2021年6月20日更新会社・事業を売る

事業譲渡契約書の書き方・記載内容とは?雛形に関する注意点、印紙代も紹介

事業譲渡を実施する際には、「何を」「どれくらい」相手に譲渡するかを細かく定めた「事業譲渡契約書」を作成する必要があります。 この記事では、事業譲渡契約書を作成する方法や、作成に際しての注意点、従業員の取扱いなどを解説します。

目次
  1. 事業譲渡契約書とは
  2. 事業譲渡契約書の書き方・記載内容
  3. 事業譲渡契約書の作成に関する注意点
  4. 事業譲渡契約書の作成時におすすめの仲介会社
  5. 事業譲渡契約書のまとめ
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事業譲渡契約書とは

事業譲渡契約書とは

M&A事業譲渡は、譲渡の対象とするものを何にするのかを自由に設定できます。そのため、資産、債権、債務、財産のどの部分を譲渡するのかを明確に定める必要が出てきます。

そのため、事業譲渡としてどの部分を承継するかの内容を過不足なく記載した「事業譲渡契約書」の締結が必要になります。また契約内容は、見落としや不備がないように気をつけなければなりません。

なぜなら譲渡内容が不確定な分、譲渡契約書がないと後になってトラブルに発展する可能性が高いからです。

①事業譲渡のメリット

譲渡する事業の対象を自由に決定できるため、自社にとって利益が見込める事業や人材など、必要な部分だけを譲り受けられます。一方で、特定の金銭債務だけを譲り受けないとするのも可能なため、財務面のリスクがありません。

また契約書の備置や、債権者異議手続きなども不要になります。

②事業譲渡のデメリット

事業譲渡の場合は、財産の所有権や契約上の地位の移転手続きなど、包括的に移転する方法ではないため、1つずつ移転手続きが必要となります。契約上の地位をそのまま引き継ぐためには、それぞれ承諾が必要になります。

譲受企業は当該事業において許認可が必要の事業であれば、改めて許認可を受けなければなりません。なぜなら事業譲渡の場合は、許認可を引き継げないからです。そのため、時間と手間がかかるといったデメリットがあります。

事業譲渡契約書の書き方・記載内容

事業譲渡契約書の書き方・記載内容

事業譲渡を行う場合、「何を」「どれくらい」相手に譲渡するかを詳細に決定する必要があります。そのため、事業譲渡を目的とした契約書が必要です。前提として、事業譲渡契約書の効力は、売り手と買い手の双方に発生します。

当然、契約書はその都度作成するため、効力は当事者間のみで有効です。事業譲渡契約書を作成する際の書き方や記載内容を順番に解説します。

①譲渡対象の事業

事業譲渡では、基本的に会社の全ては移転しません。従って、譲渡する対象を当事者間で取り決めて、事業譲渡契約書に明記しなくてはいけません。事業の全体を事業譲渡する際には、ある程度内容を明記すれば問題ないのです。

しかし事業の一部を譲渡する場合には、第三者から見てもわかりやすいように作成しなくてはいけません。事業譲渡契約書の効力自体は、当事者のみに発生します。アドバイザーや法税局にも、事業譲渡契約書の提示が必要になるケースもあります。

見せる際に不備がないように、契約書の中身に客観性を持たせましょう。

②譲渡財産・財産移転手続き

事業譲渡で移転されるものは、会社の事業だけとは限りません。対象となる事業とともに、財産の一部を譲渡するケースがあります。このときの財産とは、現金はもちろんのこと、事業に必要となる機材や資料なども含まれています。

財産の移転は、事業譲渡の中でトラブルのきっかけになりやすいです。従って、慎重に事業譲渡契約書を作成しなくてはいけません。このときの注意点としては、事業譲渡契約書には具体的に財産の内容を明記します。

③譲渡金額・対価

事業譲渡を実施する際には、買い手側は相応な対価を支払わなくてはいけません。しかし両者の合意があるなら、無償でも問題ありません。よほどの条件がない限り、譲渡に対してはふさわしい対価を支払います。事業譲渡の場合、対価の多くは現金です。

まれに機材などの物資や、株価で対応するケースがあります。この対価が譲渡する対象に見合っているかは、特定の算出方法を用いれば判断できます。また、一方の会社が提示して、協議を重ねて決定する場合もあります。算定方法も両社で取り決めておくと安心です。

④従業員の引き継ぎ

事業譲渡では、会社の全てを移転するわけではありません。事業譲渡契約書に明記されている内容以外は移転せず、対象となる事業で働いていた従業員は、自動的には移転しないのです。つまり事業譲渡契約書には、従業員を移転させる効力はありません。

事業譲渡の際に、従業員も引き継ぎたいならば、従業員と個々に雇用契約を結び直す必要があります。従って、事業譲渡における従業員の取り扱いは、十分な注意が必要です。譲受する会社としても、譲渡対象になっている事業に詳しい人がいると、経営が安定しやすいです。

よって、従業員も引き継ぎたいと考えるのが一般的です。ここで重要となるのが、従業員本人の意志です。あくまでも雇用契約を結べば、事業譲渡の対象になるだけです。本人にその意志がなければ、従業員は引き継げません。

【関連】事業譲渡とは?会社譲渡との違いやメリット・デメリットを解説!

従業員の移行に関する留意点

前述のとおり、事業譲渡の際に従業員を無条件では移転できません。譲渡対象の事業に従事している従業員であっても、自動的には移転できません。従って、ほとんどの事業譲渡では、従業員と新たに雇用契約を締結させます。

従業員を譲渡する場合には、まず従業員が譲渡先の企業で働く意思がある必要があります。売り手側企業が雇用契約を終了させて、それまでの給与や退職金などを支払います。次に、譲渡先企業で再度雇用契約を締結させる手順になります。

しかし従業員側は、給与や福利厚生、勤務環境が大きく変化するのを覚悟しなくてはいけません。基本的には、前の会社との雇用契約内容を引き継ぎます。場合によっては、1人ずつと面談を行い、能力に見合った給与の支払いや福利厚生のサポートを実施するケースもあります。

雇用関係を再度構築しても、働いていくうちに環境は急速に変化します。そのため、事業譲渡と同時に従業員も譲渡する場合には、以前の企業よりも良い環境や給与であるのが望ましいです。

【関連】事業譲渡が従業員に与える影響

⑤公租公課・公共料金

公租公課は、事業税や固定資産税、自動車税、そして保険料(雇用・社会保険)などがあります。事業譲渡後、公租公課・公共料金は、譲受企業がいつから負担するのかなどを明らかにする必要性があります。

譲渡企業、譲受企業、それぞれの支払額を明確にしておきます。間違って取引相手の負担分を支払ってしまう可能性もあるため、その場合は相手側に清算を求められる旨も記載するなど決めておきます。

⑥事業譲渡手続き(株主総会決議期日など)

事業譲渡の手続きを進めるためには、原則として取締役会決議や株主総会特別決議が必要となります。これらは、事業譲渡などの重要な事項を決定するためには必要なものであり、失敗してしまうと事業譲渡が有効に行えなくなります。

取締役会決議や株主総会特別決議は、実行日前までに採るのを確認するのも重要です。

⑦表明保証・譲渡企業の義務

表明保証とは、譲渡する会社が譲受する会社に対して、事業譲渡の内容に虚偽がない旨を保証するものです。表明保証を締結させるかは、当事者同士で決定できます。しかし譲受側としては、確証を得るために可能な限り締結させたいと考えます。

表明保証には、以下の内容が明記されています。

  • 事業譲渡の契約内容
  • 社内での手続き方法
  • 資産や債務、従業員の移転に関する内容

表明保証を締結すれば、仮に事業譲渡契約書の内容に反する行為が発覚した際に、損害賠償を請求できます。この契約が結ばれていると、事業譲渡の契約が破棄される心配もありません。

従って、虚偽の確認と同時に、売り手側の囲い込みを目的に、表明保証を締結するケースもあります。ですので、売り手側は自社に都合が悪くならないように注意が必要です。

表明保証に対する違反や、その他の義務に対して違反があった場合には、事業譲渡契約書に基づいて、損害賠償として金銭的な補償を実施します。違反の内容やレベル、賠償金額をあらかじめ当事者間で取り決めておく必要があります。

また、違反は故意でなくても発生する恐れがあります。誤って発生してしまった違反に関しても、あらかじめ取り決めておくと安心です。

⑧契約の解除

事業譲渡の手続きがある程度進行していても、解除となるケースがあります。解除となる条件は、あらかじめ取り決めておきましょう。事業譲渡契約が解除となるケースには、以下のものがあります。

  • 表明保証に対して違反があったとき
  • 倒産手続きが開始されたとき

以上が、事業譲渡契約書を作成する際の注意点となります。事業譲渡契約書の作成には、注意点が多々あります。見落としがちな注意点も多いです。一歩間違えると、自社にとって不利な取引になります。そうならないためにも、事業譲渡契約書は慎重に作成しましょう。

加えて、当事者間での話し合いも大事です。契約が実行されれば、事業譲渡が成功となるわけではありません。統合後の経営が重要になります。従って、契約実行後のためにも、しっかりと事業譲渡契約書を作成しましょう。

事業譲渡契約書の作成に関する注意点

事業譲渡契約書の作成に関する注意点

事業譲渡契約書の作成に関する注意点をそれぞれ紹介します。

①収入印紙代の注意点

事業譲渡契約書には、収入印紙を貼付しなければいけません。その収入印紙の金額は下記のとおりです(契約書(1通)に記載された契約金額・収入印紙の順番で紹介)。

  • 1万円未満:非課税
  • 1万円以上10万円以下、契約金額の記載がない:200円
  • 10万円を超え50万円以下:400円
  • 50万円を超え100万円以下:1,000円
  • 100万円を超え500万円以下:2,000円
  • 500万円を超え1,000万円以下:1万円
  • 1,000万円を超え5,000万円以下:2万円
  • 5,000万円を超え1億円以下:6万円
  • 1億円を超え5億円以下:10万円
  • 5億円を超え10億円以下・20万円
  • 10億円を超え50億円以下:40万円
  • 50億円以上:60万円

法令の変更や契約内容によって金額が変わる可能性もあるので、専門家に相談したほうが望ましいです。

【関連】事業譲渡における債権者保護手続きとは?事業譲渡の流れも解説

②海外企業との事業譲渡における注意点

グローバル化の進む昨今は、海外企業との事業譲渡も増加しています。海外企業が、日本での展開を目指す、ノウハウの獲得などを検討している場合、海外企業が事業譲渡の買い手として名乗りを挙げるケースもあります。

しかし、海外企業と契約する際は、日本企業の契約とはまた違い注意が必要です。海外企業の場合は、当然ながらその国の法律で進めることになりますので、日本の法規制と合致しない可能性があります。

たとえば、外国では株主総会決議が不要とされている場合、海外企業の株主総会決議を採らずに進めてしまった結果、日本では有効な事業譲渡とならないケースもあります。また、法規制に関しても双方の法規制にそれぞれ注意を払わなければなりません。日本企業同士とは違った視点で、海外企業と事業譲渡を行う場合は、専門家のアドバイスを得るのが良いでしょう。

③雛形を用いる際の注意点

事業譲渡契約書で雛形を用いる際に注意しなければならないのは、インターネット上での雛形は、あくまでも雛形としての役割です。事業譲渡だけでなく契約書は、実行する契約内容を十分に網羅しておく必要があります。

それでなければ契約書としての意味をなしません。しかも事業譲渡のように、重要なパターンが多くある契約の場合は、専門家に依頼し、内容を十分に確認するのが重要です。

事業譲渡契約書の作成時におすすめの仲介会社

事業譲渡契約書の作成時におすすめの仲介会社

事業譲渡契約書は、売り手側と買い手側双方が合意してから作成するのが好ましいです。実際には、両社が同時に集まって作成するのは現実的ではありません。従って、多くの場合、事業譲渡契約書の原案を売り手側が作成して、それを買い手側に対して提出するのが一般的です。

よって事業譲渡契約書は基本的に自社で作成したほうが、有利な取引に運べる可能性があります。ベースとなる事業譲渡契約書を作成できれば、それに沿って交渉できます。とはいっても、事業譲渡契約書を自社で作成するのは、簡単ではありません。

専門的な知識がなければ、意味を持たない紙に過ぎません。専門家の力を借りて作成してもらい、相手側に提示するのがおすすめです。

事業譲渡を進める際にお困りでしたら、M&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、豊富な知識と経験を持つM&Aアドバイザーが、ご相談からクロージングまで丁寧にサポートいたします。

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事業譲渡契約書のまとめ

事業譲渡契約書のまとめ

事業譲渡にかかわらず、契約書は非常に重要なものです。とはいえ、事業譲渡契約書がメインになるわけではありません。事業譲渡が成功するまでの過程が重要です。事業譲渡は事業の譲渡が終われば終了となります。しかし、重要なのはその後の経営です。

自社にとって有利な事業譲渡契約書の作成ばかり重視するのではなく、その後の経営についても考える必要があります。要点をまとめると、下記になります。

・事業譲渡の作成時に明確にすべきもの
→譲渡対象、対価、従業員の引き継ぎ、公租公課・公共料金、事業譲渡手続き、表明保証、契約の解除

・事業譲渡契約書の作成方法
→専門家に作成してもらうのがベスト

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