2024年9月18日更新都道府県別M&A

熊本県の事業承継・M&Aの動向!案件や事例・相談先も詳しく紹介

本記事では、熊本県における事業承継・M&Aの動向を解説します。熊本県は、2016年に大きな地震があり、その影響で会社を廃業する中小企業も増えていますが、事業承継に関しては後継者が必要とする会社が比較的多い状態といえます。熊本県の事業承継・M&Aを検討している方は必見です。

目次
  1. 熊本県の事業承継・M&Aの動向
  2. 熊本県近郊の事業承継・M&A案件一覧
  3. 熊本県の事業承継・M&A事例
  4. 事業承継・M&A時におすすめの相談先
  5. 熊本県の事業承継・M&Aに関する公的支援
  6. 熊本県の事業承継・M&Aまとめ
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熊本県の事業承継・M&Aの動向

熊本県の中小企業を対象にした2023年の調査では、後継者不在の企業が47.7%に及んでいます。比較的後継者がいるとしている中小企業が多いように感じられますが、「後継者候補がいない」としている経営者を年齢別で見ると60歳以上で31.6%の割合で、事業承継の準備が急がれる状態であることが分かっています。

業種別では小売、不動産業で「後継者がいない」としている割合が高く、事業承継の支援が必要で有ることを示しています。

後継者候補の属性を見ると、「子ども」が最も多く、全体の34.3%を占めていますが、前年から0.2ポイント減少しました。2022年の調査に続き、2年連続で「子ども」がトップの後継者候補となっています。また、「配偶者」と合わせると、49.0%が親族内での事業承継を予定しており、2社に1社以上が身内に引き継ぐ意向を示していますが、この割合も前年より低下しています。

一方で、「内部昇格」や「外部招聘」によって社長に就任した企業では、次の後継者として「非同族」を選ぶ割合が8割を超えており、M&Aなどにより外部から第三者を経営に迎え入れる傾向がますます強まっていることが伺えます。

参考:帝国データバンク「特別企画:熊本県内企業「後継者不在率」動向調査(2023 年)」

熊本県の経営者の年齢

2023年の後継者に関する動向では、特に50~60歳代の「現役世代」で後継者不在率の低下が顕著に見られました。50代の後継者不在率は49.0%で、全国平均の60.0%を大きく下回っています。

また、事業承継が適齢期とされる60代でも31.6%と、前年から3.6ポイント減少し、全国平均の37.7%を下回りました。さらに、70代では24.8%で1.9ポイント、80代では21.2%で0.3ポイントの減少が見られ、各世代で後継者の選定が進んでいることが示されています。

熊本県企業の休廃業件数

後継者不在の問題は、企業の休廃業につながっています。

2023年における熊本県の休廃業・解散件数は572件となり、前年と比べて2.4%減少しました。「黒字」での休廃業の割合は45.5%と、過去最低の水準に達し、資産超過の企業が休廃業する割合も減少しています。

経営者の平均年齢は71.6歳と過去最高を更新しました。業種別では、8業種のうち「建設」「小売」「運輸・通信」の3業種で休廃業が増加しています。また、この年は「あきらめ廃業」と「前向き廃業」の両方が見られ、経営者にとって将来を見据えた難しい決断を迫られる年となりました。

参考:帝国データバンク「熊本県内企業「休廃業・解散」動向調査(2023)」

【関連】九州のM&Aの動向や産業の特徴は?成功事例や注意点も徹底解説!

熊本県近郊の事業承継・M&A案件一覧

弊社M&A総合研究所が取り扱っている熊本県近郊の事業承継・M&A案件一覧をご紹介します。

【九州/無借金経営】製造業向け人材派遣業

大手製造工場との取引があり、売り上げは拡大基調です。創業間もないですが、すでに安定的な売り上げを確立しています。

エリア 九州・沖縄
売上高 2.5億円〜5億円
譲渡希望額 1億円〜2.5億円
譲渡理由 事業の集中と選択

【九州/無借金経営】製造業向け人材派遣業(その他サービス等) | M&A総合研究所

【九州/セントラルキッチン保有】病院・介護施設への給食事業

九州で病院・介護施設への給食事業を手掛ける企業です。九州6県の70箇所以上の市町村郡に配達可能です。

エリア 九州・沖縄
売上高 5億円〜10億円
譲渡希望額 5000万円〜1億円
譲渡理由 後継者不在(事業承継)

【九州/セントラルキッチン保有】病院・介護施設への給食事業(医療・介護) | M&A総合研究所

【九州×顧客体験重視】中小・ベンチャー向けコンサル

顧客体験価値の創造と伴走支援で他社と差別化を図っています。今後、営業活動をすることで拡大余地もあります(現在は既存紹介90%、HP経由10%のみ)。

エリア 九州・沖縄
売上高 1000万円〜5000万円
譲渡希望額 1000万円〜5000万円
譲渡理由 さらなる事業拡大、経営理念を世に広めたい

【九州×顧客体験重視】中小・ベンチャー向けコンサル(その他サービス等) | M&A総合研究所
【関連】福岡県のM&Aの現状は?最新動向や会社選びの基準から案件例まで解説!

熊本県の事業承継・M&A事例

熊本県の事業承継・M&A事例をピックアップしてご紹介します。

西川印刷によるバッハベルクの事業承継・M&A

2024年7月30日、KYORITSUの子会社である西川印刷(熊本県熊本市)は、バッハベルク(福岡県福岡市)の全株式を取得し、子会社化することを決定し、株式譲渡契約を締結しました。これにより、バッハベルクはKYORITSUの連結子会社となります。

KYORITSUは、情報デジタル事業をグループの中心的な事業として位置づけており、デジタルプロモーションや電子書籍制作、IP事業の拡大を通じて収益の拡大を図っています。

今回のM&Aにより、バッハベルクのTV通販映像制作技術を活用し、クロスメディア対応の販促サービスを強化します。

これにより、eコマースやオンライン広告市場での競争力を高め、販路拡大や新規顧客の獲得を目指し、KYORITSUグループ全体の成長を促進することが期待されています。

株式譲渡契約締結に伴う子(孫)会社化に関するお知らせ

肥後銀行による肥銀カードの「くまモンのICカード」の事業承継・M&A

2024年5月24日、肥後銀行(熊本県熊本市)は、グループ会社である肥銀カード(熊本県熊本市)から「くまモンのICカード」事業を譲り受けることを決定しました。

肥後銀行は、預金や貸付業務をはじめ、証券売買や為替業務、有価証券投資など、幅広い銀行業務を展開しています。一方、肥銀カードはクレジットカード業務や金銭貸付、信用保証、集金代行などを手掛けています。

この事業譲受の目的は、熊本県内でのキャッシュレス決済の普及を促進することです。「くまモンのICカード」の機能を引き継ぎつつ、より多様な決済に対応するスマートフォンアプリ「くまモン!Pay」の開発に着手し、今後もサービスの利便性向上を目指していきます。

肥銀カード株式会社から当行への「くまモンのICカード」事業譲受 および「くまモン!Pay」の開発着手について

ゆめマート熊本による西友の九州地域の食品スーパー69店舗の事業承継・M&A

2024年4月3日、イズミは、西友が九州地域で展開する食品スーパー事業を会社分割により承継することを決定し、子会社であるゆめマート熊本がその事業を引き継ぐ契約を締結しました。この決定により、九州地方における店舗網の強化を図ります。

イズミは、中国・四国・九州地方を中心にドミナント戦略を展開しており、地域密着型の経営を進めています。一方、西友は「サニー」ブランドで福岡県を中心に高い知名度を誇り、効率的な店舗運営と魅力的な商品提供で強固な基盤を築いています。

今回の事業承継により、両者の強みを融合し、九州地域でのさらなる成長と競争優位性を高め、イズミが掲げる2030年長期ビジョンの実現に向けた大きな一歩を踏み出すこととなります。

当社連結子会社における会社分割(吸収分割)による株式会社西友の九州事業の承継に関するお知らせ
【関連】大分県の事業承継・M&Aの動向は?経済状況や案件の探し方も解説!

事業承継・M&A時におすすめの相談先

熊本県での事業承継・M&A時におすすめの相談先を3つご紹介します。

金融機関

最近では、金融機関がM&A支援を専門とする部署を新設する事例が増えてきています。特に投資銀行やメガバンクが、M&Aにおいて重要な役割を果たすファイナンシャルアドバイザー(FA)として活躍するケースが多く見られます。買収側の企業にとっては、資金調達を行う際に、まず既存の取引がある金融機関と協議するのが一般的です。

金融機関に相談することで、資金調達に関する専門的な助言を得られるため、事業承継の場面でも大いに役立ちます。さらに、いくつかの金融機関ではM&A専門の部署や関連する専門家を紹介するサービスも提供しています。

ただし、大手の金融機関は主に規模の大きな案件を取り扱う傾向があり、中小規模の案件には対応しにくいのが現状です。加えて、アドバイザリー形式を採用する場合、報酬が高額になりやすいという点もデメリットとして挙げられます。

公的機関

近年、公的機関でも事業承継やM&Aに関する相談を受け付ける体制が整備されつつあります。たとえば、「事業承継・引継ぎ支援センター」では、中小企業が直面する後継者不足といった問題に対応するための窓口が設けられ、無料で情報提供やアドバイスを受けられるほか、企業間のマッチングサービスも提供しています。

このセンターは全国47都道府県で展開されており、地方にある企業でも気軽に利用できるというメリットがあります。

公的機関が運営しているため、費用がかからず、かつ公平なアドバイスを受けられるのも大きな魅力です。また、M&Aの仲介や専門家の紹介といった支援も行っています。しかし、公的機関であるがゆえに、対応スピードに限界があることや、民間の仲介会社と比べてサポートの質が劣る場合があるというデメリットも考慮する必要があります。

M&A仲介会社

M&A仲介会社は、企業の買収や売却を専門的に支援し、売り手と買い手の両方と契約を結びながら、交渉を円滑に進めます。これらの会社は、初期の相談から相手企業の選定、スケジュールの調整、企業価値の評価、さらには契約書類の作成に至るまで、M&Aの全過程を一貫してサポートします。

仲介会社の強みは、豊富な候補企業の中から最適な相手を見つけ出す能力にあり、売り手・買い手の双方にとって有利な条件で取引を進められる可能性を高めます。特に、M&Aに不慣れな企業でも、仲介会社の手厚い支援により、交渉やコミュニケーションがスムーズに行われ、成功率が向上します。

一方で、着手金や中間金が必要になる場合があり、費用負担が大きくなることがあるため、成功報酬型の契約を選ぶことが推奨されます。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所

熊本県の事業承継・M&Aに関する公的支援

熊本県の事業承継・M&Aに関する主な公的支援をご紹介します。

熊本県事業承継・引継ぎ支援センター

熊本県事業承継・引継ぎ支援センターでは、中小企業診断士や税理士、行政書士、弁護士、金融機関出身の専門家など、多様な経験を持つスタッフが、事業承継に関する幅広い相談に対応しています。国が運営する公的なサービスであるため、安心して相談できます。

熊本県事業承継・後継ぎ支援事業補助金

地域の中小企業が廃業することを防ぎ、雇用を安定的に確保し、地域の活力を長期的に維持することを目的に、後継者やその候補者の育成、事業承継に伴う企業評価、さらに後継者が行う販路開拓や生産性向上の取り組みに対して、経費の一部を支援します。

対象となる経費は、研修費や教材費(公的な研修機関が実施するものに限る)です。対象外となる経費には、宿泊費や交通費、資格取得の検定料、社内研修費、振込手数料、消費税、地方消費税などがあります。

補助金の上限は20万円、補助率は対象経費の3分の2までです。

参考:熊本県「令和6年「熊本県事業承継・後継ぎ支援事業補助金」2次公募のお知らせ」

熊本県の事業承継・M&Aまとめ

熊本県は、2016年に大きな地震がありその影響で会社を廃業する中小企業も増えているようですが、事業承継に関しては後継者がいるとしている会社が比較的多く、事業承継に関する問題は少ないように感じられます。

しかし、全国に統計と同じように現経営者に年齢が、年々上昇しており60歳を超えても現役の経営者が多数いるように感じられます。

それでも、事業承継の準備を始めていれば問題はないのですが、後継者不在を理由に何も準備をしていない会社は、今後の会社の存続に大きな影響を与えることになるでしょう。

地域や県でも事業承継に関するセミナーなどを実施しているので、中小企業の経営者の参加を促すような対策が必要でしょう。

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