2024年1月28日更新会社・事業を売る

M&A仲介とは?FAとの違いや仲介会社の役割・依頼費用・メリットと選ぶときの注意点を解説!

多くのプロセスで専門的な知識や経験が必要となるM&Aを進めるためには、仲介会社のサポートが不可欠です。この記事では、中小企業初めてのM&Aでも安心して実施できるよう、M&A仲介会社に関する情報やM&A仲介会社の見極め方などを解説します。

目次
  1. M&A仲介とは
  2. M&A仲介の動向
  3. M&A仲介会社に依頼するメリット・目的
  4. 中堅・中小企業のM&Aについて
  5. M&A仲介会社選びの見極め方・注意点
  6. M&A仲介会社に依頼する際の報酬・費用
  7. M&A仲介会社の利益相反とは
  8. M&A仲介会社がサポートする3つのM&A手法を比較
  9. M&A仲介会社の比較に関するQ&A
  10. M&A仲介会社の比較まとめ
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M&A仲介とは

M&A仲介とは、会社を売りたい「売り手企業」と会社を買いたい「買い手企業」の間に入り、M&Aを成功に導くために、中立的な立場で交渉や助言などのサポートを行うことを指します。

M&Aではファイナンシャルアドバイザー(FA)という言葉を聞いたことがあるかもしれません。FAは売り手もしくは買い手どちらかにつき、アドバイスを行います。
M&A仲介がFAと異なる点は、売り手企業と買い手企業の間に入ることと、双方の間に立ち客観的中立の立場で交渉を行うことです。

M&Aとは企業の買収合併を表す言葉であり、近年ニュースなどでM&Aを扱う頻度が増えています。法務・税務・会計などが複雑に絡み合う企業活動で、M&A仲介会社には知識と経験が必須とされます。

企業がM&Aを行う場合、相手企業を探すためにM&A仲介会社へ依頼するケースが一般的です。

M&A仲介会社ごとに採用する手法は異なる

M&A仲介会社の中でも、各社ごとにM&Aをサポートする体制は異なります。

一人の担当者が買い手企業と売り手企業の双方とやり取りして初期検討、成約、PMIまで担当する場合や、買い手企業と売り手企業とで担当者を分ける場合もあります。

会社ごとに手法は異なりますが、売り手・買い手の双方が満足のいく交渉・調整を行う働きがあります。

M&A仲介会社とFAの違いを比較

ここでは、M&A仲介会社とFAの違いを比べます。特徴・役割、業務内容、手数料の違いについて見ていきましょう。

M&A仲介会社の役割

M&A仲介会社は、M&Aの仲介を行う特徴・役割があります。中立的な立場で、買収側と売却側の双方に利益があるようM&Aを進めるのです。

FAは、買収側か売却側の利益が最大限になる役割を担います。ただし、契約した側の期待に応えることに努めすぎて、交渉がうまくいかなくなる可能性もあるでしょう。

中小企業はM&A仲介会社を利用し、上場企業などの大手企業はFAを利用するのが一般的です。

業務内容

M&A仲介会社は、売却側と買収側が決まっていない段階からサポートし、マッチングを行います。つまり、相手探しからM&A成立までの業務内容を担うのです。

FAは、すでに売却側と買収側が決定して交渉を行う段階で、サポートします。契約した側の利益が最大限になるよう、M&Aのアドバイスを行うのです。アドバイスの内容は、M&A手続きの正当性や法律的に違反していないかなどになります。

手数料

M&A仲介会社は、買収側と売却側の双方へ手数料を請求します。FAは、契約した側のみへ手数料を請求するので、手数料に関してもM&A仲介会社とFAは相違点があるのです。

M&A仲介の動向

中小企業の経営者の間で、M&Aに関する知識がまだ十分でないことを踏まえ、2020年3月には中小企業向けの「中小M&Aガイドライン」が策定されました。このガイドラインは、M&Aをサポートする事業者(仲介者やファイナンシャルアドバイザー)向けの手引書としても機能し、状況に応じて随時更新されています。

2021年9月には、中小企業が安心してM&Aに取り組めるよう「M&A支援機関登録制度」が設けられました。2022年度の公募では、この制度に登録されたファイナンシャルアドバイザーや仲介業者の数が2,887件に増加し、前年度の2,823件を上回りました。登録業者には、M&A専門業者、税理士、公認会計士、地方銀行、信用金庫・信用組合などが含まれています。

さらに、2021年10月にはM&A業界の健全な発展を目指し、「M&A仲介協会」という一般社団法人が設立されました。この協会は、M&Aに関連する法令や制度の啓発、人材育成、事業承継に関する相談窓口の運営などを行っており、日本M&Aセンター、ストライク、M&Aキャピタルパートナーズ、オンデックなどのM&A仲介会社が理事として参加しています。

M&A仲介会社に依頼するメリット・目的

M&A仲介会社にサポートを依頼すると、M&Aの成功率は高くなります。

適正価格で売却できる

企業価値算定後、最終的に買い手と売り手の交渉で売買価格が決まります。売り手企業はできるだけ高く売却したいと考え、買い手企業はできるだけ安く買いたいと考えるのが常です。したがって、場合によっては交渉が難航します。

M&A仲介会社が交渉の間に入れば、第三者的観点から釣り合いの取れた適正価格を導き出すことが可能です。多くの場合、当事者が直接交渉するよりもスムーズに話がまとまります。

最適なM&Aの相手先の発掘や見極めができる

M&A仲介会社に依頼することで、買い手企業が見つかりやすくなります。M&A仲介会社は買い手情報を常に持っているからです。したがって、スピーディーにM&Aが成立するでしょう。

売却側が自力で買い手企業を見つけるには、かなりの時間と労力がかかります。M&A仲介会社に依頼すれば、条件に合致した買い手企業候補を探してくれます。時間効率を考えると買い手企業探しでは専門家が強い味方です。

円滑にM&Aを行える

M&A仲介会社は譲渡側企業・譲受側企業の考えや希望を汲み取り、そのうえで双方の折り合えるところをみつけ交渉をまとめていくため、当事者間で直接交渉を行うよりも円滑なM&A実現に期待できます。

また、M&Aが成立するまでには条件交渉だけでなく、必要書類を作成したり、行政への届け出をしたりする場面も多いです。これらの工程を自社の通常業務を行いながら進めていかなければならないのは、経営者として負担が大きなものとなります。

交渉や書類作成などM&Aに必要な工程をサポートしてもらえるため、自社の事業への影響を最小限にとどめて、円滑に進めていくことが可能です。

契約やデューデリジェンスなど専門的な対応を任せられる

M&A仲介会社であれば、契約やデューデリジェンスなどM&A特有の対応を任せられます。

デューデリジェンスでは、法務・税務・会計・労務など幅広い専門知識が必要です。M&A仲介会社は、M&Aにかかわる一連の対応を万全の体制で引き受けてくれます。

経営者は本業に集中できる

M&A仲介会社にサポートを頼めば、経営者は本業に集中できます。M&Aが完了するまでに要する期間は、約10カ月〜1年程度です。その間、経営者が独力で対応すれば、非常に膨大な作業をこなさなければなりません。

経営がおろそかになり業績に悪影響が出ると、買い手企業からの評価が下がる恐れもあるので、M&Aの実務は仲介会社に任せ、経営者は本業に専念する環境が望ましいでしょう。

M&Aをご検討の際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所では、M&Aの知識や経験の豊富なM&Aアドバイザーが、親身になって案件をフルサポートいたします。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります。)無料相談を受け付けておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所

中堅・中小企業のM&Aについて

今、中堅・中小企業のM&Aが盛んに行われています。

それに応じて、M&A仲介会社の利用を検討する中堅・中小企業も増えています。

大企業のM&Aとの相違点

中堅・中小企業と大企業のM&Aでどういった違いがあるのか解説します。

目的

大企業と中堅・中小企業ではM&Aの目的が違います。

それぞれ以下のように目的を持ってM&Aを行います。

  • 大企業:市場シェアの拡大・破綻企業の再生
  • 中堅・中小企業:後継者不在の解消

近年、後継者不在に悩む中堅・中小企業が多くなっています。M&Aの目的は今よりも事業規模を拡大させるものではなく、後継者を見つけるために行われることが多いです。

株主に対するリスク

株主に対するリスクの大きさも大企業と中堅・中小企業では全く違います。

  • 大企業:不特定多数の株主が存在する
  • 中堅・中小企業:経営者と株主が同一のことが多い

大企業では株主からの訴訟など法的リスクを回避する必要があり、ファイナンシャルアドバイザー(FA)をつけて交渉を行う傾向があります。一方で中堅・中小企業では株主と経営者が同一であることが多いためスムーズにM&Aが行われることが多いです。

中堅・中小企業がM&A仲介会社を選ぶ理由

なぜここまで中堅・中小企業のM&Aに仲介会社が選ばれているのでしょうか。
 

コミュニケーションがとりやすい

中堅・中小企業はM&Aを頻繁に行うケースはありませんので、仲介会社を利用してコミュニケーションを取る必要があります。

また法律面やその他手続きをスムーズに進めるためにも仲介会社の利用は欠かせません。お互い主張すべきところは主張し、客観的に判断すべきところは判断し妥協点を見つけやすくなることが仲介会社を利用するメリットの1つです。

最適な相手先候補を探せる

中堅・中小企業のリソース的に難しい相手先候補を探すことも仲介会社が行ってくれます。M&A仲介会社は幅広いネットワークを活用し、依頼企業の希望する条件にマッチする相手先を探します。特に成功事例を多く持っていたり、業界の強みを持つM&A仲介会社でる場合、自社単独で行うよりも、希望条件に合う企業が見つかる可能性が高くなります。

M&A手続き全般をサポート

最適な相手先候補探し以外にもM&A手続きのサポートも行ってくれます。M&Aでは企業価値の算出、必要書類の作成、相手先企業との交渉といった手続きを経験豊富なM&A仲介会社に依頼することで自社に不都合な条件をさけM&Aを行うことができます。
 

M&A仲介会社選びの見極め方・注意点

近年、M&Aが活発であることを受け、M&A仲介会社も急増しました。初めてM&Aをする場合などは、どのM&A仲介会社を選ぶか迷うかもしれません。以下では、自社に適したM&A仲介会社を探すポイントを紹介します。

①得意な業種

どのような業種を得意としているM&A仲介会社なのか、確認しましょう。多くの会社は「非特化型」といって、得意業種を決めずにどのような会社でも対応します。しかし、実績を見てみれば、自然とどの業種が得意かわかるはずです。

M&Aを実施するうえで、仲介会社がそれぞれの業種に対して知識や理解があることは重要になります。M&A自体の実績がある仲介会社でも、未経験である業種への対応では不安感が拭えません。業務を正式依頼する前の相談時に、過去に対応した業種を確認しましょう。

非特化型とは逆に、特定業種に絞って対応しているM&A仲介会社もあります。そういった仲介会社の選択は1つの選択肢です。

②得意なM&Aの規模

M&A仲介会社がどのような規模のM&Aを得意としているのかも確認しましょう。対応しているM&Aの規模によって、必要なスキルや持っている企業の情報が異なるからです。

たとえば、銀行や証券会社もM&A仲介を行っていますが、数十億円以上の大規模なM&Aしか取り扱っていません。大企業を得意としているM&A仲介は、報酬額も高く設定していることが多いです。

中小企業・中堅企業であれば「スモールM&A」「マイクロM&A」を全面に押し出しているM&A仲介会社を選ぶとよいでしょう。最近は、中小企業専門に業務を行うM&A仲介会社が増えているので、探しやすいです。小規模な企業でも報酬が支払える料金に設定してあるので、利用しやすいでしょう。

③専門家の有無

M&A仲介会社に専門家が在籍しているか確認しましょう。M&Aを実施する際、法務・会計・税務などの専門的な知識が必要不可欠です。M&Aでは契約書の作成やデューデリジェンスでの対応など、わからないことが多く出てくることが予想されます。

社内に専門家が在籍していれば、気軽に質問ができ、早く回答を得ることが可能です。ホームページを見たり、相談時に専門家が社内にいるのかを確認したりしましょう。仮に社内に所属していない場合は、士業事務所と提携しているか尋ねてください。

④ネットワークの広さ

M&A仲介会社におけるネットワークの広さも大切です。M&Aでは、買い手企業探しに一番時間がかかるともいわれます。したがって、M&A仲介会社が、どれほど豊富に買い手企業候補とのネットワークを持っているかが重要です。

ネットワークの広さに自信のあるM&A仲介会社は、ホームページに記載しています。相談時に、何社ほど買い手企業候補を紹介してもらえるのか確認するのもおすすめです。

⑤わかりやすい報酬体系

報酬体系のわかりやすさをチェックしましょう。M&A仲介会社の報酬体系は、着手金・中間報酬・成功報酬など複数回にわたる支払いが一般的でしたが、近年は、支払いが1回のみのわかりやすい報酬体系として、完全成功報酬制を用いる仲介会社も増えています。完全成功報酬制のM&A仲介会社であれば、M&Aが成立する時点まで支払いがありません。売り手は、M&Aの対価を獲得してからの報酬支払いなので、資金繰りに苦労することもないのです。

チェックするポイントとしては、以下の点を見ることをおすすめします。

  • 相談料や着手金の有無
  • 月額報酬の有無
  • 成功報酬の費用

ほとんどのM&A仲介会社は、ホームページ上に報酬体系の説明を掲載しているので確認できます。わかりづらい点があれば、事前相談の段階で質問し明らかにしてから依頼するか決めましょう。

M&A仲介会社に依頼する際の報酬・費用

M&A仲介会社の報酬体系や発生する費用は、会社によってさまざまです。一般的に、以下の報酬が発生すると考えておきましょう。

相談時に数千円の相談料がかかったり、専門家への問い合わせで費用が発生したりすることもありますが、一番大きな費用は上記の着手金・中間報酬・成功報酬です。これらの内容を確認していきましょう。

相談料(事前相談)

相談料とは、M&A仲介を依頼する前の初期相談時の手数料のことです。M&Aの具体的な相談だけでなく、「M&Aに興味があるが実際どのような取引なのか?」、「そもそもM&Aをすべきなのか?」などの初歩的な相談ももここに含まれます。

近年はほとんどのM&A仲介会社では相談料無料です。有料の場合は、1回につき数千円〜1万円程度が相場となっています。初回相談時は無料であっても、2回目以降は有料であったり、時間制料金の場合もありますので事前に確認することが大切です。

着手金

着手金とは、M&A仲介会社に業務依頼をするときに支払う費用です。着手金を支払うことでM&A仲介会社は買い手企業を紹介したり、企業価値算定を行ったりします。したがって、着手金の発生タイミングは、アドバイザリー契約締結時です。

会社によって設定金額は異なりますが、無料〜200万円が相場となっています。近年は、着手金を無料とするM&A仲介会社も増えてきました。

中間報酬

中間報酬とは、当事者間でM&Aの基本合意書を締結したときに支払う費用です。基本合意書締結後のデューデリジェンスで問題が出なければ最終契約締結となることから、成功報酬の一部といった位置づけで支払います。

中間報酬は成功報酬額の10%〜30%で設定している会社が多いですが、完全成功報酬制の会社では中間報酬が発生しません。一度支払うと戻ってこない費用であるため、金銭的リスクを軽減させたい場合は中間報酬のないM&A仲介会社を選ぶとよいでしょう。

デューデリジェンス(買収監査)費用

デューデリジェンスとは、基本合意書締結後に売り手企業の調査を行うことです。士業などの専門家を起用し、財務・税務・法務・労務・IT・ビジネスなどの各分野について細かく調査を行います。

買い手が実施するものなので、費用負担者は買い手であることが一般的です。節約のためにとデューデリジェンスをおろそかにすると、成約後に売り手側の問題が発覚し、大きな損失を被ることがあります。

デューデリジェンス費用の相場は会社の規模や調査範囲により大きく変動しますが、大まかな相場観としては、数十万〜200万円程度です。

成功報酬

成功報酬とは、M&Aが成立した時点で支払う費用です。ほとんどのM&A仲介会社では、成功報酬額の算定をレーマン方式で行います。レーマン方式とは、基準金額に対し、定められた料率を掛け合わせて金額を算出する方式です。

多くのM&A仲介会社で以下の料率が採用されていますが、違うケースもあるので事前によく確認しましょう。

基準額 手数料率
5億円以下の部分 5%
5億円超〜10億円以下の部分 4%
10億円超〜50億円以下の部分 3%
50億円超〜100億円以下の部分 2%
100億円超の部分 1%

基準額の設定は、会社によって違うので注意しましょう。基準額を大別すると以下の3パターンです。

  • 譲渡対価レーマン方式:M&Aの成約金額≒株式価額
  • 企業価値レーマン方式:株式価額+有利子負債
  • 移動総資産レーマン方式:株式価額+負債総額

譲渡対価レーマン方式がコストを抑えやすい方式といえます。ただし、借入金などが多い企業は個人保証が解除されるなどのメリットが大きくなるため自社の負債に合わせてどの方式を取り入れている機関を選定することが重要です。

計算例

例えば基準金額が9億のとした場合、

  • 5億円×5%(5億円以下の部分) = 2,500万円
  • 4億円×4%(5億円超10億円以下の部分) = 1,600万円

成功報酬は4,100万円となります。

月額報酬(リテイナーフィー)

月額報酬とは、M&A仲介会社と契約している期間中に顧問料のような形で毎月発生する手数料のことです。仲介業務に必要な人件費などをまかなうためにあります。

M&Aは成約までの期間が不確定です。M&A仲介会社としては、長引くほど月額報酬の負担が大きくなる点がデメリットとなります。月額報酬を成功報酬の前払いとして扱う仲介会社もあり、その場合は成約すれば損失を被ることはありません。

月額報酬は、成約せずに終わった場合でも返金されないため注意が必要です。近年は月額報酬を無料に設定しているM&A仲介会社が圧倒的に多いため、まずは無料の機関から相談先探しを行うとよいでしょう。

業務遂行時に生じた実費

M&A仲介会社の中には、手数料とは別計算で委託業務の中で生じた実費を求める会社もあります。実費の具体例としては、企業価値評価の一環で、売り手企業が遠方に持つ工場などに赴いた際の交通費・出張費などです。
実費などの請求は行わず、全て成功報酬に含めるとしているM&A仲介会社も多いので、事前に確認しておきましょう。

【関連】レーマン方式とは?成果報酬の設定や計算方法、種類、契約書を解説

M&A仲介会社の利益相反とは

利益相反とは

利益相反とは、一方にとって利益となる行為がもう一方からは不利益となる状況のことを指します。
 

利益相反と言われる理由

M&A仲介会社は売り手と買い手双方と契約を交わし、M&Aのアドバイスやサポートをし、M&Aを成約させることで利益を得ます。

一般的に売り手は高値で売却したいと考え、買い手は少しでも安く買収したいと考えています。そのため双方に有利になるアドバイスが論理的にできないという理由から、利益相反と言われています。

利益相反が問題視される理由

行政改革担当大臣であった河野氏のブログの中で指摘がありM&A仲介業者にとって、基本的には一度きりの付き合いとなる売り手側の企業より、リピートが期待できる買い手側企業の利益を優先した方がメリットとなると解説しています。

また、中小企業庁の「中小M&Aガイドライン」の中でも利益相反のリスクがあると指摘しています。しかしそのうえで、現状では中小M&Aのおいては仲介形態がFAよりも多く用いられており、仲介者という業態が不適切であると断ずるのは現実的ではないとも述べています。

利益相反のリスクを最小限にとどめるよう仲介会社に対して「仲介であること」「利益相反になりうる項目を明示する」「両当事者から手数料を得ること」を説明するよう求めています。M&A仲介会社は公平性を保つ取引をすることが求められています。

M&A仲介会社がサポートする3つのM&A手法を比較


M&Aには大きく「合併」「買収」「会社分割」の3つがあり、M&A仲介会社はそれらをサポートします。以下では、各M&A手法の特徴をみていきましょう。

買収

買収は、買い手企業が売り手企業またはその事業を買い取るM&A手法の一つです。買収を行う場合は通常、売り手企業と買い手企業のどちらも、取引前と同様に存続します。

株式譲渡

株式譲渡は、買い手企業が、売り手企業の株主から株式を買い取ることで経営権を取得する方法です。全株式の買取を行えば売り手企業は買い手企業の完全子会社になり、一部しか買い取らない場合でも経営権を掌握できる割合の株式を取得すれば子会社となります。

売り手企業は買い手企業の子会社となり存続するため、売り手企業の契約関係や取引関係への対処は限定的です。

事業譲渡

事業譲渡は、買い手企業が売り手企業における事業の一部を現金で買い取る取引です。事業譲渡は、株式譲渡や株式交換と異なり、売り手企業は現金を取得できます。売り手企業は存続しますが、譲渡事業は契約関係や取引関係は個別承継となります。各々まき直しが必要になるため、買い手企業は個別に手続きが必要です。

株式交換

株式交換は完全親子関係を構築する手法で、買い手企業(親会社となる側)が売り手企業(子会社となる側)の株主から株を譲り受け、代わりに買い手企業の株式を発行し割り当てます。

一定の手続きをすれば、買い手企業は自社株式ではなく現金や社債などを割り当てることも可能です。経営権を取得する点は株式譲渡と同様ですが、多額の現金がなくても実行できることが相違点です。

合併

合併とは二つ以上の会社が一つの会社になる企業結合の方法で、「新設合併」と「吸収合併」に分けられます。合併では、必ず消滅する会社がでる点が特徴です。

新設合併

新設合併は両社の力関係が対等の場合に多く用いられる方法で、買い手企業と売り手企業のどちらも消滅し、新設された会社に吸収されます。会社が消滅する際は、契約関係や取引関係の引継ぎ事務が発生するため、PMIでは注意が必要です。

吸収合併

売り手企業が消滅し、買い手企業に吸収されるのが吸収合併です。吸収合併は、売り手企業が買い手企業に比べて小規模の場合に用いられます。新設合併と同様、売り手企業の契約関係や取引関係をどう処理するかが問題になりますが、買い手企業のルールに従って処理するのが一般的です。

会社分割

会社分割は、一つの会社が持つ事業を切り離し別の会社へ承継させる方法で、株式会社あるいは合同会社が売り手企業となり、買い手企業は売り手企業が持つ当該事業に関する権利義務を包括的に承継します。

事業譲渡と似ていますが、相違点は、対価として株式を利用できる点と権利義務を包括承継する点です。また、事業譲渡は単なる取引上の契約ですが、会社分割は会社法上に定められた組織再編にあたります。

新設分割

新設分割は、新たに設立した会社に分割元である売り手企業における事業の一部を移管し、対価として新設会社の株式を受取る手法です。

「分社型分割」と「分割型分割」の2種類があり、前者は分割元企業が新設企業を傘下に収める形となり、後者は分割元企業と新設企業の関係が兄弟会社となります。譲渡事業と異なり、全ての権利義務が自動的に新設会社へ承継されるため、事業譲渡のように契約などを移し替える煩雑な手続きは不要です。

吸収分割

吸収分割は、分割元である売り手企業の事業を切り離して既存の買い手企業に承継させる取引をいい、新設分割と同様に「分社型分割」と「分割型分割」の2種類があります。

吸収分割も権利義務が包括承継されるため、煩雑な手続きが要りません。しかし、事業の運営会社が分割元から買い手企業に変われば社員や取引先とのかかわり方も変わるため、従来どおり営業するためにはPMIが必要です。

M&A仲介会社の比較に関するQ&A

M&AやM&A仲介会社に詳しくても、M&Aを行うために必要となる基本的な知識を意外と見落としているかもしれません。以下では、M&A仲介会社の選定で、よくある質問を紹介します。

M&AアドバイザーとFAの違いは?

M&Aアドバイザーは、企業のアドバイザーとして一連のM&A案件を全てサポートします。M&A案件の流れは、M&A案件の獲得、M&A候補の発掘、M&A交渉、最終契約、PMIで、これらすべてに関与できるのがM&Aアドバイザーです。

M&A仲介会社のM&Aアドバイザーは買い手・売り手の中間に立ち、中立の立場から成約を目指します。

FA(ファイナンシャルアドバイザー)は、買い手もしくは売り手のどちらか一方について利益が最大になるようサポートするのが役割です。

大型のM&A案件では、公開買付けも含めた長期的な条件交渉が行われるため、ファイナンシャルアドバイザーから専属での支援を受けると、顧客利益の増加につながるでしょう。場合によっては、M&AアドバイザーとFAを兼務するケースもあります。

中小企業向けのM&A仲介会社が増加している理由は?

中小企業では、後継者不足が原因で、貴重な技術・ノウハウを有する企業が廃業に追い込まれるケースが増加しています。

これを問題視した経済産業省により、事業承継のガイドライン整備や事業承継を促す税制や補助金が充実化したため、M&Aを活用する中小企業が増えてM&A仲介会社も増加しました。

企業活動の多様化により、M&Aをつうじた成長戦略や不採算事業の整理件数が増えたことも、要因のひとつと考えられます。

M&A仲介会社の比較まとめ

M&A仲介会社は、M&A実施の際に不可欠といえる存在です。M&A仲介会社なしにM&Aを進めると、時間や労力の負担は計り知れないでしょう。

M&A仲介会社は、それぞれ特徴や強みが異なるため、M&Aの成功を目指すためには自社に適した信頼できる仲介会社を選ぶ必要があります。報酬体系も、M&A仲介会社を選ぶうえで大切なポイントになるので、事前相談時によく確認し納得のできるM&A仲介会社を選びましょう。

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webメディアの売却・買収は、売買専門サイトの増加などの背景もあり年々活発化してきています。本記事では、webメディア売却の最新事例を25選紹介するとともに、売却・買収動向やメリット・デメリット...

会社売却でかかる税金はいくら?計算方法・税金対策をわかりやすく解説

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会社売却にかかる税金は、株式譲渡・事業譲渡といったスキームによっても違い、株式譲渡の場合は株主が個人か法人かによっても違います。この記事では、会社売却にかかる税金に関して計算方法を解説するととも...

株式譲渡と事業譲渡の違いは?税金、手続き、メリットについて解説【図解】

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M&Aの主な手法は株式譲渡と事業譲渡ですが、両者は手続き・税金・メリット・デメリットなどあらゆる点で違います。本記事では、株式譲渡と事業譲渡の違いについて図解も交えながら解説しています。...

会社を売るタイミングはいつ?業績から最適な売り時を考えて売却しよう!

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M&Aによる会社売却はタイミングが重要で、同じ会社でもタイミングの違いによって売却価格が大きく変わる可能性があります。この記事では、会社売却の適切なタイミング、会社売却のメリットや利益を...

【2021】出版業界のM&A動向と事例9選!会社売却・買収の実績を解説!

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出版業界は、電子書籍の普及と紙媒体の衰退といった大きな変化の渦中にあり、業界再編などを目的としたM&Aが活発です。本記事では、出版業界の最新M&A事例9選を紹介するとともに、出版...

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