長野県のM&A・事業承継の現状は？成功のポイントや相談先を専門家が解説

長野県では、全国と同様に多くの中小企業が後継者不在という深刻な課題に直面しています。帝国データバンクの「全国企業「後継者不在率」動向調査（2023年）」によると、長野県の後継者不在率は58.7%にのぼり、全国平均の57.2%を上回る水準です。

また、同社の「全国社長年齢調査（2023年）」によれば、長野県内の経営者の平均年齢は60.9歳となっており、経営者の高齢化も事業承継を急務とする要因の一つです。

このような状況下で、多くの経営者が事業承継を重要な経営課題と認識している一方で、具体的な準備に着手できていないケースが少なくありません。準備が進まない主な理由として「後継者が決まっていない」ことが挙げられ、親族や社内に適任者が見つからず、廃業を選択せざるを得ない企業も存在します。

この課題の解決策として、第三者への承継、すなわちM&Aへの注目が年々高まっています。2023年の長野県内企業のM&A件数は39件（レコフデータ調べ）と、活発な動きが見られます。M&Aは、後継者問題を解決するだけでなく、企業の成長戦略としても有効な選択肢となっています。

事業承継は一朝一夕には実現できません。一般的に準備から実行まで5〜10年かかるといわれており、計画的な準備が成功の鍵を握ります。ここでは、事業承継を円滑に進めるための基本的な5つのステップを解説します。

**ステップ1：事業承継の必要性の認識と準備開始**
まずは経営者自身が事業承継の重要性を認識し、早期に準備を始めることが大切です。一般的には、経営者が60歳を迎える頃が準備開始の一つの目安とされています。何から手をつければよいか分からない場合は、中小企業庁の事業承継ガイドラインを参考にしたり、専門家へ相談したりすることから始めましょう。

**ステップ2：現状把握（会社の見える化）**
次に、会社の経営状況や課題を客観的に把握します。これを「会社の見える化」と呼びます。財務状況や事業用資産はもちろん、経営理念、技術・ノウハウ、特許、取引先との人脈といった目に見えない「知的資産」まで、会社の強みと弱みを徹底的に洗い出します。

**ステップ3：企業価値向上（会社の磨き上げ）**
「見える化」によって明らかになった課題を改善し、企業価値を高める取り組みが「会社の磨き上げ」です。具体的には、業績改善、不採算事業の見直し、魅力的な商品・サービスの開発、人材育成、コンプライアンス体制の強化などが挙げられます。このステップは、より良い条件で後継者や譲渡先を見つけるために不可欠です。

**ステップ4：事業承継計画の策定**
誰に、いつ、どのように会社を引き継ぐのかを具体的に定めた「事業承継計画書」を作成します。親族内承継、従業員承継、M&Aといった承継方法の中から自社に最適なものを選び、後継者の教育計画、株式や資産の移転方法、資金計画などを詳細に盛り込みます。

**ステップ5：事業承継の実行とアフターフォロー**
策定した計画に基づき、株式譲渡や経営権の移譲などを実行します。承継が完了した後も、旧経営者はすぐに引退するのではなく、一定期間は後継者をサポートし、経営の安定化や取引先への引き継ぎを円滑に行うことが望ましいでしょう。
 

事業承継の方法は、親族に承継する親族内承継と従業員や会社役員に承継する従業員承継（親族外承継）のほかに、第三者にM&Aをする方法があります。

親族内承継は、現経営者の子供や兄弟、配偶者などの親族を後継者とする方法で、従業員や取引先、取引金融機関にも理解されやすい事業承継のやり方です。 しかし、親族の中に適任の後継者がいるとは限らないので、現経営者が親族内承継を望んでも叶わない場合もあります。

また、親族内承継の場合は現経営者との血縁関係があるので、贈与や相続と言った面から見ても、贈与税と相続税の対策をすればやりやすいと言えます。 後継者が親族である場合は、ほかの親族の理解もなければ難しくなることもあります。

経営者の子供が1人ではなく、複数いる場合などに後継者だけに財産が行くように思われることもあり、ほかの親族にも配慮しておく必要があります。 後継者とした現経営者の子供についても、しっかりと事業を承継することを理解させて、教育をする必要があります。

経営者としての教育は、社内教育と社外教育があり、社内教育では自社の社員として迎え入れて、事業内容や経営理念、方針などを教育して経営者としての資質を高めるようにします。

社外教育は、同業種の会社に入社させて業界での仕事の仕方なども学ばせて、一定期間社外教育をしてから自社に迎え入れる方法です。 いずれの方法でも後継者としての教育は十分にできるでしょう。

従業員承継は、親族外承継とも言います。 自社の従業員や役員の中から内部昇格と言う形で承継することが多いようです。 親族内承継を望んでも、適任の後継者がいない場合に会社の従業員の中から適任の後継者を選定して、後継者候補とします。

もともと社内で仕事をしていたので、会社の理念や方針、事業内容は十分に理解しているので、あとは経営者としての資質を向上させることがポイントなります。

従業員承継で大きな課題となるのが、後継者による株式の買取資金です。中小企業では経営者が自社株の大半を保有しているため、後継者は経営権の取得に必要な株式を買い取る資金を準備しなければなりません。

資金調達の方法としては、金融機関からの融資が一般的ですが、そのほかにも、経営者保証を不要とする制度の活用や、国の事業承継・引継ぎ補助金などを活用できる場合があります。専門家と相談しながら、最適な資金計画を立てることが重要です。


また、後継者を従業員や役員の中から選ぶことで、現経営者の親族から不満が出るなどの懸念材料があります。従業員や役員の中から後継者を選ぶことを親族にも十分に理解するように話をしておく必要があります。

次に、M&Aによる事業承継は、会社を売却して新たな経営者を迎えることになります。 M&Aは、買収した会社の子会社となる方法や株式譲渡によって経営者が交代する方法があり、そのほかにも事業だけを譲渡して株式は現経営者が保有し続ける方法もあります。

M&Aを活用した事業承継は、親族や社内に後継者が見つからない場合の有力な解決策として、近年国も積極的に推進しています。中小企業の後継者不足は全国的な課題であり、長野県も例外ではありません。従来であれば廃業を選択せざるを得なかった企業が、M&Aによって事業の存続と成長を実現するケースが増えています。

M&Aによる事業承継には、以下のようなメリットがあります。

• 後継者問題の解決:親族や従業員に頼らず、外部から最適な後継者を見つけられます。
• 事業の存続と従業員の雇用維持：大切に育ててきた事業と従業員の雇用を守れます。
• 創業者利益の獲得：経営者は会社を譲渡することで、引退後の生活資金となる創業者利益を得られます。
• 企業の成長：譲受企業の資金力やネットワークを活用し、自社だけでは難しかった新たな成長が期待できます。

事業承継、特にM&Aを成功させるためには、高度な専門知識と豊富な経験が不可欠です。自社だけで手続きを進めるのは困難なため、信頼できる専門機関に相談することが成功への第一歩となります。
 

長野県事業承継・引継ぎ支援センターは、国が設置する公的な相談窓口です。中小企業の事業承継に関するあらゆる相談に無料で対応しており、専門家によるアドバイスや、M&Aのマッチング支援（後継者バンク）などを行っています。中立的な立場で幅広い情報を提供してくれるため、最初に相談する場所として最適です。

地元の銀行や信用金庫も、事業承継の有力な相談先です。特に、八十二銀行や長野銀行、県内の各信用金庫などは、地域経済に精通しており、取引先企業の中からM&Aの相手候補を紹介してくれることがあります。普段から付き合いのある金融機関であれば、自社の状況をよく理解してくれているという安心感もあります。

M&A仲介会社やFA（ファイナンシャル・アドバイザー）は、M&Aに特化した専門家集団です。全国規模のネットワークを活かした豊富なマッチング実績があり、複雑な交渉や手続きをワンストップでサポートしてくれます。手数料は発生しますが、企業価値を最大化し、より良い条件での成約を目指す場合は、非常に頼りになる存在です。長野県内に拠点を置く専門会社や、地域に特化したアドバイザーも増えています。

長野県での事業承継の相談先にお困りでしたら、一度、M&A総合研究所にご連絡ください。M&A総合研究所は、全国の中小・中堅規模のM&A案件を取り扱っており、長野県の事業承継支援も行っています。

M&A・事業承継支援に豊富な実績を持つアドバイザーが多数在籍し、相談時からクロージングまで丁寧なサポートがモットーです。料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」となっています（※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります）。

随時、無料相談をお受けしておりますので、長野県でM&A・事業承継をご検討の際は、お電話・Webよりお気軽にお問い合わせください。
 

長野県では、中小企業の高齢化が顕著に表れており、廃業を選択する会社も目立ちます。 このまま中小企業の廃業が増加していくと、長野県内の経済にも影響を与える可能性があるでしょう。

そのような中で、中小企業に経営者は会社が順調で黒字であるなら、事業承継の方法を親族内承継だけでなく、親族外承継やM&Aを視野に入れて検討すべき時期が来ているといってよいでしょう。

国も、中小企業の事業承継は今後の経済にも影響があるものと考えており、事業承継を成功させることが重要としています。 後継者がいない場合は、親族外承継またはM&Aを選択するなどの方法があります。