M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年8月26日更新都道府県別M&A
青森県の事業承継・M&A案件!事業承継・引継ぎ支援センターの取組も解説
青森県の事業承継・M&A案件を紹介します。青森県でも事業承継問題は深刻化しています。国が実施する事業承継の支援政策や、青森県独自の公的な事業承継支援事業が開始しています。M&A仲介会社の活用も含め青森県の事業承継問題、好転が期待されます。
目次
青森県の産業に見られる特徴
青森県における農林水産業は、県の主要な産業となっており、令和2年の総生産額は約3,812億円に達しています。農林水産物の生産は多岐にわたり、さまざまな品目がバランスよく育てられています。
青森県では、全国でもトップクラスの生産量を誇るりんごやにんにく、ごぼうといった農産物に加え、ヒバやスギなどの森林資源、さらにアカイカやホタテなどの海産物も豊富に生産されています。これにより、県内では多様な農林水産物が育まれています。
青森県は、三方を海に囲まれ、陸奥湾という内海も有しています。青森県の海岸線の長さは約800キロメートルで、これは青森から東京までの距離にほぼ匹敵します。
日本海には対馬暖流が流れ込み、太平洋では津軽暖流と親潮、黒潮が交差するため、異なる種類の魚が豊富に獲れます。また、これらの海流が交わる潮目ではプランクトンが多く発生し、それを餌とする魚たちが集まるため、良好な漁場となっています。
さらに、陸奥湾では周囲が陸地に囲まれているため、大きな荒れた海になることが少なく、ホタテの養殖が盛んに行われています。
このように、青森県では海域の特性を活かした漁業が盛んであり、安定した漁獲を目指して、ホタテの養殖やサケ、ヒラメ、アワビなどの稚魚を放流して育てる「育てる漁業」、また、ヒラメやカレイなどの漁獲サイズや方法を管理する「資源管理」が推進されています。
青森県の事業承継・M&A動向
青森県の事業承継・M&A動向について、後継者不在率や休廃業件数の観点から解説します。
青森県企業の後継者不在率
青森県の全業種にわたる2,507社のうち、後継者がいない企業は全体の61.2%にあたる1,534社に上ることがわかりました。社長の年齢別に見ると、2022年と比べて「40代」「60代」「70代」「80代以上」の年代で、後継者が見つかっていない企業の割合が増加しています。
業種別では、「不動産業」で後継者がいない企業の割合が最も高く、72.3%に達しています。これに「建設業」や「サービス業」が続いています。後継者候補としては、「子供」が最も多く選ばれており、特に「60代」以上の社長においては、過半数が子供を後継者としています。
全国的に見ると、後継者不在率は53.9%で、6年連続で低下しており、調査を開始した2011年以降で最も低い水準となっています。
参考:帝国データバンク「青森県企業「後継者不在率」動向調査(2023年)」
青森県企業の休廃業件数
2023年に青森県で発生した企業倒産の件数は57件で、負債総額は約155億5800万円に達しました。これは、過去5年間で最も多い件数と最も高い負債額となっています。
コロナ禍における政府と民間の協力による資金支援が終わりを迎える一方で、物価の上昇や人手不足が深刻化しており、特に価格の引き上げが難しい中小企業が収益を上げにくい状況に陥っていることが、倒産件数の増加につながったと考えられます。
また、会社の業績が悪いならまだしも、業績好調であるにも関わらず、事業承継する後継者がいないため、経営者引退により廃業・休業せざるを得ないケース多く見られます。
後継者難による事業承継問題については、国も積極的な施策や支援事業を行っています。具体的には、経営承継円滑化法による、事業承継における税金の猶予や免除、事業承継のための金融支援、事業承継に関わる株式贈与の特例措置などです。
そのほか、青森県では国の施策以外にも、自治体が中心となって各種関連団体とともに立ち上げた事業承継支援事業がスタートしました。
参考:帝国データバンク「青森県企業「休廃業・解散」動向調査(2023年)」
青森県近郊の事業承継・M&A案件一覧
本章で、M&A総合研究所が取り扱っている事業承継・M&A案件情報の中から、公開可能な青森県近郊の案件を紹介します。詳細をお知りになりたい経営者様は、お気軽にM&A総合研究所へお問い合わせください。
【東北地方/建設機械の販売・修理・レンタル業】地域密着の業歴50年以上の老舗業者
地域密着で業歴50年以上の実績があり、当地では知名度高い老舗業者です。ベルト、ホース、エンジン、足回り、溶接、法定検査等、自社販売以外の機械・装置でも修理対応が可能です。
エリア | 東北 |
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡希望額 | 5000万円〜1億円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
【東北】施工管理技士 / 建設系人材派遣業
地元の大手建設会社への取引をメインに行う、建設系人材派遣会社です。施工管理技士や、事務等の派遣業を手掛けています。
エリア | 東北 |
売上高 | 5000万円〜1億円 |
譲渡希望額 | 5000万円〜1億円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
【業歴20年以上】東北地方の介護福祉施設運営
医療機関・ケアマネジャーによる紹介、口コミ等で利用者を確保しています。有資格者が多数在籍しており、幅広いサービスを提供できる点が強みです。
エリア | 東北 |
売上高 | 2.5億円〜5億円 |
譲渡希望額 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継)、戦略の見直し |
青森県の事業承継・M&A事例
近年における青森県の代表的な事業承継・M&A事例をご紹介します。
ナックによる秀和住研の事業承継・M&A
2024年5月、ナックは、青森県八戸市に拠点を置く秀和住研の全株式を取得し、同社を子会社化しました。これにより、秀和住研の完全子会社である株式会社秀和もナックの孫会社となります。
ナックは宅配水やレンタル事業、建築コンサルティングなどを手がけており、秀和住研は青森県と秋田県で新築住宅の施工やリフォームを行っています。
秀和住研とその子会社である秀和は、ナックの住宅フランチャイズ「ACE HOME」に加盟しており、両社がナックグループに加わることで、同エリアでの事業強化やシナジー効果を期待しています。ナックはこれを通じてグループ全体の企業価値向上を目指しています。
ジャパンエレベーターサービスHDによるコスモジャパンの事業承継・M&A
2020年9月、ジャパンエレベーターサービスホールディングス(JESホールディングス)は、青森県八戸市にあるコスモジャパンの全株式を取得し、同社を子会社化することを決定しました。
JESホールディングスは独立系のエレベーターメンテナンス会社で、国内の主要メーカーに対応したメンテナンスサービスを提供しています。一方、コスモジャパンは昇降機や消防設備、清掃、省エネルギー事業を展開しています。
このM&Aにより、JESホールディングスは東北地域へのサービス提供を拡大し、コスモジャパンの顧客基盤や技術ノウハウを活用して、サービス品質の向上や経営効率化を図り、企業価値の向上を目指します。
栗林商船による北日本海運の事業承継・M&A
2020年7月、栗林商船は、北海道函館市に本社を置く北日本海運の全株式を2,000百万円で取得し、子会社化することを決定しました。
栗林商船は、北海道や本州各地に内航大型RORO船を運航する定期船事業や、小型船を全国に運航する不定期船事業を展開しています。一方、北日本海運は、函館と青森を結ぶカーフェリー事業や内航運送を手がけています。
このM&Aにより、栗林商船は函館-青森間のフェリー運航をさらに強化し、両社の事業領域とネットワークを統合することで、効率的な運営と事業基盤の強化を図ります。
栗林商船グループは、内航海運業における豊富な経験を活かし、函館-青森間フェリーのさらなる成長を目指します。
事業承継・M&A時におすすめの相談先
青森県での事業承継・M&A時におすすめの相談先を3つご紹介します。
金融機関
最近では、金融機関がM&A支援に特化した専門部署を設置する事例が増えています。特に、投資銀行やメガバンクがファイナンシャルアドバイザー(FA)として重要な役割を果たすケースが多く見られます。
M&Aを進める際には、金融機関は欠かせないパートナーです。特に、買収側では資金調達のために金融機関との協議が不可欠であり、既存の取引関係がある金融機関が最初の相談先となることが一般的です。
金融機関に相談する大きな利点は、資金調達に関する専門的なアドバイスを得られる点です。たとえば、事業承継の際に親族や従業員が後継者となる場合でも、株式を取得するための資金が必要になることがあり、金融機関のサポートが非常に有益です。
また、金融機関の中には、M&Aに特化した専門部署や、他の専門家と連携しているところもあり、適切な専門家を紹介してもらえる場合もあります。
ただし、大手金融機関は大規模なM&A案件を中心に扱う傾向があり、中小規模の案件には対応しないことがあります。また、多くの金融機関が仲介ではなくアドバイザリー形式を採用しており、その結果、報酬が高額になることがデメリットといえるでしょう。
公的機関
最近では、公的機関でも事業承継やM&Aに関する相談ができるようになっています。例えば、事業承継・引継ぎ支援センターは、中小企業が抱える後継者問題を解決するための公的な相談窓口です。
事業承継やM&Aに関する情報提供やアドバイス、さらには企業間のマッチングサービスも提供しています。2021年4月に設立され、全国のセンターで専門家が無料で相談に対応しており、中小企業の事業承継問題に取り組んでいます。
全国47都道府県に窓口があり、地方企業でも簡単に利用できることが大きなメリットです。国が運営しているため、相談は無料で、公平なアドバイスが得られます。必要に応じて、M&A仲介会社や各種専門家の紹介も受けられ、個人事業主の事業承継にも対応しています。
しかし、公的機関であるため、対応のスピードに限界がある場合があります。また、民間のM&A仲介会社と比べると、サポートの実績やサービス内容が劣ることもある点がデメリットとなる可能性があります。
M&A仲介会社
M&A仲介会社は、企業の買収や売却を専門にサポートする企業で、売り手と買い手の両者と契約を結び、双方の利益を考慮しながら交渉を進めます。これらの仲介会社は、初期の相談から相手企業の選定、スケジュールの管理、企業価値の評価(バリュエーション)、必要な書類の作成など、M&Aの全プロセスを包括的に支援します。
仲介会社は、売り手と買い手の条件や要望を調整し、双方が合意できる最適なポイントを見つけ出すことで、円滑なM&Aを目指します。
仲介会社の大きなメリットは、多くの候補企業の中から最適な相手を見つけられる点にあります。これにより、売り手と買い手が満足できるM&Aが実現しやすくなります。
また、M&A初心者でも安心して進められるように、仲介会社は一貫したサポートを提供し、具体的なアドバイスや相手企業とのスムーズなコミュニケーションを通じて、成功率を高めています。
ただし、仲介会社によっては、着手金や中間金が発生することがあり、コスト面での負担が懸念されることもあります。コストを抑えるためには、M&A総合研究所のように成功報酬制を採用している企業を選ぶのが良いでしょう。
青森県の公的機関による事業承継支援
青森県では県が中心となって、2019(令和元)年7月に「公益財団法人・21あおもり産業総合支援センター」が設立されました。その21あおもり産業総合支援センターを中核として、プッシュ型事業承継支援高度化事業といわれる青森県事業承継ネットワークが組成されたのです。
また、青森県内では、県とは別に市が単独で事業承継支援を行っているケースもあります。それらの内容を個別に見てみましょう。
青森県事業承継ネットワーク
はじめに、青森県事業承継ネットワークを構成する県内の各支援機関を紹介します。
【商工団体】
- 青森県中小企業団体中央会
- 青森県商工会連合会
- 青森・弘前・八戸・黒石・五所川原・十和田・むつ各商工会議所
- 日本政策金融公庫
- 青森県信用保証協会
- 青森銀行
- みちのく銀行
- 青い森信用金庫
- 東奥信用金庫
- 青森県信用組合
- 青森県中小企業診断士協会
- 青森県不動産鑑定士協会
- 青森県土地家屋調査士会
- 青森県行政書士会
- 青森県司法書士会
- 青森県弁護士会
- 東北税理士会青森県支部連合会
- 日本公認会計士協会東北会青森県会
- 青森県社会保険労務士会
そして、青森県地域産業課と21あおもり産業総合支援センターが中心となって、上記の各機関が連携して青森県内の企業の事業承継を全面的に支援していく取り組みが、青森県事業承継ネットワークです。
青森県事業承継・引継ぎ支援センター
青森県事業承継ネットワークの中で事業承継相談の窓口組織として設置されたのが、青森県事業承継・引継ぎ支援センターです。
2021年4月、事業承継に関するあらゆることをご相談いただける窓口として、「青森県事業承継・引継ぎ支援センター」が公益財団法人21あおもり産業総合支援センターの中に開設されました。スムーズな事業承継が県内に広がるよう、連携体制の構築・強化、各種施策等により事業者を支援しています。
基本的に青森県事業承継・引継ぎ支援センターは、全国の各都道府県にそれぞれ設置され、情報共有するシステムになっています。青森県事業承継・引継ぎ支援センターが具体的に行っている主な事業承継支援活動内容は、以下のとおりです。
- M&Aによる事業承継セミナーの開催
- 秘密厳守の無料相談
- M&Aによる事業承継に関わる各種業務サポートとアドバイス(士業団体と連携し適切な専門家を紹介するが場合により有料)
- 事業承継候補企業のマッチング(紹介)
はちのへ創業・事業承継サポートセンター(8サポ)
青森県八戸市では、市独自の事業承継支援事業を行っています。2016(平成28)年4月に、八戸商工会議所と連携した八戸市が、はちのへ創業・事業承継サポートセンター(8サポ)を設置しました。事業承継だけでなく起業・創業支援も行う取り組みです。
八戸市は青森県の動きよりも3年早く、事業承継支援を始めたことになります。青森県の主要3市の1つとされる八戸市にあっては、中小企業の廃業・休業問題が地域にとって切実で重要な課題として浮き彫りになっていました。
青森県の事業承継・M&Aまとめ
継続は力なり、という言葉があります。企業にとっては、事業承継により廃業・休業しないことがそれに当てはまる状況です。身内にも社内にも適する後継者がいないのは残念なことではありますが、そこであきらめず第三者に事業承継することを前向きに検討してみましょう。
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