2024年2月17日更新会社・事業を売る

M&Aの株式譲渡とはどんな手法?実例や事業譲渡との違いから種類や方法・注意点まで総まとめ

株式譲渡は、会社の経営権を移行するために株式を譲渡する手法のこと。M&Aの手法としても、中小企業の利用が多く、株式譲渡は買い手側と売り手側にもメリットがある方法として知られています。本記事では、M&A実例やM&Aにおける株式譲渡の特徴から、事業譲渡と異なる点、手続きや税金などについてまとめています。

目次
  1. 株式譲渡とは?
  2. 株式譲渡によるM&Aを検討する際の確認ポイント
  3. 株式譲渡によるM&Aを行うメリット・デメリット
  4. 株式譲渡によるM&Aを行う際の手順・流れ
  5. 株式譲渡によるM&Aの必要書類
  6. 株式譲渡によるM&Aの価格算定
  7. 株式譲渡によるM&Aの会計処理・仕訳
  8. 株式譲渡によるM&Aの税務
  9. 株式譲渡によるM&Aの注意点
  10. 株式譲渡によるM&A後の社員の処遇
  11. 家族間で株式譲渡を行う際の手続き
  12. 【2023年最新版】株式譲渡によるM&Aの事例3選
  13. 株式譲渡によるM&Aのまとめ
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株式譲渡とは?

株式譲渡M&A手法のなかで最もポピュラーですが、どのような手法なのでしょうか。この章では、中小企業株式譲渡が多く活用される理由もあわせて解説します。

株式の譲渡と売却の違い

そもそも「譲渡」と「売却」は、どちらも財産や権利を他人に移すときに使われる言葉ですが、少し違いがあります。

「譲渡」は、自分の持っているものや権利を自分の意志で他の人に渡すことです。これには、売ることやプレゼントすること、あるいは契約によって渡すことなどが含まれます。譲渡は、基本的には双方の合意に基づいて行われる自発的な行為です。

それに対して、「売却」は、お金と引き換えに物や権利を他の人に渡すことです。売却は主にビジネスの世界で使われ、価格や取引の条件について話し合われることが多いです。つまり、売却は譲渡の一種で、お金を得る目的で物や権利を渡す行為をさします。

株主が持つ権利

株主には、利益を出した時に配当を受ける権利、会社が解散した時に残余財産の分配を受ける権利、株主総会に出席して会社の経営に参加する権利があります。

株主総会では、取締役の選任、決算書類の承認、利益の配当などの重要な経営事項について意思決定を行います。株主平等の原則により、出資額に応じて議決権を有することになります。

株式譲渡3つの方法

事業継承のための株式譲渡には、3つの方法があります

  • 売買
  • 相続
  • 生前贈与

それぞれを詳しく説明します。

売買

株式譲渡とは、現経営者などが保有する株式を対価として譲渡する方法です。これは、生前贈与や相続の場合と異なり、譲渡する株式と引き換えに金銭などを受け取ることになります。

M&Aなどによる第三者への事業承継の場合、ほとんどが売買による株式譲渡となります。譲渡した株主が個人の場合、譲渡所得税が課せられますが、法人の場合は法人税が発生します。

相続

現経営者が亡くなった後に、親族内事業承継を行う際には、遺言書を遺していれば指定した後継者に対し自社株式を譲り渡すことが可能です。

また、遺言がない場合は法定相続人全員による遺産分割協議によって、自社株式の承継者と承継割合を決定します。このとき、現経営者の遺志に添わない形で事業承継される可能性もあります。

また、後継者が法定相続人でない場合は、後継者は相続により株式を取得することができません。

生前贈与

贈与契約とは、贈与者がある財産を無償で与えるという意思表示を行い、受け取る側がこれに応じることによって成立する双務契約であり、贈与契約書を作成することが一般的です。

この方法は、現経営者が見返りを求めずに株式を譲渡するため、多くは親族内事業承継で利用されています。後継者が贈与を受ける場合、贈与税が課税されることになります。

贈与税は累進税率で負担が大きい税金であるため、生前の早い時期から少しずつ移転するケースが多いようです。

【関連】株式譲渡の贈与税計算方法は?譲渡税との比較も解説!

事業継承の種類

事業継承をするには、以下の種類があります。

  • 社内事業継承
  • 親族内事業継承
  • M&Aの事業継承

それぞれを解説していきます。

社内事業継承

社内事業承継においては、信頼できる役員や従業員の中から、適任な経営者を探し出し、事業を引き継ぐことが可能です。そのメリットとして、従業員からの賛同を得やすく、実務の引き継ぎもスムーズに行うことができます。

しかしながら、後継者は買収資金や納税資金などを負担することになります

親族内事業継承

子どもをはじめとした親族に事業を引き継ぐ親族内事業承継には、後継者育成に時間をかけられることや、経営と株式の承継時期を柔軟に決められるメリットがあります

しかし、後継者候補が複数いる場合は、後継者の決定や経営権の集中が難しいケースもあります。

M&Aの事業継承

M&Aを通じて、適切な人物(会社)を探して事業を継承することができます。M&Aは、事業を継続できること、従業員の雇用を維持できること、株式の売却利益を得られることなど利点が多いです。

しかし、必ずしも望む価格で売却できるとは限らず、事業継承が期待通りに進まない場合もあります

M&A手法としての株式譲渡

株式譲渡とは、売り手側が第三者に株式を譲渡するM&A手法です。売り手側が自社の株式を譲渡し、買い手側は対価として現金を支払います。

なぜ株式の譲渡を行うと、会社売却が可能なのでしょうか。一般的に、株式会社の場合は株式の過半数を保有すると、経営権を掌握できます。

取締役や監査役の選任や役員報酬など、会社の重要事項を独力で決定でき、株式保有率が3分の2以上を超えれば社名などの根幹的な部分も独力で変更可能です。

つまり、株式の所持率が高いほど、支配権が強くなります。株式譲渡では、売り手側が所持する全株式を売却し、経営権を全て買い手に譲渡すると、会社を売却したことになります。

株式譲渡が非上場企業のM&Aで好まれる理由

非上場企業のM&Aで、株式譲渡が好まれる最も大きな理由は、複雑な手続きがなく、現金化が早いことです。

株式譲渡以外の場合は特別決議や債権者保護手続きが必要となり、決議や手続きにかなりの時間がかかります。反対株主が多い場合は、M&A自体実行できないリスクもありますが、株式譲渡はそのリスクがないため、非上場の中小企業が事業承継などの理由で用います。

売り手としては手続きが早く終わるに越したことはないため、株式譲渡は非上場企業にとって活用しやすい手法です。

税金計算は簡単だが専門知識は必須

ほかのM&A手法と比較して、発生する税金の計算が株式譲渡は比較的簡単である点も、非上場企業にとって活用しやすい理由の一つです。

しかし、M&Aである以上、税金や手続きが簡単でも専門知識が必要な場面は多々あります。株式譲渡も専門家のサポートを得て進めましょう。

株式譲渡を行う手段

株式譲渡を行う手段には、以下の3種類があります。ここでは、それぞれの手段について見ていきましょう。

  • 相対取引
  • 市場買付け
  • TOB

相対取引

相対取引は、買い手側が個別で売り手株主と交渉して、株式譲渡を行う手法です。対象会社が未上場会社の場合は、相対取引しか株式譲渡の手段がありません。

譲渡価格は、売り手株主ごとにそれぞれ異なる価格を提示することもありますが、価格に違いがあると株主間で不満が生まれる可能性が高く、交渉に時間を要します。そのため、同一価格で相対取引が一般的です。

市場買付け

市場買付けは、対象会社が上場している場合に、直接株式市場から買い進める手法です。株価が安いタイミングで多くの株式を取得することで、投資コストの圧縮ができるメリットがあります。

発行済み株式総数と潜在株式総数の5%を超えて取得すると、管轄の財務局に「大量保有報告書」の提出が必要なので注意しましょう。

大量保有報告書の開示で買い手が対象会社の株式を買い進めていることが公表されれば、株価暴落のリスクが高まります。対象会社の連結子会社化をしたい場合は、後述のTOBを利用するのが一般的です。

TOB

TOBとは、個人株主を含む不特定多数の株主に対し、公告により買付け申し込みを勧誘し、市場外で株式を買い進める手法です。市場外で5%を超える買付けを行う場合は、TOBが義務付けられています。

一般的に、TOBを行う場合は、現時点の株価にプレミアム分を乗せた高い株価で申し込みを勧誘します。

現在の株価より低い価格でTOBを行っても、既存株主にとっては市場でそのまま売却したほうが多く利益獲得ができるため、TOBに応じる経済的メリットがないことがその理由です。

事業譲渡・株式交換・合併との相違点

M&Aには株式譲渡以外にも、事業譲渡株式交換合併などの手法が存在します。各手法にはどのような特徴や違いがあるのでしょうか。本章では株式譲渡と事業譲渡・株式交換・合併それぞれの相違点を解説します。

事業譲渡との相違点

株式譲渡は、売り手側の保有株式を法人もしくは個人譲渡する手法であり、手続き完了後は経営権が買い手側に移るだけで、会社自体が消滅するわけではなく、会社内の契約関係にも変化はありません。

一方、事業譲渡は、全ての事業を譲渡する「全部譲渡」と一部を譲渡する「一部譲渡」の方法があります。売り手側は譲渡後もそのまま経営権を存続できますが、従業員や取引先、不動産などの譲渡した資産における契約はいったん解除され、買い手側との契約をし直す必要があります。

株式交換との相違点

株式譲渡と株式交換の相違点は、対価が株式であるか現金かという点です。どちらも会社法に定められており、株式交換は会社法に基づいた組織再編方法で、対象会社を完全子会社化します。

株式交換では、対象会社が買い手に発行済み株式の全てを取得させ、代わりに買い手会社の株式を引き受けます。株式譲渡でも対象会社の株式を100%取得すれば完全子会社化できますが、対価となるのは現金です。

また、株式譲渡は取得比率を問わず行えますが、株式交換は完全子会社化する手法なので全株式を取得する場合にしか利用できません。

合併との相違点

合併は、2つ以上の会社を1つの会社に統合する手法です。包括的な承継となるため、消滅する会社における権利義務の全てが譲受企業に引き継がれます。

合併は、既存する会社にもう一方の会社が吸収される吸収合併と、新設会社に既存する会社の全てを引き継ぐ新設合併の方法があります。

合併と事業譲渡の大きな違いは、吸収合併は権利義務を包括的に承継し、事業譲渡は対象事業の権利義務を選択して個別に承継する点です。合併の場合、消滅会社は法人格がなくなりますが、事業譲渡の場合は譲渡企業に法人格が残る違いもあります。

【関連】吸収合併とは?新設合併との相違点・手続きの流れ・メリット・吸収合併の事例をご紹介!

株式譲渡によるM&Aを検討する際の確認ポイント

この章では、株式譲渡によるM&Aを検討する際の確認ポイントについて見ていきましょう。

上場の有無

株式譲渡によるM&Aを検討する際は、上場の有無により確認するポイントが異なります。上場企業の場合は、自社の株式に譲渡制限を設けられません。上場企業の株式を得る場合は、株主総会などで承認を得る必要がなく、原則誰でも行えるのです。

株式譲渡で譲渡益が生じると、譲渡所得とみなされ税金が発生しますが、上場企業における株式譲渡では損益通算ができるので、節税効果が期待できます。

非上場株式は、自由に株式譲渡を行えないので、株式を譲渡する際、譲渡対象会社が株式譲渡制限を設けているかどうか確認しなければなりません。

原則、株式は自由に譲渡できます。しかし、会社経営で不適切な第三者が株主になるのを防ぐために、定款で株式を譲渡する場合に「会社の承認を要する」旨を定められます(株式譲渡制限)。

中小企業は、ほとんどが株式譲渡制限を設けており、この場合は、定款の定めに基づく「承認機関の譲渡承認」が必要です。原則、承認機関は取締役会設置会社の場合が「取締役会」、取締役会設置会社でない会社や特例有限会社の場合は「株主総会」になります。

承認を得ずに譲渡制限株式の譲渡手続きを行うと、対象会社へその効力を主張できません。また、非上場株式は、対象会社が株券発行会社か株券不発行会社か確認することも必要です。これについては、下記で解説します。

株券発行の有無

上記のとおり、非上場株式は、対象会社が株券発行会社か株券不発行会社か確認します。株券発行の有無により、株式譲渡の対抗要件が違うので、早めに確認しましょう。

平成18年に施行の会社法により、平成18年5月以降に設立の株式会社は、原則、株券不発行会社です。株券を発行する場合は、定款にその旨を記さなければなりませんが、会社法施行前は株券の発行が原則だったので、それ以前に設立の株式会社は株券発行会社の可能性があります。

実際には株券を発行していなくても、登記事項証明書に「当会社の株式については株券を発行する」とある場合、株券発行会社に該当します。そのため、それに沿った手続きを行いましょう。

特例有限会社は、定款で株券を発行すると定めない限り、株券不発行会社です。承認機関や株券発行の有無は、対象会社の登記事項証明書や定款でチェックできます。

株式譲渡によるM&Aを行うメリット・デメリット

数あるM&A手法のなかで、株式譲渡が特に非上場企業のM&Aに多く利用される理由は、すでに解説したとおりです。この章では、株式譲渡によるM&Aを行うメリット・デメリットについて見ていきましょう。

売り手側のメリット

大きな効果が得られる売り手側のメリットは、以下です。

  1. 手続きが簡単で迅速である
  2. 売り手側が受け取る売却利益が多い
  3. 税引き後に残る利益が多い
  4. 事業承継問題を解決できる
  5. 会社のさらなる発展が期待できる
  6. 従業員の雇用維持ができる
  7. M&A後も企業の独立性を維持できる

①手続きが簡単で迅速である

株式譲渡は、契約書の作成手続きのみで完了できます。基本的には、株主総会の承認が不要なため、手続きを迅速に進められます。もちろん、株式を買ってくれる会社が現れるのが前提条件ですが、相手が見つかればスピーディーに売却まで進むことも可能です。

ただし、譲渡制限がかかった非上場株式の譲渡では、手続きが若干面倒です(株式譲渡の手続きは後述します)。とはいえ、この場合でもほかのM&A手法と比べると簡便に完了でき、迅速に手続きできるため株式公開をするケースと比べて早く現金を得られます。

②売り手側が受け取る売却利益が多い

株式譲渡を活用して会社を売却した際、売却代金には「のれん」が含まれるでしょう。「のれん」とは、独自のノウハウやブランド、優良顧客との取引関係など目に見えない資産(無形資産)の価値です。

株式譲渡手続きの過程で、買い手側が「のれん」の価値を評価した場合、その分の価値が売却価格に上乗せされます。「のれん」の価値が大きいほど、株式譲渡した際に受け取れる金額は多くなるのです。

特許やノウハウの無形資産を強化すれば、それが「のれん」として評価されます。不要な在庫の処分によっても、企業価値の向上が可能です。

③税引き後に残る利益が多い

税金の観点からみても、株式譲渡は手元に残る利益が多くなる可能性が高いです。たとえば、事業譲渡と呼ばれるM&A手法では、会社に対して約30%の法人税、課税資産に対して消費税も課されます。

株式譲渡における税金に関しては後述しますが、株式譲渡では基本的に20%の所得税のみが課されるので、事業譲渡よりも税引き後に残る利益が多い可能性が高くなるでしょう。

事業譲渡で課税される資産には「のれん」が含まれます。「のれん」が多いほど、事業譲渡では支払う税金の額が多くなるため、「のれん」の価値が大きい場合は、株式譲渡によるM&Aのほうが税金面では有利です。

④事業承継問題を解決できる

中小企業において、後継者がいないことは深刻な問題です。実際に、子息などの親族が事業を継ぐ割合は、年々減少し、それによって廃業した会社や、廃業を予定している会社が多く存在します。

成長性・将来性があるのに、後継者がいない理由で会社をたたむのは、経営者にとって心苦しい決断です。

株式譲渡は、後継者問題を解決できるだけでなく、事業の継続も可能です。「親族や社内に後継者がいない」場合でも、外部への売却によって会社をたたまずに済みます。

⑤会社のさらなる発展が期待できる

株式譲渡を行うと、売り手企業は買い手企業の子会社となり、事業を継続させます。株式譲渡の売り手側は、買い手企業のさまざまなリソースを活用できるのです。その企業におけるブランド力はもちろん、技術力や人材などによってさらに成長することも可能です。

金銭的な理由から着手できなかった事業や、より広い分野の事業を行える可能性もあります。特に、大手企業への譲渡が成功すれば、双方にとって大きなメリットを得られるでしょう。

⑥従業員の雇用維持ができる

売り手側の経営者が、第三者への事業承継で心配する点に、従業員の存在が挙げられます。従業員の雇用を継続するかどうかは買い手側に権利があるので、心配になるのも当然のことです。

株式譲渡をしても従業員の雇用は引き継がれ、権利があるからといって簡単に解雇はできません。

整理解雇などを行う企業も存在しますが、手荒な行いは買い手側企業の社会的評判を落とすことにつながります。そういった理由もあるので、売り手側の経営者は安心して譲渡ができます。

ただし、ファンドを行う企業など、利益第一の買い手であればその限りではありません。株式譲渡の際は信用に足る相手か、きちんと調査して見極めることが重要です。

⑦M&A後も企業の独立性を維持できる

株式譲渡では、買い手側に売り手側の株式を譲渡することで、経営権を引き継ぎます。売り手側の法人格はM&A後も残るため、企業の独立性の維持が可能です。

経営権だけが引き継がれ、経営者や役員、会社名などはそのままであるケースもあるため、従来どおりの社風で経営ができる可能性もあります。

社風を維持するには従業員の雇用や待遇の維持が欠かせないため、事前にしっかり説明しましょう。

買い手側のメリット

次に、株式譲渡における買い手側のメリットを紹介します。主なメリットは、以下の3つです。

  1. 迅速にM&Aができスムーズな営業の開始が可能
  2. 「のれん」の獲得による事業の拡大
  3. 株式を過半数取得すれば支配権を確保できる

①迅速にM&Aができスムーズな営業の開始

売り手側のメリットと同じく、買い手にとっても手続きが簡単な点がメリットです。買い手側は取引先や従業員との再契約が不要なため、登記変更申請などの手続きも必要ありません。株式譲渡では許認可における各種権利なども引き継がれるケースが多いです。

事業譲渡や新設合併の場合、買い手が許認可申請などの再申請を必要とする場合がありますが、株式譲渡にはそれがありません。許認可申請を事前にする必要がなく、株式譲渡後円滑に事業を行えるでしょう。ただし、許認可が引き継げない可能性もあるため、確認は必要です。

売り手と買い手の交渉がスムーズに進めば、短期間でM&Aが完了する可能性があります。非上場の中小企業では、売り手側の経営者個人が全ての株を所持していることも少なくありません。その場合、交渉や手続きは二者間だけで済むため、かなり短期でM&Aを完了させられます。

交渉が長引くことは、双方にとってあまり良いことではないため、時間をかけずに済むのは大きなメリットです。

②「のれん」の獲得による事業の拡大

先ほども説明したとおり「のれん」とは、独自のノウハウやブランド、優良顧客との取引関係における目に見えない資産の価値です。これらを引き継ぐことによって、少ない労力で技術や顧客を一気に入手できます。特許や販売ルートが手に入れば、自社の利益をさらに増やせるでしょう。

経営権を獲得しているので、自社のノウハウや技術も、買収した企業に利用してもらえます。買収した企業の経営状況を改善したり、自社の販売ルートを提供したりと、株式譲渡前よりも売り上げを伸ばせるでしょう。

③株式を過半数取得すれば支配権を確保できる

買い手は、株式の過半数(50.1%以上)を取得すれば、支配権を確保できます。株式会社において取締役の選任は、株主総会の普通決議で行います。

普通決議では過半数の賛成で承認されるため、買い手が過半数の株式を取得すれば自社の役員を取締役に選任することも可能です。

重要な意思決定を行う株主総会の特別決議をとおすためには、議決権における2/3以上の賛成が必要です。支配権をより確固たるものにするためには、2/3以上の株式取得を目指すとよいでしょう。

売り手側のデメリット

売り手の主なデメリットに、税金の支払いがあります。株式譲渡では、株式を買い手側に売却し、その対価を得ます。これも会社にとっては利益となるため課税対象です。株式譲渡によって発生する税金は後述するので、まずは税金が発生することを認識しましょう。

買い手側のデメリット

株式譲渡では、以下のとおり売り手側よりも買い手側にデメリットが多いので、買い手側となる場合は十分に検討したうえで株式譲渡を行いましょう。

  1. 問題点を引き継いでしまう
  2. 多額の「のれん」が後々利益を圧迫する可能性がある
  3. シナジー効果を獲得できないおそれ
  4. 株主が分散していると手続きが複雑化する

①問題点を引き継いでしまう

株式譲渡は包括承継スキームであるため、買い手は売り手の資産だけでなく負債も引き継ぎます。デューデリジェンスを徹底してもすべてのリスクを排除するのは難しく、不要な経営資源や、賠償義務、簿外債務までも承継する可能性があります。

内容によっては今後の経営に影響をおよぼすので、M&A前にデューデリジェンスを徹底して行い、しっかり検討することが重要です。

問題があった際、問題点を踏まえたうえで買収するメリットがあるかどうかを再度検討し、「リスクを負いたくないが欲しい事業がある」場合は、事業譲渡など別手法の活用も考えるとよいでしょう。

②多額の「のれん」が後々利益を圧迫する可能性がある

「のれん」を高く見積もった場合、株式譲渡の実施後に悪影響が出る可能性があります。会計上「のれん」は、毎年少しずつ費用へ振り替えていく減価償却が必要です。「のれん」に多額の資金を支払っても、当面は資産に計上できます。

しかし、この金額が収益と比べて過大であると判明した場合、減損処理が必要です。減損処理を行うことは、投資の失敗を意味します。そうなれば、投資額を回収できないばかりか、投資の失敗によって株価の下落を招く可能性もあります。

買い手側は買収したい企業の収益性を見極めたうえで、株式譲渡を実施しなくてはいけません。株式譲渡は、売り手側にメリットが多い一方で、買い手側にとってはリスクがあるM&A手法です。とはいえ買い手側にとっても、簡単な手続きで買収できる点はメリットでしょう。

「のれん」の価値を適切に見極めたいのなら、売り手となる会社の状況なども踏まえて慎重に候補を選定してください。

③シナジー効果を獲得できないおそれ

株式譲渡後、売り手側は別会社として存続します。買い手と売り手は親会社・子会社の関係になるものの、別会社である以上、親会社と子会社間で取引などを行うには一定の制限があります。

制限がかかることにより、十分なシナジー効果を獲得できない可能性がある点はデメリットの1つといえるでしょう。シナジーをより多く得られるよう、対象会社を100%買収後に合併するケースもあります。

シナジー効果を最大にするためには、企業文化の相違や経営陣の関係性などを、デューデリジェンスやトップ面談の段階で見極めることも重要です。

④株主が分散していると手続きが複雑化する

株主が分散していると、手続きが複雑化する可能性があります。株式譲渡では株主から株式の買い取りを行いますが、株式の買い取りには強制力がないため売却を拒否される場合もあるでしょう。

仮に、1名の株主が全ての株式を保有しているケースでは、その1名との交渉が成立すれば、買い手側は全ての株式を取得できます。しかし、株主が10名いて株式を10%ずつ保有している場合、6名が反対すると買い手側は目標となる過半数の取得が困難です。

基本的に株式の買い取りは相対取引となるので、株主ごとに価格が違うことも考えられます。しかし、実際は個別で交渉すると手間がかかるうえ、株主間で不満がでるケースも想定されるので、同一価格で買い取りを行うのが一般的です。

【関連】のれん償却とは?会計処理や期間、メリット・デメリットを解説

株式譲渡によるM&Aを行う際の手順・流れ

冒頭で、株式譲渡の手続きは簡単であると述べました。しかし、株式に譲渡制限がかかっている場合は、株主総会の承認手続きが必要となります。昨今、多くの非上場中小企業は、株式に譲渡制限がかかっているので、多くの企業は以下の手続きが必要です。

  1. 株式譲渡承認の請求
  2. 取締役会または株主総会での承認
  3. 決定内容通知
  4. 株式譲渡契約
  5. 株主名簿の書き換え

①株式譲渡承認の請求

まずは、会社に対して株式譲渡を承認してもらうための手続きを実施します。具体的には、株式譲渡承認請求書と呼ばれる書類を作成・提出します。

この書類は、インターネット上にあるテンプレートを利用しても、サポートしてくれるM&A仲介会社などに用意してもらってもよいでしょう。株式譲渡承認請求書には、以下の項目を明記する必要があります。

  • 譲渡する株式の種類と数
  • 株式譲渡を受ける人の氏名と住所

この手続きは原則として株式譲渡する側とされる側が共同で実施しなくてはいけません。シンプルな手続きではあるものの、株式譲渡の中でも重要なプロセスになります。

税理士など専門家の協力を得たうえで、手続きを実行するのがベターです。また、有限会社では例外なく株式に譲渡制限がかかっているので、無条件でこの手続きが必須です。

②取締役会または株式総会での承認手続き

次に、所定の機関で株式譲渡の承認手続きを実行します。社内に取締役会がある場合は取締役会、ない会社では株主総会で承認手続きを行います。

定款の定めにより取締役会設置会社でも、株主総会で当該手続きを実施可能です。この手続きで株式譲渡が承認されると、株式譲渡が正式に認められます。

株式譲渡を認めないケース

株式譲渡の承認手続きに際し、会社側は株式譲渡を承認しないことも可能です。この場合は、会社側が制限株式の買取手続きを遂行しなくてはいけません。具体的には、企業側が株を買い取るか、買取人を指定して買収してもらうことが必要です。

企業側が買い取る場合は、株主総会にて「株式を買い取る旨」と「買い取る株式数」に関する決議手続きを実行します。買取人を指定するケースでは、取締役会または株主総会にて、決議手続きを完了しましょう。

③決定内容通知

株主総会や取締役会で決まった事項を、請求した人に通知します。この手続きは、承認請求の日から2週間以内(定款で変更可)に進めてください。2週間以内に実行しない場合は、決定内容に関係なく株式譲渡を承認したとみなされます。

株式譲渡を承認しないケースでは、誰が株式を買い取るのかを通知する必要があります。企業が買い取る場合は40日以内、指定買取人が買い取る場合は10日以内に通知しましょう。期間内に通知しない場合は、株式譲渡を承認したことになります。

④株式譲渡契約

株式譲渡の承認や通知が完了すると、今度はトップ面談やデューデリジェンスの手続きを経て、売り手買い手双方が合意したら、株式譲渡契約書の作成手続きを行います。株式譲渡契約書は、株式と現金の交換を保証する目的で締結されます。

株式譲渡契約書に記載する内容は以下のとおりです。

株式譲渡契約書の記載内容

株式譲渡契約書には、主に下記内容を記載します。

  • 基本合意
  • 株式譲渡代金の支払い方法
  • 譲渡承認手続きに関する内容
  • 株主名簿の名義書換えに関する事項
  • 表明保証と損害賠償に関する事項


基本合意の項では、株式譲渡に関する基本的な合意内容を記載します。具体的な内容は以下のとおりです。

  • 株式会社の情報(会社名や住所)
  • 株式譲渡の価格
  • 譲渡する株式の種類
  • 譲渡対象の株式数

上記に加えて、株主の氏名や株式譲渡の目的なども必要に応じて記載しましょう。株式譲渡の価格は、さまざまな算定方法があるため、後ほど詳しく解説します。

株式譲渡では、対価として買い手から売り手に対して現金が支払われます。株式譲渡契約書には、対価の支払い方法と支払期限を盛り込みましょう。株券発行会社であれば、支払いと同時に株券を交付する旨を記載してください。

譲渡制限株式である場合は、承認手続きを実行する旨と期限を記載します。株券未発行の場合で株式譲渡の効力を生じさせるためには、株主名簿の書き換えが必要です。名簿書き換えを実行するうえでも、株式譲渡契約書には代金支払いと同時に株主名簿書換え請求書を交付する旨を記載しましょう。

表明保証とは、株式譲渡に関して開示した情報が正しい旨を売り手側に保証させることです。表明保証を株式譲渡契約書に記載し、後に買い手側が損失を被るリスクを軽減します。万が一、表明保証に虚偽が発覚した際に備え、損害賠償も定めておきましょう。

株式譲渡契約書の印紙税

ビジネスで作成する契約書には、原則として印紙税と呼ばれる税金が発生します。収入印紙を購入し、それを契約書に貼付する形で印紙税を納税します。では、株式譲渡契約書の作成に印紙税は課税されるのでしょうか。

株式譲渡契約書は非課税文書とされているため、原則として印紙の貼り付けは不要です。代金がすでに支払われた旨が株式譲渡契約書に記載されているケースでは課税文書となり、収入印紙の貼り付けが必要となります。

⑤株主名簿の書き換え

株式譲渡契約が完了後、株券を発行している企業であれば、契約完了後に株券を交付すれば手続きが完了します。しかし、多くの非上場中小企業は株券を発行していません。そのため、株券の交付手続きを実施できません。

株券を発行していない企業は、その代わりに株主を「株主名簿」に記載しています。つまり、株券不発行の非上場企業は、最後に株主名簿の書き換え手続きを実行する必要があるのです。この手続きを実施してはじめて、株式譲渡が正式に完了します。

簡単といわれる株式譲渡でも、これだけの手続きが必要となります。事業譲渡などほかのM&Aの方法と比べると簡単な手続きで済みますが、独力でできるわけではありません。

株式譲渡のM&Aを検討している場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、豊富な知識と経験を持つM&Aアドバイザーが、案件をフルサポートいたします。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります。)無料相談をお受けしておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所
【関連】株式譲渡の手続きの流れ!手順・必要書類・注意点も徹底解説

株式譲渡によるM&Aの必要書類

株式譲渡をする際は、譲渡を行う目的が問題なく進められるよう、さまざまな書類を不備なく準備する必要があります。また、取締役会設置会社と取締役会非設置会社で異なる書類が必要です。ここでは、株式譲渡に関する手続きの書類を紹介します。

取締役会設置会社の必要書類

取締役会設置会社の必要書類は、以下の書類が必要になります。買い手と売り手どちらかが揃えるわけではなく、両方で必須とされている書類です。さまざまな手続きを必要としているため、事前に把握しスムーズに進めましょう。

まず、取締役会設置会社の場合は株式譲渡承認が必要になります。取締役会非設置会社との大きな違いは、取締役会で譲渡承認の決議をした取締役会の議事録を揃えなければなりません。

  • 株式譲渡承認請求書
  • 取締役会議事録
  • 株式譲渡承認通知書
  • 株式譲渡契約書
  • 株式名義書換え請求書
  • 株主名簿
  • 株主名義記載事項証明書

取締役会非設置会社の必要書類

取締役会非設置の必要な書類は、以下のとおりです。取締役会設置会社との違いは、譲渡承認の機関が株主総会になり、手続き書類の内容が異なります。

  • 株式譲渡承認請求書
  • 株主総会招集に関する取締役の決定書
  • 臨時株主総会招集通知
  • 臨時株主総会議事録
  • 株式譲渡承認通知書
  • 株式譲渡契約書
  • 株式名義書換え請求書
  • 株主名簿
  • 株主名簿記載事項証明書交付請求書
  • 株主名簿記載事項証明書
取締役会非設置会社の場合は、株主総会に関する多くの書類が必要になるため、作成に多くの時間を費やします。自社でこれらの書類をそろえるには困難なことも多いので、不安のある方は必要に応じて専門家へ依頼するのがベストでしょう。

株式譲渡によるM&Aの価格算定

株式譲渡は取引される株式の価格を算定する必要があります。株式譲渡価格の算定に際しては、下記3種類のアプローチを用います。

  1. コストアプローチ
  2. インカムアプローチ
  3. マーケットアプローチ

アプローチごとに用いる場面や着眼点が異なるため、状況や会社の規模などを踏まえたうえで算定方法を選択しましょう。

①コストアプローチ

コストアプローチとは、評価対象の純資産額に基づいて、株式譲渡価格を算定する方法です。簡単に客観性の高い株式譲渡価格を算定できるメリットがある一方で、将来的な収益力を一切加味できないデメリットもあります。

この算定方法は、清算予定や業績が低迷している中小企業の株式譲渡で主に活用される方法です。

具体的な手法には「簿価純資産法」があり、純資産をそのまま株式価値として株式譲渡価格を算定します。売り手企業にとっては、予想よりも低い株式譲渡価格となる傾向があります。

②インカムアプローチ

インカムアプローチとは、評価対象から将来期待される利益やキャッシュフローに基づいて、株式譲渡価格を算定する方法です。将来的な収益力を株式譲渡価格に加味できる一方で、客観性に欠けた恣意的な価格が算定されるリスクもあります。

多少のデメリットはあるものの、M&Aでは最も合理的な価格算定方法といわれており、具体的な手法には「DCF法」があります。この手法では、将来得られるフリーキャッシュフローの現価値合計を元に、株式譲渡価格を算定可能です。

計算に専門的な知識を要するため、専門家に依頼したうえで用いる必要があります。

③マーケットアプローチ

マーケットアプローチとは、類似企業や類似取引に基づいて、株式譲渡価格を算定する方法です。

未上場企業でも客観性の高い株式譲渡価格が算定可能である一方、類似する取引や企業をみつけ出すのが困難です。この算定方法は、成長性の高い未上場企業の株式譲渡における活用事例が多くあります。

具体的な手法には、「類似会社比準法」があり、この手法では類似する上場会社の株式指標(PERやEBITDA)を用いて、株式譲渡価格を算定します。上場企業と比較するため、評価対象はある程度の規模でなければ適用できません。

株式譲渡によるM&Aの会計処理・仕訳

株式譲渡によるM&Aの会計処理・仕訳は、売り手と買い手でそれぞれ異なります。本章ではそれぞれの会計処理・仕訳を見ていきましょう。

売り手側の会計処理・仕訳

売り手側の会計処理・仕訳では、支配権の有無や影響力の大小に合わせて計上していた科目(子会社株式、関連会社株式、投資有価証券)から取得原価分を控除して、売却価格との差額を売買損益に計上します。

株式譲渡にかかった支出は、発生した事業年度の費用として処理します。たとえば、売却代金3億円で株式簿価1億円のケース(支配権あり)の場合は以下の仕訳処理が必要です。
 

借方 貸方
現預金:3億円 子会社株式:1億円
  株式売却益:2億円

そのほか、売り手側がFAやM&A仲介会社などに対して支払った手数料は、業務委託費などの勘定科目で計上します。

買い手側の会計処理・仕訳

買い手側の仕訳は、個別財務諸表と連結財務諸表で異なるため注意が必要です。まず、個別財務諸表上では、株式の取得に関して仕訳をします。

計上する株式の取得原価は、売却金額から取得価額と売却手数料などを差し引いた金額です。取得価格には実際に株式を取得する際に支払った代金はもちろん、購入手数料や名義書換料など、株式取得に要した関連費用も含まれます。

たとえば、買収代金2億円、株式取得に要した仲介手数料など費用3,000万円のケース(100%取得の場合)における仕訳は、以下です。
 

借方 貸方
子会社株式:2.3億円 現預金:2.3億円

一方、連結財務諸表上では、売り手側の資産・負債を時価で受け入れ、売り手側の資本と取得した子会社株式の取得価額の差額を「のれん」として処理しましょう。

「のれん」は譲渡対価から純資産を差し引いた金額で、結果がプラスになる場合は「正ののれん」、マイナスになる場合は「負ののれん」と呼ぶこともあります。

たとえば、対象会社の資産4億円、負債2億円、買収価格1億円のケース(100%取得の場合)では、以下のように仕訳ます。なお、のれん償却費はあくまで連結財務諸表上のみ計上されるのです。
 
借方 貸方
資産:4億円 負債:2億円
のれん:1億円 子会社株式:1億円

株式譲渡によるM&Aの税務

無事に株式譲渡が終わってから気になるのは、「何に課税され、どの程度が税金で持っていかれるのか」でしょう。他のM&A手法と同様に、株式譲渡でも税金がかかります。ここでは、株式譲渡の税務(課税される税金)と、節税対策を紹介します。

なお、税金面に関しての詳細事項は、国税庁のホームページをご覧になるか、専門家のアドバイスを受けましょう。

株式譲渡で必要となる税金

株式譲渡を実施した際の税金は、申告分離課税によって算出されます。申告分離課税とは、給与所得と事業所得を合算した金額を区分したうえで、税金の額を計算する方式です。事業活動でどれだけ稼ごうが、株式譲渡の税金計算には無関係です。

株式譲渡の税金計算には、2つのパターンがあります。具体的には、売り手株主が個人か法人かによって、株式譲渡で課税される税金が異なります。では、それぞれのケースを見ていきましょう。

売り手が個人のケース

大半の非上場中小企業では、経営者個人が株を所持しています。その場合には、このケースに当てはまり、譲渡所得に対して20.315%(所得税15.315%、住民税5%)の税金が課税されます。譲渡所得とは、株式譲渡によって獲得した代金から、各種費用(取得費、譲渡費用)を引いた部分です。

取得費とは、会社を設立する際に要した株式の取得費用であり、購入代金や手数料、名義書換料などが取得費に該当します。取得費がわからない場合は、売却価格の5%を概算取得費として適用できます。相続によって得た株式も取得費が定められているのです。

譲渡費用とはM&Aの際にかかった費用です。M&Aアドバイザリーに支払った仲介手数料などがこれに該当します。実際に、株式譲渡でかかる税金は、下記のとおり計算されます。

  • 売却代金-各費用(株式取得費用、譲渡費用)=譲渡所得
  • 概算取得費の適用が可能
  • 税金=譲渡所得×20.315%(所得税15.315%、住民税5%) 

税金ごとに納税時期が異なる点に注意が必要です。所得税は翌年の3月15日までに確定申告を実施して納税し、住民税はその年における6月に自治体から納付書が届きます。所得税の支払いで安心して、住民税の支払いが困難にならないように注意しましょう。

売り手が法人のケース

売り手が法人のケースでも、基本的には個人の売り手の場合と同じ部分が多いです。しかし、いくつか違う部分もあります。まず、譲渡所得ではなく譲渡益と呼ぶ点が異なります。譲渡益自体は、前述した譲渡所得と算出方法が同じです。

ただし、概算取得費の適用はできない点に注意が必要です。また、法人が株主のケースでは、会社側に法人税が課税されます。法人税率は、各法人によって税率が異なります。一般的には約30%程度であり、実際に株式譲渡でかかる税金の計算は、下記のとおりです。

  • 売却代金-各費用(株式取得費用、譲渡費用)=譲渡所得
  • 概算取得費の適用不可
  • 税金=譲渡所得×法人税(約30%)

以上のとおり、売り手の株主が法人か個人かによって、支払う税金の種類や額が異なるので注意しましょう。

株式譲渡で利用できる節税手法

上述したとおり、株式譲渡を実施した際は、多額の税金が課されるため、経営者ならば誰しもが節税を考えます。全てのケースには当てはまらないものの、退職金制度の活用によって節税できる場合があります。

具体的には、株式譲渡代金の一部を退職金として受け取れば、株式譲渡に課税される税率よりも低くなるケースです。これは買い手側にとってもメリットです。譲渡代金の一部を退職金として支給すれば、その分の金額を損金に算入できます。

売り手・買い手双方が支払う税額を抑えられます。ただし、この手法を活用するには専門的な知識が必要です。実際に検討する際は、専門家の意見を仰ぎましょう。

【関連】株式譲渡時の税金とは?種類・取得価額や課税額の計算方法・特例制度を徹底解説

株式譲渡によるM&Aの注意点

株式譲渡では、注意しないと思わぬ損害を招くポイントがいくつかあります。

  1. 株主の所在がわからない
  2. 同族会社間で株式譲渡を行う
  3. 自社で手続きを進める
  4. 従業員持株会が株式譲渡を行う
  5. 非上場株式の株式譲渡時に生じる譲渡所得
  6. 上場企業が受ける規制
  7. 特例有限会社における制限
  8. 名義株がある場合の対応

①株主の所在がわからない

株主の所在がわからない場合は、株主名簿の住所へ通知や催告を行えば有効としています。また、5年以上通知や催告が株主宛に届かない場合は、通知や催告は行わなくても良いとされており、不明株主がいたとしても議決に影響はありません。

しかし、所在のわからない株主が多いと、買い手側にとってもリスクとして捉えるため、できる限り不明株式をなくしたいと考えます。そうした場合、通知や催告が5年以上届かず、配当も受け取らない状態が続いていれば、競売や売却の方法で処分することも可能です。

強制的に不明株式を取得するスクイーズアウトで処理する方法もあります。

②同族会社間で株式譲渡を行う

同族会社間における株式譲渡の場合は、親族でもあるため手続きや譲渡金額の決定が緩くなりがちです。通常、株式譲渡価額の算定方法は時価を算出して取引額を決定し、適正な手続きを踏んで株式譲渡を行います。

同族会社間になると、都合に合わせて譲渡価額を決定したり、譲渡手続きを簡易な方法で済ませたりすることも少なくありません。しかし、将来的にトラブルの原因ともなるため、親族間でも厳正な手続きで進めましょう。

③自社で手続きを進める

株式譲渡は法務局など公的機関への申請手続きが必要ないため、小規模な企業は自社で手続きを進めるケースもあるでしょう。しかし、申請が必要でない書類であれば、不備があっても気付かない状態のままになります。

後々のリスクを減らすためにも、自社で手続きを進めるのではなく専門家に依頼し、書類作成などの手続きをするのが良いでしょう。

④従業員持株会が株式譲渡を行う

従業員持株会は、通常、上場企業は大半の企業が導入しており、非上場企業でも導入しているケースが多く見られます。従業員持株会の株式を譲渡する場合は、会員全員の承認を得るか、従業員持株会を解散させ清算手続きを行わなくてはなりません。

⑤非上場株式の株式譲渡時に生じる譲渡所得

非上場株式を株式譲渡する場合、会社の持つ全てを承継します。譲渡した際に生じる譲渡所得は、申告分離課税と呼ばれる方式によって、他の所得などとは区別されたうえで課税されます。したがって損益通算するなどして税金を減らせません。

上場株式と非上場株式の間で損益通算もできないため、注意が必要です。

⑥上場企業が受ける規制

上場企業が株式譲渡を行う場合、いくつかの規制があります。まず1つ目は、TOB規制です。法律により公開買付け(TOB)の実行を義務付けられ、公開買付け開始広告などで一般の株主にも機会を与える情報の開示が必要です。

2つ目は、インサイダー取引規制になります。この規制は、上場企業の関係者が職務や地位により知った情報を元に、公表される前に株式の取引を行うのを禁止する規制です。上場企業の株式譲渡は規制の影響を受けます。

⑦特例有限会社における制限

特例有限会社の株式は、株式譲渡制限の規定があるとみなされます。これは、平成18年5月の会社法施行によるものです。譲渡制限規定の記載が原始定款になくても、登記事項証明書には「株式の譲渡制限に関する規定」として、登記されています。

⑧名義株がある場合の対応

名義株とは、実際の株主ではない人の名前が株主名簿に記載されている株式のことです。真の所有者が不明である名義株は、企業の合併や買収(M&A)の際にトラブルの原因となることがあります。

例えば、名義だけを貸していた人が亡くなった場合、相続人が誤って自分が実際の株主だと思い込み、会社に対して株主としての権利を行使しようとすることがあります。このような問題を防ぐため、出資者の確認や名義株がなぜ発生したのかの調査を行い、必要に応じて株主名簿の訂正などの対応をすることが重要です。

【関連】非上場の株式譲渡とは?手続き、課税の仕組み、株価の算定を解説

株式譲渡によるM&A後の社員の処遇

経営者が最後まで心配するのは、これまで自社で働いてきた社員のことではないでしょうか。ここでは、株式譲渡後に社員はどうなるかに関して解説します。

株式譲渡後における社員の処遇と雇用

株式譲渡により経営者が変わるため、社員の処遇を心配する方は多いでしょう。結論としては、株式譲渡後も社員の雇用や待遇は維持されるケースがほとんどです。買い手企業にとって、売り手企業の社員は収益力の源泉です。

株式譲渡により会社の経営権を保有しても、社員がいなければ経営は成り立ちません。雇用を継続しても処遇を悪くした場合、従業員の離職やモチベーション低下を招きます。こうした事態は買い手企業にとって好ましくないため、基本的には引き続き雇用や処遇は継続されるのが一般的です。

雇用や処遇維持をするためには

基本的には、株式譲渡後も社員の処遇や雇用は維持されるものの、100%ではありません。社員の雇用や処遇を維持するためには、契約段階で確約を取り付ける必要があります。具体的には、基本合意契約書や最終契約書にて、社員の雇用・待遇の維持に関して確約を盛り込みます。

永遠に確約を取り付けられないものの、1〜2年間は社員の雇用や待遇を維持できるでしょう。社員の雇用や待遇の維持に関することを契約書に盛り込むことを買い手側が拒んだ場合、交渉の相手として本当に良いのかを考え直す必要があるといえます。

社員への精神的な影響

雇用や待遇に変化がなくても、社員は精神的な影響を受ける可能性があります。経営者の交代により、社内の雰囲気や環境が変わった場合、従業員に精神的な負荷がかかる恐れがあり、その結果として、モチベーション低下や離職を招くリスクがあるのです。

新しく経営者となった買い手は、従業員の精神的負荷を取り除くように取り計らう必要があります。収益力の源泉である社員の扱いは、買い手が特に重視すべき課題です。

家族間で株式譲渡を行う際の手続き

家族間で株式譲渡を行う際、生前贈与により株式譲渡を行う場合は、どのような手続きが必要なのでしょうか。メリットやデメリット、生前贈与を用いる際にかかる税金、手続きの流れを紹介します。

生前贈与を用いるメリット

生前贈与の大きなメリットは、節税効果を期待できる点です。生前贈与を行い相続財産が減れば、課税対象の金額が少なくなり、累進課税の税率も低く抑えられます。

株式の価値が上がる前に家族に贈与すれば、相続で譲渡するよりも税負担を軽減できるため、節税の有効な手段です。

生前贈与のメリットとして贈与税免除措置があります。年間110万円までであれば贈与税が免除されるため、計画的に実施すると被贈与者の税負担を軽減できます。

生前贈与を用いるデメリット

生前贈与のデメリットは、生前贈与をしてから被相続者が3年以内に亡くなった場合、相続税の課税対象となってしまうことです。このケースでは、節税効果を得られなくなります。

自社株の場合、株式の所有比率が経営権なので、生前贈与で家族に株式を譲渡しようとする場合、株式所有比率が現経営者と後継者で分散してしまう恐れもあります。自社の重大な決定をする際に不都合が起こらないよう計画的に行いましょう。

生前贈与を用いる際にかかる税金

家族間で株式譲渡の生前贈与を行う場合、基本的には贈与税が課されます。しかし、前述したとおり年に110万円までは非課税になるケースもあります。

生前贈与にかかる税金は、贈与税、譲渡益課税(所得税+住民税)などです。贈与税は、年間110万円を超えた場合、累進課税により税率が決定します。

仮に株式譲渡の贈与が「みなし贈与」と認定されてしまった場合、税金が増加する可能性があるため留意が必要です。

生前贈与を用いる際の手続きの流れ

家族間で生前贈与により株式譲渡に用いられる手続きの流れは主に以下です。

  • 株式における評価額の決定
  • 贈与契約書の作成

株式における評価額の方法で最も低い価格を株式の価格とし、価格が決まった後に、贈与契約書を作成します。贈与契約は合意があれば口頭でも成立しますが、のちにトラブルとならないよう契約書を作成しましょう。

【2023年最新版】株式譲渡によるM&Aの事例3選

では最後に2023年最新版、株式譲渡によるM&Aの事例を3つご紹介します。

武田薬品工業によるBlackstoneへの子会社株式の譲渡

東証一部上場の大手製薬会社である「武田薬品工業」がBlackstoneの子会社であるOscar A-Co株式会社へ子会社株式の譲渡を行いました。

M&Aの背景として、武田コンシューマーヘルスケア事業が今後より成長していくためには戦略的な投資ができるBlackstoneの子会社であるOscar A-Co株式会社へ子会社を譲渡した方が良いと判断したことがあります。

武田コンシューマーヘルスケア株式会社株式のBlackstoneへの譲渡について

アウルスによるエン・ジャパンへの株式譲渡

2017年2月に設立されたUI・UXに強みを持つデザイン開発受託企業であるアウルスはエン・ジャパンへ株式を譲渡しました。

エン・ジャパンは人材領域に強みがある企業ですが、別業界へ新規ビジネスを創出することを目的として本M&Aを行いました。事業ポートフォリオの安定と拡充を目指しています。

アウルス株式会社の株式の取得(子会社化)及び当該株式取得の対価としての第三者割 当による自己株式処分、並びに完全子会社化を目的とした株式交換に係る基本合意の締結 に関するお知らせ

RIZAPグループによるシスコへの子会社株式の譲渡

札幌アンビシャス市場に上場している減量ジム事業を展開しているRIZAPの連結子会社であるエス・ワイ・エス・北斗印刷はエス・ワイ・エスへ子会社株式の譲渡を行いました。

エス・ワイ・エス・北斗印刷は2015年7月にRIZAPグループ入りを果たしていますが、印刷業の需要減少を受けてM&Aに踏み切りました。「事業の選択と集中」を掲げるRIZAPは抜本的な構造改革に着手しています。

株式譲渡によるM&Aのまとめ

この記事では、株式譲渡の売り手側が第三者に株式の譲渡を行うM&A手法を解説しました。

株式譲渡を実施するうえで不可欠な知識も紹介しています。株式譲渡は他のM&A手法よりも比較的簡単にできますが、手続きや税金など、知っておくべき情報が多いです。非上場企業が株式譲渡を用いてM&Aを行う際は、注意すべき事項が増えます。

株式譲渡を用いてM&Aを実施すれば、さまざまなメリットを得られますが、十分な準備なしに実施すると、思わぬトラブルや失敗を招く可能性もあります。株式譲渡を実施する際は、綿密に計画を練り実行しましょう。

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