2024年9月8日更新都道府県別M&A

埼玉県の事業承継・M&A案件!事業承継・引継ぎ支援センターの取組も解説

埼玉県の事業承継・M&A案件を紹介します。埼玉県でも事業承継問題は深刻化しています。国が実施する事業承継の支援政策や、埼玉県独自の公的な事業承継支援事業が開始しています。M&A仲介会社の活用も含め埼玉県の事業承継問題の好転が期待されます。

目次
  1. 埼玉県の事業承継・M&Aの動向
  2. 埼玉県近郊の事業承継・M&A案件一覧
  3. 埼玉県の事業承継・M&A事例
  4. 事業承継・M&A時におすすめの相談先
  5. 埼玉県の公的事業承継支援
  6. 埼玉県の事業承継・M&Aまとめ

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埼玉県の事業承継・M&Aの動向

埼玉県の事業承継・M&Aの動向を2つのトピックに分けて解説します。

埼玉県企業の後継者不在率

埼玉県における後継者不在率は58.4%と過去最低を記録し、7年連続で減少しています。年齢別では、80代以上の後継者不在率が24.5%と最も低くなっています。都道府県別では、埼玉県が17位に位置しています。

後継者の就任経緯では、「同族承継」が41.0%で最も多く、「内部昇格」が35.2%でそれに迫っています。後継者候補に関しては、M&Aなどを利用した「非同族承継」の割合が拡大し、親族による「ファミリー承継」は減少傾向にあります。

参考:帝国データバンク「埼玉県企業「後継者不在率」動向調査(2023年)」

埼玉県企業の休廃業件数

後継者不在の問題は、企業の休廃業を招いています。埼玉県における2023年の休廃業・解散件数は前年比9.2%増の2,730件となりました。そのうち、黒字のまま休廃業や解散を行った企業は47.3%と、全体のほぼ半数に達しています。

休廃業・解散した企業の経営者の平均年齢は72.5歳で、高齢化が引き続き進んでいることが明らかです。業種別では「建設業」が最も多く、次いで「サービス業」や「製造業」が続いています。

埼玉県における休廃業・解散の割合は全国的に見ても高く、4番目に位置しています。

参考:帝国データバンク「埼玉県「休廃業・解散」動向調査(2023)」

埼玉県近郊の事業承継・M&A案件一覧

弊社M&A総合研究所が取り扱っている埼玉県近郊の事業承継・M&A案件一覧をご紹介します。

【不動産M&A】埼玉県・最寄駅徒歩3分のテナント

最寄り駅から徒歩3分の好立地かつ広い駐車場スペースがあり、集客率が高いです。テナント2店舗の売上げが全国他店舗と比較しても高く、家賃の増額交渉を検討中です。

エリア 埼玉県
売上高 1000万円〜5000万円
譲渡希望額 4億円(応相談)
譲渡理由 資金調達

【不動産M&A】埼玉県・最寄駅徒歩3分のテナント(住宅・不動産・建設) | M&A総合研究所

【実質無借金経営・首都圏】動物病院運営

金融機関借入は0円であり、実質無借金経営です。最寄駅から徒歩5分以内、国道沿いと好立地かつ、駐車場3台完備しています。

エリア 関東・甲信越
売上高 5000万円〜1億円
譲渡希望額 1000万円〜5000万円
譲渡理由 後継者不在(事業承継)

【実質無借金経営・首都圏】動物病院運営(医療・介護) | M&A総合研究所

【黒字経営/首都圏×住宅向けサッシ工事業】

地域に根差したガラスサッシ店であり、当地区において、作業員が在籍し確保されている為、大規模ガラス等、組立・加工・運搬設置工事が可能です。東京都内もカバーできるため、顧客の幅広い要望に応える事が可能です。

エリア 埼玉県
売上高 1億円〜2.5億円
譲渡希望額 5000万円〜1億円
譲渡理由 後継者不在(事業承継)

【黒字経営/首都圏×住宅向けサッシ工事業】(住宅・不動産・建設) | M&A総合研究所

埼玉県の事業承継・M&A事例

埼玉県の事業承継・M&A事例をピックアップしてご紹介します。

WOLVES HANDによるそよかぜの事業承継・MA&

2024年8月8日、WOLVES HANDは、埼玉県さいたま市に本社を置くそよかぜの株式を取得し、子会社化することを発表しました。

WOLVES HANDは、関西、関東、九州、沖縄エリアで動物病院を展開している企業です。一方、そよかぜは埼玉県さいたま市の与野エリアにて、「そよかぜ動物病院」というブランド名で3つの動物病院(与野駅前院、南与野院、北与野院)を運営しています。

今回のM&Aの目的は、そよかぜの埼玉県における強固な基盤を活用して、WOLVES HANDが北関東エリアへの展開を加速させることにあります。さらに、同社が運営する関東エリアの他の動物病院との連携を強化し、グループ全体の成長を目指します。

株式会社そよかぜの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

TFYによるファーマーズトラストの事業承継・M&A

2024年8月5日、TFY(埼玉県深谷市)は、ファーマーズトラスト(同市)の全株式を取得し、同社を完全子会社化しました。
TFYは、原材料の卸売やカットねぎの卸売、さらにはアジアJMD事業を手掛けています。一方、ファーマーズトラストは、ねぎのパッケージング事業、ねぎの生産および栽培、さらに栽培委託事業を展開しています。

本件M&Aの目的は、日本の農業および自社事業の成長にあります。

株式会社TFYの100%子会社となりました

エスライングループ本社による拓進物流の事業承継・M&A

2024年7月26日、株式会社エスライングループ本社(9078)は、株式会社拓進物流(埼玉県三郷市)の全株式を取得し、子会社化することを決定しました。この内容に基づく株式譲渡契約も締結されています。

エスライングループ本社は、純粋持株会社として機能し、20の特色あるグループ企業を傘下に抱え、輸送サービスや物流サービス、ホームサービス事業を含む多岐にわたる事業を展開しています。

拓進物流は、埼玉県三郷市を拠点に、関東エリアの量販店や専門店向けに、商品保管やピッキング、荷作り梱包といった物流サービスを一貫して提供しています。

今回のM&Aの目的は、エスライングループが展開する配送ネットワークと、拓進物流の保管・物流業務を連携させることで、付加価値の高いサービスを顧客に提供することです。また、経営資源や情報システムを共有し、業務の効率化と生産性の向上を目指すことも狙いとしています。

「株式会社 拓進物流」の株式取得に関するお知らせ
【関連】埼玉のM&Aの動向を徹底解説!産業構造や事例・成功するためのポイントは?

事業承継・M&A時におすすめの相談先

埼玉県での事業承継・M&A時におすすめの相談先を3つご紹介します。

金融機関

最近では、金融機関がM&A支援に特化した専任部署を設けるケースが増えています。特に、投資銀行や大手銀行がファイナンシャルアドバイザー(FA)として、企業買収や売却の際に重要な役割を果たすことが多くなっています。

M&Aを進める上で、金融機関は重要なパートナーです。特に買収側では、資金調達のために金融機関との協議が欠かせず、通常は既存の取引がある銀行が最初の相談先となるのが一般的です。

金融機関を利用する大きなメリットは、資金調達に関する専門的なアドバイスを受けられる点です。例えば、事業承継の際に親族や従業員が後継者となる場合でも、株式取得に必要な資金の調達をサポートしてくれることが非常に有効です。

さらに、金融機関の中にはM&Aに特化した部署を設置し、他の専門家とも連携して適切なアドバイザーを紹介してもらえるケースもあります。

ただし、大手金融機関は主に大規模なM&A案件に対応する傾向があり、中小規模の案件には対応しないことがあります。また、多くの金融機関は仲介ではなくアドバイザリー形式を採用しているため、手数料が高くなる場合があり、これがデメリットとして挙げられます。

公的機関

近年、公的機関でも事業承継やM&Aに関する相談が可能になってきています。例えば、事業承継・引継ぎ支援センターは、中小企業の後継者問題を解決するために設置された公的な相談窓口です。

このセンターでは、事業承継やM&Aに関する情報提供やアドバイスを行うだけでなく、企業同士のマッチングサービスも提供しています。2021年4月に設立され、全国の支援センターで専門家が無料で相談に応じ、中小企業の事業承継問題に対応しています。

全国47都道府県に相談窓口が設置されており、地方の企業でも簡単に利用できることが大きな利点です。また、国が運営しているため、相談は無料で受けられ、公平で中立的なアドバイスが得られます。さらに、必要に応じてM&A仲介会社や各種専門家の紹介も可能で、個人事業主の事業承継にも対応しています。

ただし、公的機関であるため、対応に時間がかかる場合があり、民間のM&A仲介会社に比べるとサポート体制やサービス内容で劣ることがデメリットとなる可能性があります。

M&A仲介会社

M&A仲介会社は、企業の買収や売却を専門的にサポートし、売り手と買い手の双方と契約を結んで、双方の利益を考慮しながら交渉を進めていく企業です。これらの仲介会社は、初期相談から相手企業の選定、スケジュール管理、企業価値の評価(バリュエーション)、必要な書類作成まで、M&A全体のプロセスをトータルに支援します。

仲介会社の役割は、売り手と買い手の希望や条件を調整し、両者が合意できる最適なポイントを見つけ出して、スムーズにM&Aを進めることです。

仲介会社の大きなメリットは、多数の候補企業から最適な相手を見つけ出せる点です。これにより、売り手と買い手の双方が満足できるM&Aが実現しやすくなります。

さらに、M&Aに不慣れな企業でも安心して進められるよう、仲介会社は継続的にサポートを提供し、具体的なアドバイスや円滑なコミュニケーションを通じて成功率を高めることができます。

ただし、仲介会社によっては、着手金や中間金が発生する場合があり、コスト負担が問題になることもあります。コストを抑えたい場合は、成功報酬制を採用している企業を選ぶことが有効です。

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【関連】東京都の事業承継とは?M&A案件例や事業承継・引継ぎ支援センターの取り組みも解説

埼玉県の公的事業承継支援

中小企業庁は、全国の都道府県ごとに「事業承継ネットワーク」体制が構築されるように、まず、その中核組織として「事業承継・引継ぎ支援センター」設置を進めました。埼玉県の事業承継・引継ぎ支援センターは、2016(平成28)年1月29日に開所されています。

この事業承継ネットワークの内実、事業承継・引継ぎ支援センターやそれ以外の公的機関による事業承継支援の内容について、具体的に見てみましょう。

埼玉県事業承継ネットワーク

埼玉県では事業引継ぎ支援センターでの諸準備後、2018(平成30)年7月30日に第1回事業承継ネットワーク全体会議が開催され活動開始になりました。埼玉県事業承継ネットワークを構成する各団体・組織を以下に列挙します。

【商工団体】

  • 埼玉県商工会議所連合会、および埼玉県内各地区19の商工会議所
  • 埼玉県商工会連合会、および埼玉県内各地区53の商工会

【金融機関】

  • 埼玉りそな銀行
  • 武蔵野銀行
  • 青木信用金庫
  • 川口信用金庫
  • 埼玉縣信用金庫
  • 飯能信用金庫
  • 商工組合中央金庫
  • 日本政策金融公庫
  • 埼玉県信用保証協会

【士業団体】

  • 関東信越税理士会埼玉県支部連合会
  • 日本公認会計士協会埼玉会
  • 一般社団法人埼玉県中小企業診断協会
  • 埼玉弁護士会
  • 埼玉県社会保険労務士会
  • 埼玉司法書士会
  • 埼玉県行政書士会

【公的支援機関】

  • 埼玉県事業承継・引継ぎ支援センター
  • 埼玉県産業振興公社
  • 埼玉県よろず支援拠点
  • 埼玉県プロフェッショナル人材戦略拠点
  • 中小企業基盤整備機構
  • 埼玉県中小企業団体中央会
  • 公益財団法人さいたま市産業創造財団

【行政機関】

  • 埼玉県
  • 関東経済産業局
  • 関東財務局

埼玉県事業承継ネットワーク運営における中核組織は埼玉県事業引継ぎ支援センターですが、埼玉県事業承継ネットワークの事務局はさいたま商工会議所内に設置されています。

埼玉県事業承継・引継ぎ支援センター

埼玉県事業承継ネットワークを構成するいずれの団体・組織でも、中小企業からの事業承継相談を受け付けています。その情報は埼玉県事業承継・引継ぎ支援センターに集約され、事業承継の相談内容に応じて、最も適するネットワーク内の団体・組織と具体的対策を講じられるよう調整します。

埼玉県事業承継・引継ぎ支援センターでは秘密厳守で無料相談を実施していますが、仮にM&Aによる事業承継が具体的に進む段階で、その諸手続き業務を各士業事務所に依頼するような場合は費用が発生します。

また、埼玉県事業承継・引継ぎ支援センターが行う事業承継無料相談の段階では、アドバイスとともにM&Aのマッチング(M&Aの相手紹介)やM&A仲介会社の紹介も行われます。なお、日経新聞の報道によると、埼玉県事業引継ぎ支援センターの開所後2年間に相談を受け成立した事業承継は16件です。

事業承継協会埼玉支部

一般社団法人事業承継協会埼玉支部も、独自に中小企業の事業承継支援を行っています。各士業の有資格者メンバーで構成されている事業承継協会埼玉支部の特徴は、中小企業の事業承継支援を行うだけではなく、事業承継の後継者候補になれる人物の育成も行っていることです。

埼玉県宅地建物取引業協会

公益社団法人埼玉県宅地建物取引業協会は、基本的には埼玉県における不動産業の健全な発展に帰依し地域社会に貢献することが主業です。埼玉県宅地建物取引業協会では、その事業目的の一環として、会員向けの「ハトマーク事業承継相談・支援システム」を行っています。

ハトマークとは、ハトがデザインされた埼玉県宅地建物取引業協会のシンボルマークです。埼玉県宅地建物取引業協会に加入している不動産業の会員には、このステッカーが貼られています。

事業承継特別保証制度

事業承継特別保証制度は埼玉県独自のものではなく、信用保証協会が事業承継の際に後継者の負担を軽減する目的で新たに導入を決めた制度です。後継者が事業承継時に融資を受ける場合、従来であれば求められていた個人保証が免除されます。

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埼玉県の事業承継・M&Aまとめ

首都圏に位置し周辺に膨大な会社数がある埼玉県は、他の地域に比べM&Aは成立しやすい地域です。廃業とM&Aによる事業承継を手続き面で比較すれば、廃業の方が格段に簡単でしょう。しかし、M&Aによる事業承継であれば会社売却による現金を獲得できます。

リタイア後の生活資金を得られることは大きなメリットです。その点も含め、後継者がいない場合の事業承継についてM&Aによる実行を検討してみてください。

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