2022年12月1日更新会社・事業を売る

事業再生の手法とは?M&Aを利用する方法、手続き、メリット、成功のポイントも解説

事業の業績悪化が続く場合、事業再生により健全化を図ることがあります。M&Aを活用する方法もあるので、最善手を見極めるためには各特徴を押さえておくことがポイントです。本記事では、事業再生の手法や手続き、メリットを解説します。

目次
  1. 事業再生とは
  2. 事業再生の手法一覧
  3. 再生型M&Aとは
  4. 事業再生の手続き
  5. 事業再生のメリット・デメリット
  6. 事業再生の成功ポイント
  7. 事業再生で利用できる支援制度
  8. 事業再生ADRとは
  9. 事業再生の相談におすすめの仲介会社
  10. 事業再生の手法まとめ
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事業再生とは

事業再生とは、事業単位の見直し・改善を通して、企業全体の再生を目的とする戦略のことです。主に不採算事業を対象として、債務整理や再生計画で健全化を図るのが一般的な手法です。しかし、必ずしも不採算事業を立て直せるとは限りません。再生が難しい判断された場合、不採算事業を切り離して清算という手法を活用することも珍しくありません。

廃業するとすべての事業が消滅することから、会社の価値自体が失われてしまうため、採算事業だけでも残せるように切り離して個別に再生しようと考えます。

企業再生との違い

事業再生に関して調べていると、企業再生の言葉を目にすることがあります。これらの言葉に違いがあるとすれば着目点で、事業再生は事業単位、企業再生は会社全体の再生となっています。どちらも最終的な目標は会社全体の健全化なので、同一の趣旨で用いられることが多いです。明確な定義はないので、違いを意識する必要はほとんどありません。

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事業再生を検討するタイミング

事業再生が成功すると債務整理・免除ができて再スタートを切れます。しかし、タイミングが遅れてしまうと、手法選択の幅が狭まったり得られる効果が薄くなったりする弊害もあります。手遅れにならないためには、早期に事業再生を検討することが大切です。主なタイミングとしては次の2点が挙げられます。

  • 事業の業績が悪化
  • 経営状態が悪く廃業を検討

事業の業績が悪化

事業の業績が悪化してキャッシュ・フローが回らない状態であれば、事業再生の必要性があると判断できます。早期段階であれば自力の事業再生も十分に可能です。返済計画の見直しや業務効率化による経費削減などで改善を目指すことになります。

経営状態が悪く廃業を検討

経営状態が深刻な状態になった場合は廃業と事業再生の二択に迫られることがほとんどですが、この段階に入ると法的再生・私的再生や再生型M&A手法で再生を目指す形が一般的です。収益性の高い事業などをアピールして、資金力・信用力のあるスポンサーをみつけられれば、資金が必要になる手法でも対応できます。

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事業再生の手法一覧

事業再生には複数の手法があり、会社の立て直しを検討の際は各手法の特徴を把握できていると進めやすくなります。ここでは、事業再生・法的再生・私的再生の3つの手法を解説します。

事業再生

業績が悪化した企業は再建に向けて、まず事業再生の検討から入ることが多いです。これは、法的再生や私的再生では法人格を維持できなくなる場合があるためです。

事業再生とは

事業再生では、不採算事業の立て直しを中心に進めます。事業の清算途中では、該当事業に属する従業員の雇用を維持するように努めなければなりません。事業再生の目標は、債務整理とキャッシュ・フローの健全化です。スポンサーをみつけられる場合は、キャッシュを補填しながら不採算事業の再生を目指します。

しかし、中小・零細企業の場合はスポンサーがつかないケースも多いです。自力再建型で進める場合は、コストカットや金融機関等の債権者と返済計画の見直しの交渉を行います。

事業再生のポイントは【赤字事業の整理】

事業再生を成功させるには、赤字事業の整理が必要不可欠です。資本投入や業務方針の変更だけで改善が難しい場合は、従業員の解雇による経費削減も検討する必要があります。債務弁済に関しては、中長期的な返済計画を立てます。返済計画が定まれば資金繰りの目処がつき、全体の立て直しもしやすいです。

法的再生

法的再生とは、裁判所の管轄下で話し合いを行って再生を進める手法のことです。再建型の民事再生・会社更生・特定調停、清算型の破産・特別清算などがあります。

法的再生の種類

法的再生は、大まかに再建型と清算型の2つに分かれます。再建型は、会社を存続させたまま負債の圧縮や事業の改善を行って事業再生を図ることです。さらに、民事再生・会社更生・特定調停などの方法に細分化されます。

これに対して、清算型とは、破産や特別清算といった会社を解散させて事業再生していく手法のことです。

法的再生の流れ

法的再生の大まかな流れは以下のとおりです。

  1. 法的再生と私的再生の特徴を把握する
  2. 私的再生のシミュレーションを行う
  3. 私的再生が難しい場合は法的再生を検討する
  4. 法的再生に基づいた事業計画を策定する
  5. 法的手続きを実行する

法的再生は再生手続きを進めていることが公になるため、世間に与える印象が悪くなる欠点があります。業種次第ではイメージダウンの影響は大きいので、再生後の事業展開に影響を与えるケースが珍しくありません。

基本的には私的再生の検討から入る形になり、法的再生と私的再生の利点・欠点を把握したうえで私的再生のシミュレーションを行い、実践可能かどうか判断します。私的再生の実行が難しい場合や、得られるメリットが少ないとの判断が下された場合は、法的再生の手続きに変更する仕組みです。法的再生にもとづいて計画を策定し、法的手続きの実行に移します。

法的再生と私的再生

破産手続きでは、基本的に債権者からの同意を得なければなりません。私的再生ではすべての債権者から個別に同意を取り付けたうえで、再生計画を実行に移します。

法的再生は、一定の債権者の同意を得たうえで裁判所からの認可を受ければ実行可能である特徴があります。透明性・公平性のある裁判所からの認可を受けた時点で多くの債権者が納得するので、ハードルは低いです。

法的再生のメリット・デメリット

法的再生の利点は、再生計画に反対する債権者がいた場合でも債務整理が行える点です。透明性・公平性の維持や多数決の原理で、賛成側が反対側を法的に拘束できます。

法的再生の欠点は、再生手続きを進めている事実が公になることです。顧客・取引先や世間に与えるイメージが悪くなるので、債務整理が行えたとしても再生後の事業が安定しなくなる危険性を孕んでいます。

私的再生

事業再生の3つ目は私的再生です。基本的には、債権者に対して資金繰りが苦しいから借入金の返済条件を緩くしてほしいと提案することをさします。

私的再生とは

私的再生とは、裁判所が直接関与しない形で当事者間の話し合いにより再生手続きを進める手法のことです。法的再生とは異なり、議決で反対する債権者を拘束できないので、すべての債権者との交渉・和解によって再生を進めていきます。

法的再生と比較すると実行のハードルは高くなりますが、手続きが公にならないなどの利点があるので、債務者企業視点では私的再生の優先度が高くなります。

私的再生の条件

主な条件は、以下のとおりです。

  • 債権者の数が少なく公平性を維持できること
  • 債権者が事業再生に協力的であること

一般的に、法的再生よりも多くの弁済が見込めない場合は、債権者の合意が得られないのが通常であり、私的再生の実施は困難とされます。

私的再生のメリット・デメリット

私的再生の利点は、手続きに要する費用が削減できることです。再生計画に関して裁判所に介入されることがないので、裁判所に対して支払う予納金などの費用を用意する必要がありません。私的再生の欠点は、反対する債権者がいる場合は成立しないことです。1人でも反対者がいると実行できないため、法的再生を強行する債権者などが現れて私的再生ができなくなるケースもあります。

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再生型M&Aとは

事業再生には再生型M&Aと呼ばれる手法もあります。目的や条件に合わせて用いるM&A手法を変更することで、事業再生の成功率を高めやすい点が特徴的です。この章では、再生型M&Aの4つの手法の特徴やメリット・デメリットを解説します。

  • 企業再生方式
  • 事業譲渡方式
  • 会社分割方式
  • 第二会社方式

企業再生方式

債務者企業の法人格を維持する形で、優良事業を中心に再生を目指す手法です。債務者企業はスポンサー企業の傘下に入ることで再建していくことが可能となります。基本的に、母体が大きい企業が利用することが多い手法です。

中小・零細企業の場合、顧客・取引先から無理に取引を継続する必要がないと判断されれば契約を解除されるおそれがあるので、あまり友好的な手法ではありません。

企業再生方式のメリット・デメリット

企業再生方式の利点は、融資で資金面の問題をクリアできることです。資金的な余裕が生まれると再生計画の選択肢を豊富に持てるので、事業再生の計画性が増します。企業再生方式の欠点は、スポンサー企業に事業実態を移す場合、承継のための手続きが煩雑になりやすいことです。

該当する事業や取引の規模が大きくなるほど手間は増えるので、許認可や雇用などの引継ぎが複雑になるケースが多いです。

事業譲渡方式

事業実態をほかの法人格に移して、優良事業を中心に再建を目指す手法です。移転させた優良事業はスポンサー企業の一事業として再建を行い、残された会社は事業の譲渡代金や遊休資産などを使って清算します。再生手続き・破産手続きの場合でも利用できる手法なので、会社の規模に関係なく活用できます。中小・零細企業の再生型M&Aでは最も活用しやすい手法です。

事業譲渡方式のメリット・デメリット

事業譲渡方式の主な利点は、優良事業の劣化を抑えられることです。再生対象の事業を早期に切り離すことで、債務の影響を受けることなく存続させられます。

清算手段が明瞭なのでスポンサーが付きやすい利点もあります。優良事業の譲渡代金を残された債務者企業の清算に充てることが可能です。

事業譲渡方式の主な欠点は、顧客・取引先や許認可などの権利義務の承継が複雑なことです。事業譲渡は包括承継ではないので、譲渡する優良事業に関連する手続きを個別に進めなくてはなりません。

会社分割方式

事業実態を他の法人格に移して優良事業を中心に再建を目指す手法です。事業譲渡方式との違いは事業の譲渡先が新設会社であることです。多くの場合は、スポンサー企業が新設する会社に優良事業を移し、再生を目指す流れになります。

債務者企業は債権者の協力を得ながら再生を目指しますが、優良事業がなくなった状態での再生は難しいため、結果的に清算の形をとります。

会社分割方式のメリット・デメリット

会社分割方式の利点は、優良事業の早期再建を達成しやすいことです。過度な債務を抱えていない優良事業のみを切り離すので、新規の借入なども受けやすく再建しやすい特徴があります。

権利義務関係の引継ぎが簡便であるといった利点もあります。会社分割は事業に関する権利義務を包括承継する手法なので、別個に交渉の必要なく引継ぎを行い、事業再生を図ることが可能です。会社分割方式の欠点は、会社新設の際に一定費用の出費が伴うことです。事業を新設会社に移す手法なので、新設会社の登記・公告で固定費用がかかります。

第二会社方式

事業実態を他の法人格に移して優良事業の存続を図り、不採算事業や債務が残された旧会社を清算する手法です。ほかの手法と異なる点は、新設会社の設立者が身内であることです。スポンサーがみつからない場合でも利用できるので、取引規模の小さい中小・零細企業でも事業再生に活用しやすい手法といえます。

第二会社方式のメリット・デメリット

第二会社方式の利点は、優良事業の存続により社会的意義が認められやすいことです。債務がない綺麗な状態で切り離せるので、引き継がれた事業や従業員は新規一転して業務に取り組めます。欠点は、優良事業を譲り受けるための資金が必要なことです。親族や社員からでは十分な資金を確保できない場合もあるので、必然的にスポンサーが必要になるケースも少なくありません。

【関連】M&Aを活用した事業再生とは?メリット・デメリットの流れをご紹介| M&A・事業承継の理解を深める

事業再生の手続き

事業再生の手続きは長期化することが多いので、計画的に実行する必要があります。詳細な手続きは用いる手法によって異なりますが、おおまかな流れは以下の手順です。

  1. 事業の現状を把握する
  2. 事業再生の方針を策定する
  3. デューデリジェンスを実施する
  4. 事業計画案を作成する
  5. 採算部門と不採算部門を洗い出す
  6. 不採算部門から撤退する(場合により、資本増強)
  7. 採算部門を分割して経営力を増強する
  8. 資金提供者・スポンサーを探す
  9. 資金確保
  10. 再生手続きの開始・再生手続きを実行する

①事業の現状を把握する

まずは、事業再生の方針を策定するために会社や事業の現状を把握することに努めます。現状を正しく認識できれば不要な事業や改善すべき点を明確化して社内全体で共有することが可能です。

現状把握では特に財務状況が重要です。債権者別の借入金残高や提供している担保を把握して、会社が置かれている状況を把握します。

②事業再生の方針を策定する

事業や財務内容の現状を把握できたら、事業再生の手法選択を協議します。法的再生や私的再生の債務整理は実行しないことに越したことはないので、基本的には自力の事業再生を先に検討する形です。債権者とのリスケジュールによって改善の見通しが立つ場合は一般的な事業再生、スポンサーからの資金提供が必要な場合は私的再生や再生型M&Aを検討する流れになります。

③デューデリジェンスを実施する

事業再生の方針が決まったら、財務デューデリジェンスを実施します。事業再生の方針決定のもとになった資料が正しいものであるか、財務内容を中心に徹底的に精査します。デューデリジェンスの過程で問題点が抽出されることも多いですが、そのための工程なので焦ることなく事業計画に生かすことが大切です。

④事業計画案を作成する

策定した事業方針にデューデリジェンスの結果を反映させて、事業再生後の計画案を策定します。3年ほどの期間を目安として、経費削減や収益力の向上に関する計画を作成します。事業計画案は、事業再生でスポンサーを募る場合でも協力を取り付けるために活用できる資料です。きちんとした計画があることを示すためには、丁寧に作成しておく必要があります。

⑤採算部門と不採算部門を洗い出す

事業再生は採算部門と不採算部門を切り離すこと考え方なので、明確に分類しておくことが大切です。デューデリジェンスの過程で大体把握できているはずなので、この工程では整理しておく程度です。

⑥不採算部門から撤退する(場合により、資本増強)

洗い出された不採算部門の扱いに関して協議を行います。不採算の原因が資金不足である場合は、増資などで資本を増強することで対応することが可能です。資本増強や経費削減を行っても改善の見通しが立たない場合は不採算部門の清算を検討する必要があり、切り離す手法や事業に属する従業員の雇用継続に関して協議を行います。

⑦採算部門を分割して経営力を増強する

競争力や収益力がある採算部門を分割したら、リソースを集中させて経営力の増強を図ります。不採算部門を清算する場合は、使用している設備や人材を回すなどの手段も有効です。

⑧資金提供者・スポンサーを探す

事業再生の実行資金やその後の事業資金を確保するため、資金提供者・スポンサーを探します。資金力・信用力のあるスポンサーから信用の供与を受けられれば、失った信用を回復させることが可能です。

自力の事業再生の計画を進めている場合はスポンサーは必須ではないですが、資金が潤沢にあれば計画に幅を持たせやすいのでスポンサーが付いたほうがよい結果が得られやすくなります。

⑨資金確保

資金提供者・スポンサーがみつかったら、事業計画案を提出して事業再生計画の妥当性を審査してもらいます。債権回収の見込みがあると判断された場合は、資金を確保することが可能です。

⑩再生手続きの開始・再生手続きを実行する

債務免除を受ける事業再生手法の場合、主要な債権者に初期相談を行っておくと手続きが進めやすくなります。特に私的再生の場合は全ての債権者の同意を得なくてはならないので、重要な工程です。

債務者企業の清算を行う事業再生手法の場合は、連鎖倒産の危険性を考慮する必要があります。不良債権が原因で連鎖倒産するケースは珍しくないので、取引先の買掛金などはできる限り手当しなくてはなりません。

準備が整ったら、用いる手法に合わせた再生計画案に沿って手続きを実行します。債権者に対しては、事業再生に至った経緯や再生後の事業計画について説明する必要があります。

【関連】事業再生の手法と流れ、成功させる7つのコツを徹底解説【事例あり】| M&A・事業承継の理解を深める

事業再生のメリット・デメリット

業績が悪化していて会社の存続が難しい状況になると、廃業と事業再生のどちらかを選択しなくてはなりません。この章では、会社にとってどちらの選択がよいのか、検討しやすいように事業再生のメリット・デメリットを解説します。

事業再生のメリット

事業再生を選択するメリットには、主に以下の3つが挙げられます。事業再生を行うと、債務や経営上の欠陥などの業績悪化の原因を取り除いて会社や事業を存続させることが可能です。

事業の存続が叶えば、従業員の雇用や取引先との契約を維持することも可能です。廃業の場合は全て失われてしまうので、事業再生すること自体に大きな価値があります。事業再生の主なメリットは以下のとおりです。

  1. 債務整理ができる
  2. 従業員の雇用を維持できる
  3. 取引先との関係を維持できる

事業再生のデメリット

事業再生の手法には、一部の債権者に債権放棄を要求するものがあります。法的再生は多数派が少数派を拘束できる手法なので、反対する債権者に迷惑をかけるおそれがあります。

事業再生の手法次第では、債務免除を受ける際に経営者は経営責任を問われて辞任などの対応を求められかねません。会社を窮境状態にした原因が経営者にあることが明確な場合は、高い確率で辞任を迫られます。

事業再生は、計画策定から実行まで長い工程が必要になるので計画性が求められます。綿密に練られた計画に沿って慎重に手続きを進めなくてはなりません。

事業再生の主なデメリットは以下のとおりです。

  1. 一部の債権者に迷惑をかける
  2. 経営責任が問われる
  3. 計画的に手続きを進める必要がある

事業再生の成功ポイント

事業再生を成功させる際は、以下のポイントを実践することが大切です。

  • 成功させる決意をする
  • 現状・原因の把握・対策
  • 事業再生に向けたスケジュール構築
  • 社内・社外との情報共有
  • 事業の将来性の見極め
  • スポンサー企業・支援してくれる金融機関探し
  • M&Aの選択肢も提案できる専門家に相談

事業再生を成功させるには、経営者の強い意志・決意のもとで綿密に準備・スケジューリングを行い、手続きを着実に進めていくことが大切です。不明点・不安な点があれば、事業再生に精通する専門家に相談し、サポートを依頼することが望ましいです。

事業再生で利用できる支援制度

事業再生は支援制度を活用することで資金調達することも可能です。日本政策金融公庫は事業者を支援する政策金融機関で、事業再生に関する支援制度を5つ設けています。

  • 経営環境変化対応資金
  • 取引企業倒産対応資金
  • 再挑戦支援資金
  • 中小企業経営力強化資金
  • 企業活力強化資金

経営環境変化対応資金

経営環境変化対応資金は、経済的環境の変化により資金繰りが悪化している事業者を対象にした支援制度です。一時的に悪化しているものの、支援を受ければ中長期的には回復が期待できる事業が対象になっています。
 

資金の用途 設備資金および運転資金
融資限度額 小規模事業者:4,800万円
中小企業:7億2,000万円
返済期間 設備資金:15年以内(うち据置期間3年以内)
運転資金:8年以内(うち据置期間3年以内)

取引企業倒産対応資金

取引企業倒産対応資金は、取引先や関連企業の倒産などで経営困難になった事業者を対象にした支援制度です。売掛金や債権の未回収による損失や、売上減少などのリスクを補完するために利用できます。

資金の用途 取引先の倒産などに伴う運転資金
融資限度額 小規模事業者:3,000万円
中小企業:1億5,000万円
返済期間 8年以内(うち据置期間3年以内)

再挑戦支援資金

再挑戦支援資金は、廃業経験のある事業者に対象にした支援制度です。一度事業に失敗した人が再度事業にチャレンジする際に必要な資金を調達できます。

資金の用途 新事業の資金または事業開始後の設備資金および運転資金
融資限度額 小規模事業者:7,200万円
中小企業:7億2,000万円
返済期間 設備資金:20年以内(うち据置期間2年以内)
運転資金:7年以内(うち据置期間2年以内)

中小企業経営力強化資金

中小企業経営力強化資金は、市場の創出・開拓を行う事業者を対象にした支援制度です。認定支援機関の認定を受けることで融資条件を満たせます。

資金の用途 設備資金および運転資金
融資限度額 小規模事業者:7,200万円
中小企業:7億2,000万円
返済期間 設備資金:20年以内(うち据置期間2年以内)
運転資金:7年以内(うち据置期間2年以内)

企業活力強化資金

企業活力強化資金は、「ものづくり基盤技術」の高度化の研究開発等に取り組む事業者を対象にした支援制度です。経済産業大臣から特定研究開発等計画の認定を受けることで支援を受けられます。

資金の用途 設備資金および運転資金(一部事業限定有り)
融資限度額 小規模事業者:7,200万円
中小企業:7億2,000万円
返済期間 設備資金:20年以内(うち据置期間2年以内)
運転資金:7年以内(うち据置期間2年以内)

事業再生ADRとは

事業再生には事業再生ADRと呼ばれる手法もあります。経済産業大臣の認定を受けた公正・中立な第三者が関与することで、債務を負う事業者が債権者の協力を得ながら事業再生を目指せる制度です。

第三者の関与によって非公開で事業再生の手続きが進められるので、債務者企業の信用を損なう心配がありません。取引先との関係も維持しやすいので、事業再生後の事業も再開しやすい手法です。

欠点としては手続きの厳格さが挙げられます。第三者や専門家による審査を受ける必要もあるので、すべての手続きを終えて事業再生を実行するまでに多大な時間がかかります。

事業再生の相談におすすめの仲介会社

事業再生や手法に関してお悩みの際はM&A総合研究所にご相談ください。再生型M&A手法を含めた事業再生の手法を専門的な知見から比較検討してアドバイスいたします。

再生型M&A手法を用いる際は、M&A経験豊富なアドバイザーが専任につき、煩雑になりがちな事業再生を丁寧にサポートいたします。無料相談は随時お受けしていますのでお気軽にご連絡ください。M&Aや企業再生に明るいスタッフが真摯に対応させていただきます。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所

事業再生の手法まとめ

本記事では、事業再生の手法を幅広く解説しました。M&A手法を活用した再生方法もあり、廃業を回避するための手段は少なくないことがわかります。数ある手法から最善の選択をするためには、早期から事業再生を検討しておくことが大切です。その際はM&Aの専門家などに相談しておくと計画的に進められます。

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