M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2021年5月28日更新業種別M&A
調剤薬局を高額で買取してもらうには?価格の算出方法を解説!
調剤薬局業界は現在、M&Aによる売却が増加しています。調剤報酬改定による売り上げの低下や経営者の高齢化と後継者不足、薬剤師の不足などが主な原因です。当記事では、調剤薬局を高額で買取してもらうための方法や、評価額の算出方法などを解説します。
目次
調剤薬局の買取
調剤薬局の買取について解説する前に、調剤薬局の定義と買取の概要について紹介します。
調剤薬局とは
調剤薬局とは医師の診断医による処方箋に基づき、薬を調剤することができる薬局のことです。
調剤薬局の経営には、薬局が現存する都道府県の県知事から認可を受けている必要があり、常駐の薬剤師と調剤室を用意しなければなりません。
また、調剤薬局では処方箋の処方だけでなく、ドラッグストアのようにOTC医薬品や一般違約品を販売することも可能です。
調剤薬局の買取とは
調剤薬局の買取とは、事業譲渡または株式譲渡によって、調剤薬局の株式や事業資産、負債、営業権などを買い取ることを指します。
株式譲渡の場合は、株式の譲渡によって会社ごと買取を行うので、手続きが比較的簡単です。
株式譲渡で買い取ると、売り手の手元には会社が残らないのが、事業譲渡とは違うところになります。
事業譲渡は、事業資産、負債、営業権などのみを買い取る方法です。引継ぎまでに時間がかかりますが、売り手の会社の調剤薬局事業のみを買い取ることができるので、主に別の事業を行っている会社との取引で利用されます。
調剤薬局を高額で買取してもらうには
調剤薬局を売却する際には、なるべく高額で行いたいと考えるのは当然のことでしょう。調剤薬局を高額で買取してもらうためには、以下のような方法があります。
- 経営している調剤薬局の強みを確認する
- 売却・譲渡を計画する段階で経営を改善する
- 調剤薬局の買取需要がある時に売る
- M&Aの専門家に相談する
1.経営している調剤薬局の強みを確認する
経営している調剤薬局をなるべく高額で買取してもらいたいのであれば、調剤薬局の強みを明確化しておくことが重要です。買い手にとってのメリットが増えれば、高額でも買取をしてくれる可能性が高くなります。
ほかの薬局よりも優れている部分を数値や実績などで表すことができれば、買い手に対して魅力的に映り、高額な取引も実現可能です。
【調剤薬局の強みの例】
- 売り上げが好調である
- 処方箋の単価が高い
- 地域の病院と連携が取れている
- 対人業務に優れたかかりつけ薬剤師がいる
2.売却・譲渡を計画する段階で経営を改善する
経営状況は、買取金額を決定する重要な要素です。よって、売却先の選定を行う段階で、経営状況をできるだけ改善しておくことが重要になります。
近年では、度重なる調剤報酬改定による調剤基本料の低減や、慢性的な薬剤師不足が原因で、業績が悪化している薬局も珍しくありません。
売却前に、対人業務を重視した経営方針への移行や適切な在庫管理を行い、負債の軽減と売り上げを向上させることができれば、売却を考えているほかの薬局に対して大きなリードを取ることができます。
3.調剤薬局の買取需要がある時に売る
調剤薬局業界全体に買取需要があるうちに売却することも、高額で取引を行ううえで重要になります。
近年は、少子高齢化による医療費の増加によって、ある程度の利益が見込める可能性が高いため、資本が豊富な他業種の大手企業が次々と新規参入してきています。
また、度重なる調剤報酬改定により地域医療が重視されてきていることが原因で、大手チェーンも新規出店ではなく、地域に密着した既存店舗の獲得に力を入れている状況です。
今後、更なる調剤報酬改定により、業界全体が縮小していくことが予想されるので、買取需要が高い今のうちに売却してしまうのも有効な方法です。
4.M&Aの専門家に相談する
M&Aの専門家に相談することも、なるべく高く調剤報酬を買取してもらうためには重要です。
調剤薬局の譲渡評価価値を適正に算出するためには、専門家の知識が必須です。また、納得できる売却先の選定や、実際の取引に入る前の資料整理、取引中の交渉などをサポートしてもらえるので、取引をスムーズに完遂するためには不可欠といえるでしょう。
当事者同士後腐れなく、納得できる取引を行うためにも、調剤薬局の売却の際にはM&Aの専門家に相談することをおすすめします。
赤字経営の調剤薬局でも買取してもらえるか
赤字を題している調剤薬局は、買取してもらえないのではと考える人も多いでしょう。しかし、実際は赤字の調剤薬局でも条件によっては売却が可能です。赤字での買取をしてもらえる調剤薬局は以下のような特徴があります。
【赤字でも買い取りをしてもらえる調剤薬局】
- 資金不足で赤字になっている
- 地域との関係性が強い
- 素早くM&Aが行える
資金不足で赤字になっている
赤字の原因が資金不足である場合、買い手がみつかる可能性があります。資金不足で赤字になっている場合、必要な設備の導入や人材の確保が満足にできないことが原因になってることが多いです。
逆にいえば、これらの問題をクリアできれば、業績が好転して利益が見込める可能性があるため、ほかの要素から価値があると見いだされれば、豊富な資本を持つ大手企業が買取に手を上げる可能性も高くなります。
地域との関係性が強い
地域との関係性が強く、医療機関との連携や対人業務に優れた薬剤師が在籍している場合、赤字でも買い手がつく可能性が高いです。
近年の調剤報酬改正により、今後の調剤薬局では地域医療への貢献が重視されます。具体的には、個々の患者の管理や指導を行っており、医療機関とも連携が取れているかどうかという点です。
もし、上位のような業務を行う体制が整っている場合、既存店舗獲得による事業拡大を行っている大手企業から声がかかる可能性があります。
素早くM&Aが行える
業績の悪化が初期段階のうちに、素早くM&Aが行える薬局であれば、買い手がつく可能性があります。当たり前ですが、買い手企業は負債や赤字を抱え込むことをよしとはしません。
よって、赤字が出てしまったばかりの段階でM&Aを行うことができれば、悪化してからよりは買い手が付きやすくなります。
業績悪化が初期段階であれば、買い手側の企業が自社ノウハウで業績改善をすることができると判断し、取引を行ってくれることがあり得ます。
M&Aには数ヵ月から1年の期間がかかるので、M&Aを考えている段階で経営が傾きはじめていたら、早期にM&Aの専門に相談するようにしましょう。
調剤薬局の買取を希望する際の価格の算出方法
調剤薬局を高額で買取してもらいたいのであれば、買取価格がどのように算出されるのか、把握しておくことが重要です。この章では、調剤薬局の価格を決定する要素について解説します。
調剤薬局の買取価格はどうやって決まるか
調剤薬局の買取価格は、以下の要素によって決まります。
- 営業権価格
- 営業用財産価格
- 薬品在庫価格
1.営業権価格
営業権は「のれん」とも呼ばれ、企業のノウハウや顧客に提供するブランドイメージ、立地条件など、買い手にとって価値のある要素を総括したものです。
営業権価格は、調剤薬局の営業利益と、買い手が買取を行ったことによって得られる付加価値から算出される価格です。基本的には、3~5年間の実質利益と付加価値から判断される評価倍率によって算出されます。
2.営業用財産価格
営業用財産価格は、造作設備、什器備品などの資産の価格です。基本的には大きな資産が含まれるので、償却価格を加味したうえで、適正な金額が算出されます。
譲渡価格の決定には、後述の薬品在庫価格と合わせた資産から、負債を引いたものを時価純資産価額として算出して使用することが多いです。
3.薬品在庫価格
薬品在庫価格はその名の通り、薬品の在庫の金額です。契約時にはおおよその金額を算出しておき、譲渡日前日に金額を確定します。
契約時に定めた金額と譲渡日前日の金額に大きな差があると問題になるので、譲渡前のある程度の期間における在庫価格の平均を取り、しっかりと算出しておきましょう。
調剤薬局の買取価格に反映されない財産
調剤薬局の買取価格に反映されない財産には、顧客や医療関係とのつながりがあります。以下では、買い取り価格にはどのような影響を及ぼすのかをみていきましょう。
顧客・医療関係との繋がり
基本的に、顧客や医療関係機関とのつながりが、買取価格に影響を及ぼす可能性はあまりありません。
対人の信頼関係に当たる部分は、元の経営者のカリスマ性によるものが大きく、買取によって経営者が変わると、一から信頼関係を構築しなければなりません。
しかし、医療関係機関との信頼関係においてノウハウによる部分が大きい場合は、営業権価格として評価される可能性のあるので、専門家と相談のうえ明確化しておくことが重要です。
M&A・買取提案を行う前に価格を知っておく理由
M&A・買取提案を行う前に価格を知っておくことは、自社の市場価値を客観的に把握するうえで重要です。
評価額がよければ前向きにM&Aを検討することができ、仮に評価額が低かったとしても、本格的な売却先の選定までに財務整理などの対策をすることができます。今後の動きを整理するためにも、早い段階で譲渡価格を把握しておくことが必要です。
需要の高い調剤薬局の条件
調剤薬局を高額で買取してもらうためには、売却先の選定をする段階で、自社を需要の高い状態に整えておくことが重要です。
【需要の高い調剤薬局の条件】
- 立地が良い
- 薬剤師の人数が適切
- 適切な応需枚数
- 処方元との良好な関係
1.立地が良い
当然のことながら、立地のよさは需要の高さに大きく関係します。現在の調剤薬局業界は、調剤報酬改定によって門前薬局に与えられる調剤報酬点が減少し、地域医療への貢献度が高い薬局ほど経営がしやすくなってきている状況です。
結果的に、事業拡大を盛んに行っている大手企業は、新規店舗の出店ではなく、地域との密着性が高い既存店舗の買取によって店舗数を増やしています。
よって、所在地に競合が少なく地域の処方箋を一手に担っているような薬局であれば、需要も高いといえるでしょう。
2.薬剤師の人数が適切
現在、調剤薬局業界は慢性的な薬剤師不足に陥っています。政府もこの問題点は重く受け止めており、常勤薬剤師の負担を減らすような制度改定を行っています。
しかし、調剤業務の負担が軽減された代わりに、薬剤師が今まで以上に対人業務を行う必要が出てきました。
よって、調剤薬局の買収を考える企業は、薬剤師の人数に不足がなく、対人業務に関する教育を十分に行えるかどうかを重視します。
薬剤師の人数に過不足がなく、問題なく現場が回っていれば、買収先はより見つかりやすくなるでしょう。
3.適切な応需枚数
処方箋の応需枚数が適切であることも、調剤薬局の重要を高める際には重要です。薬剤師1名あたりが1日に取り扱うことができる処方箋の枚数は、省令によって40枚と定められています。
40枚という枚数は年内での平均枚数なので、一時的に超える分には問題ありません。しかし、薬剤師1人当たり40枚の処方箋を超える日が多い場合、調剤薬局の経営状態として適正ではないと考えられます。
逆に、薬剤師1人当たりの応需枚数が40枚に大きく届かない場合も、人員と作業量のバランスが取れていない状態です。
買収時の需要を上げたいのであれば、処方箋枚数と処方箋の応需枚数が適正になるように調整しましょう。
4.処方元との良好な関係
処方元との関係性が良好で、スムーズに連携が取れていることも、調剤薬局の需要に大きくするためには重要です。
処方元の医師の医療方針が薬剤師と共有できていれば、薬が処方される理由を理解した上で、服薬指導をしっかりと行うことができるため、患者に対する業務の質が格段に向上します。
患者に対する医療の質を向上させるだけでなく、医師や薬剤師の仕事の効率アップにもつながるので、処方元との連携が取れている調剤薬局は需要が高いです。
自社の市場価値を上げたいのであれば、処方元の医師と薬剤師で勉強会を行うなど、コミュニケーションを密にとることをおすすめします。
調剤薬局の高額買取を目指す上でおすすめの相談先
調剤薬局を高額で買取してもらいたいのであれば、調剤薬局業界に詳しいM&Aの専門家のサポートがおすすめです。
M&Aに関する知識だけではなく、2年ごとに改定される調剤報酬の状況や、薬機法を始めとした法律に詳しい専門家に相談することで、正当な評価価格を算定のうえでの交渉が可能です。
M&A総合研究所では、調剤薬局のM&Aに特化したアドバイザーがフルサポートします。料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。
無料相談は年中無休でお受けしておりますので、調剤薬局のmをご希望の際は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
まとめ
今回は、調剤薬局の買取について解説しました。調剤薬局を高額で買取してもらうためには、需要の高い体制を整えつつ、独自の強みを整理して、買取需要があるうちに売却するのが重要です。
【調剤薬局を高額で買取してもらうには】
- 経営している調剤薬局の強みを確認する
- 売却・譲渡を計画する段階で経営を改善する
- 調剤薬局の買取需要がある時に売る
- M&Aの専門家に相談する
【需要の高い調剤薬局の条件】
- 立地が良い
- 薬剤師の人数が適切
- 適切な応需枚数
- 処方元との良好な関係
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