2021年7月30日更新会社・事業を売る

会社売却のメリット・デメリットとは?方法、相場、税金、高値で売るコツも紹介

会社売却には、会社の規模拡大や自社の存続などのメリットがあります。一方で、会社売却が必ずしも成功するとは限らないというデメリットもあります。会社売却を成功させるためには、「タイミングの見極め」や「自社の強み・弱みを理解すること」が重要です。

目次
  1. 会社売却とは
  2. 会社売却の方法
  3. 会社売却のメリットとデメリット
  4. 会社売却に潜むリスク
  5. 会社売却を高値で成功させるコツ
  6. 会社売却の相場
  7. 会社売却でかかる税金
  8. 会社売却前に実施する準備内容
  9. 会社売却に必要な書類・資料
  10. 会社売却の手続きを行う流れ
  11. 会社売却におすすめのM&A仲介会社5選
  12. 会社売却のメリット・デメリットまとめ
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会社売却とは

会社売却とは

会社売却とは、会社の所有権を第三者へ売却し、対価を受け取る手法です。会社の従業員や取引先なども含め、非常に多くの要素が関わってきます。会社を売却する経営者には、さまざまな理由があります。

経営者が会社売却を行う理由は、大企業への傘下に入ることで経営を安定化させるため、主力事業への集中を行うため、売却利益の獲得などさまざまな理由があります。

特に昨今は、事業承継を理由に会社売却を行う中小企業が増えています。一般的に前向きな攻めの姿勢で行う会社売却がある一方で、ネガティブな理由として会社売却を選択するケースもあります。

会社売却が増え続けている理由とは

近年、M&Aを通じて会社売却を実施するケースが増加しています。これまでは、会社売却に対してネガティブなイメージが付きまとっていました。自ら進んで会社売却を実施するケースは少なく、むしろ「買われた」ケースが大半でした。

しかし、大企業同士のM&Aがニュースで頻繁に取り上げられるようになり、M&Aにマイナスな印象を抱く人は少なくなりました。また、事業承継問題を抱える中小企業の増加も相まって、昨今は会社売却が有効な経営戦略として認知されています。

不景気などで経営環境が変化しやすい現代では、会社経営を続けることが必ずしも最善の方法とは限りません。将来性のない経営を無理に続けた結果、負債が増えてより危うい状態になったり、最悪の場合廃業に追い込まれたりする可能性もあります。

そうした最悪な事態を避けるためにも、会社売却を決断する経営者が増加しています。とはいえ、いざ会社売却を決断しても、手続きや手順が複雑でわからないことが多いでしょう。

今回の記事では、会社売却を検討している方が疑問に思うポイントを解説します。会社売却の方法、相場や税金など、会社売却を検討する方に必見の情報を紹介します。 

【関連】M&Aにおける会社売買とは?会社売買のメリット・デメリット、動向や相場を把握する方法を解説!

会社売却の方法

会社売却の方法

会社売却の方法にはいくつか方法があります。どの方法が最適かは状況や目的によって異なりますので、自社に合った方法を選択しましょう。今回は、代表的な会社売却方法を紹介します。

①株式譲渡

株式譲渡は会社売却で用いられる方法の中でも、頻繁に活用される方法です。特に中小企業のM&Aに限定すると、最も活用されている方法です。株式譲渡とは、売り手側が持っている自社の株式を買い手側に売却する形で、経営権を譲渡する方法です。

株式譲渡のメリット

株式譲渡では、基本的に契約書の作成のみで完了するので、手間がかからないことが大きなメリットです。株式譲渡を制限している会社では、株主総会もしくは取締役会の承認が必要となりますが、それでも他のM&Aと比べると手続きの量が少なく済みます。

また、株式譲渡では売却益に対して20.315%の所得税が課税されます。他の手法では消費税や法人税も課税されるため、株式譲渡は最終的な支払う税金が少なくなるのもメリットの一つです。

株式譲渡のデメリット

デメリットの一つは、買い手側が簿外債務などを引き継ぐリスクがあることです。株式譲渡を用いて会社売却を実施する場合、会社は丸ごと移転します。したがって、買い手側は不要な資産や簿外債務なども丸ごと引き継いでしまいます。会社全部を売買するので、このリスクをゼロにするのは不可能です。

また、会社売却の際、買い手側は「のれん代」を値段に上乗せして買い取ります。「のれん代」とは、購入した金額と買った企業資産の差額のことです。

この「のれん代」は毎年減価償却により、費用計上する必要があります。仮に減価償却費以上の利益を得なければ、利益が減ってしまいます。

②事業譲渡

事業譲渡とは、一部の事業または全ての事業を売買するM&Aの方法です。「会社を丸ごと売却するのではなく、一部の事業だけ売却したい」方には、「事業譲渡」がおすすめです。事業譲渡は「不採算事業を切り離したい」「事業を売却して資金を獲得したい」ケースでも使用されています。

事業譲渡のメリット

事業譲渡では、買い手側がほしい部分を指定して買収できるメリットがあります。したがって、簿外債務や不要な資産などを引き継ぐリスクがありません。この仕組みを有効活用すれば、さまざまな利益が得られます。

例えば、主力事業に集中したいときは、重要性の低い事業を売却して得た資金や浮いた経営資源を主力事業に投入できます。また、買い手側も自社に必要な事業のみを買収できます。

事業譲渡のデメリット

事業譲渡のデメリットは、手続きが非常に面倒である点に尽きます。取引先との契約や行政機関の許認可、雇用契約などの再度締結など、しなければならないことがとにかく多く複雑です。

事業の全部譲渡や重要な事業の譲渡を実行する場合は、株主総会の特別決議が必要になり、非常に手間がかかります。契約関係などの引き継ぎには個別に同意を得る必要があり、他の方法よりも手続きが複雑でわかりにくい点がデメリットです。その結果、多大な時間とコストがかかってしまいます。

③会社分割

事業譲渡はメリットが多い方法ですが、手続きが非常に面倒な方法です。その手続き面を簡単にしているのが「会社分割」の方法です。 

会社分割は、事業譲渡と同様に会社の一部または全部を他社に移転する方法です。基本的には、組織再編の方法として活用されていますが、事業売却の際にも活用されるケースがあります。

会社分割のメリット

会社分割は、事業譲渡と比べて資産や債務、雇用契約をまとめて引き継げます。行政機関の許認可も基本的にはそのまま引き継げるので、会社売却後すぐに事業活動を始動できます。

また、会社分割を活用する場合、他のM&A方法と比べて税金の負担が軽くなるといったメリットがあります。事業承継とは異なり、消費税が課税されません。また所定の条件を満たせば、所得税も軽減できます。

会社分割に関する税金関係の処理は非常に複雑なので、専門家からのアドバイスを参考にするのをおすすめします。

会社分割のデメリット

会社分割は事業譲渡と同じように活用できるうえ、手続きが簡単なので、この方法が優れているように感じるかもしれません。しかし、買い手側は不要資産や簿外債務の引き継ぎを回避できません。契約をまとめて承継できるのは、裏を返せば、不必要になるような契約条項まで引き継ぐ可能性があるのです。

【関連】会社分割とは?手続きやメリット・デメリット、事業譲渡との違いを解説
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会社売却のメリットとデメリット

会社売却のメリットとデメリット

会社売却には、どのようなメリットがあるのでしょうか?また、メリットもあれば、当然デメリットもあります。ここでは、会社売却のメリットとデメリットをそれぞれ解説します。

会社売却のメリット

ここでは、会社売却の代表的なメリットを紹介します。

会社の規模を拡大できる

大企業に会社を売却しグループ傘下に入ると、会社の規模拡大を実現できます。これは、主に中小企業に多いパターンです。中小企業は規模の都合上、財務基盤や販路などにどうしても限度があります。

しかし、大企業に向けて会社売却を実施すれば、財務基盤を安定させ、周囲からの信頼向上が見込めます。

さらに、大企業のノウハウや販路、顧客を取り入れられるため、結果的に会社の規模拡大も実現可能です。中小企業にとって会社売却は、さらなる成長の方法として有効な手段です。

会社の存続が可能になる

経営状態が悪化している会社を存続可能な点も会社売却のメリットの一つです。会社の経営状態が悪化し、資金繰りが滞るとその会社単体で回復するのは困難になります。下手に借入や融資を増やして返済に追われる事態になれば、廃業を迫られる恐れもあります。

しかし、会社売却を決断すれば、買収した会社が経営状態を回復させてくれる可能性があります。たまっていた借入や融資の返済が完了し、連帯保証から解放されるので、会社を存続しやすくなるのです。

また、後継者不在で事業承継が不可能な会社にとっても、会社売却は有効的な方法となり得ます。会社売却を通じて別の会社に事業承継すれば、貴重な技術やノウハウが失われずに済むからです。

近年は、経営者が高齢化する一方で、後継者が見つからず結果的に事業承継できずに廃業するケースも少なくありません。そうした状態に陥った会社にとって、会社売却は救いの手となり得る方法でしょう。

廃業の手間が省ける

会社売却をすれば廃業の手間が省けます。廃業には、想像以上に手間やお金、時間がかかるものです。会社を廃業するには、会社の解散や清算を実施するのですが、それらの実施には法律に定められた手続き方法があり、簡単なものではありません。しかし廃業するのではなく、会社売却で会社を丸々明け渡してしまえば、解散も清算も不要となります。

また、昨今は新規事業を始める目的で、もともと持っていた会社を手放す経営者も少なくありません。新規事業を始めるために会社売却を決断するのは、今や新しい有効手段になっています。

大金を獲得できる

当然ですが、会社売却が成功すればお金が得られます。新規事業の立ち上げを考えている場合にも、会社売却は有効な手段です。会社売却で得た資金を活用すれば、新規事業の準備をスムーズにスタートができます。

また、40〜50代までのうちに会社売却で老後の蓄えを作り、悠々自適に過ごすハッピーリタイヤも実現できます。これは、欧米でよく見られるケースで、昨今では日本でもこのライフスタイルを選ぶ方が増加しています。何かと不安な老後の生活を考えると、これもまた賢い方法の一つです。

創業者として経営手腕を評価される

会社売却をすると、M&Aを行った創業者として評価されるといったメリットもあります。会社が価値のある事業、伸び代のある事業、今後成長し得る事業として売却された場合、創業者に経営手腕があったと評価されるメリットがあるでしょう。

M&Aに消極的な経営者も多いですが、昨今では、M&Aは重要な経営戦略の一つであり、創業者利潤と豊富な事業資金を確保する目的でM&Aを実施する経営者も増えているのです。

従業員の雇用を維持できる

会社売却の場合、経営資源も引き継がれるのが一般的です。そのため、従業員の雇用もそのまま買い手企業に継続されるのが多いでしょう。なぜなら、従業員を獲得すると、事業の運営やノウハウ、取引先との関係性の構築が継続できるため、スムーズに事業運営ができるといったメリットがあります。

M&Aを進める際は、譲渡後の従業員の雇用や処遇も事前にしっかりと決めておく必要があります。

会社売却のデメリット

メリットと同様に、デメリットもあります。一般的なデメリットをいくつか解説します。

必ずしも成功するとは限らない

多くのメリットがある会社売却ですが、必ずしも成功するとは限りません。会社売却は立派な取引であり、買収する会社にとっては大きな買い物です。

そのため、先方も買収の際にはある程度慎重になり、じっくり検討して実施します。よって、会社売却を実行しようとしても、先方にメリットがないと取引が失敗する恐れがあり、会社売却が順調に成功するケースは多くありません。

会社売却の成功率を上げるためには、M&Aの専門家のサポートを得るのがおすすめです。

競業避止義務による事業の制限がかかる

競業避止義務とは、買い手側の利益を保護するために、売り手側が負う義務です。わかりやすくいうと、会社売却後の一定期間は、売却した事業を行えないといった決まりです。多くの場合、会社売却時の契約書に競業避止義務を盛り込みます。

また、事業譲渡を活用して会社売却する場合には、契約書の内容に関係なく、法律によりこの義務が発生するので注意が必要です。会社売却後に新規事業を始めようと考えている人にとっては、大きなデメリットとなるでしょう。

ロックアップが発生する

ロックアップとは、会社売却後の一定期間は当該事業の中で働くことを約束するものです。この期間の長さは、相手企業の要望や取引方法によって変動します。売却後も積極的に働きたい方にとっては、問題はないでしょう。しかし、会社売却後は悠々自適に暮らしたいと考えている方にとっては、デメリットとなる可能性があります。

経営の意思決定スピードが落ちる

会社を売却する際に特に重要なのは、買い手企業と、今後の意思決定の食い違いが起きないようにしましょう。認識がずれてしまうと、事業に支障をきたしたり、トラブルに見舞われたりするリスクも高くなります。

したがって、会社売却後の意思決定は、買い手企業に報告しながら行うようにしましょう。

相手企業との関係性が悪化するおそれがある

会社売却後は、異なる文化を持つ企業同士が1つになりますので、経営陣や従業員同士など、うまくコミュニケーションができなくなるリスクもあります。その結果、相手企業との関係性が悪化するおそれもあるでしょう。

また、事前の契約事項の解釈がうまく伝わっていないことで、トラブルになる可能性も否定できません。したがって、会社売却をする場合は、売り手企業と買い手企業のコミュニケーションや、関わり方など、さまざまな課題を乗り越えていかなければなりません。

【関連】競業避止義務とは?意味や判例、M&Aでの活用方法を解説

会社売却に潜むリスク

会社売却に潜むリスク

会社売却に潜むリスクは、時間がかかる、大幅なコストがかかる、さらには情報漏えいに関するリスクなどが挙げられます。

会社売却をスムーズに進めるためには、事前に入念なリサーチや準備が必要になります。したがって多大な時間や費用がかかるは当然なのです。しかし、会社売却をする相手先が見つからない可能性や交渉がうまく進まず撤回される可能性もあります。

そのため、それまでにかかったコストや時間が無駄になってしまうと、企業にとっては大きな損失になってしまいます。また、M&Aでの交渉は、企業の内部事情を説明する必要があるため、破談になった際に情報漏えいにつながるリスクの可能性もあります。

会社売却をする際は、こうしたリスクを理解したうえで検討する必要があります。

会社売却を高値で成功させるコツ

会社売却を高値で成功させるコツ

会社売却を成功させるには、いくつかのポイントを抑える必要があります。ここでは、そのポイントを紹介します。

①会社売却のタイミングを見計らう

会社売却のタイミングは、成功率を上げるために何より重要な要素です。会社売却のタイミングをある程度固めておけば、スケジュールを組みやすくなります。自社の業界内でM&Aが盛んになっているタイミングを見極めれば、成功率を上げられます

M&Aは常時実施されているわけではありません。タイミングによっては、その業界で全く実施されていない時期もあります。会社売却の実行タイミングを逃してしまうと、結局買い手が見つからないまま時間だけが過ぎ去る恐れがあります。

②会社の強みを把握し強化する

自社の強みや弱みをしっかり理解しておくことも重要です。買収する側の会社に買収のメリットを正確に伝えなければ、会社売却はスムーズにいきません。したがって、自社の強みと弱みを今一度精査し、自社の価値を把握しておく必要があります。

また、把握するだけではなく、自社の強みをさらに強化する必要があります。優れた人材やノウハウ、ブランド力があると、M&Aの際に高評価を受ける可能性が高まります。会社売却を考え始めた段階で、会社の「磨き上げ」を始めましょう。磨き上げを実施すれば、買い手先が見つかりやすくなります。

磨き上げは、すぐにできるものではありません。M&Aを考えた段階で、取り組む必要があります。M&A前の磨き上げに自信がなければ、専門家のアドバイスをもらうことも有効です。

③会社の実態を把握し身辺整理をする

会社売却を決断したら、自社の実態を正確に把握し、必要があれば身辺整理をしましょう。会社売却の際に、買収する会社が一番嫌がるのは不要な資産や契約、債務です。

特に買収する会社は、簿外債務などの公表されない債務を嫌います。会社売却が成功した後に簿外債務の存在が発覚して、トラブルに発展するケースも少なくありません。自社の実態を正確に把握し、もし会社売却に支障が出る可能性があるならば、先方と協議したうえで不要なものを整理しましょう。会社売却の成功率を上げるためにも、会社の実態精査や身辺整理をおろそかにしてはいけません。

④買い手は入念に探す

会社売却を実施する際、買い手によって条件が変わるのは珍しくありません。より良い条件で会社売却を成功させるためにも、買い手を探す際は、慎重に行いましょう。

会社売却を実行する際は、M&A仲介会社から買い手候補を紹介してもらう手もあります。手広く会社を紹介してくれるので、会社売却を実行する際には便利です。

⑤魅力的な経営資源をそろえる

買い手企業が売り手企業を買収する目的の1つに、自社にない強みを手に入れるといったものがあります。そのため、売り手側は売却前に魅力的な経営資源をそろえるのが大切です。

その際、魅力的な経営資源だけではなく、弱みも明確にしましょう。弱みを明確にするのは売り手企業の評価を下げるわけではなく、魅力を際立たせる説得力にもつながるでしょう。

また、買い手企業に対して意思決定や事業計画に対するヒントにもつながるでしょう。

⑥信頼できるM&A仲介会社に依頼する

会社売却に関わるさまざまな手続きや準備は、自社のみで行うのは非常に難しいでしょう。専門的な知識や経験が必要なうえ、相手先との調整も必要です。そのため、M&A仲介会社などの専門家に依頼するのがベストです。

自社の抱える案件と相性の良いM&A仲介会社を見つけるのが大切です。M&A仲介会社によって、得意な売却方法、業界などが分かれています。業務の範囲も異なるため、自社に適したM&A仲介会社を見つけましょう。

もし、M&A仲介会社をお探しでしたら、M&A総合研究所へご相談ください。M&A仲介会社であるM&A総合研究所は、企業売買に詳しいM&Aアドバイザーが、培ったノウハウを生かし会社売却をフルサポートいたします。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談をお受けしておりますので、M&Aをご検討の際はどうぞお気軽にお問い合わせください。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所
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会社売却の相場

会社売却の相場

会社売却を検討する際の「価格の相場」も気になるところでしょう。しかし、会社売却の相場は、それぞれのケースで異なるので、一概に「この価格相場です」と断言はできません。

実際に会社売却をする場合には、互いが納得できる価格を決定する必要があります。そのために、おおよその価格相場を決定する算出方法があります。

今回は、会社売却の相場をつかむための代表的な方法をいくつか紹介します。

純資産法

会社の財務諸表の情報を用いて、会社売却の相場を計算する方法です。財務諸表とは「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」の3つを指します。中小企業の会社売却では頻繁に活用される方法で、比較的簡単に相場を計算できます。

しかし、この方法で算出した相場には、将来の収益性が加味されていないといったデメリットがあります。よって、将来性が考慮されていない会社売却相場が算出されてしまいます。純資産法は、「簿価純資産法」と「時価純資産法」の2種類があり、「時価純資産法」が時価を用いている分、正確に価格相場を計算できます。

配当還元法

配当還元法は、将来的な配当額の期待値を基準にして相場を算出する方法です。将来的な収益獲得力や株主などの期待値を加味した相場を出せます。主に、中小企業のM&Aや事業承継の場面で用いられている方法です。しかし、配当政策によって配当金額が変動します。企業の継続を前提とした方法である点にも、注意が必要です。

DCF法

DCF法は、将来的なフリーキャッシュフロー(FCF)を基準に相場を算定します。配当還元法と同じく企業の将来的な収益獲得力を加味して、会社売却相場を計算する方法です。フリーキャッシュフローとは、企業が事業活動から獲得した資金のうち、自由に使える資金を意味します。M&Aをはじめ、多くの場面で用いられています。

ここでは、詳しい計算方法を解説します。

各年のフリーキャッシュフローを計算

はじめに、毎年のフリーキャッシュフロー(FCF)を算出します。

  • FCF=税引後営業利益+減価償却費−設備投資額−運転資本増価額

割引率を計算

加重平均資本コスト(WACC)と呼ばれる割引率を算出します。 

  • WACC={株主資本総額×株主資本コスト+負債総額×負債利子率×(1−税率)}÷株主資本総額+負債総額

WACCを用いて各年FCFを現在価値に割引、各年数値を足していく

二年目以降は、(1+WACC)を年数と同じ数だけ乗じます。

  • 現在価値=FCF÷(1+WACC) 

算出された各年の数値を足し合わせると、DCFによる会社売却の相場を計算できます。

DCF法はキャッシュフローを用いているので、将来性をしっかり加味できる方法です。数ある相場算定方法の中でも、DCF法は会社売却の際に多く利用されています。

比準法

比準法は自社と類似している会社や業種のデータをベースに相場を計算する方法です。比準法の中でも、評価対象の会社と類似している「業種」の会社を比較する方法を「類似業種比準法」と呼びます。類似業種比準法は、純資産法を活用すると相続税の負担が大きくなるケースで効果を発揮します。

一方で、評価対象の会社と「事業内容」が類似している企業を対象とする方法を、「類似会社比準法」と呼びます。「類似会社比準法」は、非上場企業が会社売却する際に利用できます。ただし、比較対象は上場企業である必要があります。

比準法で会社売却相場を算出すると、偏った評価にならずに、客観性のある算定ができるメリットがあります。公平な価格相場を示せるので、信頼度は高い相場算出手法です。多くの会社売却のケースで活用されています。一方で、市場の状態次第で算出する相場が変動しやすいデメリットもあります。

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DCF法による企業価値の算定

会社売却でかかる税金

会社売却でかかる税金

会社売却では仲介会社の手数料だけでなく、税金を支払う必要があります。具体的にどのような税金がかかるかは、使用するM&Aの方法によって変わります。ここでは、会社売却でかかる代表的な税金を詳しく解説します。

所得税

所得税は、主に株式譲渡を用いて会社売却する際に発生する税金です。売却値段から譲渡費用などの諸経費を差し引いた譲渡所得に対して、所得税が課税されます。具体的には、譲渡所得の内、所得税分(20.315%)を税金として支払う必要があります。

ただし、これは株式譲渡を実施する際の株主が個人のケースです。法人のケースは後ほど解説します。

また、所得税と住民税は税金を納める時期が異なる点にも注意が必要です。後になって、「住民税が支払えなくなった」とならないように気をつけましょう。

法人税

法人税は、主に株式譲渡(株主が法人)と事業譲渡で課税される税金です。法人が株主となっている場合に株式譲渡を実施すると、当然利益は会社に入ります。そのため、所得税ではなく法人税が会社に対して課税されます。

所得税は税率が一律の税金ですが、法人税は各会社によって異なります。平均的には、譲渡所得に対して約30%の法人税が課税されます。また法人税は、事業譲渡を活用する場合にも発生します。

消費税

事業譲渡を活用する場合は、譲渡した資産全てに課税されるわけではありません。譲渡資産を「課税資産」と「非課税資産」の2つに分け、課税資産にのみ消費税が課税されます。主な課税資産には、有形固定資産・無形固定資産・営業権(のれん代)・棚卸資産の4つがあり、事業譲渡を利用する場合には注意すべきポイントがあります。

1つ目は、のれん代が高額になると課税される税金も高額になる点です。のれん代が高額になる場合、他の会社売却方法を用いるのをおすすめします。

2つ目は、棚卸資産の不確実性です。棚卸資産は日々、帳簿の値段が変動します。実際に会社売却するまで、どの程度の税金が必要かを確定できません。

そして3つ目は、消費税率が変動すると支払う税金額も増加する点です。事業譲渡を利用する際は、上記の点に注意しましょう。

また会社分割では、消費税が課税されません。支払う税金の額が大幅に減少するのは大きなメリットです。さまざまなケースを想定して、最善の策を実践しましょう。

法人税と消費税の違いとは?計算方法・納付期限

会社売却前に実施する準備内容

会社売却前に実施する準備内容

会社売却前に実施する準備内容はどのようなものが挙げられるのでしょうか。会社をできるだけ高く売却するためにも、付加価値のある企業にしておかなければなりません。

また、実際に売却を進めるにあたって、売却条件や会社の身辺整理など、以下に挙げる項目をしっかりと準備しておくのがベストです。

  • 会社売却の譲渡スケジュールを決める
  • 会社の業績、取引先を整理しておく
  • 不透明な取引をまとめておく
  • 会社を売る条件を明確にしておく

会社売却に必要な書類・資料

会社売却に必要な書類・資料

会社売却する際に必要な書類・資料は、会社の状況によっても異なりますが、主に必要な書類は以下のとおりです。

  • 自社をPRする資料や材料
  • 事業計画書(今後3年程度の売上・利益の見とおし)
  • 商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書)や定款、株主名簿
  • 会社案内
  • 財務資料や決算書関係一式
  • 事業ごとの月次試算表
  • 組織図や役員・部門長の経歴書、従業員名簿
  • 規則をまとめた各種規定
  • 取引先や賃貸借、リース、保険などの契約書
  • 許認可などの写し

手配できる書類も多くありますが、一から作成しなければならない書類・資料もあります。このような書類・資料作成には、専門家の協力を得るのがおすすめです。M&A仲介会社や税理士、弁護士など、専門家のアドバイスをもらいながら進めましょう。

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会社売却の手続きを行う流れ

会社売却の手続きを行う流れ

実際に、会社売却の手続きを行う流れは以下になります。

  1. M&A仲介会社への相談・依頼
  2. 相手企業探し(マッチング)
  3. トップ面談
  4. 基本合意契約
  5. デューデリジェンス(買収監査)
  6. 最終契約・クロージング
それぞれ順番に解説します。

①M&A仲介会社への相談・依頼

昨今、M&A仲介会社には、得意とする業種や地域、取引規模なども異なります。自社の規模や状況に合ったM&A仲介会社を選ぶのが大切です。

またM&A仲介会社によって、手数料やM&A成立までの期間も違います。そのためM&A仲介会社を選ぶ際には、複数のM&A仲介会社を比較するのが大切です。

②相手企業探し(マッチング)

M&A仲介会社と契約した後は、買い手となる企業の候補を探します。たくさんのネットワークを持つM&A仲介会社だからこそ自社に最適な相手企業を見つけてもらえるでしょう。

気に入った買い手企業候補をピックアップした後、打診し、相手企業が関心を示せば面談に進みます。

③トップ面談

トップ面談とは、M&Aのプロセスの一つです。売り手企業と買い手企業である双方の経営者など、トップ同士が直接話し合うものです。主に相互の理解を深めるため、以下を話し合います。

  • 経営方針
  • 経営理念
  • 企業文化
  • M&Aへの方向性
  • 将来のビジョン

互いの会社を知るために、相手企業や工場に出向くケースもあります。トップ面談後に、このまま会社売却を進めたいと思えば、本格的な交渉に入ります。交渉は、M&A仲介会社などの専門家に同席してもらい行います。

④基本合意契約

買い手企業と売却の条件を決めたら、基本合意契約を締結します。基本合意契約とは、買い手企業と話し合った条件でM&Aを進めていくことを約束する契約のことです。

基本合意契約は重要な契約で、最終契約に先立って取り交わされるものであり、大きな問題が生じない限りは、基本合意契約の内容がそのまま最終契約書になる場合もあるのです。

基本合意書には、取引の基本的条件、譲渡価額、売買までのスケジュール、契約予定日、デューデリジェンスに関する事項、独占交渉権、当該基本合意文書の有効期限や法的拘束力の範囲など、専門家を交えて細かく内容を記載します。

また、独占的交渉権が付与されると、基本合意契約を締結した後に、売り手企業は買い手企業以外の相手と売買交渉ができなくなるので注意しましょう。

⑤デューデリジェンス(買収監査)

基本合意書を締結した後は、デューデリジェンスが実施されます。デューデリジェンスを行う目的は、売り手企業が抱えているリスクを買い手企業が把握するものです。そして、結果によって売り手企業の価値が判定され、最終的な契約書の参考情報になるのです。

デューデリジェンスはたくさんの観点があるため、通常は優先順位をつけて行われます。デューデリジェンスは膨大な資料を求められるケースもあるため、M&A仲介会社など専門家に依頼するとスムーズに進められます。

⑥最終契約・クロージング

デューデリジェンスが終わると、最終契約書の締結です。デューデリジェンスの内容に問題がなければ、基本合意書の内容がそのまま反映されます。その後、譲渡が実行され入金が行われてクロージングとなります。

クロージングが完了した時点で、正式に経営権が買い手企業に移行し、M&Aの成約になります。法的にM&Aの有効性を証明するうえでも重要な役割を担うため、M&Aにおけるクロージングは非常に重要です。

【関連】M&Aスケジュールとは?M&Aにおける売り手・買い手スケジュール(流れ)を解説します

会社売却におすすめのM&A仲介会社5選

会社売却におすすめのM&A仲介会社5選

M&A仲介会社へ依頼したいと考えても、国内だけでも相当の数があります。ここでは、会社売却の際に力になってくれるM&A仲介会社を紹介します。

  1. M&A総合研究所
  2. 日本M&Aマネジメント
  3. インターリンク
  4. インテグループ
  5. 中小企業M&Aサポート

①M&A総合研究所

多くの経営者が初めて経験する会社売却・事業承継ですが、M&A総合研究所は大きな不安要素の一つである価格設定を明確にして、第一歩を踏み出しやすくしております。

もちろんM&Aに関する知識・経験も豊富で、会社売却や事業承継のさまざまなお悩みに本気で寄り添います。M&A総合研究所では支援実績豊富なアドバイザーが、ご相談からクロージングまでをサポートいたします。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。M&Aに関してお悩みの際は、お気軽にお問い合わせください。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所

②日本M&Aマネジメント

日本M&Aマネジメントは、事業目的達成・企業価値向上など、戦略的なM&Aに関わる総合的なアドバイスと具体的な解決策の支援を行うM&A仲介会社です。他にも企業再生支援なども行っています。

M&Aの支援では、M&Aや事業提携などの仲介・あっせんや提携戦略の構築、企業評価や条件交渉、統合に関わるアドバイスを行います。

③インターリンク

会社名に入っている「インターリンク」は、「つなぐ」を意味します。インターリンクの事業内容は、M&Aの提案をはじめ、仲介、提携戦略など経営戦略コンサルティングが中心です。独自のM&Aを提案しているM&A仲介会社です。

また、M&Aの総合プロデューサーとして、クロージングまで経験豊富なメンバーがサポートするといった特徴があります。

④インテグループ

インテグループは、完全成功報酬型のM&A仲介会社です。東京都大阪に拠点を置き、中堅・中小企業を対象としています。最大の売りは、M&Aの成立までの時間が早いことでしょう。

M&A仲介・アドバイザリーやMBO支援などをメインに事業を行っている、M&A特化型の仲介会社です。

⑤中小企業M&Aサポート

中小企業M&Aサポートは、中小規模のM&Aに特化しているM&A仲介会社です。数百万単位の小規模案件に対しても、丁寧に対応します。また、M&Aを進めていく際は、経験豊富なプロフェッショナルアドバイザーのみが対応し、友好的なM&A成約を目指します。

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会社売却のメリット・デメリットまとめ

会社売却のメリット・デメリットまとめ

今回は、会社売却に必要な情報を紹介しました。

会社売却は簡単に実施できるものではありません。会社売却を成功させるためには、事前の準備を丁寧にする必要があります。ここで紹介した情報を活用して、会社売却を成功させましょう。

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