2024年2月28日更新事業承継

介護事業の事業承継とは?動向や承継の流れ・相談先・メリットデメリットを解説!

介護事業は公共性が高い事業であるため、事業承継を実施する際には注意が必要です。また、事業承継を実施する際は専門的な知識が必要であるため、専門家の手助けなしに実施することは容易ではありません。今回は、介護事業の特性および事業承継の基本的な知識を解説していきます。

目次
  1. 介護事業の事業承継とは
  2. 介護業界の事業承継動向
  3. 介護事業経営者が事業承継を考える理由とは
  4. 介護事業の事業承継を行うメリットとデメリット
  5. 介護事業の事業承継の流れ
  6. 介護事業の事業承継を考慮するタイミング
  7. 介護事業の事業承継の相談先
  8. 介護業界の事業承継の際のM&A仲介会社の選ぶポイント
  9. 介護事業の事業承継を成功させるポイント
  10. 介護事業の事業承継で気をつけること
  11. 介護事業の事業承継の成功事例
  12. 介護事業の事業承継をする際に選ぶべき仲介会社
  13. 介護事業の事業承継のまとめ
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介護のM&A・事業承継

介護事業の事業承継とは

少子高齢化が加速する日本において、介護事業は今後の需要拡大が見込まれている領域です。介護事業の事業承継について触れる前に、介護事業とはどのようなものを指すのか、主なサービス形態などを説明します。

介護事業とは

介護事業とは「高齢者や病気を抱える人などを介助し世話をすること」を目的としてサービスを提供する事業のことです。利用者が介護サービスを受けるためには、一定の費用がかかります。

しかし、現在の日本では介護保険制度が導入されており、65歳以上の方は原因を問わず要支援・要介護状態となったときに、1割(高所得者は2割または3割)の自己負担で介護サービスを受けられます。

また、40〜64歳の方であっても、特定疾病(末期がんや関節リウマチなど老化による病気)が原因で要支援・要介護状態になった場合には、介護サービスを受けられます。

⑴施設サービス

施設サービスは、被介護者が介護施設に入居し、そこで介護を受けるタイプの介護サービスです。施設介護の施設は受ける介護の種類によって3種類あり、「介護老人福祉施設」「介護老人保健施設」「介護療養型医療施設」に大別されます。

この3つの介護施設は公共施設と同じように扱われており、医療法人や地方公共団体などが運営しています。

3種類の介護施設で入居できる条件は異なり、介護老人保健施設と介護療養型医療施設は要介護1以上、介護老人福祉施設は要介護3以上のみが入所できます。ただし、介護老人福祉施設は被介護者の事情によっては要介護1~2でも入所することが可能です。

いずれの施設も一般的な有料老人ホームよりリーズナブルに利用できますが、施設介護の報酬は1日ごとに設定されており、要介護度や利用する部屋の種類によって異なります。施設介護は介護職員がつきっきりで介護をしてくれるため、家族の負担を解消しやすい点が大きなメリットです。

しかし、現在日本には数十万人を超える入所待ちがいるといわれています。昨今の高齢化の影響で高齢者が急増しており、入所することが難しくなっているのです。

⑵居宅サービス

居宅サービスは、要介護・要支援者が自宅に住んだまま提供を受けられるタイプの介護サービスです。居宅サービスの種類は幅広く、代表的なものとして「通所介護」や「訪問介護」などが該当します。

通所介護は「デイサービス」とも呼ばれ、その名の通りデイサービスセンターに被介護者が通い、日帰りで介護や機能訓練などを受けるというものです。送迎は施設側が行い、一晩施設で泊まることができるサービスもあります。

一方、「訪問介護」はホームヘルパーやケアワーカーが被介護者の家を直接訪問し、身体介助・家事のサポート・病院へ移動する際の補助などを行うタイプの介護です。訪問介護は要支援の1~2、要介護の1~5が対象となっています。

居宅サービスは、被介護者が安心できる自宅での介護を受けられる点が大きなメリットです。また、介護の負担がかかりやすい家族を直接的にフォローできるため、被介護者の家族も安心できる介護といえます。

⑶地域密着型サービス

地域密着型サービスは、今後ますます増加が予想される認知症高齢者や要介護高齢者など、介護度が重くなっても、住み慣れた地域で生活ができるように、要介護者・要支援者に提供されます。

地域密着型では、訪問・通所・短期入所によるサービや認知症の方向け、特定施設や介護保険施設におけるサービスなど多数のサービスが提供されています。地域密着型サービスの特長は、原則としてサービスを提供する事業者のある市町村に住む人の利用に限られるという点です。

近年注目されているサービスの1つに「認知症対応型共同生活介護」があります。認知症対応型共同生活介護とは、認知症の方向けのサービスで、利用者は「認知症」かつ「要介護」と認定された方のみです。

認知症のある要介護者が、共同生活住居の中で、家庭的な環境と地域住民との交流、介護スタッフによる入浴、排せつ、食事などの介護、その他の日常生活上の世話および機能訓練を受けることができます。

利用者がもっている能力に応じて自立した日常生活を送ってもらうことが目的で提供されるサービスです。

事業承継とは

次に事業承継について解説します。事業承継は「経営者が後継者に事業を引き継ぐこと」をさします・事業継承には、大きく分けて以下の3種類の手法があります。

⑴親族内事業承継

親族内事業承継とは、後継者が親族である事業承継のことです。親族内事業承継は、経営者の親族であるため信頼を得やすく心証も良くなるため、従業員や取引先から最も理解を得やすい方法といえます。

しかし、経営者の親族だからといって経営者の資質を持っているとは限りません。むしろ、親族というだけで前経営者と比較され、実態と乖離した評価を受けていることもあります。

⑵親族外事業承継

親族外事業承継とは、経営者の親族ではない従業員や外部の人材を後継者として事業承継を実施するものです。親族外事業承継は、経営者の親族ではない人材を後継者にするため、従業員・取引先・顧客などから信頼を得にくいという点がデメリットです。

また、外部の人材を経営者にした場合、先代の経営者の経営理念や手法が異なっていると、他の手法による事業承継よりも反発を受けやすくなります。

一方で、業務や経営に精通している人材を後継者にできれば育成の手間が省けますし、会社に一層良い影響をもたらす可能性も高くなります。ただし、親族外事業承継は株式の承継の方法が譲渡になりやすいため、後継者は資金を用意する必要があります。

⑶M&Aによる事業承継

最近、増えているタイプの事業承継がこのM&Aによる事業承継です。後継者不在の会社は中小企業を中心に年々増加しており、経営者が引退したら廃業せざるを得ない状況になっているケースは少なくありません。

しかし、従業員の将来や地域経済の損失、廃業するうえでかかるコスト・時間を踏まえると、廃業は決して良い選択肢とは言えません。

そこで有効な手段として、M&Aによる事業承継が注目されています。M&Aであれば、後継者が不在でも第三者に経営権を託すことで経営の存続ができるようになります。

また、売却益を得ることができるため、経営者の引退後の生活や別事業の創業資金にあてることができるのです。

一方で、M&Aによる事業承継は仲介業者なしに成功することは難しく、失敗すれば時間やコストを無駄にすることになります。成功確率を上げるためにもM&Aの専門家に相談することをおすすめします。

M&A総合研究所ではM&Aの知識・経験が豊富なアドバイザーが専任フルサポートいたします。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談をお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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介護業界の事業承継動向

少子高齢化が加速する日本では、介護業界の需要が今後ますます増加するのは確実視されています。需要が年々増加する介護業界ですが、慢性的な人材不足が大きな課題です。

国内の要介護者数は増加し続けており、厚生労働省は2040年度には約280万人の介護職員が必要になると試算しています。しかし、2020年度時点の介護職員数は約211.9万人であり、このままでは介護が必要な利用者に対してサービスが提供できない事態が避けられない状況であり、労働力の確保が喫緊の課題です。

特に、ケアマネージャーやヘルパーなどの有資格者の不足は顕著であり、地域によっては人材不足からサービス提供が困難になっているところもあります。

また、介護業界では創業者の高齢化も進んでいますが、後継者不在のために事業存続ができず、廃業を余儀なくされるケースも少なくありません。

このような課題を解決するため、近年ではM&Aによって親族外あるいは他社へ事業承継を行うケースが増えてきました。譲渡側は従業員の雇用維持や利用者へのサービス継続を目的とするケースが多く、譲受側にとっても有資格者などの人材確保や事業エリア拡大などのメリットがあります。

参考:厚生労働省「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」
 

介護事業経営者が事業承継を考える理由とは

介護事業経営者が事業承継を考える理由には、以下の3点が挙げられます。

⑴後継者がいない

近年、経営者の高齢化など、経営を続けられないケースが増えています。その場合、事業承継は早急に対処しなければならない課題です。後継者の有無にかかわらず、雇用、地方経済の影響、介護の利用者のことを考えると介護事業の経営は存続しなければなりません。

そもそも介護事業は公共性が高いうえに、多くの高齢者が必要としています。そのため、後継者がいない状況であっても、「廃業」という選択肢は避けたいのが現状です。後継者がいなかったとしても、事業承継に真剣に取り組んでいる介護事業経営者は少なくありません。

⑵別事業への転換を検討している

経営者の中には、現在の事業を手離し、別事業への転換を検討している方もたくさんいます。しかし、現在の事業を放棄して転換することは経営者として難しいことでしょう。しかし、M&Aによる事業承継を実施すれば、別事業へ転換しやすくなります。

M&Aであれば他の会社に事業承継を行えるため、事業を存続させ、雇用を守ることができます。もし信頼できる優れた事業承継先を見つけることができれば、事業の発展も望めるようになります。

また、M&Aによる事業承継は売却した分の利益を得られるという大きなメリットがあります。まとまった利益を得ることができれば、別事業への転換のための資金にあてることも可能です。

⑶人材不足により困っている

介護事業の最大の経営課題が「人材不足」です。介護事業は想像以上にハードな仕事で、人材の定着率が低い傾向にあります。そのため、人材の流出が激しく、人手が足りない介護施設が多いのです。また、介護事業にとって最も重要な人材である介護職員は、専門的な知識やスキル、資格が必要な職業です。未経験者を採用して人材を補おうとしても、育成や研修に膨大な時間とコストがかかってしまいます。

しかし、M&Aによる事業承継を実施すれば、大手企業の傘下に入ることができるかもしれません。そうすれば、人材不足を一気に解消できる可能性が高まります。また、資金の財源確保ができれば経営基盤を強化でき、労働条件を改善できます。結果、人材の定着率が向上する可能性も広がるでしょう。

介護事業の事業承継を行うメリットとデメリット

介護のM&A・事業承継
介護のM&A・事業承継

介護事業で事業承継を実施するメリットとデメリットを解説します。多くの介護関連企業で事業承継が行われていますが、どのような点で恩恵が受けられるのでしょうか。想定されるデメリットと併せて確認しましょう。

メリット

まず、介護事業で事業承継を実施する場合に得られるメリットを解説します。売却側・買収側の視点に分けて、それぞれどのような点が魅力なのか確認しましょう。

売り手側

介護事業における事業承継で売却側が得られるメリットには、以下のような点が挙げられます。

  • 後継者不在による廃業を避けられる
  • 地域で引き続き介護サービスを提供できる
  • 介護職員やスタッフの雇用を維持できる
  • 経営者が会社や事業の売却益を獲得できる
  • 経営を安定化させられる

介護は、高齢化が顕著な地域では欠かせません。廃業となると地域住民にも影響が及ぶ可能性があります。事業承継を行えば引き続き介護を提供できるので、地域高齢者に安心して過ごしてもらえるでしょう。

また、事業承継で雇用を継続できれば、職員の生活を守れるだけでなく業界の貴重な人材を失わずに済みます。経営課題を抱える場合でも、介護事業の大手傘下に入れば安定した財源のもと事業展開できます。

買い手側

介護事業における事業承継で買収側が得られるメリットには、以下のような点が挙げられます。

  • 介護事業の規模を拡大できる
  • 売却側の設備や介護ノウハウを獲得できる
  • コストを抑えながら介護業界に参入できる
  • 事業エリアを効率的に拡げられる
  • 介護に必要な人材を獲得できる

売却側の資源を有効活用できるのは、買い手側の大きなメリットと言えるでしょう。介護施設の建設や人材採用・教育でコストをかけずに事業展開が狙えます。介護事業に新規参入する場合でも、売却側の保有するノウハウを獲得すれば、スムーズに事業を軌道に乗せられる点も魅力です。

デメリット

では次に介護事業で事業承継を実施する際に想定されるデメリットを解説します。こちらも売却側・買収側の視点に分けて確認しましょう。

売り手側

介護事業における事業承継で、売却側の想定されるデメリットには以下のような点が挙げられます。

  • 従業員が退職するおそれがある
  • 親族内承継の場合相続人間でトラブルが発生する場合がある
  • 親族外承継の場合従業員間で権力争いが発生するおそれがある
  • 経営方針が変わってしまう可能性がある

デメリット面で特に留意したいのが、従業員の退職リスクです。売却情報を入手した従業員が退職すると、人材不足となり事業承継が失敗する可能性があります。親族に引き継ぐ場合、複数の相続人が居ると相続人との間でトラブルが起こる場合があるので、事前に遺言書を作成するなどの対策が必要です。

買い手側

介護事業の事業承継で買収側に想定されるデメリットを確認しましょう。

  • 売却側従業員との関係構築に苦戦する場合がある
  • 手法によっては多額の買収資金の準備が必要
  • 売却側の負債を引き継がなければならない場合がある
  • 見込んだシナジー効果が得られない場合がある

M&Aで事業承継を行う場合、売却側従業員が処遇や業務内容に不満を抱く可能性があります。良い人間関係を構築するためには、できるだけ待遇を維持し、働きやすい労働環境を整える必要があるでしょう。

また、株式譲渡で会社経営権を得る場合は売却側の債務も引き継がなければなりません。損失が増えることが無いよう入念に財務状況を調査してから買収することをおすすめします。

【関連】訪問介護業界のM&A動向!会社売却のメリットや売却相場価格・事例14選を徹底解説【2023年最新】

介護事業の事業承継の流れ

介護事業経営者が事業承継を考える理由について、おわかりいただけたでしょうか?

今後、介護事業の事業承継は日に日に増加すると考えられます。超高齢社会に突入した現在、施設介護・老人ホーム事業の市場規模は大きく成長しています。しかし成長を続ける業界である反面、深刻な人材不足を抱えており、優秀な介護職員を求めたM&A・会社買収の動きが加速しています。

また、介護報酬のマイナス改定により、安定した経営が難しくなった施設介護・老人ホームも少なくありません。この点もM&A・事業売却が進む要因と言えるでしょう。

さらに、施設介護・老人ホーム業界は、異業種からの新規参入も増加する傾向にあります。将来の成長性や収益性などから施設介護・老人ホーム事業は魅力的な業界であり、異業種からの参入はM&Aを率先して活用し、施設買収やノウハウの獲得を進めています。

加えて、新規サービスの充実や不足する介護職員の獲得、既存事業とのシナジー効果など安定した施設介護・老人ホーム経営を目指しています。施設介護・老人ホーム事業を行っている方にとって、「今」がM&Aや事業売却のタイミングとして絶好のチャンスです。

介護事業の事業承継M&Aの流れは、以下のようになっています。

親族内事業承継・親族外事業承継のプロセス

親族内事業承継・親族外事業承継のプロセスは、以下の通りです。

⑴事業承継計画の策定

事業承継を始めるうえで、最初に行わなければならないことが「事業承継計画の策定」です。

事業承継には膨大な時間がかかります。会社によっては、10年近く歳月を要することも珍しくありません。それだけ長い取り組みとなれば、計画が非常に重要です。よって、「事業承継計画の策定」は事業承継成功への第一歩といっても過言ではありません。

事業承継計画は、経営者の方針・後継者育成の内容・資産の承継の段取りなど、さまざまな事柄を網羅するものです。あらゆる事態を踏まえて綿密に作成しておくようにしましょう。

あわせて、親族外事業承継の場合には、早い段階で親族の了承を得ておくようにしましょう。従業員や外部の人材を後継者にする親族外事業承継は、親族の反発を買いやすく、財産である株式の承継が原因で相続トラブルが起こることもあります。

もしトラブルが発生すれば、事業承継が失敗に終わる可能性も否定できません。そのため、親族外事業承継の場合は、親族の了承を得ておくことをおすすめします。また、相続で問題にならないようにあらかじめ遺産分配も明確に決めておいたほうがいいでしょう。

事業承継計画を策定するのは簡単ではありません。事業承継のプロセスの中には専門的な知識が必要なものや、具体的な数字を算定するものもあります。そのため、専門家に相談しながら事業承継計画を策定していくことが重要です。事業承継の専門家としては経営コンサルティング会社や会計士、税理士などが挙げられます。

M&Aに関してすこしでも悩んだり、迷ったりしたときは、どうぞM&A総合研究所に一度ご相談ください。M&Aアドバイザーが親身にサポートいたします。M&Aを実施する際には、その都度、M&A仲介会社、アドバイザリーに実務をサポートしてもらうのがおすすめです。

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⑵後継者の育成・教育

後継者の育成・教育の手法は経営者によって異なります。なぜなら、経営者一人ひとりの経営理念や考え方は異なっているうえ、後継者の人間性によって育成方法も変わるからです。しかし、どんな方法で教育する場合であっても、後継者自身が会社の経営や業務を網羅し、従業員との信頼関係を築くことがベストな形でしょう。

また、育成する方法の1つとして、外部のセミナーを受けることも有効的な方法です。最近では、事業承継を控えた後継者向けのセミナーが多く、経営者としての心構えなどを学ぶことができます。外部セミナーを受けることは経営者としての学びだけでなく、外部の人間と人脈を作るきっかけにもなります。

⑶資産・株式・許認可などの承継

後継者を経営者にするうえで、必要不可欠なプロセスの1つが「資産・株式・許認可などの承継」です。後継者が会社を経営していくにあたって、事業に必要なものはすべて引き継がなければなりません。基本的に、承継の際は、相続・贈与・譲渡といった手法を用いて実施してきます。

ただし、それぞれの手法によって課される税金が異なるため、専門家と相談しながら後継者に負担がかからないやり方を見つけておくようにしましょう。

また、運営母体が社会福祉法人であるか、株式会社であるかによって承継するものが異なります。出資持分と株式は扱いが異なるため、専門家と相談しながら、スムーズに承継する方法を模索していきましょう。

⑷個人保証・負債の処理

もし経営者に個人保証や負債があった場合は、できるだけ早い段階で処理しましょう。個人保証・負債は財産の一部として扱われるため、経営者が亡くなる、あるいは後継者が会社を引き継ぐことで、そのまま承継されてしまう恐れがあります。

その結果、個人保証・負債が後継者の負担になってしまいます。個人保証・負債を完全に処理することは難しいかもしれませんが、後継者の負担を減らすためにも、少しでも解消しておくことをおすすめします。

M&Aによる事業承継のプロセス

M&Aによる事業承継のプロセスは以下の通りです。

⑴仲介会社などへの相談

M&Aによる事業承継を行う際は、まず仲介会社などに相談しましょう。M&Aは専門的な知識や交渉のスキル、情報が集まるネットワークなどが欠かせません。しかし、それらすべてを経営者だけで実施することは困難です。

膨大な時間と手間を要します。一部のプロセスだけでも専門家のサポートを受けられれば、M&Aが成功する確率は高くなるのです。

しかし、仲介業者などを選ぶ際には、経営者との相性、M&Aの実績、周囲からの評価などを入念に調べてから依頼することをおすすめします。M&Aは会社の将来がかかっています。親身に支えてくれる専門家でなければ、M&Aが成功する確率は上がらないでしょう。

あわせて、秘密保持契約書の締結を実施しましょう。秘密保持契約書とは重要な情報の取り扱いに関する事柄をまとめた契約のことをいいます。情報漏えいによって、M&Aが失敗に終わる可能性があるのです。また、M&Aを実施するという情報が漏えいしてしまえば、従業員や取引先に余計な動揺を与えてしまいかねません。

さらに、M&Aを実施するには、会社の内部情報を開示する必要があります。その際にも、情報漏えいに注意しなければ、機密情報が外部に漏出する可能性も否定できません。よって、秘密保持契約書のように情報管理について、取り決めておくことは非常に重要なことなのです。

⑵事業承継先の選定

仲介会社などのサポートを得られたら、まずは事業承継先(買い手)を選定するプロセスに入ります。事業承継先を選定するプロセスは、「スクリーニング」と呼ばれています。

スクリーニングでは、大まかな条件で事業承継先を選んだロングリストと、その中からさらに詳細な条件で絞り込んだショートリストを作成します。スクリーニングを経て絞り込まれた事業承継先を元にアプローチしていきます。

⑶基本合意書の締結

アプローチした事業承継先が決まると、「基本合意書」を締結するプロセスになります。基本合意書はM&Aを実施するうえで最初に締結する契約です。

基本合意書はM&Aを実施するための基本的な事柄をまとめたものであり、条件、M&Aの流れ、予定されている譲渡価格、独占交渉権などが記されています。この基本合意書をベースにして、今後のM&Aが進められていきます。

しかし、基本合意書を締結したからといって、M&Aの成約を意味しているわけではありません。基本合意書はあくまで「M&Aをこれから実施することへの合意」を意味するものであり、法的拘束力がないため、これ以降の交渉次第では白紙に戻る可能性もあります。

同時に、意向表明書を提示する場合もあります。意向表明書は、経営者同士のトップ面談を終えた後に提示される書類です。意向表明書は基本合意書に近いもので、場合によっては同一視されるものです。買い手側がM&Aを行う意向を示すうえで、条件、今後のスケジュール、大まかな譲渡価格などが記載されています。

⑷デューデリジェンスの実施

M&Aにおいて最も重要なプロセスの1つがデューデリジェンスです。デューデリジェンスは売り手側のリスクを洗い出す作業であり、財務や税務、法務などさまざまな専門的観点から行います。デューデリジェンスの結果は、M&Aの結果を左右するといっても過言ではありません。

デューデリジェンスの結果は、譲渡価格を決める目安になるだけでなく、買い手側が今後の交渉を継続するかを判断する基準にもなります。

⑸最終契約書の締結

デューデリジェンスを終えた後、交渉で双方の合意が固まれば最終契約書の締結を行います。最終契約書では、それまでの交渉を通じて決めた譲渡価格やさまざまな条件、表明保証、損害賠償などが記されています。

最終契約書は、基本合意書や意向表明書と違って法的拘束力があるため、契約内容は慎重に決めるようにしましょう。もし内容に違反するようなことがあれば、訴訟や損害賠償が発生する恐れがあります。

⑹クロージング

最終契約書を締結した後に行われる経営統合のためのさまざまなプロセスを「クロージング」といいます。クロージングでは、譲渡価格に基づいた対価の支払いや経営統合後の役員の選別などが行われます。

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介護事業の事業承継を考慮するタイミング

事業承継で効果を得るためには、正しいタイミングで実施しなければなりません。では、介護事業の場合はどのタイミングで事業承継を考えるべきなのでしょうか。ここでは、介護事業で事業承継を考慮すべきタイミング3種類をチェックしましょう。

後継者不足

1つ目は、後継者不足です。介護事業を継続させるためには次期経営者の存在が欠かせません。親族内に後継者候補が居るか確認し、居ない場合は従業員・役員、もしくはM&Aで他社へ売却するなど、事業承継の方向性を定めましょう。早いタイミングで検討するのがポイントです。

経営者の高齢化

2つ目は、経営者高齢化です。引退の直前で後継者不足の状態のままでは、廃業リスクが高まります。経営者が引退を考える前に、専門家に相談しながら会社や事業を存続させるためのプランを立てましょう。

介護ニーズの増加

3つ目は、介護ニーズの増加です。介護事業への需要が増えたタイミングで株式譲渡や事業譲渡を行えば、より高い売却価格で取引できます。そのためには、自社事業における課題点の改善を実施しつつ介護業界の市場動向を注視することが重要です。

【関連】事業承継のタイミングはいつが最適?計画をはじめる3つのタイミングを紹介

介護事業の事業承継の相談先

介護事業の事業承継の相談先には、主に以下があります。

⑴金融機関

銀行・信用金庫などの金融機関に相談することもおすすめです。これらの金融機関は、さまざまな会社とのネットワークを持ち、多種多様な会社の経営を見てきた経験があるため、事業承継やM&Aにおいて有効的なサポートを実践してくれます。

しかし、金融機関に相談する際は、担当者との相性に気をつけましょう。金融機関は営業目的でM&Aを進めてくることがあるため、提案されたM&Aが自社の将来に役立つかどうかを慎重に見極めるようにしましょう。

⑵公的機関

公的機関は、安心して事業承継の相談ができる機関の1つです。商工会議所や事業引継ぎ支援センターといった公的機関であれば、事業承継に関する相談や専門家を紹介してくれます。また、公的機関を通じて事業承継で役立つ税制の申請もできます。

加えて、公的機関の最大の強みは公共性が高い非営利の機関であるという点です。そのため、公平な立場で相談に乗ってくれますし、利益を優先して営業してくるようなこともありません。

⑶会計士・税理士・弁護士など

会計士・税理士・弁護士などの専門家も、事業承継の相談先として有効です。専門家であれば、それぞれの専門知識を活かしてサポートしてくれるため、経営者では対応しにくい手続きも円滑に進むようになります。また、相続や資産などの承継でも力になってくれるでしょう。

⑷マッチングサイト

事業承継用のマッチングサイトでも相談することはできます。マッチングサイトはインターネット上で専門家に相談できたり、M&Aの相手を見つけることができるなど、手軽さが強みです。加えて、報酬もリーズナブルであるため、利用しやすい相談先といえます。

⑸M&A仲介会社

M&Aによる事業承継を考えているのなら、M&A仲介会社に相談するのが最善の方法です。M&A仲介会社はM&Aの支援に特化しているため、プロセスの全面的なサポートを行ってくれます。

以前は「報酬が高い」「大企業しか相手にしない」というイメージがありましたが、最近は報酬体系がリーズナブルなうえに、中小企業に特化している業者も増えています。

M&Aによる事業承継をお考えの経営者様は、ぜひ一度M&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、M&Aの知識・支援経験が豊富なアドバイザーによるフルサポートを行っています。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談をお受けしておりますので、M&Aをご検討の際はどうぞお気軽にお問い合わせください。

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介護業界の事業承継の際のM&A仲介会社の選ぶポイント

ここからは、事業承継の際に必要不可欠なM&A仲介会社の選び方を見ていきましょう。介護業界においてM&A仲介会社を選ぶポイントは、次の3点です。

⑴介護業界に精通している

介護業界に詳しい専門家でなければ、業界の事情を踏まえた事業承継はできません。介護業界における事業承継M&Aの実績がある仲介会社を選ぶようにしましょう。特に介護業界の場合は注意が必要です。

なぜなら、利用者の事情や身体の状況によっては従業員の転籍や拠点の移動が難しい場合もあるからです。事業承継を行うのであれば、できる限り利用者に負担のかからない方法を選ぶ必要があります。

介護業界における事業承継M&Aを実施する際は、介護業界特有の事情に詳しい専門家に相談し、スムーズな事業承継を実施しましょう。また、同じ介護業界の中で後継者や買い手を探すのであれば、介護業界専門のM&A仲介会社に相談するのも効率的です。

介護業界における事業承継M&Aで迷ったら、一度M&A総合研究所にご相談ください。施設介護・老人ホームのM&Aについて、完全成功報酬制(※譲渡企業様のみ)で売却をサポートいたします。施設介護・老人ホームのM&A・売却ならM&A総合研究所にお任せください。経験豊富な専門アドバイザーがお伺いします。

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⑵従業員を大切にしてくれる

超高齢社会に突入した日本では、介護業界は年々市場が大きくなっています。しかし慢性的な人材不足が深刻な問題になっている業界です。従業員が集まらず廃業を考える会社も増えています。

人材不足を補おうと事業承継を実施しても、経営者が変わる際に待遇の変化による不満や今後の経営に対する不安から、離職する従業員も少なくありません。

ただでさえ少ない従業員がこれ以上減れば、会社の経営に深刻なダメージを与えます。事業承継を行う際は、一人でも多くの従業員を残せるよう正しいケアをすることが重要なのです。そのため、M&A仲介会社に事業承継のサポートを依頼する際は、従業員の心情面にも配慮できるところを選びましょう。

また、事業継承を実施する際は、従業員に対して事業承継を行う理由やメリットをきちんと説明しましょう。そうすれば、多くの従業員が社長や経営陣の事情を理解してくれるはずです。M&A仲介会社のサポートを受けつつ、多くの従業員が納得してくれる事業承継を行いましょう。

⑶報酬体系が明確でわかりやすい

事業承継を仲介業者に依頼をするうえで、M&A仲介会社の料金体系のチェックは欠かせません。あとから予想外の請求をされて困ることがないよう、事前に報酬体系はきちんと確認しておきましょう。最近は完全成功報酬制といって、依頼が成功するまで料金が発生しないという制度を取っている仲介会社が多いです。

しかし、相談料、着手金、中間金など依頼成功前に料金が発生する仲介会社もあります。事前に見積もりを出してもらってから、あわてずに決めることも重要です。

M&A仲介会社の料金がよくわからないという方は、報酬基準が明確な「完全成功報酬制」の仲介会社を選ぶのもおすすめです。

介護事業の事業承継を成功させるポイント

ここでは、介護事業における事業承継を成功させるために押さえたいポイントを5つ解説します。手続き前に以下を確認し、リスクを軽減しながら円滑な事業承継を目指しましょう。

事業所の理念を引き継げる承継先か考える

自社の経営理念を引き継いでくれる承継先であれば、従業員も安心して働き続けることができます。逆に経営方針や理念が大きく変更されてしまうと、従業員が違和感を感じ最悪の場合退職する可能性があるでしょう。人材離れが起きてしまっては事業承継を行っても効果が得られません。

再度行政から認可を受ける

株式譲渡の方法でM&Aを行う場合許認可も引き継がれますが、事業譲渡では許認可は引き継がれません。介護事業における許認可を再取得する手続きが必要です。申請が通るまで時間を要するので、計画的に行政手続きのスケジュールを決めておくことをおすすめします。

利用者への影響を最小限にする

介護サービスの利用者への負担が無いように動くことも重要です。これまでの生活に慣れていた入所者が、事業承継後の環境変化に適応できずに不安を抱えることが無いよう配慮しましょう。大きな環境変化で退所してしまっては、M&A・事業承継を行っても損失となる可能性があります。

雇用を確保する

事業承継は売却側の人材を獲得できるのが魅力ですが、事業規模を大きくする際にさらなる人材が必要な場合があります。この際は事業に対応できる数の雇用を確保し、効率的に業務が回るようにしましょう。また、既存従業員の処遇を維持できるような配慮も必要です。

介護事業のデータや資料をまとめる

円滑に後継者(売却先)を見つけるためには、事業の見える化が重要です。介護事業における自社の強みやアピールポイントとなるデータを資料にあらかじめまとめておくと、買収候補に挙がりやすくなります。また、課題やリスクとなる点も併せて公表することで、トラブルを抑えられます。

事業承継・M&Aの成功事例案件を多く持つ専門家に相談

事業承継やM&Aは介護事業に限らず多くの専門知識が求められます。リスクの少ない事業承継を目指すためには、無理に個人の力で進めようとはせずM&A仲介会社などの専門家に相談することが重要です。介護関連事業の成功事例を持つ専門家からアドバイスを受けながらスムーズな事業承継を目指しましょう。

【関連】介護施設の事業譲渡・株式譲渡のポイントとは?動向/事例/相談先も紹介

介護事業の事業承継で気をつけること

介護事業を事業承継する際には、以下の点に注意が必要です。

⑴準備期間を十分に設ける

事業継承の際は、余裕を持った準備期間を設けるようにしましょう。経営者の高齢化による事業承継の場合、体調不良などによって事業承継が中断してしまうケースがあります。

M&Aによる事業承継であっても、下準備をしておかなければ交渉や買い手探しがうまくいかなくなる恐れがあるのです。そのため、準備期間を十分に設け、早い段階から事業承継に着手することがおすすめです。

⑵後継者の教育を行う

後継者へ事業承継を行うのであれば、後継者の教育は徹底して実施しましょう。もし経営や業務の経験が乏しい後継者だった場合、経営が滞るだけでなく、従業員からの人望も得られなくなります。

また、後継者への教育は経営者だけで行うのではなく、さまざまな専門家や信頼できる人物も関わらせることがおすすめです。多種多様な価値観や考え方に触れることで、後継者の思考がより柔軟になります。

⑶強み・アピールポイントをまとめる

M&Aによる事業承継を行うのであれば、自社の強み・アピールポイントを把握し、まとめておきましょう。簡単にいうと、M&Aは「会社」を商品にした売買です。そのため、買い手側がちゃんと興味を示すように、交渉の場でどのように強み・アピールポイントを打ち出していくかが重要になります。

専門家の協力を得ながら強み・アピールポイントをしっかりまとめておけば、交渉で優位に立ち回れるでしょう。

⑷事業承継決定まで従業員には報告しない

M&Aによる事業承継を実施する際は、事業承継が決定するまで従業員には報告しないようにしましょう。従業員への説得材料がない状態で事業承継を実施するという情報が漏れてしまうと、従業員が動揺してしまいます。事業承継は会社の環境を大きく変えるものです。

経営者のワンマンで決めてしまうと、不満や反発を招く可能性があります。

⑸事業承継・M&Aの専門家に相談する

事業承継のM&Aを実施するうえで、専門家に相談することは必要不可欠なプロセスです。事業承継やM&Aに関する専門家がいれば、専門的な知識や豊富な経験に裏付けされたサポートを受けられます。

サポートを依頼するためには費用がかかりますが、理想的な事業承継が実現できる可能性が高くなります。

介護事業の事業承継の成功事例

①ケア21によるトチギ介護サービスの訪問介護事業の譲受

2023年10月、ケア21は文京区の有限会社トチギ介護サービスから訪問介護事業を譲受すると発表しました。

ケア21は首都圏・仙台・名古屋・広島・福岡エリアにおいて、訪問介護事業・グループホーム運営事業・居宅介護支援事業などを手掛けています。

譲渡側のトチギ介護サービスは、文京区・豊島区・北区に利用者へ訪問介護サービスおよび居宅介護支援サービスを提供する会社です。

今回のM&Aで譲渡するのは文京区にある訪問介護事業所と居宅介護事業所の各1拠点ずつであり、ケア21は自社の既存事業所が近隣に位置することから人財・営業の両面で協力が見込め、シナジー創出に期待できるとしています。

参考:株式会社ケア21「有限会社トチギ介護サービスからの事業譲受に関するお知らせ」

②揚工舎によるヒューマンライフケアの有料老人ホームおよび小規模多機能型居宅介護事業の譲受

2023年9月、揚工舎はヒューマンライフケアの有料老人ホーム事業および小規模多機能型居宅介護事業(一部)を譲受すると発表しました。揚工舎は、介護サービス事業や介護人材派遣・紹介事業、介護資格支援の教育事業などを手掛けています。

譲渡先のヒューマンライフケアは、介護事業や介護関連の教育事業を手掛ける企業です。有料老人ホーム「鳩ケ谷の郷」や居宅介護施設「鳩ケ谷の宿」においてサービスを行っています。

本M&Aは有料老人ホームや居宅介護支援など介護事業の拡大、人材紹介派遣事業と資格支援の教育事業における拡充が目的です。

参考:株式会社揚工舎「事業の一部譲受に関するお知らせ」

③I&Hによるリリーライフの子会社化

2023年9月、調剤薬局を全国展開するI&Hは、介護事業を手掛けるリリーライフの全株式を取得し子会社化すると発表しました。

I&Hは、阪神調剤薬局のチェーン運営・医薬品流通事業・介護福祉事業などを展開しています。子会社となったリリーライフは、訪問介護事業・在宅介護支援センターの運営・福祉タクシー事業などを手掛ける企業です。

I&Hは、ケアマネージャー・ヘルパー・管理栄養士・薬剤師など各専門分野の連携を強化し、介護・医療サービスの充実を進めていくとしています。

参考:I&H株式会社「株式会社リリーライフの株式100%の譲受けに関するお知らせ」

④QLSホールディングスによる和みおよびふれあいタウンの子会社化

2023年8月、QLSホールディングスは埼玉県の和みと、石川県ふれあいタウンの2社についての子会社化を発表しました。

QLSホールディングスは、介護福祉事業・人材派遣事業・保育所やこども園・学童クラブなどの保育事業を手掛けています。

子会社となった和みは埼玉県で介護サービス事業を手掛ける企業で、ふれあいタウンは石川県において介護障害福祉事業を行う企業です。

QLSホールディングスは、2社の子会社化によって事業エリアの拡大を図り、サービスの拡充および質向上を目指すとしています。

参考:株式会社QLSホールディングス「株式取得(子会社の取得)に関するお知らせ」

⑤ケア21によるエム・ケー企画の訪問介護事業の譲受

2023年8月、ケア21はエム・ケー企画から訪問介護事業を譲受すると発表しました。ケア21は首都圏・仙台・名古屋・広島・福岡エリアにおいて、訪問介護事業・グループホーム運営事業・居宅介護支援事業などを手掛けています。

譲渡側のエム・ケー企画は訪問介護事業所を運営する埼玉県の企業です。ケア21は近隣にある自社の既存事業所とエム・ケー企画運営の訪問介護事業所とで連携体制を構築することで、シナジー発揮に期待できると判断し、今回のM&Aに至りました。

参考:株式会社ケア21「株式会社エム・ケー企画からの事業譲受に関するお知らせ」

⑥ニチイ学館による在宅介護サービスたんぽぽの子会社化

2023年7月、ニチイ学館は岡山県で在宅介護サービスを手掛けるたんぽぽを完全子会社化すると発表しました。

ニチイ学館は、医療関連事業・教育事業・ヘルスケア事業の3つを柱として事業を展開しており、そのうちヘルスケア事業では訪問介護事業・通所介護事業・有料老人ホームやグループホームの運営などトータル介護サービスを行っています。

子会社となった岡山県のたんぽぽは、認知症対応型の小規模居宅介護施設の運営や共同生活介護施設の運営を手掛ける企業です。ニチイ学館は、たんぽぽの子会社化により、介護サービス提供体制の強化を図り、地域包括ケアに貢献できる体制構築を目指すとしています。

参考:株式会社ニチイ学館「株式会社在宅介護サービスたんぽぽの株式取得(子会社化)に関するお知らせ」

⑦エフビー介護サービスによるスマートケアタウンの子会社化

2023年7月、エフビー介護サービスは、長野県のスマートケアタウンの全株式を取得して同社を子会社化すると発表しました。エフビー介護サービスは、デイサービスや有料老人ホームなどの運営および介護用品のレンタル事業を手掛ける企業です。在宅介護サービスを中心に、関東・信越エリアで118拠点の事業所などを運営しています。

子会社となったスマートケアタウンは、通所介護事業所と小規模型居宅介護施設を長野県岡谷市で運営する企業です。エフビー介護サービスは、本M&Aにより介護事業のエリア拡大を図るとともに、自社のノウハウを活用して業務効率化およびサービス拡充を進め、収益性向上につなげていくとしています。

参考:エフビー介護サービス株式会社「スマートケアタウン株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」

⑧ソラストによるメディカルライフケアの子会社化

2023年4月、ソラストは神奈川県のメディカルライフケアの子会社化を発表しました。ソラストは、保育事業、介護サービス事業、医療関連の受託事業を手がけています。

子会社となったメディカルライフケアは、神奈川県平塚市を中心に介護サービス事業などを行う企業です。ソラストは、メディカルライフケアの子会社化により、現在注力している首都圏エリアの事業拡大およびサービス拡充が図れるとし、本M&Aに至りました。

なお、本株式譲渡契約後、メディカルライフケアは吸収分割方式による会社分割を行ない、存続会社が一部事業を引き継ぐ予定となっています。

参考:株式会社ソラスト「株式会社メディカルライフケアの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」

⑨ウェルビーによる介護事業所運営のナオンの子会社化

2022年12月、ウェルビーは福岡県の有限会社ナオンの全株式を取得し、同社を子会社化すると発表しました。ウェルビーは、就労移行支援事業・療育事業・児童発達支援事業を手掛けており、放課後等デイサービスなどを全国展開しています。

子会社となったナオンは、介護保険法に基づく居宅サービス事業や地域密着型サービス事業を手掛ける企業です。現在は「有料老人ホームうりずん」などの介護事業施設を、福岡県・佐賀県で5ヶ所運営しています。

また、ナオンの子会社であるクロヤマは「有料老人ホームむつみ」など3ヶ所の介護事業所を福岡県で運営しており、本M&Aに伴い同社はウェルビーの孫会社となります。

本M&Aは、ウェルビーの介護事業への新規参入が目的です。ウェルビーは、介護事業へ参入することにより、介護などの社会課題解決に取り組むとしています。

参考:ウェルビー株式会社「株式取得(子会社化及び孫会社化)に関するお知らせ 」

⑩アルトによるサンライフケアのデイサービス事業所の譲受

2022年1月、メイホーホールディングス傘下のアルトは、愛知県のサンライフケアから通所介護事業を譲受すると発表しました。

アルトは、建設事業・介護事業建設・人材サービス事業などを展開するメイホーホールディングスの子会社であり、介護保険法に基づいた介護予防サービス事業・居宅介護支援事業などを手掛けています。

譲渡側のサンライフケアは通所介護事業を行う愛知県の企業です。本M&Aでは同社が運営する通所介護事業所「リハビリデイ えみふる」をアルトが譲受します。

メイホーホールディングスは、今回の事業譲受によって愛知エリアでの事業強化およびサービスの質向上を目指し、運営効率の向上と他社運営の施設との差別化を図るとしています。

参考:株式会社メイホーホールディングス「当社連結子会社における事業譲受に関するお知らせ」

介護事業の事業承継をする際に選ぶべき仲介会社

介護事業の事業承継をする際には、介護事業に強い仲介会社や自社の規模と同等の案件を取り扱っている仲介会社に相談するとよいでしょう。

仲介会社選びにお悩みの際は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、M&Aの知識・経験豊富なアドバイザーによる専任フルサポートを行っています。

M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談をお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせください。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所

介護事業の事業承継のまとめ

多数の利用者を抱える介護事業にとって事業承継による事業の存続は解決すべき課題です。昨今は、さまざまな手法の事業承継があるため、自社に合った手法を選び、専門家の支援を受けながら事業承継を実施するようにしましょう。

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