M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年9月23日更新都道府県別M&A
関西地方のM&A・事業承継の動向!事例や案件・公的支援機関も紹介
本記事では、関西地方のM&A・会社売却・事業承継についての現状や事例、案件一覧を詳しく紹介します。近年は全国的にM&A・会社売却・事業承継の成約件数が増加しており、この動向は関西地方も同様です。関西地方でM&A・事業承継を検討中の方は必見です。
目次
関西地方のM&A・会社売却・事業承継の動向
関西は近畿を含む広い地域を指しますが、本記事では関西地方=近畿地方として説明を進めます。近畿地方は、京都・大阪・滋賀・兵庫・奈良・和歌山・三重の2府5県を含む区域です。
関西地方のM&A・会社売却・事業承継の動向を4つのトピックに分けて解説します。
関西地方の後継者不在率
関西地方の企業における「後継者不在率」は48.2%となり、5年連続で改善が続いています。2019年のコロナ禍前と比較すると18.4ポイント減少し、さらに2014年と2016年に記録した最高値の68.7%と比べると、20.5ポイントも低下しました。今回初めて5割を下回り、2011年の調査開始以来、最も低い水準に達しています。
年代別に見ると、特に「50代」と「60代」の経営者における後継者不在率が前年から7ポイント以上も減少しており、全体の改善に大きく寄与しています。
業種別でも全ての分野で後継者不在率が低下しています。特に「卸売業」と「サービス業」では6ポイント以上減少しており、後継者不足の問題が着実に解消されつつあります。しかし、「建設業」では依然として不在率が高く、一方で「製造業」は比較的低い水準を維持しています。
関西地方の休廃業件数
「休廃業・解散」の件数は前年比10.2%増の7,809件となり、2年ぶりに前年を上回りました。特に「京都」「大阪」「滋賀」では二桁の増加率を記録しています。業種別では、『卸売業』と『小売業』が10%以上の増加を見せており、特に『建設業』では931件が報告され最多件数となりました。
また、増加率が最も高かったのは『卸売業』で18.4%の伸びを示しています。業種をさらに細かく見ると、「家庭用電気機械器具小売業」や「婦人・子供服小売業」などで、増加率が50%を超える業種もありました。
「休廃業・解散」に至った企業の代表者の平均年齢は71.4歳で、3年連続で70歳を超えました。前年から0.2歳上昇しています。『70代以上』の割合が減少する一方で、「50代」や「60代」の割合が上昇しています。
また、2023年(1~12月)における関西地区の「倒産」件数は、前年比33.5%増の2106件と、3年ぶりに2000件を上回りました。
コロナ禍では政府の実質無利子・無担保融資などの資金支援策により倒産件数が抑えられていましたが、最近では需要の変化や物価高、円安、人手不足による人件費上昇などの要因が重なり、企業が次々と破綻し、倒産件数が本格的に増加する局面に入っています。
関西地方のM&A件数
レコフの調査によると、2018年における関西地方(大阪を除く)のM&A件数は、合計で227件に達し、これまでの最多記録だった2017年の197件を上回りました。買手と売手が共に地域内だったM&A案件は31件、買手が地域内で売手が地域外の案件は92件、逆に買手が地域外で売手が地域内の案件は104件となっています。
業種別に見た場合、関西地方の企業が買手となったM&Aは123件あり、その内訳として最も多かったのは「金融」(投資ファンドを含む)で30件でした。次いで、「電機機器」などの製造業が13件、さらに「小売業」と「サービス業」がそれぞれ11件ずつで続いています。
関西地方のM&A・会社売却・事業承継の今後
関西地方の総人口は、いずれの府県でも減少傾向です。また、中小企業を中心に経営者の平均年齢は70歳近くで、経営者引退の年齢になっています。
このようなことから、関西地方におけるいずれの業種も今後、M&A・会社売却・事業承継の件数は増加すると考えられます。
そのため、M&A・会社売却・事業承継をサポートする仲介会社を探すなど、準備が必要です。
関西地方のM&A・会社売却・事業承継の案件一覧
弊社M&A総合研究所が取り扱っている関西地方のM&A・会社売却・事業承継の案件一覧をご紹介します。
【好立地/純資産アンダー】精神科クリニック
最寄り駅より徒歩5分程度の好立地(関西でも有数のベッドタウン)にあります。業歴が長く、来院患者数も毎月ほぼ変わらない安定的な運営が強みです。
エリア | 関西 |
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡希望額 | 3,000万円 |
譲渡理由 | 戦略の見直し |
【雑誌掲載多数/事業譲渡】レディースアパレルブランド
ファッション誌の掲載実績豊富でモデルや女優からの支持が厚いです。ブランド設立から10年以上経っており積み上げてきたブランドイメージが確立しています。
エリア | 関西 |
売上高 | 5000万円〜1億円 |
譲渡希望額 | 1億円 |
譲渡理由 | 別ブランドの立ち上げのため当該ブランドの事業譲渡を検討 |
【関西/ドライバー30名以上/倉庫3拠点】重量物運搬に強みを持つ運送業
業歴50年超の地場運送業者です。大手取引先との取引がメインで重量物運搬に強みをもつ運送事業を展開しています。
エリア | 関西 |
売上高 | 10億円〜25億円 |
譲渡希望額 | 2.5億円〜5億円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
関西地方のM&A・会社売却・事業承継の事例
関西地方のM&A・会社売却・事業承継の事例をピックアップしてご紹介します。
買取王国によるベストバイのM&A・事業承継
2024年7月16日、買取王国は、ベストバイ(大阪府茨木市)が運営する「良品買館事業」の一部と「プロ工具専門店ツールマン事業」のすべてを譲り受けることを決定しました。
買取王国は、東海地方を中心に総合リユースショップや工具専門の買取店を展開しており、今後は関西地方を新たな成長エリアとして店舗展開を強化する予定です。
ベストバイが運営するこれらの事業は、関西地方で高い知名度を持ち、特に大阪北部での影響力が大きいことから、買取王国の既存事業との相乗効果が期待されています。今回の譲受によって、買取王国はさらなる事業拡大を目指し、関西地方でのプレゼンスを強化します。
東洋テックによる関西ユナイトプロテクションのM&A・事業承継
2024年6月3日、東洋テックは、関西ユナイトプロテクション(大阪府大阪市)の株式を取得し、子会社化しました。
東洋テックは、セキュリティサービスやビル管理、コールセンター運営、防犯機器や省エネサービスの販売、防災サービスを展開しています。関西ユナイトプロテクションは、主にイベント警備や施設警備を提供している会社です。
今回の株式取得は、東洋テックが成長戦略の一環として、グループ全体でのサービスラインナップを拡充し、より多様な顧客ニーズに応えるためのものです。
小野建による興永鋼材のM&A・事業承継
2023年6月30日、小野建は、興永鋼材(広島県広島市)の株式を取得し、連結子会社化することを決定しました。
小野建は鋼材や建築材料の商社で、土木建築工事の請負や不動産事業も手掛けています。一方、興永鋼材は中国・四国・関西地方で鋼板の加工および販売を行っている企業です。
本件M&Aにより、小野建は中国・四国地方における営業基盤を強化し、西日本エリアでの顧客サービス向上を図り、さらにグループ全体の企業価値向上を目指します。
M&A・事業承継時におすすめの相談先
関西地方での事業承継・M&A時におすすめの相談先を3つご紹介します。
金融機関
近年、金融機関がM&A支援に特化した専門部署を設置する事例が増えています。特に、投資銀行やメガバンクがファイナンシャルアドバイザー(FA)としてM&Aの重要な役割を担うことが多く、買収側では資金調達の際に金融機関との協議が欠かせません。金融機関を活用するメリットとして、資金調達に関する専門的な助言が得られ、事業承継や後継者への株式取得時にも役立ちます。
また、M&Aに特化した部署を通じて適切なアドバイザーの紹介も可能です。しかし、大手金融機関は大規模案件に注力し、中小規模案件に対応しないことがあり、アドバイザリー形式の報酬が高額になるケースもデメリットとして考慮すべきです。
公的機関
近年、公的機関でも事業承継やM&Aに関する相談体制が整備されてきています。
「事業承継・引継ぎ支援センター」は、中小企業の後継者不足などの課題に対し、情報提供やアドバイス、企業間マッチング支援を行う窓口です。2021年4月に設立され、全国47都道府県に設置されているため、地方企業も利用しやすく、無料で信頼性の高い支援を受けられます。
また、個人事業主にも対応しており、M&A仲介会社や専門家の紹介も行っています。ただし、対応の迅速さやサービス内容においては、民間のM&A仲介会社に比べて限界がある場合があります。
M&A仲介会社
M&A仲介会社は、企業の買収や売却を全面的にサポートする専門企業です。売り手・買い手の双方と契約を結び、交渉の調整、相手の選定、スケジュール管理、企業価値評価(バリュエーション)、書類作成など、M&Aの全プロセスをサポートします。
仲介会社は、両者の希望や条件を調整し、最善の合意を見つける役割を果たし、多くの選択肢の中から最適な相手を紹介することで成功率を高めます。また、M&A初心者でも安心して進められるよう、手厚いサポートや具体的なアドバイスを提供します。
ただし、着手金や中間金がかかることがあり、コスト負担が課題となる場合もあります。そのため、成功報酬制を導入する企業を選ぶことが推奨されます。
関西地方のM&A・事業承継に役立つ公的機関3選
続いては関西地方のM&A・事業承継に役立つ公的機関を紹介します。この章では、以下の3つを見ていきましょう。
- 中小企業基盤整備機構 関西本部
- 関西経済産業局
- 事業承継・引継ぎ支援センター (関西各所)
①中小企業基盤整備機構 関西本部
1つ目に紹介する機関は中小企業基盤整備機構 関西本部です。独立行政法人で、中小企業の事業承継を支援している機関です。事業承継に関する相談料は無料で、後継者育成事業や専門家の派遣も行っています。
事業承継に関するセミナーも実施しており、より積極的に事業承継を後押しする事業も行っているのです。
②関西経済産業局 (大阪府・京都府・兵庫県・和歌山県・奈良県・滋賀県)
関西経済産業局は、関西地方を管轄する経済産業省直轄の支援機関です。関西経済産業局では、主に地域経済活性化事業や補助金などの中小企業支援事業も行っています。その一環として、事業承継支援や再生支援などの相談を行っています。
③事業承継・引継ぎ支援センター (関西各所)
事業承継・引継ぎ支援センター(関西各所)は、中小企業庁からの委託事業として各都道府県に設置されている公的機関です。中小企業の事業承継を支援する目的で設置されました。事業承継・引継ぎ支援センターの独自事業に、後継者人材バンクがあります。
これは、事業承継によって既存企業の経営者になることを希望する起業家と、後継者不在の中小企業をマッチングする無料のサービスです。
関西地方のM&A・会社売却・事業承継のまとめ
関西地方では大企業が行うM&Aだけでなく、事業承継も含めたスモールM&Aも活発に行われています。今後もコロナ禍に耐えられるよう、積極的なM&Aが行われるでしょう。M&Aを検討する中小企業経営者は、業界の動向をしっかり注視する必要があります。
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