M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年9月20日更新都道府県別M&A
石川県・金沢市の事業承継・M&A動向!事例や案件・相談先も解説
ものづくりの街ともいわれる石川県・金沢市は、官民ともに伝統的産業を守る意識が高く、中小企業の事業承継問題に対し自治体が積極的に支援する体制を取っています。本記事では、石川県・金沢市で実施されている事業承継の公的支援やM&Aの事例を紹介します。
目次
石川県・金沢市の経済状況
石川県の総人口は減少傾向にあり、今後も少子化に伴って人口は減ると考えられます。金沢市における農林水産業の労働生産性は全国平均以上で、漁業の集積と優位性がみられます。また、産業集積において、繊維工業や生産用機械器具の製造業、電子部品など、エレクトロニクス産業などといった産業の重要度が高いです。
石川県では、県内の支援機関と協力して、先輩起業家、起業家、学生、企業などのベンチャー企業を積極的に支援しています。そのため、高い技術力を持ち、ある分野でシェアトップを占める、いわゆるニッチトップ企業の育成に力を入れているといえるでしょう。石川県は、新規参入や成長の可能性が十分見込めます。
石川県・金沢市の事業承継・M&A動向
石川県・金沢市の事業承継・M&A動向を2つのトピックに分けて解説します。
石川県企業の後継者不在率
石川県における「後継者問題」は、依然として悪化の傾向が続いています。2023年に実施された石川県内の全業種約2700社を対象とした調査によると、後継者が「いない」または「未定」と回答した企業の割合(後継者不在率)は58.5%に達し、2022年から0.6ポイント上昇しました。
これで5年連続で前年を上回り、さらにコロナ前の2019年と比べても5.0ポイント上昇し、問題が深刻化している状況です。調査開始以来、2023年は過去最高の不在率を記録しました。
2018年と2023年の後継者決定状況を比較すると、16.7%の企業が新たに後継者を決めています。その中で、2018年以降に事業承継を行った企業のうち、後任経営者がさらに新たな後継者を決定した企業は8.5%、事業承継は行わず新たに後継者を決めた企業は8.2%でした。
しかし、この5年間で代表者が交代したことにより、後継者が「不在」となった企業も16.6%にのぼり、全体として後継者問題は依然として解決に至っていないことがうかがえます。
過去5年間(2019年以降)の事業承継を経営者の就任経緯別に見ると、2023年の事業承継では「同族承継」が48.2%で最も多く、親族間での引き継ぎが依然として主流です。
一方、「M&Aなどによる承継」が3年連続で増加し、16.9%に達しています。この傾向は、親族間承継の減少とM&Aの増加が進み、「脱ファミリー」の動きが続いていることを示しています。
さらに、親族ではない役員や従業員を昇格させる「内部昇格」は21.7%で、2年連続の減少でした。一方で「外部からの招聘」は4.8%と、2年連続で上昇しています。
石川県企業の休廃業件数
2023年における石川県の休廃業・解散件数は526件で、前年度比で23.8%の増加でした。
2023年の休業や廃業の動向は、前年と比べて3割以上の増加が見込まれる企業倒産(法的整理)とともに急増しました。これまで、持続化給付金や雇用調整助成金といった支援策によって、コロナ禍の厳しい経済環境でも多くの企業が何とか経営を続けてきました。
しかし、2023年に入り、これらの支援策が段階的に縮小されただけでなく、電気代などのエネルギー価格の上昇や物価高騰、人手不足による人件費の増加など、複数の経営課題が一気に押し寄せました。
このような状況に直面した多くの中小企業は、長らく先送りしていた「事業を続けるべきかどうか」の決断を迫られました。そして、さらに経営が悪化する前に、やむを得ず廃業を選ぶ企業が増えたと考えられます。
石川県・金沢市の事業承継・M&A案件例
弊社M&A総合研究所が取り扱っている石川県・金沢市の事業承継・M&A案件例をご紹介します。
【北陸地方/官公庁と取引あり】オフセット印刷業・地域情報報誌出版業
地域情報誌を発行しており、県内の多くの企業とネットワークを構築しています。印刷媒体に伴う、企画・デザイン、発送まで一気通貫で対応可能です。
エリア | 中部・北陸 |
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡希望額 | 1000万円〜5000万円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
【安定した財務体質】北陸信越地方の鉄筋加工・工事業
一級鉄筋技能士が5名以上在籍しています。地域に密着して事業運営を行ってきており、安定した受注が確保できています。
エリア | 関東・甲信越 |
売上高 | 2.5億円〜5億円 |
譲渡希望額 | 1億4,000万円(応相談) |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
【北陸地方/複数店舗】アミューズメント施設運営
創業40年以上で、ゲームセンターを複数店舗運営しています。地域の地名度が高く、定期的に就職希望者からの面接応募があります。
エリア | 中部・北陸 |
売上高 | 2.5億円〜5億円 |
譲渡希望額 | 4,000万円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
石川県・金沢市の事業承継・M&A事例
石川県・金沢市の事業承継・M&A事例をピックアップしてご紹介します。
オカモトによるスタハの事業承継・M&A
2024年9月2日、オカモトは、2024年8月28日付でスタハ(石川県金沢市)の全株式を取得し、同社の全事業を引き継ぎました。
オカモトは、オカモトグループ全体の経営を統括する純粋持株会社です。スタハは、石川県内に18の拠点を展開する個別指導型学習塾「スタディハウス」を運営しています。
システムサポートによるコミュニケーション・プランニングの事業承継・M&A
2024年6月20日、システムサポートは、コミュニケーション・プランニング(東京都渋谷区)の株式を取得し、同社を子会社化することを決定しました。
システムサポートは、石川県金沢市に本社を構えるシステムインテグレーターで、クラウドインテグレーション、システム開発、アウトソーシング、製品開発、さらには海外事業も展開しています。
一方、コミュニケーション・プランニングは、ソフトウェア開発やITソリューションを提供する企業で、XRソリューションや人事システムコンサルティングなどを手掛けています。
今回の株式取得の目的は、システムサポートグループのサービスラインを強化し、特にERP導入支援などの事業成長を促進することにあります。
GENDAによるレモネード・レモニカの事業承継・MA&
2023年9月19日、GENDAは、レモネード・レモニカ(石川県金沢市)の発行済株式の66.0%を取得し、子会社化することを決定しました。この株式取得により、レモネード・レモニカはGENDAの連結子会社となります。
GENDAは、グループ全体でゲームマシンのレンタルやオンラインクレーンゲームサイトの運営を手がけており、フード&ビバレッジ分野においても、アニメやゲームとのコラボカフェを全国各地で展開しています。レモネード・レモニカは、レモネードの製造・販売を専門とする企業です。
両社は、ショッピングセンターへの出店を通じて蓄積したノウハウを活かし、共同で物件を開発し店舗ネットワークの拡大を目指しています。レモネード・レモニカがグループに参画することで、GENDAグループはアミューズメント施設の運営など既存事業を強化し、さらなる成長を図ることを狙っています。
事業承継・M&A時におすすめの相談先
石川県・金沢市での事業承継・M&A時におすすめの相談先を3つご紹介します。
金融機関
最近、金融機関がM&A支援に特化した専門部署を設けるケースが増えてきました。特に、投資銀行やメガバンクはファイナンシャルアドバイザー(FA)として、M&Aにおける資金調達や戦略面でのアドバイスを提供する重要な役割を果たしており、企業が買収を進める際に金融機関との連携が欠かせません。
金融機関を活用するメリットには、資金調達に関する高度なアドバイスを受けられる点や、事業承継や後継者への株式移転に関するサポートが含まれます。
さらに、M&A専門の部署を通じて、適切なアドバイザーを紹介してもらえることも大きな利点です。ただし、大手金融機関は主に大規模案件を優先するため、規模の小さい案件には対応しないことがあるほか、アドバイザリー報酬が高額になる可能性がある点には注意が必要です。
公的機関
近年、事業承継やM&Aに関する相談窓口が公的機関によって大幅に整備されました。
「事業承継・引継ぎ支援センター」は、中小企業が抱える後継者不足などの課題に対応するために設けられた窓口で、情報提供やアドバイス、さらに企業間のマッチング支援を行っています。このセンターは2021年4月に設立され、全国47都道府県に展開されているため、地方企業でも簡単に利用でき、信頼性の高い無料サポートが提供されています。
さらに、個人事業主も支援の対象となっており、M&A仲介会社や専門家の紹介も受けられます。ただし、民間のM&A仲介会社と比較すると、対応の迅速さやサービスの質に限界がある場合があるため、その点を考慮する必要があります。
M&A仲介会社
M&A仲介会社は、企業の売買を総合的にサポートする専門機関です。売り手と買い手双方と契約を結び、交渉の調整や相手企業の選定、スケジュールの管理、企業価値の評価(バリュエーション)、書類作成など、M&Aに関わるすべてのプロセスを支援します。
仲介会社は、双方の条件を調整しながら、最適な合意に導くために重要な役割を果たします。また、豊富な選択肢の中から適切なパートナーを見つけることで、M&Aの成功率を高めます。M&Aが初めての企業に対しても、具体的なアドバイスや手厚いサポートを提供するため、安心して手続きを進められます。
ただし、着手金や中間金が発生することがあり、費用が負担になる場合もあります。こうしたコスト面を考慮し、成功報酬制を採用している仲介会社を選ぶことが推奨されます。
石川県・金沢市の事業承継・M&Aで仲介会社を選ぶポイント
この章では、石川県・金沢市の事業承継・M&Aで仲介会社を選ぶポイントを見ていきましょう。
事業承継・M&Aをスムーズに実施するには、業界ごとの変化に対応できるM&A仲介会社を選ぶことが大切です。M&Aに関する幅広い知識・経験はもちろんのこと、相談する分野の専門的知識やM&A実績があるかどうかも確認しましょう。
相談する自社と同じ程度の案件を扱った実績があるかどうか、また、石川県におけるM&A・事業承継の実績があるかどうかも確認してください。地元での実績があると、地元企業や金融機関・士業専門家などとのつながりが強いので、円滑なM&A・事業承継につながります。
報酬体系は、仲介会社によって異なります。中には手数料・相談料・報酬体系が複雑な仲介会社もあり、予期しなかった費用が発生してトラブルが起こることもあるため、報酬体系がわかりやすく手数料が安い仲介会社を選びましょう。
最後のポイントは、担当スタッフの対応と相性です。事業承継・M&Aでは、担当スタッフとの信頼関係がとても重要です。自社の考え方などを理解し、誠実に対応してくれる仲介会社を選んでください。
石川県・金沢市の事業承継・M&Aに関する公的支援
この章では、石川県・金沢市の事業承継・M&Aに関する公的支援を見ていきましょう。
石川県事業承継・引継ぎ支援センター
石川県事業承継・引継ぎ支援センターは、次世代へ事業をつなげるためにいろいろな課題を解決するサポートを行う公的機関です。
石川県事業承継・引継ぎ支援センターでは、専門家が面談や提出資料を元に、事業における実態の把握や具体的な課題を抽出して、さまざまな選択肢を提案します。
七尾事業承継オーケストラ~事業承継ネットワーク~
石川県とは別に、七尾市が単独で行っている事業承継ネットワークが七尾事業承継オーケストラです。2018(平成30)年2月に発足しました。
七尾市は、過去18年間に1,300余りの企業が廃業し、中小企業の存続と事業承継について、石川県内でも問題意識の強い地域です。七尾市に限定・特化した運営を実施することで、より緻密で丁寧な事業承継支援を目指しています。
石川県商工会の事業承継支援
石川県商工会連合会は、石川県内全20の商工会と商工会連合会内に、2019(令和元)年4月から、小規模事業者向け事業承継相談窓口を設置しました。各商工会の経営指導員を中小企業診断士などで構成し、より有用なコンサルティングの実現を目標に掲げています。
金融機関による事業承継支援
2019(令和元)年8月より、富山銀行、福邦銀行、金沢信用金庫は、経営コンサルティング事業などを行う東京のインクグロウと提携し、北陸3県における企業の事業承継支援対応に乗り出しました。
具体的には、インクグロウが運営しているM&Aマッチングサイト「事業引継ぎ.net」を活用し、3行庫が連携して北陸3県における企業のM&Aサポートに就き、M&Aを成約させて事業承継が1社でも多く実現することを目指します。
石川県・金沢市の事業承継・M&Aまとめ
石川県は、他の都道府県よりも製造業の割合が多い地域です。それらの中小企業は創業も古く、地域全体の伝統性を保つためにも安定した地域経済を継続するためにも、欠かせない存在です。しかし、廃業する企業が後を絶ちません。
石川県では、県だけでなく市、商工会、金融機関など、官民をあげて事業承継が実現するよう積極的な取り組みが行われています。事業承継向けの補助金や融資制度もあるので、廃業せずに会社を存続させる方策を考えましょう。
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