2021年5月7日更新業種別M&A

倉庫会社におけるM&Aの売却/買収事例とは?買う・売る方法、費用の相場を解説

倉庫会社は、物流5大機能の1つである保管業務を手掛けています。昨今の国内物流業界は活況であり、競争が激しくM&Aの実施も活発です。倉庫会社のM&Aは、人材確保・事業規模拡大・事業承継などの経営課題を解決するほか、3PL事業の構築目的でも行われています。

目次
  1. 倉庫会社のM&Aとは
  2. 倉庫会社の最新市場動向・特徴
  3. 倉庫会社のM&A・事業承継動向
  4. 倉庫会社のM&Aの相場と費用
  5. 倉庫会社のM&Aメリット・デメリット
  6. 倉庫会社の積極買収企業一覧
  7. 倉庫会社の案件事例
  8. 倉庫会社のM&Aにおける成功/失敗事例
  9. 倉庫会社のM&Aまとめ
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倉庫会社のM&Aとは

倉庫会社のM&Aとは

現在では、経営戦略上の有効な手立てとして、M&Aが広く認知されるようになりました。M&Aは用いられる局面によって目的や手法が異なります。具体的には、後継者不足問題の解決・経営基盤の強化・事業規模の拡大など経営課題の解決や目的の実現に向けたメリットが代表的です。

昨今、さまざまな業界でM&Aが実施されており、これは倉庫会社も例外ではありません。特に近年の倉庫業界では、競争激化によりM&Aで業界再編を図る傾向が見られます。つまり、倉庫会社同士のM&Aにより競争力強化・事業規模拡大を図るという、生き残り戦術としてM&Aが用いられているのです。

また、M&Aは、倉庫業と密接な関係にある物流業への参入によりシナジー効果を得る手段としても注目されています。本記事では、倉庫会社の特徴を見極めながら、M&A事情について詳細に確認しておきましょう。

【関連】シナジー効果の意味とは?M&A成功事例や多角化戦略、使い方をわかりやすく解説

倉庫会社の最新市場動向・特徴

倉庫会社の最新市場動向・特徴

まずは、倉庫会社の業種としての正確な定義を確認しておきましょう。総務省の「日本標準産業分類」によると、大分類「運輸業、郵便業」の中に中分類「倉庫業」があり、さらに倉庫業の小分類として「冷蔵倉庫業を除く倉庫業」と「冷蔵倉庫業」の2つに区分けされています。

上記2つの倉庫業は冷蔵かどうかという点に相違があり、いずれも寄託を受けて物品を倉庫に保管する事業であることに違いはありません。なお、保管する物品は原料・製品・冷凍・冷蔵品などとされており、倉庫会社では実にさまざまな物品を預かります。

倉庫会社・業界の転換点

倉庫業を営む場合、倉庫業法にもとづく登録を受ける必要があります。従来は許可制でしたが、2002(平成14)年の倉庫業法改正により、許可制から登録制に変更されました。倉庫業法改正は、この他の点においても改正されており、倉庫会社全体にとって大きな転換点となったのです。

登録制以外の主な改正点としては料金事前届出制度の廃止・トランクルーム認定制度の法制化などが挙げられて、総じて規制緩和が進みました。改正の背景には、倉庫業界内の競争促進により物流の効率化・料金の値下げ・サービスの向上や多様化を図るという狙いがあります。

倉庫業法の改正後は政府の思惑どおり倉庫業への新規参入業者が増えたため、競争は激化しました。特に隣接産業である「トラック運送業者」からの新規参入が多く見られています。

倉庫会社の現状

倉庫会社の逃れられない特性としては、「物品を預けてくれる顧客(荷主企業)がいなければ事業が成り立たない」という点が挙げられます。つまり、顧客側が業績不振となり預ける物品が減れば、倉庫会社の業績も悪化するのです。

そのため、力関係を見ると、倉庫会社よりも荷主企業が優位といえます。場合によっては値下げ圧力が発生するケースもあり、倉庫会社では同業他社との競争に加えて顧客対応にも手が抜けないのです。

また、人材不足も深刻化しており、フォークマン・倉庫内の作業員不足という課題の解決策として外国人労働者など多様な人材活用の意向も含めて探っている状況にあります。

加えて、トラック運送業など物流業からの新規参入に対抗するため、昨今の倉庫会社は物品の保管だけでなく物流業務を一括して引き受ける体制を目指す傾向にもあります。いわば、倉庫会社が他の物流業に逆進出しているのです。

もともと物流業には、保管・荷役・包装・流通加工・運送という5つの役割があります。このうち倉庫会社は保管機能を担ってきましたが、昨今の物流業者では物流の一機能ではなく物流業務全般を一括して受託する3PL体制を採用する企業が増加中です。

3PLとは、サード・パーティー・ロジスティクス(3rd party logistics)の略称です。近年はインターネット通販の普及・拡大により、物流業界の市場が堅調に推移しています。これに応じて、倉庫会社の物流拠点の新設が進んでいる状況です。

今後の傾向としては、3PL体制を取れる企業が競争で有利になると推測されています。倉庫会社が3PL体制をいち早く取るには、ゼロから部門を立ち上げていては間に合いません。そこでスピーディーに3PL体制を取り入れる手段としてM&Aが大いに注目されており、これに伴い業界再編が早まる可能性もあります。

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倉庫会社のM&A・事業承継動向

倉庫会社のM&A・事業承継動向

倉庫会社・業界の現状から見える経営課題の中には、倉庫会社単独で解決できる課題もあれば、M&Aが適切な解決方法とされる課題もあります。そこで本章では、後者に焦点を当てて、倉庫会社の課題とM&Aとの関係性についてまとめました。

市場の動向に合わせたM&A

物流業界の一端を担う倉庫会社における目下の課題は、物流業界全体で主流になりつつある3PL事業の構築もしくはそのスキームへの参加だといえます。これを実現するうえで業務提携レベルでは大きな優位性を生み出せないため、最近ではM&Aの利用が最も適切かつ有効的な手段です。

倉庫会社にとって、「自社が中心となって3PL体制を組むべきなのか」あるいは「その枠組みに入るべきなのか」という判断は、企業規模と資本力により変動します。とはいえ、いずれにしろ3PL事業における倉庫は、単純な保管業務を行うのではなく、物流拠点・物流センターとしての役割を担うことになるのです。

昨今では、インターネット通販の普及により即日配達といったスピード性のあるサービスが求められています。これを実現するには、3PLにより物流過程を効率化し、スピードを重視する環境を整備しなければなりません。そこで倉庫は、その起点となる立場で3PLのカギを握る存在です。

仮にM&Aの買い手となる場合、自社が優秀な倉庫会社であれば、他の物流業者がグループ入りを強く望みます。売り手の場合でも買い手候補が殺到するため、M&Aシーンにおいて倉庫会社はイニシアティブを握りやすいポジションにあるのです。

競争激化への対応

倉庫会社は、もちろん同業他者との競争に負けるわけにはいきません。競争力強化に最適な手段は、M&Aによる事業規模の拡大です。倉庫会社同士のM&Aであれば純粋にスケールメリットが得られる一方で、他の物流業者とのM&Aであれば3PL事業者としての差別化を実現できます。

上記のどちらを優先させるべきか、各倉庫会社の置かれた状況次第ですが、強いていえば倉庫会社同士のM&Aケースにより多くの注目が集まっています。倉庫会社の役割は3PLを見据えると多様化するため、従来以上にさまざまな設備が必要です。

そこで、倉庫会社同士のM&Aにより両社が設備を合流させて、物流の効率化を実現しやすい環境を事前に構築したうえで、他の物流業者を加えていくM&A戦略が効果的だといえます。

倉庫会社のM&Aの現状

倉庫会社の業界では保管を含めた物流業務全般に対するニーズが高まる中で、3PL事業構築・サービス向上・事業規模の拡大・人的資源の取得などを目的としたM&Aが多く見られるようになっています。最近では、海外進出のためにM&Aを活用する事例も目立っている状況です。

現在の物流業界の国内市場は、インターネット通販の活況により順調です。とはいえ、少子化による人口減少が進む日本では、いつ市場縮小が起こっても不思議ではありません。こうした自体に備えて、大手物流企業は海外企業とのM&A(クロスボーダーM&A)に着手しています。

現地企業とのM&Aでは、海外拠点を短期間で構築したうえでスムーズな海外進出が図れます。また、単純な海外進出というだけでなく、グローバルな物流ネットワークが構築できれば、国内物流ネットワークの側面においても他社との差別化を図ることが可能です。

【関連】海外進出の課題とは?方法や手順、クロスボーダーM&Aを活用した海外進出

倉庫会社のM&Aの相場と費用

倉庫のM&A・事業承継
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倉庫会社のM&Aの相場と費用

倉庫会社だけでなく他業界のM&Aにおいても、画一的な相場価額は存在しません。一概にいえるほど、会社の経営状況は単純ではないためです。しかし、M&Aの予算を考えるうえで、相場と費用について事前にある程度の目安をつけておく必要があります。

M&Aの相場・費用を知りたい場合、M&A仲介会社などの専門家に相談して予算感をつかむと良いでしょう。M&Aを正式に進めていく場合にはM&A仲介会社の存在は必要不可欠ですが、M&Aの費用にはM&A仲介会社に支払う手数料も含まれます。

M&A仲介手数料は、相談料・契約金・中間報酬・成功報酬と数回に分けて費用が発生する会社もあれば、M&A成約まで費用が一切発生しない完全成功報酬制を採用する会社もあります。ただし、両者のサービス内容の差は、実質的にほとんどありません。

M&A仲介会社選びでお悩みでしたら、ぜひM&A総合研究所にお任せください。M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。

M&A総合研究所は、専門知識と経験を持つアドバイザーが専任に就き、M&Aをフルサポートいたします。

無料相談を受け付けておりますので、倉庫会社のM&Aをご検討の際はお気軽にご相談ください。

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倉庫会社のM&Aメリット・デメリット

倉庫会社のM&Aメリット・デメリット

「倉庫会社の業界では、どのようなメリットを想定してM&Aが実施されているのだろう?」と気になる経営者の方は多いはずです。本章を読んで、M&Aのメリット・デメリットを当事者ごとに把握しておきましょう。

買い手側

はじめに、倉庫会社の業界のM&Aにおける買い手側で想定されるメリット・デメリットを取り上げます。倉庫会社のM&Aにおける相手企業のニーズをつかむためにも、M&Aによる売却を検討する経営者の方も確認しておくと良いでしょう。

メリット

倉庫会社がM&Aで買収を行う場合、主な目的は経営課題の達成することです。倉庫会社における一般的な経営課題としては、以下の3点が挙げられます。

  • 人材の確保
  • 倉庫会社としての事業規模拡大
  • 総合物流会社として3PL事業進出のための物流系異業種の獲得

人材の確保は、同業の倉庫会社であれ他の物流業者であれ、M&Aで買収が成立すればメリットとして享受できます。倉庫会社としての事業規模拡大は同業者を買収するケースとなりますが、これもM&Aが成立すればメリットとして享受可能です。

そして、倉庫会社が実施するM&Aにおいて最も大きいメリットは、倉庫会社以外の物流業の会社を買収することで獲得できます。そもそも倉庫会社の倉庫事業の規模拡大は、すでに地盤があるため自社単独でも何とか実現できる余地があるのです。

しかし、倉庫会社が3PL事業進出を目指す場合、自社で未経験の事業分野を単独で早期に準備する選択肢は現実的ではありません。したがって、該当事業のM&Aによる買収は、自社のサービスと融合させて効率的に3PL事業を開始できる最も効率的な手段です。

デメリット

倉庫会社を買収するM&Aにおいて想定されるデメリットには、以下のようなものが挙げられます。

  • 従業員の離職(人材流出)により業績が悪化する可能性
  • 包括承継により簿外債務や偶発債務などのリスクを引き継ぐ恐れ

上記のデメリットは、主にM&A後の経営統合プロセス(PMI)の失敗が原因となり発生します。したがって、経営統合プロセスを成功させてM&Aによるメリットを最大限獲得するには、M&Aの専門家からサポートを得ることが必要不可欠です。

売り手側

次に、倉庫会社を対象とするM&Aにおける売り手側で想定されるメリット・デメリットを紹介します。こちらも同様に、相手企業のニーズをつかむためにも、M&Aによる買収を検討する経営者の方も確認しておくと良いでしょう。

メリット

M&Aにより倉庫会社を売却する際に得られるメリットとして考えられるのは、倉庫会社ごとに状況は異なるものの一般的には以下の5点です。

  • 事業承継の実現
  • 従業員の雇用維持
  • 経営基盤の安定化
  • 個人保証や担保の解消
  • 創業者利益の獲得

後継者難で会社の存続が危ぶまれている倉庫会社であれば、M&Aでの会社売却は経営権の委譲にあたり、新たな経営者へ無事に事業を承継する手段となります。これにより事業を存続できるため、従業員の職を奪い路頭に迷わせる心配がありません。

また、M&Aにより資本力のある大手企業の傘下に加われば、これまで以上に安定した経営基盤のもとで事業を推進できます。そのほか、倉庫会社を売却した当事者である経営者個人にも、2つの利点があるのです。

そもそも経営者の多くは、運転資金の融資を受ける際に個人保証や担保を差し入れています。M&Aでは会社を売却し代表取締役の立場から退くため、個人保証や担保から解放されるのです。加えて、会社を売却した代金(創業者利益)も獲得できます。

ここでまとまった創業者利益が獲得できれば新たなビジネスを興す資金に使えるほか、リタイア後の生活資金にも充てられます。ただし、これらの売却メリットを十分に享受するには、買い手が魅力に感じるような倉庫会社でなければなりません。

デメリット

倉庫会社を売却するM&Aにおいて想定される主なデメリットは、下記のとおりです。

  • スムーズに売却先が見つかるとは限らない
  • 希望どおりの条件(従業員の雇用や売却額などの面)で売却できるとは限らない

これらのデメリットは、主に相手企業とのマッチングにおける失敗が原因となり発生します。したがって、マッチングを成功させてM&Aによる売却メリットを最大限に獲得するには、買い手側と同様にM&Aの専門家からサポートを受けると良いでしょう。

【関連】物流業界のM&A・事業承継!動向・メリット・注意点を解説【事例15選】

倉庫会社の積極買収企業一覧

倉庫会社の積極買収企業一覧

ここでは、倉庫会社を含む物流事業を手掛ける会社を積極的に買収している企業を一覧にして紹介します。

企業名 事業の概要 アピールポイント
コントラクト ・千葉県を中心に11の物流センターを持ち、物流センター・運送・物流支援事業を展開する総合物流サービス会社
・高い技術力と提案力で多様な物流サービスを提供
・社名、理念、従業員の雇用などをしっかりと承継
・業務効率化などのノウハウを取り入れて、より良い会社になるよう努めていく
ロジザード ・クラウド型の倉庫/在庫管理システム、店舗在庫管理システムのサブスクリプション提供がメイン事業
・EC市場の黎明期から通販向け機能の強化を進め、昨今ではO2O向けのサービスにも注力
・設立以来20年近く「在庫管理クラウド」ひと筋に携わってきた在庫管理のプロフェッショナル
・サービスの導入社数は1,200社以上
・EC市場の拡大に伴い顧客数は毎年10%超の勢いで増加
カクヤスグループ ・東京23区を中心に「なんでも酒やカクヤス」を展開する酒類販売事業者
・約180カ所の店舗・業務センター網を構築し、個人向け・業務用向けに無料配達サービスを展開
・東京23区内なら「1本から」「1時間枠」でお届けできる精度の高い物流プラットフォームが武器
・プラットフォームをともに拡大していけるパートナーを求めている

【関連】物流事業の売却額はどれぐらいか?売却方法や注意点も紹介

倉庫会社の案件事例

倉庫会社の案件事例

ここでは、倉庫会社の売却案件事例として、以下の2ケースを紹介します。

  1. 大手倉庫マネジメントシステム開発/運用会社
  2. ワインの保管サービス会社

それぞれの売却案件を見て、自社のM&A戦略策定の参考にしてください。

①大手倉庫マネジメントシステム開発/運用会社

倉庫会社の案件事例1つ目は、大手倉庫マネジメントシステム開発/運用会社です。

売上高 5億円〜7億5,000万円
営業利益 7,500万円〜1億円
希望売却金額 7億5,000万円〜10億円
会社所在地 海外(シンガポール、マレーシア、インドネシア、ベトナム)
事業内容 ・倉庫マネジメントシステム(WMS: Warehouse Management System) の構築、メンテナ
ンス
・TMS (Transport Management System)、OMS (Order Management System)、HMS (Haulage
Management System)、FMS (Fleet Management System)も構築可能
・物流自動化のコンサルタンシーサービスの提供
・倉庫自動化のための機材販売およびインテグレーションの実施

②ワインの保管サービス会社

倉庫会社の案件事例2つ目は、ワインの保管サービス会社です。

売上高 〜500万円
営業利益 〜500万円
希望売却金額 250万円〜500万円
会社所在地 関東・甲信越
事業内容 ・高級ワインの長期熟成に向けて徹底した温湿度管理が行える倉庫を保有
・熟練スタッフによる倉庫内の入庫や出庫などの作業
・保有するワインコレクションが管理できるオンライン機能あり

以上、倉庫会社の売却案件事例でした。案件情報からM&A取引時のおおよその相場をつかんでおきましょう。

【関連】物流事業の事業売却とは?売却事例などを紹介

倉庫会社のM&Aにおける成功/失敗事例

倉庫会社のM&Aおける成功/失敗事例

「倉庫会社のM&Aを行う前に、どのような事例があるのかを確認しておきたい」という経営者の方も多いはずなので、本記事の最後に倉庫会社のM&Aの成功/失敗事例について詳しく紹介します。

成功事例5選

ここでは、近年実施された倉庫会社関連のM&A事例を紹介します。

  1. センコーによるナガセ物流の買収
  2. 佐川グローバルロジスティクスによる中国の物流企業の買収
  3. 安田倉庫による大西運輸とオオニシ機工の買収
  4. 大和ハウス工業による若松梱包運輸倉庫など4社の買収
  5. 濃飛倉庫運輸によるつるとみ運輸の買収

これらのM&A事例から動向を分析して、今の倉庫会社を取り巻く物流業界の実態を把握しましょう。

①センコーによるナガセ物流の買収

センコー

センコー

出典:https://www.senko.co.jp/jp/

2020年12月、センコーは、化学系専門商社として売上高国内トップを誇る「長瀬産業」のグループ会社で、化学品の保管・配送管理などを手掛けている「ナガセ物流」の株式のうち過半数を取得して子会社化しました。株式取得金額は公表されていません。

買収を行ったセンコーは総合物流企業です。M&Aの目的は、事業規模の拡大にありました。

②佐川グローバルロジスティクスによる中国の物流企業の買収

佐川グローバルロジスティクス

佐川グローバルロジスティクス

出典:https://www.sagawa-logi.com/

2019年12月、佐川急便グループとして総合物流業を行う京都のSGホールディングスの子会社で物流管理業を行う東京の佐川グローバルロジスティクスは、中国上海の物流企業である上海虹迪物流科技股份有限公司の株式70%を取得し、連結子会社化すると発表しました。

上海虹迪物流科技股份は英語社名がRUNBOWで、上海・成都・武漢・西安・天津・瀋陽に物流拠点を有しています。SGホールディングスグループとしては、RUNBOWを傘下に加えたことで本格的に中国の物流業務への進出を行う考えです。なお、株式譲渡日は2020年3月31日でした。

③安田倉庫による大西運輸とオオニシ機工の買収

安田倉庫

安田倉庫

出典:http://www.yasuda-soko.co.jp/

2019年11月、物流業を行う東京の安田倉庫は、運送業を行う石川の大西運輸と建設業・建材輸送業を行う石川のオオニシ機工における両社の全株式を取得し子会社化しました。大西運輸とオオニシ機工の前株主は同一人物です。

倉庫業を皮切りに物流業全般を展開している安田倉庫としては、事業領域と規模拡大のために北陸地方での運送業に強みを持つ大西運輸とオオニシ機工を傘下に加えることで、目標達成のシナジー効果が得られるともくろんだと見られます。

④大和ハウス工業による若松梱包運輸倉庫など4社の買収

大和ハウス工業

大和ハウス工業

出典:https://www.daiwahouse.co.jp/

2019年3月、建築事業などを行う大阪の大和ハウス工業は、倉庫業や配送業を行う石川の若松梱包グループ4社(若松梱包運輸倉庫・ジャストロジスティクス・日本物流マネジメント・若松運輸)の各株式90~100%を取得し連結子会社化しました。

大和ハウスグループでは、子会社の大和物流が3PL事業を行っています。北陸地方でトップクラスの物流業を行う若松梱包グループは、冷凍・冷蔵・定温・常温という4種の温度帯を共同配送するシステムを保有している点が強みです。

大和ハウスグループからすると、物流事業領域拡大のための大きなシナジー効果が得られるとして若松梱包グループを傘下に加えています。

⑤濃飛倉庫運輸によるつるとみ運輸の買収

濃飛倉庫運輸

濃飛倉庫運輸

出典:http://www.nohhi.co.jp/

2019年1月、濃飛倉庫運輸は、つるとみ運輸の株式すべてを取得し完全子会社化しました。株式取得価額は非公開です。買収側の濃飛倉庫運輸は、総合物流企業として100年の歴史を持つ企業です。長年の事業運営により培ってきた信頼と実績で、顧客に最適なソリューションを提供することを理念に掲げています。

売却側のつるとみ運輸は、建築設備資材・食料品などを中心に幅広く輸送業を手掛ける企業です。関東地区に2カ所の事業所を有しているほか、小型貨物自動車から大型貨物自動車に加えて冷凍・冷蔵専用貨物自動車など約70台の車両を保有しています。

本件M&Aの狙いは、関東地区におけるドライバー・車両の増強および顧客サービスの拡充にありました。

失敗事例

三井倉庫ホールディングス

三井倉庫ホールディングス

出典:https://msh.mitsui-soko.com/

2012年4月、三井倉庫ホールディングスは、投資ファンドなどを通じて三洋電機ロジスティクス(現:三井倉庫ロジスティクス)の株式すべてを取得し完全子会社化しました。株式取得価額は新株予約権の譲り受け価額を含めて約242億円です。

買収側の三井倉庫ホールディングスは、三井グループに属する物流持株会社です。売却側の三洋電機ロジスティクスは、家電分野における3PL事業を展開しています。本件M&Aの狙いは、物流プラットフォームの構築にありました。

その後も三井倉庫ホールディングスは国内外でM&Aによる拡大路線を取りましたが、物流事業の業績を低迷させています。そして2017年3月期、過去に買収した国内・海外物流子会社の事業計画を精査したところ、三洋電機ロジスティクス社に対する136億円の「のれんの減損」を含む250億円超の減損損失を計上しました。

【関連】物流会社の事業承継とは?事業承継課題や事例を解説

倉庫会社のM&Aまとめ

倉庫会社のM&Aまとめ

インターネット通販の拡大に伴い、倉庫業界では市場拡大の傾向にあります。競争激化により競争力強化や事業拡大を図る必要性が高まっており、今後はますますM&Aが活発化する見込みです。

そのため、今後は倉庫会社だけでなく物流業界全体において、M&Aの目的や対象事業などが多様化していくものと推測されています。倉庫会社の役割も、単なる保管から物流拠点へと変貌を遂げている最中です。

ニーズの多様化に対応して効果の高いM&Aを実現するためにも、他社のM&A動向を分析・検討しながら物流業界の未来図を想定して自社の決断を下しましょう。本記事の要点は、以下のとおりです。

・倉庫会社の現状
→物品保管だけでなく物流業務を一括して引き受ける体制を目指している

・倉庫会社・業界の課題
→3PL事業構築、事業規模拡大

・倉庫会社のM&A買収メリット
→3PL事業構築、事業規模拡大、人材確保

・倉庫会社のM&A買収デメリット
→従業員の離職(人材流出)により業績が悪化する可能性、包括承継により簿外債務や偶発債務などのリスクを引き継ぐ恐れ

・倉庫会社のM&A売却メリット
→事業承継実現、従業員雇用維持、経営基盤安定化、個人保証や担保解消、創業者利益獲得

・倉庫会社のM&A売却デメリット
→スムーズに売却先が見つかるとは限らない、希望どおりの条件(従業員の雇用や売却額などの面)で売却できるとは限らない

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空調機器製造業界のM&A情報!メリット・デメリットや注意点を解説

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空調機器製造業界とは、エアコン、空気清浄機、冷凍機、送風機器、換気扇などの空調設備を製造している業界であり、現在は変化の時期を迎えています。本記事では、空調機器製造業界でM&Aを行うメリット・デ...

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