2023年11月23日更新会社・事業を売る

M&Aの意向表明書とは?記載内容や作成するときの注意点を解説

M&Aでは、買い手側は売り手側に意向表明書を提出します。意向表明書とは、M&Aの実施意向や条件を伝える書類です。本記事では、M&Aにおける意向表明書の目的、基本合意書の違いや記載内容、作成するときのポイントなどを詳しく解説します。

目次
  1. M&Aにおける意向表明書とは
  2. M&Aにおける意向表明書の記載内容
  3. 意向表明書を作成するときの注意点
  4. M&Aにおける意向表明書まとめ
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M&Aにおける意向表明書とは

意向表明書は提出が必ずしも求められないため、書類の性質を把握できていない経営者は少なくありません。しかし、意向表明書にはM&Aの円滑な実施を促すメリットが期待できるため、基本情報を押さえましょう。

意向表明書とは、買い手側が売り手側にM&A取引に関する意向を伝える書類です。実務上では、LOI(Letter of intent)とも呼びます。基本合意契約の締結直前に提出するのが一般的であり、ここで提出された意向表明書が基本合意契約締結に向けた交渉材料として活用されます。

売り手側から見て複数の買い手候補がいるときは、M&Aを実施する相手を選ぶ判断材料としても大いに活用されるでしょう。意向表明書は、M&Aを円滑に進めていくうえで非常に重要な書類です。

意向表明書と基本合意書の違い

意向表明書と同じく基本合意書も、作成が義務付けられてはいないものの非常に重要な書類です。M&Aの実施を検討する経営者のなかには、意向表明書と基本合意書の違いについて把握できていない人も少なくありません。意向表明書と基本合意書の間には、以下の相違点が見られます。

  • 作成する順番
  • 合意の有無

まず基本合意書は意向表明書に記載された内容をもとに作成されるのが一般的であるため、基本合意書よりも前に意向表明書が作成されます。意向表明書はあくまでも買い手側の意向を表明するものであるため、M&A当事者間での合意は取り付けません。

一方で基本合意書はM&Aにおける契約内容の合意を目的に作成されるので、この2つの書類は合意の有無でも区別できます。

意向表明書の作成・提出に不安があるなら専門家に協力を求める

M&A取引における意向表明書の作成・提出について不安を感じる場合は、専門家の協力を求めるとよいでしょう。

意向表明書の作成・提出にお困りの際は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所は、知識や経験の豊富なM&Aアドバイザーが、培ってきたノウハウを生かして案件をフルサポートいたします。

一般的にM&A取引は成約までに半年〜1年程度かかることが多いですが、M&A総合研究所ではスピーディーなサポートを実践しており、最短3カ月での成約実績も有しております。

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M&Aにおける意向表明書の記載内容

意向表明書には、希望の買収価格・M&A手法・実施スケジュールをはじめ、さまざまな内容が記載されます。ここからは、意向表明書に記載される代表的な内容を2つの章に分けて解説します。この章で紹介する意向表明書の記載内容は、以下のとおりです。

  1. 自社の概要
  2. 買収の目的
  3. 希望買収価格
  4. 買収資金の調達方法
  5. M&Aの手法
  6. M&Aの希望スケジュール
  7. 買収の付帯条件
それぞれの記載内容を順番に見ていきましょう。

①自社の概要

まず、買収を希望している自社の概要を記載します。ここでは社名・本店所在地・代表者の名前・手掛ける事業の概要などを記載しておくと良いです。

②買収の目的

次は、自社がM&Aを実施する目的です。例えば事業規模の拡大・事業の多角化・新規事業への参入・シナジー効果の獲得など、M&Aはいろいろな目的で実施されますが、もちろん買い手側によって目的は異なります。

ここでは、意向表明書の提出先である売り手側とM&Aを実施したい理由を、熱意を込めて伝えることが大切です。

③希望買収価格

意向表明書には希望する買収価格も記載するため、事前に検討しておく必要があります。意向表明書の提出段階で売り手側に希望するM&Aの取引価格を伝えておくことで、円滑なM&Aプロセスの進行につながるでしょう。希望価格を記載するときは、主として以下の方式が取られます。

  • ピンポイントで金額を記載する(例:10億円)
  • 金額に幅を持たせて記載する(例:5〜15億円)
  • 最大金額を記載する(例:最大20億円)

基本的に、希望価格の記載方式は自由です。ただし、買収価格は以降のM&Aプロセスの結果次第で変動するため、できるだけピンポイントで金額を指定することは避けると良いです。ピンポイントで金額を指定してしまうと、場合によっては売り手側との交渉が難航するおそれがあります。

なお希望する金額の書き方には、企業価値ベース・総株式価格ベースという2つの方法があります。ここでは特段の事情がない限り、双方を記載しましょう。買収価格の算定方法・買収価格の根拠についてもあわせて盛り込んでおくと良いです。

「なぜこの買収金額を提示したのか」という観点から金額を算出した方法・根拠を記載しておきます。最後にM&Aを進める過程のなかで、買収価格が変動する可能性がある旨も記載しておくと丁寧な印象を与えられるでしょう。

④買収資金の調達方法

どのようにしてM&Aで発生する費用を準備するのか、その方法も明らかにしておきます。ここでは、全額自己資金・資産売却・金融機関からの借り入れというように、なるべく具体的に記載すると良いです。

基本的には「全額自己資金または金融機関からの借り入れ」と記載するケースが多いものの、資金調達方法によってM&A実施の有無を検討する売り手も多いため記載するうえで意識しましょう。

⑤M&Aの手法

M&Aの手法も代表的な記載内容に含まれます。M&Aの手法には、株式譲渡事業譲渡・会社分割などさまざまです。会社のすべてを譲渡する売買では株式譲渡を活用してM&Aを実施するのが基本的ですが、一部分の事業のみを売買する場合には事業譲渡を活用するケースも多いです。

自社がM&Aを実施する目的に合わせて、活用する手法を検討する必要があります。数あるM&Aの手法のなかから、自社が活用すると決めたM&Aを相手に伝えておきます。ここで記載されたM&A手法によって、M&A実施の有無を検討する企業も少なくありません。

こうした理由から、意向表明書には活用するM&A手法を具体的に記載すると良いです。

⑥M&Aの希望スケジュール

M&Aの希望スケジュールでは、M&Aをどのような流れで進めていきたいか提案します。M&Aを進めていくうえで、「いつまでに何を実施するのか」を念入りに決めて伝えなければなりません。具体的には、デューデリジェンスの完了日・最終契約書締結日・クロージングの日などを伝えます。

とはいえこの段階では暫定的な予定となるので、だいたいの目算でかまいません。独自のM&A手続きを取る必要があるときは、その内容についても伝える必要があります。例えば、取締役会・株主総会の実施に関する事項です。

今後のM&A手続きを円滑に進めるためにも、意向表明書でなるべく丁寧に希望のスケジュールを伝えましょう。

⑦買収の付帯条件

買収の付帯条件とは、M&Aを実施するための前提条件です。つまり、「売り手側に異常がなければ、M&Aを実行したいです」という旨を伝えます。具体的には、以下の付帯条件を意向表明書に盛り込みましょう。

  • 事業運営に悪影響を与え得る簿外債務や偶発債務などが存在しないこと
  • 事業の継続に不可欠な資産・権利がM&Aの取引対象に含まれること
  • 財務状況や今後の見とおしに悪影響を及ぼし得る事象が予想されていないこと

これ以外も希望する場合には、買い手側が自由に条件を記載できます。ただし付帯条件については、事前に買い手側と売り手側が協議をして合意を取りつけている状況のもとで設定しましょう。自由に記載できるとはいえ買い手側が一方的に付帯条件を盛り込めば、M&A交渉が破談するおそれがあります。

付帯条件を満足できるほど機能させるには、ある程度の合意を取り付けることが求められます。事前に合意を取り付けるには、売り手側が提示する条件を早い段階で確認することが大切です。

⑧役員・従業員の処遇

M&A実施後の売り手側の従業員や役員の処遇について、意向表明書で伝えます。M&Aを成功させるうえで、人材の取り扱いはとても大切です。得に売り手が中小企業である場合、買収価格と同じように従業員の処遇が重視されるため、慎重に検討すると良いでしょう。

意向表明書には、決定事項を詳細かつ具体的に記載することが大切です。具体的な記載例は、以下になります。

  • 従業員については、全員の雇用・待遇ともに現状維持とする
  • 役員については、全員承継したうえで役員報酬は現状維持とする
  • 買い手側は対象会社に役員を数名派遣する

ほとんどのM&Aでは売り手側の経営陣に継続して事業運営を任せますが、その旨についても意向表明書に記載されるケースが多いです。

⑨デューデリジェンスの範囲

デューデリジェンスの範囲も、意向表明書に記載されることが多いです。M&Aでは、シナジー効果やリスク発見などを目的としてデューデリジェンス(買収監査)を実施します。デューデリジェンスとは、売り手側において財務・法務・税務・ビジネスといったさまざまな範囲を調査することです。

意向表明書には、デューデリジェンスの実施範囲を記載します。このとき詳細部分まで伝えて細かい要求を突きつけるわけではなく、あくまでも希望事項を伝えるのみです。例えば、「財務諸表を◯年分確認したい」「契約書をどの程度まで確認したい」といった内容になります。

意向表明書で事前に伝えておけば、売り手側がデューデリジェンスに向けた準備を進めやすくなります。M&Aを円滑に進行させるためにも、デューデリジェンスに関して丁寧に伝えると良いです。

⑩有効期間

意向表明書の効力がいつまで続くのかを記載しておくケースも珍しくありません。基本的には売り手側が提示するプロセスレターに記載された有効期間に合わせますが、買い手側で有効期間を修正することも可能です。売り手側としては、デューデリジェンスを1社ずつ実行させる必要があります。

2社目以降の買い手候補は、意向表明書の提出後しばらく期間を置かれてしまいます。こうした事情から、意向表明書に有効期間を設けているのです。有効期間を設定することで、2社目以降の企業もM&Aのプロセスを進められます。

⑪秘密保持

秘密保持についても、なるべく意向表明書に記載しておくと良いです。M&Aを実施するときは、お互いにいろいろな機密情報を提示します。ここで情報漏えいがあればM&Aの実施が白紙になるおそれもあり得るため、提示された情報は慎重に取り扱わなければなりません。

最悪のケースでは、今後の事業運営が困難になる可能性もあり得ます。したがってM&Aでは、秘密保持契約を締結するのが一般的です。秘密保持契約を締結すれば、M&Aプロセスで得た情報を漏えいさせない義務が生じます。

買い手側からすればまさしく意向表明書も機密情報の1つであるため、意向表明書の守秘義務について記載する必要があるのです。

⑫その他記載事項

このほかにもM&Aに対する記載事項があれば、意向表明書に盛り込みます。例えば、以下の内容です。

  • M&Aアドバイザーの起用有無の状況
  • プロセスレターの内容修正
  • 買い手側の連絡先

M&Aアドバイザーに関する事項については、売り手側から記載を要求される場合があります。要求されたときは、詳細部分まで記しましょう。買い手側のM&Aに関する連絡先も重要です。

M&A取引では基本的にM&Aアドバイザーが両者の間に入るものの、意向表明書の内容について売り手側が買い手側に直接質問したいケースもあります。スムーズに連絡を取ってもらうためにも、連絡先を記載すると良いでしょう。

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意向表明書を作成するときの注意点

この章では、意向表明書を作成するときの注意点を、買収側と売却側に分けて見ていきましょう。

作成する買収側の9つのポイント

まずは、作成する買収側のポイントについてです。

①法的拘束力を持たないことを認識しておく

基本的に意向表明書は法的拘束力を持たないため、記載事項に反した行為・事象が発生しても損害賠償などを請求できません。M&A取引において必須となる書類ではないため、場合によっては意向表明書を提出することなくM&Aが実施されることもあります。

意向表明書は、あくまでも買い手側が売り手側にM&A取引における希望条件などを示す書類です。M&A取引における希望条件は、その後の交渉やデューデリジェンスの結果次第で変わることもあり得ます。

交渉やデューデリジェンス前の段階で法的拘束力を持たせることは、非合理的です。意向表明書はあくまでも、提出時点での意向を相手に伝える書類と捉えましょう。

②提出は時間をかけて検討する

意向表明書を提出するときは、時間をかけて内容を検討すると良いです。当たり前ですが、意向表明書の提出期限は守る必要があります。ビジネスマナーとして期限の厳守は最低限守るべきものですが、焦って提出することは望ましくありません。

むしろ意向表明書の提出には、期限の許す限り時間をかけることをおすすめします。時間をかけることで、M&A条件について十分に検討できます。早めに提出してしまうと、後から良い条件が思い浮かんでも修正しにくいです。

また、前述のとおりM&Aにおける意向表明書は、絶対に外部へと漏らしてはならない情報です。早期に提出すると、意向表明書の内容が外部に漏れる可能性を高めてしまいかねないでしょう。売り手側は守秘義務を徹底するため基本的に情報漏えいはあり得ませんが、可能性がゼロではありません。

万が一漏えいしてしまうと、他社がさらに有利な条件でM&Aを持ちかけてくるケースもあります。結果として、M&Aの失敗につながってしまいかねません。念のため、意向表明書は期限の許す限り時間をかけて提出すると安心できる場合が多いです。

提出のタイミング

提出のタイミングは、売却側の経営者と買収側の経営者によるトップ面談後が少なくありません。ただし、相対形式で、多くの買収側がいるケースや入札形式の場合は、買収側候補の会社を絞るために、トップ面談前が提出するタイミングとなることもあるでしょう。

売却側が意向表明書を受け取って、内容をチェックし検討するので、売却側への返事は1、2週間くらいかかります。売却側にとっては重要な意思決定なので、検討する期間がある程度必要です。

買収価格は慎重に決める

意向表明書で売り手側に伝える買収価格は、慎重に決める必要があります。はじめに高額な金額を提示した後で値段を大幅に下げてしまうのは望ましくありません。最悪の場合には、売り手側との関係が悪化するおそれもあります。

結果的にM&Aの交渉が白紙になるケースもあるため、あくまでも現実的なM&Aの取引価格を伝えましょう。後々のリスクを考慮して、ピンポイントでM&Aの価格を指定するのは避けると良いです。とはいえ、価格の幅を広く設定しすぎることも相手側に不信感を抱かせます。

M&Aの意向表明書では、根拠を持たせた現実的な価格の幅を設定することが大切です。売買価格について自信を持って決定できない場合は、専門家のサポートを受けましょう。

③M&Aアドバイザーに確認依頼をする

意向表明書を作成したら、提出前の段階でM&Aアドバイザーに確認してもらうのがおすすめです。記載内容に漏れがないか、内容について問題ないかなどを相談しましょう。M&Aアドバイザーとは、M&A仲介会社・各種士業といったM&A実務に精通している専門家です。

M&Aアドバイザーは、数々のM&Aの取引に携わっており、優れた意向表明書を把握しています。提出前にM&Aアドバイザーに確認してもらえば、効果的な助言を受けられるでしょう。アピール力の高い意向表明書を仕上げるためには、M&Aアドバイザーの存在が頼もしいです。

④自社のアピールポイントも盛り込む

意向表明書では、意向や希望条件だけでなく自社のアピールを盛り込むと良いです。M&A契約は、人間同士のコミュニケーションによって締結されます。M&Aの成否は、少なからず心情的な側面からも影響を受けるでしょう。

自社の強みや事業に対する熱意を伝えれば、M&Aが成功する可能性の向上が期待できます。テンプレートに沿った定型的な意向表明書より、熱意がこもっているほうが好意的に捉えてもらえます。M&Aは機械的・業務的に実施するものではありません。

M&Aは、お互いの考え方や培ってきた歴史を共有して利益を生み出す取引です。その点を考慮して意向表明書に反映させれば、M&Aを円滑に進められます。記載すべき内容に漏れがないことを確認しつつ、アピールポイントも盛り込みましょう

⑤他の買収候補よりも有利な条件を提示する

意向表明書は、他の買収側買候補と比べて検討されるので、他社がアピールする内容を考慮し、より有利な条件を提示しましょう。

例を挙げると、買収側が上場会社であれば、他の買収側候補が非上場会社の場合、上場による信用力をアピールすれば、有利な条件を提示できます。

自社より他社のほうが大きな上場会社でも、大企業では実現できない技術力やノウハウなどをアピールすれば、差別化を図れるでしょう。

⑥売却側の希望を事前に確認しておく

売却側の希望を事前に確認しておくことも非常に大切です。意向表明書は、買収側が売却側の希望に同意することを表明するものなので、売却側の希望に同意できなければ、競争入札の際にかなり不利といえます。

事前の根回しなどがない場合は、門前払いされることもあるでしょう。

⑦意向表明書提出までのプロセスも怠らずに実施する

M&Aプロセスは、意向表明書を提出するまでの流れも大切です。M&A取引では、値段や条件のみならず企業風土や経営者の価値観なども大きな判断材料となります。たとえ多少条件が悪かったとしても、経営者どうしの価値観が合っていれば、M&Aが成立する可能性が高まります。

一方で価格条件が良かったとしても相手に与える印象が悪ければ、M&A交渉が破談になるおそれもあるでしょう。意向表明書に限らず誠意ある対応を心がけて、相手企業の信頼獲得を目指すと良いです。

⑧最終意向表明書の提出はM&A相手や専門家と協議して決める

意向表明書は、デューデリジェンス実行後にも提出されることがあります。ここで提出される書類を最終意向表明書と呼び、デューデリジェンスの結果を反映した希望買収価格が記載されます。

ただし、最終意向表明書は紙の書面として作成されない場合もあり、メールや口頭などで最終的なM&A条件が伝えられることも多いです。したがって、最終意向表明書の提出有無は、M&A相手や専門家と話し合って決定しましょう。

⑨意向表明書の雛形を活用する

意向表明書の作成に不安がある場合には、意向表明書の雛形を利用すると良いです。すでに用意されたフォーマットや記載例(サンプル)を活用できるので、必要事項を漏れなく記載できます。意向表明書の雛形はWEB上でダウンロードできるほか、M&A仲介会社でも準備されています。

意向表明書の作成に不安がある場合は、M&A総合研究所にお任せください。M&A総合研究所は、中小企業や中堅企業のM&Aを得意としており、経験豊富なM&Aアドバイザーが案件をフルサポートいたします。

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作成する売却側の4つのポイント

次に、作成する売却側のポイントについて見ていきましょう。

①提示された金額・条件を慎重に精査する

売却側は意向表明書の内容をチェックする際、提示された買収金額の妥当性に気を付けてください。買収側があえて高い買収金額を示し、独占交渉権を得た後、デューデリジェンスを厳しく行ってその結果により値下げ交渉することもあるからです。

意向表明書の買収金額が売却側の望む金額より高いままM&Aを進めると、希望条件のミスマッチにより交渉が進んだ段階で交渉が白紙になることもあるでしょう。

売却側は、提示された金額の算定根拠などを参考にし、誠実な価格提示かどうかをM&Aアドバイザーに確認しましょう。

②M&A後の従業員の処遇を確認する

M&A後の従業員の処遇を確認することも大切なポイントです。売却側の経営者は、一緒に働いてきた従業員の処遇が、M&A後にどのようになるのか気になります。

従業員の処遇の条件が譲れない条件の場合、労働条件、給与面などの待遇、雇用の保証など、従業員のために明確にしてください

③M&A後の会社運営方針をチェックする

売却側は、M&A後の会社運営方針をチェックしましょう。経営者は、会社を譲り渡しても、すぐに会社との関係は断ち切れません。一般的に、実務的な関係がしばらく続くでしょう。

経営者は、会社への愛着が強いケースが多く、会社の今後が気になるものです。経営者が変わっても会社名が残るときは、先代経営者の業績も形として残るでしょう。

そのため、M&A後にどういった会社運営方針を行うのか、確認することも欠かせません。

④機密保持の方針を把握する

意向表明書に記されている事項は、売却側と買収側にとって重大な機密事項です。秘密保持についての項目があるケースもありますが、ないケースでも意向表明書の取り扱いに十分注意しましょう。

特に、M&A当事者が上場会社の場合は、インサイダー情報にも触れるので注意してください。

【関連】M&Aのプロセスとは?準備から交渉・PMIに至るまでわかりやすく解説| M&A・事業承継の理解を深める

M&Aにおける意向表明書まとめ

この記事では、M&Aプロセスで重要な意向表明書について解説しました。M&Aにおいて意向表明書は、基本合意書や秘密保持契約書と並んで重要な書類です。意向表明書では、買い手側が売り手側に対してM&Aの進め方や条件について詳しく伝えます。

M&Aの交渉段階で有用な判断材料として役立つため、M&Aを円滑に進められるでしょう。提出は必須ではないものの、M&Aを実施するうえで非常に重要な役割を果たします。

ただし、意向表明書は、漠然と作成・提出すれば良いものではありません。意向表明書を作成するときはポイントを押さえる必要があり、これにより円滑なM&A実施を実現できます。

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