2022年11月13日更新事業承継

中小企業庁が実施する事業承継支援策をわかりやすく解説

中小企業庁では、中小企業が円滑に事業承継を実施できるよう、税金や資金面などの支援を提供しています。中小企業庁が策定した事業承継ガイドラインも、事業承継を実施するうえで有益な指針です。この記事では、中小企業庁が実施する事業承継支援を解説します。

目次
  1. 中小企業・事業承継とは
  2. 中小企業庁の事業承継支援と現状
  3. 中小企業庁が実施する事業承継支援策
  4. 事業承継を支援する関係機関
  5. 事業承継のリスク
  6. 中小企業庁が実施する事業承継支援策のまとめ
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中小企業・事業承継とは

まずは、中小企業および、多くの企業が悩まされている事業承継の概要を順番にわかりやすく解説します。

中小企業とは

中小企業基本法によると、中小企業は業種によって以下の4種類に分類されています。

  • 卸売業…資本金1億円以下、従業員100人以下
  • サービス業…資本金5000万円以下、従業員100人以下
  • 小売業…資本金5,000万円以下、従業員50人以下
  • 製造・建築・運輸・その他業種…資本金3億円以下、従業員300人以下

中小企業とは、上記のいずれかの条件を満たしている会社のことだと定義されています。日本国内では、全体のおよそ99.7%を中小企業が占めています

我が国の経済は、中小企業が支えているといっても過言ではありません。中小企業庁は、日本の経済を支える各企業を様々な面からサポートしています。

【関連】中小企業の廃業理由とは?廃業数・廃業率の実態・推移と相談窓口も紹介| M&A・事業承継の理解を深める

事業承継とは

事業承継とは、代表者の交代に伴い、現在営んでいる会社や特定の事業を他者に引き継ぐ行為のことです。事業承継は大きく3つの方法があります。現在の代表者の親族に承継する方法、社内の優秀な従業員に承継する方法、M&Aで第三者に引き継ぐ方法です。

一昔前であれば、親の会社はその子供が継ぐイメージがありました。しかし現在では、親族内承継は40%程度となっています。その理由には、以下の要因があります。

  • 子供に自由な職業について欲しいと考える経営者の増加
  • 事業承継する後継者が見つからない

上記の要因の背景には、人口の減少に伴う労働者自体の減少があります。取引関係のない会社や個人への事業承継が増え、M&Aの使用頻度が高まっている状況です。中小企業も同様であり、現在は代表の交代などに伴ってM&Aが利用されています。

事業承継やM&Aを検討されている場合や後継者がいなくてお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所には専門的な知識や経験が豊富なアドバイザーが在籍しており、培ったノウハウを生かしてM&Aをフルサポートいたします。

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中小企業庁の事業承継支援と現状

中小企業庁は事業承継に対してさまざまな支援を施しています。なぜなら、各企業が独力で事業承継問題を解決するのが困難だからです。現在、中小企業が事業承継を実施するのは非常に難しいです。しかし、経営者の多くが今の会社を引き継ぎたいと考えています。

しかし、事業承継の需要に対して労働人口が追いついていない、後継者がいない中企業が多いのが現実です。業績不振を理由に、資金的な問題で廃業を余儀なくされるケースもあります。望めば誰しもが会社を売却できるわけではありません。M&Aの実行により企業の安定を得られるわけでもありません。

一方で、経営者のなかには、自身の代で会社を終わらせたいと考えている人もいます。主な理由は、債務超過や後継者不足、市場の需要への不安などです。

中小企業の経営者の多くは適切な後継者さえいれば、事業承継をしたいと考えていますが、単純に事業承継を実行するのは可能であるものの、会社は経営を続ける必要があります。経営を安定させて利益を生み出さなくては倒産してしまいます。

しかし、具体的な指針がないと、独力で事業承継を成功させるのは困難です。その指針を示すために、中小企業庁が事業承継に関する各種支援を実行しています。 

中小企業庁が実施する事業承継支援策

中小企業庁では、中小企業の事業承継に対するさまざまな支援策を立てています。代表的なものを以下にまとめました。

事業承継の相談・サポート

中小企業庁の方針により、事業承継・引継ぎ支援センターが事業承継問題に悩まされている中小企業の相談・サポートを実施しています。

事業承継・引継ぎ支援センターとは、国が設置する公的相談窓口であり、 親族内への承継であっても、第三者への引継ぎであっても、 中小企業の事業承継に関するあらゆる相談に対応しています。

補助金

政府は、事業承継に関する補助金制度として、事業承継・引継ぎ補助金を整備・運用しています。これは、事業承継をきっかけに新しい取り組み等を行う中小企業者等および、事業再編・事業統合に伴う経営資源の引継ぎを行う中小企業者等を支援する制度のことです。

この補助金で仲介手数料やフィナンシャルアドバイザー費用が補助対象となる登録支援機関を検索できる「M&A支援機関登録制度」も運用しています。

税制

中小企業の事業承継に役立つ税制支援として代表的なものは、法人版事業承継税制です。これは、円滑化法にもとづく認定のもと、会社や個人事業の後継者が取得した一定の資産について贈与税や相続税の納税を猶予する制度のことです。個人事業者の事業用資産を対象とする「個人版事業承継税制」も整備・運用されています。

設備投資減税、雇用確保を促す税制、準備金の積立の3つの措置を活用できる「経営資源集約化税制」のほか、M&A時の不動産の権利移転にかかる登録免許税・不動産取得税を軽減する「登録免許税・不動産取得税の特例 」も用意されています。

金融支援(融資・信用保証)

政府による金融支援(融資・信用保証)の代表例は、日本政策金融公庫等の融資、信用保証です。株式の買取や相続税の支払いなど、事業承継にあたって求められる資金に対して、融資や信用保証を受けることが可能です。

経営者保証解除支援

中小企業の経営者は事業立ち上げに際して経営者保証を行っているケースがほとんどです。中小企業庁では、経営者保証の解除に向けて、「経営者保証に関するガイドライン」の充足状況のチェックおよび、金融機関との目線合わせなどを支援しています。

株式の集約

事業承継を成功させるには、後継者に対して当該企業の株式を集約させることが大切ですが、政府により遺留分に関する民法の特例が整備されているため、後継者が先代経営者の推定相続人との間で遺留分に関する各種の合意を行うことが容易になっています。

所在がわからない株主の株式の取得にかかる手続の時間を5年から1年に短縮する「所在不明株主に関する会社法の特例」も整備されています。

ファンド

独立行政法人中小企業基盤整備機構により、中小企業基盤整備機構ファンド事業が運用されています。これを活用することで、MBO(マネジメント・バイアウト)を含む事業承継を目指すことが可能です。

後継者教育・支援

政府は、後継者育成・サポート施策として、中小企業大学校(座学・演習・実習による知識、現場の知恵の習得、自社の分析により経営者に必要なマインドやスキルの向上を図る)およびアトツギ甲子園(新規事業等にチャレンジする後継者候補を応援するピッチコンテスト)を整備し運用しています。

【関連】経営者保証に関するガイドラインとは?ポイントや要件をわかりやすく解説| M&A・事業承継の理解を深める

事業承継を支援する関係機関

代表的な機関を以下に列挙しました。

  • 日本弁護士会連合会:弁護士は、会社の現状調査と事業承継計画の立案や株式の承継をサポートする役割を担う。
  • 日本税理士会連合会:税理士は、税務に加えて自社株評価や資金調達サポートなどの業務を担う。
  • 日本公認会計士協会:公認会計士は、企業価値評価と財務DDで重要な役割を担う。
  • 日本司法書士会連合会:司法書士は、不動産分野の法律問題に強く、事業承継で的確な助言を提供できる。
  • 日本行政書士会連合会:行政書士は、事業承継時の許認可の承継等をサポートする。
  • 中小企業診断協会:事業承継に特化した経営コンサルティングを展開している中小企業士もいる。
  • 事業承継・引継ぎ支援センター

事業承継のリスク

事業承継は、企業の経営を後継者に引き継いで存続させるための方法です。しかし、事業承継は多くの企業の大きな課題となっています。本章では、特に後継者に関する注意点をお伝えします。

①後継者の確保

企業の経営が事業承継後に傾くケースは少なくありません。その原因の1つに、後継者問題があります。経営の資質がある後継者がみつかる前に事業承継を進めると、このようなケースになりがちです。

後継者がいないリスクは、前任の経営者が優秀であるときほど高まります。企業がその経営者に依存してしまい人材が育ちにくくなるからです。後継者の確保には、経営者が育てる意識を持つことが重要です。

業務分担をしたり経営の知識がある部下を側に置いたり、部下の自主性に任せて仕事をさせたり、得意先との重要な商談に同行させたりして、後継者の顔を売り込みましょう。後継者育成は短期間ではできないため、長期的な視野で着実に育てていきます

後継者の社会的信用が、それほどないケースも多いです。経営者の信用により金融機関やスポンサーは資金を融資してくれたり、契約をしたりしてくれます。しかし、後任者の社会的信用がなければ融資を打ち切られて経営に影響してしまいかねません。

②M&Aでの買い手の選択

多くの企業が事業承継の方法として、M&Aを選んでいます。後継者がいないケースや業績が下がって企業の存続が難しいケースなどでは、別会社からの買収で存続を図れます。ただ、M&Aでの買い手の選択が非常に重要です。

間違った選択をしてしまえば、買収後に売り手企業の跡形がなくなることもあります。事業承継が目的で企業を売る場合は、買い手企業との意思確認をしっかりと行わなければなりません。まず、買い手の目的を聞きます。拠点を得るためや従業員を増やすためにM&Aを行う企業も多いからです。

売り手の事業に関心があり買収してからも残そうとしてくれる企業かどうかを確認し、買収後の経営についても確認します。これまでの事業を評価してくれる買い手の場合は、M&A後でもそれほど社風は変わらない可能性が高いです。ただし、多くの条件を設定してしまうと買い手がみつからなくなるため、条件の優先順位を決めることもポイントです。

中小企業庁が実施する事業承継支援策のまとめ

中小企業の事業承継問題は年々深刻化しています。事業承継したくても、できずに廃業してしまう中小企業は少なくありません。この問題を踏まえて中小企業庁は、様々な事業承継支援策を実施しています。中小企業庁の支援策は、事業承継を実施するうえで非常に有効です。

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