小売業界のM&Aの現状は?コンビニ、ドラッグストア、家電量販、百貨店、食品スーパーのM&A動向を解説

小売業界といっても、そこには様々な業界があり、そしてそれぞれの現状や、M&Aの動向は全く異なっています。M&Aは、どのように業界の現状を理解しているかどうかが成功の秘訣だといっても過言ではないでしょう。

業種別M&A

2020年1月8日更新

目次
  1. 小売業界のM&A
  2. 小売業界に含まれるものは?
  3. 食品スーパー業界の現状とM&Aの動向
  4. コンビニ業界の現状とM&Aの動向
  5. ドラッグストア業界の現状とM&Aの動向
  6. 百貨店業界の現状とM&Aの動向
  7. 家電量販店の現状とM&Aの動向
  8. まとめ
小売業界のM&A・事業承継

小売業界のM&A

小売業界は様々な業界に分かれており、もちろんそれぞれの業界の企業の経営の傾向や、M&Aを行い方は違っています。

ただ、少子化による国内市場の縮小が進む中、小売業界の中では頻繁にM&Aが行われるようになり、業界再編が進んでいます。

今回はそんな小売業界のM&Aにスポットを当てていきます。

それぞれの業界ごとの実情やM&Aの傾向についてお伝えしていきますので、ぜひ参考にしてみてください。

小売業界に含まれるものは?

小売業界のM&A・事業承継
小売業界のM&A・事業承継

小売業界は様々な業態があり、それぞれの業態ごとに業界を持っています。

代表的なものとしては、食品スーパー、コンビニ、ドラッグストア、百貨店、家電量販店などが挙げられるでしょう。

今回は食品スーパー、コンビニ、百貨店、ドラッグストア、家電量販店の業界の現状と、それぞれの業界が行っているM&Aの傾向についてお伝えしていきます。

食品スーパー業界の現状とM&Aの動向

食品スーパー業界の現状とM&Aの動向は以下の通りです。

食品スーパー業界の現状

食品スーパー業界は節約意識が高まった消費者のニーズにより、価格競争が激化しています。

さらにニーズの多様化も加わって、品ぞろえの豊富さも求められるようになりました。

このような状況に対し、食品スーパー業界は大手と中小で対応が分かれています。

大手スーパーはプライベートブランドを立ち上げ、さらに独自の流通経路を確保することにより、低価格で高利益な商品の提供を実現しています。

さらに出店数を増大させることにより、大型化を促進させたり、ネットスーパーを新たに立ち上げるなど、大手スーパーは販路をどんどん広げていく傾向があります。

これらの施策が功を奏し、大手スーパーは売り上げが向上している傾向があります。

対して中小規模のスーパーは、大手と比べると、商品の拡充や店舗の拡大には限界があり、売り上げが低迷している傾向にあります。

中小規模のスーパーは経営基盤が大手スーパーと比べて弱く、事業の拡大をやりきるだけの体力が低いからです。

また、地方にあるようなスーパーだとより苦しい状況に陥ります。

地方にあるスーパーは人口減少や高齢化によって、売り上げが低迷し、経営不振になりがちです。

その結果、経営破綻を起こすスーパーも少なくなく、地方のスーパーは生き残るための経営戦略が求められています。

そのため、中小規模のスーパーは大手スーパーとは対照的に、売り上げが低迷しているのが現状です。

食品スーパー業界のM&Aの動向

食品スーパー業界のM&Aは、大手が中小規模のスーパーを買収することにより、ノウハウや人材、顧客を吸収するケースが多いです。

M&Aはスケールメリットを得るうえで最も効率的な方法であり、店舗の拡大や販路の獲得をするにはうってつけの方法だといえます。

そして他の食品スーパーを買収することにより、そこのノウハウや人材を取り入れ、企業全体の成長を促進させることができます。

また、売却するケースが多い中手規模の食品スーパーにとってもM&Aは有意義なものです。

大手の食品スーパーに買収されれば、豊富な資本の傘下に入れるため、経営基盤を一気に強化することができます。

加えて大手の食品スーパーの販路や流通経路を使えるようになるだけでなく、プライベートブランドの商品が発売できるようになるため、顧客の取り込みもできるようになります。

M&Aを通じて経営の立て直しが実現すれば、傾いていた企業はもちろん、雇用も守ることができます。

もちろん、昨今中小企業を悩ませている後継者不在による事業承継の問題もM&Aで解決し得るでしょう。

コンビニ業界の現状とM&Aの動向

コンビニ業界の現状とM&Aの動向は以下の通りです。

コンビニ業界の現状

コンビニ業界の市場規模は10兆円を超えており、まだまだ伸びしろがあるなど、とても好調な業界だといえます。

とりわけ最近は、プライベートブランドのスイーツや総菜、他社と共同開発した商品、書店やクリーニングなど新たなサービスの展開を行っています。

しかし、好調さが手伝って各コンビニが出店数を増やした結果、店舗数が飽和しています。

その結果、それぞれのコンビニが顧客を奪い合うような状況になり、各コンビニ間の競争が激化しています。

加えて24時間スーパーも登場するなど、業態が近い競合相手が登場してきているため、今後も競争は続くでしょう。

この競争によって閉店する店舗が出てくるなど、コンビニ業界は店舗の入れ替わりが激しくなっています。

また、一見好調な企業も客単価こそ上がってはいるものの、利点する客数が減少しており、その分の損失を補填できない状況が続いています。

人口減少により国内市場の縮小が起こっている現在、コンビニ業界はこれらの課題を解決できなければ、今後停滞する可能性があるでしょう。

コンビニ業界のM&Aの動向

コンビニ業界のM&Aは、海外進出に用いられるケースが増えています。

大手のコンビニはアメリカやアジア圏に店舗を拡大していくことにより、市場と顧客を拡大して国内市場の縮小に備えるという経営戦略を取っています。

もちろん、国内のコンビニを買収することにより、国内での店舗数の拡大も図るM&Aもよく行われています。

しかし、コンビニ同士のM&Aは決して簡単なものではありません。

コンビニは企業ごとに異なる業務システムを取っており、経営統合した際のシステムの統合は非常に難しいものになっています。

また、コンビニ業界はフランチャイズ経営が一般的であるため、経営統合後の調整にも手間がかかります。

一方で、コンビニ業界では異業種を買収するM&Aも散見されます。

例えば食品スーパーを買収することで顧客層の幅を広げたり、商品のラインナップを拡充するなど、他のコンビニとの差別化を図るためのM&Aが挙げられます。

ドラッグストア業界の現状とM&Aの動向

ドラッグストア業界の現状とM&Aの動向は以下の通りです。

ドラッグストア業界の現状

ドラッグストアは他の小売店と違い、専門職である薬剤師が薬品を販売できるという点が強みです。

さらに食品など幅広いラインナップの商品を揃え、店舗数を拡大していくことにより、ドラッグストアは売上を伸ばしてきました。

しかし、近年は薬事法改正によってドラッグストアは苦境に立たされています。

2009年の薬事法改正により、一般用医薬品のコンビニなどでの販売が可能となり、さらに2013年には元々薬剤師の対面販売が義務付けられていた第一類医薬品、第二類医薬品のインターネット販売が解禁されました。

それにより、異業種に顧客が取られるような状況が出来上がっています。

また、調剤薬局の機能を備えたドラッグストアも、薬剤師の不足によって店舗拡大が難しくなっています。

薬事法改正などにより、ドラッグストア業界は新たな業態で他店といかに差別化を図るかが課題になっています。

ドラッグストア業界のM&Aの動向

ドラッグストア業界の大手は、中小のドラッグストアを買収するなどして、販売エリアの拡大を積極的に行っています。

中小のドラッグストアも積極的に大手の傘下に入ることにより、経営基盤の強化や事業の立て直しを図る傾向があります。

さらに大手のドラッグストアはアジア圏に進出するためのクロスオーバーM&Aも行い、海外にも販売エリアを拡大しています。

また、薬事法改正に対応するため、大手コンビニや食品スーパーと業務提携を行うドラッグストアも増えています。

この異業種とのM&Aは、コンビニが持つノウハウや業務モデルを取り入れ、事業の強化を実現できるというメリットがあります。

百貨店業界の現状とM&Aの動向

百貨店業界の現状とM&Aの動向は以下のようになっています。

百貨店業界の現状

百貨店業界は現在逆風に立たされているといっても過言ではありません。

国内市場の縮小に加え、コンビニやネット通販などといった異業種の成長に押されており、売り場面積や人員の削減を行っている百貨店が続出しております。

この傾向は首都圏、地方に関わらず、あらゆる百貨店に見られており、その結果、百貨店業界は同業他社同士の競合が激化しています。

中には低価格が売りのリーズナブルな商品を提供する店舗を出店させるなど、集客の拡大を目指した百貨店もありますが、その結果利益が低下してしまい、根本的な解決には至っていません。

ただ、訪日外国人旅行者の増加により、売り上げが向上するなど、百貨店にもまだまだ挽回できる余地はあります。

コンビニやネット通販に流れる若者の取り込みなどに着手しなければ、百貨店業界の回復には至らないでしょう。

百貨店業界のM&A

百貨店業界のM&Aは業界再編を目的としたものが多くなっています。

このM&Aでは、百貨店同士が合併するなどして経営統合することにより、顧客の取り込みや販路の拡大を実践するなど、いかに長く生き残るかを重視しています。

代表的な事例を挙げるなら、そごうと西武が合併した「そごう・西武」や、三越と伊勢丹が合併した「三越伊勢丹ホールディングス」などが挙げられるでしょう。

合併はせずとも、業務提携などを行うケースも増えています。

また、地方の百貨店は首都圏の百貨店と合併することにより、経営基盤の安定化を図るケースが増えています。

百貨店業界が抱える問題はまだ解決に至っておらず、M&Aによる業界再編は首都圏・地方の百貨店に関わらず、今後も増えていくと思われます。

最終的には大手の百貨店が中心となった業界構造になることが予想されます。

家電量販店の現状とM&Aの動向

家電量販店の現状とM&Aの動向は以下の通りです。

家電量販店業界の現状

家電量販店業界は非常にスケールメリットを重視する業界です。

そもそも家電量販店業界は薄利多売が基本であり、大量に商品を仕入れ、それを低価格で販売する業態をとっていました。

そのため、仕入れのスケールメリットを獲得したうえで、さらに販売エリアを拡大していくというスタイルが定着しています。

さらに、家電量販店業界は複数の大手により寡占化が発生しており、その中での競争が激化しています。

他方で、郊外の家電量販店が飽和状態にあったり、消費税増税を見越した買い控え、エコポイントの終了などといった要素により、家電量販店業界は収益が低下傾向にあります。

ネット通販や独自にポイントカードなどの実践により、顧客の取り込みに注力するなど、現在は各々の家電量販店が生き残りをかけて様々な施策を打ち出しています。

いかに競争を勝ち抜き、生き残っていくかが、現在の家電量販店が抱える課題だといえるでしょう。

しかし、ネット通販やテレビ通販の台頭もあり、今後の家電量販店業界は徐々に苦しい状況追いやられていく可能性が高いと予測されています。

家電量販店業界のM&Aの動向

家電量販店業界のM&Aは主に2種類があります。

まず一つに、家電量販店にとって最も重要なスケールメリットの獲得です。

業界7位のコジマを買収し、業界2位になったビックカメラのように、同業他社と経営統合を行うことにより、さらなるスケールメリットを獲得するだけでなく、ノウハウや人員を強化することで、一層の売上向上を目指しています。

このような形のM&Aは今後も続くと見られており、買収や業務提携などといった形でM&Aによる家電量販店業界の業界再編は活発化するでしょう。

もう一つは、異業種への進出です。

コア事業のみに拘らず、そのノウハウを生かして異業種に進出し、新たな事業を打ち立てる大手家電量販店も増えています。

住宅事業に進出したヤマダ電機や、ユニクロと提携したビックカメラなど、様々な形で異業種に進出する事例は増えています。

家電量販店業界はM&Aに対して積極的であり、スケールメリットの獲得や異業種への進出のためのM&Aを上手く使いこなすことが、業界で生き残っていく鍵になるといえます。

今後の家電量販店業界で生き残る企業は、M&Aを巧みに使いこなせる企業であることが条件になるかもしれません。

まとめ

一口に小売業界といっても、そこには様々な業界があり、そしてそれぞれの現状や、M&Aの動向は全く異なっています。

M&Aは、どのように業界の現状を理解しているかどうかが成功の秘訣だといっても過言ではないでしょう。

もしここで記載した業界に身を置いているのであれば、同業他社の手法や過去にあったM&Aなどを参照しつつ、自社を成長させられる適切な経営戦略を描けるように、知識を蓄えておくことがおすすめです。

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