2022年12月31日更新会社・事業を売る

非上場の株式譲渡とは?手続き、課税の仕組み、株価の算定を解説

非上場会社の株式譲渡は、後継者不足や将来への不安から増加傾向にあります。今回は、非上場会社の株式譲渡のメリット・デメリットや税金を詳しく解説します。注意点もしっかり理解し、非上場株式の株式譲渡を成功させましょう。

目次
  1. 非上場株式の譲渡
  2. 非上場企業が株式譲渡を用いるメリット
  3. 非上場企業が株式譲渡を用いるデメリット
  4. 非上場企業が株式譲渡を実施する際の手続き
  5. 非上場株式の株価算定方法
  6. 株式譲渡に課税される税金の仕組み
  7. 身内への非上場株式の譲渡で発生する税金
  8. 非上場会社の株式譲渡における注意点
  9. 非上場株式を時価より安く売却するなら
  10. 親族間での非上場株式の売買
  11. 非上場株式の譲渡にかかる税金の相談先
  12. 非上場の株式譲渡まとめ
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非上場株式の譲渡

まずは、非上場株式の譲渡に関して把握しておくべき基礎知識を大まかに2つのポイントに分けて解説します。

非上場株式とは

そもそも上場株式とは、証券取引所を通して売買できる公開されている株式のことです。取引が可能であることを公開しているので、公開株式と呼ぶこともあります。しかし、非上場会社の株式は公開されていません。つまり、非上場株式とは、証券取引所に上場しておらず、限られた人しか取引できない株式のことです。

公開されていない株式なので、誰もが株式の売買をできるわけではありません。多くの中小企業は上場せず、非上場株式を経営者や役員・親族などが保持しています。

株式譲渡とは

株式譲渡とは、自社が保有する株式を第三者に売却する形で、経営権を譲渡する手法です。この際、買収する側は経営権を受け取る対価として、現金を売り手側に支払います。株式会社では、持っている議決権(株式)の数によって、行使できる権限が変動します。

全株式の過半数の株式を所持すると、会社の重要事項を一人で決定できます。具体的には、取締役や監査役の選任、剰余金の配当、役員報酬等を決定できます。

さらに株式の所有率が3分の2を超えると、さらに権限が強くなります。社名や定款の変更、M&Aの実施、監査役の解任等を1人で決定できます。

上記のとおり、所有する株式数が多いほど権限が大きくなります。この仕組みを活用しているのが、株式譲渡と呼ばれる手法です。非上場企業が株式譲渡を用いる場合、全株式を売却するケースがほとんどです。それにより、非上場会社の経営者は、完全に経営に関する全権限を失います。

非上場株式の譲渡はできる?

「非上場であれば、株式を譲渡できないのでは?」と考える人もいるかもしれませんが、非上場株式の譲渡は可能です。相続や事業承継以外の目的でも譲渡できます。

非上場株式の株式譲渡が増えている背景

現在、非上場株式の株式譲渡の事例が増えています。その理由は、以下の2つが考えられます。

  1. 後継者不足
  2. 経営の先行き不安

後継者不足とは、少子高齢化によって事業承継をするための後継者が見つからない状態のことです。後継者がいなければ会社を廃業しなければなりません。そうなると、従業員や取引先を路頭に迷わせてしまいます。

経営の先行き不安とは、国内市場の競争激化によって、経営資源が少ない非上場の中小企業が生き残りにくくなっている問題をさします。どちらも、非上場企業の存続を困難にする深刻な課題です。非上場企業におけるこうした問題の解決策として、株式譲渡が近年注目されています。

非上場企業が株式譲渡を用いるメリット

非上場企業のM&Aでは、株式譲渡が用いられるケースが非常に多いです。なぜなら、株式譲渡は、非上場企業にとって使い勝手が良い手法だからです。株式譲渡には2つのメリットがあります。

  1. 手続きが簡単でスピーディー
  2. 創業者利潤の獲得

他のM&Aの手法と比べて、株式譲渡の手続きは簡単でスピーディーです。手続き自体は契約書の作成のみで完了します。株主総会の承認が不要なため、スピーディーに完了させられます。ただし、譲渡制限がかかっている場合は手続きの内容が異なるので注意しましょう。

創業者利潤を獲得することもメリットです。創業者利潤とは、創業時の株価から現在の株価は上昇しているケースが多く、その差額を創業者が獲得できることです。株式譲渡をすると経営者は多額の現金を得られるので、ハッピーリタイアを実現するのも夢ではありません。

非上場企業が株式譲渡を用いるデメリット

一方で、非上場株式の株式譲渡を実施する際はデメリットもあります。デメリットは以下の点です。

  • 会社の持つすべてを承継することになる

株式譲渡は株式名簿の書き換えを行うため、会社の持つ全てを継承することとなります。負債や不要な資産までを引き継いでもらえることはありがたいことです。しかし「この資産を残しておきたい」と思っても、株式譲渡では残せません。そのため、何か残しておきたい資産や権利、人材などがあるのであれば株式譲渡を選ぶべきではありません。

また、買い手にとっては、株式譲渡を行う際にはたとえ相手が訴訟や膨大な債務を抱えていたとしても承継しなければなりません。通常、株式譲渡を行う際はデューデリジェンスを行い、M&Aを行ううえで発生し得るリスクを洗い出します。

それでも財務諸表にない簿外債務などは見落とされることもあり、M&Aを行った後に発覚することもあり得ます。悪質なケースだと、売り手となる会社がM&Aの成約を優先して不都合な情報を隠すこともあります。

当然ながら、共有されていないリスクが発覚すればトラブルが発生します。最悪な場合、M&A契約が破棄され、訴訟や賠償請求をされることにもなりかねません。事前に正直にすべてを洗いざらい話しておくことで、トラブルを防ぐことが大切です。

非上場企業が株式譲渡を実施する際の手続き

続いて、非上場企業が株式譲渡を実施するときの手続きを詳しく解説します。非上場企業が株式譲渡を実施するときの手続きは、以下のように分けられます。

  • 株式譲渡承認の請求
  • 取締役会または株主総会での承認
  • 決定内容の通知
  • 譲渡契約の締結
  • 株主名簿書き換え

5つのステップに分けて順番に確認しましょう。

株式譲渡承認の請求

最初に、株式譲渡承認と呼ばれる手続きを実施します。具体的には、売り手側と買い手側が共同で株式譲渡承認請求書を作成し、当該非上場企業に対して提出します。その際、この書類には以下の事項を記載しなければなりません。

  • 譲渡する株式の種類と数量
  • 売り手と買い手それぞれの住所や氏名
  • 当該請求書はインターネットにテンプレートが出回っている為、気軽に作成可能です。

後々のトラブルに備えるためにも、税理士等の専門家から助力を得た上で作成することがおすすめです。非上場企業の中でも有限会社の株式には、例外なく譲渡制限がかかっています。そのため、この請求手続きは無条件で必要となるので注意しましょう。

取締役会または株主総会での承認

非上場株式の譲渡の承認請求を行ったら、次は企業側が所定機関で承認手続きを実施します。基本的には株主総会で手続きを実行します。一方、取締役会が設置されている非上場企業の場合には、取締役会で行う決まりです。ただし、定款の定めによって、取締役会設置会社でも株主総会で、当該手続きを実行可能です。

ここで株式譲渡が承認されると、実際に株式を第三者に売却可能です。しかし、非上場株式の譲渡を認めないケースもあります。その場合には、企業側は自身が株を買い取るか、指定の買取人に買収してもらうかを決定しなくてはいけません。

企業側が非上場株式を買い取る場合、株式を買い取る旨と買い取る株式の数について株主総会で決議する必要があります。一方で指定買取人に買い取ってもらうケースでは、取締役会もしくは株主総会で、買取人を決定します。

決定内容の通知

所定機関で決定した事項について株主側に通知します。譲渡承認請求があった日から2週間以内に通知しないと、非上場株式の譲渡を承認したとみなされます。認めていないのに決定したことになるので注意しましょう。

加えて、非上場株式の譲渡を承認しないケースでは、実行する手続きが異なります。この非上場株式を誰が買い取るかについて、請求を行った人物に通知しなくてはいけません。企業が非上場株式を買い取る場合は40日以内、買取人が買収する場合は10日以内に通知する必要があります。

譲渡契約の締結

一般的なM&Aの手続きを経て、両者が合意に至れば株式譲渡契約書の締結です。株式譲渡契約書には、以下の事項が記載されます。

  • 非上場株式の譲渡価格
  • 対価の支払い方法
  • 損害賠償に関する内容
  • 株式譲渡の目的・株主の氏名 

ただし契約によっては、さらに他の内容が付け加えられる場合もあります。

株主名簿書き換え

ほとんどの非上場企業では、株券を発行していません。株券を発行していない非上場企業は、株主を株主名簿で管理しています。

そのため、株式譲渡の契約が完了したら、株主名簿の書き換えを実施しなくてはいけません。以上で、非上場企業が株式譲渡を実施する際の手続きが完了します。

非上場株式の株価算定方法

一般的な非上場株式の価格の算定方法としては、3つの手法があります。

  • 類似業種比準方式
  • 純資産価額方式
  • 配当還元方式

それぞれ使用する場面や、メリット・デメリットが異なります。どのような違いがあるのか解説します。

類似業種比準方式

非上場会社の株式を、その会社と同じ業種の他会社と比較する方法です。原則として、大企業の非上場株式を評価する際に用いる手法です。主なメリットは、下記になります。

  • 上場会社を比較対象とした場合、市場の取引を反映できるので信頼性が高まる
  • 純資産価額方式と比べて、相続税の支払額を低く抑えられる

ただし、以下のデメリットの発生が問題となることもあります。

  • 非上場企業を比較対象にすると、信頼性が低いと見なされる
  • 適切な上場企業を比較対象とすることがポイントとなっています。

純資産価額方式

会社の純資産を基準にして、非上場の株価を算出する方法です。原則的には、非上場小会社の株式譲渡で用いられます。主なメリットは以下のとおりです。

  • 貸借対照表の数字をベースに算出するので、客観性に優れていて、信頼性が高い
  • 含み損益を考慮するため、現実的な財務状況を株価に反映可能

ただし、以下のデメリットの発生が問題となることもあります。

  • 将来に渡る収益獲得力が株価に考慮されない

非上場株式の評価方法は、大きく二つに分けられます。まず、簿価純資産法の計算式は以下のとおりです。

  • 株価=簿価純資産額÷株式の総数

純資産額に含み損益を含めた場合、評価時点の実質的な資産価値を反映できます。時価純資産法の計算式は以下のとおりです。

  • 株価=時価純資産額÷株式の総数

すべての資産を時価評価するのは困難なので、株式譲渡の交渉がもつれる可能性があります。

配当還元方式

一年間の配当金を一定利率で還元して、非上場の株価を算出する手法です。一般的には、同族株主以外が取得した非上場株式については、株式を発行した会社の規模に関係なく、この方法を用います。

この手法を活用した場合には、企業全体の価値を評価できないデメリットがあります。したがって、非上場企業の株式譲渡にはそれほど向いていない手法です。

【関連】M&Aの譲渡価格の相場はどれくらい?価格の決め方、高値で売却するコツも紹介【事例付き】| M&A・事業承継の理解を深める

株式譲渡に課税される税金の仕組み

申告分離課税と呼ばれる方式によって、株式譲渡に税金が課税されます。申告分離課税とは、給与所得や事業所得等とは区別したうえで、税額を計算する方式です。

そのため、通常の事業活動で稼いだ額とは関係なく税金が課税されます。株式譲渡を実行した際は、誰が株主かによって課税される税金の種類が異なります。

株主が個人のケース

一般的な非上場企業は、このケースに当てはまります。なぜなら殆どの非上場企業では、経営者が株式を保有しているからです。株主が個人の場合、譲渡所得に所得税(15.315%)と住民税(5%)が課税されます。

譲渡所得とは、株式譲渡によって獲得した金額から費用を引いた部分です。この際の費用は2種類あります。1つ目は取得費です。これは、株式を最初に取得した際の費用(資本金)をさします。ただし、取得費が判明しない非上場企業も少なくありません。その際には、売却価格の5%分を取得費にできます。

一方で、譲渡費用とは、株式譲渡の実行にかかった費用です。消費税やM&Aアドバイザリーへ支払った手数料などが該当します。以上を式にすると下記になります。

  • 譲渡所得=売却価格−(譲渡費用+取得費)
  • 税額=譲渡所得×20.315%(所得税、住民税)

これらの譲渡所得は、株式譲渡をした翌年の3月15日頃(年によって変わる)に確定申告を行います。所得税は確定申告と同時に支払いましょう。住民税は後日市町村役場から納付書が送られてくるので内容に沿って納税します。

非上場株式の売却時の源泉所得

非上場の株式を売却する際、源泉所得が発生します。この際、発生した源泉所得は自分で確定申告を行う必要があります。上場株式であれば特定口座が使えるため、確定申告をする手間が省けますが、非上場株式の場合は自分で確定申告をしなければならないので気を付けてください。

株主が法人のケース

株主が法人の場合、個人のケースとは違い課税される税金が異なるので注意です。株式譲渡によって得た譲渡益に対して、法人税などが課税されます。会社側に課される譲渡益は、前述した譲渡所得と同様に算出可能です。

ただし、売却価格の5%を取得費とする概算取得費の適用はできません。法人税率は、企業ごとに税率が異なります。以上を式にすると下記になります。

  • 譲渡益=売却価格−(譲渡費用+取得費)
  • 税額=譲渡益×法人税率

法人税は、会社の決算月によって申告および納税のタイミングが異なります。いつもの法人税の申告及び納税のタイミングにしたがいましょう。

M&Aをご検討の際は、ぜひ一度M&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所は、M&A・事業承継の仲介サポートを行うM&A仲介会社で、中堅・中小規模の仲介実績を豊富に有しています。M&A総合研究所では、豊富な知識と経験を持つM&AアドバイザーがM&Aをフルサポートいたします。

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【関連】株式譲渡時の税金とは?種類、取得価額・課税額の計算方法、特例制度を徹底解説| M&A・事業承継の理解を深める

身内への非上場株式の譲渡で発生する税金

身内へ非上場株式を株式譲渡するとき、以下のような税金が発生する可能性があります。

  1. 贈与税
  2. 相続税

経営者(株式所有者)が生きている間に身内へ株式譲渡をするときは贈与税が発生します。株式を無償で譲渡し、事業承継するときに発生します。

経営者(株式所有者)の死後に身内へ株式譲渡をするときは相続税が発生します。これらの税金も累進課税制度が適用されており、相続・贈与する額が大きいほど高額な納税です。

しかし、これらの税金は税負担の軽減措置があります。それぞれの軽減措置について解説します。

①贈与税の特例

贈与税は低くない税率で課税されるうえに、経営権の掌握に必要な株式の総額を考えると、贈与税の負担はかなり大きくなります。そのため、生前贈与を行う際には贈与税が非課税となる範囲である「年間110万円以下」の贈与を行っていくケースが多いです。

非課税の範囲で少しずつ贈与を行えば時間こそかかりますが、贈与税の負担を削減することが可能です。譲渡の相手が配偶者であれば、総額2,000万円分までが非課税となる配偶者控除も受けられます。配偶者控除は利用しやすい制度なので、忘れないようにしましょう。

②事業承継の贈与税・相続税の猶予

事業承継税制を活用することで、贈与税・相続税の納税猶予を得ることが可能です。事業承継税制は中小企業の事業承継をサポートするための税制であり、都道府県知事に認可されるなど諸条件を満たした中小企業であれば贈与税の100%の納税猶予を受けられます。

実質的に贈与税・相続税の支払が免除されるわけです。この制度は、承継相手が親族でなくても適用されます。しかし、相続税・贈与税を猶予し続けるには、事業を5年以上維持しなければならないなどいくつかの制約があるので注意しましょう。

非上場会社の株式譲渡における注意点

株式譲渡の際には、その売却したときに得る収益に対して、所得税をはじめとしたさまざまな税金が課されます。非上場株式を譲渡する場合には、特に注意すべきポイントがあります。

非上場株式を譲渡する際、「時価」や「誰に売却するのか(法人か個人か)」を考慮しなければなりません。時価で売却する場合や、多少時価よりも低い程度なら問題はありません。しかし、時価よりも著しく低い価格(時価の1/2以下)もしくは時価よりも高い価格による株式譲渡の場合には注意が必要です。

なぜなら、通常の株式譲渡の場合とは、課税される所得や税金の算出方法が異なるからです。ここからは、特に注意すべきパターンを説明します。ただし、高度に専門的な分野なので、実際に株式譲渡を実施する際には、専門家からの意見を参照してください。

時価の1/2以下の価格による非上場株式の譲渡

個人に対する株式譲渡では通常のパターン通りに算出しますが、法人に対する株式譲渡では時価によって譲渡したとみなされます。

  • 非上場株式の時価:10,000円
  • 非上場株式の取得価格:3,000円
  • 2,000円で非上場株式を譲渡(会社の売却代金)

譲渡価格が2,000円と、時価の1/2以下の価格なので、この場合には時価によって譲渡したと考えます。したがって、下記の価格をもとに所得税等が課税されます。

  • 譲渡所得=10,000円-3,000円=7,000円

時価より高い価格での非上場株式の譲渡

個人に対する株式譲渡では、譲渡価格が時価を上回る部分に贈与税が課税されます。時価から取得価格を差し引いた部分に、所得税が課税されます。

  • 非上場株式の時価:10,000円
  • 非上場株式の取得価格:3,000円
  • 13,000円で非上場株式を譲渡(会社の売却代金)

譲渡価格が13,000円と、時価よりも高い価格です。この場合には、この3,000円が贈与税です。

  • 譲渡価格13,000円−時価10,000円=3,000円

一方で、この7,000円が譲渡所得となり、所得税が課されます。

  • 時価10,000円−取得価格3,000円=7,000円

法人に対する株式譲渡でも、基本的には個人の場合と同じです。しかし、法人に売却する際には、譲渡価格が時価を上回る部分に、贈与税ではなく給与所得や課税所得が課税されます。

非上場株式を時価より安く売却するなら

非上場株式は、株式譲渡の際に時価より安く価格を設定したうえで売却できます。しかし、この形で株式譲渡を行った場合は課税に気を付ける必要があります。時価より安く価格を設定して売却することは、その分所得を減らして税金を抑えられるイメージがあるかもしれません。

時価より安くすることはより利益を増すことにつながるため、かえって課税が増える可能性もあります。課税は非上場株式を売却・購入したのが個人か法人かによって変わるのでそれぞれ解説します。

売却:個人 購入:法人の場合

非上場株式を安く売却したのが個人であり、購入したのが法人の場合、売却した株式の価額が時価の2分の1未満になっていたのであれば、個人は時価で売却したときと同じ課税が発生します。購入した法人では、時価と購入したときの価額の差が利益として扱われ、その分が課税対象になります。

売却:個人 購入:個人の場合

個人間で株式を時価より安く売却した場合、基本的にその価額が時価として扱われるため、特別な課税は追加されることはありません。しかし、株式を時価よりも大幅に安い価額で売買した場合、贈与とみなされる可能性が高まります。そうなると贈与税が課税されるため、気を付けておきましょう。

親族間での非上場株式の売買

最後に、親族間での非上場株式の売買について解説します。事業承継のような場面では親族間で非上場株式の売買を行うことは珍しくありません。これは後継者に経営権を獲得できるだけの株式を譲渡することで、経営者から後継者に会社を承継することが目的です。

株式は資産でもあるため、事業承継の際には相続や贈与という形で後継者に承継されるケースも多いです。しかし、相続税や贈与税のことや株式が分散してしまうリスクを踏まえると、株式譲渡は後継者に株式を承継させられる手堅い方法だといえます。

親族と非上場株式の売買をするデメリット

株式譲渡は株式を売買することであるため、後継者には一定の資金力が求められます。ただし、「一定の資金力が必要」という条件を後継者に持たせることで、株式が他の親族に株式が行き渡らないようにする、ある種の制約として有効的に機能するものであるため必ずしもデメリットではありません。

非上場株式に多い譲渡制限株式の仕組みと組み合わせれば、後継者に株式を承継させることが可能です。ただ、経営権を獲得するだけの株式は過半数以上、中小企業であれば100%の株式の承継が必須です。それだけの株式を購入できる資金力を後継者が持っているとは限りません。そこで、以下で紹介する手段を使うことをおすすめします。

親族と非上場株式の売買をする手段

親族間で非上場株式の売買を行う際には、後継者を役員に昇格させて役員報酬を調整することで収入を増やしたり、株式の価額を時価より安く設定したりして株式譲渡を円滑化する手法が多く用いられます。

株式の価額を時価より安く設定することは贈与税が発生するおそれがあり、かえってコストが高くなってしまう可能性が高いです。しかし、相続や贈与など他の手法を組み合わせながら実行するとコストを抑えやすくなります。

親族間の非上場株式の売買は、親族の間柄であるために当事者同士の感情で実施してしまうこともあります。ただし、ルールを守らなければトラブルのもとになるため注意してください。

非上場株式の譲渡にかかる税金の相談先

ここまで、非上場株式の譲渡に関する税務を幅広い視点から解説しました。株式譲渡は当事者のみでも行えますが、一般的には税理士や弁護士などの専門家に相談することが多いです。実際、株式譲渡を当事者のみで完遂するのは非常に困難であり、基本的には税理士や弁護士などの専門家のサポートを受けることをおすすめします。

もしも、M&Aによる非上場株式の譲渡でお困りでしたら、M&A総合研究所までご相談ください。M&A総合研究所では、M&Aアドバイザーが株式譲渡だけでなく、クロージングまでサポートします。料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。

無料相談を行っていますので、ぜひM&A総合研究所にお問い合わせください。

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非上場の株式譲渡まとめ

非上場会社の株式譲渡は、後継者不足や将来への不安から増加傾向にあります。しかし、非上場会社の株式譲渡は上場企業とは手続きの内容が若干変わるため、違いを知らずにM&Aを行うと想定外の事態が生じる可能性があります。

非上場企業の株式譲渡については、通常のパターンとは別に把握しておかなければなりません。非上場株式の株価算定や譲渡所得の算出プロセスは非常に複雑で、非上場会社が株式譲渡を自力で実施するには多くの手間がかかります。

したがって、非上場会社の株式譲渡に携わった経験を豊富に持つ仲介業者に支援してもらうのがベストです。仲介業者などの専門家にアドバイスをもらいながら、非上場株式の株式譲渡を成功させましょう。

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