M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年9月6日更新都道府県別M&A
福島県の事業承継・M&A案件!事例や公的支援の取組も紹介
本記事では、福島県の事業承継・M&Aの事業承継の動向や事業承継の方法・種類、M&Aによる事業承継のメリット、譲渡希望案件一覧、事業承継の公的支援の概要とその流れを解説します。福島県で事業承継・M&Aを検討中の方は必見の内容です。
目次
福島県の産業に見られる特徴
令和6年8月1日時点での福島県の推計人口は1,746,140人です。
福島県ではさまざまな産業が活動していますが、産業ごとの人口構成をみると、サービス業などの第3次産業が占める割合が年々増加しています。一方で、農業を中心とした第1次産業の割合は減少傾向にありますが、全国平均と比較すると依然として高い水準を維持しています。
福島県の事業承継・M&Aの現状
福島県における事業承継・M&Aの現状をお伝えします。
福島県企業の後継者不在率
2023年に福島県内の全業種3,579社を対象に後継者の状況を調査したところ、後継者が「いない」または「未定」と回答した企業は1,650社に上り、後継者不在率は46.1%となりました。これは2022年と比べて1.4ポイント増加しており、コロナ禍の2019年と比べると18.4ポイント減少しています。
年齢別に見ると、「30代未満」の後継者が大幅に増加しており、「50代」「60代」「70代」も微増傾向にありますが、年齢が高くなるほど不在率は低くなる傾向があります。また、福島県の後継者不在率は全国平均より7.8ポイント低く、都道府県別では40位に位置しています。
後継者が明確になっている企業の後継者属性を見ると、「子ども」が最も多く、全体の41.0%を占めましたが、前年より4.0ポイント減少しています。「子ども」と「配偶者」を合わせると、約半数の企業が家族内での事業承継を予定していますが、前年から減少しており、家族以外への承継が増えてきています。
特に、内部昇格や外部からの招聘により社長に就任したケースでは、非同族の後継者が約8割を占め、外部招聘の場合はその割合が88.6%に達しており、第三者を経営に招く傾向が強まっています。
福島県企業の休廃業件数
福島県における2023年度の休廃業・解散件数は803件で、前年比で2.3%増加しました。
これまで、持続化給付金や雇用調整助成金といった資金援助策のおかげで、コロナ禍の厳しい経済状況にもかかわらず、休業や廃業はある程度抑えられていました。しかし、2023年に入り、これらの支援が徐々に縮小されたことに加え、電気代などのエネルギーコストの上昇や、物価の高騰、人手不足による人件費の増加といった、複数の経営課題が重くのしかかっています。
これにより、収益や財務にダメージを受けていた中小企業は、事業を続けるかどうかの判断を先延ばしにしてきましたが、さらなる悪化を防ぐために、事業を続けることを断念し「あきらめ廃業」を選択せざるを得ないケースが多発している可能性があります。
福島県近郊の事業承継・M&Aの案件一覧
弊社M&A総合研究所が取り扱っている福島県近郊の事業承継・M&Aの案件一覧を紹介します。
アパレル品製造業(縫製工場)純資産程度での譲渡@福島県
希望株価が純資産ベースです。創業40年を誇り、従業員様の技術力は高いです。
エリア | 福島県 |
売上高 | 5000万円〜1億円 |
譲渡希望額 | 1000万円〜5000万円 |
譲渡理由 | 事業存続に対する不安 |
【Netcash3億円/3期平均EBITDA6,000万円/無借金】内装工事業者
ゼネコン・地場建設会社の1次/2次の下請け業者として建物の内装工事を行っています。従業員数は10名前後ながら、有資格者も多数在籍し内装工事全般を一貫して対応可能です。
エリア | 岩手県 |
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡希望額 | 2.5億円〜5億円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
【東北地方】複数の漁法を活用している漁業
複数の漁法により、一年中かつ豊富な種類の漁獲が可能です。数多くの飲食店へ直卸を行い、安定した取引を実現しています。
エリア | 東北 |
売上高 | 1000万円〜5000万円 |
譲渡希望額 | 2,500万円+役員借入金一部返済 |
譲渡理由 | 財務的理由、事業存続に対する不安 |
東北のM&A・会社売却・事業承継の情報や動向、案件一覧については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
福島県の事業承継・M&A事例
福島県の事業承継・M&A事例をピックアップしてご紹介します。
相馬双葉漁協による福島県信漁連への信用事業の譲渡
2024年7月1日をもって、相馬双葉漁業協同組合(相馬双葉漁協)は信用事業を福島県信用漁業協同組合連合会(福島県信漁連)へ譲渡することを決定しました。信用事業とは、組合員への資金貸付や貯金の受入れなどの金融業務を指し、これらはJFマリンバンクとして農林中央金庫と連携しています。
相馬双葉漁協は、福島県浜通り地方にある7つの漁協が合併して成立した組織で、地域の漁業者を支援する活動を行っています。一方、福島県信漁連は漁業者向けの金融機関として、貯金や融資などの業務を行っており、漁港周辺の漁協に設置されています。
今回の譲渡は、複雑化する金融環境や規制に対応するための措置です。
エコによるリビングプラットフォームへの介護施設事業の承継
2023年1月30日、リビングプラットフォームは、子会社のリビングプラットフォームケアを引継先として、エコの介護事業の一部を吸収分割で譲り受けることを決定しました。エコが運営している7つの高齢者向けグループホームの事業が対象です。
リビングプラットフォームは、介護や保育、障がい者支援といった分野で事業を展開している企業です。一方、エコは福島県郡山市を拠点に複数の介護施設を運営しています。
今回の事業分割により、リビングプラットフォームは東北地方における市場シェアの拡大を目指しています。
識学による「福島ファイヤーボンズ」運営企業の事業承継・M&A
2020年3月12日、識学は、福島スポーツエンタテインメント(福島県郡山市)が行う第三者割当増資を引き受け、子会社化することを決定しました。取得金額は8,500万円で、識学の議決権所有割合は56.4%となります。
識学は、独自の組織運営理論「識学」を活用したマネジメントコンサルティングを提供している企業です。
福島スポーツは、福島県で初めて結成されたプロバスケットボールチーム「福島ファイヤーボンズ」の運営を担っており、B.LEAGUEの試合開催やグッズ、チケットの販売などを行っています。
このM&Aにより、識学は福島スポーツの業績向上と福島ファイヤーボンズのチーム成績向上を目指し、福島県内外のスポーツ業界の活性化を図るとともに、自社のマネジメント理論「識学」の有用性をさらに証明することを目指しています。
事業承継・M&A時におすすめの相談先
福島県での事業承継・M&A時におすすめの相談先を3つご紹介します。
金融機関
近年、金融機関がM&A支援を専門に行う部署を設置する動きが広がっています。特に、投資銀行や大手銀行がファイナンシャルアドバイザー(FA)として、企業買収や売却において重要な役割を果たすことが多く見受けられます。
M&Aの過程では、金融機関は非常に重要なパートナーです。特に買収側では、資金調達のために金融機関との協議が不可欠で、通常は既存の取引関係のある銀行が最初の相談相手となります。
金融機関に相談する大きな利点は、資金調達に関する専門知識を基にしたアドバイスが得られる点です。例えば、事業承継において、親族や従業員が後継者になる場合でも、株式取得に必要な資金を金融機関から支援してもらえることが非常に有益です。
また、M&Aに特化した部署を持つ金融機関や、他の専門家と連携している銀行も多く、必要に応じて適切な専門家を紹介してもらえることもあります。
ただし、大手の金融機関は主に規模の大きなM&A案件を手掛ける傾向があり、中小企業の案件には対応しないことがある点に注意が必要です。また、これらの金融機関は仲介業務ではなく、アドバイザリー業務として対応することが多く、そのため報酬が高額になることがデメリットとなる場合があります。
公的機関
近年、公的機関でも事業承継やM&Aに関する相談を受け付ける体制が整いつつあります。例えば、事業承継・引継ぎ支援センターは、中小企業が抱える後継者問題の解決を目的とした相談窓口です。
このセンターでは、事業承継やM&Aに関する情報提供やアドバイスを行うほか、企業同士を結びつけるマッチングサービスも提供しています。2021年4月に設立されて以降、全国各地のセンターで専門家が無料で対応し、中小企業の事業承継に取り組んでいます。
日本全国47都道府県に窓口が設けられており、地域の企業でも簡単にアクセスできるのが大きな利点です。また、国の運営機関であるため、相談は無料で、偏りのない公正なアドバイスを受けることができます。必要に応じてM&A仲介会社や専門家の紹介も可能で、個人事業主の事業承継にも対応しています。
ただし、公的機関であるため、対応に時間がかかる場合があるのが課題です。また、民間のM&A仲介会社に比べると、サポートの実績や提供されるサービスの質が劣ることがある点もデメリットとして挙げられます。
M&A仲介会社
M&A仲介会社は、企業の買収や売却を専門的にサポートする企業で、売り手と買い手の双方と契約を結び、互いの利益を考慮しながら交渉を進めます。これらの会社は、初期相談から相手企業の選定、スケジュールの調整、企業価値の評価(バリュエーション)や必要な書類作成など、M&Aの全過程を包括的に支援します。
仲介会社は、売り手と買い手の希望や条件をすり合わせ、双方が合意できる最適な条件を導き出すことで、スムーズなM&Aの実現を目指します。
仲介会社を利用する大きな利点は、多くの候補企業の中から最適な相手を見つけやすい点です。これにより、売り手と買い手の双方が納得のいく取引が成立しやすくなります。
さらに、M&Aに不慣れな企業に対しても、仲介会社は一貫してサポートを提供し、具体的なアドバイスや円滑な交渉を通じて成功率を高めています。
ただし、仲介会社によっては、着手金や中間金が発生することがあり、コスト面の負担が懸念されることもあります。コストを抑えたい場合は、成功報酬制を採用している企業を選ぶと良いでしょう。
福島県の事業承継・M&Aに関する公的支援4選
福島県で行われている事業承継・M&Aに関する公的支援の代表的なものを掲示し、その概要を説明します。銀行や信用金庫などの金融機関は公的機関ではありませんが、その支援内容は公的な観点も含まれており、取り上げました。
- 福島県事業承継・引継ぎ支援センター
- 福島銀行
- 福島信用金庫
- ふくしま事業承継資金融資制度/福島県
福島県事業承継・引継ぎ支援センター
福島県事業承継・引継ぎ支援センターは、中小企業庁からの委託事業として各自治体に開設されたものの1つです。従来からあった事業引継ぎ支援センターと事業承継ネットワークが、2021(令和3)年4月に統合されました。
福島県事業承継・引継ぎ支援センターの場合、その運営は公益財団法人福島県産業振興センター郡山事務所が行っており、福島県の中小企業の事業承継の総合相談窓口として、親族内承継・社内承継・M&Aによる事業承継いずれの支援も無料で対応しています。
福島県事業承継・引継ぎ支援センターの独自事業として行っているのが、後継者人材バンクです。既存の中小企業の事業承継を希望する起業家と、後継者難の中小企業とをマッチング・サービスしています。
全国の事業承継・引継ぎ支援センターと情報共有しており、広範なマッチングも可能です。
福島銀行
福島銀行も積極的に事業承継支援を実施しています。具体的なものとしては、まず、2018(平成30)年7月にヒューレックスグループ3社と業務提携しました。その中には事業承継M&Aを手掛ける事業承継推進機構もおり、事業承継支援への好影響が期待されます。
また、2019(令和元)年7月には事業承継・M&Aプラットフォーム「TRANBI」を運営する東京のトランビと業務提携しました。これは、福島銀行の顧客である中小企業経営者に対する、事業承継支援サービス提供を意図しています。
福島信用金庫
福島信用金庫は、上述した福島銀行の業務提携先トランビと、福島銀行に先駆け2018年11月に業務提携を結んでいます。また、2019年7月には、福島県中小企業診断協会とも業務提携を締結しました。
顧客である中小企業経営者向けの事業承継を目的とするM&A支援を中心に、包括的な経営コンサルティング事業での連携を図る協定となっています。
ふくしま事業承継資金融資制度/福島県
福島県では国が実施している事業承継向け融資制度とは別に、「ふくしま事業承継資金融資制度」を設けています。
融資限度額は最大1億円(条件つきで2億円)、融資期間最大10年です。詳細は融資を申し込みたい金融機関各店舗で、問い合わせ対応を行っています。
商工会議所が支援する事業承継については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
福島県の事業承継・M&Aのまとめ
東日本大震災被災からの復興半ばにある福島県にとって、廃業で中小企業数が激減するような状況にならないよう、事業承継の推進が必要とされています。
中小企業の事業承継問題は一企業の課題のみならず、福島県復興の鍵となるテーマとなっています。
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