2024年10月24日更新業種別M&A

パン屋・ベーカリーの事業承継の事例!課題や案件例・注意点も解説

パン屋・ベーカリーの事業承継は特殊です。一般の企業なら経営を引き継ぐだけですがパン職人としての腕・技術も承継する必要があります。その分、事業承継の難易度は高く後継者も見つかりにくいのが現実です。パン屋・ベーカリーの事業承継の解決方法や事例・案件例・注意点を解説します。

目次
  1. パン屋・ベーカリーの事業承継とは
  2. パン屋・ベーカリーの事業承継課題
  3. パン屋・ベーカリーの事業承継案件例
  4. パン屋・ベーカリーの事業承継・M&A事例
  5. パン屋・ベーカリーの事業承継はM&A仲介会社に相談
  6. パン屋・ベーカリーの事業承継の注意点
  7. パン屋・ベーカリーの事業承継まとめ
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パン屋 ベーカリーのM&A・事業承継

パン屋・ベーカリーの事業承継とは

パン屋・ベーカリーに限らず中小企業や個人事業主などの小規模事業者では、現在、全国的に事業承継が深刻な問題です。そこで、帝国データバンクが実施した調査資料「事業承継に関する企業の意識調査をもとに、状況を分析してみましょう。

事業承継にかかる後継者への引き継ぎ期間について尋ねたところ、「3~5年程度」と回答した企業が最も多く、全体の26.9%を占めました。続いて、「6~9年程度」が13.8%、「1~2年程度」が11.3%、「10年以上」が11.2%と続いており、全体として「3年以上」の移行期間を必要とする企業の割合は51.9%で、半数を超えました。これに対して、「移行期間が不要」と回答した企業は8.9%でした。

規模別に見ると、大企業では「3年以上」かかる割合が41.0%でしたが、中小企業では54.1%、小規模企業では55.7%と、大企業に比べ10ポイント以上高くなっています。中小企業の中には「現在の相続税制度では後継者に負担が大きい」(機械工具卸売業、香川県)、「事業承継に適した人材の確保が難しい」(生菓子製造業、福岡県)などの課題が報告されています。

また、2020年2月以降、新型コロナウイルスの感染拡大により、事業承継に対する意識の変化について尋ねたところ、「意識が変わった」と回答した企業は8.7%でしたが、「特に変化なし」とした企業は79.8%に上り、大半を占めました。

「意識が変わった」企業の内訳を見ると、「事業承継の時期を延期」と考えた企業が4.3%で最も多く、「時期を前倒しした」が3.5%でした。また、「廃業予定から事業承継に変更した」が0.4%、「事業承継予定から廃業に変更した」が0.5%でした。

参考:帝国データバンク「事業承継に関する企業の意識調査(2021 年 8 月)」

事業承継するのは経営力だけではない

パン屋・ベーカリーの事業承継についても、先に述べたように「後継者がいない」ということは重要な問題です。しかし、小規模事業者であるパン屋の事業承継のもう1つの難しさとして、経営=マネジメントだけの承継ではすまないことが挙げられます。

パン屋・ベーカリーの経営実態として、パンを作る職人が経営者であることがほとんどであり、パン屋・ベーカリーの運営や経営だけを後継者が承継するというのは考えにくいといわざるを得ません。つまり、経営者としての資質だけでなく、パン職人としての技術の承継も必要なのです。

そうなると後継者は見つかりにくく、事業承継の計画は難しい状況となります。一案としてはパン職人と経営者を分けて考え、それぞれ別の人材を探すという方法論もありますが、果たしてこれが現実的であるかどうかは、厳しいかもしれません。

そうこうしているうちに、パン職人でもある経営者が引退するときには、結局、パン屋・ベーカリーを閉店するケースも多いという現実があります。

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パン屋・ベーカリーの事業承継課題

事業承継問題の論点は「後継者不足」と「経営者の高齢化」です。日本における少子高齢化現象が、中小企業やパン屋の事業承継にそのまま直撃しています。帝国データバンクの「全国社長年齢分析(2020年)」によると、日本の企業約95万社の社長平均年齢は以下のとおりです。

  • 全体:59.9歳
  • 上場企業:58.7歳
  • 非上場企業:61.1歳
  • 小売業:60歳(パン屋は小売業に分類される)

事業承継に要する時間は業種によってバラつきはありますが、一般的には後継者教育も含めた準備期間として5~10年を要するといわれています。60歳の社長であれば、今すぐ事業承継の準備を始めても、事業承継できるのは65~70歳のときです。

しかし、後継者が決まっていなければ準備に着手もできません。パン屋・ベーカリーにおける「後継者不足」と「経営者の高齢化」の実状を確認しつつ、その解決方法を探ってみましょう。

後継者がいない

人口の少子化が事業承継にダイレクトに影響しているのが、パン屋経営者の一番の後継者候補となる子供の少なさです。現代社会では価値観の多様化の影響もあり、子供側がすんなりと親の仕事の後を継ぐという考えを持っていません。

それでも子供の数が多ければ、中には親の後を喜んで継ぐような可能性もあったかもしれませんが、少子化現象により、せいぜい子供は1人程度が多いという実状です。その1人が後継者になることを拒否すれば、身内の後継者候補はいなくなってしまします。

また、小規模事業者であるパン屋の場合、従業員も多数いるわけではなく、そこに後継者を見い出すことも難しいでしょう。その結果、後継者探しをあきらめ、「自分の代で廃業しよう」と考える経営者が多くなりがちです。

地域から人気があり評判もよく売上が順調のパン屋でも、後継者がいなければ閉店せざるを得ないのは残念といわざるを得ません。

経営者の高齢化

パン屋の経営者としては、後継者がいない現実はさておき、体力が続く限りパン屋を継続していこうという考えが強く、結果的に経営者自身が高齢になっていきます。しかし、パン屋の場合、経営者がパン職人であることがほとんどです。

他の業種と違って、経営者でありながら現場の第一線でパンを作る作業を行わなければなりません。そこには体力的な問題もあります。パンを焼く準備のため、午前4時頃から仕事をすることもあるそうです。

年齢を重ねるとともに、継続していく難易度は上がっていくでしょう。したがって、後継者がいないパン屋の場合、体力の限界により突然、閉店するということもあり得るのです。

パン屋の事業承継・第三の道

少子化で身内に後継者がおらず、小規模経営で従業員にも後継者を見出し難いパン屋にとって、残された道は廃業・閉店しかないと考えがちですが、そこには、もう1つの事業承継の方法があります。それは、M&Aによる事業承継です。

小規模事業者のパン屋にとって、M&Aなどと聞くと仰々しく感じてしまうかもしれません。しかし、要は、パン屋の経営に興味のある個人や法人に自分のパン屋を買い取ってもらい、このままパン屋を続けていってもらえるなら何も問題はないでしょう。

この場合、パン屋の買取先となり得るのは、自分の店を持ちたいと考え現在パン職人をしている個人や、すでに複数のパン屋を経営しパン職人などの人材がある法人などです。この両者であれば、パン屋の事業承継における難問であった、経営とパン作りの両立も解決します。

パン屋・ベーカリーの事業承継案件例

弊社M&A総合研究所が取り扱っているパン屋・ベーカリーの事業承継案件例をご紹介します。

【関西エリア・多店舗展開】自社ブランドのベーカリーレストラン運営

コロナの影響で急激に業績が悪化するも、現在は回復基調であり営業利益も黒字化予定です。全てのパンの素材に国産の原材料を使用しており、リピーター顧客も多数です。

エリア 近畿
売上高 2.5億円〜5億円
譲渡希望額 希望なし
譲渡理由 財務的理由、資金調達

【関西エリア・多店舗展開】自社ブランドのベーカリーレストラン運営(ものづくり・メーカー) | M&A総合研究所

【海外/飲食業】有名ベーカリーチェーン店×インドネシア

インドネシアで有名なベーカリーチェーンを運営しています。保存料、生地調整剤、人口香料、着色料不使用に拘ったナチュラルベーカリーです。

エリア 海外
売上高 1億円〜2.5億円
譲渡希望額 5億円〜7.5億円
譲渡理由 後継者不在(事業承継)

【海外/飲食業】有名ベーカリーチェーン店×インドネシア(ものづくり・メーカー) | M&A総合研究所

パン屋・ベーカリーの事業承継・M&A事例

パン屋 ベーカリーのM&A・事業承継
パン屋 ベーカリーのM&A・事業承継

パン屋・ベーカリーの事業承継・M&A事例をピックアップしご紹介します。

クリエイト・レストランツHDによるサンジェルマンの事業承継・M&A

2022年9月15日、クリエイト・レストランツ・ホールディングスは、サンジェルマン(神奈川県横浜市)の株式を日本たばこ産業株式会社から全株取得し、連結子会社化することを決定しました。取得価格は約23.62億円で、サンジェルマンの完全子会社である北海道サンジェルマンもグループに加わります。

クリエイト・レストランツHDは、外食業界での店舗運営ノウハウを活用し、サンジェルマンの伝統的ブランドと顧客基盤を強化しています。新規出店やイートインエリアの拡充、店舗改装などの投資を通じて、両社のさらなる成長を目指します。

株式会社サンジェルマンの株式譲渡契約の締結について

ドンクによる小田急グループのベーカリー「HOKUO」の事業承継・M&A

2021年12月21日、小田急グループの北欧トーキョー(神奈川県座間市)は、ドンク(兵庫県神戸市)への事業譲渡を決定しました。この譲渡により、小田急沿線の10店舗がドンクに移管されます。さらに、小田急電鉄はドンクとの業務提携に関する基本協定書を締結し、飲食関連事業での協力体制を構築しました。

北欧トーキョーは「HOKUO」ブランドのベーカリー運営を行い、ドンクはフランスパンや菓子の製造販売を手掛けています。今後、小田急グループはドンクとの連携を活用し、地域社会への“食”の充実を推進していきます。

㈱北欧トーキョーにおける㈱ドンクへの一部事業譲渡、 小田急電鉄㈱と㈱ドンクの業務提携に関するお知らせ

パン屋・ベーカリーの事業承継はM&A仲介会社に相談

パン屋・ベーカリーの事業承継の3種類の方法について、あらためて以下に記します。

  • 親族承継:子供や配偶者などの親族を後継者にする
  • 社内承継:従業員を後継者にする
  • M&A承継:M&Aでパン屋を売却し外部の個人または法人が後継者になる

本項では、親族や従業員に後継者がいない場合のM&Aによる事業承継について、具体的な進め方の一例を掲示します。

公的事業承継支援の活用

現在、国や自治体では中小企業の廃業をなくすため、公的な事業承継支援を実施中です。最寄りの商工会や取引銀行、役所の担当部署などが、その窓口となっています。自分で行きやすい所を訪ね、パン屋・ベーカリーの後継者がいない悩みを相談してみましょう。

各都道府県には事業引継ぎ支援センターという機関が設置されており、そこには後継者人材バンクという制度があります。後継者人材バンクとは、端的にいえば事業の引継ぎ希望者登録制度です。上述の相談を実行すれば、この後継者人材バンクからの候補者紹介が受けられます。

ただし、都合良くパン屋・ベーカリーの事業承継希望者がいるかどうかはわかりません。また、候補者がいたとしても、お互いが気に入るかどうかという問題もあります。運良く後継者に巡り会えれば、それで事業承継は達成の運びとなりますが、残念ながらそうはならない場合もあるでしょう。

その場合は、事業承継・引継ぎ支援センターから民間のM&A仲介会社を紹介されることになります。M&A仲介会社はM&Aを専門にサポートする会社ですから、事業承継・引継ぎ支援センターとは違う情報網を持っており、新たに後継者が見つかる可能性があるのです。

M&A仲介会社の選び方

現在、上場企業に限らず中小企業、小規模事業者の間でも広くM&Aが行われるようになったため、世の中にたくさんのM&A仲介会社ができました。M&Aなど初めてのパン屋・ベーカリーにとっては、どのM&A仲介会社を選べばいいかということが、まず第一の問題です。

選択肢になるのは、地域の情報に精通した地元中心のM&A仲介会社か、広範囲にM&Aをサポートし近県の情報なども持っているM&A仲介会社かのどちらかがあります。どちらを選ぶにしても、確かな実績があるところを選ぶようにしましょう。

M&Aをご検討の際は、ぜひ一度M&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所は主に中小・中堅規模のM&A案件を取り扱っており、さまざまな業種で成約実績を有しています。

全国の案件に対応しており、M&Aに関する知識・経験が豊富なアドバイザーが培ってきたノウハウを活かしてM&Aをフルサポートいたします。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)M&Aに関して、無料相談をお受けしておりますのでお気軽にお問い合わせください。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所

パン屋・ベーカリーの事業承継の注意点

パン屋・ベーカリーの事業承継を実施しようとするうえで、特に注意しておきたいことが2点あります。詳細を確認し留意するようにしてください。

事業承継には時間がかかる

事業承継は、適切な後継者がいなければ成立しません。現経営者の子供が後継者となった場合は、早めに事業承継の準備を始めてスムーズに事業承継ができるように計画を立てましょう。後継者とした子供にパン屋・ベーカリーの経験がなければ、技術を承継してパン作りを教える必要もあります。

また、パン職人である従業員を後継者とする場合は、パンを作る技術はすでにあるので、経営者としての教育を施さなければなりません。それには、経営に関する業務を教える期間が必要になり、こちらもすぐには事業承継ができないことが予測されます。

このように事業承継には後継者を育てる期間が必要ですが、M&Aの場合でも時間がかかるのは同様です。すぐに候補者が見つかるわけではありませんし、見つかっても交渉などでやはり時はかかります。

したがって、M&Aでの事業承継を検討しているのであれば、とにかく一度、早めにM&A仲介会社などに相談することが望ましいでしょう。

M&Aでは情報の機密性に注意

M&Aで事業承継を目指す場合、相手が法人ということも考えられます。M&Aを行うかどうか交渉を始めるにあたって、秘密保持契約を取り交わすことになりますが、その内容を軽んじてはいけません。

M&Aの交渉を進めていくと、相手側の会社の秘密情報を色々と知ることになります。その内容をうっかり第三者に漏らしてしまったりすると、M&Aが破談になるばかりか、損害賠償請求されてしまう恐れもあるのです。十分、気をつけてください。

【関連】秘密保持契約書(NDA)とは?書き方や有効期限、ひな形をご紹介

パン屋・ベーカリーの事業承継まとめ

パン屋・ベーカリーの事業承継において、子供や従業員に後継者候補がいない場合でも、早々にあきらめることはありません。世間に公表されている事例は少なくとも、実際には外部へのパン屋・ベーカリーの事業承継は盛んに行われています。M&Aでなら売却益も得ることができますから、積極的に検討してみましょう。

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