2020年11月10日更新事業承継

親族内承継

親族内承継とは、経営者の子供をはじめとする親族に会社の事業を引き継ぐことです。親族内承継には周囲から受け入れられやすく後継者の教育期間を確保できるなどのメリットがあるものの、重大なデメリットも存在するため余裕を持って準備したうえで実施することが大切です。

目次
  1. 親族内承継
  2. 親族内承継とは
  3. 親族内承継のメリット
  4. 親族内承継のデメリット
  5. 親族内承継の方法
  6. 親族内承継を円滑に済ませるポイント
  7. まとめ
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親族内承継

親族内承継

会社を経営する代表者は、会社経営を辞めるか誰かに事業を引き継ぐか、最終的にはいずれかの選択肢を取らなければなりません。野村総合研究所が中小企業庁の委託を受けて実施したアンケート調査(2012年)によると、中規模企業の経営者における平均的な引退年齢は67.7歳と報告されています。

その一方で30年以上前の平均的な引退年齢は61.3歳であったことから、高齢化に伴って経営者の引退年齢が上がってきていることがわかります。そして、2020年代は現在の経営者たちが一斉に引退する時代であり、現在は自社の今後を考える時期です。

とはいえ、廃業には莫大な費用がかかるため、多くの経営者が会社を引き継ぎたいと考えています。しかし事業承継の最適な方法は、会社ごとに異なっているのです。そこで今回は、中小企業で多く採用される事業承継方法である親族内承継について解説します。

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親族内承継とは

親族内承継とは

親族内承継とは、その名のとおり経営者の子供をはじめとする親族に会社の事業を引き継ぐ行為をさします。「跡取り」と聞くとイメージしやすい方が多い親族内承継ですが、中小企業で最も多く採用されている事業承継方法です。

親族内承継の割合と現状

前述のとおり中小企業で最も採用されているものの、親族内承継の採用割合は年々減少傾向にあります。およそ20年以上前までは、当然のように経営者の子供が跡取りとして修行を積んで事業承継を済ませていました。

これによりかつての親族内承継の割合は9割を超えており、なかでも経営者の子供に承継していた割合は8割程度にまで及んでいました。ところが現在では親族内承継を実施する会社は6割程度まで低下しており、その背景には職業選択の自由化や少子高齢化などが深く影響しています。

いうなれば現在の経営者は、子供に自由に生きて欲しいと思う一方で会社を存続させたいというジレンマを抱えているのです。

従業員や第三者への事業承継が増加傾向にある

これまで紹介したように親族内承継の採用割合は低下しているものの、その一方で従業員や第三者に事業承継するケースが増加傾向にあります。これは後継者に相応しい親族が不在であったり、子供に好きな職業に就いてほしいと考える経営者が増加しているためです。

しかし上記の手法のなかでも従業員への親族外承継については、基本的に自社株を従業員に買い取ってもらうことになるため、資金不足が大きな問題となりやすいです。たとえ経営者が承継を望んでいても、従業員に拒まれてしまうおそれもあります。

そこで、従業員承継における問題に直面したときには、M&Aによる第三者への事業承継が非常に有効的です。当然ですが、M&Aの買収資金を準備するのは買い手である第三者であるため、自社における金銭的負担を軽減できます。

さらにM&Aによる事業承継では会社そのものを売却するため、経営者は売却利益を獲得することも可能です。以上のことから、事業承継を検討したらM&Aによる第三者への承継も検討することをおすすめします。M&Aの手続きは、煩雑かつ専門的に高度な知識が求められるため、注意が必要です。

従って、M&Aによる事業承継の実施を検討したら、専門家に協力を求めると良いです。もしもM&Aの実施についてお悩みでしたら、M&A総合研究所にお任せください。M&A総合研究所には専門的な知識や経験が豊富な専門家が在籍しており、培ったノウハウを活かしM&Aによる事業承継を手厚くサポートいたします。

なお、M&A総合研究所では完全成功報酬制を採用しているほか、相談料は無料となっておりますので、自社にとって最適な事業承継の手法について不安を感じている場合にはお気軽にご相談ください。

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親族内承継のメリット

親族内承継のメリット

ここまで概要を紹介しましたが、親族内承継にはメリット・デメリットの双方が存在するため実施の前に把握しておく必要があります。親族内承継のメリットは、以下のとおりです。

  1. 周囲から受け入れられやすい
  2. 教育期間を十分に確保しやすい
  3. 資産の承継方法を選択できる
それぞれのメリットを順番に確認していきます。

①周囲から受け入れられやすい

いかなる承継方法を採用したとしても、経営の跡継ぎが決定したときには金融機関・取引先・会社内の従業員などに挨拶や紹介をします。このときに親族内承継を実施して、現在の経営者の親族を後継者として紹介すると、周囲から心情的に受け入れられやすくなるのです。

さらに現在の経営者に対して周囲から厚い信頼が寄せられている場合には「◯◯さんの子供さんなら安心だ」と捉えられて、金融機関や取引先がこれまでどおり取引を継続してもらえる可能性が高まります。

②教育期間を十分に確保しやすい

親族内承継を実施すると、後継者の教育期間を長く確保できます。そもそも経営者の子供である後継者に経営を任せられるようになるには、最低でも10年程度の教育期間が必要です。そのため経営者によっては、子供が生まれた時点で後継者としての育成を開始するケースも存在するほどです。

つまり後継者が早く決まると準備期間に時間を費やせるため、同一業界の他社で経営を積ませるなど時間をかけた教育を実行することが可能です。

③資産の承継方法を選択できる

親族内承継を実施すると、財産や会社の株式などの資産は後継者に引き継ぐのが基本的です。そこで資産を引き継ぐ方法としては、後述するように相続・贈与・売買という3つの選択肢が存在します。これにより現在の経営者や後継者の資産状況などさまざまな状況を踏まえながら、最適な承継方法を検討することが可能です。

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親族内承継のデメリット

親族内承継のデメリット

親族内承継のデメリットは、以下のとおりです。

  1. 経営の質に問題が生じやすい
  2. 後継者同士の争いに発展しやすい
  3. 経営方針に制限がかかりやすい
それぞれのデメリットを順番に確認していきます。

①経営の質に問題が生じやすい

当然ですが親族内承継では、親族という限られた選択肢から後継者を選出しなければなりません。そのため、後継者として適任の人物が親族内に必ずしも存在するとは限らず、ときには妥協が必要となるケースがあります。

前述のとおり後継者には勉強や経験を積むための努力が必要ですが、潜在的な能力も同じように必要不可欠です。たとえ適任となる後継者がいたとしても、その後継者が「事業を引き継ぎたくない」と考えているケースでは、事業承継が困難となります。

以上のことから、適任となる人物に事業承継できないと経営の質が低下するおそれがあるため、注意が必要です。

②後継者同士の争いに発展しやすい

上記で想定したケースとは反対に、親族内に後継者として適任な人物が複数人存在するケースでは、経営権を巡って争いに発展するおそれがあります。これは親族内承継だけでなく、優秀な従業員などに対する親族外承継を選択するときも同様のリスクが存在します。

ここで争いに発展してしまうと、後継者を円滑に決定するのは非常に困難です。たとえ後継者を決定できたとしても、争いに敗れて後継者になれなかった人への配慮を心がける必要があります。

③経営方針に制限がかかりやすい

後継者は、これまで親族が経営していた会社をそのまま承継して経営を継続することになります。ところが、必ずしも今までの経営方針を継続することが適切であるとは限りません。つまり時代の流れに伴って経営方針を柔軟に変更させていくのも、後継者の重要な仕事といえます。

とはいえ、これまで務めてきた会社の経営方針変更に対して、従業員が賛成しないおそれがあります。その結果として、後継者が新しい経営を実施したいと考えても、うまくいかない可能性があるのです。

親族内承継にリスクを感じたらM&Aによる事業承継が有効策

これまでにさまざまなデメリットを紹介してきましたが、親族内承継において特に注意すべきなのは適任の人物に事業承継できないおそれがある点です。仮に後継者として不適切な人物に事業承継してしまうと、承継後の業績が急激に落ち込んだり、深刻な経営不振に陥る可能性があります。

とはいえ、後継者候補が存在するにもかかわらず従業員への承継を検討すると、後継者同士の争いに発展しかねません。こうした状況で有効策となり得るのは、M&Aを活用して第三者に対して事業を承継する手段です。

M&Aを活用すれば、適任の後継者が不在という問題を解決することができます。相手探しや交渉などのプロセスで承継相手を十分に吟味できるので、引き継ぎ後も末永く事業を継続してもらえる可能性が高まるのです。

ところが上記のような相手探しや交渉などのプロセスでは、M&Aに関する専門的な知識が求められます。それに加えて自社の適切な売却価格を算出するときにも、会計に関する専門家の力を借りなければなりません。

以上のことからM&Aによる事業承継を検討したら、専門家に協力を求めることをおすすめします。もしも専門家探しでお悩みでしたら、M&A総合研究所にお任せください。M&A仲介会社であるM&A総合研究所には、M&A経験豊富な専門アドバイザーが多数在籍しております。

そのため、相手探し・売却価格の算出・交渉などM&Aによる事業承継の手続きを幅広くサポートいたします。なお、M&A総合研究所では完全成功報酬制を採用しているほか相談料は無料となっておりますので、M&Aによる事業承継を検討したらお気軽にご相談ください。

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親族内承継の方法

親族内承継の方法

親族内承継は、ただ単純に親族に事業承継したことを宣言するだけで済むものではありません。こうした宣言は後継者の心構えを形成するうえでは有効的ですが、資産面の引き継ぎという実務的なプロセスも実施する必要があります。

つまり、親族内承継では税務や法務に関するプロセスを済ませなければなりませんが、とりわけ自社に最適な株式移転方法の検討が大切です。そこで株式を移転させる方法は、大きく以下の3つに分けられます。

  1. 相続
  2. 贈与
  3. 売買

それぞれの方法を順番に確認していきます。

①相続

相続は、現在の経営者が亡くなった後に後継者に株式を引き継ぐ方法です。しかし、遺言など亡くなった経営者の意思を表明するものを準備しておかないと承継が成立しないため、注意が必要です。

従って、経営者が相続による事業承継を選択したときには、遺言状の作成に加えて会社や資産などの引き継ぎ方法をあらかじめ取り決めておかなければなりません。相続による事業承継では思わぬトラブルに発展するおそれがあるため、専門家に相談しながら十分な対策を講じると良いです。

②贈与

贈与は、主として経営者の生存中に後継者に株式を贈与する方法です。なお株式を後継者に贈与するとき、後継者側では贈与税を支払う必要がありますが、この贈与税が大きな負担になるケースが多いため注意が必要となります。

このときに親族内承継によって株式を贈与されると個人の資産として捉えられるため、年間110万円の基礎控除を超えた分については贈与税を支払う必要があります。さらに生前贈与を利用する場合には、後継者以外の遺産の相続人から最低限の資産(遺留分)を要求されるおそれもあるのです。

以上のことから場合によっては莫大な費用が必要となるため、あらかじめ専門家に相談すると良いです。

③売買

売買は、後継者が現在の経営者が保持している株式を買い取る方法です。贈与とは対照的に、対価の支払いによって経営権を引き継ぎます。つまり遺産として受け継ぐ手法ではないため、遺留分を請求される心配がありません。

ところが対価として現金を支払う必要があるため、必ずしも贈与よりも少額で済ませられるとは限らず、かえって高額な費用が必要となる可能性も十分にあるのです。そのため多くのケースでは、後継者が銀行からの借り入れなどを利用したうえで株式を購入します。

親族内承継を売買で実施するメリットに、贈与税や相続税が不要となる点が挙げられます。また前述のとおり遺留分もないため、親族内でトラブルに発展しにくい点もメリットです。とはいえ、対価となる資金準備に手間がかかるのも事実であり、親族内承継で売買が利用されるケースは比較的少ないです。

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親族内承継を円滑に済ませるポイント

親族内承継を円滑に済ませるポイント

ここまでさまざまな観点から紹介しましたが、親族内承継を漠然と実施していると深刻なトラブルに直面するおそれがあります。そこで、親族内承継においてトラブルが発生すれば、解決のために時間がかかったり、場合によっては事業承継に失敗してしまうこともあるため注意が必要です。

親族内承継を円滑に済ませるポイントは、以下のとおりです。

  1. 周囲から承認を得ておく
  2. 後継者教育を早期に開始する
  3. 遺言書を作成しておく
それぞれのポイントを順番に確認していきます。

①周囲から承認を得ておく

親族内承継を実施するときは、周囲から承認を得ておくと将来的に経営を円滑化しやすいです。このときに近い親族だけでなく親戚にも承認を得ておかないと、むしろ思わぬトラブルに発展しかねません。

なぜなら中小企業のなかには親族の大半が会社の株主となっているケースが多く、承認を得ておかないと将来的に経営を乱されるおそれがあるためです。以上のことから、後継者が引き継いだ後も経営しやすい環境を作ってあげることが大切です。

②後継者教育を早期に開始する

親族内承継において最も手間がかかるのが、後継者に対する教育です。前述のとおり後継者の教育には、最低でも10年程度の期間を要します。そのため仮に大学卒業後から育成を開始したとすると、相応しい後継者となる頃には30歳を超えていることになる計算です。

ここで問題となるのは、親族内承継を済ませるまでに現在の経営者が経営を継続できるかという観点です。従って、経営者が体調不良などで引退して後継者が不在となってしまう事態を念頭に置いたうえで、後継者の教育を早期に開始すると良いです。

③遺言書を作成しておく

前述のとおり相続によって親族内承継を実施するときには、遺言書を準備する必要があります。これは遺言書を準備しておかないと、経営者の資産が相続人に平等に分配されてしまうためです。

その結果として、後継者が少ない資金で経営する事態になってしまうばかりか、経営権が後継者に集中しないトラブルを引き起こしかねません。後継者が資金不足に陥ればもちろん会社が不安定になり、後継者に経営権が分散してしまうことで事業承継に失敗してしまうリスクも生じます。

従って、相続を活用するときは遺言書を必ず作成することが大切です。

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まとめ

まとめ

親族内承継では後継者の確保が大切ですが、親族内に最適な後継者が存在するとは限りません。従って、状況に応じて親族内承継以外の方法も検討しておくと良いです。もしも最適な後継者が存在する場合には、親族内承継対策としてなるべく早い時期から後継者教育を含めた準備を開始する必要があります。

なお、後継者が親族内承継で会社を引き継いだ後は、自身も事業承継を実施する日がいずれ訪れます。このときには、自分自身の経験も生かしながら親族内承継を円滑に実施できるように心がけることが大切です。

要点をまとめると、以下のとおりです。

・親族内承継とは
→親族内で会社を引き継ぐ行為

・親族内承継を実施する割合
→6割程度(年々減少している)

・親族内承継のメリット
→周囲から受け入られやすい、教育期間の十分に確保しやすい、資産の承継方法を選択できる

・親族内承継のデメリット
→経営の質にまつわる問題、後継者同士の争い、経営方針の制限

・親族内承継の方法
→相続、贈与、売買

・親族内承継を円滑に済ませるポイント
→周囲から承認を得る、後継者教育を早期に開始、遺言書の作成

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