2021年6月4日更新会社・事業を売る

割引現在価値とは?簿記に必要な計算方法や割引率をわかりやすく解説

M&Aを検討するにあたって割引現在価値は非常に重要です。ここでは割引現在価値の理解を深めるとともに、例題を含めた計算式にて解説します。また企業価値を求める方法として割引現在価値を換算しない方法も含め3種類の方法を解説します。

目次
  1. 割引現在価値とは?
  2. 割引現在価値の帳簿に必要な計算方法
  3. 割引現在価値の割引率
  4. M&Aの際に割引現在価値は活用されるのか?
  5. 割引現在価値のメリット・デメリット
  6. まとめ
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割引現在価値とは?

割引現在価値とは?

M&A・投資・契約・取引などを決定するにあたって割引現在価値について理解しておくことは非常に重要になります。

特に不動産投資の場合に関しては、譲受会社が将来もたらすことができる利益や将来入ってくる家賃の収入をもとにして、どの程度の金額であれば投資することができるのかを決まる必要があります。

しかし、実際には将来の利益や家賃収入を正確に知ることは難しいため、現状の状態から予測するかたちになります。

その予測を行うにあたって経験など主観的な視点からも重要ではありますが、ある程度の客観的な視点も重要になります。

この客観的な視点として割引現在価値の考え方が使用されます。割引現在価値というのは、将来得ることができる利益が現時点ではいくらになるのかということを理論的に求める指標となっており非常に重要な数字となっています。

割引現在価値について

割引現在価値というのは将来的に得ることができる価値をもし現在受け取る場合においてどの程度の価値になるのかということを計算した数字になります。

身近な例としては銀行に定期預金として100万円を預け、金利は年1.0%で複利とした場合において1年後~3年後までの満期定期預金の残高は以下のようになります。

  • 1年満期の預金残高:100万円×(1+1%)=101万円
  • 2年満期の預金残高:100万円×(1+1%)×(1+1%)=102.01万円
  • 3年満期の預金残高:100万円×(1+1%)×(1+1%)×(1+1%))=103.0301万円
上記の結果から現在の100万円と1年後の101万円、2年後の102.01万円、3年後の103.0301万円と価値が等しいという考え方になります。

現在価値とは

現在価値とはPresent Value(PV)ともいわれており、現在価値(割引現在価値)から投資額を引いた「正味現在価値」のことを現在価値と呼ぶ場合もありますが、基本的に割引現在価値と同じ意味で使用され、将来取得できるお金を現時点の価値として計算された金額のことをいいます。

例えば金利が5.0%ある場合では1年後に取得することができる105万円の場合の現在価値は100万円ということになります。

現在価値は割引現在価値と同じのため、時間軸によって価値が変化することになります。

上記のように将来得ることができる利益のリスクの大きさによって、現時点における価値を調整したものが現在価値(割引現在価値)になります。

将来価値とは

割引現在価値(現在価値)の理解を深めるために重要な価値として「将来価値」があります。

将来価値とはFuture Value(FV)ともいわれており、現在取得しているお金を将来のある時点での価値に計算し直した金額のことをいいます。

先程の例と同じように考えると現在取得している100万円というのは、金利が年間で5.0%の場合には、現在持っている100万円の将来価値に直すと105万円ということになります。

上記のことから、現時点で持っている金額というのは運用を行えば増加させることができるため、将来の自分自身にとっての価値というのは少し高めに見積もる必要があるという考えになります。

一方、現在価値・割引現在価値は少し低く見積もられるため両者は対の考え方ということになります。

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割引現在価値の帳簿に必要な計算方法

割引現在価値の帳簿に必要な計算方法

ここでは実際に割引現在価値はどのように計算されるのかについて解説します。

計算式に関しての難易度は高くないため、数学が苦手な人でも十分計算できる程度の難易度となっており以下の計算式で求めることができます。

【割引現在価値】

  • 割引現在価値=n年後の価値/(1+割引率)n年(期間)
上記の割引現在価値の式から2年後の資産の割引現在価値は次のようになります。
  • 2年後:(2年後の資産の価値)/(1+割引率)²

【関連】現在価値とは?計算方法や割引率、キャッシュフローとの関係をわかりやすく解説

割引現在価値の割引率

割引現在価値の割引率

割引率というのは将来受け取る金銭を現在価値に考えたときの割合を、1年あたりの割合で示したもののことをいい、割引現在価値の計算を行ううえで非常に重要になります。

割引率は、自社が保持している資産のリスクや確実性が低いものに応じて設定されています。その際、もし3%にしたい場合は0.03、10%にしたい場合は0.1などと設定します。

割引率に関してはリスクが高くなればなるほど大きさ値に設定します。割引率の値が大きくなればなるほど、計算式の分母が大きくなるため、割引現在価値が下がり、逆に割引率の値が小さくなればなるほど計算式の分母が小さくなるため、割引現在価値が上がることになります。

実際の割引現在価値の計算例

上記にて割引現在価値を計算するための方法について解説しました。ここでは上記の割引現在価値の計算式を使用して割引現在価値を算出します。

例題1:1年後の2万円の割引現在価値を求めよ(割引率15%)

まず上記でも解説したように割引現在価値の計算式は下記のようになります。

  • (n年後の資産の価値)/(1+割引率)ⁿ
上記の計算式にn年後の資産の価値に2万円、割引率に0.15、nに1を当てはめると下記のような計算式になります。
  • 2万円/(1+0.15)=2万円/1.15 ≒ 17,391円

例題2:1年後の2万円の割引現在価値を求めよ(割引率20%)

例題1と比較すると割引率が15%から20%に変わっています。

計算式に各数字を入れると以下のようになります。

  •  2万円/(1+0.2)=2万円/1.2=16,666円

例題3:2年後の2万円の割引現在価値を求めよ(割引率15%)

例題1と比較すると経過年数が2年後となっています。

計算式に各数字を入れると以下のようになります。
 

  • 2万円/(1+0.15)²=3万円/1.15²=2万円÷/1.32 ≒ 15,151円

例題4:2年後の2万円の割引現在価値を求めよ(割引率20%)

例題1と比較すると、割引率が15%から20%、1年後が2年後に変わっています。
計算式に各数字を入れると以下のようになります。
 

  • 2万円/(1+0.2)²=2万円/1.2²=2万円/1.44 ≒ 13,888円

【関連】企業価値評価とは?評価方法を知って企業価値を高めよう

M&Aの際に割引現在価値は活用されるのか?

M&Aの際に割引現在価値は活用されるのか?

割引現在価値というのはM&Aの際に買収を検討している会社がどれくらいの価値があるのかを計算するために割引現在価値はよく使用されます。

会社の価値を計算するためにその会社の資産から負債を引いたり、時価総額をその会社の価値と考える場合があります。

しかし、簡単に計算して出された数字なため、その会社が将来どれくらい利益を出すことができるのかまでは考慮できていません。

この将来のどれくらい利益を出すことができるのかということを割引現在価値に換算することにより詳細に見積もることができます。

会社の価値を求める代表的な方法

企業価値を求める方法というのはさまざまな種類がありますが、それらに関しては大きく分けて下記の3つになります。

【主な企業価値の求め方】

  1. インカムアプローチ
  2. コストアプローチ
  3. マーケットアプローチ

1.インカムアプローチ

将来予想される収益を会社の価値とする評価方法をインカムアプローチといい、割引現在価値を換算します。

その中でも代表的な手法であるDCF法(ディスカウント・キャッシュフロー法)というのは、1年後・2年後と各年の割引現在価値を全て出し、合算した数字を会社の価値と考えます。

2.コストアプローチ

現在持っている会社の純資産を会社の価値と評価する方法をコストアプローチといいます。

そのため将来の利益は考えないものの、将来の利益を予測しにくい会社などに対して現時点の会社の価値が重要になるためコストアプローチが有効的な方法になります。

3.マーケットアプローチ

マーケットアプローチはまず買収候補の会社とよく似た会社を探します。その際、主に上場している会社から探してくることが多くみられます。

買収候補の会社とよく似た会社を探すことができれば、その探し出した会社の状況を参考に会社の価値を計算することができます。この方法のことをマーケットアプローチといいます。

マーケットアプローチも割引現在価値を使用しないため、将来の利益よりも現状の状態を重点的に評価する方法になります。

【関連】DCF法とは?メリット・デメリット、エクセルでの計算式や割引率を解説【例題あり】

割引現在価値のメリット・デメリット

割引現在価値のメリット・デメリット

今まで割引現在価値について詳しく解説しましたが、割引現在価値を換算することはメリットばかりだけでなくデメリットな部分もあります。ここではそれらを整理するためにメリット・デメリットそれぞれの視点から解説します。

割引現在価値のメリット

今回はメリットの中でも主要な内容について解説します。

  1. 将来の利益を予測して評価することができる
  2. 各会社に対して個別に調整して評価することができる

1.将来の利益を予測して評価することができる

企業価値算定の代表的な手法であるDCF法は、その会社が将来にもたらすと予測される利益を出すことができます。

買収を検討している会社にとっては現状の会社の状況に関しても重要ではあるものの、これから継続して会社の経営を行うにあたって将来の会社の状況も重要になり、多くの会社の場合は現在の状況よりも将来の会社の状況の方が重要になってきます。

そのような場合に対してDCF法で評価をすることにより、将来の利益を評価することができます。

2. 各会社に対して個別に調整して評価することができる

DCF法などの評価方法は固定化された評価方法とはなっていないため、各会社それぞれに対して割引率を設けることによりリスクを反映させることができます。

DCF法などの評価方法は主観的な評価方法となるため、計算式が複雑になってしまいますが、その会社ごとに注目する点によって、計算の結果が大きく変わってくるため、各会社に合わせて計算を行うことができます。

割引現在価値のデメリット

続いて主要なデメリットについて解説します。

  1. 将来生じる可能性があるリスクを割引率に反映することが難しい
  2. 主観による評価のため算定方法によって評価が変わってくる

1.将来生じる可能性があるリスクを割引率に反映することが難しい

割引現在価値を換算するためには過去の実績などを使用して評価を行います。そのため、売却側の会社とすれば少しでも自社を良くみせようとすることが多くみられます。

評価した結果、割引率が小さくなればなるほど現在価値は大きくなりますが、その採用した割引率と将来反映させることが難しい場合が多くみられます。

2.主観による評価のため算定方法によって評価が変わってくる

割引現在価値を換算する評価方法は主観的な方法になります。そのため、換算された価値に関しては客観性が低くなってしまい、計算を行う人の視点次第では計算結果が大きく変わってきてしまう場合があり、場合によっては交渉がまとまらなくなってしまう可能性すらあります。

割引現在価値を換算する評価方法は、M&Aなどの交渉時では譲受会社と譲渡会社が共に納得する評価を行わなければ成約することが難しくなります。

【関連】現在価値とは?計算方法や割引率、キャッシュフローとの関係をわかりやすく解説

まとめ

まとめ

割引現在価値というのはM&A・投資・契約・取引などを決定するために重要なものになります。

割引現在価値は計算式で求めることができ、その計算式の難易度も高すぎないため自己にて計算することも可能です。しかし、今後の進め方なども含めたことも相談したい場合は専門家に一度相談することをおすすめします。

【割引現在価値とは】

  • 将来的に得ることができる価値をもし現在受け取る場合においてどの程度の価値になるのかということを計算した数字
【現在価値とは】
  • 将来的に受け取ることができるお金を現時点の価値に計算し直した金額のことになり、基本的には割引現在価値と同じ意味
【将来価値とは】
  • 現在取得しているお金を将来のある時点での価値に計算し直した金額のことをいい、現在価値・割引現在価値とは対になる考え方
【割引現在価値の計算式】
  • 割引現在価値=n年後の価値/(1+割引率)n年(期間)
【割引現在価値の割引率】
  • 割引率というのは将来受け取る金銭を現在価値に考えたときの割合を、1年あたりの割合で示したもののこと
【M&Aの際に割引現在価値は活用されるのか?】
  • M&Aの際に買収を検討している会社がどれくらいの価値があるのかを計算するために割引現在価値はよく使用される
【割引現在価値のメリット】
  1. 将来の利益を予測して評価することができる
  2. 各会社に対して個別に調整して評価することができる
【割引現在価値のデメリット】
  1. 将来生じる可能性があるリスクを割引率に反映することが難しい
  2. 主観による評価のため算定方法によって評価が変わってくる

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