&Aを実施する件数が増加しているのかがわかれば、自社のM&A戦略を考える際にも役立つはずです。

中小企業のM&A件数が増加している背景には、主に2つの要因があります。

  1. 国内市場の縮小
  2. 事業承継問題の深刻化
それぞれの要因について、詳しく見ていきましょう。

(1)国内市場の縮小

まず挙げられるのが、国内市場の縮小です。ご存知の通り、近年は少子化による人口減少が加速しています。

それに伴い、国内市場も縮小しているのが現状です。その傾向は今後も続くと見込まれ、大手企業は海外市場に目をつけ、着々と準備を続けています。

しかし、経営資源に乏しい中小企業が海外市場に進出するのは困難です。よって中小企業は、今後も国内市場を主な市場として生き残る道を探らざるを得ない状況です。

加えて最近は、経営資源が豊富な海外企業が日本に進出しています。中小企業が国内の大企業や海外企業に、独力で勝つのは非常に厳しいです。

さらに、都市部への人口移動が進み、地方経済は現時点でも深刻的に厳しい状況です。したがって、地方に拠点を置く中小企業は将来が不安であることも珍しくありません。

以上の現状を踏まえ、多くの中小企業は経営の先行きに不安を抱えています。そこでM&Aを活用して、自社の生き残りを目指す中小企業が増加傾向です。

M&Aによって、他社を買収して規模の拡大を図る事例が増えています。また逆に、大企業に自社を売却し傘下に入る中小企業も見られます。大手企業に自社を買ってもらうことによって、資本力や労働力の面で経営資源が豊かになり、経営が安定するのです。

(2)事業承継問題の深刻化

次に挙げられる要因が、事業承継問題の深刻化でしょう。現在、中小・零細企業が抱える最も大きな課題が「事業承継問題」です。

経営者の高齢化が進行する一方で、後継者不足に悩む中小企業が増加しています。事業の継続を望まない中小企業のうち、約半数が後継者不足を理由に挙げているのです。

後継者が居ない場合、廃業するかM&Aによって第三者に会社売却するかのどちらかを選ぶ必要があります。そこで、「廃業するよりは、M&Aによって自社を売った方がマシ」と、多くの中小企業経営者は考えるはずです。

M&Aで他社に自社を売ることで、会社経営を引き継いでもらえます。これによって、事業承継問題を解決することができるのです。

以上の2つの事情から、中小企業のM&A件数が増加しています。そして今後、市場規模の縮小や後継者問題はさらに深刻化すると予想されており、経営戦略としてのM&Aや事業承継目的のM&Aの件数はどんどん増加するでしょう。

そもそも事業承継とはどのようなものかが知りたいなら、以下の関連記事を読んでみてください。

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中小企業M&Aの流れ

中小企業M&Aの流れ

中小企業を経営していてM&Aにも興味があるという方は多いはずです。中小企業のM&Aはどのような流れで進行するのかを押さえておくことで成功に近づきます。そこで、中小企業M&Aの流れを確認しておきましょう。

まず、中小企業のM&Aには、通常半年から1年半程度の期間が必要です。したがって、M&Aの流れをあらかじめ把握しておき、スムーズに実行できる様にしておくことが重要となります。

中小企業がM&Aを実行する際の流れは、以下のようなものです。

  1. M&Aを活用する目的の明確化
  2. M&Aの相手探し
  3. 交渉・検討
  4. 契約締結
それぞれについて、順番に見ていきましょう。

(1)M&Aを活用する目的の明確化

最初は、M&Aをなぜ実施するのかを明確にするところから始めなければなりません

事業承継や資金調達等、M&Aを活用する目的は会社ごとに異なります。目的を明確にしておかないと、スムーズにM&Aを進行できなかったり、途中で頓挫する可能性が高いです。

加えて、不適合な相手とM&Aを実行してしまい、M&Aのメリットを得られなくなる恐れもあります。M&Aは自社の今後を左右する重大なイベントなので、できるだけメリットを多く受けられるようにするべきです。

ですので、M&Aを活用する目的の明確化は、非常に重要なプロセスだと言えます。目的がハッキリしないなら、まずは自社の現状を整理することからスタートしてください。

(2)M&Aの相手探し

M&Aを実施する目的が明確になったら、次は相手探しに移ります。M&Aが成功する可能性は相手探しで大きく変わるので、慎重に行わなければなりません。

買い手もしくは売り手企業を見つける方法は2つあります。自力で探す方法と、仲介会社や支援機関を活用して探す方法です。とはいえ、自力で探すのは難しい上に、情報漏洩のリスクがあります。

ですので、中小企業がM&Aを実施する際には、M&A仲介会社を活用するのがベストです。M&A仲介会社は、希望条件やシナジー効果等を踏まえ、相手候補となるリストを作成します。

その後、そのリストを基にM&Aの相手候補にアプローチをかけていき、この際ノンネームシートを用いて、買い手側に売却を打診する流れです。そして、ある程度M&Aを実施する意向が固まったら、詳細な情報を相手側に開示します。

相手探しをうまく行うためには、実力のあるM&A仲介会社を利用するのがおすすめです。もしも心当たりがなければ、M&A総合研究所にお任せください。M&A総合研究所は中小企業のM&A実績が豊富です。

Webや電話での無料相談も受け付けているので、お気軽にお問い合わせください。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所

(3)交渉・検討

売り手(買い手)候補が見つかったら、交渉と検討へ流れが進みます。

この段階は、デューデリジェンスやトップ面談、基本合意契約の締結等のプロセスを経て、実際にM&Aを実施するか検討するものです。

ちなみに中小企業のM&Aでは、デューデリジェンスの中でも法務や会計、ビジネス分野について重点的に調査する場合が一般的となっています。デューデリジェンスはていねいに行わなければ、あとあと重大なトラブルに発展しかねません。

売却価格についても、この段階で決定します。自分の希望だけを通そうとせず、相手の希望を聞きながら交渉を進めていきましょう。

(4)契約締結

これまでの流れで双方が合意したら、最終的な契約を締結します。M&Aの後には、簿外債務や訴訟等、さまざまなリスクが発生する可能性が高いです。

ですので、この段階であらかじめトラブルが発生した際の対処法を、契約書で定めておくのが大事だと言えます。契約書についてはトラブルを避けるために、専門家にしっかり確認してもらうべきです。

その後、代金の引き渡しを経て、M&Aの流れが完結します。

M&Aの流れをもっと詳しく知りたいなら、以下の関連記事を読んでみてください。

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中小企業のM&Aで用いられる手法

中小企業のM&Aで用いられる手法

M&Aには様々な種類の手法があります。手法ごとに、使用すべき場面やメリットが異なるので気をつけなければなりません。

M&Aを行う際には、目的に合わせて手法を選ぶ必要があります。今回はその中でも、中小企業M&Aで特に活用される以下の手法を見ていきましょう。

  1. 株式譲渡
  2. 事業譲渡
  3. 会社分割
それぞれのM&A手法について、順番に確認していきます。

(1)株式譲渡

株式譲渡とは、株式の売買によって、経営権を移転するM&A手法です。

株式会社の経営権は、保有株式数によって決まります。保有数が多ければ多いほど、より会社経営に関わる事項に対する権限が強まるのです。

特に、全株式のうち3分の2を超える株式を保有すると、経営に関する事柄を1人で決定出来ます。株式譲渡は、この仕組みを利用したM&A手法です。

中小企業では、経営者が全ての株式を持っているケースがほとんどとなっています。したがって、全株式を買い手側に対して売却すれば、実質的に会社丸ごと譲渡出来ます。

株式譲渡のメリット

株式の譲渡や書類契約のみで完了するため、とてもスムーズにM&Aを実施できます。ですので、中小企業のM&Aに最も向いている手法です。

また譲渡する株式の価格には、ノウハウや技術、顧客リスト等の無形資産の価値も考慮されます。ですので、独自性の強い技術力やノウハウ等を持っている場合、沢山の利益を獲得できる可能性が高いです。

加えて、売り手側の中小企業には大きなデメリットがないのも株式譲渡の魅力だと言えます。

株式譲渡の注意点

中小企業の株式譲渡には、2つ注意点があります。1つ目は、「譲渡制限株式の取り扱い」です。

自社の株式に譲渡制限がかかっている場合には、取締役会(または株主総会)での承認手続き等が必要となります。

2つ目は、「株券不発行会社の株式譲渡」です。株券を発行していない会社の場合、M&A後に名簿書き換えを行う必要があります。

株式譲渡の効力を第三者にも発揮するためには、株主名簿の名義変更をしなければならないのです。しかしほとんどの中小企業は株式に譲渡制限がかかっていて、なおかつ株券を発行していません。なので、株式を譲渡することについて契約書を残しておくことが大切です。

株式譲渡の税金

株式譲渡を用いてM&Aを実施する際にも、当然ながら税金が課されます。この時、株主が個人か法人かによって、課税される税金の種類が異なるので気をつけなければなりません。

個人の株主が株式譲渡を実施した場合には、譲渡所得に対して20.315%の税金(所得税15.315%、住民税5%)が課されます。一方で、法人がM&Aを実施した際には、譲渡益に対して法人税等が課税されるのです。

法人税率は、企業ごとに変動します。自分のケースの税率を知り、正しく納税しなければなりません。

株式譲渡についてもっと詳しく知りたいなら、以下の関連記事を参考にしてください。

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株式譲渡とは?メリット・デメリット、M&A後の社員や税務を解説

(2)事業譲渡

事業譲渡とは、会社を事業単位で切り分けて、その一部または全部を売買するM&A手法です。

一部の工場や店舗、事業分野のみ売りたいケースで用いられる手法となっています。中小企業のM&Aでは、株式譲渡の次に利用件数が多い手法です。

事業譲渡のメリット

事業譲渡を活用すれば、売り手の中小企業は主力事業に集中出来ます。例えば不採算事業を売却すれば、資金を獲得でき、そこにつぎ込んでいた経営資源が浮くはずです。その資金や経営資源を主力事業につぎ込めば、強みを伸ばしてさらなる全社的な発展が見込めます。

一方で、買い手側にもメリットがあります。この手法を用いてM&Aを実施すれば、欲しい部分のみを買い取ることができるのです。

その際には、簿外債務や不要な資産は引き継がないという選択もできます。無駄なく欲しい部分のみ買収できるのは、このM&A手法ならではのメリットです。

事業譲渡の注意点

このM&A手法を用いた場合、M&A完了までの手続きが面倒となるので注意が必要です。株主総会の特別決議に加えて、各種資産や契約を個別に引き継ぐ必要もあります。

事業承継目的でM&Aを実施する中小企業にとって、時間がかかるのは大きなデメリットです。ですので、中小企業がM&Aを実行する際は、基本的には株式譲渡を用いたほうが無難だと言えます。

もしも事業譲渡で事業承継をしたいのであれば、専門家のもとで手続きを進めていくのが良いでしょう。

事業譲渡の税金

事業譲渡では、消費税と法人税が課税されます。

消費税は売却した資産のうち、課税資産に対して課税されるものです。課税資産には、無形固定資産や棚卸資産、有形固定資産(土地を除く)が該当します。

一方で法人税は、会社側に対して課税されるものです。税率は各中小企業によって異なります。

事業譲渡についてもっと詳しく知りたいなら、以下の関連記事を参考にしてください。

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事業譲渡とは?意味や方法、M&Aにおける活用​を解説

(3)会社分割

会社分割とは、会社の中から事業の一部または全部を切り離して、他会社に移転するM&A手法です。

切り離した部分を、新しく設立する会社に移転する場合を、新設分割と呼びます。一方で、既存の他社に移転する場合は、吸収分割と呼ぶので使い分けましょう。

会社分割は一見すると事業譲渡と似てますが、いくつか違いがあります。その中でも最も大きな違いが、事業譲渡が事業の売買を目的としているのに対して、会社分割は組織再編を目的としたM&A手法である点です。

しかし、事業譲渡と同様に事業の売買目的で利用されるケースもあります。受けたいメリットによって使い分けてください。

会社分割のメリット

最も大きなメリットは、資金を準備しなくてもM&Aを遂行できる点です。具体的には株式を対価にできます。

また、事業譲渡とは違い、各種契約や資産を包括的に移転可能です。加えて、消費税が課税されない点もメリットとなります。

上記のメリットがある為、組織再編を円滑に実施できる手法なのです。

会社分割の注意点

会社分割はM&Aの対価を現金で欲しい中小企業にとっては、あまりオススメできない手法となっています。何故なら、株式で対価を受け取ってもそれを現金化するのが困難だからです。

また事業譲渡とは違い、不要な資産や簿外債務を引き継ぐリスクがある点にも注意です。一般的には組織再編の為に用いられる手法であるため、中小企業のM&Aにはあまり向いていません。

会社分割についてもっと詳しく知りたいなら、以下の関連記事を読んでみてください。

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中小企業がM&Aを活用するメリット

中小企業がM&Aを活用するメリット

前述の通り、近頃はますますM&Aの件数は増加しています。それは、M&Aを活用するとさまざまなメリットがあるためです。

M&Aによって期待できるメリットには、以下のようなものがあります。

  1. 事業承継問題の解決
  2. 創業者利潤の獲得
  3. 事業の存続・成長
  4. 効率的に経営戦略を遂行可能

今回は、上記のような中小企業にとって特に大きいメリットをご紹介します。それぞれについて、順番に見ていきましょう。

(1)事業承継問題の解決

まず挙げられるメリットが、事業承継問題の解決です。先述しましたが、多くの中小企業が後継者不足に悩んでいます。

中小企業の後継者不足の理由は、大きく分けると下記の3つです。

  • 経営者の子供に会社を引き継ぐ意思がない
  • 従業員に事業承継の資金がない
  • 経営者としての能力を持った後継者がいない

そこでM&Aを利用すれば、第三者に事業承継できます。多くのケースでは、他の株式会社に対して売却するため、後継者の質の面でも問題ありません。

中小企業が抱える最も深刻な課題を解決できるのは、M&Aを活用する大きなメリットです。後継者が身近に見つからずに悩んでいる場合は、積極的にM&Aを検討していきましょう。

(2)創業者利潤の獲得

中小企業の経営者にとってメリットとなるのが、創業者利潤の獲得です。つまり、M&Aによって会社売却すれば、中小企業の経営者は大金を獲得できます。

廃業した場合には、在庫の処分等で費用がかかりますが、M&Aを活用すれば多額の資金が手元に残るのです。獲得した資金を用いて、リタイア後に悠々自適な生活を送れます。

また、新規事業の資金に充てたり、借入金の返済等にも活用できるでしょう。以上の通り、中小企業の経営者にとって、M&Aを用いて会社売却するメリットは金銭面でも大きいです。

なお、創業者利潤を多く得たいならば、M&A手法の中でも株式譲渡を活用するのがオススメとなっています。何故なら株式譲渡では、ノウハウ等の無形資産の価値も売却価格に考慮されるからです。

加えて、株式譲渡は税金面でも事業譲渡を用いた場合と比べて、安く済む可能性が高いと言えます。せっかく得た利益を少しでも多く手に入れたいなら、専門家に節税方法を聞いてみるのも良いでしょう。

(3)事業の存続・成長

次に挙げられるのが、事業の存続や成長です。M&Aによって会社を譲渡すれば、事業を継続出来ます。

それによって、様々なメリットが発生するのです。例えば、中小企業が後継者問題を理由に廃業してしまうと、従業員は職を失ってしまいます。加えて、取引先や顧客にも多大な迷惑がかかる恐れがあるでしょう。

しかしM&Aを活用すれば、その事態を回避可能です。さらには、それまで中小企業が構築してきたノウハウや技術力を残せます。

これは、中小企業によって支えられている日本の経済にとっても、大きなメリットです。

また、大企業とM&Aを実施して傘下に入れば、安定的な状況下で、さらなる事業の成長を目指せます。何故なら大企業は中小企業と比べて、経営資源が豊富な上に、財務状況が安定しているからです。

前述の通り、国内市場の縮小や海外企業の参入によって、競争は激化しています。中小企業が独力で頑張るよりも、大企業の傘下に入った方が、市場で勝てる可能性が高まるのです。

これからの自社の経営に不安があるなら、M&Aで解決できないかを考えてみましょう。

(4)効率的に経営戦略を遂行可能

M&Aを実施すれば、効率的に経営戦略を遂行できるのもメリットだと言えます。その最たる例が、新規事業への進出です。

新規事業に多角化を図る際、普通は自社で製品開発や販路開拓を実施します。しかし製品開発や販路開拓は、思いついてすぐ実現できるものではありません。

市場環境の変化が激しい現代では、経営戦略の遂行にはスピーディーさが求められます。ようやく製品開発が成功し、いざ売り出そうとした時には、既に時代遅れのビジネスになっている可能性は十分にあります。

従来の方法では、新規事業への多角化を成功させるのは困難です。しかしM&Aを活用すれば、スピーディーに多角化を実現できます。

進出したい分野で既に成功している企業とM&Aを実施すれば、遥かに時間を短縮できるはずです。M&Aのための費用は必要なものの、時間を大幅にカットできるのは大きなメリットです。

また、売り手側の中小企業にもメリットがあります。事業譲渡を用いてM&Aを実施すれば、主力事業に集中できるようになるためです。

経営資源に乏しい中小企業にとって、効率的に経営資源を活用出来る点はメリットだと言えます。もしも現在、自社にとって不要な事業があるのなら、M&Aを検討していきましょう。

以上、中小企業がM&Aを行うさまざまなメリットをご紹介しました。M&Aのメリットについてもっと詳しく知りたいなら、以下の関連記事を参考にしてください。

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中小企業のM&Aを活用するデメリット

中小企業のM&Aを活用するデメリット

M&Aには多くのメリットがありますが、当然ながらデメリットも少なからずあります。中小企業がM&Aを行う場合は特に、デメリットも知っておかなければ後悔する可能性は高いです。

ここでは注意しておきたい以下のようなデメリットをご紹介します。

  1. 成功率は高くない
  2. 手間とコストがかかる
  3. 従業員が流出するリスクがある

それぞれについて、順番に見ていきましょう。

(1)成功率は高くない

M&Aにおいて一番注意しておきたいのは、M&Aの成功率は決して高くないという点です。M&Aの成功率は3割といわれており、成功しても想定していたシナジー効果が発揮できないこともあります。

またM&Aに乗り出しても理想的なM&A案件が見つからず、そのまま頓挫してしまうことも少なくありません。適切な相手を見つけて事前に入念な交渉を重ね、デューデリジェンスを徹底することでリスクを洗い出せばM&Aの成功率は上がります

M&Aの成功率を高める最も良い方法は、実力のあるM&A仲介会社に相談することです。どこに相談するかお悩みなら、M&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所は、中小企業のM&A経験も豊富なので、最適なサポートをいたします。

(2)手間とコストがかかる

M&Aは半年から1年半も時間を要するため、手間とコストがかかることもデメリットだといえます。

株式譲渡のような手法は比較的早いですが、合併や事業譲渡のような手法は手続きが煩雑で時間がかかりやすく、また手法を実行するうえで費用が必要となるなど、コストもかかるのです。

このデメリットの厄介な点は、M&Aに関わった人の負担を大きくしてしまうという点にあります。

実際M&Aを行うことに体力を奪われ、M&Aが成約してもその後の経営統合が上手くできなかったという事例は少なくありません。経営統合までしっかり計画を立ててM&Aを進めていきましょう。

(3)従業員が流出するリスクがある

M&Aによって、従業員が流出するリスクがあるのもデメリットです。M&Aは異なる企業文化を持つ会社同士が経営統合を行うものですが、必ず分かり合えるとは限りません。

M&Aを行ってから従業員同士で買い手側と売り手側の派閥ができてしまったり、異なる企業文化に従業員がストレスを抱えるようなことになれば、従業員が次々と離職して流出してしまうことがあります。

その過程で重要な地位にいる従業員が流出すればシナジー効果を大きく下げてしまうことにもなるでしょう。そうならないためには、M&A相手としっかり話し合い、従業員の環境をできるだけ変えないことが大切です。また、M&Aが決まったらていねいに説明することも必要となります。

以上、中小企業がM&Aを行う際に知っておくべきデメリットについて見てきました。注意するべきこともわかったし、実際にM&A案件の探し方を知って手続きを進めていきたいとお考えの人もいるはずです。そこでここからは、中小企業がM&A案件を探す方法について見ていきましょう。

中小企業がM&A案件を探す方法

中小企業がM&A案件を探す方法

中小企業がM&A案件を探す方法は主に3つあります。

  1. 知り合いや取引先経由で調べる
  2. M&A仲介会社や仲介サイトを使う
  3. 銀行や投資ファンドから勧められる
これらの中小企業のM&A案件の探し方について、順番に見ていきましょう。

(1)知り合いや取引先経由で調べる

まず挙げられるのが、身近な人に相談する案件の探し方です。知り合いや取引先経由で調べることは地道ですが、M&A案件を探すうえで有効的な方法の一つだと言えます。

地域のM&A案件は、M&A仲介会社やM&A仲介サイトでも把握していないことも少なくありません。なので、身近な人たちに相談することで意外と良質なM&A案件が見つかることもあるため、最初に活用してみることがおすすめです。

ただし、M&Aを検討していることが広まってしまうと従業員や取引先が混乱することも考えられます。情報を不必要に漏らさない信頼できる相手にだけ相談するべきでしょう。

(2)M&A仲介会社や仲介サイトを使う

M&A仲介会社や仲介サイトを使うという方法は一番オーソドックスなものだといえます。

どちらも日本全国に及ぶ幅広いネットワークを持っていることが多く、理想のM&A案件を見つけやすくなっているのが特徴です。知り合いを頼りにする方法では身近な相手しか見つけにくいですが、M&A仲介会社や仲介サイトを使えば遠方の相手ともマッチングできるでしょう。

もちろんM&A案件を見つけてからの交渉のサポートもやってくれるため、M&Aをスムーズに進められるようになります。ただ、M&A仲介会社や仲介サイトを使う際に費用が発生することもあり、負担は決して少なくありません。

M&A仲介会社は最初の相談は無料のことも多いです。どれだけの費用がかかるか事前に調べておくようにしておきましょう。

(3)銀行や投資ファンドから勧められる

これは自分からM&A案件を探す方法ではありませんが、銀行や投資ファンドがM&A案件を持ち掛けてくれることがあります。

運が良ければ会社の状況に合った、理想的なM&A案件が見つかることもあるでしょう。

しかし銀行や投資ファンドも何かしらの利益を得るためにM&A案件を勧めており、自分の会社への利益がほとんどないM&A案件でも平気で実行しようとすることがあります。本当に自分の会社の利益になるのか、慎重に検討するようにしておきましょう。

以上、中小企業がM&A案件を探す方法でした。悩んだらまずはM&A仲介会社に相談する探し方を試すのが良いです。

ここまで中小企業のM&Aについてさまざまなことをご紹介してきましたが、まだ自社がM&Aをする際の具体的なイメージがわいていないという人も多いのではないでしょうか。ここで、中小企業のM&A事例について見ておきましょう。

中小企業M&AのM&A成功事例と失敗事例

中小企業M&AのM&A成功事例と失敗事例

中小企業のM&Aの成功事例と失敗事例は以下のようなものがあります。

  • 輸入雑貨の販売を行うA社の成功事例
  • 学習塾経営を行うC社の成功事

それぞれについて、順番に見ていきましょう。

(1)中小企業M&Aの成功事例

輸入雑貨の販売を行っている会社Aは新事業として通販事業を行いたいが、設備投資や従業員確保の余裕がなかったため、通販事業を行っているも財務基盤が弱い会社Bを株式譲渡で買収しました。

その結果会社Aは会社Bのノウハウや設備、従業員を活用して通販事業を展開し、会社Bは会社Aの資本をバックにつけることで財務基盤の強化に成功したという事例です。

M&A事例の解説

この事例は典型的なM&Aの成功事例だといえます。

M&Aはお互いの会社に足りない要素を満たすための取引であり、交渉の際にお互いが求めている要素を明確化できれば、順調に進めることができるでしょう。

(2)中小企業のM&Aの失敗事例

学習塾を経営している会社Cは新たな地域に進出するために、その地域で学習塾を経営している会社Dを買収しました。

M&Aは成約したが、その後お互いの業務のすり合わせが上手くいかず、不満を覚えた従業員が次々と離職してしまい、想定していたシナジー効果を得られなかったという事例です。

M&A事例の解説

この事例はどんなM&Aでもあり得る失敗だといえます。M&Aは成約が決まった後も経営統合のためにPMIと呼ばれるプロセスを徹底しなければなりません

お互いの業務や経営方針などのすり合わせが十分でないと、どこかで摩擦が発生してしまいます。

以上、成功事例と失敗事例をそれぞれ確認しました。M&Aが失敗することもあるとわかったら、不安に感じている人も多いはずです。ここで、中小企業のM&Aに特有の注意点も見ておきましょう。

中小企業M&Aに特有の注意点

中小企業M&Aに特有の注意点

中小企業のM&Aには以下のような特有の注意点があるので解説します。

  1. 議決権の確保
  2. 信頼関係の構築
  3. タイミングの見極め
  4. 会社の磨き上げ

これらの注意点を押さえることで、中小企業のM&Aは成立しやすくなるはずです。それぞれについて、順番に見ていきましょう。

(1)議決権の確保

まず考えるべきなのが、議決権の確保です。事業譲渡や会社分割等のM&A手法を活用する際には、特別決議を行う必要があります。

具体的には、特別決議で議決権の3分の2以上の賛成を得ないと、M&Aを実行出来ません。議決権とは、株主が株主総会で投票できる権利で、持株数に応じて与えられます。

株主が身内に集まっている中小企業では、この点は問題になりません。しかし、取引先や全くの第三者に株式が分散している中小企業は要注意となっています。

何故ならM&Aを実施する際に、反対される可能性があるからです。このリスクを回避する為に、中小企業が出来る対策は二つあります。

1つ目は、株式を経営者自身に集める対策です。M&Aを検討し始めた時期から、前もって分散した株式を経営者自身に集めましょう。そうすれば、M&Aを実行する可能性が高まります。

2つ目は、株主とのコミュニケーションです。様々な事情により、分散した株式を集められない場合には、この対策を実践しましょう。各株主に対して、M&Aを活用するメリットや目的等を真摯に説明して、納得してもらいます。

議決権の確保というポイントは中小企業のM&Aでは、見落としがちな落とし穴なので注意してください。

(2)信頼関係の構築

次に挙げられるのが、信頼関係の構築についてだと言えます。これは、中小企業とM&Aを行う買い手側が重視すべき点です。

一般的に、中小企業の経営者は会社や従業員に強い感情を抱いています。売却価格よりも、会社の存続や従業員の雇用継続を重視している中小企業経営者は少なくありません。

ですので、中小企業とM&Aを実施する際には、「信頼関係の構築」や「売り手側企業の感情理解」が必要です。関係者との信頼関係はしっかりと作っていきましょう。

(3)タイミングの見極め

タイミングの見極めも重要なポイントとなっています。中小企業がM&Aを実施する目的は、大抵の場合事業承継です。

日々の忙しさでM&Aの準備が遅れてしまい、十分な準備をせずにM&Aを実施してしまう事例は少なくありません。このような状況では、焦りから有利な条件でM&Aを成立出来ません。

最悪の場合、M&Aの準備が整う前に現経営者が病に倒れてしまい、会社が存続出来なくなる恐れもあります。

また業績の悪化により、希望の価格よりもはるかに低い価格で会社を売却せざるを得なくなる可能性もあります。上記の事態を避ける為にも、中小企業のM&Aでは、大企業の場合以上にタイミングの見極めが必要です。

M&Aの準備に取り掛かるのは早ければ早いほど良いので、興味があるなら積極的に動いていきましょう。

(4)会社の磨き上げ

最後に挙げられるのが、会社の磨き上げです。中小企業か大企業かに関係なく、M&Aの際に経営者は極力高い値段で会社売却したいと考えます。

大企業にはブランド力や経営資源が揃っている為、希望通りの値段でM&A出来る可能性が高いです。しかし中小企業のM&Aでは、希望通りの値段で会社売却出来ないケースが少なくありません。

中小企業がM&Aを成功させる為には、「会社の磨き上げ」によって企業価値を高める必要があります。

今回は、中小企業が実践できる磨き上げの方法を二つ紹介します。

1つ目は、強みとなる分野の強化です。自社の中でも特に強い分野を伸ばせば、企業価値が高まります。
中小企業では、独自の技術力やノウハウが強みとなっているケースが多いです。そうした部分を伸ばせば、中小企業のM&Aが上手くいく確率は高まります。

2つ目は、マイナス要素の削減です。例えば、簿外債務となりうるもの(未払い給与や訴訟等)を解決したり、不要な在庫を処分する等の対策が有効となっています。

中小企業では、この対策が出来ていないケースが多いです。ここを解決するだけで、中小企業のM&Aが満足のいく結果になる確率は上がります。

以上、様々なM&Aの注意点をお伝えしました。もっと詳しくM&Aの注意点について知りたいなら、以下の関連記事を参考にしてください。

※関連記事

M&Aの注意点 (売り手編)

中小企業M&Aをサポートする仲介会社

中小企業M&Aをサポートする仲介会社

中小企業がM&Aを実施する際には、仲介会社にサポートしてもらうのが一般的です。M&Aの成功率を少しでも高めるために、自社に最適なM&A仲介会社に相談しましょう。
 

ここでは、仲介会社を選ぶ上でのポイントついてご紹介します。

M&A仲介会社を選ぶポイント

中小企業がM&Aを成功させる為には、優良な仲介会社を選ぶのは必須条件です。

ここでは、M&A仲介会社を見極めるポイントの中でも、中小企業が特に重視すべきものを紹介します。

  1. 得意業種やM&Aの種類が合っている
  2. 税金の仕組みに詳しい
  3. 仲介手数料のシステムに納得できる
それぞれについて、順番に見ていきましょう。

得意業種やM&Aの種類が合っている

仲介会社ごとに、得意な業種やM&A手法が異なります。

医療分野のM&Aに特化している仲介会社がいれば、中小企業の事業承継に特化している所もあるのです。業種やM&A手法ごとに、M&Aの遂行に必要な知識やスキルが異なります。

中小企業がM&Aを実施する際は、事業承継に特化していたり、スモールM&Aに対応している仲介会社を選ぶのが良いです。

税金の仕組みに詳しい

中小企業がM&Aを実施する際には、税金の仕組みに強い仲介会社を選ぶのがベターです。

M&Aでは、多額の税金が課税されます。何も考えずにM&Aを行うと、せっかく獲得した資金が税金で帳消しになる恐れもあるので気をつけなければなりません。

少しでも手元に残す資金を多くする為には、節税を実施する必要があります。その為には、税務に精通しているM&A仲介会社に業務を依頼すると良いでしょう。

具体的には、税理士が多数在籍していたり、税理士とのコネクションを持っている仲介会社が良いです。

仲介手数料のシステムに納得できる

M&Aを活用する上で、中小企業の負担になりやすいのが仲介手数料です。仲介手数料とは、仲介会社を利用する際にかかる費用です。

仲介手数料にはいくつか種類があり、業者ごとに請求する手数料の種類と額が異なります。なので中小企業にとって、少しでもM&Aの費用を安くするのは重要な課題です。

したがって、中小企業がM&Aを遂行する際には、各仲介業者の手数料体系を比較しましょう。依頼前に見積もりをしっかり出してくれるM&A仲介会社であれば安心して相談できます。

中小企業M&Aの価格

中小企業M&Aの価格

M&Aにとって重要な要素の一つに、M&Aの売却(買収)価格があります。M&Aの価格算定では、様々な方法が活用できるので試してみるべきです。

ただし大企業と中小企業では、適する価格算定方法が異なります。中小企業がM&Aを実施する際は、中小企業に適した価格算出手法を用いなくてはいけません。

ここでは、中小企業M&Aにおける価格の付け方をご紹介します。

  1. 純資産価額方式
  2. DCF法
  3. 類似会社比準方式
それぞれについて、順番に見ていきましょう。

(1)純資産価額方式

純資産価額方式とは、「純資産額」を用いてM&Aの価格を算定する手法です。M&Aの実務上、純資産を時価換算した上で用います。

純資産価額方式では貸借対照表さえあれば、簡単に価格を算出可能です。

加えて歴史ある中小企業ほど、多くの純資産額が計上されています。よって大半の中小企業M&Aでは、この方式を用いて価格を算定しています。

純資産価額方式は中小企業の中でも、特に長期間経営してきた企業の価格算定に向いています。貸借対照表の記載事項を基準とする為、客観的かつ公正な価格を算出可能です。よってM&Aの際には、双方が算出された価格に納得しやすいと考えられます。

またM&Aの価格に、「営業権(のれん代)」と呼ばれる要素を加味するケースも珍しくありません。優良な中小企業の場合、今後得られる利益分の価値を加味するのが合理的です。

営業権(のれん代)とは、純資産額を上回る将来的な収益力を指します。中小企業M&Aでは、3~5年分の営業利益を「営業権」の価格とするのが一般的です。

つまり純資産価額方式では、下記の通りM&Aの価格を算出します。

  • M&A価格=純資産+営業権(営業利益の3〜5年分)

まずは純資産価額方式で目安となる価格を出してみるのが良いでしょう。

(2)DCF法

DCF法とは、将来得られるフリーキャッシュフロー(FCF)を基に、M&Aの価格を決定する方法です。

FCFとは、中小企業が自由に使える資金です。ただしDCF法では、将来的なFCFを現在価値に割り引いたものを採用します。

この概念を理解するには専門的な知識が必要な為ここでの説明は省略しますが、DCF法では対象となる中小企業の将来性を基に、M&Aの価格を算出するものです。なのでM&Aの価格算定としては合理的な手法だと言えます。

ただし中小企業のM&Aに限定すると、少々不向きな価格算出手法です。DCF法では、将来のビジネスプランに基づいて価格を計算します。しかし中小企業の場合、精緻なビジネスプランを作成するのが困難だからです。

加えて大企業と比べ、中小企業の成長性は高くないのが一般的です。よってDCF法を用いた場合、希望に削ぐわない価格が算出されます。

もしくは、M&Aの価格として適正な数値を算出しにくいです。基本的にDCF法は、大企業のM&Aで活用される価格算出手法なので気をつけなければなりません。

ただし、今後成長が見込まれる中小企業ならば、M&Aの価格算定に利用できます。DCF法を用いる際には、算出価格の正当性を担保するのが重要です。

(3)類似会社比準方式

類似会社比準方式とは、対象の中小企業と類似する企業を基準に、M&Aの価格を算定する方法です。この際参考にする企業は、上場企業である必要があります。

中小企業を基準とした場合、算出されるM&A価格は説得力に欠けるからです。

M&Aの価格算定には、類似企業のPERやEBITDAと呼ばれる指標を活用します。特に中小企業M&Aに限ると、EBITDAを活用する事例が多いです。

EBITDAとは、営業利益に減価償却費を足し合わせた数値のことで、中小企業M&Aの価格算定では類似企業のEV/EBITDA倍率を利用します。

具体的には、類似企業のEV(企業価値)がEBITDAの何倍かを算出し、EV/EBITDA倍率を出してください。そして中小企業のEBITDAに、EV/EBITDA倍率を掛け合わせれば、M&Aの価格を算出できます。

類似する上場企業を参照する為、非常に客観性の高いM&A価格を導ける方法です。ですので、売り手・買い手双方が納得できます。

しかし類似会社比準方式は、全ての中小企業に適した方法ではありません。基本的には、創業まもない中小企業の価格算定に利用されています。

創業まもない中小企業とは、いわゆるベンチャー企業です。創業まもない中小企業のM&Aならば、客観性があり、かつ満足できる価格を算出できます。

ただし一般的な中小企業の場合、妥当な価格とならない可能性が高いです。EV/EBITDA倍率は、一般的に10倍以上となります。つまりこの手法を用いると、M&A価格は利益の10倍以上となる事例が殆どです。

基本的に高値となるので、成長性の低い中小企業には不向きな手法となっています。

以上が、中小企業M&Aで用いられる価格算出手法です。中小企業の中でも、成長性や今後の展望によって、最適な価格算出手法は異なります。

価格の算出は専門的な知識が必要となるので、具体的な価格の決定は専門家のもとで行うのがベストでしょう。

※関連記事

会社売却の価格の決め方は?M&A前に押さえるべきこと

中小企業のM&Aの件数

中小企業のM&Aの件数

中小企業のM&Aの件数は年々増加しており、2019年には3,500件を超えるまでになりました。

事業拡大や事業承継のためにM&Aを行うという手法も定着しており、またM&Aをサポートしてくれる機関や会社も増えているため、以前よりもM&Aが行いやすくなっていることも一因に挙げられるでしょう。

またベンチャー企業が財務基盤を強化するために積極的にM&Aを受けたり、海外進出の手段としてクロスボーダーM&Aを行う会社も増えているなど、M&Aはあらゆる場面で使える手法であるため、今後も増加傾向は続くと考えられます。

中小企業を経営しているものの将来に不安があるなら、積極的にM&Aを検討してみましょう

まとめ

まとめ

事業承継問題や経営の先行き不安に悩む中小企業にとって、M&Aは救世主となり得る手法です。実際にM&Aの活用により、様々なメリットが中小企業にもたらされます。

ここ数年は、中小企業M&Aの成功件数が増加しており、多くの中小企業が、M&Aによって事業承継等の課題を解決しているのです。

しかし、M&Aの実施には多大な時間やコストがかかります。それに加えて、M&Aを成功させる為には、膨大な手続きを実施しなくてはいけません。

中小企業がM&Aを成功させる為には、早い段階からの綿密な準備が不可欠となっていますが、中小企業がM&Aを独力で実行するのはとても困難です。なので信頼できる仲介業者にサポートを依頼するのがおすすめです。

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