2022年4月9日更新会社・事業を売る

株式譲渡時の税金とは?種類、課税額の計算方法、特例制度を徹底解説

株式譲渡によって売り手側に譲渡益が生じた場合、譲渡所得税と呼ばれる税金が課されます。株式譲渡の節税対策として、退職金の活用により手元に残る額を増やせる場合もあるため専門家に相談しましょう。本記事では、株式譲渡にかかる税金を幅広く紹介します。

目次
  1. 株式譲渡時の税金とは
  2. 株式譲渡時の課税と確定申告の必要性
  3. 株式譲渡時の課税に関するポイント
  4. 株式譲渡時の課税額を抑える対策
  5. 株式譲渡の税金に関する特例制度
  6. 株式譲渡時の税金まとめ
  • 今すぐ買収ニーズを登録する
  • 公認会計士がM&Aをフルサポート まずは無料相談

【※メルマガ限定】プレミアムM&A案件情報、お役立ち情報をお届けします。

株式譲渡時の税金とは

株式譲渡は中小企業のM&Aシーンで広く活用されている手法であり、譲受側が譲渡側の株式を買い取って、譲渡側の経営権を取得する取引をさします。

株式譲渡を行うと譲渡側では譲渡所得を得られるため、アーリーリタイアや別事業への投資などを目的に株式譲渡を検討する経営者も多いです。

とはいえ、特に上記の目的で株式譲渡を行う場合、課される税金の知識を知る必要があります。本章では、株式譲渡を行った人へ課せられる税金の概要を見ていきましょう。

譲渡所得税の種類と税率

株主が株式譲渡によって譲渡益を手に入れた場合、これに対して譲渡所得税と呼ばれる税金が課されます。譲渡益とは、株式の譲渡価額から「株式の取得価額・取得にかかった費用」と「株式譲渡にかかった費用」を差し引いて算出される利益です。

譲渡所得税は、所得税(法人が実施した場合は法人税)・住民税・復興特別所得税などにより構成される税金です。ここからは、各税金の概要を順番に取り上げます。

①所得税・法人税

所得は10種類に分かれ、それぞれの所得で税金の計算方法が異なります。株式譲渡で得た所得は譲渡所得税とみなされ、国税として15%の所得税が課される決まりです。

法人が株主である場合の株式譲渡では、法人税が課税されます。法人の株主には、30%〜40%程度の法人税が課される決まりです。

②住民税

株式譲渡では、所得税だけでなく地方税にあたる住民税も課されます。株式譲渡における地方税は分離課税で、5%の課税を受ける仕組みです。そのため、所得税と加えると20%の税金が課されます。

なお、法人が株主である場合は、法人住民税 (法人税額の約20%)が課される決まりです。

③復興特別所得税

2013(平成25)年〜2037(令和19)年の期間は、東日本大震災の復興財源に充てる目的のもと、所得税(法人税)と住民税に上乗せする形で復興特別所得税も徴収されます。

個人の株主を例に挙げると、復興特別所得税は所得税(15%)に対して2.1%の復興特別所得税が課されるため、実質税率0.315%が譲渡所得税に加算される仕組みです。5%の住民税を加えると、合計20.315%が譲渡所得税として徴収されます。

譲渡所得税の計算方法

続いて、株式譲渡にかかる譲渡所得税の計算方法を見ていきましょう。まずは以下の計算式を活用して、株式譲渡における譲渡所得の金額を求めます。

  • 譲渡所得=総収入金額(譲渡価額)-必要経費(取得費+M&A仲介手数料など)

総収入金額とは、実際に株式の譲渡対価として手に入れた金額のことです。株式譲渡の当事者双方が協議したうえで決定されます。必要経費とは、譲渡を行う株式を取得した際に発生していた「取得費」およびM&A仲介会社などに支払う「委託手数料」などの総称です。

株式譲渡にかかる税金は、譲渡所得の金額をもとに求めます。譲渡所得にかかる税金は譲渡所得に対して20.315%課されるため、以下の計算式で求めることが可能です。

  • 譲渡所得税=譲渡所得✕20.315%

ここからは、具体的なケースに当てはめて譲渡所得税を算出します。経営者のAさんが自身の経営する会社の株式すべてを10億円で売却(資本金は1億円・株式譲渡に要した費用は総額で500万円)したケースを想定すると、以下の計算式で譲渡所得税が算出可能です。

  • 譲渡所得=10億-(1億円+500万円)=8億9,500万円
  • 譲渡所得税=8億9,500万円✕0.20315=1億8,181万9,250円

上記のとおり、Aさんに課される譲渡所得税は1億8,181万9,250円です。

株式取得費の算出方法

まずは、基本的な取得費の算出方法を見ていきましょう。

  1. 1単位当たりの取得費=〔(取得単価×取得株式数)+買ったときの手数料など+消費税〕÷株式数
  2. 譲渡する株式の取得費=1株当たりの取得費×譲渡する株式数

2回以上に分けて株式を買うときは、総平均法に則します。株式など種類や銘柄ごとに分け、種類などが同じものに関して計算しましょう。
  1. 1単位当たりの取得費=(株式の初回購入総額+2回目以降における総額)÷(株式の初回購入における株式総数+2回目以降購入の株式総数)
  2. 譲渡株式の取得費=1株当たりの取得費×譲渡する株式数

株式取得費の確認フロー

株式取得費を確認するには、株式を買う際に証券会社から交付される取引報告書をチェックする方法、株式購入先の証券会社により顧客勘定元帳で取得費を調べてもらう方法とがあります。

金融機関では顧客勘定元帳を10年間保存することが決められているので、10年以内に故人である被相続人が得たものは、証券会社へ問い合わせしましょう。

故人の日記や預金通帳などから取得価額を探す場合は、取得費が不明でも取得時期がわかると、当時の相場から株式の取得費が算定可能です。

名義書き換え日の相場を基にチェックする場合は、株式発行会社や名義書き換えの受託先である証券代行会社に、株式名簿や複本、株式異動証明書を確認してもらえば株式の取得時期がわかります。また、株式電子化後における株券の裏面で確認も可能です。

譲渡損が生じる場合は課税されない

株式を譲渡して譲渡損が生じるときは課税されないので、申告も行わなくてかまいません。ただし、申告すると得になるケースもあることを覚えておきましょう。

株式譲渡時の課税と確定申告の必要性

給与を1カ所のみから受けており、給与の年間収入金額が2,000万円以下の給与所得者であれば、確定申告は不要です。しかし、このケースでも、給与以外の所得が20万円を超えた場合には確定申告が求められます。

ただし、株式譲渡時の所得が20万円を超えないケースはほとんど存在せず、大半の株式譲渡では申告の義務が生じると捉えましょう。なお、譲渡所得は申告分離課税の制度が適用されるため、その他の所得における損益通算が行えない点も要注意です。

総合課税と分離課税の違い

所得税は、種類によって総合課税と分離課税に大まかに分けられます。総合課税とは対象となるすべての所得を加算した金額に対して課税を行う方法のことで、事業所得・給与所得・配当所得・不動産所得などが代表例です。

分離課税とは、他の所得と合計せずに独自の税率をかけて税金を計算する方法のことで、退職所得・山林所得・譲渡所得(土地建物・株券)・利子所得などが該当します。

株式譲渡は株式の売買であるため、総合課税ではなく分離課税です。そのため、その他所得との損益通算はできません。

株式譲渡時の課税に関するポイント

株式譲渡時の課税に関するポイント

この章では、株式譲渡時の課税に関するポイントを見ていきましょう。

株式譲渡時の課税と納付時期

所得税および復興特別所得税は、翌年の3月15日までに確定申告を実施し納税します。一方、住民税は、申告年の4月〜5月頃に自治体から納付書が届き次第支払う仕組みです。

所得税および復興特別所得税の支払いで安心して残金をすべて使用すると、住民税の支払いが行えないおそれがあるため注意しましょう。

株式譲渡の課税に関する譲受側の注意点

株式譲渡では譲渡所得に対して税金が発生するため、譲渡側のみ課税を受けるのが基本です。つまり、一般的に譲受側は課税を受けないものの、親族への株式譲渡では相続税が徴収されるケースがあるため注意してください。

相続税に該当するとみなされる場合、譲受側も取得額に対して10%から55%の税金が徴収されます。また、株式を時価における半分未満の金額(無償を含む)で譲渡するケースでは、譲受側も時価との差額に対して贈与税が徴収される点も把握しておきましょう。

不安がある場合は、税金の発生有無を税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

株式譲渡時の課税額を抑える対策

株式譲渡時の課税額を抑える対策

株式譲渡によって売却益を得ても、多額の税金が課されます。しかし、節税対策の実施により、ある程度のお金を手元に残せる可能性があるのです。売り手側の節税対策として最も有効な方法は、退職金制度の利用です。退職金の利用次第では、支払う税金の額を減らせます。

具体的にいうと、経営者である株主個人が株式譲渡により会社経営からリタイアする際、受け取る退職金の額を調整すれば手元に残る額を増やせる可能性があるのです。

このように、株式譲渡を行う際は節税対策を考慮する必要もあるため、専門家からサポートを受けつつ進めると良いでしょう。専門家選びにお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所にお任せください。

M&A総合研究所は、中小・中堅規模のM&A成約実績を豊富に持つ仲介会社です。ご相談からクロージングまで、知識・経験の豊富なM&Aアドバイザーが、案件をフルサポートいたします。

料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります。)無料相談をお受けしておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所

譲渡損の申告でも節税できる

上場株式の売却によって損失が生じると、分離課税で確定申告すれば節税が可能です。

〇証券の特定口座で生じた譲渡損があるとします。それを、△証券における特定口座の配当益・譲渡益と一緒に申告すれば、損失と利益を相殺して所得額を下げられるのです。

損失が残った場合は、翌年から3年間は引き続き確定申告をすると損失を繰り越せます。

株式譲渡の税金に関する特例制度

株式譲渡の税金に関する特例制度

株式譲渡の税金に関する特例制度「事業承継税制」を紹介します。これは、後継者が中小企業の非上場株式を相続や贈与で引き継いだ際、本来支払うべき多額の相続税や贈与税の納税を猶予する制度です。2018年度の税制改正で、事業承継問題に対応するために創設されました。

非上場株式を相続または贈与する際、これと同時にその会社における事業を引き継ぐ場合は、該当する非上場株式すべてに対して課税される相続税または贈与税が100%猶予される特例制度です。親族だけでなく第三者への承継を行うケースでも適用されます。

猶予された課税額は、制度の利用途中で取り消しにならない限り、後継者の相続または贈与が発生するタイミングで免除されます。

ただし、事務手続きが非常に複雑で、取り消されるリスクが伴うので、安心して制度の利用に臨むためにも税理士などの専門家にサポートを依頼すると良いでしょう。

株式などの譲渡に関する特例で、主なものは下記になります。

  • 特定口座制度
  • 上場株式などにかかる譲渡損失と上場株式などにかかる配当所得などとの損益通算
  • 上場株式などにかかる譲渡損失の繰越控除
  • 特定管理株式などが価値を失った場合の株式などにかかる譲渡所得などの課税の特例
  • 非課税口座内の少額上場株式などにかかる配当所得および譲渡所得などの非課税措置(NISA)
  • 未成年者口座内の少額上場株式などにかかる配当所得および譲渡所得などの非課税措置(ジュニアNISA)

相続した株式ならば取得費加算の特例が利用可能

相続した株式を譲渡する場合は、取得費加算の特例が利用できます。譲渡した株式の相続税額を取得費にプラスできる制度です。取得費が増加すれば、譲渡所得は減少するので、課税額を抑えられます。この特例は、上場株式と非上場株式で活用可能です。

ただし、相続税申告期限の翌日から3年以内に株式の譲渡が必要で、確定申告もしなければなりません。
 

株式譲渡時の税金まとめ

株式譲渡時の税金まとめ

本記事では、株式譲渡の税金に関する最低限の知識を重点的に紹介しました。株式譲渡は中小企業のM&Aで最も活用されている手法ですが、税金に関する知識をしっかりと身につけたうえで実施しなければ、将来的に思わぬ事態を招くリスクがあるでしょう。

税金の知識を持たずに独断で節税を実施すると、脱税や租税回避などとみなされる危険性もあるため、専門家からサポートを受けることをおすすめします。

M&A・事業承継のご相談なら24時間対応のM&A総合研究所

M&A・事業承継のご相談は成約するまで無料の「譲渡企業様完全成功報酬制」のM&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴をご紹介します。

M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴

  1. 譲渡企業様完全成功報酬制
  2. 経験豊富なM&Aアドバイザーがフルサポート
  3. 最短3ヶ月という圧倒的なスピード成約
  4. 独自のAIシステムによる高いマッチング精度
>>M&A総合研究所の強みの詳細はこちら

M&A総合研究所は、M&Aに関する知識・経験が豊富なM&Aアドバイザーによって、相談から成約に至るまで丁寧なサポートを提供しています。
また、独自のAIマッチングシステムおよび企業データベースを保有しており、オンライン上でのマッチングを活用しながら、圧倒的スピード感のあるM&Aを実現しています。
相談も無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。

>>【※国内最安値水準】M&A仲介サービスはこちら

【※メルマガ限定】プレミアムM&A案件情報、お役立ち情報をお届けします。

あなたにおすすめの記事

M&Aとは?手法ごとの特徴、目的・メリット、手続きの方法・流れも解説【図解】

M&Aとは?手法ごとの特徴、目的・メリット、手続きの方法・流れも解説【図解】

M&Aの特徴は手法ごとに異なります。昨今の日本では、M&Aが経営戦略として人気を集めており、実施件数が増加中です。経営課題の解決を図るべく、M&Aの前向きな検討をおすすめ...

買収とは?用語の意味やメリット・デメリット、M&A手法、買収防衛策も解説

買収とは?用語の意味やメリット・デメリット、M&A手法、買収防衛策も解説

買収には、友好的買収と敵対的買収とがあります。また、買収に用いられるM&Aスキーム(手法)は実にさまざまです。本記事では、買収の意味や行われる目的、メリット・デメリット、買収のプロセスや...

現在価値とは?計算方法や割引率、キャッシュフローとの関係をわかりやすく解説

現在価値とは?計算方法や割引率、キャッシュフローとの関係をわかりやすく解説

M&Aや投資の意思決定をするうえで、現在価値の理解は欠かせません。現在価値とは今後得られる利益の現時点での価値を表す指標であり、将来の利益を期待して行う取引・契約・投資で重要な概念です。...

関連する記事

【2021年最新】webメディア売却の事例25選!動向や相場も解説

【2021年最新】webメディア売却の事例25選!動向や相場も解説

webメディアの売却・買収は、売買専門サイトの増加などの背景もあり年々活発化してきています。本記事では、webメディア売却の最新事例を25選紹介するとともに、売却・買収動向やメリット・デメリット...

株式譲渡と事業譲渡の違いは?税金、手続き、メリットについて解説【図解】

株式譲渡と事業譲渡の違いは?税金、手続き、メリットについて解説【図解】

M&Aの主な手法は株式譲渡と事業譲渡ですが、両者は手続き・税金・メリット・デメリットなどあらゆる点で違います。本記事では、株式譲渡と事業譲渡の違いについて図解も交えながら解説しています。...

会社売却をすると税金はいくらかかる?計算方法を解説!

会社売却をすると税金はいくらかかる?計算方法を解説!

会社売却にかかる税金は、株式譲渡・事業譲渡といったスキームによっても違い、株式譲渡の場合は株主が個人か法人かによっても違ってきます。本記事では、会社売却にかかる税金について計算方法を解説するとと...

人気の記事
最新の記事

【※メルマガ限定】プレミアムM&A案件情報、お役立ち情報をお届けします。

ご相談はこちら
(秘密厳守)