2021年6月22日更新会社・事業を売る

株式譲渡にかかる税金とは?種類、課税額の計算方法を徹底解説

株式譲渡によって売り手側に譲渡益が生じた場合、譲渡所得税と呼ばれる税金が課される決まりです。株式譲渡の節税対策として、退職金の活用により手元に残る額を増やせる場合もあるため専門家に相談しましょう。本記事では、株式譲渡にかかる税金について幅広く紹介します。

目次
  1. 株式譲渡にかかる税金とは
  2. 株式譲渡にかかる譲渡所得税の計算方法
  3. 株式譲渡にかかる税金と確定申告の必要性
  4. 株式譲渡にかかる税金の納付時期
  5. 株式譲渡の税金に関する譲受側の注意点
  6. 株式譲渡にかかる税金を抑える対策
  7. 株式譲渡の税金に関する特例制度
  8. 株式譲渡にかかる税金まとめ
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株式譲渡にかかる税金とは

株式譲渡にかかる税金とは

株式譲渡は中小企業のM&Aシーンで広く活用されている手法であり、譲受側が譲渡側の株式を買い取って、譲渡側の経営権を取得する取引をさします。株式譲渡を行うと譲渡側では譲渡所得を得られるため、アーリーリタイアや別事業への投資などを目的に株式譲渡を検討する経営者も多いです。

とはいえ、特に上記の目的で株式譲渡を行う場合、課される税金の知識を身に着けておかなければなりません。そこで本章では、まず株式譲渡を行った者に対して課せられる税金の概要を紹介します。

株式譲渡と譲渡所得税

株主が株式譲渡によって譲渡益を手に入れた場合、これに対して譲渡所得税と呼ばれる税金が課される決まりです。譲渡益とは、株式の譲渡価額から「株式の取得価額・取得にかかった費用」と「株式譲渡にかかった費用」を差し引いて算出される利益をさします。

譲渡所得税は、所得税(法人が実施した場合は法人税)・住民税・復興特別所得税などにより構成される税金です。ここからは、それぞれの税金の概要を順番に取り上げます。

①所得税・法人税

所得は10種類に分かれ、それぞれの所得で税金の計算方法が異なります。株式譲渡で得た所得は譲渡所得税とみなされ、国税として15%の所得税が課される決まりです。これに対して、法人が株主である場合の株式譲渡では、法人税が課税されます。法人の株主には、30%〜40%程度の法人税が課される決まりです。

②住民税

株式譲渡では、所得税だけでなく地方税にあたる住民税も課されます。株式譲渡における地方税は分離課税であり、5%の課税を受ける仕組みです。そのため、所得税と加えると20%の税金が課されます。なお、法人が株主である場合には、法人住民税 (法人税額の約20%)が課される決まりです。

③復興特別所得税

2013(平成25)年〜2037(令和19)年の期間は、東日本大震災の復興財源に充てる目的のもとで、所得税(法人税)と住民税に上乗せする形で復興特別所得税も徴収されます。

個人の株主を例に挙げると、復興特別所得税は所得税(15%)に対して2.1%の復興特別所得税が課されるため、実質税率0.315%が譲渡所得税に加算される仕組みです。ここに5%の住民税を加えると、合計20.315%が譲渡所得税として徴収されます。

総合課税と分離課税の違い

所得税は、種類によって総合課税と分離課税に大まかに分けられます。総合課税とは対象となるすべての所得を加算した金額に対して課税を行う方法のことであり、事業所得・給与所得・配当所得・不動産所得などが代表例です。

これに対して、分離課税とは、他の所得と合計せずに独自の税率をかけて税金を計算する方法のことであり、退職所得・山林所得・譲渡所得(土地建物・株券)・利子所得などが該当します。株式譲渡は株式の売買であるため、総合課税ではなく分離課税です。

【関連】M&Aで生じる税金は?税務について徹底解説!

株式譲渡にかかる譲渡所得税の計算方法

株式譲渡にかかる譲渡所得税の計算方法

続いて、株式譲渡にかかる譲渡所得税の計算方法を詳しく取り上げます。まずは以下の計算式を活用して、株式譲渡における譲渡所得の金額を求めましょう。

  • 譲渡所得=総収入金額(譲渡価額)-必要経費(取得費+M&A仲介手数料など)

上記のうち、総収入金額とは、実際に株式の譲渡対価として手に入れた金額のことです。株式譲渡の当事者双方が協議したうえで決定されます。次に、必要経費とは、譲渡を行う株式を取得した際に発生していた「取得費」およびM&A仲介会社などに支払う「委託手数料」などの総称です。

株式譲渡にかかる税金は、譲渡所得の金額をもとに求めます。つまり、譲渡所得にかかる税金は譲渡所得に対して20.315%課されるため、以下の計算式で求めることが可能です。

  • 譲渡所得税=譲渡所得✕20.315%

ここからは、具体的なケースに当てはめて譲渡所得税を算出します。経営者のAさんが自身の経営する会社の株式すべてを10億円で売却(資本金は1億円・株式譲渡に要した費用は総額で500万円)したケースを想定すると、以下の計算式で譲渡所得税が算出可能です。

  • 譲渡所得=10億ー(1億円+500万円)=8億9,500万円
  • 譲渡所得税=8億9,500万円✕0.20315=1億8,181万9,250円

上記の計算式のとおり、Aさんに課される譲渡所得税は1億8,181万9,250円です。

【関連】M&Aにおける仲介手数料とは?相場やランキング、仲介手数料の種類を解説

株式譲渡にかかる税金と確定申告の必要性

株式譲渡にかかる税金と確定申告の必要性

給与を1カ所のみから受けており、給与の年間収入金額が2,000万円以下の給与所得者であれば、確定申告は不要です。とはいえ、このケースであっても、給与以外の所得が20万円を超えた場合には確定申告が求められます。

しかし、株式譲渡時の所得が20万円を超えないケースはほとんど存在せず、大半の株式譲渡では申告の義務が生じると捉えておきましょう。なお、譲渡所得は申告分離課税の制度が適用されるため、その他の所得との損益通算が行えない点も要注意です。

【関連】株式譲渡後の確定申告方法とは?添付書類と書き方、税金の計算を解説

株式譲渡にかかる税金の納付時期

株式譲渡にかかる税金の納付時期

所得税および復興特別所得税は、翌年の3月15日までに確定申告を実施し納税します。その一方で、住民税は、申告年の4月〜5月頃に自治体から納付書が届き次第支払う仕組みです。

つまり、所得税および復興特別所得税の支払いで安心して残金をすべて使用してしまうと、住民税の支払いが行えないおそれがあるため注意しましょう。

【関連】法人税の確定申告とは?提出書類や期限、確定申告の流れ

株式譲渡の税金に関する譲受側の注意点

株式譲渡の税金に関する譲受側の注意点

ここでは、株式譲渡の税金に関する譲受側の注意点を取り上げます。そもそも株式譲渡では譲渡所得に対して税金が発生するため、譲渡側のみが課税を受けるのが基本的です。つまり、一般的に譲受側は課税を受けないものの、親族への株式譲渡では相続税が徴収されるケースがあるため注意してください。

もしも相続税に該当するとみなされる場合、譲受側も取得額に対して10%から55%の税金が徴収されます。そのほか、株式を時価の半分未満の金額(無償を含む)で譲渡するケースでは、譲受側にも時価との差額に対して贈与税が徴収される点も把握しておきましょう。

不安がある場合、税金の発生有無を税理士などの専門家に相談しておくことをおすすめします。

【関連】事業譲渡で発生する税金は?税務について徹底解説!

株式譲渡にかかる税金を抑える対策

株式譲渡にかかる税金を抑える対策

株式譲渡によって売却益を得たとしても、多額の税金が課されます。しかし、節税対策の実施により、ある程度のお金を手元に残しておける可能性があるのです。売り手側の節税対策として最も有効な方法は、退職金制度の利用です。退職金の利用次第では、支払う税金の額を減らせます。

具体的にいうと、経営者である株主個人が株式譲渡により会社経営からリタイアする際、受け取る退職金の額を調整しておくと手元に残る額を増やせる可能性があります。

このように、株式譲渡を行う際は節税対策を考慮する必要もあるため、専門家からサポートを受けつつ進めると良いでしょう。もしも専門家選びでお悩みでしたら、M&A総合研究所にお任せください。

M&A総合研究所は、中小・中堅規模のM&A成約実績を豊富に持つ仲介会社です。ご相談からクロージングまで、知識・経験豊富なアドバイザーが一貫サポートしております。また、料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。

無料相談をお受けしておりますので、株式譲渡の税金に関して不明点があれば、お気軽にお問い合わせください。

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株式譲渡の税金に関する特例制度

株式譲渡の税金に関する特例制度

最後に、株式譲渡の税金に関する特例制度「事業承継税制」を紹介します。これは、後継者が中小企業の非上場株式を相続や贈与で引き継いだ際、本来支払うべき多額の相続税や贈与税の納税を猶予してくれる制度のことです。2018(平成30)年度の税制改正にて、事業承継問題に対応する目的で創設されました。

具体的にいうと、非上場株式を相続または贈与する際、これと同時にその会社の事業を引き継ぐならば、該当する非上場株式すべてに対して課税される相続税または贈与税が100%猶予される旨の特例制度です。なお、親族だけでなく第三者への承継を行うケースでも適用されます。

この猶予された課税額は、制度の利用途中で取り消しにならない限り、後継者の相続または贈与が発生するタイミングで免除されます。ただし、事務手続きが非常に複雑であるうえに、取り消されるリスクが伴うことから、安心して制度の利用に臨むためにも税理士などの専門家にサポートを求めると良いでしょう。

【関連】事業承継特例のメリットやデメリット、利用の条件を解説【事例あり】

株式譲渡にかかる税金まとめ

株式譲渡にかかる税金まとめ

株式譲渡は中小企業のM&Aで最も活用されている手法ですが、税金に関する知識をしっかりと身につけたうえで実施しないと将来的に思わぬ事態を招いてしまうリスクがあります。本記事では、株式譲渡の税金に関する最低限の知識を重点的に紹介しました。

税金の知識を持たずに独断で節税を実施すると、脱税や租税回避などとみなされてしまう危険性があるため、専門家からサポートを受けることをおすすめします。要点をまとめると、以下のとおりです。

・株式譲渡にかかる税金とは
→譲渡所得税(所得税(法人が実施した場合は法人税)・住民税・復興特別所得税などにより構成)

・株式譲渡にかかる譲渡所得税の計算方法
→譲渡所得税=譲渡所得(総収入金額ー必要経費)✕20.315%

・株式譲渡にかかる税金と確定申告の必要性
→給与以外の所得が20万円を超えた場合には確定申告が求められる

・株式譲渡にかかる税金の納付時期
→所得税および復興特別所得税(翌年の3月15日までに確定申告を実施し納税)、住民税(申告年の4月〜5月頃に自治体から納付書が届き次第支払う)

・株式譲渡の税金に関する譲受側の注意点
→親族への株式譲渡では相続税が徴収されるケースがある、株式を時価の半分未満の金額(無償を含む)で譲渡するケースでは譲受側にも時価との差額に対して贈与税が徴収される

・株式譲渡にかかる税金を抑える対策
→退職金制度の利用が代表的

・株式譲渡の税金に関する特例制度
→事業承継税制(本来支払うべき多額の相続税や贈与税の納税を猶予してくれる)

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