2024年4月12日更新業種別M&A

建設業の売却額の算出方法は?売却方法や相場・価額の上げ方を解説!

建設業において、売却額を引き上げるためには、自社の強みをアピールし、リスクを軽減したうえで、さまざまなポイントに配慮しながら交渉を進めていく必要があります。そこで、今回は、建設業の売却額をはじめ、売却における注意点まで詳しく説明していきます。

目次
  1. 建設業の売却額・売却相場とは
  2. 建設業の売却方法
  3. 建設会社の売却額の算出方法
  4. 建設業における売却額の相場
  5. 建設業の売却額を引き上げるためのポイント
  6. 建設業における売却の注意点
  7. 建設業の売却はM&A仲介会社に相談
  8. 建設業の売却額・売却相場まとめ

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建設業の売却額・売却相場とは

M&Aを実施する際、売り手は理想的な売却額で会社売却を実施したいと考えるでしょう。しかし、売却額を引き上げることは決して簡単ではありません。経営者が売却する会社の強みを有効的にアピールすることはもちろん、リスクの軽減や交渉の進め方など、さまざまな要素に配慮する必要があります。

そのため、方法を間違えると、売却額を引き上げることが難しくなってしまいます。そこで、今回は、建設業のM&Aにおける売却額の引き上げ方についてお伝えします。

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建設業の売却方法

建設業を売却する際にはどのような方法があるのでしょうか。会社売却の方法は大きく分けて、以下の3つがあります。

  1. 株式譲渡
  2. 合併
  3. 事業譲渡

①株式譲渡

M&Aにおいて最も一般的に使用されている方法が株式譲渡です。株式譲渡は、売り手側企業の株式を譲渡することで、経営権を買い手に渡すという方法をさします。実質的に株式の売買を実施するだけで、公的機関を通さずにM&Aを完了させるため、手軽でスピーディーにできる方法として多用されています。

実際にニュースで聞くM&Aも、株式譲渡を用いているケースがほとんどです。ただし、株式譲渡を実施する際には、包括的承継が発生する点に注意しなければなりません。

包括的承継とは、買い手側が、売りたいと考える会社の負債や不要な資産、訴訟を引き継ぐことをさします。そのため、買い手が引き継ぎたくないと考える負債や不要な資産があった場合でも、株式譲渡を実施すると引き継ぐことになってしまいます。

買い手にとってはこれが最大のリスクになるため、デューデリジェンスのような作業を通じてリスクを精査していきます。

また、売り手側も把握していないリスクがないようにしっかりと準備しておく必要があります。もしリスクに気づかないまま経営統合を実施してしまうと、買い手の信頼を損なってしまう可能性も否定できません。

②合併

合併は、株式譲渡と違い、売り手の会社が消滅し、完全に買い手の会社の中に組み込まれるという方法です。合併は、買い手と売り手が完全に同一化する方法であるため、意思疎通がスピーディーになりやすく、また連帯感も強まります。

合併には、吸収合併と新設があり、前者は買い手側会社が売り手側を吸収する方法で、後者は合併に参加する会社が全て新しく設立した会社に吸収される方法です。

実際に使われることが多い手法は吸収合併であり、新設合併は手間もコストもかかるためあまり使われることはありません。ただし、吸収合併であっても、手間がかかる手法であるため注意が必要です。

そもそも合併は会社が消滅する方法であるため、登記など株式譲渡にはないプロセスが発生します。また、合併も包括的承継が発生する方法であり、買い手が売り手の持つリスクを全て引き継ぐことになります。

③事業譲渡

事業だけを売却するようなM&Aであれば、事業譲渡という方法が使われます。事業譲渡は、会社ではなく事業自体を売買する方法であるため、会社の独立性が損なわれません。そのため、組織再編の一環として事業譲渡が使われることもあり、不採算事業やノンコア事業を売却する際に活用できます。

事業譲渡の最大のメリットは、買い手が契約の範囲内で承継できるものを選べるという点です。そのため、包括的承継で起こり得るトラブルが発生しにくくなっています。

ただし、事業譲渡は、非常に手間がかかる方法である点に注意しておかなければなりません。事業譲渡を実施すると、雇用契約などのさまざまな契約や事業の許認可が白紙になるため、取り直しが必要になります。

さらに、株式譲渡や合併と違い、事業譲渡は資産の売買に該当するため、消費税が発生します。そのため、税務の方法も変わってきます。また、事業譲渡は現金でしか対価を支払えないため、買い手に現金がないとできなくなる点も注意点の一つです。

事業譲渡は、会社そのものを売買する他のM&Aの方法とは異なる点が多いため、実際に事業譲渡を実施する際にはそれらを踏まえておくようにしましょう。

事業譲渡と同じような方法として会社分割という方法があります。ただ、こちらは包括的承継が発生する方法であり、会社単体でも実行できる、組織再編で使われることが多いなど、事業譲渡とは多くの違いがあります。

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建設会社の売却額の算出方法

本章では、建設会社の売却額を算出する際の方法として、3つの方法を解説します。建設会社の売却額を算出する際は、状況に応じて3つの方法を使い分けたり、組み合わせたりします。

コストアプローチ

コストアプローチとは、企業の価値を計算するための一つの方法で、企業の貸借対照表に記載された純資産を使って価値を求めます。この方法は簡単であり、よく使われますが、企業の将来性を考慮していないため、必ずしも正確ではない場合があります。しかし、企業が合併によって消滅する場合など、将来性が関係しないケースでは、この計算方法が有効です。

コストアプローチには、2つのバージョンがあります。

1つは「時価純資産法」です。これは、企業の資産と負債を現在の市場価格に基づいて評価する方法です。この方法は、資産と負債をより正確に評価できますが、詳細な情報が必要です。

もう1つは「簿価純資産法」です。これは、企業の貸借対照表に記載されている簿価(帳簿に記載された価格)をそのまま使って企業価値を求める方法です。この方法は非常に簡単で、計算が早いですが、時価純資産法よりも精度が低いとされます。

インカムアプローチ

インカムアプローチとは、企業の未来の収益や利益を基に、その価値を計算する方法です。企業の価値を評価する際に最も一般的に用いられる手法です。

この方法の大きな特長は、企業の将来性を考慮に入れられることです。しかし、未来の予測には一定の主観が入りますので、完全に正確な計算ができるわけではありません。

インカムアプローチにはいくつかのバージョンがありますが、「DCF法」と「配当還元法」がよく使われます。

DCF法は、企業の将来のフリーキャッシュフロー(利益から必要な投資を引いたもの)を現在価値に換算して企業価値を計算します。これは最も一般的な手法です。

一方、配当還元法は、企業が株主に支払う配当を基にして企業価値を求めます。これは収益と配当が安定している企業で効果的な方法です。具体的には、将来の配当を割引して現在価値にすることで、企業価値を計算します。

マーケットアプローチ

マーケットアプローチは、企業の価値を計算するために、同じ業界で働く他の企業の株価や売却額を参考にする方法です。客観的なデータを使用することが利点です。

しかし、似ているとされる企業でも、ビジネスモデルが異なる場合があるため、会社ごとの独自の特性を考慮しづらいのが欠点です。また、同じ業界で上場している企業が存在しない場合もあります。

マーケットアプローチには、主に「市場株価法」と「類似会社比準法」という2つの方法があります。

市場株価法は、上場企業が使うことができる手法で、その会社の株式の市場価格を基に企業価値を計算します。自社の株価を基にするので、シンプルでありながら高い精度を持つ方法です。

一方、類似会社比準法は、似たような事業を行っている上場企業の株価を参考にして企業価値を計算する方法です。主に、市場価格が存在しない非上場企業に対して、マーケットアプローチを適用する場合に使われます。

建設業における売却額の相場

建設業は、規模によっては多くの機材や設備、人材を承継することになるため、売却額が大きくなりやすい傾向にあります。

大型の建設業同士が実施するM&Aであれば、売却額が数十億円~数百億円に上ることも珍しくありません。また、ゼネコンほどの大規模な建設業となると、売却額が数千億円以上に達することもあります。

一方、中小規模の建設業はそこまで大きな売却額にはなりません。規模が小さければ数千万円~数億円程度になることがほとんどです。ただし、専門的な設備や技術があれば、同規模の建設業よりも高い売却額で実行される可能性があります。

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建設業の売却額を引き上げるためのポイント

ここでは、建設業の売却額を引き上げるためのポイントについてお伝えします。建設業の売却額を引き上げるためのポイントには、以下のようなものがあります。

  1. 設備・技術・人材をアピールする
  2. リスクを軽減する
  3. 財務・税務面をチェックする

①設備・技術・人材をアピールする

建設業のM&Aにおいて、買い手が最も欲しい要素は、設備・技術・人材です。建設工事といってもさまざまな種類のものがあり、それぞれの工事に必要な設備や技術、人材が異なっています。また、工事の種類によっては専門的なものもあり、特定の知識や技術に長けた人材がいなければ着手できないこともあります。

基本的に、建設業のM&Aにおいては、自社にない設備や技術、人材を求める傾向があります。自社にないものをM&Aを通じて獲得することにより、買い手企業は手掛けられる工事を増やし、収益を増やしていくというわけです。

そのため、売り手が買い手の会社にはないポイントを強みとしてアピールできれば、売却額を引き上げるきっかけになります。また、自社の強みがはっきりしていれば、M&Aが成功する可能性も高くなるでしょう。

②リスクを軽減する

売り手側の建設業が持つリスクを軽減させることも、売却額を引き上げることにつながります。当然ながら、M&Aにおいて、買い手は売り手が持つリスクを嫌うものです。

過去にあったM&Aの中には、経営統合を実施した際に重大なリスクが発覚し、M&Aが破談して莫大な損失を抱えてしまったケースもあります。そうなってしまうと買い手だけでなく、売り手にもメリットはありません。また、リスクを抱えている状態であると買い手が売却額を下げてくることもあるでしょう。

このように、リスクの存在は、売り手にとってデメリットでしかないといえます。そのため、買い手がデューデリジェンスを実施するよりも前に、あらかじめリスクを軽減させることが重要です。

M&Aを検討している場合は、負債や買い手の不都合になる不要な資産がないかをしっかりと確認し、なるべく早い段階で整理しておきましょう

③財務・税務面をチェックする

会社を高く売却するためには、財務と税務の管理がしっかり行われていることが欠かせません。買い手は買収を検討する前に、デューデリジェンスと呼ばれる詳細な調査を実施します。この調査で財務や税務上の問題が明らかになれば、それが売却価格の減額や交渉の中断を招く原因となることがあります。

特に中小企業の建設会社の中には、財務や税務の記録が不十分なケースも少なくありません。特簿外債務や粉飾決算のような問題がある場合、会社を売却する前にこれらの問題を解決しておくことが重要です。

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建設業における売却の注意点

ここでは、建設業における売却の注意点について説明していきます。建設業を売却する際には、以下のような注意点に配慮しておく必要があります。

  1. 従業員の離職に注意する
  2. 交渉をうまく進める
  3. 建設業許可の引き継ぎ・申請が求められる

①従業員の離職に注意する

従業員の離職に注意することは、建設業に限らず、あらゆる業界・業種のM&Aに共通していますが、会社売却の際に、従業員が離職する可能性があることは非常に重要な注意点といえます。

そもそもM&Aは、会社や事業の経営権を他の会社に渡すことであり、経営者が変わることに直結します。つまり、売り手側の会社における経営方針や労働環境などが大きく変わることになるのです。

そのため、当然ながら、自分の職場が大きく変わることになれば戸惑う従業員も出てくるでしょう。中には会社売却を実施することに反発し、離職する可能性が高い従業員もいます。

1人、2人の従業員が離職する程度であれば、まだ影響は少ないかもしれませんが、経営者が気をつけなければならないのは、大量の従業員が離職してしまうリスクです。過去にあったM&Aの事例の中には、従業員が大量に離職し、それが原因でM&Aが失敗に終わってしまったケースもあります。

とりわけ建設業のM&Aは、人材が重要なファクターになるため、事業の中核を担う従業員が離職するようなことになれば、会社や事業の価値が大きく下がってしまうおそれがあります。このような事態を防ぐためにも、会社売却の際には従業員をしっかりと説得できるように準備しておきましょう。

②交渉をうまく進める

会社売却の際、交渉をうまく進めることも売却における重要な注意点です。そもそも売却額は最終的な交渉の結果次第で決定されるといっても過言ではありません。

もちろん売り手の会社の強みやリスクの有無といったファクターの影響力も大きいですが、どれだけ強みがあっても交渉をうまく進められなければ、売却額を引き上げることは難しいでしょう。

前提として、M&Aでは、買い手側企業と売り手側企業が対立するものであることを意識しておく必要があります。買い手側企業は、より安い売却額を設定して買収したいと考えますが、売り手側は少しでも高い売却額を実現したいと考えるものです。

そのため、売り手側は、交渉の場でいかに強みをアピールし、リスクの影響を抑圧するか対策を考える必要があります。

ただし、売り手側企業が事業承継や経営再建といった切実な事情を抱えている場合は、気をつけておく必要があります。当然ながら、交渉前に切実な事情が買い手に伝わっていれば、交渉段階でイニシアティブ(主導権)をとることはより難しくなります。

最悪の場合、買い手が足元を見て売却額を下げようとしてくる場合もあるでしょう。もし交渉で優位に立ちたければ、交渉に必要なスキルやノウハウ、M&Aに関する知識を身に付けておくことをおすすめします。また、専門家のサポートを得ておくことも大切です。

③建設業許可の引き継ぎ・申請が求められる

建設業では、特定の許可が必要です。売却時にはこの許可の継承や新たな申請を適切に管理しないと、売却後に事業を再開するまでの間に活動が停止してしまうリスクがあります。

事業譲渡のケースでは譲受企業が新しく許可を得る必要があるため、事業にブランクが生じないように早期から関連する官庁との協議を開始することが大切です。

一方、株式譲渡の場合は、許可の新規申請は不要です。ただし、譲渡後に許可の条件を満たす責任者が退職するなどして条件を満たさなくなれば、条件を再び満たすまで事業を再開できませんので、この点には注意が必要です。

【関連】建設業の事業譲渡・事業売却の流れや注意点を解説!許認可はどうなる?

建設業の売却はM&A仲介会社に相談

建設業を売却したいのであれば、M&A仲介会社に相談することをおすすめします。M&A仲介会社は、M&Aの全般的なサポートを実施しており、買い手と売り手をつなげるマッチングをはじめ、M&Aを成功させるための交渉、成約してからのアフターM&Aの支援など、さまざまな場面で支援してくれます。

M&Aは決して成功率が高い方法ではありません。一般的にM&Aの成功率は3割~5割程度といわれており、失敗する可能性の方が高くなっています。加えて、M&Aが完了するまでには1年以上かかることもあります。

しかし、M&A仲介会社のような専門家のサポートを得られれば、成功率も引き上げられるうえに、時間を短縮することも可能です。

建設業における売却でおすすめのM&A仲介会社とは

仲介会社の中には、特定の業界や業種に特化しているM&A仲介会社もあり、建設業のM&A経験が豊富な会社もあります。また、中小企業や零細企業のような規模の小さい会社のM&Aも積極的に受けている会社もあるため、より有益なアドバイスが得たければ、そのような業者を選ぶことをおすすめします。

ただし、M&A仲介会社にサポートを依頼する際には、どれだけの報酬を支払うか不安になるものです。過去には、多額の報酬を要求してくる仲介会社もありましたが、最近のM&A仲介会社はリーズナブルな料金で実施できる業者が増えています。

M&A総合研究所では、知識・支援実績豊富なアドバイザーが多数在籍しており、ご相談からクロージングまで丁寧にサポートいたします。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。よりリーズナブルにご利用いただけます。無料相談をお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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建設業の売却額・売却相場まとめ

建設業のM&Aでは、買い手側企業がいかに自社の強みをアピールできるかが売却額を引き上げるポイントといえます。そのため、売り手側企業は、M&A仲介会社のような専門家のサポートを得ながら、自社の強みがしっかりと伝わるように交渉を実施しましょう。

要点をまとめると、下記の通りです。

・建設業の売却方法
→株式譲渡、合併、事業譲渡

・建設業における売却額の相場
→大型の建設業同士であれば、数十億円~数百億円
→ゼネコンほどの大規模な建設業では、数千億円以上
→中小規模の建設業であれば、数千万円~数億円程度

・建設業の売却額を引き上げるためのポイント
→設備・技術・人材をアピールする、リスクを軽減する

・建設業における売却の注意点
→従業員の離職に注意する、交渉をうまく進める

・建設業の売却の際は
→建設業のM&A経験が豊富な仲介会社の協力を得ることが重要

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