2022年9月27日更新事業承継

廃業率の推移とランキング

本記事では、企業の廃業率の推移について、国の発表データをもとに分析します。廃業は業績不振が主な原因でしたが、最近は出入りの激しい業種内の過当競争や後継者不在の問題などの要因も廃業に深く関係しており、廃業率の内情が複雑化している状況です。

目次
  1. 廃業とは
  2. 廃業率とは
  3. 廃業率の推移
  4. 業種別の廃業率ランキング
  5. 業種別廃業率と開業率との相関関係
  6. 都道府県別廃業率ランキング
  7. 廃業する前にM&A仲介会社に相談
  8. 廃業率のまとめ

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廃業とは

企業の倒産・破産・経営破綻と廃業は、厳密にいうと似て非なる概念です。そもそも倒産・破産・経営破綻とは、業績不振・営業不振・販売不振などが続いて会社経営が悪化する事態を受けて、進退窮まって追いつめられた結果として会社が立ち行かなくなったために訪れる状態をさします。

廃業は、経営者が自主的に計画して会社をたたむ行為です。このように倒産・破産・経営破綻と廃業ではプロセスに相違点が見られますが、「会社が消滅する」点では同じ状況を生じさせます。

自主的な廃業でも、廃業を選択する理由として倒産・破産・経営破綻と類似する「経営不振」が挙げられるケースが多いのも実情です。

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廃業率とは

倒産・破産・経営破綻と廃業は異なる概念ですが、本記事で取り上げる「廃業率」については言葉の解釈が若干異なります。端的にいうと、廃業率とは、「開業により存在していた会社が消滅してしまった割合」のことです。

廃業率は消滅してしまった会社の数に焦点を当てて廃業率を算出するため、会社が消滅するプロセスについてこだわりません。つまり、廃業率は、「倒産・破産・経営破綻した会社数」と「自主的な廃業を行った会社数」を合計した数値で導き出せます。

廃業率を計算する場合、基準となる期間は1年間です。具体的には以下の計算式が用いられます。

  • 廃業率(%)=1年間の消滅会社数÷年間当初の会社数×100

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廃業率の推移

本章では、廃業率の実態について取り上げます。廃業というネガティブな調査対象であるため、各種調査資料を見てもすべてが明らかなわけではありませんが、廃業率の推移を観察したうえで取り巻く状況を分析しました。

①廃業率の推移状況

ここでは、中小企業庁における「2021年版 小規模企業白書 第3節 開廃業の状況」のデータをもとに、日本の廃業率の推移について紹介します。なお、廃業率に関する中小企業白書のデータは、各年版の2年度前の情報が最新情報として掲載されている仕組みです。

国内企業の廃業率は、2001(平成13)年から2009(平成21)年にかけて4.5%前後で推移していましたが、2010(平成22)年以降は廃業率の水準が低くなり、4%前後で推移しながら下降傾向に推移しています。

そして、「2016(平成28)年以降、2019(平成31)年にわたり廃業率が3.4%まで低下した」というのが、2022年9月時点で公開されている最新情報です。日本の廃業率を海外の国と比較すると、非常に低い水準であることがわかります。

ただし、日本は開業率も低いことが示されており、一概に安心できない状況です。ここからは参考資料として、欧米諸国と日本における開業率と廃業率の推移をまとめました(公表されている年度のみ)。

開業率 日本 アメリカ イギリス ドイツ フランス
2016(平成28)年 5.6% 10.3% 15.1% 6.7%  9.8%
2017(平成29)年 5.6%     - 13.6% 6.8% 10.0%
2018(平成30)年 4.4% 9.1% 13,5% 8.0% 10.9%
2019(平成31)年 4.2%  -  -  -  -
 
廃業率 日本 アメリカ イギリス ドイツ フランス
2016(平成28)年 3.5% 8.6% 10.1% 7.9% 4.7%
2017(平成29)年 3.5%     - 12.5% 7.6% 4.9%
2018(平成30)年 3.5% 8.5% 11.3% 8.9%  4,7%
2019(平成31)年 3.4%  -  -  -  -

(出典:中小企業庁-https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2020/chusho/b1_3_1.html

②廃業に関する現状

日本の廃業率は、低下傾向にあり喜ばしい状況です。東京商工リサーチの調査においても、「2010(平成22)年以降は年間倒産企業数が減少している」旨のデータが提示されており、廃業率の低下が裏付けられています。

ところが、昨今の日本では「経営状況は良好であるにもかかわらず、事業を辞める企業が増加している」不可思議な現象が起きています。これは、現代日本の少子高齢化現象がもたらした、中小企業における後継者不在の問題が主な原因です。

中小企業の経営者が高齢となり事業承継の時期を迎えても、親族・社内に後継者がいない事態に直面し、やむなく会社を解散・廃業するケースが増えているのです。この事態を打開できれば、日本の廃業率のさらなる良化につながります。

中小企業の後継者不在の問題に対する有効策に、M&Aによる第三者への事業承継があります。第三者への会社譲渡に抵抗を覚える経営者の方は少なくありませんが、廃業と比較すると「会社を存続できるうえに、売却によって老後資金を獲得できる」点が大きなメリットです。

業種別の廃業率ランキング

本章では、国内企業の廃業率について業種別に取り上げます。データは中小企業庁における「2021年版 小規模企業白書 第3節 開廃業の状況」から抜粋しましたが、統計年度は2019年度です。

業種は全部で14業種に分類され、廃業率の高いワースト5業種は下記になります。なお、最も廃業率の低い業種は複合サービス事業で0.9%です。

  1. 宿泊業・飲食サービス業:5.9%
  2. 生活関連サービス業・娯楽業:4.8%
  3. 小売業:4.4%
  4. 情報通信業:4.0%
  5. 学術研究・専門・技術サービス業:3.7%

ランキングを見るとわかるとおり、宿泊業・飲食サービス業の廃業率は非常に高いです。なお、興味深いことに、廃業率の高い業種は開業率も高い傾向にあります。参考資料として、開業率の高い業種ベスト5を以下にまとめました。

  1. 宿泊業・飲食サービス業:8.7%
  2. 生活関連サービス業・娯楽業:6.3%
  3. 情報通信業:6.1%
  4. 不動産業・物品賃貸業:5.3%
  5. 電気・ガス・熱供給・水道業:4.9%

上記のとおり、廃業率の高い業種である「宿泊業・飲食サービス業」と「生活関連サービス業・娯楽業」と「情報通信業」は開業率も高いです。上記のデータからは、これらの業種にビジネスチャンスがあると踏んで新規参入する会社が多いものの、継続に失敗しているケースが多いことがわかります。

いいかえると、開業率の高さは競争の激しさを意味します。ビジネスを続けるうえで他社との差別化や自社ならではの強みを発揮しないと、生き残るのは難しいでしょう。

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業種別廃業率と開業率との相関関係

本章では、業種別の開業率の数値と廃業率との相関関係について、詳しく分析します。「宿泊業・飲食サービス業」「生活関連サービス業・娯楽業」「情報通信業」は廃業率・開業率のいずれも高いですが、そのほかにも国内企業の廃業率を業種別に見ると以下の2点が顕著です。

  1. 開業率が高く廃業率が低い業種
  2. 開業率と廃業率がともに低い業種

それぞれの項目を順番に見ていきましょう。

①開業率が高く廃業率が低い業種

開業率が4.9%と高水準の「電気・ガス・熱供給・水道業」における廃業率は、3.4%であり全体的に見ても低いといえます。これは、自然災害からの復興・復旧工事や東京オリンピックに向けた各種工事など、業種全体に対する需要の高さが如実に数字となって表れた結果でしょう。

②開業率と廃業率がともに低い業種

廃業率が2.4%と低い医療・福祉業の開業率は3.9%と、他と比べて下回っています。医療・福祉業は公共性が強く許認可の厳しさがある点と超高齢社会で需要が高い点から、開業率と廃業率の上昇につながらない背景が見て取れます。

開業率が1.7%と低い製造業の廃業率も、全体的に見て低い3.0%です。製造業では、設立当初に相応の設備投資が必要である状況や市場としてすでに飽和状態に近い状況などが、開業率・廃業率の低さから裏付けられます。

【関連】廃業支援における中小企業庁の制度・銀行の活用

都道府県別廃業率ランキング

この章では、都道府県別の廃業率ランキングを取り上げます。中小企業庁の「2021年版 小規模企業白書 第3節 開廃業の状況」によると、基本的には都道府県別で廃業率にそれほど大きな開きは見られませんが、統計年度2019年度のワースト5は以下のとおりです。

  • 長崎県:4.3%
  • 青森県:4.0%
  • 福岡県:4.0%
  • 岩手県:3.8%
  • 京都府:3.8%

なお、沖縄県の開業率は全国を大きく上回る6.6%と発表されています。これは沖縄県の主産業が観光であり、宿泊業・飲食サービス業への新規参入が多いためです。2019年度に最も廃業率が低かった県は、2.8%の長野県と広島県でした。

【関連】経営に求められる判断

廃業する前にM&A仲介会社に相談

これまで廃業率の推移を中心に紹介しましたが、自社で廃業を検討しているならば、まずはM&A仲介会社に相談して事業承継の道を模索しましょう。

自社を廃業する場合、従業員・顧客・取引先などに大きな迷惑をかけてしまうおそれがありますが、事業承継を行えば、その心配もなくなります。会社譲渡の際にまとまった利益を獲得できれば、経営引退後の生活資金などにも充てられるでしょう。

後継者不在で廃業を検討している場合は、M&Aによる事業承継を検討することをおすすめします。

M&A総合研究所では、知識・経験の豊富なM&Aアドバイザーが、M&Aによる事業承継の手続きをフルサポートいたします。料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。

無料相談をお受けしておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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廃業率のまとめ

廃業率の分析は後ろ向きの行為のように感じる経営者の方も多いですが、実際はこれから開業・起業しようと考える立場の方などからするとさまざまなヒント・指針が得られる可能性のある行為です。

廃業率に関する中小企業庁の資料はインターネット上で公開されており、誰でもいつでも閲覧できます。廃業率の最新情報が気になる方は、より詳細な情報をご覧ください。

廃業率に関する知識や情報は、経営者にとって大きな武器となります。

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