2022年6月6日更新事業承継

会社を継ぐとは?息子・娘が引き継ぐポイントやリスク、M&Aの活用を解説

会社を継ぐとは、親や親族が経営している会社を引き継ぐ行為のことです。最近ではM&Aによる事業承継のニーズも高まっているため、本記事を読んで会社を継ぐ方法やタイミング・リスク・注意点などを理解しながら承継を進めていきましょう。

目次
  1. 会社を継ぐ・事業承継
  2. 会社を継ぐことの現代の環境
  3. 中小企業の廃業率の増加
  4. 会社を継ぐ3つの方法とタイミング
  5. 会社を継ぐメリット・デメリット
  6. 会社を継ぐリスクと注意点
  7. 息子・娘が親の会社を継ぐ際のポイント
  8. 会社を継ぐ際の資金対策
  9. 会社を継いだ事例を紹介
  10. 会社を継ぐ後継者に求められる能力
  11. 会社を継ぐ決意のあり方
  12. 会社を継ぐまとめ
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会社を継ぐ・事業承継

会社を継ぐ・事業承継

日本では職業選択の自由が認められており、公務員・会社員・自営業・個人事業主・起業など働く立場の選び方は多種多様です。また、業種や職種は非常に膨大な数に及びます。しかし、限りない職業の選択肢の中にはある環境における限定的な選択肢も存在しており、これが親の会社を継ぐことです。

会社を継ぐ行為は事業承継とも呼ばれていますが、分析するとケースをさらに細分化できます。自身の親が一代で築いた会社を継ぐケースもあれば、先祖から代々受け継がれてきた会社を継ぐケースも少なくありません。また、実子のいない親類から後継者を託されて会社を継ぐケースも見られます。

さらに、血縁関係はなくとも自身の勤めている会社で後継者に抜擢されて会社を継ぐケースもあります。そして、広義に捉えれば、M&Aによる会社買収を通じた事業承継も会社を継ぐ行為に含まれるのです。

いずれにしても、伝統を重んじる風潮が強い日本では会社が事業を継続していくことが暗黙のうちに奨励されており、これを成し遂げるうえで会社を継ぐ行為が尊重されています。

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会社を継ぐことの現代の環境

会社を継ぐことの現代の環境

本章では、あらためて会社を継ぐ行為の意味合いを明確化させます。加えて、会社を継ぐ行為にまつわる事項など、会社を継ぐ行為により発生する事象の概要についてもまとめました。

親の会社を継ぐとは

会社を継ぐ行為を狭義に捉えると、親子間あるいは親族関係において目上の者が経営している会社の跡を継ぐ行為であり、いい換えれば家業を継ぐ行為とも表現できます。経営学の見地からいえば、事業承継も同義語です。

いずれにしても、上記の言葉の意味合いは、現経営者から会社の経営権を譲り受けて(引き継いで)新たな経営者の立場に就く行為に他なりません。

親の会社を継ぐ際に受け継ぐ資産

ここでは、会社を継ぐ(跡継ぎになる)ことで受け継ぐ経営権の具体的な中身について取り上げます。経営権は資産と総称することも可能ですが、実際にはさまざまな要素が含まれているのです。経営権の主たる要素としては、会社の株式が挙げられます。

そして、会社には、事業に必要な機械設備や不動産などの有形資産もあります。また、取引上の債権債務や従業員との雇用契約なども、広義においては資産です。

さらに、前任経営者である親・親類の経営ノウハウ・理念なども、会社を引き継ぎ経営していくうえで貴重な資産だといえます。

親の会社を継ぐに関する現状

最近では、会社を継ぐ局面において新たな現象が増加しつつあります。それは現代の日本全体が抱える超高齢社会における人口構成に関連する問題です。現在よりも平均寿命が低かった時代では、もちろん先代経営者の引退が早く、比較的若い頃に会社を継ぐ構図が主流でした。

しかし、現在では、高齢化の進行により親世代が長く経営者の立場に留まって会社経営を継続しています。この期間において経営者の子供は親の経営する会社に入社し帝王学を学ぶケースもありますが、別の企業に入社するケースも増えました。

前者であれば従来どおりに会社を継ぐ手続きを進められますが、後者では親が引退しない間に子供側が入社した企業において一定のポジションを得てやりがいを持って仕事に取り組んでいるケースが見られます。そのため、子供は必ずしも入社した企業を退社し親の会社の跡を継ぐことを望むとは限りません。

また、少子化の影響で別の兄弟が代わりに跡を継ぐ選択肢も激減しており、身内に後継者にふさわしい人材がいない「後継者不在」の問題が深刻化しています。これを受けて、近年では親族への事業承継を諦めて、従業員への承継やM&Aによる第三者への承継を選択するケースが増加中です。

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中小企業の廃業率の増加

中小企業の廃業率の増加

親の会社を継ぐ行為について把握するうえで、本章では、中小企業の廃業率の推移について確認しておきましょう。中小企業庁の『2020年版中小企業白書』によると、日本企業の廃業率は3.5%です(2018年時点)。日本企業の9割以上は中小企業であることから、このデータからは中小企業の廃業率が見て取れます。

近年、日本企業の廃業率はほとんど横ばいに推移していますが、1981年以来で最も廃業率の低かった1996年の2.5%と比較すると1%増加しています。中小企業の廃業率の増加を受けて、最近では親族内承継や親族外承継だけでなく、M&Aによる第三者への事業承継の選択肢にも注目が集まっている状況です。

このように、中小企業の廃業率の推移は、会社を継ぐ行為の方法に少なからず影響を与えています。

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会社を継ぐ3つの方法とタイミング

会社を継ぐ3つの方法とタイミング

現在では、会社を継ぐ行為の実態が過去と大きく異なります。そこで本章では、現状を踏まえて身内に会社を継ぐ方法である相続と贈与の2パターンとM&Aによる事業承継を比較しつつ、それぞれの実態についてまとめました。

①相続により親の会社を継ぐ方法

経営者が亡くなったタイミングで会社を継ぐことを、相続により会社を継ぐ行為と呼びます。簡単にいうと、親が保有していた会社の株式を相続することで、自動的に会社の経営権を獲得する仕組みです。その結果として、会社の保有する他の資産も相続します。

この方法は相続であるため、相続税が課税される会社の継ぎ方です。会社の規模が大きいほど(業績が良いほど)株価が高くなり、相続税の負担が重くなる点はいうまでもありません。また、相続人が複数いる場合、相続人の間で会社の株式が分散してしまうおそれがある点もデメリットです。

株式の分散は、将来的に会社の経営に混乱を生じさせる可能性が大きいです。もしも会社を継ぐことが明確に決まっているならば、事前に遺言書ですべての株式を会社を継ぐ者に相続させる旨を明確にさせておくと良いでしょう。

②贈与により親の会社を継ぐ方法

先代の経営者が存命のうちに後継者に自社株式を承継する行為は、贈与による会社を継ぐ方法です。この方法の場合、経営者や後継者の望むタイミングで事業承継できます。また、株式の贈与で会社を継ぐ場合、相続税ではなく贈与税が課税される点に注意が必要です。

なお、年間110万円以内の贈与であれば非課税扱いであるため、この制度を活用すれば税負担を抑えたうえで会社を引き継げます。

③M&Aにより親の会社を継ぐ方法

M&Aにより会社を継ぐ方法は、第三者から買収する形で会社を継ぐ行為です。この方法では相続や贈与などとは異なり株式を購入するため、会社を継ぐ際に多額の買収費用がかかります。ただし、相続税や贈与税は課税されません。近年の後継者不在問題の深刻化に伴い、M&Aによる事業承継ニーズが高まっています。

中小企業のM&Aにおいては、従来は資金繰りの悪化や業績低迷などを理由とする事例が多く見られましたが、現在ではM&Aによる売却を検討する会社の中に黒字の優良企業も多く存在します。

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会社を継ぐメリット・デメリット

会社を継ぐメリット・デメリット

本章では、会社の後継者不在問題の現実を見据えるためにも、あらためて親子間や親類間など身内が会社を継ぐ際に生じるメリットとデメリットを順番に詳しく取り上げます。

親の会社を継ぐメリット

親や親類の会社を継ぐメリットは、サラリーマンから経営者になるうえで変化するライフスタイルが代表的です。本記事では、以下3つのメリットに絞って取り上げます。

  1. 自由に経営できる(裁量権が大きい)
  2. フレキシブルな勤務スタイル
  3. 通勤や転勤がない

それぞれの項目を順番に取り上げます。

①自由に経営できる(裁量権が大きい)

親の会社を継ぐ最大のメリットは、経営者(社長)になることで仕事に関する自由度や裁量権が拡大する点です。一般的な会社員は上司の指示のもとで組織の一員として業務を行うのに対して、会社を継げば自身が会社のトップとしてすべて取り仕切る立場に就きます。

とはいえ、結果的には重い責任を持って臨まなければなりません。

②フレキシブルな勤務スタイル

雇われている立場にない経営者であれば、出退勤の時間・出社日・休日などを自由に調整できます。なお、この表現に放蕩経営を称賛する意図はありません。経営者の仕事は、決まった時間に出社して帰宅する時間まで会社でデスクワークをこなすことではないのです。

経営者は、会社や経営のために外部で人と会う時もあれば、勤務時間・休日を度外視して働かなければならない時もあります。そのため、休日制度も一般従業員とは違った形式となるのはやむを得ません。とはいえ、こうした業務にやりがいを感じる人であれば、経営者は楽しい仕事だといえます。

③通勤や転勤がない

親の会社を継いだ場合、中小企業であれば事務所が自宅と併設されているケースも多いです。つまり、サラリーマンであれば必要な通勤の苦労から解放されます。また、遠隔地に支社を設立するといった場合を除いて転勤もありません

上記は経営者からすると当然のことですが、一般の会社員の立場と比較すると大きな違いでありメリットといえます。

親の会社を継ぐデメリット

次に、会社を継ぐことで生じるデメリットについて取り上げます。メリットとデメリットを秤にかけてどちらに傾くかは人それぞれですが、入念に判断するためにも内容を十分に理解しておきましょう。

  1. 安定さに欠ける
  2. 退職や転職が困難

それぞれの項目を順番に詳しく紹介します。

①安定さに欠ける

会社経営の結果はすべて自身の実力次第であり、100%自己責任です。業績が良ければそれだけ多くの報酬が得られますが、業績が悪ければ収入がゼロとなるおそれもあります。こうした収入・報酬面でのデメリットは、サラリーマンと比較すると最大のリスクです。

②退職や転職が困難

会社を継ぐ立場に就いたからには、自身の判断に従業員の生活もかかります。つまり、一般の会社員が行う転職や退職のような感覚で安易に会社を辞めるといった選択肢は取れません。いうなれば、後に引けない立場に立たされます。

なお、業績不振などで止むを得ず会社をたたむ事態に陥った際は手続きに多大な労力がかかるうえに、「元社長」の肩書を理由にその後の転職活動が困難となるケースもあります。

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会社を継ぐリスクと注意点

会社を継ぐリスクと注意点

会社を継ぐ行為には、デメリットとは異なるリスクや注意点も存在します。もしも自信がその立場に立たされているならば、リスクや注意点も十分に理解したうえで会社を継ぐ心構えを持ちましょう。

親の会社を継ぐリスク

会社経営において経営者の重要な仕事のひとつに、資金繰りに関する検討が挙げられます。すべて手元の資金で経営できれば問題ありませんが、それほど潤沢に現金を所持しているケースは稀です。その場合には、金融機関などから借入をして運転資金に充てます。

上場企業でない中小企業が金融機関から借入を行う場合、ほとんどのケースで経営者が連帯保証人に据えられます。そこで会社を継ぐ際に借入金の返済が未完であれば、後継者が連帯保証を引き継がなければならない事態が想定されるのです。

連帯保証とは、万が一に会社が返済不能となった場合に、会社に代わって返済義務を負う債務のことです。連帯保証について十分に把握し、覚悟をしたうえで会社を継ぐ決断をしましょう。

親の会社を継ぐ注意点

会社を継ぐ際に知っておくべき注意点としては、事業サイクルの問題が挙げられます。一般的に事業の寿命(十分な収益を得られる期間)は30年程度とされていますが、その一方で先代経営者が創業から事業承継するまでの期間は平均して20〜30年程度です。

そのため、単一事業のみを行っている場合、後継者は寿命間近の会社を継ぐことになります。これを踏まえると、会社を継いだ後に現状維持のまま望ましい収益を上げていくことは非常に難しく、経営不振に陥る可能性が高いです。

上記の問題を克服するには、顧客ターゲットの変更・商品改良などで事業に何らかの手を加えるほか、新規事業の立ち上げを検討するのも良いでしょう。まったく考えがない状態で会社を継ぐことだけは避けるべきです。

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息子・娘が親の会社を継ぐ際のポイント

息子・娘が親の会社を継ぐ際のポイント

息子や娘が会社を継ぐ際は、経営者と後継者の間で会社を継ぐタイミングを擦り合わせておくことが必要です。この両者の間で考えるタイミングが異なっていると、会社を継ぐプロセスの失敗につながります。また、息子・娘は会社を継ぐと決めたタイミングでなるべく早く入社し、仕事を覚えることも重要です。

会社について知らないままの状態で、経営者にはなれません。なお、経営者としても後継者教育に気を配る必要があります。後継者育成には10年程度の期間が必要です。会社を継ぐ・継がせることを決定した場合、早く入社させて肌感覚で経営を身に付けさせましょう。

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会社を継ぐ際の資金対策

会社を継ぐ際の資金対策

親から会社を引き継いだ後継者は、税法上の優遇措置や補助金制度などが利用できる場合があります。跡継ぎに対して国や自治体などが支援を行うシステムであるため、詳細を知ったうえで有効活用しましょう。本章では、会社を継ぐ際の資金対策として、以下の4つを取り上げます。

  1. 会社を継ぐ後継者のための事業承継税制
  2. 会社を継ぐ後継者のための事業承継補助金
  3. 株式の移転対策
  4. 事業計画の改善

それぞれの項目を順番に詳しく紹介します。

①会社を継ぐ後継者のための事業承継税制

事業承継税制とは、非上場企業の株式を贈与または相続で取得した会社の後継者に対して、一定要件のもとで贈与税や相続税が猶予または免除される制度のことです。少しでも優位に会社を継ぐために、ぜひ活用を検討しましょう。

一定要件としては、提出が義務付けられている書面などがあります。問い合わせ窓口は、各都道府県庁の中小企業支援部門です。各都道府県により部門名は異なるため、中小企業庁に問い合わせても良いでしょう。なお、個人事業の場合も対象です。

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②会社を継ぐ後継者のための事業承継補助金

事業承継補助金とは、非上場会社である中小企業や小規模事業を引き継いだ後継者に対して支給される補助金制度のことです。2021年3月現在、事業承継補助金(令和元年度補正)については交付申請の受付を終了していますが、今後制度の名称が代わり再び受付を開始する可能性はあります。

支給の条件は、「承継するタイミングで新規事業などの新たな取り組みを行うこと」とされています。ここでは新規事業限定ではなく、業態変更や事業所の集約なども対象です。

最大で200万円の補助金が助成されますが、合わせて事業所の集約や統廃合を行う場合は300万円が追加されるケースもあります。こちらの問い合わせ先も中小企業庁です。

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③株式の移転対策

会社を継ぐ際は、いかなる方法を用いて親から子供に株式を移動させるのか対策を講じます。後継者に十分な株式が行き渡らなければ、後継者は十分に経営権を行使できず、その後の事業運営に支障が生じかねません。

株式の移転方法には、生前贈与・譲渡・ホールディングス化などさまざまな選択肢があり、会社の状況に応じてメリットの大きい方法を選ぶと良いです。不明点があれば、専門家に相談すると良いでしょう。

④事業計画の改善

たとえ子供が会社を継ぐとしても、後継者にとって魅力的な会社でなければ事業承継に対するモチベーションが低下してしまいかねません。そこで経営者としては後継者との間で現在の経営状態を把握したうえで、事前に事業の改善や今後の方向性などを検討しておくと良いでしょう。

ここでは、会社を継ぐための事業承継計画とともに、将来を見据えた事業計画について策定することをおすすめします。

会社を継いだ事例を紹介

会社を継いだ事例を紹介

親の会社を継いだ事例としては、以下の企業が代表的です(順不同)。

  • ファーストリテイリング
  • 星野リゾート
  • 山崎製パン
  • ウォルマート
  • フォルクスワーゲン
  • ヤンマーホールディングス
  • サントリーホールディングス
  • 竹中工務店
  • 大塚製薬
  • 読売新聞グループ本社

上記に挙げた企業には、親族が代々跡を継いでいる企業が多く見られます。その一方で、ウォルマートのように、社長職には外部の人間を登用している企業も少なくありません。

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会社を継ぐ後継者に求められる能力

会社を継ぐ後継者に求められる能力

本章では、会社を継ぐ後継者に求められる能力について、「統率力」「実務能力」「経営力」に分けて取り上げます。

統率力

統率力とは、いい換えればリーダーシップを取る能力のことです。経営者に統率力があれば、役員や従業員がまとまり、同じ方向を見て事業運営に取りかかれます。これにより、事業運営の円滑化や業績の向上などが見込めるのです。

経営者の統率力は自身の人間性のほか、適切な経営理念の策定などのプロセスからもにじみ出ます。また、自社の人間に対して指示を的確に伝えるうえで、帝王学の教養も必要です。

実務能力

もちろん経営者には、実務能力も求められます。経営者自身に求められる実務をスムーズにこなすだけでなく、その他の役員・従業員の業務についての把握も必要不可欠です。また、実務を効率よく進めるには、有能な秘書を雇うと良いでしょう。

スケジュール管理や雑務を任せられる秘書を雇えば空き時間を確保でき、経営者自身でないと行えない業務に精力的に取り組めます。これにより、業績の向上が見込めるのです。

経営力

経営力は、経営者に必要なその他すべての能力ともいい換えられます。例えば、用心深さ・先見性・社員に誠実・24時間仕事に向き合える・高レベルな教養・勉強好き・プラス思考・素直な心などです。

親の会社を継ぐことが決定している後継者の方は、事前にこれらの能力を養成しておくと良いでしょう。

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会社を継ぐ決意のあり方

会社を継ぐ決意のあり方

最後に、会社を継ぐ立場にある人がその決心をするにあたり「よりどころ」となる考え方を提示します。親子間で会社を継ぐ場合の平均年齢や気持ちの持ち方などについて、参考資料として活用してください。

①親の会社を継ぐ年齢

中小企業庁による『2013年版中小企業白書』によると、後継者が会社を継いだ平均年齢は50.9歳です。この年齢を早いと取るか遅いと取るかは人それぞれですが、会社を継ぐ年齢は早いに越したことはありません。経営の知識は書物のみでは学べず、実践で試行錯誤を繰り返して身に付けていくものであるためです。

情熱や体力のある若い年齢で会社を継ぐことが、後に大きな成功を得るためのポイントです。外部の会社を知っておくことも大切ですが、会社を継ぐ立場にある人はタイミングについて十分に検討してください。

②親の会社を継ぐ覚悟

会社を継ぐ行為は安定的な雇用環境を捨てて、すべてが自己責任の世界に飛び込むことを意味しており、大きな覚悟が必要です。経営者になれば、自身のことだけでなく、会社で働く従業員の人生をも左右する立場に立たされます。

リスクも責任感も大きいですが、だからこそ成功時の達成感は一般の会社員では味わえないほど大きいです。こうした醍醐味に強い関心が持てるなら、会社を継ぐ決意は固められます。

【関連】株式譲渡による事業承継

会社を継ぐまとめ

会社を継ぐまとめ

会社を継ぐ立場に立つ環境にある人は、世の中で限られています。決して少なくはないものの、大多数というわけでもありません。もしも会社を継ぐ決断をしたならば、補助金や優遇税制などを活用しつつチャレンジする価値は大いにあります。本記事の要点は、以下のとおりです。

・会社を継ぐ3つの方法
→相続、贈与、M&A

・会社を継ぐメリット
→自由に経営できる(裁量権が大きい)、フレキシブルな勤務スタイル、通勤や転勤がない

・会社を継ぐデメリット
→安定さに欠ける、退職や転職が困難

・会社を継ぐリスクと注意点
→借入金の返済が未完であれば後継者が連帯保証を引き継ぐ必要(リスク)、単一事業のみを行っている場合、後継者は寿命間近の会社を継ぐ可能性(注意点)

・息子・娘が親の会社を継ぐ際のポイント
→経営者と後継者の間で会社を継ぐタイミングを擦り合わせておく、会社を継ぐと決めたタイミングでなるべく早く入社し仕事を覚える

・会社を継ぐ際の資金対策
→事業承継税制、事業承継補助金、株式の移転対策、事業計画の改善

・会社を継ぐ後継者に求められる能力
→統率力、実務能力、経営力

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