2023年2月27日更新会社・事業を売る

有料老人ホームのM&A・譲渡・売却の動向は?注意点から成功ポイントも解説!

本記事では、有料老人ホームの現状や、積極買収企業などを紹介します。有料老人ホームなどの介護施設は今後も増加が予想される中で、後継者不足などを解消するために有料老人ホームなどの株式譲渡や事業譲渡の件数が増加中です。老人ホームのM&Aを検討している方は必見です。

目次
  1. 有料老人ホームとは
  2. 有料老人ホームのM&A・譲渡・売却の動向
  3. 有料老人ホームのM&A・譲渡・売却の5つのメリット
  4. 有料老人ホームのM&A・譲受・買収の4つのメリット
  5. 有料老人ホームのM&A・譲渡・売却の事例
  6. 有料老人ホームのM&A・譲渡・売却時の7つの注意点
  7. 有料老人ホームのM&A・譲渡・売却相場
  8. 有料老人ホームの積極買収企業
  9. 有料老人ホームのM&A・譲渡・売却の流れ
  10. 有料老人ホームのM&A・譲渡・売却の相談先
  11. 有料老人ホームのM&A・譲渡・売却のまとめ
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有料老人ホームとは

有料老人ホームとは、主に民間企業が運営する介護施設のことです。介護付有料老人ホーム・住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者住宅が有料老人ホームにあたり、さまざまなサービスを提供しています。

例えば、要介護度の高い高齢者を対象として排せつや入浴などの生活に必要不可欠な介護サービスを提供する施設や、健康な高齢者を対象とし家事サポートのような限定的なサービスを提供する施設など、有料老人ホームの種類は多岐にわたります。

もともと有料老人ホームなど民間の高齢者向け施設は、1960年代に誕生したと考えられています。誕生当時は住宅や食事の提供などを主な目的とする施設が多く、介護サービスを前提にしたものではありませんでした。しかし、介護保険制度が創設された際、特定施設入居者生活介護が制度化されました。

これにより、一定基準を満たした施設の居室を高齢者の自宅とみなすことで、その施設のスタッフによる介護サービスを介護保険の居宅サービスと位置づけ、特定施設と呼ばれるようになりました。具体的には、有料老人ホーム・養護老人ホーム・軽費老人ホーム・サービス付高齢者向け住宅などがこの対象に該当します。

有料老人ホームの現状

高齢化が進む日本で、有料老人ホームを取り巻く環境は数十年前から大きく変化しています。現在の有料老人ホーム業界には、以下のような特徴があります。

  1. 要介護高齢者が増加傾向にある
  2. 介護給付費が急激に膨張している
  3. 度重なる介護報酬の改定

①要介護高齢者が増加傾向にある

内閣府によると、介護保険制度における要介護または要支援を受けた高齢者の人口は、2008年の時点では約452.4万人でしたが、2017年には約628.2万人にまで増えています。この主な要因は、医療の発達・食生活の改善・平均寿命の延長などにより、日本の高齢者人口が増加の一途をたどっていることです。

高齢者人口は2040〜2045年まで増加することが予想されており、それに伴い、要介護の高齢者数も引続き増加すると考えられています。

参考:内閣府「令和2年版高齢社会白書(全体版)」

②介護給付費が急激に膨張している

介護給付費とは、介護サービスを受けた際にかかる費用のことで、介護報酬とも呼ばれています。この介護給付費は高齢者人口の増加とともに急速に増加しており、2006年の6.4兆円から2016年の約10.8兆円にまで増加しています。

介護給付費は、サービス利用者が1〜2割を負担し、残りは市町村の介護保険や公費などから賄われます。そのため、介護給付費の急激な膨張に伴い、市町村や介護保険を支払う40歳以上の被保険者の負担が大きくなっています。

参考:厚生労働省「介護給付と保険料の推移」

③度重なる介護報酬の改定

介護報酬改定は基本的に3年に一度行われており、直近で2021年に改訂されています。さかのぼってみると、小さな改定も含めれば、2018年・2017年・2015年・2014年・2012年と頻繁に改定されていることがわかります。

改定による介護報酬の増減は有料老人ホームの売上に直結し、運営に大きな影響を与えることになるため、介護報酬の改定内容は健全な経営において非常に重要なファクターとなります。例えば、2015年に介護報酬が-2.27%と大きく引下げられた際は、多くの介護事業者が倒産に追い込まれました。

有料老人ホームの将来性と課題

有料老人ホームや特別養護老人ホームなどの高齢者介護施設における課題は、超高齢社会にある日本で非常に重要な問題と捉えられており、国を挙げて課題解決を行っています。しかしながら、依然として解決できていない課題もあり、M&Aを行う際は以下のような課題や問題点を鑑みて将来を推測することが重要です。

  • 施設数は増加している
  • 介護人材が不足している

施設数は増加している

介護保険制度が開始された2000年の有料老人ホームは全国に350箇所程度でしたが、2020年には15,956箇所にまで増加しており、有料老人ホームの施設数が急増していることがわかります。これは高齢者人口が増加しているためであり、将来的にも高齢者人口の増加予測に伴い、有料老人ホーム数も増加するとみられています。

参考:厚生労働省「令和2年社会福祉施設等調査の概況」

介護人材が不足している

介護業界では、人材不足が深刻な状態になっています。少子高齢化に伴い労働人口は減少していることに加え、介護職は低賃金・重労働・汚いなどのネガティブなイメージを持たれることもあり、人材確保が難しい職種です。

国の支援・待遇改善・仕事環境の変化などにより介護職員数自体は増加していますが、有料老人ホームの施設数の急増に追いつくほどの人材が確保できていないのが現状です。介護の人材不足は、今後も続くことが予想されており、事業者にとっては大きな問題となっています。

障害福祉M&Aについては、下記の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】障害福祉M&A!買い手と売り手のメリットとデメリットは?注意点なども解説| M&A・事業承継の理解を深める

有料老人ホームのM&A・譲渡・売却の動向

2000年に介護保険制度が開始されたことを機に、多くの企業が有料老人ホーム経営に参入してきました。それから20年以上が経ち、2000年代に参入してきた有料老人ホームの経営者は高齢となり、引退の時期を迎えようとしています。

介護人材確保の問題や介護報酬改定などもあり、後継者を見つけることが困難な有料老人ホームでは、積極的にM&A・譲渡・売却が行われています。今後も高齢者人口増加に伴う需要拡大が見込めることから、有料老人ホーム業界への参入や事業拡大を目指している企業が多く、活発なM&Aや譲渡が続く見込みです。

施設介護・老人ホーム業界のM&A事例については、下記の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】施設介護・老人ホーム業界のM&A事例あり!業界の最新動向や特徴をご紹介| M&A・事業承継の理解を深める

有料老人ホームのM&A・譲渡・売却の5つのメリット

高齢化の進行とともに、有料老人ホーム業界では今後も利用者の増加と需要の拡大が予想されており、M&Aが積極的に行われています。

本章では、有料老人ホームをM&A・譲渡・売却することによって得られるメリットを、譲渡側の立場から解説します。

①後継者問題の解決になる

後継者不在は、有料老人ホーム業界に限らずいかなる業界でも大きな問題となっています。特に中小企業では、経営者の引退時に、親族や従業員などの関係者から後継者になってくれる人が現れないケースも多いです。

そのような場合、会社や有料老人ホームを存続させるために、第三者への承継を行う選択肢があります。株式譲渡事業譲渡などのM&Aは、第三者承継の代表的な手法です。

昨今は、中小企業の貴重な経営資源を守るために、中小企業庁を中心に国・自治体がM&Aの支援をしています。

M&Aにより経営権を譲渡することで廃業や事業の消滅を回避できるので、介護が必要な利用者にサービスを提供し続けるためにも、M&Aなどでの後継者問題の解決は重要な課題といえます。

②従業員の雇用先を確保・安定化できる

もしも後継者がいないために廃業・施設の閉鎖を余儀なくされた場合、従業員が職を失うことになります。このような結果は、経営者も従業員も望んでいないでしょう。

契約内容によるものの、M&Aにより有料老人ホームを譲渡すれば、雇用が維持される可能性が高いです。そのため、結果として従業員の雇用維持だけでなく、取引先や有料老人ホームの利用者を守ることにもつながります。

③大手グループの傘下に入ることで経営が安定化

M&Aにより経営している有料老人ホームを大手企業に譲渡し、大手グループの傘下に入れれば、経営の安定化を図れます。

中小企業が運営する有料老人ホームでは、万が一従業員が不祥事を起こしたり、食中毒が発生したりするなど一度でも大きな問題が起こると、資金力不足により経営が傾いてしまうおそれがあります。

大手の豊富な資金力により経営を安定化することで、そのようなリスクを軽減でき、結果として従業員や利用者に安心を与えられる点がメリットです。

④個人保証や担保などを解消できる

株式譲渡のような経営権や所有権が移動するM&A手法では、不動産などの財産に加えて負債も承継の対象です。

これと同時に個人保証や担保も引き継がれるため、結果として現経営者の個人保証や担保が解消されます。

一方で、親族承継や従業員や関係者への親族外承継の場合、個人保証や担保を現経営者が維持するケースが多いです。

もし後継者が経営に失敗して負債を抱えたまま倒産すれば、個人保証を行っている現経営者が返済の義務を負い、担保している不動産などを失う可能性があります。

⑤売却益を獲得できる

M&Aにより事業譲渡や株式譲渡を行うことで、経営者は売却益を受け取れます。一般的に対価は現金であることが多く、受け取った対価により引退後の生活費を補てんしたり、新しい事業にチャレンジする際の費用に充てたりすることが可能です。

特に有料老人ホーム事業の創業時よりも会社の規模・利益・売上などが大きく成長している場合は、売却益が多額になりやすいです。

グループホームについては、下記の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】グループホームは廃業するより売るべき?売り手と買い手のメリットを比較!| M&A・事業承継の理解を深める

有料老人ホームのM&A・譲受・買収の4つのメリット

続いて、有料老人ホームを対象とするM&Aで譲受・買収する側に期待されるメリットを5つピックアップし、順番に解説します。

①顧客ごとにサービスを提供できる

ひとことに「老人」といっても、要介護の度合い・ライフスタイルなどは人によって異なります。

M&Aにより事業規模を拡大すれば、1人1人の事情に応じたサービスを提供することが可能です(例:要介護度の高い人には料金は高くても手厚い介護が受けられるサービスを提供し、要介護度の低い人には最低限の介護で料金を安くする)。

②人材不足を解消できる

老人ホームなどの介護業界では、慢性的な人材不足が大きな課題の1つです。一般的に、事業規模が大きいほど企業の信用度が増してスタッフを集めやすくなる傾向があり、グループ全体での研修や教育プログラムなどのシステムも整備しやすくなります。

企業が大きいほど人が集まりやすく成長しやすいので、適材適所の人員配置を行いやすくなりますが、企業規模が小さい場合は研修や教育プログラムの整備に時間がかかり、人材確保が遅れるケースが多いです。

③事業範囲を拡大できる

昨今の老人ホーム業界は施設型が主流ですが、将来的には訪問介護が主軸となる見込みです。

訪問介護を主軸とする事業所を買収しておけば、訪問介護の人材とノウハウを入手できます。これにより、今後成長すると考えられる領域まで事業を拡大しておくことが可能です。

④医療機関との連携強化を図れる

もともと老人ホームと医療機関は密接な関係にありますが、企業規模が大きいほど、医療機関と連携しやすくなります。

医療機関と緊密に連携しておくと、老人ホームの魅力度が向上します。また、企業規模が大きいと、医療機関との連携時に発言権が大きくなる可能性もゼロではありません。

介護事業については、下記の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】介護事業を買いたい!買い手が注意するポイントは?過去事例と共に紹介| M&A・事業承継の理解を深める

有料老人ホームのM&A・譲渡・売却の事例

本章では、有料老人ホームを対象とするM&Aの実例として、代表的な2つのケースをピックアップし順番に取り上げます。

①介護関連事業者による医療法人のM&A

介護関連事業者による医療法人のM&Aは、最も多くみられるケースです。病院を退院した高齢者は老人ホームに入所するケースが多いため、老人ホームと医療法人の双方を有していると、シナジー効果の獲得が見込まれます。

②医療法人による介護施設のM&A

先の例とは反対に、M&Aによって医療法人が介護施設を買収するケースもみられます。医療法人が事業領域を老人ホームにまで拡大しようとする場合、新たにゼロから施設を作るよりもすでに存在する施設を吸収したほうが、時間的・費用的なコストを削減可能です。

有料老人ホームのM&A・買収の最新動向については、下記の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】有料老人ホームのM&A・買収の最新動向/相場/メリットを解説【事例あり】| M&A・事業承継の理解を深める

有料老人ホームのM&A・譲渡・売却時の7つの注意点

有料老人ホーム事業の譲渡を成功させるためには、下記のような点に注意を払っておくことが重要です。

  1. 周辺環境に注意
  2. 他事業所との比較
  3. 不動産の確認
  4. 従業員の配置や離職
  5. 事業モデルの見極め
  6. M&A後のイメージ構築
  7. 多角的なデューデリジェンス

①周辺環境に注意

譲渡や売却の際には、運営する有料老人ホームがある地域における将来的な高齢者人口の予測や利用者のニーズに注意が必要です。なぜなら、高齢者数に対して過剰に有料老人ホームが存在している地域もあり、そのような地域では競争が激しく、収益性の悪化や経営不振を引き起こす可能性があるためです。

また、その地域の労働者人口の推移や介護事業における行政の支援などから、安定した経営や介護職員の確保が可能かどうかも老人ホーム経営では重要です。安定した経営を行えるうえに、地域で求められている需要にマッチしている有料老人ホームは、M&A市場で有利に働きます。

②他事業所との比較

他有料老人ホームとの差別化を図ることは、利用者の獲得だけでなく、譲渡の際も非常に大きなポイントとなります。なぜなら、他にはない設備やサービスで高付加価値を付けられれば、収益性が上がり、競争の激しい有料老人ホーム業界で生き残る要素となるためです。

また、より良いサービスを通じた入居者の生活の質向上や、従業員の離職率の低下などにもつながります。

③不動産の確認

有料老人ホームの建物や設備の修繕が必要かどうかは、譲渡や売却に大きな影響を与えます。なぜなら、不動産の修繕には、多額の費用がかかるためです。M&A直後に修繕が必要な状態であれば、買収側は必要経費を考慮した買収額を提示するのが一般的です。

たとえ法律上は問題がないとしても、耐震性が不十分であったり、過去に台風などの被害が起きていたりする場合は、利用者が敬遠してしまい収益性の低下につながる可能性もあります。日頃からこまめに設備や不動産の管理を行い、必要に応じて譲渡前に修繕を行うことが、有料老人ホームの価値を上げるポイントです。

④従業員の配置や離職

慢性的な人材不足が深刻な介護業界において、従業員は有料老人ホームにとって大きな財産です。買収側の企業も人材確保に苦労している可能性が高いため、長年勤務しているベテラン従業員や資格と経験を持つ従業員、低い離職率なども企業の価値を高めるポイントです。

従業員の精神的なサポート・待遇の改善・資格取得支援など働きやすい環境を作ることで、従業員の満足度が上がり、安定した従業員の確保にもつながります。その結果、有料老人ホームの譲渡時に、より良い条件で取引を成功させられる可能性が高まるのです。

⑤事業モデルの見極め

M&Aにより買収を図る際は、自社の事業モデルと売却側企業の事業モデルの相性が良いかどうか見極めることが重要です。

もしビジネスモデルが合わなければシナジーが得られないどころか事業の失敗にもつながります。買収側は、事前に売却側企業の事業内容を精査することが必要です。

⑥M&A後のイメージ構築

M&Aによる買収では、取引後の具体的なイメージを構築しておくこともポイントです。2つ以上の事業を譲受しても自社のビジネスモデルに合わないものが含まれている場合もあるでしょう。

そのようなケースでは、非効率な施設や事業モデルにそぐわない施設を早めに売却するなどして、撤退しておくことも大切です。

⑦多角的なデューデリジェンス

デューデリジェンスとは、買収時に売却側企業の価値やリスクなどを調査することで、一般的には財務的な視点がメインになります。

しかし、財務面だけでなく、法務面・ビジネス面など複合的な視点から行うことが重要です。たとえば、現在抱えている入所者の数や、将来的に見込まれる入居者の数などを調査しておくと、M&Aによる失敗リスクを軽減できます。

そのほか、施設周辺の人口動態調査や競合他施設の設置状況などにも気を配ることが大切です。

介護施設の事業譲渡・株式譲渡のポイントについては、下記の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】介護施設の事業譲渡・株式譲渡のポイントとは?動向/事例/相談先も紹介| M&A・事業承継の理解を深める

有料老人ホームのM&A・譲渡・売却相場

黒字経営を維持している有料老人ホームのM&A・譲渡・売却では、営業利益の2~5年程度が企業価値の相場と考えられています。ただし、経営状況に加えて、有料老人ホームの規模・立地・建物の状況・自社で保有している不動産かどうかなど、さまざまな要素により取引額は大きく変動します。

また、たとえ赤字経営であったとしても、利用者にとって大きな価値があったり将来性が高かったりする有料老人ホームは、高額で取引されるケースが多いです。譲渡・売却時の企業価値を算出する際は、DCF法・類似会社比較法・時価純資産価額法+のれん代などから、各企業に合わせた評価方法を採用されます。

有料老人ホームの積極買収企業

介護保険制度の開始や高齢化の流れを受け、有料老人ホームの数は20年ほど前より急激に増加しています。その一方で、経営者の高齢化・後継者不在・人材不足などによりM&Aを行う企業も増加しているのが現状です。

本章では、近年、介護事業の拡大のために有料老人ホームを積極的に買収している企業を厳選して紹介します。

①ソラスト

ソラストは、医療関連受託事業や介護・保育事業などを行っており、全国で有料老人ホームおよびサービス付高齢者向け住宅を運営しています。

急速に高まる高齢化社会のニーズに応えるために、包括的な介護事業の拡大を目指しており、有料老人ホームに関しても、2020年に大分県を中心に有料老人ホームを運営する有限会社恵の会の全株式を取得しています。

また、2018年には、7カ所の介護付有料老人ホームを運営するオールライフメイト、および全国に介護事業を展開するJAWAの全株式を取得し完全子会社化しています。

②フロンティア

フロンティアは、薬剤事業と福祉事業を全国に展開しており、介護事業拡大のために、グループホームや有料老人ホームを経営する会社を積極的に買収しています。

2015年には、愛知県で訪問介護・デイサービス・有料老人ホームなどの高齢者福祉サービスを提供するオフィスシンセリティの全株式を取得し、完全子会社化しています。また、2019年には、岐阜県と愛知県で認知症を患う高齢者向けのグループホームを営む百々を100%子会社化しました。

③メディカル・ケア・サービス

メディカル・ケア・サービは、グループホームや有料老人ホームなど様々な介護施設を運営しており、日本だけではなく中国やマレーシアにも介護事業を拡大しています。認知症高齢者グループホームの事業承継を目的に、2020年には、つくしが運営する認知症高齢者グループホーム1棟を事業譲渡により譲受しています。

また、2012年には、三重県にグループホームや介護付有料老人ホームなどを運営するグループホームキノシタの全株式を取得し完全子会社化しています。

④リゾートトラスト

全国に会員制リゾートホテル事業やメディカル事業などを展開するリゾートトラストは、2006年に東京都で介護付有料老人ホームを運営するここからを子会社化したことを皮切りに、介護事業を拡大しています。

直近では、2019年にシニアライフカンパニーが経営する有料老人ホーム5施設を事業承継、2018年に横浜市の介護付有料老人ホームを事業承継、2017年には大津市の介護付有料老人ホームを事業承継しています。

有料老人ホームのM&A・譲渡・売却の流れ

有料老人ホームのM&A・譲渡・売却は、一般的に以下のような流れで行われます。それぞれのステップについて詳しく解説します。

  1. M&Aの専門家への相談
  2. M&A先の選定と交渉
  3. M&A先のトップと面談
  4. 基本合意書の締結
  5. 買収先によるデューデリジェンスの実施
  6. 最終契約書の締結
  7. クロージング

①M&Aの専門家への相談

まず、M&A仲介会社やFAなどのM&Aの専門家に相談するプロセスからスタートします。専門家へ相談する前に、M&Aや譲渡の目的・希望のスケジュール・希望価格などをある程度決定しておくことで、スムーズに話が進みます。

多くのM&A仲介会社では、相談料を無料に設定しているため、気軽に相談できます。そのため、自社にとって最適な専門家を選び、M&A仲介契約を結ぶことが可能です。

②M&A先の選定と交渉

次に、M&A専門家が最適と考えられるM&A先を選定します。仲介会社が持つネットワークや有料老人ホームのM&A実績などを活用して選定するため、自社で独自に探すよりも広い視野で相手を見つけられます。

仲介会社が選定した企業のノンネームシートなどから企業を選び、仲介会社を通じて交渉を進めます。この段階では、企業名などは公表されないことが一般的です。

③M&A先のトップと面談

仲介会社との話合い・交渉を重ね、最終的に1社に絞り込んだ時点で、譲渡側と譲受側の双方のトップ同士で面談します。トップ面談の最大の目的は、ノンネームシートのような書類では伝わらない、経営者のM&Aにかける想い・抱えている課題・将来のビジョンなどに対する理解を深めることです。

そのため、細かいM&A条件などの交渉は基本的に行いません。細かい条件は、トップ面談後に仲介会社とともに交渉を行い決定します。

④基本合意書の締結

交渉がまとまり、M&A契約の条件やスケジュールなどが定まった段階で、基本合意契約を締結します。基本合意契約には、M&Aの対価や対象・役員の処遇・支払いのタイミング・デューデリジェンスの協力義務、独占交渉権秘密保持・裁判管轄などが記載され、最終契約と遜色のない形式で交わされます

一般的に基本合意契約には法的拘束力はありませんが、譲渡側と譲受側の意思や条件・これまでの交渉内容などを整理し、双方が同じ方向を向いてM&A完了まで円滑に進めていくための意識のすり合わせの意味合いを持ちます。

⑤買収先によるデューデリジェンスの実施

基本合意契約締結後、買収側はデューデリジェンスを行います。デューデリジェンスには多額の費用がかかるため、ある程度M&A条件が確定し、白紙となるリスクが少なくなった基本合意契約後に行われます。もしこの段階で譲渡側に大きな問題がみつかれば、M&Aを断念することも可能です。

ただし、デューデリジェンスには限界があるため、譲渡側は円滑でスピーディーなM&Aのために、表明保証を行うケースが多いです。表明保証により会社の財務や法務などを明らかにすれば、デューデリジェンスを補完できます。

⑥最終契約書の締結

買収側がデューデリジェンスを行い、問題がなければ最終契約書を締結します。内容は基本合意契約と概ね同じことが多いですが、基本合意契約とは異なり法的拘束力が発生します。そのため、表明保証に不備があったり契約を一方的に破棄したりした場合は、損害賠償請求の対象となる可能性もあるため注意が必要です。

⑦クロージング

最終契約締結後には、M&A対価の支払い・取引先からの契約継続の同意・会社が消滅する場合は廃業届の提出など、さまざまな手続きを行います。必要な手続きが完了し、最終契約書に記載された効力発生日を迎えることでM&Aが完了しますが、これら一連の作業をまとめてクロージングと呼びます。

なお、契約内容によっては、譲渡側の経営者が業務の引継ぎのためにクロージング後も買収先で勤務するケースもあります。

有料老人ホームのM&A・譲渡・売却の相談先

有料老人ホームのM&Aでは、相手先企業の選定・基本合意契約・表明保証などを行う必要があり、円滑にM&Aを進めるためには専門的な知識が非常に重要です。

M&A総合研究所は、豊富な実績とネットワークにより最適なM&A先をご提案いたします。案件ごとに専門的な知識と経験をもつM&Aアドバイザーがつき、M&Aをフルサポートいたします。料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。

ご相談は無料となっておりますので、有料老人ホームの譲渡や売却をご検討の際は、M&A総合研究所にご相談ください。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所

有料老人ホームのM&A・譲渡・売却のまとめ

介護保険制度が開始された2000年以降、有料老人ホームの数は右肩上がりに増加してきましたが、それから20年以上が経過し、当時業界に参入した企業では経営者の高齢化が進んでいます。

経営者の高齢化による引退に伴い、有料老人ホーム業界では積極的にM&Aが実施されています。この状態は今後も続くとみられるため、M&Aを検討している場合は動向を注視しておく必要があるでしょう。

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会社売却にかかる税金は、株式譲渡・事業譲渡といったスキームによっても違い、株式譲渡の場合は株主が個人か法人かによっても違います。この記事では、会社売却にかかる税金に関して計算方法を解説するととも...

株式譲渡と事業譲渡の違いは?税金、手続き、メリットについて解説【図解】

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M&Aの主な手法は株式譲渡と事業譲渡ですが、両者は手続き・税金・メリット・デメリットなどあらゆる点で違います。本記事では、株式譲渡と事業譲渡の違いについて図解も交えながら解説しています。...

会社を売るタイミングはいつ?業績から最適な売り時を考えて売却しよう!

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M&Aによる会社売却はタイミングが重要で、同じ会社でもタイミングの違いによって売却価格が大きく変わる可能性があります。この記事では、会社売却の適切なタイミング、会社売却のメリットや利益を...

【2021】出版業界のM&A動向と事例9選!会社売却・買収の実績を解説!

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出版業界は、電子書籍の普及と紙媒体の衰退といった大きな変化の渦中にあり、業界再編などを目的としたM&Aが活発です。本記事では、出版業界の最新M&A事例9選を紹介するとともに、出版...

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