2023年11月30日更新業種別M&A

病院・医療法人業界のM&A動向!会社売却のメリットや流れ・事例15選を徹底解説【2023年最新】

本記事では、病院・医療法人のM&Aについて、成功のためのポイントや積極買収企業などを中心に紹介します。病院・医療法人のM&Aは株式会社の場合とは手続きが異なるため、違いを把握したうえで最適なスキームを選択しなければなりません。M&Aを検討している方は必見です。

目次
  1. 病院・医療法人のM&Aについて
  2. 病院・医療法人のM&Aの動向
  3. 病院・医療法人のM&Aの10のポイント
  4. 病院・医療法人がM&Aを行うメリット
  5. 病院・医療法人をM&Aで売却する流れ
  6. 病院・医療法人における業界大手のM&A事例8選
  7. 病院・医療法人での異業種によるM&A事例7選
  8. 病院・医療法人のM&Aに積極的な企業は?
  9. 病院・医療法人のM&A価格相場の算出方法
  10. 病院・医療法人のM&Aを行う際におすすめの相談先
  11. 病院・医療法人のM&Aのまとめ
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病院 医療法人のM&A・事業承継

病院・医療法人のM&Aについて

M&Aは一般的に株式会社を対象に行われるケースが多いですが、個人事業のクリニックや医療法人であってもM&Aの実施は可能です。

しかし、株式会社のM&Aと病院・医療法人のM&Aでは、手法・手続きなどの面で相違点があるため、あらかじめ十分に理解しておかなければなりません。まずは、病院・医療法人およびM&Aに関する基本的な用語の意味について解説します。

病院・医療法人とは

病院とは、けが人や病人に対して診察・治療などの医療行為を施したり、けが人や病人を入院させて収容したりする施設のことです。病院と似た言葉に診療所がありますが、有しているベッド数によって、20以上なら病院、20未満なら診療所というように区別されています。

そのほか、医師数や医師一人あたりが診察する患者数なども相違点です。また、医療法人とは、病院・診療所・介護施設などを運営する社団・財団をさします。株式を発行せず出資・基金などで設立され、利益に対する配当は行われないといった点が特徴的です。

病院・医療法人の特徴

病院・医療法人の開設やベッド数の増設(増床)を行うには、開設地域の都道府県知事などから許可を受ける必要があります。

なお、開設・増床を行いたい地域において、既存の病床数が医療計画の定める基準病床数を超えている場合には、都道府県知事などは新たな開設・増床を認める必要がありません。このことから、新規参入・事業の拡大が行いにくい業界であるといえます。

また、医療法により、病床の種類ごとに必要な有資格者の配置基準が定められている点も、病院・医療法人に見られる大きな特徴です。

さらに、診療報酬の観点でも、有資格者の配置状況に応じた点数配分が設定されていることから、他の業界以上に人材の維持確保が重要な経営課題として掲げられています。

M&Aとは

M&Aとは、株式譲渡事業譲渡・吸収合併・会社分割などの手法により、会社・事業の売買取引および企業間の組織再編行為の総称のことです。英語では合併を「Mergers」、買収を「Acquisitions」と表記されるため、頭文字を取ってM&Aと呼ばれています。

M&Aは、大企業だけでなく中小企業や個人事業、病院や医療法人でも実施可能です。特に最近では、中小企業の事業承継手段として、政府によってM&Aが推進されています。

M&Aを円滑に進めたい場合、M&A実務の専門家であるM&A仲介会社を利用するケースが多いです。そのほか、金融機関・公的機関の相談窓口を利用したり、弁護士・税理士からM&Aに強い事務所を探して相談したりする選択肢もあります。

医療法人のM&Aについては、下記の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】医療法人のM&A!医療業界のM&A動向や事例を解説!| M&A・事業承継の理解を深める

病院・医療法人のM&Aの動向

もともと病院・医療法人は営利を目的としません。そのため、他業界のように利益拡大を目指した積極的なM&Aは起こりにくいという特徴があります。

しかし、近年では医療報酬・薬価基準の引き下げに加えて、建替えによる投資コスト増大という問題が深刻化しており、経営が苦しくなった病院・医療法人が、M&Aで大手に売却する事例が徐々に増加している状況です。

大手の病院・医療法人では規模拡大・広域展開に向けたM&Aの実施を図っていますが、さまざまな制限が設けられているために業界再編が十分に進んでいるとはいえません。

その一方、他業種から医療関連業界に参入するためのM&Aは活発化しています。たとえば、レンタカー事業などを営むオリックスや、ガス会社のエア・ウォーターといった他業界の企業が、医療関連企業を積極的に買収している状況です。

また、多くの病院・医療法人では医師・看護師不足の状況に陥っていることから、サービスの質の低下や診療報酬の低下を防ぐために、人材確保を図るM&Aの実施も目立っています。

病院・クリニック業界のM&A、売却・買収事例については、下記の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】病院・クリニック業界のM&A、売却/買収事例とは?買う・売る方法、費用の相場を解説| M&A・事業承継の理解を深める

病院・医療法人のM&Aの10のポイント

病院・医療法人のM&Aは株式会社のM&Aとは異なる部分があるため、ポイントを正しく押さえておく必要があります。特に出資持分は重要なポイントで、出資持分あり・なしの違いによりM&Aの手続き・税務などが変わるため注意が必要です。

出資持分のあり・なしの違いは、医院を開業している医師自身も正しく把握していないケースが多いため、M&Aを検討する際はあらためて知識を整理しておくとよいでしょう。

①病院・医療法人の非営利性

病院を開設しようとする場合、まず、都道府県知事の許可が必要です。このとき、医療法第7条第6項の規定により、営利目的の病院開設と判断された場合には、開設許可は下りません。つまり、一般の営利企業は病院開設者にはなれないということです。

ただし、例外措置として、企業が福利厚生の一環で従業員のための病院開設は認められます。上述した法規定のため、病院を開設できるのは個人の医師か医療法人であり、医療法人の設立についても、医療法第44条により都道府県知事の許可が必要です。

さらに、医療法第54条では、「医療法人は剰余金の配当をしてはならない」と書かれており、医療法人における非営利性が厳しく定められています

②病院・医療法人の持分ありと持分なしとは

病院・医療法人は、出資持分ありの医療法人と出資持分なしの医療法人に分かれます。出資持分ありとは、医療法人を設立する時にお金を出した人(出資者)が、その医療法人に対して財産権を持っていることです。

これに対して、出資者が財産権を持たない場合は、出資持分なしとなります。2007(平成19)年3月31日までに設立された医療法人は出資持分ですが、同年4月1日以降に設立された医療法人は出資持分なしという区別です。

③持分ありの病院・医療法人のM&A

持分なしの病院・医療法人は、開始から十数年ほどの新しい制度により誕生したことから、現時点では多くの病院・医療法人が持分ありとしてM&Aを実施しているのが実態です。持分ありの病院・医療法人のM&Aでは、主に出資持分譲渡の手法が採用されます。

出資持分譲渡とは、出資持分の譲渡により事業承継を行う手法であり、株式会社の株式譲渡に相当する手法です。

出資持分譲渡は株式譲渡と同じく病院・医療法人をまるごと引き継ぐ手法であるため、資産だけでなく負債も引き継ぐ点や、従業員の再雇用手続きの必要がない点などが株式譲渡と類似しています。

④持分なしの病院・医療法人のM&A

持分なしの病院・医療法人のM&Aでは、出資持分譲渡を利用できないため、事業譲渡など他の手法を採用する必要があります。持分なしの病院・医療法人のM&Aでは、会社分割を利用して行う選択肢が有力です。

会社分割は、持分ありの病院・医療法人では採用できないことから、持分なしの医療法人ならではの手法だといえます。持分なしの病院・医療法人を譲り渡した旧理事・旧監事に対しては、対価として退職金を支払う仕組みです。

ただし、退職金の額が大き過ぎると問題になるケースがあるため、別途、報酬を支払って対応する場合もあります。

⑤社団医療法人と財団医療法人

医療法人の分類として、社団医療法人と財団医療法人があります。

社団医療法人

厚生労働省「医療法人の基礎知識」

出典:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/houkokusho_shusshi_09.pdf

社団医療法人とは、病院を開設する目的で集まった人々によって運営される医療法人です。この集まった人を社員と呼び、集まった人々を総称して社団と呼びます。一般の企業における社員(従業員)とは意味が異なるので注意が必要です。

社団医療法人における社員は、それぞれが病院開設のための資金や不動産、医療設備などを持ち寄っており、その出資比率により払い戻しを受ける権利が決まります。営利法人でなければ、法人が社員となることも可能です。

社団医療法人における用語を、一般の企業に置き換えると以下のようになります。

  • 社員≒株主
  • 社員総会≒株主総会
  • 理事長≒代表取締役(就任できるのは医師のみ)
  • 理事≒取締役
  • 監事≒監査役

財団医療法人

財団医療法人とは、無償寄付された財産によって運営される医療法人です。役員(理事長、理事、監事)が置かれるのは社団医療法人と同様ですが、社員が存在しないため、代わりに評議員が置かれることになっています。

評議員になる資格があるのは、医療従事者、医療法人や病院の経営経験者などで、役員を上回る人数を置くのが決まりです。実際には財団医療法人の数はとても少なく、大半は社団医療法人となっています。

⑥特定医療法人と社会医療法人

医療法人には、特定医療法人と社会医療法人という区分もあります。

特定医療法人

国税庁長官の承認があれば、特定医療法人になれます。法人税の軽減税率適用など、税制上の優遇措置が受けられる医療法人です。

ただし、承認のための要件はとても厳格になっており、財団法人か出資持分のない社団医療法人が対象となります。

社会医療法人

都道府県知事の認定を受けると、以下のような通常の医療以外の公的医療行為にも携わる社会医療法人になれます。

  • 救急医療
  • 災害時の医療
  • 周産期医療
  • へき地医療

社会医療法人になると、法人税・固定資産税・都市計画税などの非課税措置を受けられたり、医療法に定める収益業務を行えたりしますが、認定要件は厳格です。財団法人か、出資持分のない社団医療法人が認定対象となります。

⑦病院・医療法人のM&Aで見られる手法

病院・医療法人のM&Aは、株式会社とは組織の成り立ちが異なるため、M&Aの手法も限られたものになります。病院・医療法人のM&Aで用いられる手法は、5種類です。

持分譲渡

出資持分ありの社団医療法人では、株式譲渡の代わりに出資持分譲渡が採用されます。出資持分譲渡とは、社団医療法人の社員の持分を、買い手側が買収するM&A手法です。株式譲渡と同様に比較的簡便な手続きであり、医療法人を丸ごと承継できます。

社員・評議員の入れ換え

持分なし社団医療法人と財団医療法人の場合に実施できるM&A手法が、社員・評議員の入れ換えです。売り手側医療法人の過半数以上の社員・評議員が辞める代わりに買い手側の人間がその地位に就き、過半数の議決権を得ることで経営権を掌握します。

この場合、M&Aの対価として、辞めた社員・評議員に相応の退職金を支払うことになります。

合併

株式会社のM&Aでも用いられる合併は、そのまま医療法人のM&Aとして行うことができ、かつどの医療法人でも実施が可能です。

合併とは、複数の法人が1つの法人に統合されるM&A手法です。法人格が残る(存続する)医療法人以外は消滅することになり、消滅する医療法人の資産・権利義務・人材などは、丸ごと存続医療法人が承継します。

存続医療法人が既存の法人の場合は吸収合併といい、新設医療法人が存続法人となる場合を新設合併といいます。

分割

株式会社のM&Aで用いられる会社分割の手法も、どの医療法人でも実施可能です。ただし、会社ではないため、単に分割といいます。

分割とは、医療法人の一部の事業部門(複数運営している病院のうちの1つなど)を丸ごと買い手側に承継させる手法です。承継側が既存の医療法人の場合を吸収分割といい、新設された医療法人が承継する場合を新設分割といいます。

事業譲渡

株式会社のM&Aで用いられる事業譲渡も、どの医療法人でも実施可能です。売り手側医療法人の事業とそれに関する資産や権利などを、選別して売買取引できます。両者の合意は必要ですが、売りたいあるいは買いたい対象を選別することが可能です。

ただし、事業譲渡の場合、分割のように包括的な承継ができないため、許認可は譲渡対象にできません。したがって、買い手側が一事業として病院などを買収した場合、いったん廃院してから新たに都道府県知事の許可を得てから開院する必要があります。

⑧病院・医療法人のM&Aは開設主体によって手続きが異なる

病院・医療法人は、開設主体が多種多様である点も特徴的です。開設主体は、公的部門と民間部門の2種類に大きく分けられます。

公的部門に該当するのは国・都道府県・市町村が開設主体となる場合、民間部門に該当するのは医療法人・社会福祉法人・公益法人および企業・個人が開設主体となる場合です。

上記に挙げた開設主体の種類により許認可などの届出の提出先などが変わることから、求められるM&A手続きも異なります。

⑨病院・医療法人のM&Aによる人事

病院・医療法人のM&Aに伴う人事の仕組みを、「社員」「従業員」に分けて把握しておきましょう。M&Aでは、まず「社員」が新しく入れ替わり、新たな社員による社員総会で新しい理事・監事などが選出されます。

医療法人における社員とは従業員のことではなく、意思決定の最高機関である社員総会の構成員であるため株式会社の株主に近い存在です。ただし、「社員=出資者」というわけではなく、出資者でなくても社員に該当するケースがあります。

病院・医療法人で働く従業員については、出資持分譲渡によるM&Aでは、基本的に今までの雇用契約がそのまま承継されます。なお、事業譲渡によるM&Aでは、いったん雇用契約を解除し退職させたうえで、あらためて再雇用するという仕組みです。

⑩相談するM&A仲介会社

病院・医療法人をM&Aで売却・買収する際は専門的な手続きが求められるため、M&A仲介会社などの専門家からサポートを受けることが一般的です。

ただし、M&A仲介会社は非常に数が多く、開業に専門の資格が必要なわけではないため、質の良い仲介会社を選定しなければなりません。

たとえば、医療関連事業に特化しているM&A仲介会社や、自分の病院・医療法人と同規模のM&A支援実績を豊富に持つM&A仲介会社を選ぶとよいでしょう。

病院・クリニックの事業売却・M&A動向については、下記の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】病院・クリニックの事業売却・M&A動向!メリット・デメリット、事例を解説| M&A・事業承継の理解を深める

病院・医療法人がM&Aを行うメリット

病院 医療法人のM&A・事業承継
病院 医療法人のM&A・事業承継

病院・医療法人のM&Aは他業種に比べてまだまだ活発とはいえません。この背景には、株式会社のM&Aに比べて手続きがわかりにくい点や、医師自身もM&Aのメリットを十分に理解できていない点も深く関係しています。

この章では、病院・医療法人のM&Aにはどのようなメリットがあるかについて、買い手側・売り手側双方の立場からまとめました。

売り手側の4つのメリット

ここでは、病院・医療法人がM&Aを行う売り手側のメリットについて解説します。売り手側の主なメリットとしては、以下の4点が考えられます。

廃院を避けられる

近年の日本では、いかなる業種でも経営者の高齢化による廃業が問題になっており、病院・医療法人もその例外ではありません。親族や身近な人間に医師免許を持っている人がいない場合、地域に必要な医院・医療法人が廃院する事態に陥ってしまいます。

そこで、M&Aにより医院・医療法人を継いでくれる人を広く募集し、廃院を避けるという選択肢が有力となるのです。

地域医療の空白を作らない

病院・医療法人は、地域住民にとって必要不可欠な存在であるため、医師の都合で簡単に廃院を選べません。特に病院・医療法人が不足している地方では、1つの病院・医療法人が廃院しただけでも地域医療に大きな空白を生み出してしまいます。

しかし、M&Aにより病院・医療法人を事業承継して存続させれば、地域医療を維持できるのです。

スタッフの雇用先を確保する

病院・医療法人を廃院してしまうと、これまで働いてきたスタッフを解雇しなければならないという問題が生じます。そのため、スタッフの雇用先の確保を主な目的として、病院・医療法人のM&Aを実施するというのも有力な選択肢です。

特に、出資持分譲渡の場合は、基本的にスタッフの雇用がそのまま継続されるため、再雇用が必要な事業譲渡などと比べると利便性の高い手法だといえます。

設備投資・事業の拡大を円滑に進められる

M&Aによる譲渡で大手医療法人の傘下に入れば、その経営資源の活用により、新たな設備投資や大規模な修繕などを行いやすくなります。これにより、事業の拡大がスムーズに進むため、事業の安定化・収益力の向上などが図れるのです。

買い手側の4つのメリット

次に、病院・医療法人のM&Aにおける買い手側のメリットを解説します。買い手側の主なメリットは、以下の4つです。

グループの拡大

グループ展開している大手の病院・医療法人では、M&Aで他の病院・医療法人を買収してグループ拡大を図るという手法を採用しています。M&Aでは、新たに病院・医療法人を設立するよりも、コスト・手間を削減しながら病院数を増やせる点がメリットです。

新規エリアへの事業展開

未進出エリアに新しく病院・医療法人を設立する場合、手続きが面倒なだけでなく、設備投資・人材の確保など多くの費用・手間が発生します。そのうえ、すでに当該エリアで地盤を築いている競合病院との競争に勝ち抜くことも困難です。

その一方、既存の病院・医療法人をM&Aで買収すれば、既存の設備や患者などを引き継いだうえで、手早く事業展開できます。

人材を確保できる

病院・医療法人では、立地・設備などの条件に加えて、優秀な医師・看護師・事務スタッフなどの在籍の有無も経営に大きく影響します。人材面に関しては、新規で求人をかけても優秀な人材がなかなか応募してきてくれないというケースもあるのです。

しかし、病院・医療法人をM&Aで買収できれば、売却側の病院で働く優秀な人材を手早く獲得できます。

地域参入障壁などの規制を避けられる

病院、クリニックを新規開設・増床する場合、該当する地域の都道府県知事などから許可を受けなければなりません。そのうえ、該当地域の医療計画に定められた基準病床数を超えてしまうと、新規開設・増床が許可されない場合もあります。

このような規制は、病院・医療法人の新規参入・事業拡大において大きな障壁となっていますが、M&Aによってすでに開院している病院を買収すれば規制の回避が可能です。

医療法人の事業承継については、下記の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】医療法人の事業承継| M&A・事業承継の理解を深める

病院・医療法人をM&Aで売却する流れ

M&Aの専門家への相談

M&Aの仲介会社など専門家に相談することでそもそもM&Aを実施するかどうかについて知ることができます。

また、M&Aは通常業務と並行して進めていく必要があり、業務に支障をきたさないためにも専門家の相談から始めることがおすすめです。現在から未来にかけての医療経営の承継に関してを確認する場として活用ください。

病院・医療法人のM&Aでは医療法など、一般的なM&Aとは異なる制約があります。そのため、経験豊富なM&Aアドバイザーのサポートを受ける場合が少なくありません。

M&Aのご相談はM&A総合研究所までお気軽にお問い合わせください


病院・医療法人のM&Aをご検討の際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所は、中小・中堅規模のM&A案件を主に取り扱っており、全国に案件に対応しています。

知識・支援実績豊富なアドバイザーが多数在籍しており、ご相談からクロージングまで丁寧にサポートいたします。

M&A総合研究所の料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)

無料相談を随時お受けしておりますので、M&Aをご検討の際はお電話・Webよりどうぞお気軽にお問い合わせください。

売却先の選定

サポートを依頼するM&A仲介会社を決めたら、アドバイザリー契約を交わして本格的に相手先企業を探していきます。

自社の希望条件を担当者へ伝えると条件に合った企業をいくつか紹介されるため、その中から交渉したい相手先を絞り込むのが一般的な流れです。

交渉先は、自社がM&Aを行う目的を念頭におくことが大切です。

交渉したい相手先が決まったら、M&A仲介会社から打診を行い相手企業もM&Aに前向きであれば交渉へと進みます。

秘密保持契約の締結

具体的な交渉を相手先と進めていくためには、自社に関するより細かな情報の開示が必要です。開示情報のなかには秘密事項である財務やノウハウ・技術なども含まれます。そのため情報漏洩を防ぐ目的で「秘密保持契約書」を締結します。

秘密保持契約は、売り手と買い手が直接交わす場合もあればM&A仲介会社を介して間接的に交わす場合もあります。どちらの場合も開示範囲の決定を適切に行うことが重要です。

トップ面談・条件交渉

トップ面談では、売却側・買収側のトップが直接顔を合わせ、互いの意思や人柄、経営理念などを確認しあいます。

トップ面談は通常、金額交渉などは行わず書面で伝わりづらい部分の確認や信頼関係構築を目的としています。

その後、双方がM&A成立に向け前向きな姿勢であば、より具体的な条件を交渉していきます。

基本合意の締結

交渉内容でM&Aの使用スキーム・価額・条件など互いが大筋で合意したら、その内容を書面にまとめた「基本合意契約」を締結します。

基本合意書はあくまでも現段階で合意した内容を明確にしたものです。それ自体に法的拘束力はないため、M&A成立を確約するものではありません。

しかし通常、独占交渉権・秘密保持・デューデリジェンスへの協力義務など一部条項については法的拘束力を持たせます。

デューデリジェンスの実施

基本合意締結後は、デューデリジェンスが行われます。デューデリジェンスとは対象企業を財務・法務・人事・ITなどの面から調査することです。

デューデリジェンスによって、買収側は相手側の抱えているリスクや潜在リスクを洗い出し、買収して問題はないか価額は妥当であるかなどを検討します。

費用負担は買収側企業ですが、売却側は資料の提出など協力を求められた場合は誠実に対応することが大切です。

最終交渉と最終契約の締結

デューデリジェンスの結果、買収側がM&A実行を判断したら最終交渉を行い、細かな条件を決定します。

最終交渉はデューデリジェンスの結果を踏まえて行われます。そのため条件や価額の変更がなされるケースもあります。また、非常に大きなリスク・問題が発覚した場合は、M&A取引が中止されるケースもあることを念頭においておきましょう。

最終交渉で取り決めたすべての内容に双方が合意したら、最終契約を締結です。

最終契約はそのすべてに法的拘束力があるため、締結後に一方的に破棄や違反をすれば損害賠償請求の対象となります。締結前によく内容を確認しておくことが重要です。

クロージング

クロージングでは、最終契約書で取り決めた内容に沿い、株式の交付や株主名簿の名義書き換え、対価の支払いなどを行います。

必要手続きがM&Aスキームによって変わるため、M&A仲介会社と相談しながら抜けや漏れのないよう慎重に進めることが重要です。

なお、クロージング日は「クロージング条件」を満たしている必要があります。一般的に最終契約締結から一定の準備期間として設けます。

クロージングが終わればM&A手続きは完了です。

病院・医療法人における業界大手のM&A事例8選

ここからは、病院・医療法人における業界大手のM&A事例を紹介します。

博洋会による竜山会への藤井病院の事業譲渡

2021(令和3)年8月、医療法人博洋会が、石川県金沢市の藤井病院を医療法人の竜山会に事業譲渡しました。博洋会は、藤井病院での夜勤看護要員の配置要件のごまかしと、それに関する診療報酬の不正請求が発覚し、保健医療機関の取り消し処分を受けています。

そこで、地域医療サービスとスタッフの雇用継続のため、藤井病院の新たな経営者として竜山会に事業譲渡しました。

医療法人沖縄徳洲会による社会医療法人社団木下会の吸収合併

2019(令和元)年12月、医療法人沖縄徳洲会は、社会医療法人社団木下会(千葉県松戸市)を吸収合併しました。M&Aの目的は、経営の合理化とコンプライアンス・ガバナンスの強化です。このM&Aに伴い、沖縄徳洲会は、千葉西総合病院の運営法人となっています。

なお、沖縄徳洲会は、2018(平成30)年8月に医療法人湯池会も吸収合併しました。これにより、沖縄徳洲会は、湯池会に所属していた北谷病院を取得しています。

このM&Aは、当事者間の連携強化を目的に実施されており、北谷病院における医療従事者の高齢化や後継者不在問題の解決が図られました。

参考:木下会 沖徳に吸収合併

ときわ会による翔洋会の経営権取得

2019年8月、公益財団法人ときわ会は、民事再生中だった医療法人翔洋会が福島県いわき市で行っていた医療・介護事業の経営権を、翔洋会債権者集会の承認を得て取得しました。取得価額は12億4,300万円です。

翔洋会は、負債額が61億6,400万円まで膨れ上がり、2018年11月に事実上倒産していましたが、翔洋会が経営する複数の病院の敗因は地域社会への影響が大き過ぎるため、当局の監督命令・保全命令により運営継続していた状況でした。

参考:翔洋会に関するお知らせ

県立柏原病院および柏原赤十字病院の統合再編

2019年7月、日本赤十字社グループは県立柏原病院と柏原赤十字病院の統合再編を発表しました。

県立柏原病院は、兵庫県にありがん支援センターや脳外科神経外科といった専門医療を行う病院です。医療だけでなく、医療人材の育成にも力をいれています。

柏原赤十字病院は、県立柏原病院同じ兵庫県に位置し、眼科・婦人科・内視鏡センターをもつ病院です。救急訓練や救護活動も行なっており、熊本地震や東日本大震災などの際には救護班を派遣しています。また、地域に根差した医療提供を行っています。

今回の統合については計画は2015年に策定されたもので、幅広い医療提供や地域包括ケアシステムの形成、人材育成行っていくとしています。統合後は新病院「兵庫県立丹波医療センター」が設立されます。

参考:兵庫県立丹波医療センター

一般社団法人巨樹の会による杵島郡大町町立病院の取得

2017(平成29)年6月、一般社団法人巨樹の会は、佐賀県杵島郡大町町より杵島郡大町町立病院を取得しました。M&Aの目的は、大町町立病院の施設老朽化の解決を目指した点にあり、M&A後には新しく大町病院が開業されています(同年8月に「大町診療所」に名称変更)。

ただし、2020(令和2)年3月、大町診療所は、施設老朽化・経営赤字を理由に閉鎖されました。地域医療の継続を図って実施されたM&Aでしたが、結果的には目的を果たせなかった事例だといえます。

参考:巨樹の会

社会医療法人北斗による熊谷総合病院の取得

2016(平成28)年5月、社会医療法人北斗は、JA埼玉県厚生連より熊谷総合病院の事業を取得しました。M&Aの目的は、関東エリアへの事業進出にあります。

買収側の北斗は、北海道の十勝でクリニック・介護施設などを運営している社会医療法人です。また、日本とロシアの合意による経済協力プランの下で、ウラジオストク市内にリハビリセンター・画像診断センターなどを開設しています。

北斗の理事長である鎌田氏は病院・医療法人領域において法人同士の合併や連携を基に地域の医療提供体制を再構成する必要性を感じており、実現に際して地域医療構想・地域包括ケアシステムを構築する一環として熊谷総合病院の取得に至りました。

医療法人啓仁会による秀島病院の吸収合併

2008(平成20)年1月、医療法人啓仁会は、秀島病院を吸収合併しています。

秀島病院はバブル期の地価上昇時に銀行融資を利用して病院規模を拡張したものの、スタッフ不足・事業計画の不在・過剰投資による債務超過などの問題が深刻化し、M&A当時には経営が立ち行かなくなっていました。

上記の状況を受けて啓仁会による経営支援が始まりましたが、その後の銀行を交えた協議により、銀行が一部の債権を放棄したことで、吸収合併に至ったという経緯があります。

なお、秀島病院は個人病院であることから、M&Aに伴い医療法人化されて「吉祥寺南病院」に名称が変更されました。このM&Aの結果として単年度の黒字化に成功しており、啓仁会にとって経営上の効果があったことが報告されています。

医療法人伯鳳会による国仲病院・小国病院の取得

2005(平成17)年10月、医療法人伯鳳会は、整理回収機構より医療法人十愛会の国仲病院を取得し、「明石はくほう会病院」としました。なお、2007(平成29)年2月には、同じく十愛会で医師不足に悩んでいた産婦人科病院の「小国病院」の事業を承継しています。

これらの統合により伯鳳会ではグループとして30を超える事業所を構えることになり、赤穂中央病院に本部を置きながら、本部管理の元で各施設を運営する体制を構築しました。

国仲病院が経営破綻したことにより、小国病院は存続の危機に立っていましたが、伯鳳会が事業を引き継いで以降は、医師が充足し継続的な医療の提供に成功しています。

病院/医療法人の事業譲渡・売却事例については、下記の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

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病院・医療法人での異業種によるM&A事例7選

ここからは、病院・医療法人での異業種によるM&A事例を紹介します。大手電機メーカー・通信事業を手掛ける企業・警備サービス会社など、病院・医療法人のM&Aに関わる業種は幅広いです。

徳洲会による東海大学医学部付属病院のM&A

2023年3月、徳洲会は東海大学付属大磯病院を事業継承することを発表しました。

大磯病院は東海大学医学部が保有する附属病院のひとつで、病床数は一般病床220床、回復期病床32床、地域包括ケア病床60床で構成されています。開院以来、近隣の診療所や高齢者施設との連携を強化し、急性期医療から在宅医療まで網羅的な医療サービスを提供しています。地域の中核病院として、幅広い医療ニーズに応えています。

徳洲会はグループ全体で約400施設を展開する国内最大の民間医療グループであり、病院をはじめ、介護老人保健施設や老人ホーム、看護ステーションなどを有しています。

今回のM&Aは地域医療の継続を目的として行われ、大磯病院の運営はグループ全体でサポートしていくとしています。

参考:徳洲会への事業継承について
   徳洲会が事業継承

NTT西日本と真泉会のM&A

2020年12月、NTT西日本は、社会医療法人真泉会に松山病院を譲渡しました。愛媛県の松山病院は、旧逓信省が設立した病院ですが、NTTの民営化後もNTT西日本が継続して運営してきた企業立病院です。譲渡価額は公表されていません。

企業立病院の場合、一般の病院よりも規制が厳しい面があり、単に経営が難しいだけでなく、最新の医療体制やスタッフの確保にも苦労します。そこで、NTT西日本は、地域医療サービスとスタッフの雇用継続のため、医療法人への譲渡を決めました。

参考:NTT西日本松山病院の事業譲渡

東芝と医療社団法人社団緑野会のM&A

2018年3月、東芝は、自身が運営する東芝病院の全事業を医療社団法人社団緑野会に対して譲渡しました。M&Aの目的は、地域のニーズに沿った医療提供を実現することです。M&A当時、東芝は運営する東芝病院を含めて業績悪化に悩まされていました。

医療領域において高度な知識・技術を有する緑野会への譲渡により、東芝病院のさらなる医療の質の向上が図られた事例です。

日本郵政と社会福祉法人恩賜財団済生会グループのM&A

2017年4月、日本郵政は、横浜逓信病院の事業を社会福祉法人恩賜財団済生会グループに対して譲渡しました。横浜逓信病院は、横浜市において内科・外科・小児科などの医療を提供する病院です。

元来は、日本郵政による運営が行われていた逓信病院の1つで、戦後期より地域密着で医療を提供してきました。M&Aの目的は、赤字経営の解消にあります。

M&A後には、済生会の下で済生会東神奈川リハビリテーション病院が設立され、リハビリを主軸とする患者対応により高齢患者に医療を提供している状況です。

参考:横浜逓信病院が済生会のリハビリテーション病院に

NTT東日本と東北医科薬科大学のM&A

2015(平成27)年9月、NTT東日本は、自身が経営するNTT東日本東北病院の事業を東北医科薬科大学に対して譲渡すると発表しました。NTT東日本東北病院は、東日本大震災の被災地に緊急医療を提供してきた実績を持つ病院です。

M&Aの目的は、医師・看護師不足の解消にあり、NTT東日本は東北地方における医療領域の課題解決を図るために譲渡を決めています。M&A後は東北医科薬科大学「若林病院」として、東北の復興に向けた人材育成・医療提供を目指している状況です。

参考:NTT東日本東北病院の事業譲受

日立製作所と医療法人社団大坪会のM&A

2014(平成26)年4月、日立製作所は、自身の運営する小平記念東京日立病院の事業を医療法人社団大坪会に対して譲渡しました。小平記念東京日立病院は、1960(昭和35)年の創立以来、地域に根ざした総合病院として医療を提供してきた病院です。

M&Aの目的は、日立製作所における採算の改善にあり、地域医療のノウハウを有する大坪会の傘下に小平記念東京日立病院を置くことで、持続的な病院経営につなげられるとして事業譲渡を行っています。

M&A後は、大坪会の下でリハビリテーション科や医療福祉相談室などを備える東都文京病院が設立され、地域のニーズをかなえる医療が提供されている状況です。

参考:東都文京病院

セコムと倉本記念病院のM&A

1998(平成10)年9月、セコムは経営危機に陥り破綻した倉本記念病院の土地・建物を取得しました。M&Aの目的は、医療分野への進出です。

M&Aの1カ月後にはセコム千葉病院として開業する予定であったものの、医師会などから反対を受けて、同年12月にセコメディック病院として開業に至っています。

2017年には民間企業で初めて、厚生労働省から看護師の指定研修機関として認可されており、医療サービスのさらなる拡大に注目が集まっている状況です。

歯科業界におけるM&Aの売却・買収事例については、下記の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】歯科業界におけるM&Aの売却/買収事例とは?業界の動向とM&Aの成功ポイントを解説| M&A・事業承継の理解を深める

病院・医療法人のM&Aに積極的な企業は?

この章では、近年、病院・医療法人および関連企業をM&Aで積極的に買収している企業を紹介します。

①T&Cメディカルサイエンス

T&Cメディカルサイエンスは、再生医療・医療機器販売・病院の運営および管理などを手掛けている会社です。2014年に中国の北京徳恒国際医療服務有限公司と資本業務提携を結ぶなど、積極的に病院・医療法人のM&Aを行っています。

北京徳恒国際医療服務有限公司は会員制クリニックの国際医療サービス会社であり、本事例は日本の次世代検診技術や再生医療の提供を目的としたM&Aです。

②H.U.グループホールディングス

H.U.グループホールディングス(旧:みらかホールディングス)は臨床検査企業の持株会社で、国内三大臨床検査センターの1つであるエスアールエルを子会社に持っています。

2018年、H.U.グループホールディングスは、臨床検査事業を譲受するために、社会医療法人愛仁会と資本業務提携を締結しました。愛仁会は関西で病院経営を展開していたことから、関西エリアでの事業拡大も見据えたM&Aとされています。

③オリックス

オリックスは、金融事業やレンタカー・リースをはじめ多くの事業を手掛けている会社です。医療関連では、医療法人向けの融資やCT・MRI搭載車両のリース事業などを手掛けています。

2014年、オリックスは、医療機器販売会社であるイノメディックスを子会社化しました。また、2017年には医療機関向け業務支援サービス会社(CMCおよびメディマージュ)と資本業務提携を締結するなど、医療関連のM&Aを積極的に実施しています。

④メディカル・データ・ビジョン

メディカル・データ・ビジョンは、病院向け経営支援システムや診療データベースなど医療関連製品・サービスを提供している会社です。

2019年、メディカル・データ・ビジョンは、メディカルドメインの全株式を取得し完全子会社化するM&Aを実施しています。メディカルドメインは、医療系システムの開発・販売会社です。これにより、医療ビッグデータ構築による自社グループの成長が目指されています。

⑤双日

双日は、自動車事業・化学・金属・都市開発などさまざまな事業を手掛ける総合商社です。医療関連では機械・医療インフラ本部を設置しており、アジアや南米への医療インフラ事業などを行っています。

2014年、双日はキャピタルメディカと資本業務提携を締結するなど、病院・医療法人のM&Aを積極的に進めています。このM&Aにより、海外向けに日本式の医療システムを提供して、海外病院事業の推進を図りました。

⑥エア・ウォーター

エア・ウォーターは国内産業用ガスの大手企業ですが、医療機器・病院設備工事などの医療関連事業も手掛けています。

2015年、エア・ウォーターは北陸地方の医療機器メーカー「エムシーサービス」と資本提携したほか、2016年には歯愛メディカルとの資本業務提携、川本産業への株式公開買付け(TOBを実施するなど、病院・医療法人関連のM&Aを積極的に推進しています。

⑦EP綜合

EP綜合は、治験施設支援機関(SMO)において治験業務などを手掛ける企業です。2013(平成25)年、EP綜合は、同じく治験施設支援機関であるジェービーエスの全株式を取得し完全子会社化しています。

本件M&Aは、大学病院・総合病院など大規模病院への支援拡大および国際共同治験や難病の臨床試験などへのサポート充実化を目的に実施されました。

⑧大東建託

大東建託は、建設事業と不動産事業を中心に、太陽光発電や介護・保育事業なども手掛けている会社です。2015年、大東建託はソラストの株式を取得して資本業務提携を締結しています。ソラストは、医療業務請負と介護サービスの会社です。

本件M&Aに伴い、大東建託では不動産関連事業におけるシナジー効果を獲得し、新たなサービスを提供して企業価値の向上を目指しています。

⑨都築電気

都築電気は、情報システムの構築を提供するシステムインテグレーターです。通信回線サービス・情報機器・ソフトウェアといった幅広いサービスを提供しています。

2017年、都築電機は、病院や福祉関連事業をはじめセメント・コンクリート製造やソフトウェア開発なども手掛ける麻生グループと資本業務提携を締結しました。本件M&Aの目的は、両社の医療関連事業におけるノウハウを統合し、シナジー効果を獲得することです。

病院・医療法人のM&A価格相場の算出方法

医療法人のM&A価格を算定するには、株式会社の場合と同様に医療法人の価値評価を行います。医療法人は非営利機関であることから、一般の企業と比べて安定的な経営となっていることが多く、その意味では価格算定が行いやすいことが特徴です。

医療法人のM&A価格を簡易的に行う方法としては、以下のようなものがあります。

  • 時価純資産額+営業利益×1~5年分
  • 上記の算定結果に対し、そこから将来のリスクを金額換算して加味する場合もある
  • 別の計算方法として、キャッシュフローの数年分という計算もある

時価純資産額とは、資産と負債を時価評価し差引した数字です。将来のリスクとは、たとえば、医療ミスの発生、職員からの未払い賃金請求訴訟、患者からの医療訴訟などが挙げられます。

病院・医療法人のM&Aを行う際におすすめの相談先

病院・医療法人のM&Aを行うには幅広い知識と経験が求められるため、M&A仲介会社などの専門家への相談がおすすめです。専門家に相談すれば、M&A手続きがスムーズに進むだけでなく、医師としての本業への支障も最小限に抑えられます。

もしもM&Aに関する専門家選びでお悩みでしたら、ぜひ、M&A総合研究所にお任せください。M&A総合研究所では、M&Aの知識・経験豊富なアドバイザーによるクロージングまでのフルサポートを行っています。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。随時、無料相談を受け付けておりますので、病院・医療法人のM&Aをお考えの際は、お気軽にお問い合わせください。

病院・医療法人のM&A・事業承継ならM&A総合研究所

病院・医療法人のM&Aのまとめ

病院・医療法人のM&Aは、株式会社のM&Aとの違いや、出資持分あり・なしの違いなどを把握したうえで、最適なスキームを選択しながら手続きを進めていく必要があります。

M&A仲介会社など専門家のサポートを受けつつ、慎重に手続きを進めていくことが成功につながる大きなポイントです。本記事の概要は以下のようになります。

・病院・医療法人のM&Aの10のポイント
→病院・医療法人の非営利性
→病院・医療法人の持分ありと持分なしとは
→持分ありの病院・医療法人のM&A
→持分なしの病院・医療法人のM&A
→社団医療法人と財団医療法人
→特定医療法人と社会医療法人
→病院・医療法人のM&Aで見られる手法
→病院・医療法人のM&Aは開設主体によって手続きが異なる
→病院・医療法人のM&Aによる人事
→相談するM&A仲介会社

・病院・医療法人がM&Aを行う売り手側のメリット
→廃院を避けられる
→地域医療の空白を作らない
→スタッフの雇用先を確保する
→設備投資・事業の拡大を円滑に進められる

・病院・医療法人がM&Aを行う買い手側のメリット
→グループの拡大
→新規エリアへの事業展開
→人材を確保できる
→地域参入障壁などの規制を避けられる

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