2022年6月6日更新業種別M&A

施工管理会社のM&A事例15選!動向や積極買収企業、注意点も紹介!

建設業界の再編が進む中、施工管理会社のM&A件数が増加中です。積極的に買収する大手企業も多く存在しており、売り手としても大きなチャンスがあります。本記事では、施工管理会社のM&A事例・業界動向・M&Aを成功させるポイントを解説します。

目次
  1. 施工管理会社のM&A
  2. 施工管理会社のM&A事例15選
  3. 施工管理業界のM&A動向
  4. 施工管理会社のM&Aが増える理由
  5. 施工管理会社のM&Aを行うメリット
  6. 施工管理会社のM&Aフロー
  7. 施工管理会社のM&A・積極買収企業
  8. 施工管理会社のM&Aを成功させるには
  9. 施工管理会社のM&Aで仲介会社を選ぶ際の注意点
  10. 施工管理会社のM&Aを行う際におすすめの相談先
  11. 施工管理会社のM&Aまとめ

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施工管理会社のM&A

後継者不足や廃業を避けるためなど、さまざまな問題を抱えている中小企業の施工管理会社のM&Aが増加しつつあります。その一方で、施工管理会社を積極的に買収する大手企業も増加している状況です。

このような需要の高まりを受けて、施工管理会社のM&Aでは、売り手としても好条件の取引が行いやすくなっています。

施工管理会社とは

施工管理とは、工事現場における管理を行う業務です。住宅やビル建設などの工事を安全に進めるために必要不可欠な仕事であり、現場監督や各作業員と連携を取ることで現場全体を管理する働きを持ちます。

特に、近年では目覚ましい勢いで技術が発達しており、現場で使われる技術が常に変化しているので、徹底した安全管理を行わなければ大事故を起こしかねません。

施工管理の4大管理は、以下のとおりです。

  1. 工程管理
  2. 品質管理
  3. 原価管理
  4. 安全管理

M&Aとは

M&Aとは、企業の合併・買収を指す言葉です。買い手は、事業規模の拡大・人員の確保、売り手は後継者問題の解消・新たな事業への注力など、当時会社の双方にメリットがあります。

最近では、大手企業による中小企業のM&Aが多く見受けられ、建築業界でも同様の傾向にあり、施工管理会社のM&Aが注目されています。

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施工管理会社のM&A事例15選

本章では、施工管理会社のM&A事例15選を、2018年以降と2017以前に分けて紹介します。

2018年以降に行われたM&A事例

まずは、2018年以降に行われたM&A事例7選を紹介します。

  1. 中電工による昭和コーポレーションのM&A
  2. ハウスコムによるエスケイビル建材のM&A
  3. ミライト・ホールディングスによる塚田電気工事のM&A
  4. 応用地質によるシンガポールの土木建築関会社2社を買収
  5. テクノプロ・ホールディングスがトクオの全株式を取得
  6. 京阪グループの子会社の全株式を復建調査設計に譲渡
  7. ITbookがコスモエンジニアリングの全株式を取得

①中電工による昭和コーポレーションのM&A

2019年12月、中電工はホライズン1の全株式の取得を通じ、同社の子会社である昭和コーポレーションを孫会社化しました。

中電工は、屋内電気工事・空調管工事・情報通信工事・配電線工事・発送変電工事など、幅広い分野の事業を手掛ける総合設備エンジニアリング企業です。

昭和コーポレーションは、保温材・管⼯機材を扱う販売事業・配管⽤⽀持⾦具の開発・製造を⾏う⽣産事業・⼯事を実施するエンジニアリング事業を手掛けています。

今回の買収は、中電工と昭和コーポレーションそれぞれの強みを生かすことで、より付加価値の高いサービス提供の実現を目的として実施されました。

②ハウスコムによるエスケイビル建材のM&A

2019年6月、ハウスコムは、エスケイビル建材の全株式を取得し、完全子会社化しました。

ハイスコムは、不動産の賃貸仲介を主な事業としています。一方で、新事業として2016年3月期にリフォーム事業にも着手し始めました。

ハウスコムは、マンションリフォームなどのリフォーム事業を手掛けているエスケイビルを買収することで、相互のシナジーを創出し、事業の発展を図ります。

③ミライト・ホールディングスによる塚田電気工事のM&A

2018年10月、ミライト・ホールディングスは、連結子会社であるTTKを通じて、塚田電気工事を完全子会社化しました。TTKグループは、東北全域を支える情報通信設備を行う企業です。電気工事事業では、公共施設、病院などの各種施設の電気工事を担当しています。

塚田電気工事は、設計・施工、メンテナンス、リニューアル事業を展開している企業です。電気設備工事のプロフェッショナルとして東北6県及び東京都近郊を営業拠点としています。

今回の買収により、ミライト・ホールディングスと塚田電気工事がお互いの持ち合わせている電気工事の技術・ノウハウを掛け合わせることで、さらなる事業の発展を図るとしています。

④応用地質によるシンガポールの土木建築関会社2社を買収

2018年10月、応用地質は、シンガポールのFong Consult Pte, Ltd.社(F社)およびFC Inspection Pte. Ltd.社(FCI社)の株式51%を取得し、子会社化しました。

F社とFCI社は、シンガポールを中心とした東南アジアで土木・建築事業を展開している企業です。応用地質が保有するインフラメンテナンス事業のノウハウを投入することで、さらなるシナジー創出を図るとしています。

⑤テクノプロ・ホールディングスがトクオの全株式を取得

2018年6月、テクノプロ・ホールディングスの連結子会社であるテクノプロ・コンストラクションは、トクオの全株式を取得し、完全子会社化しました。

テクノプロ・コンストラクションは、大手企業を中心に施工管理サポートを行っている企業です。2017年7月に公表した新中期経営計画では、高付加価値化の推進を掲げていました。トクオは、建物・物件の耐震、耐久性の調査・診断、リフォームなどを主な事業として展開しています。

テクノプロ・コンストラクションは、トクオの技術・ノウハウを生かすことで、施工管理業務のさらなる事業拡大を図るとしています。

⑥京阪グループの子会社の全株式を復建調査設計に譲渡

2018年2月、京阪ホールディングスの子会社「かんこう」は、文化財サービスの全株式を復建調査設計に譲渡しました。

復建調査設計は、地質調査・測量・建設コンサルタントの3つの分野を主力に、総合建設コンサルタント事業を展開しています。

文化財サービスは、埋蔵文化財発掘調査や遺跡測量など、文化財の保護・研究を行っている企業です。本件M&Aは、経営資源の最適配分と復建調査設計に引き継ぐことを目的としています。

⑦ITbookがコスモエンジニアリングの全株式を取得

2018年1月、ITbookは、コスモエンジニアリングの全株式を取得し、完全子会社化しました。

ITbookは、ITコンサルティングサービス事業を中心に展開している企業です。事業の中に、専門的技術を保有する人材を派遣する人材派遣サービスが含まれています。

ITbookは、設計・調達・建設工事・メンテナンスなどの総合エンジニアリング企業であるコスモエンジニアリングを買収することで、人材派遣事業のさらなる発展を図るとしています。

2017年までに行われたM&A事例

ここからは、2017年以前に行われたM&A事例8選を紹介します。

  1. アイナボホールディングスと今村タイル及び今村住宅機器が資本業務提携へ
  2. UTグループがWEB制作会社を完全子会社化
  3. プレサンスコーポレーションが不動産会社を完全子会社化
  4. スズキ太陽技術がTAKグリーンサービスの全株式を取得
  5. 東京都競馬が空調設備設計のタックを子会社化
  6. エンバイオ・ホールディングスとYAMAテックが資本業務提携へ
  7. インターライフホールディングスによるマネジメントリサーチのM&A
  8. ジェイテックによるトステム・エンジニアリング・オフィスのM&A

①アイナボホールディングスと今村タイル及び今村住宅機器が資本業務提携へ

2017年9月、アイナボホールディングスは、今村タイルおよび今村住宅機器と資本業務提携を締結しました。

アイナボホールディングスは、タイル・サイディングの外壁工事など、住宅関連の設備工事を主力事業する企業です。今村タイルはタイル等の住宅設備機器の卸売を、今村住宅機器は水廻り卸を専門に請け負っています。

アイナボと今村タイルおよび今村住宅機器は、各社が保有するノウハウを共有することで、それぞれの収益性の向上を図るとしています。

②UTグループがWEB制作会社を完全子会社化

2017年4月、UTグループは、Lei Hau’oli(レイハウオリ)の全株式を取得し、完全子会社化しました。

UTグループは、技術者派遣・アウトソーシング事業を展開する企業です。単体派遣ではなく、工程一括型請負と呼ばれるエンジニアの派遣事業として知られています。

レイハウオリは、WEB制作を中心に制作・戦略・運用・集客と幅広いトータルソリューション事業を展開する企業です。

本件M&Aによって、UTグループはレイハウオリの保有するノウハウを活用し、IT・WEB領域への事業拡大を図るとしています。

③プレサンスコーポレーションが不動産会社を完全子会社化

2016年11月、プレサンスコーポレーションは、三立プレコンの全株式を取得し、完全子会社化しました。

プレサンスコーポレーションは、新築マンションの分譲・マンション、土地の売買および仲介を主な事業としています。三立プレコンは、愛知県及び静岡県にてマンション事業を展開している企業です。設計・施工から販売・管理までの一貫したサービスを提供しています。

プレサンスコーポレーションは、三立プレコンの事業エリアを加えることで、東海圏全域へのマンション事業の拡大とグループのブランド力の向上を図っています。

④スズキ太陽技術がTAKグリーンサービスの全株式を取得

2015年11月、スズキ太陽技術は、高島よりTAKグリーンサービスの全株式を取得し、完全子会社化しました。

スズキ太陽技術は、愛知県を中心に太陽光発電システムのトータルサービス事業を展開しており、太陽光発電システムに関わるさまざまな部品開発を手掛けており、産業用・住宅用と幅広く提供しています。TAKグリーンサービスは、東京を中心に全国各地に営業拠点を持つ太陽光発電販売会社です。

本件M&Aで、スズキ太陽技術は、販売エリアの拡充を図るとともに、両者のノウハウを掛け合わせることでさらなる技術向上を目指すとしています。

⑤東京都競馬が空調設備設計のタックを子会社化

2015年7月、東京都競馬は、タックの全株式を取得し、完全子会社化しました。

タックは、設計・施工・保守の一貫したサービスによる空調設備事業を展開しています。大手百貨店や金融機関などの空調設備の設計・施工管理を中心としていました。

当事例により、東京都競馬グループが保有する施設・大井競馬場や東京サマーランドの空調工事を行うことで、タックは空調設備事業を拡大しています。

⑥エンバイオ・ホールディングスとYAMAテックが資本業務提携へ

2014年11月、エンバイオ・ホールディングスとYAMAテックは資本業務提携を締結しました。

エンバイオ・ホールディングスは、汚染調査、土壌汚染対策工事の設計・施工などの土壌汚染対策事業とその関連機器の販売を行っている企業です。低コスト・短工期・低環境負荷となる原位置・オンサイト浄化工法のパイオニアとして知られています。

YAMAテックは、掘削除去工法を中心に土壌汚染対策事業を展開している企業です。エンバイオ・ホールディングスとYAMAテックが協業することで、さらなるサービス向上が実現するものとされています。

⑦インターライフホールディングスによるマネジメントリサーチのM&A

2013年4月、インターライフホールディングスは、マネジメントリサーチの全株式を取得し、完全子会社化しました。これに伴い、マネジメントリサーチの子会社であるシステムエンジニアリングは、インターライフホールディングスの孫会社となっています。

インターライフホールディングスは、店舗の清掃・空調メンテナンスなどのトータルサポートを提供している企業です。2013年の中期経営計画にて策定していた新規事業への取り組み強化の一環として、店舗内装工事事業のトータルサービス強化を挙げていました。

システムエンジニアリングは、劇場・ホール、結婚式場などの音響・演出設備の企画・設計・保守を総合したソリューションサービスを主な事業としています。

インターライフホールディングスは、マネジメントリサーチを子会社化することで、トータルサポート体制の充実を図り、収益性の向上を目指す意向です。

⑧ジェイテックによるトステム・エンジニアリング・オフィスのM&A

2012年9月、ジェイテックは、LIXILの子会社・トステム・エンジニアリング・オフィスを連結子会社化しました。

ジェイテックは、機械・電気電子・ソフトウエア設計のエンジニア派遣・アウトソーシング事業を展開している企業です。トステム・エンジニアリング・オフィスは、低層ビルから超高層ビルまで外装・内装の両面において施工管理の受託業務を請け負っている企業です。

ジェイテックは、トステム・エンジニアリング・オフィスを連結子会社とすることで、建築分野を新たに取り込み、幅広いサービスの提供を目指すとしています。

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施工管理業界のM&A動向

施工管理ではM&Aが活発化していますが、この章では、施工管理業界のM&A動向を解説します。

  1. 近年再編が起こりつつある
  2. 大手企業によるM&Aが増加
  3. 海外企業の買収なども増えている
  4. 地方の中小企業が大手企業に買収されるケースも増加

①近年再編が起こりつつある

1つ目に、施工管理業界全体として再編が活発になってきていることが挙げられます。企業再編は人員不足解消や事業拡大を目的に行われるケースがほとんどですが、その1つの手法としてM&Aが注目されている状況です。

建築業界・施工管理業界では、特に人手不足に悩まされています。この問題に効率的に対処するためのM&Aが増えている点も、再編活発化の一因とされているのです。

②大手企業によるM&Aが増加

施工管理業界では、大手企業によるM&A件数も増加しています。例えば、大和ハウスや積水ハウスのような大手建設企業が中堅ゼネコンを買収する動きが目立っている状況です。

従来は、規模の経済が働きにくい・入札参加機会が限定されるなどの理由から、M&Aは難しいとされてきましたが、人員確保に乗り出すために最近はM&Aが活発化しています。特に、技術・人員を保有している施工管理会社の需要が高まっている状況です。

③海外企業の買収なども増えている

施工管理業界では、海外企業の買収も増加中です。2021年の東京オリンピック以降、国内需要は落ち着くものと見られており、海外市場への進出を検討する企業が増えています。限定的な需要を追い求めるのではなく、広い視野を持つことで、さらなる事業拡大を図る動きが施工管理業界全体で目立っています。

④地方の中小企業が大手企業に買収されるケースも増加

施工管理業界では、大手企業による地方の中小企業の買収も多く見られます。中小企業が持つ技術・ノウハウの吸収や単純な人員確保を目的に、地方の中小企業の買収に積極的に乗り出す大手企業が増加中です。この背景には、施工管理に必要な資格・経験を所有する人材が絶対的に不足していることが挙げられます。

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施工管理会社のM&Aが増える理由

施工管理業界では、M&A実施の動きが目立っています。本章では、施工管理会社のM&Aが増える理由を取り上げます。

  1. 多くの企業は後継者問題に悩んでいる
  2. 廃業や倒産のコストを回避するため
  3. 従業員・技術者の雇用先を確保する
  4. 別事業へ注力するため
  5. M&Aによる売却・譲渡益を獲得するため

①多くの企業は後継者問題に悩んでいる

多くの中小施工管理会社は、後継者問題に悩んでいます。施工管理会社に長く勤めているベテラン従業員でも、経営者としての素質があるとは限らず、後継者として任せられるかどうかは別の問題です。

後継者を育てるとしても長い期間と手間を要するため、中小企業にとって後継者問題は命題であり、解決策のひとつとしてM&Aを選択する施工管理会社が増えつつあります。

②廃業や倒産のコストを回避するため

廃業・倒産危機を回避する目的でM&Aを選択するケースもあります。後継者不在や経営状態の悪化が続くと、いずれは廃業・倒産の事態に陥りかねません。そこで、事業の見直しの一環として、M&Aによる企業再編を行い、立て直しを図ろうとする施工管理会社が増加しています。

③従業員・技術者の雇用先を確保する

施工管理の経験・知識を有する従業員・技術者の雇用先を確保することも重要です。経営者としては、従業員の今後の身の振り方を考えなければいけません。特に、施工管理の技術者の失業は、施工管理業界全体の損失といえます。そのため施工管理会社のM&A実施は、業界全体を活発化させることにつながります。

④別事業へ注力するため

施工管理では、別の新事業に取り組む動きも見られます。これまで施工管理会社を経営してきたものの、新しい事業に挑戦したいと願う経営者も少なくありません。これを実現する選択肢として、会社の売却・従業員の雇用先の確保などを同時に行えるM&Aが有力視されているのです。

⑤M&Aによる売却・譲渡益を獲得するため

M&Aによる売却・譲渡益を獲得することも、M&Aが増えている理由のひとつです。施工管理会社は、建設業界全体で需要が高まっています。そのため、好条件の買い手が見つかる可能性が高く、まとまった資金を確保できるケースも珍しくありません。

施工管理会社のM&Aのご相談はM&A総合研究所へ

施工管理会社がM&Aを実施する理由はさまざまです。M&A総合研究所では、案件ごとにアドバイザーが就き、クロージングまで丁寧にフルサポートをいたします。売り手様がM&Aを求める理由を正しく理解したうえで、好条件の取引相手探しをお手伝いさせていただきます。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ、譲受企業様は中間金がかかります)。M&Aに関して、無料相談をお受けしておりますのでお気軽にお問い合わせください。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所

施工管理会社のM&Aを行うメリット

本章では、M&Aにより期待されるメリットを、経営者・会社・社員の立場に分けて紹介します。

経営者のメリット

オーナー経営者は、M&Aによる売却・譲渡を行うことで利益を獲得できます。施工管理会社は譲受候補先からのニーズが高まっているため、のれん代の割合が他業界と比較すると多くなりやすいです。

M&Aによる売却・譲渡を済ませた後は、経営に関するリスクやプレッシャーから解放されて、新たな人生を歩む方も多いです。

会社のメリット

最も大きなメリットは、会社として事業を存続させられる点です。自社が抱えている顧客や取引先、株主などに迷惑をかけずに済むことは大きなメリットといえます。

会社を成長させていくためには優秀な人材を確保することが重要ですが、会社が対外的に信用されていて業績を伸ばしていないと難しい部分もあるでしょう。

M&Aにより事業の業績を伸ばしたり、グループの傘下に入ったりすることで、人材の確保もしやすくなります

社員のメリット

社員にとって最も大きなメリットは、雇用が維持される点にあります。また、M&Aにより別の会社と経営統合することで、社風や待遇などが好転する場合があり、社員としては自身のキャリアアップや成長につなげられる可能性もあります。

場合によっては、これまで社員だった人材が、M&Aにより役員に昇進するケースもあるでしょう。

さらに、未上場企業がM&Aにより上場企業のグループに加わると、社員は上場企業のグループに所属先が変わるために、住宅ローンを組む場合などの信用度が高まる可能性もあります。

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施工管理会社のM&Aフロー

本章では、施工管理会社を対象とするM&Aプロセスの大まかな流れを、以下の3つの手順に分けて紹介します。

  1. M&A仲介会社への相談
  2. 相手先企業とのトップ面談
  3. デューデリジェンス・クロージング

①M&A仲介会社への相談

はじめに、M&A仲介会社などの専門家に相談を持ちかけます。M&Aの相手先は自社の将来を左右する重要なパートナーであり、安心できる企業を見つける必要があることから、専門家と共に探すと良いでしょう。

併せて、M&Aにより売却を行う場合は、自社の企業価値評価(バリュエーション)を行い、算定された評価額に対して売却側が納得できる場合は、名前を伏せた形で買収候補先の企業に打診します。

②相手先企業とのトップ面談

M&Aの相手先が見つかり、合意を取り付けられれば、秘密保持契約を締結したうえで、相手先企業との間で詳細なやりとりを行います。具体的には、トップ面談や、お互いの企業の訪問などを行います。

その後、買収側により、書面を通じて条件を提示する意向表明が行われます。これに対して、売却側が合意できれば基本合意書を締結する流れです。

③デューデリジェンス・クロージング

続いて、売却側を対象とするデューデリジェンス(買収監査)が実施されます。このプロセスは、公認会計士・税理士・社会保険労務士・弁護士など、財務・労務・法務に精通する専門家に依頼して行うケースが一般的です。

デューデリジェンスでは企業として大きな瑕疵がないかを調査し、問題がない場合には最終契約書を締結してクロージングに進みます。

施工管理会社のM&A・積極買収企業

本章では、施工管理会社を積極的にM&Aで買収している企業を5社紹介します。

  1. 日立製作所
  2. 夢真HD
  3. ミライトHD
  4. 応用地質
  5. 長谷工コーポレーション

①日立製作所

近年、日立製作所のM&Aに対する動きが活発化しています。スイスABBの電力事業の取得や台湾のエレベーターメーカー・永大機電工業の買収など、海外企業を積極的に取り込む姿勢を見せています。

クロスボーダーM&Aを得意とする人材の求人を出していることからも、今後も継続して海外進出を図っていくものと考えられます。

②夢真HD

夢真ホールディングスは、建設技術者派遣事業を主力事業としている企業です。業界全体の人材不足から、積極的な人材採用に取り組んでおり、その一環としてM&Aにも乗り出しています。

③ミライトHD

ミライトHDのM&Aの動きも活発化しています。2019年3月には、事業エリア拡大や技術力・施工能力の確保を目的に、トーエイ電気通信(千葉県)の買収が決議されました。

ミライトHDの事業エリアは東北全域であるため、事業エリアを広げるために今後も各地方の電気事業・施工管理会社を買収する動きが強まるものと推測されます。

④応用地質

応用地質の海外進出の動きも高まっています。2018年にはシンガポールの土木・建築関連会社2社の買収が行われており、これはシンガポールを中心とした東南アジアに進出するための買収とされています。

また、2013年には米テキサス州の地震探査ナビゲーション事業のNCS Subseaを子会社化しており、海外企業の取り込みに積極的な姿勢を取っていることが伺えます。

⑤長谷工コーポレーション

長谷工コーポレーションも買収に積極的な姿勢を見せています。2017年の中期経営計画で「住まいと暮らしの創造企業グループ」を掲げており、M&Aを利用した事業拡大を図っていくとしています。

長谷工コーポレーションはこれまでも地方の建設・施工管理会社のM&Aを実施してきましたが、今後もその姿勢は変わらないものと考えられます。

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施工管理会社のM&Aを成功させるには

施工管理会社のM&Aは双方にメリットがありますが、本章では施工管理会社のM&Aを成功させるためのポイントを解説します。

  1. 実績・強みなどを資料とする
  2. M&Aを行う目的を明確にする
  3. 準備を計画的に行う
  4. 希望する条件を決める
  5. M&Aの専門家に相談する

①実績・強みなどを資料とする

1つ目のポイントは、自社の実績・強みを資料として提供することです。M&Aによる会社売却・譲渡を行う際は、自社の適正な価格を算出する必要があります。その際に有効なのが、実績・強みをまとめた資料です、

少しでも高く評価してもらうために、これまでに培ってきたノウハウ・施工管理の技術者の人員数などを分かりやすくまとめておくと良いでしょう。

②M&Aを行う目的を明確にする

M&Aを成功させるためのポイントのひとつに、目的をはっきりさせておくことが挙げられます。M&Aの目的には後継者問題の解消・従業員の雇用先の確保などがありますが、いずれもM&Aにより解消されることが多いです。

特に施工管理会社のM&Aでは、買い手側が技術者の確保を目的としている場合が多いため、この点を明確化させておくことも大切です。なお、自社がM&Aを行う目的は、事前にM&A仲介会社の担当者と共有しておきましょう。取引先の選定・交渉も進めやすくなるため、M&Aの成功率を高められます。

③準備を計画的に行う

施工管理会社のM&Aには、入念な準備が必要不可欠です。M&Aは長い工程を経てクロージングを迎えますが、序盤の工程ではM&Aの相談先選び・目的の明確化・取引先の情報収集や選定など、さまざまな手続きが行われます。

これらの手続きを正しい手順で適切に実施しなければ、以降の工程をスムーズに進められなくなるおそれがあります。特に、M&Aの相談先選びは、M&Aの成否に大きな影響を及ぼす重要なプロセスです。

④希望する条件を決める

M&Aの希望条件を決めておくことも大切です。M&Aに求める条件は、譲渡価格の下限や従業員の待遇など、経営者によって異なります。施工管理会社のM&Aを実施する目的を洗い出したうえで、譲れない条件をピックアップしておきましょう。

自社が譲れない点を明確化させておくことで、条件を満たす相手に絞って取引先を選べます。

⑤M&Aの専門家に相談する

施工管理会社のM&Aを成功させるための最後のポイントは、M&Aの専門家に相談することです。M&Aは、取引先の選定・交渉や各契約書の締結など、複雑な手続きを必要とします。

M&Aの手続きは当事者間で行うには非常に難解であり、何らかの手違いが生じるとトラブルが発生し破談してしまうケースも多く見受けられます。M&Aを円滑に進めたい場合、M&Aの専門家に相談してサポートを受けると良いでしょう。

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施工管理会社のM&Aで仲介会社を選ぶ際の注意点

依頼先のM&A仲介会社には、施工管理会社およびその業界に精通している機関を選ぶことが大切です。業界に関して深く理解できているM&A仲介会社であれば、自社の強み・弱みを踏まえて最良の相手先を見つけられる可能性が高いです。

これに対して、ブローカーと呼ばれるような業者に依頼することは避けましょう。M&A仲介会社の業務には資格が必要とされないため、売手企業の決算書のみを預かって横流しするだけの業者もわずかながら存在します。

手続き面でのサポートを十分に提供しないにも関わらず、成立すれば手数料を請求するという業者も存在するので注意が必要です。

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施工管理会社のM&Aを行う際におすすめの相談先

M&Aのアドバイザリー業務を請け負っている機関には、金融機関・公的機関・士業事務所なども挙げられますが、本業と掛け持っている点や専門的な知識が欠如している点などを考慮し、最終的にはM&A仲介会社に案件を流すケースが少なくありません。

施工管理会社のM&Aに関して一貫したサポートを受けたい場合、M&A業務を専門的に手掛けているM&A仲介会社への依頼をおすすめします。M&A仲介会社には各分野の専門家が在籍しているため、相談からクロージングまでのすべてに対応できる強みがあります。

もしも専門家選びでお悩みでしたら、M&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所にはM&Aに関する知識・経験が豊富なアドバイザーが在籍しており、これまでに培ってきたノウハウを生かしてM&Aをフルサポートいたします。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ、譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談をお受けしていますので、施工管理会社のM&Aを検討の際は、M&A総合研究所にご相談ください。

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施工管理会社のM&Aまとめ

施工管理業界は、後継者問題や人員不足などの問題を多く抱えています。これを受けて、大手・中小問わずM&Aが活発化してきており、今後もこの傾向は続いていくものと考えられます。

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