2021年6月30日更新会社・事業を売る

M&Aの手続きの流れ!検討・相談〜クロージングまで徹底解説【図解あり】

M&Aでは準備段階、交渉段階、契約段階、完了段階と進んでいきます。各段階で注意すべき点があり、M&Aの費用や方法の理解を深めることも大切です。M&A仲介会社やアドバイザリーにサポートしてもらう場合の一連のM&Aの手続きの流れを解説します。

目次
  1. M&Aの手続きの全体的な流れ【図解】
  2. M&A準備段階の手続きの流れ
  3. M&A交渉段階の手続きの流れ
  4. M&A契約段階の手続きの流れ
  5. M&A完了段階の手続きの流れ
  6. M&Aの手続きを進める際のポイント
  7. M&Aの手続きまとめ
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M&Aの手続きの全体的な流れ【図解】

M&Aの手続きの全体的な流れ【図解】

後継者不足に悩む中小企業の増加や、国内市場の競争激化が進んでいます。

それに伴い、経営戦略を効率的に実施する方法として、M&Aは非常に注目を浴びているのです。M&Aの実施によって、事業承継問題の解決を始めとしたさまざまな経営課題を、効率的に解決できます

M&Aを行う際に、費用や方法はもちろん、M&Aの流れに関してきちんと理解を深めるのが大切です。基本的には仲介会社やアドバイザリーに業務をサポートしてもらい、図式のような一連の手続きが必要になるでしょう。

M&Aの手続きの全体的な流れ

M&Aの手続きの全体的な流れ

そこで今回は、M&A仲介会社を利用して行う場合のM&Aの基本的な流れを順番に見ていきましょう。M&Aの流れは、主に準備段階、交渉段階、契約段階、完了段階と進みます。

M&Aの流れでは、売り手(譲渡企業)もしくは買い手企業かによって、実施する実務内容が異なります。

【関連】M&Aの手続きは?自社で必要な準備から最終契約まで解説!

M&A準備段階の手続きの流れ

M&A準備段階の手続きの流れ

まずは、M&A準備段階の手続きの流れを見ていきましょう。

準備段階とは、M&Aを検討し始めた時から、M&Aの相手先を選定するまでの流れです。この段階では、主にM&Aの相手を探す手続きを実行します。

M&Aの相手が決まらないと、M&Aの流れは先に進みません。また、M&Aの相手は誰でも良いわけではなく、自社にとって効果的なM&Aが行える相手を見つけるのが必要です。したがって、準備段階の手続きの流れは、非常に重要です。

M&Aで実施される準備段階の手続きの流れは、下記になります。

  1. M&A仲介会社に相談・検討(売り手)    
  2. 仲介会社の選定・アドバイザリー契約の締結(双方)
  3. 資料の提供(売り手)
  4. ノンネームシートの作成(売り手)    
  5. M&A提案先の選定 (双方)

このような手続きを順番に行い、M&Aに備えていきます。各流れで行う手続きはどのようなものか、詳しく見ていきましょう。

①M&A仲介会社に相談・検討(売り手)

まず、M&Aは自社にとってM&Aが本当に適した選択なのかを考えましょう。第三者承継を考えている場合であれば、親族承継と比較してM&Aを選択するメリットなどを改めて比較します。そのうえでM&Aの目的・譲れない条件などが明確になります。

そして、M&Aの相手探しをスタートします。売り先の会社を見つけるといっても、東京証券取引所1部・2部に上場している会社だけでも2,000社以上あります。その中から、適切な相手を見つけることは非常に困難です。

見つけられたとしても、その後の交渉を自力で進行するのは非常に難しいといえます。したがって、自社にとって適切な相手探しとスムーズな交渉のために、M&A仲介会社に依頼するのがベストです。下記が、M&A仲介会社に相手探しを依頼した場合の一般的に必要となる項目です。

【売り手】

  • M&Aの成功可能性 
  • 売却価格の目安
  • 自社の譲れない条件

売り手の準備段階では、現時点での経営状況や純資産、負債などの正しい状況を把握が必要になります。M&Aの交渉をする際にトラブルとならなってしまう簿外債務、逆にプラス材料となる特許やノウハウなどの洗い出し、準備しておくとスムーズに進みます。

【買い手】

  • M&Aの費用
  • 望ましい買収相手

決算書や企業概要を準備すると良い

M&A仲介会社に依頼する際は、必要に応じて決算書や企業概要も仲介会社に見せましょう。そうすると、その後の見通しを立てやすくなります。

ちなみに、M&A仲介会社がM&A完了までの一連の流れをサポートしてくれるケースがほとんどです。

昨今は、M&Aを全面的にバックアップしてくれるM&A仲介会社が増えており、M&Aをスムーズに進めやすくなっているので依頼を検討してみましょう。

②仲介会社の選定・アドバイザリー契約の締結(双方)

M&Aをサポートする機関には、M&A仲介会社、公認会計士や税理士などの士業事務所、銀行、商工会議所などがあります。

それぞれメリットやデメリットがありますが、M&Aを初めて行う場合はM&Aの相談からクロージングまでサポートしてもらえるM&A仲介会社が良いでしょう。

そして自社にM&Aを任せられると判断した仲介会社と、アドバイザリー契約を結びます。アドバイザリー契約とは、M&Aの仲介業務を依頼する際に結ぶ契約です。またこの契約の際は、M&Aアドバイザリーと今後の流れや報酬面を話し合うのが必要です。

また、この時に秘密保持契約を締結しなければなりません。M&Aの流れでは、双方企業の重要情報を交換します。万が一情報漏えいがあった場合、その後の経営が困難となる恐れもありますので、秘密保持契約によって情報を守ることは不可欠です。

特に売り手企業側は、情報管理を重視する必要があります。なぜなら、売り手企業側の方がM&Aの流れで重要情報を提供するからです。M&Aの実行自体を周囲に知られない方が良いケースは多く、従業員や取引先が、不満を抱く可能性はゼロではありません

M&Aを不本意なタイミングで知られてしまうと、従業員や取引先が離れてしまうこともあるのです。したがって、M&Aの告知手続きを最適なタイミングで行うM&A仲介会社に相談するのがおすすめです。

M&A仲介会社の手数料形態には要注意

M&A仲介会社を選ぶ際には、手数料の形態にも気をつけましょう。M&A仲介会社を利用する際は、着手金やリテイナーフィー、成功報酬がかかります。ただし、仲介会社ごとに手数料は異なっているので、気をつけなければなりません。

選んだ仲介会社によっては、最終的に支払う手数料の額が数千万円単位で変動するケースもあります。極力M&Aの費用を安くするためにも、手数料形態はしっかりと把握しておかなくてはなりません。その際、特に成功報酬に用いられている取引金額に注意が必要です。

譲渡金額が取引金額に用いられている場合が、支払う手数料を安く済ませられます。M&A総合研究所の料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。

また、M&A総合研究所はスピーディーなサポートを実践しており、最短3カ月で成約を実現します。M&Aをご検討される際にはお気軽にご相談ください。

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③資料の提供(売り手)

次の流れでは、売却する側が仲介会社に対して、自社に関する基本情報を提供する手続きに入ります。提供する資料は、M&Aの流れの中で、買収企業を探す際に活用されるのです。

④ノンネームシートの作成(売り手)

売り手側から資料の提供を受けた後、その資料をもとにM&A仲介会社がノンネームシートを作成します。ノンネームシートとは、買い手候補に対して、売り手企業の概要やM&Aの条件を提示するための資料です。

具体的には、事業内容や所在地、売上高、従業員数などが記載されます。この資料では情報漏えいを防ぐために、すべての情報を抽象的に記載しているのが特徴です。しかし、抽象的な情報のみでは、相手企業に自社の魅力を伝えられません。

そこで、ある程度M&Aの流れが進んだ段階で、より詳細な情報を相手に伝えます。その具体的な情報を伝える手続きをネームクリアと呼びます。M&A仲介会社は、ノンネームシート作成の段階で、後々ネームクリアを行っても良いか売り手企業に確認するのです。

⑤M&A提案先の選定 (双方)

準備段階の最後の手続きとして、M&Aの提案先を選定する流れに入ります。この流れは、M&A仲介会社が実行するものです。具体的には、ロングリストやショートリストと呼ばれるリストを作成します。まずはロングリストによって、さまざまな条件に合う企業を20〜30社選定します。

その後、ショートリストをもとに、実際にM&Aを提案する企業を絞り込む流れです。相手候補を選定する主な基準は、下記のとおりです。

  • 基本的な会社情報
  • 売却金額
  • 株主構成
  • 事業内容
  • M&Aに対する姿勢
  • 株価
  • 予想されるシナジー効果

これで、M&A準備段階の手続きは完了となり、以降は本格的なM&Aの交渉へと進んでいきます。

したがって、M&Aの流れの中でも、非常に重要な手続きです。ただ、日本のM&A市場は売り手市場になりがちであり、業界によっては売却案件が見つからない可能性もあります。

【関連】M&A仲介会社おすすめ21選を一覧で比較!企業別の特徴、仲介手数料も紹介

M&A交渉段階の手続きの流れ

M&A交渉段階の手続きの流れ

ここからは、M&A交渉段階の手続きの流れを見ていきましょう。

交渉段階とは、ノンネーム資料の検討から具体的にM&Aの交渉までの流れをさします。M&Aの交渉段階の流れは、下記のとおりです。

  1. ノンネーム資料の提供・検討(双方)     
  2. ネームクリア(売り手)        
  3. トップ面談(双方)     
  4. 条件交渉(双方)

このように、交渉段階では条件交渉の手続きも行うので非常に重要です。各流れで行うプロセスを詳しく見ましょう。

①ノンネーム資料の提供・検討(双方)

最初の流れとしては、M&A仲介会社が買い手企業に対し、M&Aの提案を行う手続きです。

その際、前述した流れで作成したノンネームシートを用います。仲介会社は、希望に合致する可能性の高い企業情報から優先的に提供していくケースが多いです。

したがって、自力でM&Aの相手探しをするよりも、早く見つかります。買収する側は、ノンネーム資料をもとに、M&Aの実施を検討していくことになるでしょう。

②ネームクリア (売り手)

次に、売り手側がネームクリアの手続きに入ります。前述のとおり、ノンネームシートには抽象的な情報しか記載されていません。抽象的な情報のみで、M&Aの実施を決定するのは困難です。したがって、この段階で売り手企業は、さらに詳細な情報を相手に提供する必要があります。

この時、売り手側は自社の強みや魅力を前面に押し出した資料を作成するのが大切です。買収する側は、この資料をもとにその後のM&Aの流れに進むか決定するので、自社に関心を持ってもらわなければならないのです。

その後の交渉に進行するためにも、最大限に魅力を伝えましょう。買い手企業は、詳細な情報を参考にしたうえで、M&Aの実行可否を決定します。

③トップ面談(双方)

買い手企業がM&Aに積極的な姿勢を示すと、次のステップとしてトップ面談の過程に入ります。ネームクリアで詳細な情報がわかっていても、不安や疑問がまだまだ残るはずです。そこで、売り手と買い手の経営者同士が、顔を合わせて面談します。

M&Aの流れで最も大事なことは、経営理念や組織文化の相互理解です。収益性やM&Aのシナジー効果など、数字面でのメリットを追求しましょう。しかし、価値観や理念の合致も非常に重要となっています。

もしも、価値観や経営理念がまったく違う相手とM&Aを実行してしまったら、双方が後悔してしまう事態にもなりかねません。M&Aの流れの中で、双方が納得するまで話し合うのが、M&A成功の秘訣(ひけつ)です。

M&Aの価格交渉がスムーズに進まないケースが多い

M&Aの価格交渉は、スムーズに交渉が進まないケースもよくあります。M&A価格のすり合わせは非常に重要なのです。企業価値に正解はなく、基本的には交渉によって決定します。とはいえ、目安となる相場がないと、M&Aの交渉が平行線となってしまうでしょう。

そこで、企業価値の相場を算出する方法があります。企業価値の算出方法にはさまざまなものがあり、最適な手法は場面や企業の規模などによって異なるので気をつけなければなりません。例えば、未上場のベンチャー企業の場合、マルチプル法が用いられます。

一方で、歴史のある中小企業の場合、簿価純資産価額法が活用されるケースが多いです。企業価値の算出手続きでは、状況に適した手法を用いるのがベストとなります。このように、企業価値の算出手続きは非常に複雑ですので専門家に依頼するのが最適です。

以下の動画で弊社M&Aアドバイザーが計算例を用いてマルチプル法を解説しておりますので、ぜひご覧ください。

④条件交渉 (双方)

トップ面談の手続きを終えたら、いよいよ具体的な条件交渉の流れへと入ります。前段階で実施するトップ面談は、信頼関係の構築や価値観の理解が目的です。一方でこの段階は、買収価格や従業員の処遇、M&Aの方法を決定する流れとなります。

その際に買い手側は「意向表明書」と呼ばれる書類を作成し、相手企業に提示しなければなりません。意向表明書とは、用いるM&A手法(株式譲渡など)や買収価格、スケジュールなどに関する希望を記載したものです。

買収する側はこの書類の提示により、売り手に対して買収に際する意向を伝えます。ただし、意向表明書の提出を経ずに、その先の流れへと進むM&A事例もゼロではありません。意向表明書を提出するか否かは、買い手側の考え次第となります。

ただし、意向表明書が提出された方が、お互いにM&Aに前向きになれて手続きが円滑に進みやすいので、できるだけ出す方向に持っていった方が良いでしょう。以上で、M&A交渉段階の流れや手続きは完了です。いよいよ次からは、最終的なM&A契約の流れに入ります。

なお、ここまでの手続きで出てきたノンネームシートや企業価値の算定をもっと詳しく知りたい場合は、以下の関連記事もご覧ください。

【関連】ノンネームシートとは?意味やM&Aでの活用、情報漏えいの危険性を解説
【関連】企業価値の算定方法

M&A契約段階の手続きの流れ

M&A契約段階の手続きの流れ

契約段階とは、基本合意契約の締結から関係者への公表までの手続きを行う流れをさします。これにより、M&Aの流れは完了となるのです。

M&A契約段階の手続きの流れは、下記のようになります。

  1. 基本合意書の締結(双方)
  2. 秘密保持契約締結(双方)     
  3. デューデリジェンスの実施(買い手)     
  4. 最終条件に関する交渉(双方)
  5. 株主総会(手法による)     
  6. 最終契約の締結・クロージング(双方)     
  7. 関係者への公表(双方)

最後の関係者への公表手続きが完了するまで、気を抜かずに行わなければなりません。それでは、各流れで行うプロセスを詳しく見ていきましょう。

①基本合意書の締結(双方)

売り手・買い手双方の希望条件がおおよそ一致した時点で、基本合意書を締結します。

基本合意書に記載されるのは、下記の項目です。

  • 買収方法
  • 買収価格
  • 今後の交渉期間
  • 最終契約の締結時期
  • 独占交渉権や秘密保持契約に関する内容

必要に応じて他の項目を付け足したり、はずしたりするのも可能です。

今後のM&Aの流れをスムーズに進行するうえで、基本合意書の締結手続きは非常に重要となってきます。その中でも、独占交渉権は特にしっかり考えるべき項目です。

独占交渉権とは、特定企業との取引をしないことを約束する権限をさします。この権限を用いることにより、買い手側は他社と競争せずにM&Aを実施できるのです。上記のとおり基本合意書の手続きは、M&Aの流れの中でもていねいに行わなければなりません。

しかし、実は基本合意書の締結は義務ではありません。中には基本合意書を締結せずに、M&Aの流れを進めるケースもあります。とはいえ、その後の流れでトラブルが生じる可能性も高いです。

そのリスクを減らすためにも、締結した方がお互いにとってメリットとなります

法的拘束力を持つ基本合意書も締結できる

基本合意書は、多くの場合で締結されるのですが、この基本合意書に法的拘束力を持たせることも可能です。ただし、すべての事項に拘束力を持たせると、かえって不利益が生じる可能性があります。その際たる例が、買収価格です。法的拘束力を持たせて、買収価格を固定したとしましょう。

その後の流れで行った調査によって、想定以上に企業価値が低かった場合、買い手側は損をしてしまいます。このように、何に対しても法的拘束力を持たせれば良いわけではありません。M&Aの流れを円滑にする部分にのみを設定しましょう。

基本合意書に関して少しでも不安があるなら、M&A仲介会社などの専門家に納得できるまで質問するべきです。

②秘密保持契約締結(双方)

基本合意契約とほぼ同じタイミングで締結するものが秘密保持契約です。

秘密保持契約はその名のとおり、M&Aに関する情報の一切を秘匿するために締結される契約のこととなります。さきほどもお伝えしましたように、M&Aに関するすべての情報は秘匿しなければならないものです。

M&Aは異なる会社同士が経営統合を行うものであり、情報漏えいが従業員や取引先を動揺させてしまう恐れがあります。最悪なケースの場合、競合他社が当事者よりも先に、より条件のいいM&Aをしてくる可能性もあります。

これはM&Aのプロセス全般でもいえることであり、後述する関係者への公表の段階まで、つまりはM&Aが成約するまで秘匿しておく必要があります。秘密保持契約の締結は、他の手続きと比べてあまり重要ではないものに感じるかもしれません。

しかし、M&Aを安全に遂行するうえで不可欠な手続きといえますので、気を抜かずにしっかりと秘密保持契約を結んでください。

③デューデリジェンスの実施(買い手)

基本合意契約を締結したら、次にデューデリジェンスの手続きを実施する過程に入ります。デューデリジェンスとは、M&Aを行う相手企業の情報を詳細に調査する手続きです。買収する側が、相手企業の調査を実施します。

M&Aには、さまざまなリスクがあります。例えば訴訟の存在や減損リスク、簿外債務などです。リスクを抱えた企業を買収すると、M&Aの効果が現れないどころか、かえって経営状態が悪化する恐れもあります。

最悪の場合、経営をそれ以上続行できないほどの、深刻なダメージを負う恐れもあるので気をつけなければなりません。したがって、M&Aの失敗につながるリスクを回避するためにも、デューデリジェンス手続きは不可欠です。

デューデリジェンスの種類

デューデリジェンスは、それぞれの分野の専門家に依頼するのが一般的です。売り手側の事業内容やM&Aのスケジュール、費用なども考慮したうえで、どのデューデリジェンスを実施するかを明確にしましょう

明確なゴールに向けたデューデリジェンスを行うのは、理想的なM&Aを実現するために必要です。また優先順位をつけると時間やコストを無駄にしません。デューデリジェンスは、主に以下のような種類があり、M&A仲介会社の主導で進行します。

  • 法務デューデリジェンス
  • 財務デューデリジェンス
  • 税務デューデリジェンス
  • ビジネスデューデリジェンス

デューデリジェンスには多くの費用が発生する

デューデリジェンスを実施すると、M&Aにおけるリスクを最小限に抑えられます。しかし、すべての分野で実行すると、莫大な費用がかかります。最低でも、デューデリジェンスには50万円〜300万円もの費用を要するので覚えておいてください。

重要な分野とそうでない分野を分けて、自社にとって必要な部分のみを実行するのがベストです。ここの流れで実行する調査手続きは、売り手にとっても重要なものとなります。ここで自社にとって都合の悪い情報を隠してしまうと、後々トラブルが発生する可能性も高いです。

売り手側は調査に対して積極的に協力し、誠実な対応を心がけましょう。

④最終条件に関する交渉(双方)

デューデリジェンスの手続きが完了したら、いよいよ最終的な交渉に進みます。買収する側は、これまでの流れで得られた情報をもとに、M&Aを実行するか否かを最終決定するのです。M&Aを実行すると決断したら、最終条件の交渉へと進みます。

しかし、用いるM&A手法によっては、株主総会の特別決議等の手続きを経ることも必要です。M&A手法ごとに、必要となる手続きは異なります。M&Aを実施する際には、必要な手続きを事前に把握しなくてはいけません。

この最終交渉では、下記項目を決定する必要があります。M&Aのスケジュールに沿って、問題なく契約を締結するためには必須の内容ばかりです。

  • 株価
  • 従業員
  • 社長の処遇
  • 譲渡代金の支払い方法

最終交渉をおろそかにしてしまうと、M&A成立後の流れで大きなトラブルが生じる恐れがあります。これまでの流れで費やした時間や手間を無駄にしないためにも、しっかりと手続きしましょう。

⑤株主総会(手法による)

これは手法によって変わりますが、株主総会の開催手続きをする必要がある場合もあります。

この際、特別決議を得てM&A自体の承認をもらい、必要な情報を株主総会議事録に残すなど、いくつかのプロセスをこなす必要があります。

また、譲渡制限株式を発行しており、承認機関を株主総会に設定しているのであれば、必然的に株主総会を行う必要が出てくるでしょう。株主総会はM&Aの交渉に直接関わることではありませんが、M&Aの成否を左右するものです。

当然ながら、M&Aに利益がないと判断されれば株主の反発を受け、最悪M&A自体が頓挫(とんざ)する可能性もあります。したがって、株主の理解が得られるように、うまく説明を行うのがポイントです。

⑥最終契約の締結・クロージング(双方)

双方がM&Aに合意できたら、最終交渉の流れで決定した事項にもとづいて、最終契約を締結する手続きを行います。

基本的には、この手続きでM&Aの流れはいったん完了します。ただし、その後も諸手続きを実施しなければならないケースもあります。具体的には、契約に従って会社の引き渡しや買収代金の支払いをする必要があり、代表者の変更も実施します。

これが、いわゆるクロージングと呼ばれる手続きです。クロージングはクロージング条件を満たしているのが必須です。クロージング条件は、虚偽事項がなく、事前に取り決めた内容に沿って行われていれば問題はありません。

最終契約の締結からクロージングの間には、ある程度時間があきます。その間に、これから紹介する関係者への公表を行うのが一般的です。しかし、契約とクロージングを同時に完了する事例もあります。

特に中小企業のM&Aでは、契約とクロージングを同日中に実行するケースが大半です。ただし、大企業は組織再編目的でM&Aを行うケースも少なくありません。組織再編M&Aでは、手続きに1カ月以上かかることも少なくありません。

M&Aのスケジュールを立てる際は、計画に余裕を持たせておくと安心して手続きを進められるでしょう。

⑦関係者への公表(双方)

最後に、関係者に対してM&Aを実施した旨を公表します。具体的には、従業員や取引先などの関係者に伝えることになるのです。その中でも、特に従業員への公表は重要です。優秀な従業員の存在は、M&A後のシナジー効果を発揮するうえで大切です。

しかし、組織が変わったことによって、従業員のモチベーションが低下してしまい、離職してしまう可能性もあります。そうなると、シナジー効果がうまく発揮されず、M&Aが失敗となる可能性もゼロではありません。

M&Aを完全に成功させるために、M&Aの前後でしっかりと従業員とコミュニケーションを取りましょう。そうすれば、M&A後の統合手続きもスムーズにできます。これで、M&Aの流れは完全に完了となるのです。

【関連】M&Aの基本合意書
【関連】買収監査(デューデリジェンス)とは?意味やM&Aでの活用、必要書類を解説

M&A完了段階の手続きの流れ

M&A完了段階の手続きの流れ

M&A自体は、さきほどお伝えした交渉段階の手続きで終了しますが、完了段階ではM&Aを行った際に発生するシナジー効果を得るための手続きが行われます。この手続きを総じてアフターM&A(PMI)と呼び、M&Aの成功には欠かせません。

M&Aはただ契約を締結して完了するわけではなく、その後しっかりアフターM&Aを行い、経営統合を進めていくのが重要です。しかし、多くの経営者はM&Aの交渉や調整にばかり体力や時間を取られてしまい、アフターM&Aができなくなってしまうケースも少なくありません。

もしアフターM&Aを怠ってしまうと、M&Aで得られるシナジー効果が減少してしまいます。アフターM&Aを行うM&Aの完了段階の流れは、下記のとおりです。

  1. 組織体制・業務の整理(PMI)
  2. 従業員同士のコミュニケーション・フォロー
  3. 新たなリスクへの対処

安易にM&Aが完了したと安心せず、最後まで手続きを遂行するべきです。各流れで行う手続きを詳しく見ましょう。

①組織体制・業務の整理(PMI)

異なる会社同士が経営統合を行う以上、最初に着手しなければならないのは組織体制・業務の整理(PMI)でしょう。

組織体制・業務の整理(PMI)の検討は、M&Aの着手時から開始されて、デューデリジェンスの過程で具体化され、クロージングまでの間に短期的見直しの計画へと練り上げます。

短期的見直しを進めながら、中長期的な統合計画が策定され、経営統合へと進みます。組織体制や業務のプロセスが異なっているのは当然であり、どれを残すのか、それとも統合するか、改変するかは十分に検討されるべきです。

このプロセスでは、理想としている組織モデルや決めるべき優先順位を明確に進めていく必要があります。もし対応を間違えると、従業員の不満が起きやすく、日常的な業務が滞ります。かえってコストが増えてしまう恐れもあるので、注意が必要です。

②従業員同士のコミュニケーション・フォロー

M&Aの完了段階での組織体制・業務の整理と並んで重要な手続きは、従業員同士のコミュニケーション・フォローです。M&Aを行った後は、企業文化が違う会社の従業員同士がともに仕事を行っていくようになります。

そのため、従業員がきちんとコミュニケーションを取り合って業務に集中できるよう環境を整え、必要があればフォローをしていくべきでしょう。価値観の違う職場にいた従業員同士のコミュニケーションに齟齬(そご)が起きれば、いらぬトラブルを生むことがあります。

また、従業員の離職につながる場合があります。実際、M&Aや職場環境の変化に反発して従業員が大量離職し、事実上M&Aが失敗に終わったケースも少なくありません。とりわけ、事業の中核を担う重要な従業員が離職してしまうと、事業の価値が大きく損なわれてしまいます。

さらに、重要な機密情報の流出が起こってしまうこともあります。売り手となる会社は、それらの点に気をつけておき、できるだけフォローしておくようにしましょう。

③新たなリスクへの対処

M&Aは、デューデリジェンスなどで念入りにリスクの洗い出しを行ってから完了するものですが、クロージングの後になってからリスクが発生するケースも少なくありません

実際、過去のM&Aの事例では、経営統合が開始された段階で不正や債務が見つかったこともあります。

これにより、ただでさえ経営統合や従業員のフォローをしなければならない時期に、リスクの早急な対処に追われるようなケースがあるのです。また、新たなリスクが発生しなくても、その後の経営環境や市場の変化によって期待されていたシナジー効果が上がらないケースもあります。

それでも、多少の差異ならまだいいのですが、減損損失が発生してしまうケースも少なくありません。当然ながら、すべで想定どおりに物事が進むとは限りません。M&Aが成約した後も、油断せずにリスクに備えておきましょう。

M&A仲介会社に、M&Aが成立してからも相談に乗ってもらえるのかを事前に確認しておくと安心です。

【関連】M&Aのクロージング

M&Aの手続きを進める際のポイント

M&Aの手続きを進める際のポイント

中小企業がM&Aの手続きを進行する際の最大のポイントは、本当にM&Aの選択でいいのか、他の手段の方が自社には合っているのではないかなど、十分に検討を重ねるのが重要です。その際に、中立的なアドバイスをM&Aの専門家に相談するのがおすすめです。

また、利害関係者の把握や調整、議決権の確保、売却価格の検討、M&Aを依頼する先の選定なども並行して準備します。

そしてM&A契約成立後から本当の意味でのM&Aの成否の分かれ目といっても過言ではありません。事業の引き継ぎや実質的な経営がスタートするため、アフターM&A(PMI)と呼ばれる作業こそがM&Aの総仕上げになります。

M&Aの手続きまとめ

M&Aの手続きまとめ

今回は、M&A手続きの流れや具体的な手続きの内容をご紹介しました。

M&Aの手続きには、通常3カ月から1年の時間を要します。M&Aの流れの中で、何かしらのトラブルが発生した場合、さらに時間を要する恐れもあるので気をつけなければなりません。期間が長引くと、それに伴い費用や労力も増えます。

期間が長引くことは、売り手・買い手双方にとって好ましくありません。

信頼できる、そして一緒に進められる仲介会社に依頼をして、リスクを抑えながら進めていきましょう

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