2023年8月19日更新会社・事業を売る

合併の意味とは?種類・メリット・デメリット・事例・会計処理も紹介

合併とは複数の法人を統合する手法であり、吸収合併と新設合併に分けられます。合併の手続きは登記を含めて煩雑であるため、申請時の必要書類についても入念に把握しましょう。今回は、合併の意味や種類、メリット・デメリット、事例や会計処理など幅広く紹介します。

目次
  1. 合併とは
  2. 合併の種類
  3. 合併のメリット・デメリット
  4. 合併を行う際の手順・流れ
  5. 合併における登記申請と必要書類
  6. 合併における会計処理
  7. 合併における税務
  8. 合併時の会計・法務に関する注意ポイント
  9. 合併比率における株主構成と存続会社の資本金額の決め方
  10. 合併における相手側企業の選び方
  11. 合併に関する相談先
  12. 合併・組織再編をした企業事例
  13. 合併のまとめ
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合併とは

まずは、合併の意味および、買収M&Aとの相違点を順番に取り上げます。

合併の意味は?

合併とは、複数の会社が経営統合によって1つの会社になることです。合併では、法人格が残る「存続会社」と、解散登記をして存続会社に吸収されることになる「消滅会社」に立場が分かれます。会社法における定めで、合併は組織再編行為の1つです。

組織再編行為の場合、要件を満たせば適格合併として税制上の優遇措置を得られます。資本関係や会社間の規模の違いなど特定の条件を満たすと、簡易合併や略式合併として認められ、株主総会の承認手続き省略が可能です。

買収・M&Aとの相違点

買収とは、他社の事業あるいは会社の経営権取得をさします。具体的には、株式譲渡事業譲渡などの手法により実施されるケースが多いです。合併と買収の相違点としては、「消滅会社の有無」が挙げられます。

買収では、売り手企業の法人格は消滅しません。これに対して合併では、売り手企業を解散させたうえで、権利や義務などを買い手企業が引継ぐため、法人格の消滅が伴います。

M&Aとは、Mergers(合併)and Acquisitions(買収)の略称であり、合併や会社分割などの組織再編行為および会社・事業の売買取引の総称になります。合併は、M&Aの中の1手法にすぎません。

【関連】合併と株式交換の違いとは?メリット・デメリットや事例を紹介

合併の種類

合併には、吸収合併と新設合併の2種類があります。ここでは、それぞれの概要と相違点を確認しましょう。

吸収合併

吸収合併とは、複数の既存の企業を1社に統合する合併です。存続会社は、消滅会社の持つ全て(資産、権利義務、人員、取引先、顧客、ノウハウ、ブランド力、許認可など)を包括承継します。吸収合併では、株式以外に現金・社債・新株予約権を対価に用いることも可能です。

手続き内容が新設合併よりも簡便ですむことから、現実に実施される際は吸収合併が選ばれています。

新設合併

新設合併は、新設企業が存続会社となり、既存企業を吸収する合併をさします。言い換えれば、合併の際の存続会社とするために、企業を新設して行う合併です。存続会社が新設企業であることから、吸収合併よりも手続きが煩雑となるため、実際にはほとんど採用されていません。

吸収合併と新設合併の相違点

吸収合併と新設合併の相違点は、以下のとおりです。

  • 新設合併は企業を新設する手間が加わる
  • 新設合併は存続会社が既存企業ではないために許認可を引継げない
  • 新設合併では対価に現金が使えない(新設企業には余剰資金がない)
  • 新設合併は登録免許税が吸収合併よりも高くなる


このように新設合併は吸収合併よりもデメリットが多く感じられますが、たとえば既存企業2社と行う新設合併では、既存企業の対等性をアピールできるメリットもあります。したがって、どちらの合併にすべきかは専門家へ相談してみるとよいでしょう。

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合併のメリット・デメリット

ここでは、合併のメリット・デメリットを取り上げます。

合併のメリット

合併のメリットは、主に以下です。

①組織のコントロールが容易になる

すでに取引を行っている会社同士が合併すると、それまで手間がかかっていた情報共有などの連携が一体化するために組織のコントロールが容易になります。競合他社同士が合併すれば、価格競争がなくなり利益を確保しやすくなるため、安定した経営が望めるでしょう。

②組織をシンプルにできる

合併では、経営統合プロセスにおいて、組織の再編成・人員の再配置は必須です。そのことにより、従来よりも合理的で機能的な組織体制に変えられます。

③従業員の士気向上

合併は異なる会社同士が完全に統合する手法であり、異なる企業文化の融合が従業員の士気向上に刺激を与えます。これまで取引関係にあった会社同士であれば効果は大きく、一体感がさらに強まる可能性が高いです。

そもそも合併により会社の規模が拡大すれば、従業員の士気が向上するために今後の経営に良い影響を与えます。ノウハウの融合によって、新事業の開発やそれに伴う業績の向上が望めるため、従業員のモチベーション向上につなげることが可能です。

④対等な立場でM&Aを行える

数ある手法の中でも、合併は「対等な立場でM&Aを実施する」イメージを周囲に与えやすいです。仮に、株式譲渡事業譲渡を採用すると、相手企業から事業や経営権を買収するために従来は身売りと呼ばれたこともあり、ネガティブな印象を抱かれる傾向にありました。

その傾向はまだ消滅しておらず、「売り手企業の立場は弱い」と考える人は多いです。これに対し合併では、対等な立場で取引を行い複数の会社を1つに統合できます。

⑤シナジー効果を獲得できる可能性が高い

シナジー効果とは、複数の企業や企業内の異なる事業部門が協働して得られる相乗効果のことです。合併では、主に以下項目の獲得が期待されます。

  • 売上シナジー(例:両社のブランドイメージの融合による売上増加)
  • コストシナジー(例:企業規模の拡大による生産機能の統合がもたらすコスト削減)
  • 財務シナジー(例:余剰資金の活用および節税効果の獲得)


合併では、迅速かつ円滑に方針や制度などを統合できます。M&A後も当事会社が個々に経営を続けていく買収の手法と比較すると、シナジー効果が発揮される可能性が高いです。

合併では自社の株式を対価に設定できるため、金融機関から資金を調達する手間・労力をかけずにすみます。資金力が不足していても取引を遂行できる点がメリットです。

⑥競合他社が減る

合併の相手が同じ業界内であれば、業界での順位が上がり、競争力を高められるでしょう。特に業績にそれほど差がない相手との合併を行えば、企業力が大幅に強化できるため、必然的に業界での優位性が高まり競合他社が減ります。合併相手と差がある場合でも、M&Aにより一定レベルの効果は期待できるでしょう。

⑦スケールメリットが見込める

合併を行い会社の規模が大きくなると、スケールメリットが得られるでしょう。スケールメリットとは、同種の業種やサービスが集まることで、会社単体よりも大きな成果を生み出せることをいいます。 合併により販売拡大だけでなく、大量の商品仕入れや製造によるコスト削減なども期待できるでしょう。

⑧内部統制を強化できる

合併により会社を一つにすれば、業務を効果的かつ効率的に運営できます。経営者の意向と姿勢がスムーズに行え、会社の統制を強化できるでしょう。内部統制は事業活動の透明性が増し、安全性も確保されます。

⑨事業承継問題を解決できる

中小企業の多くは、後継者の不在などの課題を抱えています。経営者は必ず引退時期を迎えますが、引退する際に後継者がいない限り、会社は廃業せざるを得ません。しかし、合併を行えば、事業承継問題を解決できます。会社は存続できるうえ、従業員もそのまま引き継いでもらえるでしょう。

⑩管理会計を導入しやすくなる

管理会計は、経営指標の見える化を目的としたものをいいます。事業別、部門別、製品別、地域別など、必要な単位で行うため、企業での導入はそれほど進んでいません。合併によって管理会計を導入すれば、現状の経営上の課題の把握や施策の検討、経営判断など、より的確な経営方針を示せるでしょう。

⑪節税対策・相続税対策を講じられる

合併は、節税対策・相続税対策として有用なスキームがいくつかあり、いずれも自社株の評価額を下げる効果があります。合併によって会社の規模が変化すると、株式評価の計算式が変わるケースもあるでしょう。しかし、税金対策を目的とした合併の場合、税務署からペナルティを受ける可能性も高いため注意が必要です。

節税対策・相続税対策の合併は、株主や従業員側として不利益となるため、専門家を交えて検討するのがおすすめです。

⑫ブランド力を強化できる

企業同士の合併は、ブランド力の強化などを目的にするケースもあるでしょう。知名度の高いブランド力のある企業と合併すると、既存の知名度や販路を活用できるため、時間や費用もかからず効率的なブランド展開ができるでしょう。ブランド力が高まると、資金調達もしやすくなります。

⑬損益通算を行える

合併では法人格が統合されるため、黒字会社と赤字会社の間で損益通算が可能です。黒字会社側は、節税効果が期待でき、赤字会社側は損失を補填(ほてん)できるなどのメリットがあるでしょう。

⑭繰越欠損金を引き継げる

赤字の買収企業の業績を立て直し、黒字化した場合、買収した事業の繰越損失金を利用して節税効果を得られるメリットがあります。ただし、合併と繰越欠損金の制度を利用した合併と判断されてしまうと、税務署からペナルティを受けるため注意が必要です。

合併をする場合の繰越欠損金の取り扱いは、「適格合併の要件」と「繰越欠損金の引き継ぎ制限」といった確認条件が厳しく定められていいます。リスクも高いため、繰越欠損金がある場合は、専門家に相談するのがおすすめです。

⑮資金移動をシンプルに行える

グループ内企業でも資金移動には手続きが必要となります。しかし、合併を行えば、同一法人となるため資金移動が簡単に行えるでしょう。例えば、複数の子会社同士の合併は、大きなメリットです。

合併のデメリット

合併には複数のメリットがありますが、デメリットも少なくありません。合併のデメリットには、主に以下が挙げられます。

①手続きの手間とコストがかかる

合併における最大のデメリットは、手続きの手間とコストがかかる点にあります。合併は登記が必要であるほか、会社同士の組織のすり合わせや株主総会の開催も求められるなどプロセスが多いです。

全体的に手間がかかるだけでなく、登記の際には登録免許税が発生するなど手続きにコストも発生します。特に新設合併の場合は、吸収合併以上に手間がかかる点を覚悟しておかなければなりません。

②経営統合に時間がかかる

売り手側を子会社化するだけの株式譲渡とは違い、合併は2つ以上の会社を統合する手法です。重複しているバックオフィス部門の削減や業務のすり合わせ・給与水準の見直し・組織の改編など、経営統合には必要な作業が多いため、これに比例して多くの時間・手間が要求されます。

このプロセスで浪費されるのは時間だけではありません。経営統合の作業に時間がかかるほど、従業員の負担も増えます。合併の当事会社ごとに業務のやり方・スタンスが異なっていれば、そのすり合わせで従業員は多くのストレスを抱えるでしょう。

もしも円滑に統合作業が進まなければ、業務が停滞します。経営統合では、事前に進め方を十分に協議しておかないと、余計な手間がかかるだけでなく想定していたシナジー効果が得られずに、かえって業績を悪化させるおそれもあるため注意しましょう。

③従業員の流出を招くおそれがある

合併は、価値観や仕事に対する考え方が異なる者同士を同じ環境に入れて業務を行わせる取引でもあります。うまくいけばシナジー効果が期待できますが、うまくいかなければ価値観や考え方の違いで対立を生み出してしまうおそれもあるでしょう。

場合によっては従業員同士がうまく連携を取れず、最終的に従業員の流出を招いてしまう可能性も考えられます。従業員の流出は、会社の人員が減少するだけでなく、情報の流出にもつながりかねません。

事業の中核を担う従業員が流出すれば、事業の価値が大幅に下がってしまうだけでなく、事業自体が立ち行かなくなるおそれもあります。従業員の流出は、合併のみならずM&Aで得られるシナジー効果そのものにも影響を及ぼすため、細心の注意を払いましょう。

④株価が下がる可能性がある

合併を行うことで、株価が下がる可能性があります。合併の対価として買い手が新株を発行・交付する場合、合併比率によっては買い手株主の持分が希薄化するおそれがあるでしょう。

希薄化とは、株式会社の発行する株式数が増えたために、1株あたりの権利内容が小さくなる現象です。こうした現象に伴い、基本的に株価は下落します。

合併に際して、投資家が収益の向上などを見込めないと判断すれば、株価のさらなる下落を招く可能性が高いです。株価の下落を回避するには、外部の利害関係者に合併によるメリットをよく理解してもらう必要があります。

⑤責任の所在が曖昧になる

合併により事業が統合されると、責任の所在が曖昧になるケースがあるでしょう。特に複数の事業を行っている場合、責任ある者に関する責任感が薄くなってしまう可能性があります。合併によって事業を統合する際は、事業や部門ごとに数字を算出しながら、責任の所在をはっきりと決めておくのが重要です。

⑥業績をまとめにくくなる

合併前に別々に分かれていた事業を統合すると、事業ごとの業績がまとめにくくなる可能性があるでしょう。これにより、経営陣は事業に対する正確な評価する判断がしにくくなります。デメリットが発生しないよう、合併の際は、部門ごとに会計を整理する工夫も重要です。

⑦企業規模の変化で税負担が増加するおそれ

法人税法上の中小企業は、さまざまな優遇措置が受けられるケースが多いです。しかし、合併によって企業規模が大きくなると、法人税法上の中小企業から除外され、税負担が増加するおそれがあるでしょう。

⑧偶発債務の発覚リスクがある

合併を行うと、存続会社がすべての権利義務を引き継ぐため、合併後に偶発債務が発覚するケースもあるでしょう。偶発債務は想定が非常に難しく、正確に把握できていないケースが多いです。偶発債務が発覚した場合は、多額の支払いが生じるだけでなく、自社の信用にも悪影響を与えます。

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合併を行う際の手順・流れ

ここまでで合併の基礎知識を把握したところで、本章では合併を行う際の手順・流れを以下の項目に分けて取り上げます。

  1. 合併契約書を締結する
  2. 事前開示事項を備え置く
  3. 株主総会を招集し承認を受ける
  4. 債権者保護手続きを行う
  5. 反対株主の買取請求手続きを行う
  6. 効力発生後に登記を行う
  7. 事後開示事項を備え置く

①合併契約書を締結する

相手企業の選定(マッチング)・トップ面談・条件交渉・デューデリジェンス(買収監査)などのプロセスをすませたうえで、合併の実施を正式に決めます。合併契約書は、合併の実施を双方が合意した時点で締結しましょう。ここからは、具体的な記載事項や注意点などを紹介します。

吸収合併契約書に記載する事項

吸収合併契約書には、以下の事項を記載する必要があります。

  • 存続会社と消滅会社の商号と住所
  • 効力発生日
  • 株式の数と算定方法(合併の対価が存続会社の株式の場合)
  • 存続会社の資本金と準備金の金額(合併の対価が存続会社の株式の場合)
  • 財産の内容と数、あるいは金額(合併の対価が株式以外の財産の場合)
  • 消滅会社の株主に対する対価の割当について(合併の対価が存続会社の株式、または株式以外の財産の場合)
  • 新株予約権の内容と数、あるいは算定方法(消滅会社が新株予約権を発行している場合)
  • 存続会社が社債の債務承継を承認すること、および社債の種類と合計額もしくは算定方法(消滅会社が新株予約権付社債を発行している場合)
  • 新株予約権もしくは金銭の割当について(消滅会社が新株予約権または新株予約権付社債を発行している場合)

新設合併契約書に記載する事項

新設合併の場合は、以下の事項を契約書に記載する必要があります。

  • 消滅会社の商号と住所
  • 新設会社の商号と本店所在地、目的、発行可能株式総数
  • 新設会社の定款で定めた事項
  • 新設会社設立時の取締役の氏名と名称
  • 新設会社の株式の数もしくは算定方法、資本金、準備金の金額
  • 株式の割当について
  • 社債の種類と金額、算定方法(新設会社の社債を対価とする場合)
  • 社債の割当について(新設会社が社債を対価とする場合)
  • 新株予約権の内容と数、あるいは算定方法(消滅会社が新株予約権を発行している場合)
  • 新株予約権の割り当てについて

合併契約書の注意点

合併契約書に記載すべき事項は会社法で決まっているため、ルールを守らずに作成すると無効になってしまうおそれがあります。最近では合併契約書のひな型がインターネットで出回っており、それを活用する経営者の方も多いです。

ひな型を使うこと自体は問題ありませんが、作成途中で必要な事項が抜けてしまったり、ひな形の書式そのものが正しくなかったりするおそれがあります。合併契約書はケースによって記載する内容が異なるため、契約書を作成する際は専門家のチェックやアドバイスを受けましょう。

②事前開示事項を備え置く

合併契約書の締結後は、契約の内容・その他法務省令で定める事項を記載(記録)した書面を、効力発生日から6カ月経過する日(消滅会社は効力発生日)までの間、本店に備え置かなければなりません。なお、備置開始日は、次のうち最も早い日です。

  • 株主総会2週間前
  • 株主への株主買取請求の催告もしくは公告のいずれかの早い日
  • 債権者保護の手続きに関する通知もしくは公告のいずれかの早い日

③株主総会を招集し承認を受ける

存続会社および消滅会社は、効力発生日の前日までに株主総会の特別決議によって合併契約に関する承認を受けなければなりません。招集通知は、原則として株式公開会社では株主総会開催の2週間前までに、非公開会社では1週間前までにそれぞれ実施する必要があります。

特別決議では、議決権の過半数を有する株主が出席したうえで、その株主の議決権3分の2以上の賛成を得なければなりません。

④債権者保護手続きを行う

会社法の規定にもとづき、存続会社および消滅会社の債権者は、合併に対して異議を述べる権利を有しています。これを受けて、合併の当事会社では、債権者に対して以下の項目を官報に公告したうえで、知れている(会社が認識している)全ての債権者に対する個別の催告が必要です。

  • 合併を実施する旨
  • 存続・消滅会社の商号および住所
  • 存続・消滅会社の計算書類に関わる事項
  • 債権者が一定期間内(1カ月を下回らない期間)に異議を述べられる旨


官報への公告と同時に定款に規定している「日刊新聞」もしくは「電子公告」に掲げて実施する場合は、個別の催告は省略が可能です。

債権者が異議を述べたならば、債務の履行によって債権を消滅させる弁済・相当の担保の提供・信託のいずれかを実施しなければなりません。ただし、債権者を侵害するおそれがないと判断される場合、手続きは不要です。

⑤反対株主の買取請求手続きを行う

合併に反対する株主は、保有する株式を公正な価格により買い取る旨を請求する権利を有しています。これを受けて、合併の当事会社では、反対する株主が行う請求に応じる手続きを遂行しなければなりません。

具体的には、合併する旨を記した通知・公告を、効力が発生する20日前までに行います。加えて、株価の決定や買取の対価を支払う手続きなどの遂行も必要不可欠です。

⑥効力発生後に登記を行う

ここまでに紹介した手続きを全てすませた状態で合併の効力発生日が訪れると、合併が正式に成立します。吸収合併では「合併契約書に記載された日付」、新設合併では「新しく設立した会社の登記申請日」が、それぞれ効力発生日にあたる決まりです。

吸収合併では、効力発生日から2週間以内に、本店所在地において消滅会社の解散登記および存続会社の変更登記を実施しなければなりません。これに対して新設合併では、消滅会社の解散登記および新設会社の設立登記の申請が求められます。

⑦事後開示事項を備え置く

合併における存続会社では、効力発生日後に遅滞することなく、消滅会社から承継した権利義務・その他の事項を記載した書面もしくは電磁的記録を作成しなければなりません。そして、効力発生日から6カ月間にわたり、作成した書面を本店に備え置く必要があります。

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合併における登記申請と必要書類

合併の際は登記が必要ですが、これに伴い登録免許税が発生します。登記申請は司法書士に依頼するケースが一般的ですが、このときに司法書士へ報酬を支払わなければなりません。そこで本章では、合併における登記申請時の登録免許税・司法書士への報酬・必要書類などを解説します。

合併の登録免許税と司法書士への報酬

まずは、合併の登記を行った際に発生する登録免許税および司法書士への報酬をお伝えします。登録免許税は、存続会社と消滅会社によって税額が異なるため注意が必要です。

存続会社の登録免許税

存続会社の登録免許税額は、増額した資本金の1,000分の1.5で計算します。ただし、増額後の資本金が合併する直前の消滅会社の資本金を超える場合は、超えた分に対して1,000分の7で計算した登録免許税が発生する決まりです。

なお、算出された登録免許税の額が3万円未満である場合は、一律で3万円とされます。

消滅会社の登録免許税

消滅会社の登録免許税は、一律3万円です。しかし、合併時に不動産の移転を行う場合は不動産登記を行う必要があるため、固定資産税評価額✕1,000分の4の登録免許税が別途発生します。

司法書士への報酬

司法書士に登記を依頼した場合の報酬は、司法書士事務所ごとに異なります。したがって、一概に報酬額は述べられませんが、安価なケースでは2万円前後です。司法書士へ登記申請の依頼をする際は、必ず費用を確認しましょう。

登記申請に必要な書類

合併の登記申請の際に必要となる書類は、存続会社と消滅会社ごとに異なります。それぞれで必要な書類は、以下のとおりです。

存続会社の登記申請で必要となる書類

存続会社が登記申請を行う際は、以下の書類が必要です。

  • 登記申請書
  • 合併契約書
  • 合併契約の承認に関する議事録、あるいは証明書
  • 債権者保護手続きを証する公告と催告証明書(必要に応じて合併に意義を述べた債権者の弁済金受領書あるいは債権者を害するおそれがないことを証明する書面)
  • 資本金計上証明書

消滅会社の登記申請で必要となる書類

消滅会社が登記申請を行う際は、以下の書類が必要です。

  • 登記申請書
  • 合併契約書
  • 消滅会社の登記事項証明書
  • 合併契約の承認に関する議事録、あるいは証明書
  • 債権者保護手続き関係書面
  • 株券発行会社については株券提供公告を証明する書類
  • 新株予約権発行会社は新株予約権提供公告を証明する書類

ケースによって必要となる書類

ケースによっては、上記書類の他にも以下の書類が必要となる場合があります。

  • 主務官庁の認可書
  • 簡易合併、あるいは略式合併の場合は要件を証明する書類
  • 登録免許税の算定根拠を明らかにする書類
  • 役員変更関係書類
  • 司法書士に代理を依頼するための委任状


合併時の登記申請では多くの書類が必要となるうえに、ケースによってさらに増える可能性があります。司法書士への登記申請の依頼は、必要書類の不備をなくす意義もあるため、報酬は発生するものの司法書士に依頼するとよいでしょう。

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合併における会計処理

合併における存続会社では、状況に応じて適した会計処理(仕訳))を実施します。会計の専門家である公認会計士でも理解に苦戦するほど難しい分野であるうえに、例外的なケースもあることから、経営者が合併の会計処理を完璧に理解するのは非常に困難です。

本章では、合併における基本的な3つの会計処理に絞って、仕訳方法を簡単に取り上げます。

のれんの概要

のれんとは、M&Aの取引価額の中で、売り手側から得た資産および負債の時価を上回る部分の金額のことです。簡単にいうと、時価純資産額と買収金額の差額にあたります。時価純資産額を買収金額が下回った場合は、「負ののれん」が計上される決まりです。

のれんは資産、負ののれんは負債としてそれぞれ貸借対照表に計上します。計上したのれんは、20年以内に定額法などにより算定した金額を規則的に償却していく決まりです。

当初、想定していた収益力が見込めなくなった場合は、回収可能価額までのれんを減額する「減損処理」を実施しなければなりません。合併により計上されるのれんは、売り手側が保有する無形資産を金銭により見積もった指標です。

つまり、売り手の無形資産が高く見積もられるほど、計上するのれんの額が大きくなります。

通常取得時の仕訳

通常取得では、存続会社は消滅会社の資産と負債を時価に変換しつつ、買収価額と時価純資産の差額分をのれんとして計上する決まりです。たとえば、買収金額が1億円・受入資産が8,000万円・受入負債が1,000万円のケースを想定すると、以下のとおり仕訳を行えます。

借方 貸方
受入資産 8,000万 受入負債 1,000万
のれん 3,000万 資本金 4,000万
    資本準備金 6,000万


買収金額と時価純資産の差額に当たる3,000万円は、のれんとして資産の部に計上されます。そして、買収金額(取得原価)は、資本の部(資本金や資本準備金)に計上される仕組みです。

負ののれん発生時の仕訳

負ののれんが発生した場合は、買収金額と時価純資産の差額分を負債の部に計上します。たとえば、買収金額が4,000万円・受入資産が8,000万円・受入負債が1,000万円のケースを想定すると、以下のとおり仕訳を行うことが可能です。

借方 貸方
受入資産 8,000万 受入負債 1,000万
    資本金 4,000万
    負ののれん 3,000万


上記のケースでは、7,000万円の時価純資産を4,000万円で取得しています。そのため、差額の3,000万円は、負ののれんとして負債に計上しなければなりません。買収金額の4,000万円は資本の部に計上します。

親会社が完全子会社を吸収合併する際の仕訳

親会社が完全子会社の吸収合併を行うケースでは、取得を目的とした合併とは異なる会計処理を実施しなければなりません。主な相違点を以下にまとめました。

  • 消滅会社の資産と負債を、時価ではなく簿価で承継
  • 消滅会社の純資産と存続会社の子会社株式との差額を、抱合株式消滅差損益として計上


たとえば、受入資産が8,000万円・受入負債が2,000万円・親会社の子会社株式が4,000万円のケースを想定すると、親会社に求められる会計処理は、以下のとおりです。

借方 貸方
受入資産 8,000万 受入負債 2,000万
    子会社株式 4,000万
    抱合株式消滅差益 2,000万


合併では、ケースに応じて複雑かつ手間の大きい仕訳が求められます。これを処理するには専門的に高度な知識が必要とされるため、合併時には会計の専門家からサポートを受けるのがおすすめです。

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合併における税務

本章では、合併に関する税務を取り上げます。税務の取り扱いは適格合併と非適格合併により異なるため、それぞれで求められるプロセスを順番にまとめました。

適格合併と非適格合併の相違点

合併の税務を把握するうえで、適格合併と非適格合併の相違点は知っておくべき基礎知識です。適格合併とは、合併当事会社の関係性が法人税法の定める要件に対して適格である合併をさします。

端的には、相手企業を一方的に統合するのではなく、共同事業や組織再編などを目的に掲げて合併を実行する場合は、基本的に適格合併とみなされるでしょう。これに対して、法人税法の定める要件に対して適格でない合併は、非適格合併です。

適格合併における税務

まず、株式のみが対価となることから、消滅会社の株主に対して「みなし配当」への課税も発生しません。株主としては、税負担の軽減が期待できます。存続会社では、法人税法の定めに基づき、適格合併では資産および負債を帳簿価額で引継ぐ決まりです。

これにより、存続会社では譲渡損益を認識せずにすむため、追加で新たな税金は課されません。原則的に消滅会社の繰越欠損金を引継げます。繰越欠損金とは、税法上の赤字に関して、一定条件のもとで以後の事業年度で生じる所得から控除できる制度です。

ただし、適格合併のうちグループ内再編に該当する場合、合併を行う会社がグループ化して5年経過しているかどうかで条件が変わる点に注意しましょう。

グループ化して5年経過している会社であれば繰越欠損金の引継ぎを原則どおり行えますが、グループ化して5年未満だった場合は「みなし共同事業再編」の要件を追加で満たさなければなりません。

みなし共同事業再編の要件

ここでは、みなし共同事業再編に該当するための要件をまとめました。

  • 適格合併の当事者である消滅会社の事業と存続会社の事業がそれぞれ相互に関連していること
  • 消滅会社と存続会社それぞれの売上金額、従業員の数、あるいはこれらに準ずるものの規模の割合が5倍を超えていないこと
  • 消滅会社と存続会社それぞれの事業がグループ化した後も継続して営まれており、グループ化した時点と合併する直前の時点における事業規模が2倍を超えていないこと
  • 存続会社、消滅会社それぞれの特定役員が合併した後の会社の特定役員になっていること


上記4つの要件を満たしていれば、グループ化して5年未満の会社でも繰越欠損金を引継げます。上記の4つの要件を満たしていなくても、グループ化した事業年度の前事業年度での消滅会社の含み益が繰越欠損金を上回っている場合は、消滅会社の繰越欠損金を引継ぎ可能です。

処理されていない欠損金額が含み益を上回っていても、含み益の範囲で消滅会社の欠損金額を引継げます。

非適格合併における税務

非適格合併では、資産および負債を合併の時点における時価で譲渡しなければなりません。存続会社では、譲渡損益に対して税金が課されます。適格合併とは違って繰越欠損金の引き継ぎが認められていません。

以上のことから、税務を見ると、適格合併で得られるメリットが大きいです。該当するための条件は厳しいですが、できる限り適格合併でのM&Aを目指すことをおすすめします。

【関連】適格組織再編とは?適格要件と適格組織再編の種類

合併時の会計・法務に関する注意ポイント

これまで紹介したとおり、合併は非常に複雑な手法であるため、実施に際してさまざまな注意ポイントが存在します。そこで本章では、会計・法務に関する注意ポイントを3つのケースに分けてまとめました。

簡易合併・略式合併でも株主総会決議が必要となるケース

簡易合併もしくは略式合併では、株主総会の決議が求められません。これにより、手続きが簡易化されるため、より円滑に合併を進められます。しかしながら、たとえ簡易合併や略式合併であっても、例外的に株主総会の決議を省略できない可能性がある点に注意しましょう。

上記の判断には専門的に高度な知見が求められるため、M&Aの専門家にサポートを求めることをおすすめします。

不適当な合併などに該当するケース

上場企業が自社よりも大きい事業規模を持つ非上場企業を相手に合併を行う場合、「不適当な合併など」に当てはまる可能性があります。これは、上場企業が実質的な存続会社と認められないケースです。不適当な合併などとは、以下のいずれかに該当する行為をさします。

  • 非上場企業が自身より規模の小さい、または経営不振状態の上場企業を買収して上場企業を存続会社とした合併
  • 上場企業と株式移転・事業譲渡・会社分割などを実施して、実質的に非上場企業の経営に取り込まれた状態でありながら上場審査を経ずに上場を維持する行為


つまり、合併後に実質的な存続性が見られないまま、一定期間内に新規上場の審査に準じた審査に適合しない場合、上場企業の上場が廃止されてしまいます。

現在、経営不振企業を利用した裏口上場はかえってコストが高くなっており、検討する価値は著しく減少しているものの、該当の有無を確認しましょう。

逆取得として通常と異なる会計処理が求められるケース

合併では、逆取得に該当して、通常と異なる会計処理が求められるケースが存在します。逆取得とは、存続会社が消滅会社の株主に対して株式を交付した結果、消滅会社の株主の議決権総数が存続会社の株主総会で過半数に達した状態のことです。

つまり、存続企業とは異なる会社が取得企業とされます。たとえば、消滅会社の株主が合併後に存続会社の支配株主に入れ替わるケースなどが代表的です。これを回避するには、株式譲渡によって対象企業を買収し子会社化したうえで吸収合併する施策の検討をおすすめします。

以上、会計・法務を中心に注意ポイントを取り上げました。紹介したとおり、合併には注意すべきポイントが膨大にあるため、経営者自身のみで判断せずに、M&Aの専門家に相談を持ちかけたうえでサポートを求めるとよいでしょう。

【関連】逆取得とは?事例やM&Aでの活用をわかりやすく解説

合併比率における株主構成と存続会社の資本金額の決め方

本章では、合併比率の決め方と株主構成、存続会社の資本金額の決定方法を取り上げます。

合併比率とは

合併比率とは、存続会社と消滅会社における株式比率のことです。基本的に株価は会社ごとに異なっており、1:1の対等合併になるケースはそれほど見られません。たとえば、存続会社Xの株式1株に対して、消滅会社Yの株式は3株といったように差が生じるのが一般的です。

合併比率を決定する際は、注意しておくべき点があります。そもそも合併比率は、各会社の株式を時価で計算して対比させると算出できますが、これはあくまでも仮決定です。

厳密には、お互いの株主構成の変化や株主財産の変動の発生有無など、さまざまな観点から話し合ったうえで合併比率が決定されます。合併比率により株主が所有する株式の総数が変化すると、株主構成が大きく変わってしまう可能性があるからです。

株式数が変われば当然ながら財産も変わってしまうため、結果的に株主が損失を被るおそれがあります。合併比率は株主が納得できる形で決定しなければなりません。

合併を行う際の存続会社の資本金の額の決め方

合併によって存続会社の資本金の額は大きく変わりますが、ここでは単純に、存続会社の資本金に消滅会社の資本金をプラスすればよいわけではありません。合併実施時の資本金の額を決める方法は会社法で定められており、この規定に従う必要があります。

合併対価が株式の場合は、消滅会社の資本金・資本剰余金・利益剰余金の額をそのまま引継ぐ決まりです。

しかし、支配取得の合併なのか共通支配の合併なのかによって資本金の計算が変わるうえに、節税したい」「資本金の額を大きくしたい」など経営者の意向によって資本金の額の決め方も変動します。

以上のことから、合併を行う際の資本金の額は、税理士や公認会計士など専門家の力を借りて決めるとよいでしょう。

【関連】合併における資本金の決定

合併における相手側企業の選び方

合併に限らずM&Aでは、それを実施するための目的があるはずです。しかし、相手企業選びで時間がかかったりすると、いつしか当初の目的は追いやられ、M&Aの実施することが目的化してしまう悪い事例も見受けます。

したがって、M&Aの検討初期段階で明確な目的を定めることが肝要です。M&A・合併の目的に合致した相手選びのためには、以下のような着眼点で相手先企業を分析しましょう。

  • 自社が求める経営資源(技術、ブランド力、特許など)を持っているか
  • 創出したいシナジー効果が得られる相手か
  • 事業の展開エリアはどこか
  • 採算性の高いビジネスモデルが確立されているか
  • 業種・業態の適合性はどうか
  • 企業風土の親和性は高いか

合併に関する相談先

円滑な手続きでの合併をご希望であれば、M&A総合研究所にご相談ください。全国の中小企業のM&Aに数多く携わっているM&A総合研究所では、M&A・合併の豊富な経験・知識を有するアドバイザーが多数在籍し、相談時からクロージングまでM&Aを徹底サポートします。

料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。随時、無料相談をお受けしておりますので、M&A・合併をご検討の際には、お気軽にお問い合わせください。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所

合併・組織再編をした企業事例

ここでは、合併や組織再編を行った企業の事例として、以下の9社を取り上げます。

  1. 三菱UFJリース
  2. USEN
  3. サイバーリンクス
  4. オリンパス
  5. 凸版印刷
  6. 日本ビクター
  7. 富士ゼロックス
  8. 三菱UFJフィナンシャル・グループ
  9. ソフトバンク

①三菱UFJリース

2020(令和2)年9月、三菱UFJリースは、日立キャピタルを吸収合併することで経営統合を行うと発表しました。本件合併の効力発生日は2021(令和3)年4月1日であり、三菱UFJリースが存続会社、日立キャピタルが消滅会社です(統合後に「三菱HCキャピタル」に商号変更)。

両社は2016(平成28)年に資本業務提携を行っており、かねてから環境・エネルギーなど海外のインフラ投資で協業を進めてきました。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響によりリース事業は厳しさを増していることから、経営基盤の強化を目的として合併に踏み切っています。

三菱 UFJ リースと日立キャピタルとの合併を通じた経営統合に向けた契約締結に関するお知らせ

②USEN

2017(平成29)年2月、音楽配信などを手掛けるUSENは、会社分割で独立した映像配信などを手掛けるU-NEXTとの再統合を発表しています。

つまり、一度独立した会社と再び統合しましたが、これには事業管理体制の効率化・経営コストの削減・お互いの顧客を合わせた新規サービスの創出などの狙いがありました。

U-NEXT、USENと再統合 動画配信などテコ入れ

③サイバーリンクス

2015(平成27)年9月、基幹業務システムなどのクラウドサービスや移動体通信機器の販売を行っているサイバーリンクスは、流通小売業・流通卸売業・メーカー向けのインターネットEDIシステムの開発販売などを行っているニュートラルと合併しました。

これにより、サイバーリンクスは、既存事業の拡充を図るだけでなく、ニュートラルのノウハウを生かしてEDI分野への進出・新たな情報交換プラットフォームの構築なども目指しています。

会社合併のご挨拶

④オリンパス

2015年4月1日、大手の電子機器メーカーであるオリンパスは、子会社「オリンパスイメージング(OIMC)」および「オリンパス知的財産サービス(OIPS)」を自社に取り込む形の合併を行いました。

この合併は、オリンパスグループ内での組織の再編成を目的として実施されたものです。OIMCの合併は、グループ内での経営資源を最適に配置・活用することで、中長期の経営計画でさらなる成長を実現するための一手段として行われました。

一方、OIPSの合併は、グループ内での知的財産権に関する業務を効率化し、機能を強化するために実施されました。

本件は、三菱UFJリースの合併とは異なり、グループ内での組織の再構築を目的として行われたものであり、株式や金銭の取引は行われていません。また、この合併は親会社側では簡易合併、子会社側では略式合併として進められたため、株主総会を開催することなく実施されました。

グループ組織再編(当社子会社との吸収合併及び吸収分割)に関するお知らせ

⑤凸版印刷

2014(平成26)年2月、凸版印刷は、連結子会社であるトッパンシステムソリューションズを吸収合併しています。グループ内の組織再編といえる合併ですが、これにより凸版印刷は、ICTへの対応力や部門ごとの連携の向上を実現させました。

連結子会社の吸収合併(簡易合併・略式合併)に関するお知らせ

⑥日本ビクター

2011(平成23)年10月、日本ビクターはケンウッドとの合併により消滅しましたが、厳密にいうと、ケンウッドと株式移転を行って設立されたJVCケンウッドと合併を実施しています。

2004(平成16)年以降、日本ビクターは赤字が続いており、2007(平成19)年よりケンウッドと経営統合を実施していました。これは、赤字の継続により悪化した経営を立て直すための、会社再建を目的とした合併の典型例です。

当社と子会社 3 社の合併に関するお知らせ

⑦富士ゼロックス

大手機械メーカーの富士ゼロックスは、2010年にグループ内の再編を行い、その結果として新しい2つの企業を設立しました。それらの企業は「富士ゼロックスマニュファクチュアリング」と「富士ゼロックスアドバンストテクノロジー」です。この2つの新しい会社は、それぞれグループ内の異なる機能を引き継いで統合されました。

具体的には、「富士ゼロックスマニュファクチュアリング」という新しい会社では、3つのグループ会社が統合され、製造の機能を一元化しました。

一方、「富士ゼロックスアドバンストテクノロジー」という新しい会社では、富士ゼロックスエンジニアリングという企業が統合され、複写機やプリンターの受託開発業務を一つにまとめました。

この合併の結果、富士ゼロックスは技術と開発力を強化し、開発面での競争力を向上させました。また、生産面ではコスト競争力を強化し、より効率的に製造することができるようになりました。

富士ゼロックス,グループ内の開発/生産機能を再編へ---コスト競争力を強化

⑧三菱UFJフィナンシャル・グループ

かつて「三菱東京UFJ銀行」と呼ばれていた東京三菱銀行を擁する三菱UFJフィナンシャル・グループは、2005(平成17)年~2006(平成18)年の間に三菱東京フィナンシャル・グループとUFJホールディングスなどの企業(金融機関含め)が合併して誕生しました。

この事例では、勘定系システムの統合を確実に成功させるために合併日を3カ月ずらすなど、経営統合に十分に時間をかけていたことがわかります。

(平成17年度:事例13)株式会社三菱東京フィナンシャル・グループと株式会社UFJホールディングスの経営統合について

⑨ソフトバンク

2006年4月、ソフトバンクは、ボーダフォンを当時の日本企業では最高額の約1兆9,000億円で合併しています。これはソフトバンクが携帯電話事業参入を計画して行った合併であり、新事業を行うための合併の典型例です。

沿革
【関連】M&A成功事例とは?大手・中小企業、スタートアップやベンチャー企業のM&A成功事例を解説

合併のまとめ

合併には吸収合併と新設合併の2種類があり、それぞれメリット・デメリットが存在します。合併には複雑な手続きや登記などが必要であるうえに、適格合併・簡易合併・略式合併などに関する専門知識も必要です。

合併比率や資本金の額の決め方などを当事者同士で決めるのは難しいものがあります。したがって、合併では、M&A仲介会社などの専門家からサポートを得るとよいでしょう。本記事の要点は、以下のとおりです。

・合併とは
→複数の会社が経営統合によって1つの会社になる

・合併のメリット
→組織のコントロールが容易になる、組織をシンプルにできる、従業員の士気向上、対等な立場でM&Aを行える、シナジー効果を獲得できる可能性が高い

・合併のデメリット
→手続きの手間とコストがかかる、経営統合に時間がかかる、従業員の流出を招くおそれがある、株価が下がる可能性がある

・合併を行う際の手順・流れ
→合併契約書を締結する、事前開示事項を備え置く、株主総会を招集し承認を受ける、債権者保護手続きを行う、反対株主の買取請求手続きを行う、効力発生後に登記を行う、事後開示事項を備え置く

・合併時の会計・法務に関する注意ポイント
→簡易合併、略式合併でも株主総会決議が必要となるケースがある、不適当な合併等に該当するケースがある、逆取得として通常と異なる会計処理が求められるケースがある

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