2021年4月23日更新会社・事業を売る

株式交換とは?メリット・デメリット、M&Aでの活用や自己株式の消却について解説

株式交換とは、対象会社の発行済株式すべてを株式の交換によって取得し、完全親会社となるための手法であり、会社の組織再編の際に活用されています。この記事では、株式交換を活用するメリット・デメリット、株式交換の手続き方法、株式交換と株式移転の違いなどを解説します。

目次
  1. 株式交換とは?M&Aにおける株式交換の意味
  2. 株式交換に関連する手法
  3. 株式交換を活用するメリット
  4. 株式交換を活用するデメリット
  5. 株式交換の手続き
  6. 株式交換を円滑に成功させるポイント
  7. 株式交換の税務と会計処理
  8. 株式交換における自己株式の消却
  9. 株式交換の事例
  10. まとめ
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株式交換とは?M&Aにおける株式交換の意味

株式交換とは?M&Aにおける株式交換の意味

経営上、別法人を100%完全子会社化したいというニーズが生じることがあります。そんなニーズを叶える方法として、株式交換があります。そこで今回は、株式交換に関して幅広く解説します。はじめに、M&Aにおける株式交換について、以下の2項目をみておきます。
 

  1. 株式交換の意味とM&Aでの活用
  2. 株式交換によるM&A対価

これら2項目について押さえておけば、M&Aにおける株式交換の意義を把握できます。それでは、それぞれの項目を順番に見ていきましょう。

(1)株式交換の意味とM&Aでの活用

株式交換と聞くと、持っている株式を会社や人と単にトレードする手法と勘違いしがちですが、実は若干異なります。株式交換とは、2社間での株式の交換によって、一方の株式会社または合同会社に、他方の発行済株式を100%取得させるM&A手法です。

平成11年の旧商法改正によって、株式交換によるM&Aが実施可能となりました。株式交換により株を取得した会社は株を渡した会社を完全子会社化でき、このとき株を取得した会社は完全親会社と呼ばれます。

ニュースで「〇〇が〇〇を完全子会社化しました」などと聞いたことがあるかもしれませんが、完全子会社化するときに活用されるM&A手法のひとつです。少し前には、GoogleがYouTubeを完全子会社化した時にも株式交換によるM&Aが実施されました。

以上のことから、株式交換とは企業買収も含めた、会社の組織再編の際に使われるM&A手法のひとつといえます。

(2)株式交換によるM&A対価

株式交換以外の一般的なM&Aでは、買い手が売り手に支払う対価(株式を全て取得するために買い手が支払うもの)として、現金が活用されることが多いです。

ところが株式交換では、株式交換で支払う対価として、有価証券(社債、新株予約権、新株予約権付社債等)や他社株式など、現金以外の資産を用います。なお完全親会社の親会社株式の交付(三角株式交換)も認められています。

以上が、株式交換の概要です。ただし株式交換のプロセスは煩雑であるため、円滑に済ませるにはM&Aの専門家の協力が必要となります。

M&A総合研究所では、M&Aに豊富な知識と経験を持つアドバイザーがM&Aをフルサポートいたします。

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株式交換に関連する手法

株式交換に関連する手法

M&A手法として活用される株式交換ですが、関連する手法が多く、それぞれの手法の特徴を押さえておかなければなりません。ここでは、株式交換に関連する手法として、以下の4つを紹介します。
 

  1. 株式移転
  2. 吸収合併
  3. 簡易株式交換
  4. 略式株式交換

これら4つの手法を押さえておけば、自社にとって最適な手法の把握に繋がります。それでは、それぞれの手法を順番に見ていきましょう。

(1)株式交換と株式移転の違い

株式交換とよく似たM&A手法に、株式移転があります。株式移転も、発行済の株式を100%他の会社に取得させるM&A手法です。しかし両者には明確な違いがあります。最も異なるのは、株式を100%取得する会社の特徴です。

前述のとおり株式交換とは、他の会社に株式を取得させる行為で、株式を取得する会社は「すでに存在している会社、もしくは合同会社」となります。他方、株式移転で株式を取得するのは「新しくできた会社」です。

ホールディングスカンパニー、持株会社設立などの際に活用されるM&A手法が株式移転です。企業買収を含めた組織再編である株式交換とは異なり、株式移転は単なる会社内の組織編成の意味合いを持ちます。M&Aの目的に応じて、用いる手法を選択しましょう。

(2)株式交換と吸収合併の違い

吸収合併とは、複数の法人を統合させることによってひとつの法人とする手法です。吸収合併では、吸収される側の法人格を消滅させます。

これに対して株式交換は、一方の企業を完全子会社化する手法ではあるものの、子会社側の法人格を消滅させません。法人格が残すのかどうかが手法として大きく異なっています。

(3)株式交換と簡易株式交換の違い

簡易株式交換とは、特定の要件を満たすことで株式交換に必要な手続きを簡略化できるという簡易組織再編行為のひとつです。簡易株式交換では、株主総会など手間のかかる手続きを省略できるため、スピーディーに組織再編を進められるようになります。

簡易株式交換の要件は「完全子会社の株主に交付する完全親会社の株式の数に、1株当たり純資産額をかけた価額と完全親会社の株式など以外の財産の帳簿価額等の合計額が、完全親会社の純資産額の20%を超えないこと」です。

つまり完全親会社の純資産があまり動いていない、小規模な株式交換であることが要件になっています。また要件の20%という割合は、それより下回る割合であれば定款で変更することができますが、20%より大きい割合にはできないので注意してください。

なお株式交換以外の、合併・事業譲渡・会社分割といった手法も、要件を満たせば簡易組織再編行為に該当されます。この際の要件は、簡易株式交換とは若干異なるものの、20%の割合より下の組織再編行為であれば簡易組織再編行為の要件を満たすことが可能です。

(4)株式交換と略式株式交換の違い

略式株式交換は、簡易株式交換と同じように組織再編の手続き(株主総会など)を簡略化するものですが、要件が異なっています。略式株式交換は、完全支配関係にある会社同士の組織再編行為が該当します。つまり親子会社間の株式交換に限定されるのです。

つまり親会社が子会社について、90%以上の議決権を保有するケースであれば、子会社側の株主総会決議を省略することができます。ちなみに略式株式交換をはじめとする略式組織再編行為には、簡易組織再編行為ができる新設分割が含まれていません。

新設分割は新しく会社を設立したうえで事業を承継させる手法であり、そもそも完全支配関係にある会社同士の組織再編ではないからです。同様の理由で株式移転や新設合併も略式組織再編行為には含まれません。

簡易組織再編行為と略式組織再編行為はそれぞれ要件を満たせば併用可能です。同じグループ傘下にある会社同士の組織再編であれば有効的に活用できます。

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株式交換を活用するメリット

株式交換を活用するメリット

ここまで読んで、株式交換の概要について把握でき、株式交換について興味が深まったと思います。そんな株式交換にはメリットとデメリット双方が存在するため把握しておくと良いです。ここでは株式交換を活用するメリットとして、以下の3つを紹介します。
 

  1. 株主総会での特別決議により手続きを進められる
  2. 現金を支払わなくても済む
  3. 子会社の独立性が担保される

これら3つのメリットを押さえておけば、株式交換の活用が自社にとってどれほどの利益となるのか把握できます。それでは、それぞれのメリットを順番に見ていきましょう。

(1)株主総会での特別決議により手続きを進められる

単なる株式譲渡を用いて完全親会社と完全子会社を作ろうとすると、個々の株主と譲渡に関する契約を結ばなくてはなりません。ところが株式交換を活用すれば、株主総会での特別決議で承認を得れば手続きを進行することができます。

つまりたとえ株主総会で反対があっても3分の2以上の賛成を得れば、完全子会社化を実現できるメリットがあります。このように株式交換とは、ある意味小規模株主から強制的に株式を吸い上げる仕組みとしても機能します。

(2)現金を支払わなくても済む

前述のとおり、株式交換の対価は、ある程度の柔軟性が認められています。その一方で、もしも株式譲渡で株主と譲渡手続きを結び、会社を完全子会社化しようとした場合には、多額の現金を支払わなければなりません。

その一方で株式交換を活用すれば、親会社は自社の株式を渡すことで現金を支払わなくても済むメリットがあります。そのため多くのケースでは、株式交換の対価は親会社の株式で支払われています。

なお企業を買収するケースでは追加でメリットが挙げられます。つまり親会社の株価が高いケースでは、子会社となる企業を有利な条件で買収可能です。 

(3)子会社の独立性が担保される

株式交換を活用して完全子会社になったとしても、法律上は親会社とは別法人です。そのため企業を買収する目的で株式交換を活用しても、既存の会社名を継続させることができます。これによって企業買収の際に、取引先や従業員から生じる抵抗を最小限に軽減できます。

また株式交換後も、会社組織そのものに大きな変更は与えません。したがって株式交換とは、子会社の独立性が担保されているM&A手法といえます。

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株式交換を活用するデメリット

株式交換を活用するデメリット

ここまでが株式交換を活用するメリットでした。反対にここからは、株式交換を活用することで生じるデメリットとして、以下の3つを紹介します。
 

  1. 部分的に買収することができない
  2. 子会社化される会社に現金が入ってこない
  3. 専門的な知識が無ければならない

これら3つのデメリットを押さえておけば、自社において株式交換を慎重に検討でき、後々のトラブルを回避できます。それでは、それぞれのデメリットを順番に見ていきましょう。

(1)部分的に買収することができない

株式交換で完全子会社を作ろうとすると、会社の良い部分だけではなく債務を含めた悪い部分も全て引き継がなければなりません。

そのため株式交換を用いて企業買収を実施する場合は、引き継ぐ債務について十分に注意する必要があります。

(2)子会社化される会社に現金が入ってこない

株式交換を活用すれば、現金を使用しないで済む反面、子会社化される会社に現金が入ってこないデメリットとしていい換えられます。その結果、いかなる不利益を被るおそれがあるのか、具体的な事例で見ていきます。

たとえば、非公開企業に株式交換で企業買収されるケースでは、子会社化された企業は対価として得た株式を現金化するのが困難となってしまい、経営に支障をきたしてしまうおそれがあります。したがって買収される企業の種類について注意することが大切です。

(3)専門的な知識が無ければならない

前述のとおり、株式交換を活用して子会社化を狙うとなると、書類作成や開示など複雑な手続きが存在しています。これを円滑に実行するには、株式譲渡や事業譲渡などのM&A手法以上に専門知識が必要です。

株式交換で必要となる株価算定は、財務の知識がないと円滑に済ませられません。なぜなら会社の経営状態や将来的なキャッシュフローなどを多角的に分析する上に複雑な計算式を用いるためです。専門的知識がない経営者や役員だけでは困難な作業といえます。

また株式交換は、手続き上の問題で後々裁判になるケースもある手法でもあり注意しなければなりません。以上のことから株式交換手続きを円滑に済ませるには、M&A専門家のサポートが不可欠です。

M&A総合研究所では、アドバイザーによる専任フルサポートを行っています。料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。

相談料は無料ですので、M&Aをご検討される際には、まずお気軽にご相談ください。

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株式交換の手続き

株式交換の手続き

ここまで読んで株式交換を活用するメリット・デメリットを把握できたはずです。ここからは、株式交換の具体的な手続き方法について、以下の6項目に分けて解説します。
 

  1. 株式交換契約の締結
  2. 事前開示
  3. 株主総会での承認
  4. 反対する株主などから株式などの買取り/債権者保護手続き
  5. 効力の発生と登記
  6. 事後開示

これら6項目を押さえておけば、株式交換の手続きの全体像を把握できます。それでは、それぞれの項目を順番に見ていきましょう。

(1)株式交換契約の締結

はじめに当事会社において、株式交換に関する契約を締結しなければなりません。もしも取締役会のある会社である場合には、取締約会において承認を得る必要があります。なぜなら、株式交換は、重要な業務の執行にあたると判断されるためです。

(2)事前開示

次に株式交換を実行する当事会社は、契約内容などの法令で定められた事項を事前に開示します。このとき、最低でも株主総会の2週間前までに、それぞれの株主や債権者に開示しなければなりません。なお開示する際には、公告通知や催告の手段が取られます。

そして公告通知と催告のいずれか早い日から、契約内容などの法令で定められた事項を記した書類を備え置かなければなりません。

(3)株主総会での承認

次に株式交換を実行する当事会社は、株主総会の特別決議によって承認を受けなければなりません。このとき効力発生の前日までに株主総会で承認を受ける必要があり、株式交換に反対する株主や債権者には、会社に対する株式買取請求権が与えられます。

なお簡易株式交換や略式株式交換に該当する場合には、株主総会での承認手続を簡略化・省略化可能です。

(4)反対する株主などから株式などの買取り/債権者保護手続き

次に当事会社では、株式交換の旨を株主や債権者に通達します。そして反対する株主や債権者から、株式買取請求があった場合には応じる必要があります。 なお請求期限は、効力が発生する日の20日前から前日までです。

なお株式交換の対価として完全親会社の株式以外の金銭等を交付するケースでは、債権者保護手続を取らなければなりません。

(5)効力の発生と登記

そして完全親会社では、株式交換契約書で定められた効力発生日に、完全子会社の全株式を取得します。なお株式交換の手続きを取ったことで、資本金や発行可能株式総数などに変更があるならば、効力発生日かた2週間以内に登記手続きを取らなければなりません。

(6)事後開示

最後に当事会社では、株式交換の効力発生日から、法令で定められた事項の記載された書類を6ヶ月間、株主や債権者に開示しなければなりません。手段としては、株式交換の結果等を記載した事後開示書類を本店に備置する形が取られます。

株式交換の手続きに関しては、以下の記事でより詳細に解説しています。

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株式交換の手続き

株式交換のスケジュール

株式交換の登記

株式交換を円滑に成功させるポイント

株式交換を円滑に成功させるポイント

ここまで読めば、株式交換の手続きの全体像を把握できたと思います。ここでは株式交換を円滑に成功させるポイントとして、以下の2つを解説します。
 

  1. 株式交換比率は慎重に協議する
  2. 株式交換と増資の関係性について理解しておく

これら2つのポイントを押さえておけば、自社における株式交換の円滑な成功に繋がります。それでは、それぞれのポイントを順番に見ていきましょう。

(1)株式交換比率は慎重に協議する

株式交換において重要となるのは、株式交換比率です。株式交換比率とは、株式交換を行う際、完全親会社と完全子会社になる各会社の株式数の比率をいいます。当然ですが、株式は会社ごとに株価が異なっており、同じ比率で交換することはできません。

そのため株式交換を行う際には、お互いの会社の株価に合わせて株式交換比率を変えます。このとき株式交換比率は、会社同士の協議により決定されるのです。株価評価の手法には、インカムアプローチ・コストアプローチ・マーケットアプローチなどがあります。

上記の手法を活用しつつ、当事者である会社同士の規模の違いや力関係などを加味した上で、株式交換比率が決定されます。なお上場して市場価値が出ている会社では、市場価値をそのまま反映せず、プレミアムを加えた上で株式交換比率を決定することが多いようです。

ただし株式交換比率は、算出される数字によっては株主に損害を与えてしまうことがあります。そのため株式交換比率の決定は、公正な結果になるよう調整しなければなりません。もしも株主が内容に不満を持てば、反発されてしまうおそれがあります。

その結果、株式交換自体が成り立たなくなるおそれも存在するため、株式交換比率は慎重に協議することが大切です。

(2)株式交換と増資の関係性について理解しておく

ここでは、株式交換で増資としての効果を期待する際の問題点について解説します。増資とは、新株発行により資本金を増やす行為のことで、株式会社の資金調達手段として行われます。

もしも新株発行により株式交換を実施すると、通常は増資と同様の効果(資本金の増加)をもたらすとされています。ところが新株発行により資本金を増加させると、1株あたりの利益減少によって既存株主に悪影響を及ぼすおそれがあるのです。

とはいえ100%子会社化を目的に株式交換するケースでは、現金の流出を伴うおそれがあります。つまり、ここでは上記の事態を回避する目的で、増資の効果を発生させずに新株発行を伴う株式交換を実施できるのかが問題です。

明確に規定されていませんが、理論上は「可能」とされています。なぜなら株式交換の際、増加する資本金と資本準備金の額を0円として、全額を資本剰余金として会計処理することで、増資の効果を回避できるためです。

ただし上記の手法は明文化されてないため、実施を検討する際には税理士や公認会計士などの専門家に相談することが大切です。

※関連記事

M&A失敗例から学ぶ成功のポイント

インカムアプローチとは?

コストアプローチとは?

マーケットアプローチとは?

株式交換の税務と会計処理

株式交換の税務と会計処理

株式交換をするときは、税務と会計処理についても知っておかなければなりません。「組織再編税制」の適格要件を満たすか否かによって、株式交換で必要となる税務・会計処理は異なるため、2項目に分けて紹介します。

(1)適格株式交換の税務・会計処理

法律で定められた適格要件を満たす(適格株式交換に該当する)場合、税務上は子会社株式を簿価によって譲渡としたものとみなされます。このケースでは簿価を用いて会計処理を行い、売却益に対する課税は発生しません。

上記のように税務上優遇される適格株式交換ですが、いくつかの要件を満たす必要があります。適格株式交換となるには、対価は親会社の株式でなければなりません。また株式交換後も、完全支配関係が継続することも要件に含まれています。

完全支配関係にある会社間のM&Aによる株式交換では、上記が要件です。ところが支配関係(50%~100%未満)にある会社間の株式交換では、上記要件にくわえて従業員の雇用や事業の継続に関する要件も満たさなければなりません。

とはいえ適格要件を満たせば税務上有利な条件で株式交換を行えるため、適格要件はできるだけ満たすことが理想です。適格株式交換に該当すれば、会計処理を比較的楽に済ませられます。

(2)非適格株式交換の税務・会計処理

的確要件を満たさない(非適格株式交換に該当する)場合、税務上は子会社の資産を時価評価する必要があります。時価により対価を受け取るため、子会社株主に譲渡益課税が発生します。

非適格株式交換では、子会社から移転された株式取得価額と増加する資本金の額の差額分を、資本金の増額分として会計処理するため、適格株式交換と比較して複雑な手続きが求められる点に注意が必要です。

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株式交換における自己株式の消却

株式交換における自己株式の消却

自己株式は、自社で発行し発行後にその会社自身で取得し所有している株式をさします。金庫株と呼ばれることもあるので覚えておくと良いです。

もしも子会社が自己株式を保有していると、当然その株式も株式交換の対象となります。そこで子会社においては、自己株式についての消却(実務処理)が求められるので注意が必要です。ここでは、株式交換における自己株式の消却で問題となる、以下の2項目を解説します。
 

  1. 自己株式の消却手続き
  2. 自己株式消却を伴う株式交換における会計処理

これら2項目を押さえておけば、子会社による自己株式の消却を伴う株式交換であっても円滑に手続きを済ませることができます。それでは、それぞれの項目を順番に見ていきましょう。

(1)自己株式の消却手続き

大半の株式交換では、M&A実行前にあらかじめ子会社側で自己株式を消却します。子会社側では、以下の手順で自己株式を消却していくことが基本です。
 

  • 株式交換契約書への自己株式消却条項を入れる
  • 取締役会にて自己株式の消却決議を行う
  • 自己株式の消却登記を実施する


上記の手続きを済ませると、自己株式の消却が無事に完了します。

(2)自己株式消却を伴う株式交換における会計処理

自己株式消却を伴う株式交換では、単体と連結で会計処理が大きく異なります。まず単体の会計処理では、子会社側で自己株式消却、親会社側で株式交換の仕訳を実施する形です。次に連結の会計処理では、投資と資本を合算した上で、消去する形を取って仕訳します。

以上のことから、株式交換を行うときは、自己株式消却の会計処理にも注意が必要です。

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株式交換の事例

株式交換の事例

これまでに数多くの企業が株式交換の手法を活用してきました。そこで最後に、代表的な株式交換の事例として、以下の5つを紹介します。
 

  1. パナソニックとパナソニックIS
  2. 村田製作所と東光株式会社
  3. セブン&アイHDとヨークベニマル
  4. 三菱ケミカルHDと日本化成
  5. ゼンショーホールディングスと株式会社マルヤ


これら5つの事例のポイントを押さえておけば、自社における株式交換の成功に繋げることができます。それでは、それぞれの事例を順番に見ていきましょう。

(1)パナソニックとパナソニックIS

はじめにパナソニック株式会社による株式交換M&Aを紹介します。2015年8月、両社はパナソニックを親会社、パナソニックISを子会社とする株式交換を実施しました。

この株式交換では、パナソニックISの1株に対して、パナソニックの株式が2.5株割り付けされました。上記の事例に加え、平成29年には「パナソニック デバイスSUNX」を株式交換により完全子会社化しています。

上記のようにパナソニックは、株式交換を駆使して事業規模の拡大を次々と図っています。

(2)村田製作所と東光株式会社

パナソニック以外にも株式交換を活用し、業務効率化や最適な経営資源分配の実現を図る企業は存在します。村田製作所の株式交換事例もそのひとつです。2016年、村田製作所と東光株式会社が株式交換を実施し、東光株式会社は村田製作所の完全子会社となりました。

その結果、販路や技術力といった経営資源を集約させて活用することで、相乗効果を十分に発揮しつつ、両社の主力事業の強化を狙っています。

(3)セブン&アイHDとヨークベニマル

次に紹介するのは、セブン&アイHDによる株式交換事例です。2006年、コンビニやスーパーマーケットを展開するセブン&アイHDは、株式交換を活用して、当時は業務提携関係であったヨークベニマルを完全子会社化することに成功しています。

上記の株式交換は、スーパーマーケット部門のコアにヨークベニマルを据えつつ、経営を一元化した上での迅速化を狙う目的で実施されました。なおセブン&アイHDとヨークベニマルの株式交換比率は、セブン&アイHD株式1対ヨークベニマル株式0.88となっています。

(4)三菱ケミカルHDと日本化成

4つ目は三菱ケミカルHDによる株式交換事例を紹介します。2016年、三菱ケミカルHDの子会社である三菱化学は、株式交換によって当時子会社だった日本化成を完全子会社化することに成功しました。

上記の株式交換が実施されたのは、グループ内の相乗効果やインテグレーションを推し進める目的によるものです。また三菱化学と日本化成は、同年に、三菱ケミカルHD株式と日本化成株式を交換することで、三角株式交換による株式交換を実施しています。

なお株式交換比率は、三菱ケミカルHD株式1対日本化成株式0.21です。

(5)ゼンショーHDと株式会社マルヤ

最後に紹介するのは、ゼンショーHDによる株式交換事例です。2012年、外食事業と小売事業を行う企業を傘下に持つ持株会社ゼンショーHDは、株式交換によって小売業のマルヤを連結子会社化しました。

上記の株式交換が実施されたのは、展開する商品提供チャンネルの拡大という目的によるものです。ところがその後の2014年、経営状態が悪化したことと、事業戦略の共有化・経営資源の効率化などを図る目的により、マルヤを完全子会社化としました。

このときのゼンショーHDにおける手続きでは、前述した簡易株式交換が採用され、株主総会における承認手続きの省略可に成功しています。なおゼンショーHDは、マルヤの全発行済株式を取得する際、他の株主に現金交付を実施しました。

そのときの交付額は普通株式1株につき200円であり、約9.9%のプレミアムが付いていたため、当時大きな話題となった株式交換事例です。

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まとめ

まとめ

株式交換を活用することで、多くのメリットが得られる反面、デメリットも少なくない手法です。そのため専門的な知識を有していなければ、株式交換を実行することはできません。前述したとおり、株式交換自体が無効になるおそれもあります。

また、子会社化する会社の財務状況をしっかりと精査した上で実施しなければ、予期せぬ結果を招きかねません。したがって株式交換手続きを円滑に済ませるには、M&A専門家の協力が必要不可欠といえます。

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子会社とは?設立するメリットデメリットや関連会社との違いを解説!

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M&Aは専門家任せにするのではなく、経営者自身も基礎知識やノウハウを知っておくことが大切です。本記事では、M&Aを成功させるために知っておきたいノウハウや、戦略策定の手順などを解...

会社を売りたい人が絶対に読むべき会社売却マニュアル!

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近年、会社を売りたい経営者が増えつつあります。経営者の悩みは、後継者問題や個人保証・担保などのさまざまなものがあり、会社売却で解決できるのが多いためです。今回は、会社を売りたい人が絶対に読むべき...

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