M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年9月13日更新都道府県別M&A
群馬県の事業承継・M&Aの現状!案件例や公的支援も紹介
本記事では、群馬県の事業承継・M&Aの現状から代表的な公的機関の紹介などを掲載しています。群馬県の事業承継とM&Aの関連性について詳しく紹介しています。群馬県でM&Aを検討している方は必見です。
目次
群馬県の経済状況
群馬県の主な経済状況をまとめました。
- 人口(R1.10.1):1,942,456人(全国18位)
- 面積:6,362.28K㎡(全国21位)
- 1人当たり県民所得(H29年度):332万円(全国5位)
- 県内総生産(H29年度):8兆9,704億円(全国17位)
「卸売・小売業」「保健衛生・社会事業」「宿泊・飲食サービス業」「農林水産業」などの労働集約型の産業は、労働生産性が低い傾向があります。一方で、「製造業」や「建設業」では労働生産性が向上しているものの、その他の業種については生産性に大きな変化がなく、ほぼ横ばいで推移しています。
参考:群馬県「【分析編】本県経済の現状と課題」
群馬県の事業承継・M&Aの現状
群馬県の事業承継・M&Aの現状を2つのトピックに分けて解説します。
群馬県企業の休廃業件数
2023年における休廃業・解散件数は977件で、前年に比べて17.3%増加し、「あきらめ廃業」が広がりつつある兆しが見られます。黒字のまま休廃業を行った企業の割合は前年より5.4ポイント増加し、全体の53.7%に達しました。また、資産が負債を上回る「資産超過」の休廃業も増加傾向にあります。
経営者の年齢別では、70代が45.0%で最も多くを占めています。群馬県を含む43都道府県で休廃業・解散が前年から増加しており、群馬県では17.3%の増加率となっています。
業種別では全ての業種で増加が見られ、「建設業」が最も多い結果となりました。市郡別では、前橋市が195件で最多となり、高崎市(188件)と太田市(103件)がそれに続いています。
群馬県企業の後継者不在率
群馬県企業の休廃業の理由の一つに、後継者不在問題が挙げられます。
群馬県では後継者不在率が過去最低の53.9%となり、前年から3.3ポイント減少するなど、後継者問題の改善が続いています。事業承継が課題となる「適齢期」の60代経営者における後継者不在率は40%を下回り、都道府県ごとの改善状況に差が見られるものの、全体的に改善傾向にあります。
事業承継の方法では、「内部昇格」が35.5%で初めてトップとなり、「脱ファミリー化」が進行しています。後継者候補としては「親族」や「非同族」の割合が拡大し、親族内での「ファミリー」承継は減少傾向が続いています。
群馬県近郊の事業承継・M&A案件一覧
弊社M&A総合研究所が取り扱っている群馬県近郊の事業承継・M&A案件一覧をご紹介します。
【株価1円】首都圏で複数店舗を展開するクリーニング事業者
ホテルランドリ―事業への参入により、進行期の業績も好調に推移しています。多様な消費者ニーズに対応するため、最新の設備と高い技術力を保有しているのも強みです。
エリア | 関東・甲信越 |
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡希望額 | 株価1円+役員借入金5,000万円の返済 (応相談) |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
【首都圏】高収益の留学支援業
独自で販路拡大を実施しており、高い収益率を確立しています。豊富な海外の提携先とコネクションがあり、自由度の高い支援が可能です。
エリア | 東京都 |
売上高 | 5000万円〜1億円 |
譲渡希望額 | 2.5億円〜5億円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
【中国輸入/取引基盤強固】女性靴の企画、中国輸入卸売業
トレンドを取り入れ、リーズナブルなプライスで販売しています。20代をターゲットに豊富なデザイン性とカラーバリエーションで展開しているのが特徴です。
エリア | 関東・甲信越 |
売上高 | 10億円〜25億円 |
譲渡希望額 | 2.5億円〜5億円 |
譲渡理由 | 事業の選択と集中 |
群馬県の事業承継・M&A事例
群馬県の事業承継・M&A事例をピックアップしてご紹介します。
エム・シー・ヘルスケアHDによるフリールの事業承継・M&A
エム・シー・ヘルスケアホールディングス(東京都港区)は、2024年4月15日付でオリックス(8591)および少数株主が保有するフリール(群馬県高崎市)の全株式を取得し、同社を完全子会社化しました。
背景として、エム・シー・ヘルスケアグループは病院経営を支援するパートナーとして、社会貢献や持続的成長を重視し、医療機関や患者、医療従事者に幅広く貢献する事業を展開しています。グループ事業の多角化を進め、2022年4月には持株会社体制に移行し、さらなる事業拡大を目指しています。
一方、フリールは、医療機器の車載型レンタル事業を先駆けて行い、CTやMRIを搭載した車両のレンタルや巡回サービスを提供しています。このような事業内容が、エム・シー・ヘルスケアグループの医療機関や検診機関向けの営業・機器調達力と相乗効果を発揮できると判断され、今回の買収に至りました。
今後は、この事業のさらなる成長を図り、地域医療の充実や効率化を推進するとともに、CTやMRIを活用した検診の機会を広げ、地域医療の課題解決や持続可能な医療体制の構築に貢献していく計画です。
アクセンチュアによるクライムの事業承継・M&A
2024年4月8日、アクセンチュア(東京都港区)は、群馬県前橋市に本社を構え、システム開発やITインフラの保守・運用まで幅広く手掛けるクライムを買収することで合意したと発表しました。取引条件は非公開です。
アクセンチュアは、戦略・コンサルティング、テクノロジー、オペレーションズ、インダストリーX、ソングの5つの領域で、多岐にわたるサービスを提供するグローバル企業です。
クライムは1989年の創業以来、前橋を拠点に、金融機関や製造業、通信事業者、行政機関向けに、勘定系・基幹系システムの開発からITインフラの保守・運用まで、高度な技術力を提供してきました。
今回の買収の背景には、アクセンチュアがクライムの35年間にわたる豊富なIT技術と経験を取り込み、これをグローバルな顧客基盤に活用する狙いがあります。
特に、金融機関や行政機関におけるレガシーシステムからの脱却を推進し、デジタル・トランスフォーメーション(DX)を加速させるため、クライムの専門知識が大きく寄与すると期待されています。また、クライムが展開してきた事業にアクセンチュアのノウハウを融合させることで、さらなる成長と地元ICT産業の活性化も目指します。
さらに、クライムが擁するクラウドやセキュリティ技術、アプリケーションマネジメントサービス(AMS)に精通した約200名のエンジニアを含む約230名の社員は、今後アクセンチュアテクノロジーに加わることになります。
円谷フィールズHDによるソフィアの事業承継・M&A
2024年3月25日、円谷フィールズホールディングスは取締役会で、群馬県桐生市に本社を置くソフィアの株式を取得することを決議しました。
円谷フィールズホールディングスは、パチンコ・パチスロ機の開発・販売を主力事業とし、傘下の円谷プロダクションでは映像制作や版権ビジネスも展開しています。一方、ソフィアは、パチンコ遊技機およびホール関連機器の部品販売やメンテナンスを手掛ける企業です。
株式取得の背景には、1951年創業の歴史を持つソフィアが、遊技機業界の急速な変化に対応しながら事業を進めてきたことがあります。過去10年以上にわたり、業界の規則改正や新たな遊技システムの登場、さらにはコロナ禍の影響を受け、グループ内での選択と集中を進めてきました。
ソフィアは、パチンコホール向けの島設備を提供するトップ企業であるエース電研を中心に、プラスチック成型や電子部品製造を行う3つの子会社を有しています。同社が進める事業改革の中で、円谷フィールズホールディングスは協業の提案を受け、長期的なシナジーを見据えた協議を重ね、今回の株式取得に至りました。
現在、遊技機業界ではスマート遊技機の導入により、ホールの空間設計が進化しつつあり、パチンコホール自体も地域社会への貢献を求められる時代となっています。円谷フィールズホールディングスは、パチンコを最高のレジャー体験に昇華させるためには、遊技空間の革新が必要だと考え、ソフィアグループとの協業による相乗効果を期待して株式取得を決定しました。
今後、ソフィアグループの長い歴史で培われた価値を受け継ぎながら、未来に向けた柔軟な変革を続け、ファンに愛されるエンタテインメントを提供し、遊技機業界のさらなる発展に貢献していく方針です。
事業承継・M&A時におすすめの相談先
群馬県での事業承継・M&A時におすすめの相談先を3つご紹介します。
金融機関
近年、金融機関がM&A支援に特化した専任部署を設けるケースが増えています。特に、投資銀行や大手銀行がファイナンシャルアドバイザー(FA)として、M&Aのプロセスで重要な役割を担うことが多く見受けられます。
M&Aを進める上で、金融機関は欠かせない存在です。特に、買収側にとっては資金調達を行う際に金融機関との協議が必須であり、通常、既存の取引関係がある銀行が最初に相談されることが一般的です。
金融機関に相談するメリットは、資金調達に関する専門的なアドバイスを得られる点です。例えば、事業承継で親族や従業員が後継者となる場合でも、株式取得に必要な資金のサポートが金融機関から得られることが大きな利点です。
さらに、金融機関の中にはM&Aに特化した部署を設置しているところや、他の専門家と連携している場合もあり、必要に応じて適切な専門家を紹介してもらえることもあります。
しかし、大手金融機関は主に大規模なM&A案件に焦点を当てる傾向があり、中小規模の案件には対応しないことがあります。また、これらの金融機関は仲介ではなくアドバイザリー形式を採用することが多いため、報酬が高額になりがちなのもデメリットといえます。
公的機関
近年、公的機関でも事業承継やM&Aに関する相談が可能となっています。例えば、事業承継・引継ぎ支援センターは、中小企業の後継者問題を解決するための公的な窓口として設置されています。
このセンターでは、事業承継やM&Aに関する情報提供やアドバイスを行うだけでなく、企業間のマッチングサービスも提供しています。2021年4月に設立され、全国に拠点があるため、専門家が無料で相談に応じ、中小企業の事業承継に積極的に取り組んでいます。
全国47都道府県に相談窓口が設置されており、地方企業でも簡単に利用できる点が大きな利点です。国の運営であるため、相談は無料で、公平で中立なアドバイスを受けることができます。また、必要に応じてM&A仲介会社や各分野の専門家を紹介してもらうことも可能で、個人事業主の事業承継にも対応しています。
ただし、公的機関であるため、対応に時間がかかることがある点や、民間のM&A仲介会社に比べて実績やサービス内容で劣る場合があることがデメリットといえます。
M&A仲介会社
M&A仲介会社は、企業の買収や売却を専門的にサポートする企業で、売り手と買い手双方の利益を考慮しながら交渉を進める役割を担います。これらの会社は、初期段階の相談から相手企業の選定、スケジュール管理、企業価値の評価(バリュエーション)、そして必要書類の作成に至るまで、M&Aの全プロセスを包括的に支援します。
仲介会社の役割は、売り手と買い手の希望や条件を調整し、双方が納得できる最適な条件を導き出すことで、スムーズなM&Aを実現することにあります。
最大の利点は、多数の候補企業の中から最適な相手を選び出す点です。これにより、売り手と買い手が満足できる取引が成立しやすくなります。
さらに、M&A初心者でも安心して進められるように、仲介会社は一貫したサポートを提供し、具体的なアドバイスや円滑なコミュニケーションを通じて成功率を高めます。
ただし、仲介会社によっては着手金や中間金が発生することがあり、コスト負担が懸念される場合があります。コストを抑えたい場合には、成功報酬制を採用している会社を選ぶことが一つの方法となります。
群馬県の事業承継・M&Aに関する公的支援2選
群馬県で事業承継・M&Aを公的に支援する代表的な機関を紹介します。
- 群馬県事業承継・引継ぎ支援センター
- 群馬県信用保証協会
①群馬県事業承継・引継ぎ支援センター
群馬県事業承継・引継ぎ支援センターは、政府(中小企業庁)の委託事業として設置されている、群馬県の中小企業の事業承継を支援するための公的機関です。従来の群馬県事業引継ぎ支援センターと群馬県事業承継ネットワークが、2021年4月に統合されました。
親族内承継・社内承継における支援場合は、事業承継計画策定や後継者教育へのアドバイス、事業承継の各種手続きに関してなどです。
後継者不在の場合には、群馬県後継者バンクによる支援やM&A仲介会社を紹介し、M&Aによる事業承継の側面援助が受けられます。
群馬県後継者バンクは、中小企業の後継者として事業承継し創業・起業を希望する人材が登録されており、この創業・起業希望者と後継者不在の中小企業のマッチングを行い事業承継の実現を目指す仕組みです。
なお、群馬県事業承継・引継ぎ支援センターは、公益財団法人群馬県産業支援機構が運営しています。
②群馬県信用保証協会
群馬県信用保証協会は、信用保証協会法に基づき設立した公的保証機関です。信用保証の業務を実施し、中小企業経営者の資金調達時の保証人となって、経営の安定と発展のサポートを行います。群馬県信用保証協会の行動指針は下記のとおりです。
- 地域経済への貢献
- 質の高い保証サービス
- 健全な業務運営
信用保証業務以外にも、経営相談や創業相談などとともに事業承継相談も受けつけています。群馬県内に本部と3つの支店があるので、最寄りの場所で事業承継・M&Aの相談が可能です。
群馬県の事業承継・M&Aまとめ
群馬県の中小企業の後継者不在率は高く、今のままでは廃業する会社が後を絶たない状況となりかねません。そうなっては、群馬県の経済や社会に悪影響を及ぼすのは必至です。これを打破する手段として、近年はM&Aによる事業承継が国や自治体からも勧められています。
しかし、多くの中小企業にとってM&Aは未経験のものです。そこで、M&Aに不慣れな場合は、M&Aの専門家であるM&A仲介会社のサポートを受けることが、M&Aによる事業承継を進める際の得策といえるでしょう。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。