2021年5月28日更新会社・事業を売る

M&Aの最終契約書(DA)とは?基本合意との違いや目的、項目を解説

最終契約書(DA)はM&Aの最終プロセスで交わす契約書です。双方がM&Aの最終的な合意に至ったことを示すもので法的な効力を持つ特徴があります。本記事では、M&Aの最終契約書(DA)の目的や項目、基本合意との違いを解説します。

目次
  1. M&Aの最終契約書(DA)とは
  2. 最終契約書(DA)と基本合意書との違いや目的
  3. 最終契約書(DA)を作成する際の項目
  4. M&Aにおける最終契約書(DA)の種類
  5. 最終契約書(DA)とSPAとの違い
  6. まとめ
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M&Aの最終契約書(DA)とは

M&Aの最終契約書(DA)とは

M&Aを進めるにあたっては、当事者間でさまざまな契約書を取り交わします。その1つである最終契約書(DA)は、当事者間における最終的な意思決定を示し、M&Aを成約させるための契約書です。

M&Aとは

M&Aとは「Mergers」and 「Acquisitions」の略であり、企業の買収や合併を意味する言葉です。

従来は、経営状態の悪化による会社売却が主でしたが、昨今では成長戦略を目的としてM&Aすることも多くなっています。

M&Aの株式譲渡や事業譲渡を行うと、会社の経営権もしくは資産を移転することになるため、当事者の意思決定を示すための契約書を段階的に締結していく必要が生じます。

【関連】M&Aとは?M&Aの意味から手続きまでをわかりやすく解説!

最終契約書(DA)とは

M&Aの最終プロセスにおける双方の合意を示すための契約書です。デューデリジェンス(譲渡対象の価値・リスクの調査活動)を終えた後に交わす契約書であり、法的な効力をもちます。

1.最終契約書(DA)が使用される流れ

M&Aの基本的な流れでは、以下のタイミングで最終契約書(DA)が締結されます。M&Aの最終プロセスにて、基本合意書の内容にデューデリジェンスの結果を反映させ、正式な契約書を作成・締結します。

  1. 専門家への相談
  2. 秘密保持契約書の締結
  3. 取引相手の選定・交渉
  4. 基本合意書の締結
  5. デューデリジェンス
  6. 最終契約書(DA)の締結
  7. 成約

2.最終契約書(DA)がもつ法的な効力

企業価値評価に必要な材料が全て洗い出された後に交わす契約書のため、契約破棄すると破棄された側に損害賠償を請求する権利が生じます。

意図しない内容で契約してしまった場合、後から破棄をしたくても損害賠償しなくてはなりません。そのため、交渉内容と記載内容に相違がないかを締結前に確認する必要があります。

【関連】M&Aの契約書とは?契約手順に沿って意向表明、基本合意書、最終契約書を解説します

最終契約書(DA)と基本合意書との違いや目的

最終契約書(DA)と基本合意書との違いや目的

M&Aを成約させるまでには、最終契約書(DA)以外に基本合意書を交わす必要があります。混同されがちな契約書ですが、両者の明確な違いは交わす目的にあります。

最終契約書(DA)を交わす目的

最終契約書(DA)を交わす目的は、双方の最終的な合意を確認することと法的な効力をもたせることです。

M&A取引に関連する譲渡対象・譲渡価格・成約までのスケジュールなどを明文化させておくことで、無用なトラブルを避ける働きを持ちます。

基本合意書を交わす目的

基本合意書を交わす目的は、現時点における双方の意思確認を示して、その後の交渉を円滑にすることです。

基本合意書の締結後は、多額の費用が発生するデューデリジェンスなどを実施することになるため、現時点の交渉内容に双方が納得していることを確認しあうことが重要です。

ただし、あくまでも基本的な合意を示すもので法的な効力は持たない特徴があります。つまり、今後の交渉によって内容が変更される可能性も十分に存在します。

【関連】M&Aで基本合意書を締結する目的

最終契約書(DA)と基本合意書の主な違い

最終契約書(DA)と基本合意書の主な違いは、目的・法的な効力・タイミングの3点です。全く違う働きを持ちますが、どちらもM&Aを進めるにあたってどちらも重要な契約書となっています。

  最終契約書(DA) 基本合意書
目的 最終的な合意 取引の円滑化
法的な効力 有り 無し(秘密保持義務は除く)
タイミング M&A終盤 M&A中盤

M&Aの最終契約書(DA)のご相談はM&A総合研究所へ

最終契約書(DA)は法的な効力をもつため、記載内容について慎重に検討する必要があります。

しかし、各項目は複雑な内容となっており、自社にとって不利な内容が記載されていないか、必要な情報が抜けていないかなど、全てを理解するのは非常に困難です。

もし、最終契約書(DA)について不安に思うことがあれば、M&Aの専門家に相談することをおすすめします。

M&A総合研究所は、主に中小・中堅規模のM&A案件取り扱っているM&A仲介会社です。アドバイザーによる専任フルサポートを行っておりますので、最終契約書(DA)を始め、M&Aに必要となる書類の作成も全てお任せいただけます。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)

無料相談をお受けしておりますので、M&Aや最終契約書(DA)にお悩みの方はお気軽にご相談ください。

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最終契約書(DA)を作成する際の項目

最終契約書(DA)を作成する際の項目

最終契約書(DA)にはさまざまな項目を記載します。主な記載項目は以下の通りです。

【最終契約書(DA)の主な項目】

  1. M&A手法
  2. 取引価格
  3. 解除条件
  4. 秘密保持
  5. 表明保証
  6. 競業避止義務
  7. 費用負担
  8. 裁判管轄

1.M&A手法

M&Aに用いる手法を記載します。株式譲渡や事業譲渡を用いることが一般的です。

2.取引価格

M&Aの取引対象となる会社もしくは事業・資産の取引価格を記載します。

3.解除条件

契約内容に反する行動・事態が発生した時に一方が契約を解除することができることを示す項目です。

最終契約書(DA)の締結日からクロージング日まで期間が空くことが多いため、不測の事態に備えて設けておく必要があります。

4.秘密保持

M&A取引や交渉内容について秘密保持する義務があることを示す項目です。

5.表明保証

表明保証とは、譲渡側が譲受側に対して譲渡対象の会社もしくは事業・資産に関し、偽りがないことを保証する項目です。

6.競業避止義務

競業避止義務とは、M&A後に譲渡側が同一の事業を行わないことを定める項目です。

M&A後にも競合として存在し続けると、譲受側に間接的に損失を与えることが考えられるため、必要とされています。

7.費用負担

M&Aにかかる費用やトラブルが発生した時の対処費用の負担者を記載します。

8.裁判管轄

何かしらのトラブルが発生して法的な争いとなった場合の、管轄する裁判所を定めておきます。

裁判所と物理的に距離の開きがあると大きな負担となるため、双方の中間地点もしくは東京を指定することが一般的です。

最終契約書(DA)の雛形

最終契約書(DA)は雛形を利用することで自力で作成することもできます。ここでは、株式譲渡の際に利用できる「最終株式譲渡契約書」の雛形を紹介します。

株式会社××(以下「買主」という。)、株主1(以下「売主a」という。)と株主2(以下「売主b」という。また売主a及び売主bを併せて「売主ら」という。)は、売主ら保有の株式会社○○(以下「対象会社」という。)の株式の譲渡に関し、本日、以下の内容で株式譲渡契約(以下「本契約」という。)を締結する。

第1条(株式譲渡)
売主らは買主に対し、次条以下の定めに従い、売主ら保有の対象会社の株式○株(以下「対象株式」という。)を譲り渡し、買主はこれを譲り受ける(以下「本件株式譲渡」という。)。

第2条(譲渡日および支払日)
対象株式の譲渡日は、平成○年○月○日とし(以下「譲渡日」という。)、別途当事者にて譲渡対価の支払日(以下「支払日」という。)を定める。

第3条(譲渡価額)
買主は、対象株式の対価として、売主らに対し、それぞれ下記記載の金員(一株あたり金○円。合計○円。以下合計金額を「本件譲渡価額」という。)を支払う。記売主a金○円売主b金○円以上

第4条(譲渡価額の支払方法)
1.買主は、売主らに対し、支払日に、売主らの指定する銀行口座に振り込む方法によって本件譲渡価額を支払う。ただし、振込手数料は買主の負担とする。記銀行・支店名○○銀行○○支店口座種類・番号普通・○○○○○○○名義人○○○○
2.売主らは、支払日に、本件譲渡価額の領収書を発行し、買主に引き渡す。

第5条(重要物品等の引渡し)
1.売主らは、譲渡日に、以下の各号に定める重要物品等を買主に引き渡す。
(1)対象株式の譲渡承認に関する対象会社の株主総会議事録(写し)
(2)対象株式の譲渡承認請求書・同承認書(写し)
(3)売主らから買主への対象株式の株主名簿名義書換請求書
(4)対象会社の株主名簿(写し)
(5)売主aの対象会社取締役の辞任届及び第6条に基づき売主aが取得した対象会社役員の辞任届○通
(6)対象会社登録印(実印)及び法務局発行の印鑑カード
2.買主は、売主らに対し、前項各号の重要物品等の交付を条件として、直ちに、その受領証を交付する。

第6条(譲渡日までの売主らの義務)
1.売主らは、譲渡日における本件株式譲渡の実行に向け、第8条に定める実行条件の充足その他法令、本契約及び社内手続上必要とされる一切の手続を譲渡日までに適切に完了させる。
2.売主aは、対象会社の代表取締役として譲渡日までに自らの辞任届及び対象会社役員○○の辞任届を取得する。
3.売主らは、本件株式譲渡の実行完了まで、対象会社に善良なる管理者の注意をもって事業を運営させ、対象会社の資産を売却、担保設定又は株主に対する剰余金の分配などに供させてはならない。
4.売主らは、本件株式譲渡の実行完了まで、対象会社に株式又は新株予約権の発行、株式分割、合併、会社分割、株式交換、株式移転その他対象会社の資本構成に影響を及ぼす行為を行わせてはならない。
5.売主らは、本件株式譲渡の実行完了まで、対象会社に本契約締結日に在籍する従業員の異動を行わせてはならない。

第7条(譲渡日までの買主の義務)
買主は、譲渡日における本件株式譲渡の実行に向け、次条に定める実行条件の充足その他法令、本契約及び社内手続上必要とされる一切の手続を譲渡日までに適切に完了させる。

第8条(実行条件)
1.買主は、譲渡日に以下の実行条件の成就を条件として、本件株式譲渡を実行する。ただし、買主は、以下の各号に定める実行条件の全部又は一部が未成就の場合でも売主らに本件株式譲渡の実行を請求することができる。
(1)第11条各号に定める売主らの表明保証事項が真実かつ正確であること
(2)売主らが、譲渡日まで第6条に定める義務を遵守したこと
2.売主らは、譲渡日に以下の実行条件の成就を条件として、本件株式譲渡を実行する。ただし、売主らは、以下の各号に定める実行条件の全部又は一部が未成就の場合でも買主に本件株式譲渡の実行を請求することができる。
(1)第10条各号に定める買主の表明保証事項が真実かつ正確であること
(2)買主が、譲渡日まで第7条に定める義務を遵守したこと

第9条(譲渡実行の変更)
1.買主と売主らは、前条に定める実行条件の未成就のために譲渡日において本件株式譲渡を直ちに実行できない場合には、本件株式譲渡の実行方法を誠実に協議する。
2.買主と売主らは、前項に定める協議が整わない場合には、本件株式譲渡を中止する。

第10条(買主の表明保証)
買主は、本契約締結日及び譲渡日において、以下の事項を表明し保証する。
(1)本契約の締結・履行に必要な承認その他必要な手続、監督官庁の許認可・承認等の取得、監督官庁に対する報告・届出その他法令上必要な全ての手続を完了しており、かつ本契約の締結・履行が法令又は買主の定款その他の社内規則に違反していないこと
(2)買主が集団的に若しくは常習的に違法行為を行うことを助長するおそれがある団体若しくはそのような団体の構成員又はこれらに準ずると合理的に判断される者(以下「反社会的勢力」という。)ではなく、直接・間接を問わず、反社会的勢力と何らの資本・資金上の関係がなく、反社会的勢力が買主の経営に直接又は間接に関与している事実がなく、名目の如何を問わず、資金提供その他の行為を通じ反社会的勢力の維持、運営に協力又は関与していないこと。反社会的勢力が買主の役員又は従業員でないこと

第11条(売主らの表明保証)
売主らは、本契約締結日及び譲渡日において、以下の事項を表明し保証する。
(1)本契約の締結・履行に必要な株主総会の承認その他必要な社内手続、監督官庁の許認可・承認等の取得、監督官庁に対する報告・届出その他法令上必要な全ての手続を完了しており、かつ本契約の締結・履行が法令又は対象会社の定款その他の社内規則に違反していないこと
(2)売主らが反社会的勢力ではなく、直接・間接を問わず、反社会的勢力と何らの資本・資金上の関係がなく、反社会的勢力が対象会社の経営に直接又は間接に関与している事実がなく、名目の如何を問わず、資金提供その他の行為を通じ反社会的勢力の維持、運営に協力又は関与していないこと。反社会的勢力が対象会社の役員又は従業員でないこと
(3)対象会社の発行済株式総数は普通株式○株のみであり、新株予約権その他の対象会社株式を取得できる権利はなく、これら株式・権利に関する発行決議もないこと。売主らが交付した対象会社の株主名簿の記載が真実であること
(4)売主らが適法かつ有効に対象株式を保有し、株主名簿上も実質上も対象会社の株主であること。対象株式には質権、譲渡担保権その他いかなる負担もなく、買主が対象株式の完全な権利を取得できること
(5)対象会社が買主に交付した対象会社の貸借対照表及び損益計算書(試算表を含む)は、日本における公正妥当な会計基準により作成され、各作成基準日時点の対象会社の財政状態及び経営状態を適正に示していること。対象会社に偶発債務、簿外債務又は引当・償却不足はないこと
(6)対象会社は国内外で租税、社会保険料など公租公課の未払はなく、過去7年間適正な申告を行い、これを否認する課税処分がなされるおそれがないこと
(7)対象会社において、取引先に対する重大な債務不履行がなく、かつ取引先による重大な債務不履行がないこと。対象会社について、現在係属中の訴訟、仲裁、調停、仮処分、仮差押その他の司法上又は行政上の法的手続(以下「訴訟等」という。)がなく、対象会社が第三者に提起予定の訴訟等はなく、対象会社又はその資産を拘束する判決その他の司法上又は行政上の判断がないこと
(8)本契約の締結及び履行は対象会社の重大な契約の解除、解約、取消又は無効の原因とならないこと
(9)対象会社の行う事業に関する契約のうち、本件株式譲渡に関する承諾、同意又は通知が必要な契約(本件株式譲渡が解除、制限又は禁止事由となる契約を含むがこれらに限られない)はないこと
(10)対象会社は、従業員又はその所属労働組合との間で紛争がなく、その従業員に対する給与、退職金などの労働債務を遅滞なく履行していること
(11)対象会社は、全ての重要な法令、通達を遵守し、必要な全ての許認可を有し、許認可に伴う条件・要件を遵守して事業を行っていること
(12)対象会社が、対象会社の事業の運営にあたり公害、環境保護、廃棄物処理及び清掃に関する法令並びに行政指導上の規制を遵守し、これらに違反しておらず、かつ対象会社が所有する不動産について土壌汚染その他の環境汚染が発生しておらず、又はこれらの事項に関して官公庁若しくは第三者から警告若しくはクレームを受けていないこと
(13)対象会社が、買主売主ら間の基本合意締結日以降、買主の事前の書面による同意によらず、次の各号に掲げる行為を行っておらず、その他対象会社の資産・財務内容に重大な変更を生じさせていないことイ重大な資産の譲渡、処分若しくは賃貸借、又は新たな借入その他の債務負担、保証若しくは担保設定ロ新たな設備投資、非経常的な仕入、又は非経常的な契約の締結、解約若しくは解除ハ従業員の大幅な新規採用又は解雇ニ対象会社の株式の譲渡承認(ただし、本件株式譲渡の承認を除く)ホ増資、減資、株式分割、合併、会社分割、株式交換又は株式移転
(14)売主らと対象会社は、対象事業の運営又は価値に関連を有する重要な文書及び情報で買主から開示要請を受けたものは全て買主に開示しており、開示情報は重要な点で真実かつ正確であり、不正確な資料を提供したことはないこと

第12条(譲渡後の買主の義務)
1.買主は、譲渡日後最低1年間は、対象会社が譲渡日に雇用している正社員の雇用を維持し譲渡日の労働条件を実質的に下回らないように努める。
2.買主は、譲渡日に、対象会社をして、代表取締役である売主aに対し、金○円を退職慰労金として支払わせる。

第13条(譲渡後の売主らの義務)
1.売主らは、本件株式譲渡後、買主が対象会社の経営を行うにあたり、別途定める方法に従って、買主に対して対象事業の引継ぎ及び経営における助言等の支援を行う。
2.売主らは、譲渡日後3年間は、対象会社と競業関係に立つ業務を行わず又は第三者にこれを行わせない。

第14条(債務の弁済)
買主は、譲渡日において、対象会社をして、売主らに対する借入債務金○円の全額を返済させるものとする。

第15条(保証債務の解消、担保権の抹消)
買主は、譲渡日後速やかに、買主の責任と費用負担にて、対象会社の債務に関する売主らの全ての保証債務から売主らを離脱させ、かつ売主らの所有資産に設定された抵当権その他の担保権(以下「抵当権等」という。)の登記抹消に必要な手続を行い、これらの手続の完了までに売主らが債権者から保証責任の追及又は抵当権の実行をなされた場合には、全て買主の責任と費用負担にて処理する。

第16条(解除)
1.買主と売主らはいずれも、相手方が表明保証条項その他本契約上の重大な義務に違反し当該相手方に対する書面による是正を求める旨の通知後相当期間を経過しても違反が是正されない場合には、譲渡日以前に限り、本契約を解除することができる。第9条に定める協議により譲渡日を改めて定めた場合(以下、改めて定めた譲渡日を「新譲渡日」という。)、本条の規定中、「譲渡日」とあるのは、「新譲渡日」と読み替える。
2.買主と売主らはいずれも、譲渡日以前に相手方に以下に定める事由のいずれかが発生した場合には、何らの催告を要さず直ちに相手方に対する書面による通知により本契約を解除することができる。
(1)破産手続開始、民事再生手続開始、会社更生手続開始その他これに類する倒産手続開始の申立てを行い又は第三者からこれら手続の申立てがなされたとき
(2)支払の停止があったとき又は手形若しくは小切手を1回でも不渡りにしたとき
(3)営業廃止若しくは解散し又は官公庁から業務停止その他業務継続不能の処分を受けたとき
(4)組織・業態又は支配権の変更など対象会社の経営に重大な影響を及ぼす行為があったとき
(5)その他本契約の遂行に著しい困難を生じる相当の理由があるとき

第17条(損害の賠償又は補償)
1.買主と売主らはいずれも、故意又は過失により本契約に違反しこれにより相手方又は対象会社に損害(第三者からの請求に基づくものを含み、また合理的な範囲での弁護士費用を含む。以下本条において同じ)が発生した場合、本件譲渡価額を上限として、譲渡日後1年間に限り、相手方又は対象会社に対して当該損害を賠償する。ただし、譲渡日後1年以内に損害賠償を請求した場合は、同期間経過後も賠償を受ける権利は存続する。
2.前項の定めにかかわらず、買主と売主らはいずれも、自らが行った表明保証が真実でなく又は不正確であることに起因して相手方が被った損害については、本件譲渡価額を上限として、譲渡日後1年間に限り、相手方に対し、当該損害を賠償又は補償する。ただし、譲渡日後1年以内に損害賠償又は補償を請求した場合は、同期間経過後も賠償又は補償を受ける権利は存続する。
3.前2項の損害賠償又は補償の請求は、賠償又は補償の原因となる具体的な事実及び賠償又は補償を求める金額を合理的に記載した書面により行う。

第18条(権利義務の譲渡禁止)
買主と売主らはいずれも、相手方の書面による事前承諾なしに、本契約に基づく権利・義務の全部若しくは一部を第三者に譲渡し、移転し又は第三者のための担保に供するなど一切の処分を行わない。

第19条(秘密保持)
1.買主と売主らは、次の各号に定める情報を除き、相手方当事者の事前の書面による承諾なしに、書面、電子メール、電磁的記録、口頭その他方法の如何を問わず、本件株式譲渡の検討に関して相手方当事者より開示された一切の情報、基本合意締結の事実及び基本合意の内容並びに本契約締結の事実及び本契約の内容に関する一切の情報(以下、併せて「秘密情報」という。)を、本契約の目的達成のため以外に使用してはならず、又は第三者に開示しない。ただし、買主と売主らは本契約の目的達成に合理的に必要な範囲で、役員若しくは本件株式譲渡の検討・実行に関与する従業員又は弁護士、公認会計士、税理士、司法書士、コンサルタントその他の専門家に本条と同等の秘密保持義務を課した上で秘密情報を開示することができる。
(1)開示された時点で既に公知公用となっていた情報
(2)開示された後受領者の責めによらないで公知公用となった情報
(3)開示された時点で既に自ら保有していた情報
(4)秘密情報によることなく受領者が独自に開発した情報
(5)正当な権限を有する第三者から秘密保持義務を負うことなく開示された情報
2.買主と売主らは、前項の規定にかかわらず、次の各号に定める場合には、秘密情報を開示することができる。
(1)本契約の目的達成のため合理的に必要な範囲で、役員若しくは本契約の検討に関与する従業員又は弁護士、公認会計士、税理士、司法書士、コンサルタントその他の専門家に本条と同等の秘密保持義務を課した上で開示する場合
(2)法令又は裁判所の命令により秘密情報の開示を義務付けられ、事前に(緊急やむを得ない場合には事後速やかに)当該開示について相手方当事者に対し速やかに通知し、かつ、当該義務の履行に必要な範囲で開示する場合
3.本件株式譲渡に関する公表は、買主と売主らが協議の上実施することとし、その具体的な内容、時期及び方法は、別途合意して定める。4.本条に基づく買主と売主らの義務は、譲渡日後2年間有効に存続するものとする

第20条(費用)
買主と売主らが本契約の締結及び履行に要した費用(専門家費用を含む)は、特段の合意がない限り各当事者の負担とする。

第21条(完全合意)
本契約は、本件株式譲渡その他本契約における対象事項に関する買主及び売主らの最終的かつ完全な合意を構成するものであり、かかる対象事項に関する本契約締結日までの両当事者間の一切の契約、合意、約定その他の約束(書面によると口頭によるとを問わない。また、両当事者間の平成○年○月○日付基本合意書を含む)は、本契約に別段の定めのある場合を除き、本契約締結をもって失効する。

第22条(管轄)
買主及び売主らは、本契約に起因し、又はこれに関連する一切の紛争については、○○地方裁判所を第一審の専属管轄裁判所とする。

第23条(誠実協議)
買主と売主らは、本契約の条項の解釈につき疑義が生じた場合又は本契約に定めのない事項については、誠意をもって協議し解決する。本契約成立の証として本契約書原本3通を作成し、買主、売主らが各自署名押印のうえ各1通保管する。

平成○年○月○日

M&Aにおける最終契約書(DA)の種類

M&Aにおける最終契約書(DA)の種類

最終契約書(DA)はM&Aの手法に合わせて作成する必要があります。この章では、株式譲渡と事業譲渡の際に用いる「最終株式譲渡契約書」と「最終事業譲渡契約」について解説します。

最終株式譲渡契約書

最終株式譲渡契約書は、株式譲渡を用いてM&Aを行う時に締結する契約書です。譲渡する株式の種類や株数、株主名簿の書き換え手続きなどを定める必要があります。

最終株式譲渡契約書の注意点

株式譲渡を行う際は、株式の譲渡を制限する「譲渡制限株式」であるかどうかを確認しておく必要があります。譲渡制限株式は、会社の承認なしに株式の譲渡ができないというものです。

悪意のある第三者による株式買い占めによって経営権を奪われることを防ぐために、譲渡制限株式としていることがあります。

中小企業によくみられるケースとなっており特別な手続きを要するため、最終株式譲渡契約書に記載する内容も変わってきます。

最終事業譲渡契約書

最終事業譲渡契約書は、事業譲渡を用いてM&Aを行う時に締結する契約書です。

事業譲渡は譲渡対象を自由に選択することができる手法のため、譲渡範囲の指定や従業員の引き継ぎに関して記載する必要があります。

最終事業譲渡契約書の注意点

事業譲渡は譲渡対象を自由に選択できる大きなメリットがある反面、注意しなければならない点がいくつかあります。

【最終事業譲渡契約書の注意点】

  1. 譲渡対象の指定
  2. 従業員の引き継ぎ

1.譲渡対象の指定

事業譲渡では、事業や資産を個別に譲渡することになるため、譲渡対象が曖昧なまま進めてしまうと後にトラブルに発展する恐れもあります。譲渡対象をはっきりと指定しておき、健全な取引を目指しましょう。

2.従業員の引き継ぎ

株式譲渡では、会社の経営権のみが移転するため従業員に関する特別な手続きは不要ですが、事業譲渡においては従業員の引き継ぎを個別に処理する必要があります。

退職金や引き継ぎ後の雇用条件などについて交渉を行ったうえで、最終事業譲渡契約書に明記しておく必要があります。

【関連】事業譲渡契約書のポイント

最終契約書(DA)とSPAとの違い

最終契約書(DA)とSPAとの違い

SPAとは「Stock Purchase Agreement」の略で最終株式譲渡契約書のことを指します。

最終契約書(DA)は手法問わず全体的な最終契約書という広義的な意味で使われ、SPAは株式譲渡の際に限定した最終契約書ということになります。

どちらも、M&Aにおける最終的な合意を示すためのものであり、法的な効力をもつ契約書です。

まとめ

まとめ

最終契約書(DA)は、M&Aの最終的な決定をするための重要な役割を持つ契約書です。記載される内容の全てに法的な効力をもつため、各項目が意味する内容を把握したうえで慎重に交わす必要があります。

また、手法や自社の状況に合わせて記載内容を調整する必要もあるため、専門家の知識を頼ることをおすすめします。

【最終契約書(DA)と基本合意書の主な違い】

  最終契約書(DA) 基本合意書
目的 最終的な合意 取引の円滑化
法的な効力 有り 無し(秘密保持義務は除く)
タイミング M&A終盤 M&A中盤


【最終契約書(DA)の主な項目】
  1. M&A手法
  2. 取引価格
  3. 解除条件
  4. 秘密保持
  5. 表明保証
  6. 競業避止義務
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  8. 裁判管轄

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