M&Aとは?手法ごとの特徴、目的・メリット、手続きの方法・流れも解説【図解】
2023年10月30日更新業種別M&A
リフォーム業界のM&A動向!会社売却のメリットや成功のポイントや事例14選を徹底解説【2023年最新】
リフォーム業界は、経営基盤を強化など課題があり、今後もM&Aが一定数以上実施されると考えられます。本記事では、リフォーム業界のM&Aの動向から売買事例、費用の相場について解説しています。リフォーム業界のM&Aを検討している方は必見です。
目次
リフォーム業界とは
本章では、まずリフォーム業界の定義および、これを対象とするM&Aの基本情報などに関して知っておくべき基本情報を解説します。
リフォーム業界の定義
そもそもリフォームとは、老朽化した建築物を対象に建築当初の性能に戻すことです。
リフォームを行う主な目的は、建物や設備機器の経年劣化や老朽化に伴う増改築・補修・改装・設備機器・インテリアの設置交換や、ライフステージや生活スタイルの変化による間取りの変更・バリアフリー化・耐震耐熱強化・性能向上などが挙げられます。
工程は小規模から大規模なものまで多岐にわたり、多種多様な工事を伴うため、幅広い概念だといえます。
リフォーム業界の特徴
市場の激化
ほとんどのリフォーム工事は500万円未満程度の小規模な工事であるうえ、内装の変更・水回りの修繕などの工事が半数以上を占めています。
そのため、住宅リフォームは建設業法の規定に抵触しない工事が多く、建築に携わる事業者であれば参入できることから、参入障壁が比較的低い業界といえるでしょう。
ニーズの高まり
大阪万博のような大規模イベントを控えている現在、訪日外国人旅行者に備えて商業施設・公共施設の改装が積極的に行われるなど、大規模リフォームのニーズが高まっている状況です。
また、将来的に消費税増税の具体的な時期が決定された際、駆け込み需要としてリフォームを行う顧客が増えるものと予測されています。リフォーム業界は全体的に需要が上昇しており成長の余地があるため、M&Aで進出を図る異業種企業も増えてきました。
労働集約モデル
リフォーム業は労働集約型のビジネスモデルであるため、どうしても人件費率が高くなりやすい傾向があります。また、従業員の力量によって生産性が大きく変わり、スケールメリットが出しづらい業態です。
高いスキルをもつ従業員が多ければ生産性向上にも期待できますが、流出してしまうと安定した事業運営が見込めない可能性もあります。リフォーム業界の人材不足は深刻であり、いかに従業員の流出を防ぐかは課題のひとつです。
リフォーム業界の動向
リフォーム業界の市場規模
国土交通省「建築物リフォーム・リニューアル調査報告」によれば、2022年度における建築物リフォーム・リニューアル工事の受注高は11兆5545億円で、前年度と比較して1.2%の減少となりました。詳細を見ていくと住宅は3兆9200億円(4.6%増)、非住宅建築物は7兆6344億円(4.0%減)
これは、新型コロナ感染拡大によるステイホームや、テレワーク・在宅ワークの普及で自宅で過ごす時間が増えたことで、居住空間への関心が高まったためだと考えられます。
2022年には新型コロナによる時短営業や外出規制が解除され、レジャー需要などは徐々に回復してきました。一方で、物価高騰の影響によって家計支出は縮小傾向であり、リフォーム業においても建築資材費の高騰などによる需要低下が懸念されています。
参考:国土交通省「建築物リフォーム・リニューアル調査報告(概要)」
参考:矢野経済研究所「住宅リフォーム市場に関する調査を実施(2023年)」
良質な住宅への取り組み
国内は震災などの災害への対応や脱炭素へ向けた優良な住宅ストックとして耐震性、断熱性、バリアフリーなどの機能を高めるための取り組みを行なっています。
リフォーム業界の各社はパッケージ型商品の販売や省エネ診断、耐震診断を実施し住宅の性能向上に向けたリフォーム提案を行う動きが見られます。国や自治体も補助金なども施策を打ち出しているため今後リフォーム業界の需要拡大も見込めるでしょう。
参考:国土交通省「優良な住宅ストックの形成」
参考:矢野経済研究所「住宅リフォーム市場に関する調査を実施(2023年)」
リフォーム業界の課題・展望
リフォーム業を含む建設業界は慢性的な人材不足を抱えており、さらに近年は従業員の高齢化が進み、人材確保が喫緊の課題となっています。
上のグラフは建設業界における技術者等の人数推移です。これをみると1998年から2010年までは減少し続け、以降はほぼ横ばいであり、少子化による労働人口減少が要因のひとつと考えられます。
リフォーム工事を行う従業員には技術力や経験が求められるため、新規採用で必要な人数を確保することが難しいケースも多いです。また、もともとリフォーム業は比較的ハードな業務であることや、工期があるため時期によっては時間外労働も多くなることは、若年層が嫌厭しやすい要因のひとつとなっています。

上のグラフは、建築業就業者の高齢化の進行を表したものです。建設業界における55歳以上の労働者が占める割合は3割を超えており、全業種での割合と比較しても高いことがわかります。
さらに若年層の労働者割合が少ないことも顕著であり、建設業界における29歳以下の労働者は全体のわずか1割程度です。このまま従業員の高齢化が進み、若年層の従業員が確保できない状態が続けば、業界全体が深刻な人材不足に陥ることは間違いないでしょう。
このようななか、効率的に人材を確保するためにM&Aを活用するケースが増えてきています。また、リフォーム業界のニーズは大規模イベント終了後も継続して校長を維持するとは限りません。
反動によるニーズの急低下も考えられるため、ある程度の資金を獲得できるタイミングでM&Aを行い、経営基盤を強化しようとする動きもみられます。
中小企業を中心に後継者問題
リフォーム業などの建設業界は従業員の高齢化が進んでいますが、経営者もその多くが引退のタイミングに差し掛かっています。しかし、後継者不在に悩む企業も多く、特に中小規模の事業者はその傾向が強いです。
帝国データバンクが全国企業(全業種約27万社)を対象に行った「後継者不在率動向調査(2022)」によれば、後継者がいないあるいは未定と回答した企業は15.4万社にのぼりました。
全国での後継者不在率は57.2%となり、2019年以降は5年連続での低下となりましたが、建設業の後継者不在率は63.4%と全国平均より高い結果です。
M&Aによる事業承継が増えたことも全体的に後継者不在率が低下につながっていると考えられ、近年は後継者の親族以外が後継者となる割合が高くなってきています。
国も中小企業の事業承継を後押しするためさまざまな施策をうちたてており、今後M&Aによる事業承継を行うケースが増えると考えられます。
参考:帝国データバンク 全国企業「後継者不在率」動向調査(2022)
リフォーム業界のM&A動向について
リフォーム業界のM&Aにはどのような特徴がみられるのでしょうか。次は、リフォーム業界のM&A動向を解説します。
異業種からの参入
リフォーム業界はニーズの増加を受けて、事業の拡大や異業種の進出が盛んに実施されており、これに伴いM&Aの件数が全体的に増えています。特に異業種企業の進出では、家電量販店、住設・建築メーカー、不動産業、保険業、インターネット業などの業種でリフォーム業界への進出が増加中です。
リフォーム時に行われる工事は通常の建築業と違い、建設業法に抵触しないことが多く、建築に関わる事業を営んでいれば参入できるなど、異業種が進出しやすい事業です。リフォーム工事の種類が多様であることもあり、もともとの事業の強みと組み合わせやすい点も魅力だといえます。
他方、リフォーム業界は他の業界のように、規模拡大のためにM&Aが行われるケースが少ないです。なぜなら、リフォーム業界では、設計・見積もり・施工など工事に関する一切のプロセスを請け負い、それぞれにきめ細かく対応する必要があるため、スケールメリットを享受しにくいためです。
人材不足によるM&A
リフォーム業界のM&Aは、専門性の高い技能を持つ人材や必要な設備の確保のために行われるケースが多いです。リフォーム業界は慢性的な人手不足に陥っています。若手が少なく高齢の職人が多い構造にあります。
そのためリフォーム業界のM&Aでは人手を確保するためのM&Aは少なくありません。リフォーム業界において会社の現状や業界の今後に不安を抱いているなら、経営戦略としてM&Aを検討すべきです。
特にリフォーム業界で会社を売りたい場合には、この現状は大きなチャンスだといえます。売り手側であれば、人材のスキルや人数をアピールすべきです。これとは反対に、買い手側に回る場合は、資金調達を十分に行い、自社にふさわしい企業の買収を狙いましょう。
地域密着企業のM&A
リフォーム業界は地域に根付いた企業が強い業界です。事業の拡大を狙うにも地域との繋がりが重要になります。そのためM&Aにより地域に密着した企業を買収するケースが見られます。
リフォーム業界のM&Aの費用と相場
リフォーム業界のM&Aの費用およびその相場を、一概に断言することはできません。というのは、日本のM&Aは海外のように取引価格や取引内容を全て公開する事例が少ないうえ、企業の状況などによっても費用や相場は変わるためです。
会社の規模にもよりますが実際に行われた事例をみると、リフォーム業界におけるM&A相場は営業利益の2~4倍くらいになり、300万~3000万円前後のケースがよくみられます。
さらにポイントを押さえている企業であれば、他業界と比べても高い相場での売却・譲渡も可能となるでしょう。ただし、多額の借入金がある企業の場合は、売買が成立しないか、成立したとしてもかなり安い金額で売却・譲渡となる可能性が高くなります。
大まかな相場価格の計算方法
M&Aを行う場合、あらかじめリフォーム業界の売却相場を知っておくことが大切です。相場を知ることで安く買いたたかれたり、高値で打診してM&Aが成約できなくなったりする事態を避けることができます。
葬儀会社の大まかな相場の計算方法は下記の通りです。
リフォーム業界の売却相場=時価純資産 + 営業利益 × 2〜5年
リフォーム会社をM&Aで売却する流れ
実際にリフォーム会社のM&Aでの売却を検討し始めたら、何から始めたらいいのでしょうか。リフォーム会社をM&Aする場合の流れについて解説します。
専門家への相談
M&Aでの売却を検討し始めたら、まずはM&Aの専門家に相談しましょう。M&Aの専門家なら、M&Aをするべきかどうか、というところから無料で丁寧に相談に乗ってくれます。
M&Aを進めることを決断したら、複雑で法律や財務についての高度な知識が必要な手続きも専門的にサポートしてもらえます。まずは、M&Aの専門家への相談から始めましょう。
M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください
リフォーム業界でM&Aを適切に行うには、各業界に精通した専門家によるサポートを受けるのがおすすめです。
M&A総合研究所では、M&Aの支援経験豊富なM&Aアドバイザーが専任につき、事業譲渡を丁寧にフルサポートいたします。
また、料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ)
無料相談も随時受け付けておりますので、こちらの業界で事業譲渡をご検討の際はM&A総合研究所までお気軽にご相談ください。
M&A・事業承継ならM&A総合研究所
売却先の選定
M&Aの専門家に仲介を依頼を決めたら、次に売却先の選定を行います。
M&Aの専門家が、ノンネームシートといい社名や住所などの詳細を記載しない情報を公開することによって買収希望者を募ったり、リフォーム会社の買収を希望している顧客に声を掛けたりします。
数社を選定したら、その中から経営者自ら交渉相手を決定します。
秘密保持契約
秘密保持契約とはM&Aを進める上で知り得た情報を目的以外で使用しないことを取り決めるものです。M&Aでは専門的な手続きをサポートしてもらうM&Aの専門家や交渉相手には、売却側の会社の経営情報を全て開示する必要があります。そのために、情報を開示する前には秘密保持契約を結びましょう。
秘密保持契約には、開示する情報の使用用途や使用期限、返却方法などが記載されます。
売却先との交渉・基本合意の締結
相手先を決めたら、トップ面談を行います。トップ面談では売り手、買い手双方のトップが直接顔を合わせ社風や経営理念などを確認します。面談を通してM&Aを進めることに合意できたら具体的な交渉に進め大筋合意した段階で基本合意書を締結します。
基本合意書には、売却金額、M&Aのスキーム、日程の目安、従業員や役員の待遇などが記載されます。基本的に、独占交渉権以外の項目には法的拘束力は掛けられません。
デューデリジェンス・条件交渉
基本合意締結後は、買収側企業によるデューデリジェンスが行われます。デューデリジェンスとは売り手企業にリスクがないかを財務・法務・人事などの面から調査することです。
デューデリジェンスの結果を踏まえて最終的な条件交渉へと移りますが、その際に条件の変更や付加がされる可能性もあります。
また、大きな問題が発覚した場合はM&A自体が破談になるケースもあるため、売り手企業はM&A前に人事体制や未払い残業代の有無などを再確認しておくことが重要です。最終条件に互いが合意したら最終契約書を締結となります。
クロージング
最終契約書の締結からクロージング(引き渡し)まで少し期間を置きます。この間に、従業員や取引先への説明を行い、経営体制の移行への準備を進めます。
クロージングでは、株式などの譲渡するべきものを買収側へ譲渡し、売却側へ代金の支払いを行い経営権を完全に引き渡します。
リフォーム業界のM&Aメリット
ここでは、リフォーム業界のM&Aメリットを売り手側・買い手側それぞれ解説します。
売り手側のメリット | 買い手側のメリット |
・従業員の雇用継続 ・後継者問題が解決できる ・売却・譲渡益を獲得できる ・買い手側の資本力による経営の安定化 ・個人保証・債務・担保などの解消 |
・従業員の確保 ・リフォーム事業を低コストで獲得 ・顧客・取引先・ノウハウの獲得 ・地域性の高い業界のためエリア拡大 |
売り手側のメリット
売り手企業の主なメリットには以下が挙げられます。
従業員の雇用継続
現経営者が何らかの理由で廃業を選択した場合、従業員を解雇しなければなりません。従業員は職を失わせることは経営者にとって心苦しいものですが、M&Aを選択すれば従業員の雇用継続が可能です。
株式譲渡のように権利・義務が包括的に承継されるスキームを使用した場合、売り手の従業員はそのまま買い手企業へと引き継がれます。
もし売り手が複数事業を行っていて一部事業のみを売却する(事業譲渡)場合は、買い手企業と従業員とで新たに契約を結びなおすことで雇用維持が可能です。
ただし、事業譲渡ではなにを引き継ぐのかは売り手・買い手の交渉時に決めるため、従業員の雇用維持を希望する場合は、買い手企業とよく協議するこ必要があります。
後継者問題が解決できる
経営者が引退のタイミングを迎えていても、後継者候補がいないという理由で現役を続けているケースや、やむを得ず廃業を選択するケースはリフォーム業界でもみられます。
後継者不在で事業承継が行えない場合は、M&Aよる自社の売却が有効です。事業承継目的でのM&Aは、第三者(買い手企業)が後継者となるので、経営者の引退後も自社は存続します。
売却・譲渡益を獲得できる
売却・譲渡益を獲得できるのもM&Aの大きなメリットです。仮に廃業という選択をした場合「廃業コスト」とも呼ばれる費用がかかります。
M&Aによって売却すれば当然廃業コストは不要になり、株式を売却した利益を現金で獲得できるので、引退後の生活費に充当することも可能です。
買い手側の資本力による経営の安定化
M&Aの場合、買い手は中堅あるいは大手企業であるケースが多いです。M&A後は買い手企業の資本力を活用できるため、経営の安定化が見込めます。
また、中小企業の場合は自社の資金力のみでは事業成長が難しくなるケースもあるでしょう。M&Aであれば売り手・買い手のリソースを相互活用できるので、自社・事業の成長や発展にも期待できます。
個人保証・債務・担保などの解消
リフォーム業に限らず、中小企業が金融機関から融資を受ける場合は経営者が個人保証・担保を負うケースがほとんどです。このような個人保証・債務・担保は廃業してもそのまま残るため、個人財産を返済に充てなければならない可能性もあるでしょう。
M&Aの場合、株式譲渡を用いれば資産だけでなく負債・個人保証・担保なども買い手企業が引き継ぐことになります。金融機関との交渉は必要ですが、大半のケースでは個人保証・担保は解除される可能性が高いです。
買い手側のメリット
買い手側がM&Aで得られるメリットには主に以下があります。
従業員の確保
ここまでで述べたようにリフォーム業界では人手不足解消が課題のひとつです。必要十分な従業員を確保しておかなければ、安定した売上を見込むことは難しくなります。
M&Aで売り手企業を取得すれば、従業員を一度に獲得することができる点は買い手にとって非常に大きなメリットといえるでしょう。
スキルの高い従業員は新規採用ではなかなか獲得できませんが、その手間・時間を削減できるうえ、すぐに一線で活躍してもらうことができ、若年層の従業員が多くいれば自社で育てていくこともできます。
顧客・取引先・ノウハウの獲得
M&Aを行うことで、売り手企業のもつ顧客や取引先との関係もそのまま引き継ぐことができるので、売上拡大を見込めます。
また、M&A後はノウハウなどのリソースを相互活用できるので、互いの強み・ノウハウを融合させることで新たな事業展開も実現可能です。
地域性の高い業界のためエリア拡大
リフォーム会社は地域に合わせたサービスが求められるケースが多いです。事業エリアの拡大を狙う目的で地域性を考慮せずにM&Aを行っても、参入したエリアで自社のノウハウが通用しないケースも考えられます。
そうなれば、せっかく費用をかけて買収しても撤退せざるを得ないケースもでてくるでしょう。エリア拡大を目的としている場合も、地元リフォーム会社を買収すればスムーズな地域参入が可能です。
リフォーム業界のM&A成功ポイント
他社にはない強みをアピール
リフォーム業のなかでも特に小規模事業者は競争が激しいため、契約を取るために価格を下げて設定し、その結果として薄利受注になるケースも多いです。
安売りしなくても安定した契約が取れるリフォーム会社であれば、その強みをアピールすることで相場よりも高い金額で買い手がつきやすくなります。
事業の健全化・価格の透明化
ネットや口コミによる利用者の評判は、リフォーム会社にとって次の契約につながる重要なものです。もし不透明な価格設定だったり事業が健全でなかったりすれば、安定した事業運営を見込むことはできません。
事業の健全化と価格の透明化がなされていて、かつ口コミもよいリフォーム会社であれば、よい買い手が付きやすくなります。
コンプライアンスに基づく運営
近年は、大手建築会社の不祥事やリフォーム契約や施工内容に関するトラブル事例の多さなどで、リフォーム会社にコンプライアンスを遵守しているか、厳しい目が向けられるようになりました。
コンプライアンスに違反した場合は、刑事告発や行政処分などのリスクがあり、そのようなリフォーム会社を買収したいと考える企業はまずいないでしょう。
M&Aを行う前に売り手は自社がコンプライアンスを順守して事業運営を行っているか、改めて確認しておくことが大切です。
職人の充実・優秀な人材確保
深刻な人手不足が続くリフォーム業界では、人材確保目的で買収を行う企業も多くみられます。優秀な人材・スキルのある職人が揃っているリフォーム会社は、赤字であっても買い手が付くケースも多いです。
売り手企業がM&Aを成功させるためには、売却前に人材が流出することがないよう、十分注意しておく必要があります。
業界団体登録や地域貢献
リフォーム業界には「住宅リフォーム事業者団体登録制度」という国土交通省が定めた制度があります。消費者が安心してリフォームを行えることを目的としたもので、要件を満たしてみれば団体に登録することが可能です。
また、近年はCSRを行っているかが、リフォーム会社においても注目されるようになりました。継続して地域貢献しているリフォーム会社は買い手企業へよい心象を与える可能性が高いでしょう。
同業種・関連業種などとの幅広い関係を持っている
リフォーム会社で安定した事業を継続していくためには、同業種や関連業種などとの関係も重要となります。
不動産管理会社や住宅資材・設備の卸売会社などさまざまな業種と関わりあるため、ネットワークが広いリフォーム会社は買い手企業にとっても魅力的です。
リフォームに対し多くの経験・実績がある
顧客ニーズは多様化しており、対応していくためにはスキルだけでなく経験も必要です。リフォームの経験・実績が十分あるリフォーム会社であれば、多様なニーズに対応できる可能性が高く、同じ作業でも効率よく進めることができます。
また、多くの実績があるということは、信頼感・安心感がそれだけ積み重ねられているということです。そのような強みを持つリフォーム会社は買収候補にもあがりやすくなります。
会社売却の専門家に相談する
リフォーム会社の買収需要は高い状況となっているため、売却・譲渡を考える企業も多いでしょう。M&Aを成功させるためには、売却・譲渡先をしっかり選定し、目的に合ったスキームを選ぶことが大切です。
通常業務を行いながら自社のみで進めていくのは難しいため、会社売却の専門家に相談するのがおすすめです。特にM&A仲介会社は相談からクロージングまでの一貫支援を行っているところが多いので、まずは無料相談などを利用してみるとよいでしょう。
M&Aのご相談はM&A総合研究所へ
M&A総合研究所は、中小・中堅規模のM&A案件を主に取り扱っており、全国に案件に対応しています。またスモールM&Aや小規模案件にも対応しております。
知識・支援実績豊富なアドバイザーが多数在籍しており、ご相談からクロージングまで丁寧にサポートさせていただきます。
M&A総合研究所の料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)
無料相談を随時お受けしておりますので、M&Aをご検討の際はお電話・Webよりどうぞお気軽にお問い合わせください。
リフォーム業界のM&A事例
リフォーム業界のM&A事例にはさまざまなものがありますが、ここでは、代表的な以下のM&A事例を取り上げます。
①ニッソウによるヤナ・コーポレーションの子会社化
2023年3月、ニッソウはヤナ・コーポレーションの全株式を取得して子会社化 すると発表しました。ニッソウは、賃貸住宅および事務所の原状回復工事を首都圏中心に手掛けています。
子会社となるヤナ・コーポレーションは、埼玉県の総合リフォーム工事会社です。塗装工事会社として1985年に設立され、以降はリフォーム全般に事業を拡大しています。
本M&Aによって、ニッソウは首都圏エリアのリフォーム事業の拡大を図るとしています。株式取得価額は非公表となっており、取得予定日は2023年5月1日です。
参考:株式会社ニッソウ「株式会社ヤナ・コーポレーションの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」
②サンネクスタグループよる全日総管理の株式の譲渡
2022年4月、サンネクスタグループは保有する全日総管理の株式を創業経営者へ譲渡しました。サンネクスタグループ子会社の全日総管理は、リフォーム工事・不動産の原状回復工事・クリーニング事業を手掛けています。
本M&Aの理由について、サンネクスタグループは2017年の子会社化によってマンション管理事業の付加価値向上を目指したが、全日総管理とグループ内での相乗効果が十分発揮できなかったためとしています。
参考:サンネクスタグループ株式会社「 連結子会社の異動を伴う株式譲渡に関するお知らせ 」
③あなぶき建設工業による日装の子会社化
2022年3月、あなぶき建設工業は日装の全株式を取得して子会社化しました。あなぶき建設工業は、マンションの新築工事や大規模修繕工事、リニューアル工事などを西日本エリアで展開しています。
子会社となった日装は、ビルやマンションの修繕工事、設備工事などを首都圏エリアで展開する企業です。本M&Aは、東日本エリアでの事業基盤の強化、サービス提供体制の拡充・強化を目的として行われました、
参考:株式会社あなぶき建設工業「 株式会社日装の株式取得に関するお知らせ」
④コーナン商事によるパナソニックプロイエサービスの一部事業の譲受
2021年9月、コーナン商事は、パナソニックプロイエサービスにおける住宅設備の維持修繕事業の一部を譲受すると発表しました。本件M&Aの取得価額は非公開です。
買収側は、ホームセンター「コーナン」を運営する企業です。大阪市を拠点に、ホームセンター事業のほか、建築職人向け小売業および会員制建築資材卸売業も手掛けています。
対する売却側は、パナソニックの傘下で住宅リフォーム工事業を営む企業です。東京都港区を拠点に、 100種類のサービスメニューを用意し、顧客のさまざまなニーズに対応していました。
本件M&Aにより、買収側では、リフォーム事業の拡大を図っています。
参考:コーナン商事株式会社「リフォーム関連事業の一部事業譲受に関するお知らせ」
⑤イーグランドによるシマックスのリフォーム工事業の承継
2021年6月、イーグランドはシマックスのリフォーム工事業を承継しました。イーグランドは個人向けにリノベーションした中古住宅の販売を首都圏・関西圏で展開しています。
シマックスはマンションおよびマンションのリフォーム工事業などを手掛ける企業で、M&A当時は民事再生中でした。イーグランドは
本譲受により安定的な施工体制構築のために施工ノウハウやリフォーム提案力の強化を図るとしています。
本M&Aは、シマックスが新設分割を行いリフォーム工事業を新設したシマックスに移転、その新設会社の全株式をイーグランドが取得するかたちで行われました。
参考:株式会社イーグランド「株式会社シマックスとのスポンサー契約締結のお知らせ 」
⑥日本管理センターによるシンエイとシンエイエステートの子会社化
2021年6月、日本管理センターは、シンエイおよびシンエイエステートの株式すべてをそれぞれ取得し、完全子会社化すると発表しました。本件M&Aの取得価額は27億円と発表されています。
買収側は、東京都千代田区に本社を置く不動産会社で、 略称は「JPMC」です。空室・物件管理・滞納督促・相続対策の売買など、賃貸住宅に関わる顧客の悩みに対応しています。売却側は、ともに東京都立川市を拠点に、賃貸住宅の受託管理を手がける企業です。
本件M&Aにより、買収側では、首都圏エリアでの事業拡大のほか、グループで展開するリフォーム事業・滞納保証事業・保険事業などを提供することで、対象2社の収益性向上や業務効率化などのシナジー効果の獲得を図っています。
参考:日本管理センター株式会社「株式会社シンエイおよび株式会社シンエイエステートの 株式の取得(子会社化)に関するお知らせ 」
⑦小田急電鉄による小田急不動産への事業の譲渡
2021年5月、小田急電鉄は、会社分割のスキームを用いて、リノベーション付き住宅サブリース事業を小田急不動産に対して譲渡すると発表しました。
売却側は、日本の大手私鉄の1社であり、東京都・神奈川県を中心に鉄道事業・不動産業などを手掛けています。略称は小田急で、小田急グループの中核企業として位置付けられている企業です。対する買収側は、小田急電鉄の完全子会社です。
売却側では、グループ住宅関連事業の中核会社である買収側との共同事業として、2016年10月よりリノベーション付き住宅サブリース事業を展開しており、今後の事業拡大を図る観点から、同事業に係る経営資源を集約し、より効率的に事業を推進していくことを目的に、会社分割を行っています。
参考:小田急電鉄株式会社「連結子会社との会社分割(簡易吸収分割)に関するお知らせ」
⑧アートリフォームによる遊の子会社化
2021年1月、アートリフォームはウィルから同社子会社の遊の全株式を取得しました。ウィルはウィルグループの中核であり、不動産仲介・開発分譲・リフォーム・家具販売などを手掛ける企業です。遊は、富裕層向けリフォーム事業を手掛けており、ウィルの子会社にあたります。
今回の譲渡は事業の選択と集中であり、遊を切り離すことで他事業に英ソースを集中させ、事業間シナジー最大化と連携強化が目的です。
本M&Aでは、住宅や店舗のリフォーム・内装工事を手掛けるアートリフォームは、ウィルから遊の全株式を取得して同社を子会社化しました。
参考:株式会社ウィル「連結子会社の異動を伴う株式譲渡及び特別利益の計上に関するお知らせ」
⑨日本リビング保証による横浜ハウスの子会社化
2020年7月、日本リビング保証は横浜ハウスを子会社化しました。日本リビング保証は、住宅事業者に対してCRM(顧客関係管理)支援サービスや保証・アフターサービス業務代行などを行い、経営効率化や新商流形成を支援しています。
子会社となった横浜ハウスは、横浜市を拠点に住宅建設やリフォーム工事を手掛ける企業です。日本リビング保証は横浜ハウスを傘下に加えることで「住宅関連リアルサービス提供体制の強化」を目指すとしています。
参考:日本リビング保証株式会社「横浜ハウス株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ 」
⑩ハイアス・アンド・カンパニーによるアビエント・ホールディングスとハウス・イン・ハウスの事業取得
住生活全般に関わる事業者へのコンサルティングを行うハイアス・アンド・カンパニーは、2018年1月に、アビエント・ホールディングスやハウス・イン・ハウスからリフォーム関連事業を買収しています。
もともとハイアス・アンド・カンパニーは両社との事業提携を行っていましたが、本件M&Aによって事業間の連携やグループシナジーの強化を図っています。
参考:ハイアス・アンド・カンパニー株式会社「事業譲受に関するお知らせ」
⑪ピースリビングによるアークホームの子会社化
2017年2月、ピースリビングはアークホームの発行済み株式70%を取得して子会社化しました。 複数事業を手掛けるピースリビングは、資産形成目的の賃貸マンション・アパートの提案から設計・施工までを行っています。
子会社となったアークホームは、木造建築工事やリフォームを行う徳島市の企業です。本M&Aの目的は、設計・施工分野の収益力向上と競争力強化です。
⑫ミサワホームによるアルゴスペースデザインの子会社化
住宅メーカーのミサワホームは、2016年8月に、オフィスビルの修繕や原状回復、内装、リニューアル工事などを全般的に手掛けるアルゴスペースデザインを買収し、子会社化しています。
住宅メーカー大手のミサワホームですが、新規住宅のニーズが低下していることもあって事業の多角化を推進しており、このアルゴスペースデザインの買収もその一環です。
参考:ミサワホーム株式会社「アルゴスペースデザイン株式会社の全株式を取得」
⑬RIZAPによるタツミプランニングの子会社化
RIZAPは、2016年2月にタツミプランニングを買収し、リフォーム業界に進出しています。RIZAPはM&Aを通じて事業の多角化を積極的に行っており、タツミプランニングの買収もその一環です。
もともとタツミプランニングはリーマンショックの影響で経営状態が悪化していましたが、RIZAPに買収されたことで、RIZAPグループの関連工事の受注が可能になり、ネットワークやノウハウを短期間で培えるようになりました。その結果、タツミプランニングは、全国展開を見据えられるまでに経営状態の再生に成功しています。
参考:健康コーポレーション株式会社「注文住宅やリフォームを手掛ける株式会社タツミプランニングの 子会社化(株式取得)に関するお知らせ」
⑭YKKAPによるラクシーの子会社化
住宅建材メーカーのYKKAPは、2014年10月に、マンションリフォームを手掛けるラクシーを買収しています。もともとYKKAPはリフォーム事業の強化を経営課題に掲げており、本件M&Aはその一環です。
YKKAPとラクシーは本件M&Aを通じて、互いのノウハウを生かしながらリフォーム事業に取り組むようになっています。
リフォーム業界のM&Aのまとめ
リフォーム業界は大阪万博を控えているのもあって、ニーズが増加し好調な業界だといえます。他方で、専門性の高い技能を持つ人材が不足しているうえに、イベントが終わった際の反動に備えて経営基盤を強化する必要があるなど、課題も多くあるのが現状です。
そのため、異業種からの参入や同業者同士の経営統合のためのM&Aは、今後も一定数以上続いていく見込みです。また、やがては業界再編が進み、大手と中小規模の企業の間で格差が大きくなる可能性があります。
こうした事態に陥ればM&Aが行いにくくなるため、リフォーム業界でM&Aを行うならニーズの高いタイミングで行うことが望ましいです。その際には、リフォーム業界に強いM&A仲介会社にサポートをしてもらうことをおすすめします。
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