2020年2月28日更新業種別M&A

旅行代理店のM&Aの現状と動向とは?メリットや事例も紹介!

旅行代理店業界でもM&A事例は見られ、事業の強化・拡大などを図る目的でM&Aを検討する企業が増えています。今回の記事では、旅行代理店に関するM&Aについて、業界の現状や動向、事例を踏まえてポイントを詳しくご紹介していきます。

目次
  1. 旅行代理店業界の現状と動向
  2. 旅行代理店業界のM&A
  3. 旅行代理店のM&Aの相場
  4. 旅行代理店の買収とは?買収側のメリット
  5. 旅行代理店の売却とは?売却側のメリット
  6. 旅行代理店のM&Aの事例
  7. まとめ
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旅行代理店業界の現状と動向

旅行代理店は旅行者と事業者を仲介し、ホテル・旅館の予約や旅行の企画・手配、交通機関の乗車券販売などの業務を行います。近年はインターネットが普及したことで、個人旅行の計画や手配が簡易化していることもあり、旅行代理店を利用しない方も見られます。

また近年、訪日外国人数が増加傾向にありますが、旅行代理店業界の市場規模はどのように推移しているのでしょうか。旅行代理店業界の現状と動向について確認していきましょう。

旅行代理店の現状

旅行業界は、新型インフルエンザや災害の影響を受けやすく、2010年までは大幅な市場規模の縮小が起こりました。しかし、2014年以降は業界に活気が戻ってきており、2018年には訪日外国人数は3,000万人突破を記録しています。

観光庁の調査によると、2016年の旅行市場の総計は26.4兆円にのぼります。そのうち旅行消費額の国内市場は16.5兆円、海外旅行の国内消費分が1.4兆円、国内日帰り旅行が4.9兆円となっています。

旅行代理店はホテルや旅館、航空会社からの委託手数料(コミッション)を収入源の一つとしています。一方で、近年はホテル・旅館や航空会社の収益が減少していることもあり、旅行代理店が受け取る委託手数料も減少傾向です。

また、インターネットの普及により、個人で航空券や旅行の手配をする流れが増加しています。業界として収益を上げている一方で、航空会社から得られる利益が減少している旅行代理店は、時代にあわせて顧客の満足度をどう高めていくかが今後の課題と言えるでしょう。

参考URL:日本旅行業協会「数字が語る旅行業2019

旅行代理店の動向

インターネットの普及により、従来の窓口業務だけではない販売方法も登場し、旅行代理店をはじめとする旅行業界は近年大きく変化しています。インターネット専業旅行会社と大手旅行会社との競争も激しく、それが業界再編にもつながっています。

観光庁が2020年までに訪日外国人旅行者数4,000万人突破を目指している点も特筆すべき点です。外国人旅行者向けのビジネスモデルを整えていくことが、インバウンドの増加につなげるための課題とされています。

こうした動向の中、各社が状況打開のために様々な戦略を打ち出しています。ビジネスモデルを整えるために、M&Aを活用して問題解決を図るケースも、今後ますます増加することでしょう。

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旅行代理店における事業売却(M&A)とは?メリット・デメリットを解説

旅行代理店業界のM&A

ここまでは、旅行業界のM&Aの現状・動向について紹介していきました。上記でご紹介した業界動向も踏まえ、M&Aがどのように業界の問題を解決に導くのか、旅行代理店業界のM&Aで見られるケースについて整理しておきましょう。

同業者同士によるM&A

旅行代理店の収益が減少する傾向も見られる中、同業者同士がM&Aを行うことで事業の強化・拡大につなげるケースも見られます。同業者同士のM&Aによって双方が持つノウハウやサービス体制を活かすことで、事業の幅を広げることができます。

例えば、特定の地域への旅行に強みがある会社を買収することでカバーできる分野を拡大し、より多くの利用者を取り込むことが可能となるメリットが考えられます。

異業種も含めたM&A

旅行代理店業界は比較的参入しやすい業界であり、近年のインターネット普及による影響で、インターネット業界からの参入も増えています。このような異業種からの参入を図る際に、M&Aを検討するケースもあります。

新規事業への参入を実現したい場合、自社だけで新しく事業を開始することももちろん可能です。ただ、自社で一から事業を始めることは一般的には時間と手間がかかるほか、事業を開始しても軌道に乗せるまでに時間がかかります。

一方、すでにその事業分野で実績のある企業を買収し、グループ事業として事業展開を進めれば、比較的短期間で手間をかけずに新規参入を実現できます。

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旅行代理店のM&Aの相場

旅行代理店のM&Aは異業種を含めたM&A事例などもあり、近年特に多様化している傾向にあります。M&Aごとの目的も多岐に渡りますが、ここからは旅行代理店のM&A相場について紹介していきます。

旅行代理店のM&Aの相場は?

旅行代理店のM&Aとして相場・費用をはっきりと決めることは、当事者となる旅行代理店の規模も様々という理由から一概には困難です。しかし、M&Aによって取引を行う以上、相場・費用を考慮しないというわけにはいきません。

また、取得価格が億を超えることは珍しくなく、相場・費用を深く考えずにM&Aを実行すれば、想定外の費用が発生することにもなりかねません。実際に、旅行代理店の株式会社TETを、株式会社アドベンチャーが子会社化した際の取得価格は2億8,000万円でした。

せっかくM&Aを行っても、M&A後の事業展開に支障を来たすような事態を防ぐ必要があります。そのためにも、自社の状況と似たM&A事例を徹底的に分析し、様々な観点から相場・費用の目安をつけておく必要があります。

M&Aの相場を検討する手段

具体的には、各事例のM&Aの目的、M&Aの当事者の規模、対象事業の規模や内容、業績、従業員の数、M&Aのスキームなどを確認し、自社と似ている事例は徹底的に分析し、相場・費用を検討することが重要です。

また、より正確な相場・費用を知るため、M&A仲介会社などの専門家に相談することも大切です。M&Aの相場の算定は困難で多額な費用も発生するため、M&Aをお考えの場合はぜひ一度M&A総合研究所へお気軽にご相談ください。

M&A総合研究所は初回の無料相談後も一切費用が発生しない完全成功報酬制で、専門的な知識や経験が豊富なアドバイザーが多数在籍しています。M&Aに関してお悩みの際には、ぜひM&A総合研究所までお気軽にお問い合わせください。

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旅行代理店の買収とは?買収側のメリット

旅行会社 旅行代理店のM&A・事業承継
旅行会社 旅行代理店のM&A・事業承継

それでは具体的に、旅行代理店がM&Aを行った際の買収側のメリットを考えていきましょう。買収側の主なメリットとしては、以下の点が挙げられます。

  1. 事業の強化・拡大
  2. 短期間で参入可能
  3. ノウハウ・システムの取得

①事業の強化・拡大

同業者同士のM&Aとして、旅行代理店を買収して事業の強化・拡大を図るなどのケースが考えられます。また、特定の地域への旅行に強みがある会社を買収すれば、ターゲット層の拡大というメリットにつながります。

しかし、ただM&Aを行えば良いというわけではなく、対象企業は慎重に選ぶ必要があるのです。旅行代理店を買収することで、自社とその旅行代理店の成長につなげることができるのか、双方の事業内容やサービス体制などから総合的に判断することが大切です。

②短期間で参入可能

異業種の企業が旅行代理店を買収するケースもあります。これは、新規参入として買収を活用する例となり、自社だけで一から事業を開始するよりも比較的短期間で参入できるというメリットがあります。

特に旅行代理店業界は参入障壁が低い傾向があるので、異業種の企業が参入を考えるケースも少なくありません。その際にM&Aを活用して新規参入につなげるケースが今後増える可能性もあります。

しかし、やみくもに旅行代理店を買収すれば良いわけではありません。候補企業の事業と自社の事業を照らし合わせ、シナジー効果が生まれるのかを判断し、検討を進める必要があります。

③ノウハウ・システムの取得

旅行代理店を買収すると、長年にわたり培ってきたノウハウやシステムを取得できるメリットがあります。また、ノウハウを持った従業員をそのまま引き継ぐ形をとれば、新規参入でもスムーズに事業を開始可能です。

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旅行代理店の売却とは?売却側のメリット

ここまでは旅行代理店のM&Aにおける買収側のメリットを紹介しましたが、売却側にはどのようなメリットがあるのでしょうか。旅行代理店のM&Aにおける売却側のメリットは下記のとおりです。

  1. 事業の継続
  2. 売却金の取得
  3. 従業員の継続雇用

①事業の継続

経営上の問題を解決するため、旅行代理店を売却するケースも考えられます。例えば、経営が厳しくなった企業が資金力の豊富な企業に売却できれば、安定した財務基盤のもとで事業を継続できるメリットがあるのです。

もちろん、旅行代理店同士のM&Aとして、事業の強化・拡大を図るために売却を検討するケースもあります。いずれの場合も、売却をして経営を任せる以上、買ってくれれば良いわけではありません。

買い手の事業内容や業績などを確認し、信頼できる相手かどうか、総合的な観点から判断する必要があります。また、売却を成功させるには、自社の強みや魅力、得意エリア、主なターゲット層を明確に示すことが大切です。

②売却金の取得

旅行代理店の事業売却において事業継続が可能となるケースもある一方、売却したことで得られるまとまった資金を新規事業の費用にすることも可能です。事業内容に固執せず、経営再建を図るための資金を得られることは、すべての業種においてメリットと言えるでしょう。

③従業員の継続雇用

事業を廃業すると従業員の解雇というデメリットがありますが、M&Aによる事業売却の場合、従業員の継続雇用が可能となるメリットがあります。また、買収先企業の規模によっては、従業員の待遇がこれまでより良くなる可能性も十分に考えられます。

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旅行代理店のM&Aの事例

近年、旅行代理店のM&A事例が多いということもあり、現時点では各事例のM&A後の事業展開に注目されている段階です。そのため、現段階で成功事例・失敗事例にはっきりと分けることは難しいでしょう。

様々な事例を見て、その後の事業展開や業績面から、そのM&Aが成功だったのかどうか判断することが重要です。そのため、なるべく多くの事例を知っておく必要があり、直近の事例や動向を逐一おさえておくことをおすすめします。

以下に2019年の直近事例と大手の代表的な2つの事例を紹介します。それぞれのM&Aの目的や背景を確認して、今後の分析に役立ててみてください。

①エボラブルアジアがセブンフォーセブンエンタープライズを子会社化

2019年5月30日、オンライン旅行事業や訪日旅行事業などを展開するエボラブルアジア(東京都港区)は、ハワイ旅行専門ブランド「ファーストワイズ」を展開するセブンフォーセブンエンタープライズ(東京都港区)の株式を取得し、子会社化することを発表しました。

それぞれの企業の強み

エボラブルアジアはオンライン旅行代理店として、国内航空券・海外航空券販売を主軸に、サービスラインの多角化や主要ブランドの「エアトリ」の認知度向上などを通じて事業拡大してきました。

エボラブルアジアはオンライン旅行事業、訪日旅行事業、投資事業など幅広く展開しています。こうした事業展開を進める中、エボラブルアジアはオンライン旅行事業の戦略を加速するため、今回セブンフォーセブンエンタープライズの子会社化を決定しています。

セブンフォーセブンエンタープライズはハワイ旅行専門ブランド「ファーストワイズ」を30年以上にわたって展開しています。オンライン販売に特化し、ツアー企画や旅行のアレンジ、現地でのサポートなど、これまでの豊富な経験と専門知識をもとに手厚いサポートを実現しています。

セブンフォーセブンエンタープライズを子会社した目的

このセブンフォーセブンエンタープライズを子会社とすることで、エボラブルアジアはセブンフォーセブンエンタープライズの強みとなるハワイツアーを足掛かりとして、「エアトリ」の中長距離ツアーの拡大を図るとしています。

また、ハワイに現地法人を持つセブンフォーセブンエンタープライズのネットワークを活かし、ハワイでのラウンジ運営といった多角的な事業拡大にもつなげたい考えです。

②三越伊勢丹ホールディングスがニッコウトラベルを買収

本事例の具体的な内容や流れをご紹介する前に、2019年4月に三越伊勢丹旅行がニッコウトラベルを吸収合併し、三越伊勢丹ニッコウトラベルが誕生した経緯について最初に触れておきます。

三越伊勢丹ニッコウトラベルの誕生

三越伊勢丹ホールディングスは2018年12月、連結子会社である三越伊勢丹旅行、ニッコウトラベル、ニッコウ企画の3社が2019年4月1日付で合併することを発表しました。

これは、旅行情報誌・パンフレットの制作編集を行うニッコウ企画をニッコウトラベルが吸収合併した後、そのニッコウトラベルを三越伊勢丹旅行が吸収合併するという形になっています。

また、存続会社となる三越伊勢丹旅行の社名を「三越伊勢丹ニッコウトラベル」に変更することも発表されました。そして2019年4月1日を設立日(合併日)とし、三越伊勢丹ニッコウトラベル(東京都中央区)が誕生したのです。

ニッコウトラベルは三越伊勢丹旅行に吸収合併される形となったので、三越伊勢丹旅行(三越伊勢丹ニッコウトラベル)が存続会社となり、ニッコウトラベルは消滅会社となります。

しかし、ニッコウトラベルが長年培ったノウハウは三越伊勢丹ニッコウトラベルの一部として現在も引き継がれる形となっています。そして、現在の三越伊勢丹ニッコウトラベルが誕生したのも、ニッコウトラベルを買収したことがそもそもの始まりです。

ニッコウトラベルを買収した背景

2017年2月、百貨店大手の三越伊勢丹ホールディングス(東京都新宿区)は、老舗旅行代理店のニッコウトラベル(東京都中央区)を買収することを発表しました。普通株式のすべて(自己株式を除く)を取得し、完全子会社化する形となり、取得額は約37億円とされています。

三越伊勢丹ホールディングスはグループで百貨店業、クレジット・金融・友の会業、小売・専門店業、不動産業、その他の5事業を主に行い、グループ全体が持つ顧客資産や拠点などを相互活用し、競争優位を高めています。

旅行事業に対する取り組みも積極的に行い、事業拡大のスピードアップを図るために100%出資する旅行専門会社の「三越伊勢丹旅行」も2015年に新設されています。しかし、三越伊勢丹旅行は既存の営業リソースだけでは不十分だったのです。

旅行事業を早期に拡大するため、特に営業リソース確保のために外部企業との提携や企業買収を検討していました。こうした中、三越伊勢丹旅行による、ニッコウトラベルの買収が行われています。

ニッコウトラベルの顧客の約95%は60歳代以上で、シニアユーザーに対する高品質なサービスの展開に強みがあります。このニッコウトラベルを買収することにより、三越伊勢丹ホールディングスはシニア世代向けのサービスの充実を図る形となりました。

また、ニッコウトラベルの新規顧客獲得や大型投資の実現なども目指しています。

まとめ

旅行代理店業界でもM&A事例は見られ、事業の強化・拡大などを図る目的でM&Aを検討する企業が増えています。旅行代理店を利用せずに旅行する人も確かに見られますが、旅行代理店独自の強み・サービス体制に魅力を感じる利用者も依然として多いです。

こうした動向を踏まえ、同業者同士のM&Aによって事業の幅を広げるなどのケースが見られます。また、旅行代理店業界は比較的参入しやすいため、M&Aを活用した新規参入を検討する企業も見られます。

旅行代理店のM&Aを検討する際には、このような業界動向やM&A事例などをおさえ、様々な観点から分析を進めることが大切だと言えるでしょう。今回の記事をまとめると以下のようになります。

・旅行代理店業界の現状と動向
→インターネットの普及、外国人観光客の増加による影響大

・旅行代理店のM&Aの相場
→億を超えることは珍しくなく、様々な観点から相場・費用の目安をつける必要あり

・旅行代理店のM&Aによる買収側のメリット
→事業の強化・拡大、短期間で参入可能、ノウハウ・システムの取得

・旅行代理店のM&Aによる売却側のメリット
→事業の継続、売却金の取得、従業員の継続雇用

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