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2021年1月5日更新会社・事業を売る
M&Aとは?M&Aの意味から手続きまでをわかりやすく解説!【図解あり】
M&Aとは、「合併と買収」という意味を表す言葉です。昨今、M&Aは経営戦略として人気を集めており、実施件数は年々増加しています。経営課題解決のために、前向きにM&Aを考えてみてください。M&A仲介会社と相談しながら、自社にとって最高のM&Aを行いましょう。
目次
- M&Aとは近年よく使われる経営戦略の1つ!
- M&Aで売却する目的と得られる3つのメリットとは?
- M&Aは買収側にもメリットがある!買い手になる3つの目的とは?
- M&Aにおいて考えられる譲渡/譲受企業別のデメリット
- M&Aで用いられる7つの手法とは?税金についても紹介!
- M&Aの歴史と急増している現状、今後のM&A市場の動向について
- M&Aの事例5選!経営者がM&Aを選ぶ理由とは
- M&Aを行うための手続きとは?大まかな流れ5ステップ
- M&A仲介会社のサービス・費用とM&Aに必要なお金について
- M&Aで売却を成功させるため必ず知っておくべき3つのこと
- M&Aでよくある質問
- M&Aについて詳しく知りたければM&A総合研究所にぜひご相談ください
- まとめ
M&Aとは近年よく使われる経営戦略の1つ!
M&Aとは、「Mergers&Acquisitions(合併と買収)」を略した言葉です。近年では、経営戦略の1つに位置づけられています。日本では、2000年代から経営戦略のひとつとして考えられるようになってきました。現在では多くの経営者が会社の存続・事業の拡大などを図るためにM&Aの実施を検討しています。
M&Aを行うことでさまざまな経営課題を効率良く解決できるため、実施件数は年々増加しています。幅広い業種において経営課題を抱える企業は存在するため、今後もM&Aの実施件数は増加する見とおしです。
中小企業や個人事業主も積極的にM&Aをしている
大企業だけでなく、中小企業や個人事業主でもM&Aが採用されるケースは多いです。最近の動向では、大企業が中小企業を買収するケース、中小企業同士が業務提携をするケース、個人事業主が売却により事業承継するケースなど、さまざまなパターンが見られます。
中小企業庁の調査によると、中小企業におけるM&Aの成約件数は2012年~2017年の5年間で3倍以上増加している状況です。このことから、M&Aは一般的な経営戦略として定着しつつあると判断できます。
もしも、何らかの経営課題にお悩みでしたら、M&Aを前向きに検討してみてください。この記事では、「M&Aを実施するべきかわからない」という方のために、M&Aにおける売却側の目的や、売却によって得られるメリットなどを中心に幅広く紹介します。
M&Aで売却する目的と得られる3つのメリットとは?
M&Aで会社や事業を売却することで得られるメリットは、主に以下の3つです。
- 後継者がいなくても事業承継を果たせる
- 現経営者が譲渡益を得られる
- 買収企業の経営資源により事業が発展する
このようなメリットがあるために、M&Aによる売却を検討する経営者は増加しています。それぞれのメリットを詳しくチェックしましょう。
①後継者がいなくても事業承継を果たせる
M&Aを行えば、後継者不在の状態から事業承継を果たせます。買収側の企業に事業を引き継いでもらえば、親族・従業員に引き継ぐ場合と比べて、後継者の教育期間として多くの時間を確保する必要がありません。最近は後継者不足に悩む中小企業が非常に多く、M&Aによる事業承継の件数も増加しています。
M&Aによる事業承継は、「後継者が見つからない」「リタイアまでに時間がなく後継者を探していられない」という経営者の方に大きなメリットをもたらします。
一方で、M&Aを行わず廃業すれば、取引先や従業員に迷惑をかけてしまうおそれがあります。そのため、現時点で後継者がいないという場合、M&Aによる事業承継の道を検討してみると良いでしょう。
②現経営者が譲渡益を得られる
現経営者からすると、M&Aにより譲渡益を得られる点も大きなメリットです。つまり、M&Aで売却をすれば、その分の譲渡益を手に入れられます。おおよその目安として、譲渡益は経常利益の3倍〜5倍程度です。
一方で、廃業してしまうと譲渡益を得られず、廃業費用が必要です。そのため、経営者を引退した後の生活費に不安がある場合には、積極的にM&Aを検討すると良いでしょう。
最近では、M&Aにより会社を売った譲渡益を用いて新たな事業に挑戦する方や、一部事業のみを売った譲渡益で残した事業に注力する方も多いです。このように、M&Aにおける金銭的なメリットは、さまざまな目的の達成に役立ちます。
③買収企業の経営資源により事業が発展する
M&Aを行えば、買収企業の経営資源により事業が発展する可能性も高いです。会社経営を行っていると、人材不足・資金不足に悩むケースがありますが、こうした場合にM&Aで企業を売却すると、買収側の協力を得ながら課題の解決を図れます。
たとえM&Aで売却したとしても、これまで自身が携わっていた事業の成長を見るのは嬉しいものです。売上の低下・人材不足など何らかの経営課題を抱えているならば、M&Aで解決できないか積極的に検討すると良いでしょう。
ここまで、M&Aによる会社・事業の売却で得られるメリットを紹介しました。M&Aは売却側だけでなく、もちろん買収側にもメリットをもたらします。ここからは、M&Aで買収しようと考える経営者の目的について見ていきましょう。
M&Aは買収側にもメリットがある!買い手になる3つの目的とは?
M&Aで会社や事業を買収することで得られるメリットは、主に以下の3つです。
- 効率良く事業を強化できる
- 短期間かつ低リスクで新規事業を始められる
- 人材やノウハウを獲得できる
このようなメリットがあるため、M&Aでの買収を検討する経営者は珍しくありません。なお、売却側からしても、買収側の目的を知っておくとM&A戦略を立てやすいです。それぞれのメリットを詳しくチェックしましょう。
①効率良く事業を強化できる
M&Aで会社や事業を買収すると、効率良く自社の事業を強化できます。例えば、同エリアで事業を行っている同業他社を買収すれば、当該エリアにおける事業の強化が可能です。
一般的にゼロの状態から事業を強化するには多くの時間や費用がかかりますが、M&Aなら費用を支払うのみでスピーディーに済ませられます。また、すでに収益性が判明している状態で買収できるため、事業の強化に失敗する可能性が低いです。
昨今は幅広い業種で同業者同士の競争が激化しており、M&Aでの事業強化は今後ますます増えると推測されます。
②短期間かつ低リスクで新規事業を始められる
短期間かつ低リスクで新規事業を始められる点も、M&Aによる買収の大きなメリットです。新規事業の立ち上げにはコストがかかるうえに、必ず成功するとは限りません。しかし、M&Aで既存の事業を購入すれば、低リスクで新規事業をスタートできます。
業界によっては、既存企業のシェアが高く新規参入が難しいケースも多いです。加えて、せっかくコストをかけて事業を始めても売上が出せないというトラブルも珍しくありません。
こうした状態でも、参入予定の業界である程度の売上があり複数の取引先を持っている企業をM&Aにより買収すれば、失敗の確率を大きく下げられるのです。
③人材やノウハウを獲得できる
M&Aによる買収では、人材やノウハウを獲得できるというメリットも得られます。昨今は人材不足に悩まされている企業が多く、従業員数は足りていてもノウハウがなく円滑に経営を回せていない企業も少なくありません。
とはいえ、自社で人材をそろえてノウハウを蓄積していくには多くの時間や費用がかかります。しかし、M&Aで既存の会社・事業を買収すれば、効率良く優秀な人材・有効なノウハウを入手可能です。このように、自社に足りていない経営資源を短期間で補うためのM&Aも増えています。
以上、M&Aで会社や事業を買収することで得られるメリットを紹介しました。売却側だけではなく買収側にも利点が多いことから、M&Aは幅広い業種で盛んに実施されています。M&Aのメリットについてより詳しく知りたい場合、以下の記事を参考にしてください。
M&Aにおいて考えられる譲渡/譲受企業別のデメリット
M&Aを行うとさまざまなメリットの獲得が期待できますが、これとは反対にデメリットも少なからず存在するため、事前に把握しておかないと期待どおりの効果が得られずM&A自体の失敗に直結してしまいかねません。
ここからは、M&Aの実施にあたって考えられるデメリットについて、譲渡(売り手)・譲受(買い手)それぞれの立場に分けて紹介します。まず紹介するのは、譲渡企業(売り手)側が懸念しておきたいデメリットです。
譲渡企業(売り手)のデメリット
譲渡企業(売り手)側にとって懸念されるデメリットを以下にまとめました。
- 希望どおりの条件で譲渡できるとは限らない
- M&A相手が見つからないおそれもある
- 自社従業員の雇用が更新されなかったり待遇が悪化したりする可能性もある
- 仲介会社に依頼すると費用の支払いが求められる
- 取引先から反発を受けて契約を打ち切られるおそれがある
こうしたデメリットを回避するには、適切なM&A相手とのマッチングを図るほか、成功時のみ報酬の支払いが求められる完全成功報酬制を採用するM&A仲介会社を選ぶといった施策がポイントです。
譲受企業(買い手)のデメリット
上記に対して、譲受企業(買い手)側で懸念すべきデメリットは、以下のとおりです。
- 経営統合に時間がかかるため、一定期間は組織運営に弊害が生じるおそれがある
- M&Aに不満を持つ従業員が退社する可能性がある
- 期待した効果が得られないおそれもある
- 組織拡大により意思決定スピードが遅くなったり企業ガバナンスが弱体化したりする
こうしたデメリットが考えられるため、M&Aによる買収を行う際は専門家の判断を仰ぎながら、なるべくデメリットを回避できるようなM&A戦略を構築する必要があります。
譲渡・譲受企業それぞれのデメリットについてより詳しく知りたい場合には、以下の記事を参考にしてください。
M&Aで用いられる7つの手法とは?税金についても紹介!

図解:M&Aの種類
いかなる手法でM&Aを行うのかによって、得られる効果・必要な手続きなどは大きく異なります。それぞれの手法の概要を理解したうえで、自社に最適な手法を考えましょう。
M&Aの手法①:株式譲渡とは

図解:株式譲渡
株式譲渡とは、株式の売却により株主の地位を譲ることです。株主が代わるのみであるため、基本的に会社の事業に変化は生じずに続きます。そのため、M&A後も経営に影響を与えにくい点がメリットです。
また、経営者個人が株式譲渡をすれば株式の売却益を得られるため、リタイア後の生活費に充てられる点も大きな特徴です。中小企業のM&Aの8割以上は株式譲渡であるとされるほど、ポピュラーな手法といえます。
かかる税金は、所得税(譲渡所得)が約20.315%です。株式譲渡についてより詳しく知りたいなら、以下の記事を参考にしてください。
M&Aの手法②:事業譲渡とは

図解:事業譲渡
事業譲渡とは、会社の事業を譲ることです。株式譲渡とは異なり譲渡する範囲を決められますが、それだけ複雑な手続きが求められます。買収側企業は欲しい事業のみを手に入れられて、売却側企業も手放したい事業のみを売れる点がメリットです。
中小企業のM&Aにおいて、事業譲渡は株式譲渡に次いでメジャーな手法です。かかる税金は、法人税が約30%です。事業譲渡についてより詳しく知りたいなら、以下の記事を参考にしてください。
M&Aの手法③:会社分割とは

図解:会社分割
会社分割とは、対象の会社を既存の会社あるいは新設する会社に分割することです。権利義務は、分割した会社に引き継がれます。
会社分割は吸収分割と新設分割の2種類に分かれます。吸収分割とは分けた事業を既存の会社に引き継ぐ手法で、新設分割とは分けた事業を新設した会社に引き継ぐ手法です。
会社分割は組織再編のために採用されるケースが多く、経営資源を再分配できます。かかる税金は、所得税(配当所得)が最大55.945%、法人税が約30%です。会社分割についてより詳しく知りたいなら、以下の記事を参考にしてください。
M&Aの手法④:株式交換とは

図解:株式交換
株式交換とは、完全子会社になる会社の発行済株式すべてを完全親会社になる会社に渡すことです。これにより、完全親会社になった会社と完全子会社になった会社との間には、100%の支配関係が生じます。このように、株式交換は、100%の株式を保有する完全親子会社を誕生させるために採用されるM&A手法です。
株式を譲る際は、買収側企業が自社株式を発行するため、たとえ資金がなくても支配関係を構築できます。ただし、売却側企業のオーナーからすると売却益を獲得できない点に注意しましょう。
かかる税金は、所得税(譲渡所得)が約20.315%です。株式交換についてより詳しく知りたいなら、以下の記事を参考にしてください。
M&Aの手法⑤:第三者割当増資とは

図解:第三者割当増資
第三者割当増資とは、資金調達のために、第三者に新株を引き受ける権利を与えることです。取引先や普段から取引のある金融機関に権利を与えるケースが多いため、縁故募集と呼ばれることもあります。
第三者割当増資は、業務提携をしている相手企業との関係を良好にする目的や、経営状況が悪く株価が低いために通常の増資が難しいときの対策を講じる目的などで採用されます。
なお、第三者割当増資はあくまでも増資であり、売買ではなく譲渡の損益が出ないため、課税はありません。第三者割当増資についてより詳しく知りたいなら、以下の記事を参考にしてください。
M&Aの手法⑥:資本業務提携とは
資本業務提携とは、資本提携と業務提携を同時に行うことです。資本提携とは、双方の企業が独立性を維持しつつ株式を取得し合うなどして関係を強化することを意味します。一方で業務提携は、双方の企業が経営ノウハウなどをシェアすることによって協力することです。
資本提携と業務提携を同時に行えば、それぞれを単独で行うよりも関係を深めることができます。経営資源を補填したいものの支配関係は必要ないときに有効な手法です。資本業務提携についてもっと詳しく知りたいなら、以下の記事も読んでみてください。
M&Aの手法⑦:合併とは

図解:合併
合併とは、2つ以上の企業を1つにまとめることです。2社以上がまとまって1社となるため、残された企業以外は消滅します。
合併には、2つ以上の会社が経営統合し1つの会社になる「吸収合併」と、設立した新会社に当事者である複数の会社を経営統合させる「新設合併」の2種類があります。これに対して、買収では売却側企業は存続するため、この点において大きな相違が見られます。
合併により消滅する企業の権利義務は、残された企業に移ります。そのため、デューデリジェンス(買収前の調査)を十分に実施しないと、予想外のリスクまで引き継ぐおそれがあるため注意が必要です。
かかる税金は、所得税(配当所得)が最大55.945%、法人税が約30%です。合併についてより詳しく知りたいなら、以下の記事も参考にしてください。
M&Aの歴史と急増している現状、今後のM&A市場の動向について
M&Aの手法について把握できたところで、ここからはM&Aの歴史や昨今急増している現状、今後のM&A市場の動向について幅広く紹介します。これらの情報はM&A戦略を策定する際や、自社がいかなるタイミングでM&Aに踏み出すべきなのかを判断する際の材料ですので、ぜひ把握しておいてください。
まず紹介するのは、M&Aの歴史です。
M&Aの歴史
日本におけるM&Aの歴史について簡単に紹介します。戦前期より日本ではさまざまな企業が積極的にM&Aを実施しており、財閥の拡大・業界再編などに大きく寄与する経営戦略の1つでした。
これを示す典型例は、1800年代の後半から1900年代にかけて旧財閥系の企業がM&Aにより事業拡大を図っていたケースです。また、カネボウの前身である鐘淵紡績もM&Aを用いていた企業の1つであり、M&Aにより企業規模の拡大し現在では日本最大級の企業にまで成長しています。
昭和初期には、敵対的買収を含めてM&Aが積極的に実施されました。これは、第一次世界大戦による特需のほか、関東大震災に伴う火災が甚大な影響を及ぼしたことで安全性の高い電力に対する需要が向上したことなどが理由として考えられています。
こうした動きを受けて、電力業界ではM&Aによる組織提携が広く実施されて、結果的には5つの電力会社に集約されました。
1930年代頃には、国策として、経営破綻した企業(新興財閥)の再建が目指されたM&Aの実施も見られます。こうした戦略的なM&Aは、当時の日本が昭和恐慌から素早く脱出できた要因の1つにもなりました。
しかし第二次世界大戦後になると、状況は大きく変わります。GHQ(連合軍総司令部)の方針により財閥解体が進められたため、持株会社および株式交換など株式の移転を容易にするM&A手法が全面的に規制されました。
とはいえ、1980年代半ば頃より、急激な円高・国内株式市場の長期的な好調維持・土地高騰などを受けて、日本企業が外資系企業を買収するというM&Aが多く実施されています。その後のバブル崩壊以降は、事業再編・大型企業倒産を処理する手法として政府によりM&Aの実施が援助されました。
そして現在、M&Aは後継者問題の解決・競争激化による業界再編などを目的に実施されています。このように、M&Aは各時代の情勢に応じて異なる目的が掲げられたものの、戦前期より活用されている歴史の古い手法です。
M&Aが急増している現状
マールオンラインの調査によると、2019年において国内企業が当事者となったM&Aの件数は4,088件と報告されています。これは2018年の3,850件を238件(6.2%)上回っており、過去最多の件数です。
昨今の日本ではM&A件数が急増しており、「会社を乗っ取る行為・会社を売り払う行為」という悪いイメージが払拭されて、効果的な経営戦略として企業に広く浸透していることがわかります。
最近では、後継者問題を解決するために事業承継型のM&Aが採用されるケースも増えているほか、新事業のための資金調達手段としてM&Aによる事業譲渡が行われる事例も目立っている状況です。
M&A市場の今後の動向について

グラフ:経営者年代別 後継者不在率(出典:帝国データバンク「全国・後継者不在企業動向調査」2019年)
M&Aというと従来では「身売り」「敵対的買収」といった悪い印象が付きまとう行為でしたが、時代の流れとともに経営者の意識は変化しています。M&Aに対する経営者の意識が変わった契機とされているのが、後継者問題の深刻化です。
帝国データバンクによれば、調査対象の中小企業のうち65.2%が「後継者不在に悩まされている」と回答しています。加えて、社長の平均年齢と社長の引退平均年齢にあたる60代経営者の約半分は後継者候補が決まっていない状態です。
こうした状況を受けて、最近では、中小企業が当事会社となり後継者問題の解決を目指した事業承継型M&Aが数多く報告されています。具体的には以下のような傾向が背景となって、M&A件数は今後も増加傾向を維持する見込みです。
- 生産年齢人口の減少
- 業界寡占化の進行
- ベンチャー企業によるEXIT手段としての積極的な活用
日本における生産年齢人口(15~64歳)は徐々に減少しており、近い将来にはいかなる業界・業種の企業であっても人材不足に悩まされるものと推測されています。特に中小企業では人材不足が経営不振につながりやすいことから、今後も引き続きM&Aによる事業承継件数は増加する見込みです。
また、調剤薬局のように寡占化が進行する業界では、大手企業が中心となってM&Aによる企業買収を積極的に実施しており、M&A件数の増加に大きな影響を及ぼしています。
そのほか昨今では、国内のベンチャー企業がEXITを目的にM&Aを用いるケースも目立っています。実際に一般的な相場を大きく上回る金額が提示された売却事例も報告されており、今後はアメリカと同様に日本でもEXITの手段としてM&Aが大いに採用される見とおしです。
M&Aの事例5選!経営者がM&Aを選ぶ理由とは
M&Aの事例を見て、経営者がどういう目的でM&Aをしているのかを考えてみましょう。今回ご紹介する事例は、以下の5つです。
- 日清食品ホールディングスと湖池屋のM&A(株式譲渡)
- IDホールディングスとウィズ・ホールディングスのM&A(株式交換)
- 丸井グループとCAMPFIREのM&A(資本業務提携)
- 三菱UFJリースと日立キャピタルのM&A(合併)
- KlabとさくらソフトのM&A(会社分割・株式譲渡)
それぞれの事例ごとの背景や狙いを確認し、自社のM&Aにも活用してください。それぞれの事例について、順番に見ましょう。
①日清食品ホールディングスと湖池屋のM&A(株式譲渡)
2020年11月、日清食品ホールディングスは湖池屋の株式を追加取得して連結子会社化すると発表しました。従来の持ち株比率である34.54%を45.12%にまで引き上げることで連結子会社化を行う見とおしです。株式取得価額は22億5,500万円と発表されています。
日清食品ホールディングスは、インスタントラーメンを中心とした食品加工会社です。2011年5月より湖池屋とは資本業務提携を行っており、商品開発・マーケティングや営業・物流などの分野で協業を進めて社長を派遣するほど密接な関係にありました。
一方の湖池屋は、スナック菓子を中心とする商品の製造・販売を手掛けている菓子メーカーです。日清食品ホールディングスの持ち分法適用関連会社という位置づけにあります。
本件M&Aの狙いは菓子事業の強化であり、協業の取り組みをより一層強化するために連結子会社化に至っています。
②IDホールディングスとウィズ・ホールディングスのM&A(株式交換)
2020年11月、IDホールディングスはウィズ・ホールディングスの株式78.4%を取得し子会社化した後に、株式交換によりウィズ・ホールディングスを完全子会社化すると発表しました。株式取得価額は10億9,800万円です。
IDホールディングスは、「Waku-Wakuする未来創りに参加する」を理念に掲げる情報サービス企業です。コンサルティングからソフトウェア開発・システム運営管理・クラウド/セキュリティ・BPOに至るまで、トータルにカバーするITアウトソーシングサービスを提供しています。
一方のウィズ・ホールディングスは、グループ全体の経営戦略の策定・推進およびコーポレート機能事業を手掛けています。本件M&Aの狙いは、顧客基盤の強化・技術力の獲得・ソフトウェア開発分野の業務ノウハウ共有および、これに伴う大型案件の生産体制の構築などです。
③丸井グループとCAMPFIREのM&A(資本業務提携)
2020年11月、丸井グループはCAMPFIREと資本業務提携契約を締結しました。丸井グループは、ファッションビルの丸井などを傘下に持つ持株会社です。小売事業・フィンテック事業を中核とするグループ会社の経営計画・管理などを手掛けています。
一方のCAMPFIREは、国内最大のクラウドファンディングCAMPFIRE(キャンプファイヤー)を運営する会社です。購入型クラウドファンディング・寄付型クラウドファンディング・融資型クラウドファンディング・株式投資型クラウドファンディングや、これらに付帯する事業の企画・開発・運営を手掛けています。
本件M&Aの狙いは、ステークホルダーとの共創に伴う、企業価値向上および社会課題解決の実現です。丸井グループがすでに出資・協業している企業とも連携しつつ、共創のエコシステムの形成を目指していくと発表しています。
④三菱UFJリースと日立キャピタルのM&A(合併)
2020年9月、三菱UFJリースと日立キャピタルは、2021年4月1日付で合併を行うと発表しました。三菱UFJリースが存続会社となり、日立キャピタルを吸収する形式での合併です。三菱UFJリース1:日立キャピタル5.1の合併比率で、日立キャピタルの1株に三菱UFJリースの5.1株が割り当てられます。
三菱UFJリースは、業界第3位に位置する大手総合リース会社です。1971年に設立されて、三菱商事が筆頭株主を担っています。一方の日立キャピタルは1957年設立の会社で、筆頭株主は日立製作所です。
本件M&Aの狙いは、経営基盤の強化にあります。もともと当事会社は資本業務提携を結ぶ関係にあり、環境・エネルギーなど海外インフラ投資をメインに協業していましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響によりリース事業は厳しさを増したことから、業界首位のオリックスに迫る目的で合併に至りました。
⑤KlabとさくらソフトのM&A(会社分割・株式譲渡)
2020年6月、Klabは、ゲームタイトルの開発・運用を手掛ける岡山事業所について、簡易新設分割を行い新設会社の「まかねソフト」に承継すると発表しました。これに伴い、まかねソフトの株式すべてとゲームの企画制作・運営事業について、さくらソフトに譲渡することも発表しています。
Klabは携帯電話向けのゲーム事業を主力とする情報通信事業会社であり、ソーシャルゲームの開発・運営や受託開発などを手掛けています。一方のさくらソフトは、1998年に千葉の学生エンジニアが創業した会社です。SI事業・通信販売サイトのシステム開発を手掛けた後にソーシャルゲーム事業に参入しています。
本件M&Aの狙いは、中長期的な企業価値の向上および、岡山事業所における新たな価値創出の実現です。そのために、モバイルオンラインゲームの運用力に強みがあるさくらソフトに対して、事業所とゲームタイトル開発・運用を譲渡しています。
M&Aを行うための手続きとは?大まかな流れ5ステップ

図解:M&Aの大まかな流れ5ステップ
M&Aを行うための手続きは、大まかに以下の流れで進みます。
- M&A仲介会社を選定する
- 買い手を探す
- 条件交渉を行い、基本合意契約を結ぶ
- 買い手のデューデリジェンスを受ける
- 条件を再度話し合い最終契約を結ぶ
M&Aの手法や目的によって細かな手続きは異なりますが、まずは大まかな流れを知っておくと良いでしょう。具体的な手続きは、M&A仲介会社に相談しながら進めていくため安心してください。それでは、それぞれのステップについて順番に見ましょう。
①M&A仲介会社を選定する
最初のステップは、M&A仲介会社を選定することです。M&A仲介会社には、M&Aを理論的にも実務的にもサポートしてもらえます。M&Aを自力で成約させるのは非常に難しいため、まずは頼りになるM&A仲介会社を選びましょう。
M&A仲介会社には、「自身の希望するM&Aとはどのようなものなのか」「現在抱えている経営課題」などを伝えます。このとき、気がねなく話せて相談しやすい雰囲気を持つM&A仲介会社を選ぶと良いです。実際に無料相談などを利用してみて、好印象の仲介会社に依頼してください。
相談時には、報酬について具体的な見積もりを出してもらうと安心です。言動に不安な点がなく信頼できるM&A仲介会社を選びましょう。M&A仲介会社は、企業価値算定にも対応しています。企業価値の算定方法について相談前に知っておきたいなら、以下の記事を参考にしてください。
②買い手を探す
次に、M&Aの相手となる買い手を探します。買い手を探すときは、M&Aの目的を意識しながら相手選びの条件を決めることが大切です。例えば、現状の事業エリアで売上を伸ばしたいなら、同エリアで別の取引先を多く抱えている同業他社を選ぶと良いでしょう。
このように、自分がM&Aを検討した目的とはどのようなものかを考えたうえで、これをかなえられる買い手を探してください。買い手探しは、M&A仲介会社のネットワークを活用すれば早めに済ませられるケースが多いです。希望する条件を伝えながら、最適な買い手を見つけましょう。
③条件交渉を行い、基本合意契約を結ぶ
買い手を見つけたら、M&Aの条件交渉を始めます。このときに、お互いがM&Aについて情報漏えいをしないことを約束する契約(秘密保持契約)を怠らずに締結しましょう。
交渉では、自社が希望する条件だけではなく、相手の希望する条件とはどのようなものかも意識しながら、お互いが納得できる条件を探ると良いです。売買の範囲・譲渡価格・従業員の処遇・今後のスケジュールなどさまざまなことを決めますが、気になる点があれば積極的に伝えていきましょう。
後悔しないM&Aにするために、相手やM&A仲介会社と積極的にコミュニケーションを取ってください。そして、条件がまとまったら、基本合意契約を結びます。基本合意契約とは、この段階で合意した条件について書面で確認しておくための契約です。
以降のステップの手続きで条件が変わることがあるため、基本合意契約には法的拘束力を持たせないケースが一般的です。しかし、以降の手続きが円滑になるほか、相手側企業にM&A成約に前向きな姿勢を取ってもらえる可能性が高まるため、基本合意契約は忘れずに結んでおきましょう。
④買い手のデューデリジェンスを受ける
条件交渉が落ち着いたら、買い手側のデューデリジェンスを受けるステップに移ります。デューデリジェンスとは、売却側企業に関する調査のことです。ここでは、財務面・事業面・人事面・法律面・税務面・情報システム面といった幅広い内容が調査されます。
M&Aにより売却側企業の持っているリスクは買収側企業が引き継ぐため、デューデリジェンスを行いリスクを徹底的に洗い出すのです。例えば、「M&A成約後に法律違反が発覚して大きな損害が発生した」というトラブルを回避するためにあらかじめ調査します。
ただし、デューデリジェンスには多くの費用や時間がかかるため、すべてを完璧に調査することはほとんどありません。M&Aの目的・売却側企業の特徴に応じて、必要な調査を行います。
デューデリジェンスがスムーズに進むよう、買収側企業には協力を惜しまない姿勢を見せると良いでしょう。デューデリジェンスについてより詳しく知りたいなら、以下の記事を参考にしてください。
⑤条件を再度話し合い最終契約を結ぶ
デューデリジェンスの結果が出た後は、条件を再度話し合います。特に中小企業ではデューデリジェンスで何らかのリスクが発覚するケースが多く、基本合意契約における条件に変更が加わりやすいです。条件を引き下げたくなければ、リスクを解消できないか検討しましょう。
条件の話し合いが終わり双方が納得できたら、最終契約の締結です。この最終契約書は、「Definitive Agreement(正式な契約)」を略してDAと呼ばれることもあります。
基本合意契約とは違い最終契約は法的拘束力を持つため、契約締結後は基本的に破棄できません。破棄する場合は損害賠償の支払いが必要となるため、慎重に契約しましょう。最終契約を結ぶと、M&Aは成約です。
以上、M&Aを行うための手続きを紹介しました。M&Aの実務についてより詳しく知りたいなら、以下の記事を参考にしてください。
M&A仲介会社のサービス・費用とM&Aに必要なお金について
M&A仲介会社だけでなく銀行・弁護士事務所・税理士事務所・会計事務所・ファイナンシャルプランナーなどの専門家も、M&Aに関する相談対応を行っています。しかし、M&A戦略の立案からM&A成約・事業の引き継ぎまですべてのプロセスをサポートしてもらうなら、M&A仲介会社への依頼が最適です。
中には「普段お世話になっている銀行でもM&Aの相談を受け付けている」という経営者の方もいますが、銀行では大口の案件しかサポートしていないケースも珍しくありません。
また、銀行側に利益が出るようにM&Aを進められてしまうおそれもあります。そのため、自身の希望どおりのM&Aを行いたいという場合、まずはM&A仲介会社に相談してみてください。ただし、M&A仲介会社に依頼する場合には費用を支払わなければならないので、事前に確認しておきましょう。
この章では、M&A仲介会社のサービス・費用とM&Aに必要なお金について紹介します。
M&A仲介会社のサービス
M&A仲介会社の提供するサービスは、当然M&Aの仲介です。M&A相手候補を見つけるマッチングサービスをはじめ、譲渡企業と譲受企業の間を中立的かつ客観的に取り持って、M&Aを成約させるための業務を手掛けます。
このときに仲介会社は、M&A当事会社の片方の利益を追求せず、あくまでも双方の条件をすり合わせながら利益のバランスを考えたM&Aの成約を目指します。双方経営陣の同意のもとで進行する友好的なM&Aを行うためにも、M&A仲介会社を利用した取引を行うと良いでしょう。
M&A仲介会社に依頼する際の費用とは
M&A仲介会社に依頼する際には、費用が必要です。詳しい報酬システムはM&A仲介会社によって異なりますが、代表的には以下のような内容の費用が挙げられます。
手数料名 | 相場 | 備考 |
相談料 | 3,000円~1万円 | 正式な依頼の前にM&Aについて相談するための手数料 |
着手金 | 20万円~200万円 | M&A仲介会社に依頼をする際に支払う手数料 |
中間金 | 30万円~200万円 | M&Aの基本合意契約を締結した際に支払う手数料 |
成功報酬 | 売却額の5% | M&Aが成約して最終契約を結んだ際に支払う手数料 |
リテイナーフィー | 20万円~100万円/月 | M&A仲介会社に毎月支払う手数料 |
デューデリジェンス費用 | 10万円~200万円 | デューデリジェンスの際にかかる調査費用 |
出張などの費用 | 実費 | 現地への出張費など業務実行にかかる費用 |
これらの中から、M&A仲介会社が規定している費用を支払うことになります。支払金額に不安があるなら、M&A成約時のみ費用が発生する完全成功報酬制を採用する仲介会社への依頼がおすすめです。
その一方、成功報酬以外の費用はM&Aが成約しなくても返ってこないケースがほとんどであるため、注意しておきましょう。安心してM&Aを進めるためにも、事前にどれほどの報酬額になるのか詳しい見積もりを出してもらうと良いです。
M&A仲介会社についてより詳しく知りたいなら、以下の記事を参考にしてください。
M&Aに必要なお金
M&Aには、仲介会社への依頼報酬のほか、会計・税務の面でも費用が発生します。M&Aを行う際の会計処理方法は、個別会計・連結会計・税務会計の3種類が代表的です。
個別会計とはM&A当事会社の双方が仕訳を行うもので、多くの会計基準が設けられています。また、連結会計とは、親会社・子会社を同一グループとして捉える会計処理です。そして、税務会計とは、税法にのっとって企業の課税所得を決めるために用いる会計をさします。
上記に加えて、M&Aでは相続税・贈与税・法人税・消費税・登録免許税・不動産取得税といった税金が課せられるため、税務処理も求められます。課税額によっては経営者の手元に残る利益に大きな差が生じるため、税金に関する基本的な知識は習得しておくと良いです。
M&Aに関する会計および税務については、以下の各記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
M&Aで売却を成功させるため必ず知っておくべき3つのこと
M&Aで売却を成功させるために以下のことを知っておくべきです。
- M&A仲介会社選びには時間をかける
- 従業員や取引先には適切な時期に丁寧に説明する
- 自分だけでなく関係者全員のメリットを考える
これらのことを押さえれば、M&Aによる売却を成功させられる可能性を大幅に高められます。それぞれのポイントについて、順番に見ていきましょう。
①M&A仲介会社選びには時間をかける
M&Aを成功させたければ、M&A仲介会社選びに時間をかけると良いです。M&Aの手続きをサポートしてくれるM&A仲介会社の依頼先には、何でも相談できるような相手を選ばなければなりません。
そのためには、担当者には話しやすさ・知識量・経験などが必要です。実際に話してみなければわからないことも多いため、まずは相談に行ってみましょう。セカンドオピニオンとしての利用ができるM&A仲介会社もあるため、少しでも相談先に不安があるなら納得できる専門家を探し直すと良いです。
②従業員や取引先には適切な時期に丁寧に説明する
従業員や取引先には、適切な時期にM&Aを丁寧に説明することが大切です。M&Aが成約していない段階で情報を広めすぎると、社内や取引先が混乱してしまいます。これにより、従業員が退職したり取引先に取引を断られてしまったりなど、会社経営に悪影響が出るケースも珍しくありません。
場合によってはM&A相手側が難色を示して、途中まで順調に進んでいても交渉が急に破談になるおそれもあります。したがって、従業員や取引先には基本的にM&Aの実施が確定した後で説明を行うと良いでしょう。
なお、M&Aと聞いただけで不安に思う人もいるため、目的・得られるメリットなどについて理解してもらえるまで丁寧に伝えてください。
③自分だけでなく関係者全員のメリットを考える
M&Aを行うなら、自分だけではなく、関係者全員のメリットを考えることが成功の近道といえます。M&Aは自社を大きく変える行為であるため、さまざまな条件を自分の希望どおりにしたいと考えがちです。
しかし、自分だけの利益を追求してしまうと、M&Aが成約する可能性が低下してしまいかねません。せっかく良い相手が見つかっても交渉がまとまらなければ破談となってしまうため、相手側のM&Aを行う目的を理解したうえで、自分の譲れない条件も意識しながら交渉を進めると良いでしょう。
このときに従業員や取引先のメリットまで考えると、M&A後に自社が発展する可能性が高まります。自社の現状を把握したうえで、できるだけ多くの人が喜ぶようなM&Aを進めることがポイントです。
M&Aでよくある質問
ここでは、M&Aに関して経営者の方からよく挙げられる質問とその回答を取り上げます。
- M&Aによる譲渡にあたり準備すべきことは?
- 赤字経営や債務超過がある企業は譲渡できない?
- M&A・事業承継の手法はどのようにして決めれば良い?
上記はどれもM&Aを進めるうえで知っておくべき大切な項目です。したがって、疑問に感じていたという経営者の方は、この章でしっかりと把握しましょう。それでは、順番に解説します。
①M&Aによる譲渡にあたり準備すべきことは?
はじめに行っておくべき準備は、M&Aの実施理由・動機・優先的にかなえたい条件を定めることです。これにより、M&A仲介会社などの専門家への相談・依頼や譲受先候補とのマッチングなどが円滑に進みます。
また、できる限り事前に自社の株式を集約しておくと、M&A実施期間の短縮につながるためおすすめです。株券を発行している企業であれば、株券の発行が適切になされているかも確認しておきましょう。
加えて、M&Aによる譲渡を検討する場合、相手側の買い手も同業・周辺企業となるケースが多いです。そのため、自社の業界のM&A動向などの情報を収集し、買収ニーズが高いタイミングで譲渡を行うよう意識しましょう。
例えば、新聞・経済誌などの特集を読み、同業他社の買収・売却ニュースや新規上場・株価などの情報を把握しておくと、自身の業界の期待値が把握できます。
さらに、M&Aのデューデリジェンスでは、定款・決算書・商業登記簿謄本・株主名簿・取締役会(株主総会)議事録・関係当局からの行政指導の関連資料など膨大な資料を準備・提出する必要があります。そのため、事前に月次決算・予実管理・原価計算を念入りに行っておくと、円滑に譲渡しやすくなるのです。
②赤字経営や債務超過がある企業は譲渡できない?
赤字経営や債務超過がある企業であっても、将来性が見込めたりブランドを持っていたりするならば、M&Aにより譲渡できる可能性は十分にあります。そもそもM&Aにおいて譲受側企業が重視するポイントは、赤字や債務超過が起こった理由や背景などです。
そのため、赤字経営(債務超過)の理由・背景をまとめておくと、改善・立て直しの可能性を感じる譲受先候補が現れやすくなるのです。M&Aによる譲渡では廃業費用の削減・譲渡利益の獲得などのメリットが期待できるため、赤字経営を理由に諦めず、M&A仲介会社に相談し自社の譲渡可能性を探りましょう。
③M&A・事業承継の手法はどのようにして決めれば良い?
本記事でも代表的な7つの手法を紹介したとおり、M&Aにはさまざまな手法が存在します。各手法によって期待できるメリット・想定されるデメリットなどの特徴は異なるため、自社にとって最適な手法を選ばなければなりません。
また、事業承継の手法には大きく分けて親族承継・従業員承継・M&Aによる第三者への承継がありますが、これらもそれぞれ特徴が異なるため、M&A手法の決定と同様の注意が求められます。
とはいえ、最適な手法を選択するには、業界の知識だけでなくM&A・事業承継に関する専門知識も必要となるため、M&A仲介会社などの専門家に相談して適切な判断を仰ぐと良いでしょう。
M&Aについて詳しく知りたければM&A総合研究所にぜひご相談ください
M&Aについて詳しく知りたければ、M&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所は、これまで幅広い業種でさまざまなM&A案件を成約させてきました。
相談対応は、M&Aとはどのようなものなのかを熟知している実績・経験が豊富なアドバイザーです。「M&Aで経営課題を解決したい」「M&Aで事業承継をしたい」など、ご希望に合わせたプランをご提案いたします。
国内最安値水準の手数料体系に強みがあるほか、完全成功報酬制を採用しておりますので、成約に至らない限り費用は一切発生いたしません。まだM&Aの実施について悩んでいる場合でも親身になってお話をうかがいますので、少しでもM&Aに興味がある場合には、ぜひ無料相談をご利用ください。
まとめ
M&Aとは、「Mergers(合併)」and 「Acquisitions(買収)」の略です。つまり、「合併と買収」という意味で、経営戦略の1つに位置づけられています。
M&Aを行えばさまざまな経営課題を効率良く解決できるため、年々行われる件数が増加しています。会社経営に何らかのお悩みがある場合には、M&Aで解決できないかを検討してみると良いでしょう。
M&Aを成功させるためには、専門家であるM&A仲介会社に話を聞くことがおすすめです。もしも、M&A仲介会社選びにお悩みでしたら、ぜひともM&A総合研究所にお問い合わせください。本記事の要点をまとめると、以下のとおりです。
・M&Aとは
→「Mergers&Acquisitions(合併と買収)」を略した言葉
・M&Aの売却メリット
→後継者がいなくても事業承継を果たせる、現経営者が譲渡益を得られる、買収企業の経営資源により事業が発展する
・M&Aの買収メリット
→効率良く事業を強化できる、短期間かつ低リスクで新規事業を始められる、人材やノウハウを獲得できる
・M&Aで用いられる7つの手法
→株式譲渡、事業譲渡、会社分割、株式交換、第三者割当増資、資本業務提携、合併
・M&Aを行うための大まかな流れ5ステップ
→M&A仲介会社を選定する、買い手を探す、条件交渉を行って基本合意契約を結ぶ、買い手のデューデリジェンスを受ける、条件を再度話し合い最終契約を結ぶ
・M&Aで売却を成功させるため必ず知っておくべき3つのこと
→M&A仲介会社選びには時間をかける、従業員や取引先には適切な時期に丁寧に説明する、自分だけでなく関係者全員のメリットを考える
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。