2025年12月22日公開業種別M&A

家電量販店業界の動向とM&Aのメリット!売却・買収事例5選や流れと注意点も解説!

家電量販店業界におけるM&Aの実態をまとめました。主な内容として、家電量販店業界の市場動向、家電量販店のM&Aにおけるメリットや注意点、M&Aを進める際の流れなどを解説しつつ、近年、家電量販店関連で実際に行われた譲渡・売却・買収事例も紹介しています。

目次
  1. 家電量販店業界の動向
  2. 家電量販店業界におけるM&Aのメリット
  3. 家電量販店のM&Aによる売却・買収事例5選
  4. 家電量販店のM&Aを行う流れ
  5. 家電量販店のM&Aにおける注意点
  6. 家電量販店のM&Aまとめ
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家電量販店業界の動向

家電量販店とは、生活家電、AV(Audio Visual)家電、デジタル家電などを、面積の広い売り場で大量に展示・販売する業態のことです。家電量販店の多くはチェーン化による多店舗展開をしており、商品を大量に仕入れて薄利多売するビジネスモデルとなっています。

家電量販店業界の市場動向

経済産業省の統計資料によれば、家電量販店の2020(令和2)年から2024(令和6)年の市場動向(販売額の推移)は以下のとおりです。

  • 2020年:4兆7,927億5,900万円
  • 2021年:4兆6,866億7,200万円
  • 2022年:4兆6,843億6,100万円
  • 2023年:4兆6,324億1,200万円
  • 2024年:4兆7,287億7,200万円

コロナ禍でネット通販が増えたことにより、家電量販店の市場動向は減少傾向にあったものの、2024年は前年比増となりました。しかし、日本では人口減少動向に歯止めがかかっておらず、今後、大きく市場を伸ばすのは難しいと予測されています。

参照元:経済産業省

家電量販店業界におけるM&Aのメリット

家電量販店の売却側・買収側を問わず、M&Aのメリットを挙げると以下のようなものがあります。

  • 事業承継問題の解決
  • 従業員の雇用継続
  • 対価の獲得
  • 債務からの解放
  • 経営の安定化
  • スケールメリット
  • DX化
  • 新たなノウハウの獲得

家電量販店のM&Aにおける各メリットについて説明します。

事業承継問題の解決

家電量販店の売却・譲渡側の場合、M&Aによって事業承継問題が解決するというメリットがあります。親族や社内に後継者がいないままだと、家電量販店は廃業危機の状態です。しかし、M&Aで家電量販店を売却・譲渡することによって、経営は買収側に引継がれ事業は承継されます

従業員の雇用継続

家電量販店の売却・譲渡側においては、M&Aによって従業員の雇用も維持されるというメリットもあります。後継者不在や経営不振などで家電量販店が廃業となった場合、従業員は職を失うしかありません。しかし、家電量販店のM&Aが成立すれば廃業を免れて会社は存続するため、従業員の雇用も守られるのです。

対価の獲得

家電量販店の売却・譲渡側は、M&Aで対価を獲得できることもメリットです。家電量販店の経営者が株式譲渡によるM&Aを行うケースでは、相応の売却・譲渡益が得られます。その利益は、新たな事業の立ち上げでも、老後の生活資金でも自由に使える資金です。

債務からの解放

家電量販店をM&Aで売却・譲渡すると、債務から解放されるメリットも得られます。合併や株式譲渡による買収などのM&Aを実施すると、債務は買収側が引継ぐものです。売却・譲渡側は、会社の債務と無関係になります。ただし、M&Aスキーム(手法)に事業譲渡を用いた場合、債務は引継がれないことが多く注意が必要です。

以下の動画は、株式譲渡と事業譲渡の比較解説をしています、ご参考まで掲載します。

経営の安定化

家電量販店のM&Aによる売却・譲渡後、経営が安定化するというメリットもあります。一般にM&Aの買収側は、規模が大きく財務基盤もしっかりしているものです。M&A後、売却・譲渡側は買収側の持つ経営資源を共用できるようになるため、自然と経営は安定します。

スケールメリット

家電量販店の売却・譲渡側、買収側双方のメリットといえるのは、スケールメリットです。買収であれば企業グループとして、合併であれば一企業として事業の規模が拡大します。事業規模が拡大すると、コスト削減、仕入れ時の交渉力強化、経営の効率化、イメージアップなど各種の恩恵が得られるのです。

DX化

家電量販店がDXに強みを持つ企業を買収した場合、その企業の技術開発力を用いることで社内のDX化を推進できるというメリットを得られます。また、DX化が進んでいない家電量販店がDX化の整っている大手家電量販店に買収された場合、デジタル基盤を取り込める点もメリットといえるでしょう。

新たなノウハウの獲得

家電量販店の買収側にとっては、同業者とのM&Aで売却・譲渡側独自のノウハウを獲得できることもメリットです。また、これは立場が逆の場合でもあり得る話であり、家電量販店の売却・譲渡側が、買収側の持つノウハウを活用できるようになることもメリットといえます。

家電量販店のM&Aによる売却・買収事例5選

ここでは、家電量販店の具体的なM&A事例を見ることで、どのように売却・買収が行われたかを確認しましょう。取りあげるM&A事例は以下の5事例です。

  • エディオンによるサンフレッチェ広島の子会社化事例
  • ヤマダホールディングスとBluAgeの資本業務提携事例
  • ヨドバシホールディングスとクリエーションラインの資本業務提携事例
  • ニトリホールディングスとエディオンの資本業務提携事例
  • エディオンによる夢見るの買収事例

家電量販店のM&A事例について、それぞれの内容を説明します。なお、表中に売上高を記載している場合、それはM&Aが実施された時期の直前期決算の数値です。最新の決算数値とは違う点にご留意ください。

また、今回の事例には資本業務提携が多く含まれています。資本業務提携は、買収や合併などの一般的なM&Aと違って経営権の異動はありません。しかし、出資が行われて資本は移動することから広義のM&Aとされています。

エディオンによるサンフレッチェ広島の子会社化事例

事例1 売却側 買収側
法人名 サンフレッチェ広島 エディオン
所在地 広島県広島市 大阪府大阪市
事業内容 プロサッカーチームの運営 家電販売事業、モバイル事業
リフォーム・住宅関連事業
通信事業、法人向け事業
プログラミング教育事業
エネルギー管理システム事業
売上高 非公開 7,205億8,400万円(連結)

2023(令和5)年9月、エディオンは、サンフレッチェ広島の第三者割当増資を引受けて50万株を取得しました。エディオンは、以前から所有していた分と合わせて全体の76.10%の株式を占めたことで、サンフレッチェ広島はエディオンの連結子会社となっています。なお、具体的な出資額は非公表です。

エディオンとしては、スポーツを通じた地域社会への貢献活動の一環として、資金面でサンフレッチェ広島を支えるべく出資を決めています。

参照元:株式会社エディオン

ヤマダホールディングスとBluAgeの資本業務提携事例

事例2 増資側 出資側
法人名 BluAge ヤマダホールディングス
所在地 東京都千代田区 群馬県高崎市
事業内容 部屋探しアプリ
「Canary(カナリー)」の運営他
グループ経営戦略の企画・立案、
グループ会社の経営管理・監督、
グループ共通業務など
売上高 非公開 1兆6,193億7,900万円(連結)

2022(令和4)年9月、ヤマダホールディングスとBluAgeは資本業務提携契約を締結しました。資本提携の内容は、ヤマダホールディングスによる約10億円の第三者割当増資の引受けです。

業務提携の内容としては、Eコマース強化、OMO(Online Merges with Offline=オンラインとオフラインの融合)推進、DX化の開発・推進、CDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)構築などが挙げられています。

参照元:株式会社ヤマダホールディングス

ヨドバシホールディングスとクリエーションラインの資本業務提携事例

事例3 増資側 出資側
法人名 クリエーションライン ヨドバシホールディングス
所在地 東京都千代田区 東京都新宿区
事業内容 アジャイル開発支援サービス事業、
ソリューション事業、トレーニング事業
家電量販店事業やスポーツ用品店事業、
不動産事業などを行う企業グループの持株会社
売上高 非公開 非公開

2022年5月、ヨドバシホールディングスとクリエーションラインは資本業務提携契約の締結を発表しました。資本提携の内容は、ヨドバシホールディングスによる1億5,000万円の第三者割当増資の引受けです。

業務提携の内容としては、ヨドバシカメラにおける新規サービス開発、アプリケーション開発センターの共同運営、内製化支援やソフトウェアエンジニア育成、クラウドおよびオープンソースソフトウェア技術の導入推進などが挙げられています。

参照元:クリエーションライン株式会社

ニトリホールディングスとエディオンの資本業務提携事例

事例4 増資側 出資側
法人名 エディオン ニトリホールディングス
所在地 大阪府大阪市 北海道札幌市
事業内容 家電販売事業、モバイル事業
リフォーム・住宅関連事業
通信事業、法人向け事業
プログラミング教育事業
エネルギー管理システム事業
グループ会社の経営管理
およびそれに付帯する業務
売上高 7,137億6,800万円(連結) 8,115億8,100万円(連結)

2022年5月、ニトリホールディングスとエディオンは資本業務提携を実施しました。資本提携の内容は、契約外であるLIXILが持つエディオンの普通株式8,961,000株をニトリホールディングスが102億6,900万円で取得し、さらにエディオンの普通株式1,463,900 株を市場外相対取引または市場買付により取得するものです。

この資本提携により、ニトリホールディングスはエディオンの株式10%を所有する大株主となりました。一方、業務提携の内容は、協働による魅力的な店舗開発、商品の相互交流、EC事業・リフォーム事業・法人向け事業でのシナジー創出、物流や設置サービス・アフターサービスネットワークの相互活用などです。

参照元:株式会社ニトリホールディングス
参照元:株式会社エディオン

エディオンによる夢見るの買収事例

事例5 売却側 買収側
法人名 夢見る エディオン
所在地 大阪府堺市 大阪府大阪市
事業内容 プログラミング教室の運営他 家電販売事業、モバイル事業
リフォーム・住宅関連事業
通信事業、法人向け事業
プログラミング教育事業
エネルギー管理システム事業
売上高 非公開 7,186億3,800万円(連結)

2019(令和元)年12月、エディオンは、夢見るの全株式を買収し完全子会社化しました。買収額は非公表です。エディオンとしては、プログラミング教育事業強化のため、全国100教室以上でロボットプログラミング教室を展開している夢見ると協業するためにM&Aを実施しました。

参照元:株式会社エディオン

家電量販店のM&Aを行う流れ

家電量販店のM&Aは以下のような流れで進めます。

  1. M&Aの検討・実施決定
  2. M&A業務委託先の選定
  3. M&A交渉相手探し
  4. M&A交渉相手との秘密保持契約締結
  5. M&A交渉開始
  6. トップ面談
  7. 基本合意書の取りまとめ
  8. デューデリジェンス
  9. 最終交渉
  10. M&A契約の締結
  11. クロージングに向けた諸手続き
  12. クロージング
  13. PMI

上記のプロセスのうち、クロージングとは契約内容の履行のことです。PMIについては後述する「注意点」で説明いたしますので、そちらをご参照ください。その他、ポイントとなるプロセスについては、個別に説明動画を掲載します。また、以下の動画はM&Aの基本的な流れを解説したものです。

M&Aプロセスの個別解説動画として、まずは「M&A検討段階」です。

次は「M&Aアドバイザーの見極め方」の解説動画です。

続いて「M&Aにおける譲渡先の探し方」の解説動画です。

次の動画は「M&Aにおける秘密保持契約と情報漏えい」を解説しています。

こちらは「トップ面談」の解説動画です。

こちらの動画は「デューデリジェンスの種類」を解説しています。

この動画では「デューデリジェンスにおける売却・譲渡側の注意点」を解説しています。

以下の動画では「M&A成約当日の流れ」を解説しています。

最後に「M&Aの契約書」に関する解説動画です。

家電量販店のM&Aにおける注意点

家電量販店のM&Aを行う場合、以下のような注意点があります。

  • M&Aの専門家に相談をする
  • 事業譲渡時の人材流出を防ぐ
  • 的確に企業価値評価を行う
  • 慎重にPMI計画を策定し実行する

家電量販店のM&Aにおける各注意点の内容を説明します。

M&Aの専門家に相談をする

M&Aの成功確度を上げるための注意点になるのが、初期段階でM&Aの専門家に相談することです。M&Aで重要なポイントとなるのは、初期段階におけるM&A戦略策定とそれに基づく交渉相手探しであり、それを担える専門家を探す必要があります。各専門家が実施している無料相談を有効活用するとよいでしょう。

M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください

家電量販店業界のM&Aを相談できる専門家をお探しであれば、M&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所は多くのM&A成約実績を有しており、知識・経験ともに豊富なアドバイザーによる専任フルサポートを行っています。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(ただし譲受側企業様には中間金が発生します)。随時、無料相談を承っておりますので、お気軽にご連絡ください。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所

事業譲渡時の人材流出を防ぐ

M&Aを事業譲渡で行う場合の注意点として、売却・譲渡側の人材流出防止があります。事業譲渡の場合、株式譲渡や合併と違って従業員が買収側へ転籍することを、個別に本人から同意を得なければなりません。きちんと説明を行わないと転籍拒否・退職となる恐れがあり注意が必要です。

的確に企業価値評価を行う

家電量販店のM&Aでは、売却・譲渡側も買収側も的確な企業価値評価の実施が重要です。企業価値評価とは、売却・譲渡側への査定を意味します。この企業価値評価の結果を基にして、M&Aの売却・買収額の交渉が行われるわけですから、企業会計の専門家による算定が欠かせません。

以下の動画は、企業価値評価方法の1つである「コストアプローチ」について解説したものです。ご参考まで掲載します。

以下の動画は、企業価値評価方法の1つである「マーケットアプローチ」について解説したものです。ご参考まで掲載します。

慎重にPMI計画を策定し実行する

家電量販店のM&Aにおける買収側の注意点は、慎重にPMI計画を策定し着実にそれを実行することです。PMI(Post Merger Integration)とは、M&A成立後の経営統合プロセスを意味します。PMIが不首尾に終わるとM&Aの目的が達成できず、失敗という結果になってしまうでしょう。

家電量販店のM&Aまとめ

家電量販店のM&Aを成功させるには、自社に適した専門家に業務委託することが肝要です。専門家を見極める際のポイントとしては、家電量販店のM&A支援実績、および自社と同等規模のM&A支援実績があるかどうか、特定の地域のM&A支援に強みがあるか、あるいは全国対応といったような幅広い地域のM&Aに対応できるかなどがあります。

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