2022年10月14日更新事業承継

株主総会の決議事項は?種類、決議方法をわかりやすく解説

株主総会は株式会社の最高意思決定機関であり、会社法によって定められたルールに沿って開催・運営しなければなりません。会社法では株主総会の決議の種類や決議事項が定められています。本記事では、これらの点を踏まえて株主総会決議をわかりやすく解説します。

目次
  1. 株主総会における決議事項
  2. 株主総会における決議事項の種類
  3. 株主総会における決議事項と決議要件
  4. 株主総会の決議は省略できる?
  5. 株主総会と取締役会の決議事項の違い
  6. 役員の報酬決議における株主総会議事録の記載事項
  7. 株主総会の決議事項における注意点
  8. 株主総会の決議事項のまとめ
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株主総会における決議事項

株主総会の決議には複数種類が存在しており、それぞれで扱われる決議事項は異なるため注意しましょう。そこで本記事では、株主総会の決議の種類ごとの決議事項および、株主総会の実施方法などを幅広く取り上げます。

株主総会とは

株主総会とは、株式会社における最高意思決定機関のことであり、会社に関する重要な人選や経営戦略の決定などを行う場です。海外と比較すると日本の会社法では機関構造の柔軟化が図られている点に大きな特徴が見られますが、株主総会は必要的機関とされています。

そもそも株主は株式会社の所有者に該当し、取締役は経営者に該当します。会社経営に関する重要な意思決定は所有者である株主が行いますが、日常的な業務執行については株主が取締役に委任する仕組みです。株主からすると、実際の経営・業務状況を監視および観測する必要性が生じます。

上記を受けて、株主総会は重要な意思決定に関する議論が行われるとともに、取締役(経営者)から経営・業務状況についての報告を受ける場として機能します。

【関連】株主総会とは?意味や時期、決議事項やスケジュールを解説| M&A・事業承継の理解を深める

取締役会との違い

会社に関する事項を決定する機関には、株主総会だけでなく取締役会もあります。これらは重要なことを決める会である点では共通していますが、株主総会は株主が参加する、取締役会は取締役が参加する会議です。それぞれに決議できる事項が異なりますので、決議したい項目によって、どちらを開催するかを決めましょう。

株主総会が株主で構成されている一方、取締役会は取締役によって構成されます。そして、取締役会は会社における日常的な業務の運営方法などを決定する機関であるのに対して、株主総会は会社の実質的な所有者である株主で構成されているため、取締役会よりも上位の機関だといえます。

株式総会では、決議事項の内容に応じて、要件の異なる「普通決議」「特別決議」「特殊決議」のいずれかの種類の決議を行います。 一方、取締役会には、株主総会のような決議の種類はなく、どのような事項でも基本的に「過半数出席で出席取締役の過半数の賛成」が決議要件です。

株主総会における決議事項の種類

株主総会の決議には複数種類が存在しており、それぞれ決議が成立する定足数や決議要件などが異なっています。それぞれの決議の定足数や決議要件は会社法で定められており、仮に違反してしまえば、たとえどれほど重要な事案を決議していたとしても決議が取り消されてしまうため注意しましょう。

決議事項の重要性が高まるほど、より多くの株主・議決権が必要となる決議を行うため、それぞれの特徴を十分に把握しておくことが大切です。ここからは、各種類の特徴についてわかりやすく取り上げます。

①普通決議

概要を簡潔な図にまとめました。以下の図を読み取って把握しておきましょう。

定足数 決議要件
定款に何らかの定めがない限り、議決権を行使できる株主の議決権の過半数を持っている株主が出席 出席している株主の議決権の過半数

参考:株主総会の決議方法の種類について(弁護士ドットコム)

②特別決議

概要を簡潔な図にまとめました。以下の図を読み取って把握しておきましょう。

定足数 決議要件
株主総会で議決権を行使できる株主の議決権の過半数、もしくは定款で3分の1以上の割合を定めていたケースでは、その割合以上を持っている株主が出席 出席している株主の議決権の3分の2以上、もしくは定款で3分の2を上回る割合が定められているケースではその割合以上に変更される(ちなみに、決議の要件に加えて一定数以上の株主の賛成を要する旨など、その他の要件を定款で定めておくことも可能)

参考:株主総会の決議方法の種類について(弁護士ドットコム)

③特殊決議

概要を簡潔な図にまとめました。以下の図を読み取って把握しておきましょう。

定足数 決議要件
なし ・頭数と議決権それぞれの要件を満たす必要がある
・頭数は株主総会で議決権を行使できる株主の半数以上、
もしくは半数を上回る割合を定款で定めているケースでは、その割合以上に変更される
・議決権は株主総会で議決権を行使できる株主の議決権の3分の2以上、
もしくは3分の2を上回る割合を定款で定めていたケースでは、その割合以上に変更される


参考:株主総会の決議方法の種類について(弁護士ドットコム)

上記の2種類と比較すると、頭数と議決権それぞれの要件を満たす必要があるなど大きな相違点がみられます。

④特別特殊決議

概要を簡潔な図にまとめました。以下の図を読み取って把握しておきましょう。

定足数 決議要件
なし ・頭数と議決権それぞれの要件を満たす必要がある
・頭数は総株主の半分以上、もしくは半分を上回る割合を定款で定めていたケースでは、その割合以上に変更される
・議決権は総株主の議決権の4分の3以上、もしくは4分の3を上回る割合を定款で定めていたケースでは、その割合以上に変更される

参考:株主総会の決議方法の種類について(弁護士ドットコム)

以上、株主総会における決議の種類について、概要を紹介しました。M&Aシーンで株主総会を開催する場合、プロセスの進行について間違いを犯さないためにも専門家の助言を得ると良いでしょう。もしも専門家選びでお悩みでしたら、M&A総合研究所にお任せください。

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株主総会における決議事項と決議要件

株主総会では、決議の種類によって決議事項が異なります。当然ながら、それぞれの決議事項が適切な方法で決議されなければ、たとえ株主総会で承認を得ていたとしても取り消されてしまうためご注意ください。本章では、決議の種類ごとの決議事項と要件を取り上げます。

①普通決議の決議事項と決議要件

会社法または定款で特別な定めがない場合は、普通決議により議決します。いい換えると、特別決議や特殊決議以外の決議は普通決議であり、会社にとって基本的事項を決定するための決議です。原則として、会社を共有物・株主を共有者と見たときの管理行為に該当する事項が多くみられます。

普通決議の決議事項は取締役会の設置有無によって異なります。取締役会が設置されているケースでは、主に以下のリストのとおりです。

  • 自己株式の取得
  • 総会検査役の選任
  • 業務財産検査役の選任
  • 延期・続行決議
  • 役員の選解任
  • 会社と取締役の間の訴えにおける会社の代表者の選定
  • 会計監査人の出席要求決議
  • 計算書類の承認
  • 減少額が分配可能額より少なくなっている場合の資本金の額の減少
  • 準備金の額の減少
  • 資本金の額の増加
  • 準備金の額の増加
  • 剰余金の処分
  • 剰余金の配当
  • 株主総会議長の選任
  • 株主総会の議事運営に関わる事項の決定

上記に対して、取締役会が設置されていないケースでは、主に以下のリストのとおり変化します。

  • 譲渡制限株式や譲渡制限新株予約権の譲渡による取得承認
  • 譲渡制限株式の買取人の指定
  • 譲渡制限株式の割当
  • 募集新株予約権の割当
  • 取得条項付株式や取得条項付新株予約権の取得日
  • 取得する取得条項付新株予約権の決定
  • 株式分割
  • 株式や新株予約権無償割当
  • 代表取締役などの代表者の選定
  • 取締役の競業および利益相反取引の承認
  • 会社の組織や運営、管理など株式会社に関わる一切の事項

また、決議要件は以下のとおりです。

  • 出席している株主の議決権の過半数

参考:株主総会の決議の種類と決議事項(日本ビズアップ)

②特別決議の決議事項と決議要件

特別決議は、普通決議と比べて会社の組織の変化や株式に関する決議事項を扱うことが多いです。一般的に重要な意思決定について採用されており、加重された要件による決議だといえます。決議事項は、主に以下のリストのとおりです。

  • 譲渡制限株式の買取
  • 特定株主からの自己株式の取得
  • 全部取得条項付種類株式の取得
  • 譲渡制限株主の相続人に対する売渡請求
  • 株式の併合
  • 募集株式や募集新株予約権の発行における募集事項の決定
  • 募集事項の決定の委任
  • 株主に株式や新株予約権の割当を受ける権利を与える場合の決定事項の決定
  • 累積投票取締役や監査役の解任
  • 役員の責任の一部免除
  • 資本金の額の減少
  • 現物配当
  • 定款の変更
  • 事業譲渡の承認
  • 解散
  • 解散した株式会社の継続
  • 吸収合併契約や吸収分割契約、株式交換契約の承認
  • 新設合併契約、新設分割計画、株式移転計画の承認

また、決議要件は以下のとおりです。

  • 出席している株主の議決権の3分の2以上、もしくは定款で3分の2を上回る割合が定められているケースではその割合以上に変更される(ちなみに、決議の要件に加えて一定数以上の株主の賛成を要する旨など、その他の要件を定款で定めておくことも可能)

参考:株主総会の決議の種類と決議事項(日本ビズアップ)

③特殊決議の決議事項と決議要件

特殊決議でも、以下のリストのとおり重要な決議事項を取り扱います。

  • 発行する株式の全部に譲渡制限を付すための定款の変更
  • 吸収合併消滅会社・株式交換完全子会社が公開会社で、対価の全部または一部が譲渡制限株式等である場合における、一定の合併契約などの承認

また、決議要件は以下のとおりです。

  • 頭数と議決権それぞれの要件を満たす必要がある
  • 頭数は株主総会で議決権を行使できる株主の半数以上、もしくは半数を上回る割合を定款で定めているケースでは、その割合以上に変更される
  • 議決権は株主総会で議決権を行使できる株主の議決権の3分の2以上、もしくは3分の2を上回る割合を定款で定めていたケースでは、その割合以上に変更される

参考:株主総会の決議方法の種類について(弁護士ドットコム)

④特別特殊決議の決議事項と決議要件

特別特殊決議の決議事項は、以下の事項に限定されています。

  • 非公開会社における株主ごとに異なる取扱いを行う旨の定款の定めについての定款変更(当該定款の定めを廃止するものを除く)

また、決議要件は以下のとおりです。

  • 頭数と議決権それぞれの要件を満たす必要がある
  • 頭数は株主総会で議決権を行使できる株主の半数以上、もしくは半数を上回る割合を定款で定めているケースでは、その割合以上に変更される
  • 議決権は株主総会で議決権を行使できる株主の議決権の3分の2以上、もしくは3分の2を上回る割合を定款で定めていたケースでは、その割合以上に変更される

参考:株主総会の決議方法の種類について(弁護士ドットコム)

以上、株主総会における決議の種類ごとに決議事項と決議要件をまとめました。株主総会の決議事項および決議要件は厳密に規定されており、専門知識がないと円滑なプロセスの進行は不可能です。

もしもM&Aの実施および、これに伴う株主総会の開催に関して不明点があれば、M&A総合研究所にお任せください。M&A総合研究所には、知識・経験が豊富なアドバイザーが在籍しており、培ってきたノウハウを生かしてマッチングからクロージングに至るまでM&A手続きをフルサポートしております。

通常のM&Aでは半年〜1年程度の期間が必要ですが、M&A総合研究所ではスピーディーなクロージングを目指しており、最短3ヵ月での成約実績を有しております。

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【関連】株主総会の流れ・進め方とは?各プロセスにおける注意点| M&A・事業承継の理解を深める

株主総会の決議は省略できる?

場合によっては、株主総会で決議を得るべき事案で決議の省略が可能となるケースがあります。株主総会の決議を省略できる主なパターンは、以下の2つです。

  • 議決権を行使できる株主全員が書面や電磁的記録で同意している
  • 簡易組織再編行為、略式組織再編行為に該当する

それぞれの項目について順番に詳しく紹介します。

①議決権を行使できる株主全員が書面や電磁的記録で同意している

たとえ株主総会で決議を取るべき何らかの決議事項が発生した場合であっても、議決権を行使できる株主全員が書面・電磁的記録などで同意していれば、株主総会でその議案を可決する旨の決議があったものとみなされます。このケースでは、株主総会の決議省略が可能です。

上記のケースでは招集通知を行う必要がなくなるため、株主総会を開催する手間が発生せず主に中小企業で役立つ制度といえます。中小企業は非公開会社であるうえに、「経営者個人のみが株式を所有している」「特定の親会社の完全子会社である」などのケースが多いです。

そのため、株主総会の決議を省略すると、経済的負担が軽減されて議決を迅速に進行させられます。

②簡易組織再編行為、略式組織再編行為に該当する

厳密にいうと、簡易組織再編行為や略式組織再編行為に該当すれば、株主総会の開催や債権者保護手続きなどのプロセス自体の省略が可能です。組織再編行為では会社の組織が大きく変更されるため、本来ならば株主総会や債権者保護手続きが求められます。

しかし、純資産額の特定割合以下で行う小規模な組織再編である「簡易組織再編行為」や、完全子会社に近い関係にある会社との組織再編である「略式組織再編行為」では、組織再編の影響が軽微であるうえに株主総会手続きが煩雑化するため、株主総会の省略が認められているのです。

簡易組織再編行為と略式組織再編行為は同時の実施も可能であり、主に吸収合併・株式交換・新設分割など組織再編の手法を用いる際に適用されます。ただし、新設合併・株式移転での組織再編は会社への影響が軽微とはいえず、これらの手法を使う際は株主総会の開催・特別決議が必要です。

【関連】簡易株式交換とは?略式株式交換との違いについても解説します| M&A・事業承継の理解を深める

株主総会と取締役会の決議事項の違い

株主総会での決議事項を取締役会で決議できるのか、気になる経営者の方は非常に多いです。結論からいうと、株主総会で扱うべき決議事項について取締役会での決議は行えません。この理由には、「所有と経営の分離」の問題が深く関係しています。

簡単にいうと、「株式取得による出資で会社を一部所有する株主で構成された株主総会」と、「その株主から信任を得て会社の経営を行う取締役で構成される取締役会」は、明確に区別されているのです。

上記の考えを踏まえると、株式会社の最高意思決定機関は、株主総会に他なりません。会社法ではこの考えにもとづき、株主総会が会社経営に関わる重要事項を決議する一方で、取締役会は日々の業務執行において必要な決定を迅速かつ効率的に行ったうえで、その決定を確実に執行するよう定められています。

株式会社は、取締役会を設置する会社と設置していない会社に分けられます。取締役会を設置していない会社では、株主が少ないうえに親族で構成しているケースが多く、一般的に株主総会の開催に大きな負担がかかりません。

これに対して、取締役会が設置された公開会社では、株主の数が多いうえに株主と経営陣の意向が必ずしも合致するとは限らず、株主総会の開催が経営陣にとって大きな負担になりやすいです。

場合によっては、株主総会の開催が負担になるだけでなく、経営陣が行いたい経営戦略が株主の反対により実行できなくなるおそれもあります。こうした事情を受けて、株主総会で決議すべき議案を定款の変更により取締役会で決議しようと考える会社も少なくありません。

しかし、株主総会で決議すべき議案について、取締役会決議できるよう変更する手続きは行えません。とはいえ、これとは逆に取締役会で決議すべき議案を株主総会で決議できるようにする手続きは可能です。

【関連】株主総会と取締役会の違い| M&A・事業承継の理解を深める

役員の報酬決議における株主総会議事録の記載事項

本章では、役員の報酬決議を行った場合の株主総会議事録の記載をまとめました。そもそも役員報酬を増額するような事案を決議する場合、役員全員の報酬総額について株主総会で決議を得る必要があります。これに対して、仮に取締役会で役員の報酬を決議できたケースで想定される問題点は非常に深刻です。

良識ある人物が役員であれば問題ありませんが、自らの報酬を自分たちで決められるとなると、利己的な操作を加えられるおそれがあります。このケースは会社が損害を受けるだけでなく、会社の所有者である株主に対しても悪影響を与えかねません。

こうしたトラブルを回避するために、役員報酬の総額は株主総会の決議事項であると規定されています。とはいえ、報酬総額の具体的な配分に関しては、役員同士の協議での決定が可能です。役員それぞれの具体的な報酬額に関しては、株主総会の決議を得る必要がありません。

利己的な操作による会社や株主への損害に関する対処法は総額を株主総会で決議しておけば十分であり、分配方法まで株主総会で決議する必要性はありません。ただし、役員報酬の総額は株主総会で決議にかけるため、議事録にその旨を記載しておく必要があります。

ここからは、株主総会の議事録の記載時に注意すべき点として、以下の3つを取り上げます。

  1. 取締役と監査役の報酬は区別すること
  2. 使用人兼取締役の報酬に使用人分の給与を含めない
  3. 社外取締役とそれ以外の取締役の報酬を区別する

それぞれの項目を順番に詳しく紹介します。

①取締役と監査役の報酬は区別すること

役員の報酬決議を行う際、たとえ取締役と監査役の報酬を同時に議案にする場合であっても、取締役と監査役の報酬は明確に区別しておく必要があります。なぜなら、取締役と監査役の報酬規程はそれぞれ明確に区別されており、混同してはならないためです。

②使用人兼取締役の報酬に使用人分の給与を含めない

使用人兼取締役の報酬決議を行う際、使用人の給与体系が明確になっている場合は、その報酬に使用人分の給与を含めないよう注意しましょう。たとえ使用人分の給与に関して株主総会で決議を行わない場合であっても、使用人分の給与は使用人兼取締役の報酬に含めてはなりません。

③社外取締役とそれ以外の取締役の報酬を区別する

社外取締役とそれ以外の取締役の報酬の区別は、公開会社で一般的な取り扱いだといえます。なぜなら、社外取締役とそれ以外の取締役の報酬は、株主総会参考書類で明確に区別する必要があるためです。

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株主総会の決議事項における注意点

決議事項のなかには、誤った方法で決議が行われやすいものがあるため注意が必要です。最後に、注意すべき決議事項のうち代表的なパターンを2つ取り上げます。

  1. 計算書類の承認に関する決議事項
  2. 役員の選任・解任に関する決議事項

それぞれの項目を順番に詳しく紹介します。

①計算書類の承認に関する決議事項

株式会社では、各事業年度に関する「計算書類及び事業報告並びにこれらの付属明細書」を作成する必要があります。計算書類とは、以下の4つです。

  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • 株主資本等変動計算書
  • 個別注記表

取締役会を設置する株式会社では「計算書類及び事業報告並びにこれらの付属明細書」の作成後に株主総会の承認を受けますが、ここでは付属明細書の作成及び保管が必須です。過去に付属明細書の作成を怠り当該計算書類の決議が取り消された事例(福岡高裁平成13年3月2日判決)もあるため、注意しましょう。

②役員の選任・解任に関する決議事項

取締役・監査役の選任・解任は、株主総会の決議により行われます。ここでは、取締役の選任・解任及び監査役の選任は普通決議により行われる一方で、監査役の解任は特別決議が必要である点に注意しましょう。

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株主総会の決議事項のまとめ

株主総会は株式会社の最高意思決定機関であり、会社法で定められたルールを正確に守り運営する必要があります。決議の種類や決議事項に応じて適切な決議を行う必要があるほか、取締役会で代わりに決議を行うことは不可能であるため、経営陣からすると制約が多いです。

とはいえ、こうしたルールを守らなければ重要な決議が無効になってしまうおそれがあるため注意しましょう。

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